第11期:閣下は相当カッカしているようです
今期の格言
私は間違っているが、世界はもっと間違っている
トメニア王国宰相―アデノイド・ヒンケル
トメニア王国国境、ダークエルフ軍野営地にて。
智鶴は政務をルーツィエに委ねて、エミリアと共に前線へと赴いた。
「フレイヤさん、いる!?」
「智鶴様!わざわざこの地までお越しとは!もしやヴァルハリア教国の動向を!」
「そうだ…すでに知ってると思うけど、ヴァルハリアがトメニアに宣戦布告した。
明らかに漁夫の利を狙いに来ているのに、悔しいけど今のままだと
有効な対処法がほとんどないんだ。ホント、まさか友好国裏切るだなんて。」
「……今回の所業により、ヴァルハリアの信用は地に堕ちたと言っていいでしょう。
しかしながら、彼らはもはや大陸の全てを敵に回して戦えるだけの力を
持ってしまっています。してやられましたね…私たちは自分たちが傷ついてまで
ヴァルハリアの勢力拡大に力を貸してしまったのですから。」
「フレイヤさん……」
ダークエルフたちは、まんまとヴァルハリアに出し抜かれてしまった。
今からトメニア領を狙おうにも、手に入るのは並みの都市が一つか二つ程度。
完全な利益を得るには中枢部にある首都まで攻め上る必要がある。
しかしながら、その美味しいところはどうがんばってもヴァルハリアの手に渡るのは必定。
ダークエルフたちは、体よくトメニアの戦力を削るための研磨剤でしかなかった。
「大丈夫ですよ智鶴様!私たちがやったことは間違っていません!
私たちがリートゥスを守りきれなかったら、事態は余計悪化していたはずです!」
「エミィ…」
「エミリアさん……!」
だが、落ち込む二人を励まそうとエミリアは天使のような笑顔を向けた。
いや……彼女は天使そのものなのだ。人を元気付けるのが彼女の仕事…
「智鶴様らしくありませんよ!やられたら何倍にしてやりかえす!
そして恩も何倍に返して報いる!これが私たちのやり方じゃないですか!
だったら、落ち込むよりも、次の手を考えてみませんか!僭越ながら、
私も悪巧みのお手伝いをします!しっぺ返し食らわせてやりましょう!」
「え、エミリアさん……?ふふっ、またずいぶんと過激な…。」
「あはははっ!これは一本とられた!エミィからそんな言葉が出てくるなんて!」
「えっへん、エミィはもういい子ぶりっ子じゃないのです!
智鶴様のためならなんだってしちゃいますよ〜!」
智鶴の恋人となって変わったエミリアの笑顔は、二人にも笑顔をもたらし、
二人の笑顔は、不安気味だった兵士たちを明るい気持ちにさせた。
「そうです智鶴様!ここで落ち込んでいられませんよ!」
「なんならトメニア領内でヴァルハリア軍に喧嘩売って、
あいつらの度肝をぬいて見せます!」
「おいしいとこだけ持っていくのは私たちの仕事ですもんね♪」
兵士たちからの激励を受けた智鶴は、その場で少し頭に考えをめぐらせる。
ヴァルハリアに牽制を加えるにはどうしたらいいか、
その前にトメニアとの戦争をどのあたりで手打ちにするか……
「そうだね…。決めた、みんなはこのままトメニア領内に攻め込んで
都市を一つだけ落としてきてほしい。占領はしないで破壊してかまわない。」
「都市は破壊するんですね?了解です。」
「そしたら後のことは僕たちに任せてほしい。君たちは都市を破壊したら、
ここまで引き返して軍の再編成だ。リートゥス領の町をしばらく借りて
次の作戦に備えてほしい。」
「ということは智鶴様、トメニア領は全て放棄すると。」
「こればかりは仕方がない、深入りは禁物だ。」
その後もいくつか前線兵士たちに指示を出すと、
ダークエルフ軍主力は再びトメニア王国領内に向けて進撃を始めた。
「さてと、次はルーお姉ちゃんに…」
…
場面は変わってこちらはトメニア―ヴァルハリア国境の都市フランケンフルト。
「カタパルト用意!射程を測れ!………放て!」
ゴトンッ! ヒュンヒュンヒュンヒュン!
ボクッ!ドカッ!バコッ!
「ぐわっ!石がっ!?」
「あいたたた!タンコブできちまった…!」
ヴァルハリア教国軍の投石器部隊が都市に向かって砲撃を開始。
梃子の原理で発射された人の頭ほどもある大きな石は
フランケンフルトの防壁を直撃して容赦なく叩き壊すと同時に、
トメニア王国守備隊に対しても流れ弾で攻撃する。
代表的な攻城兵器であるカタパルト…つまり投石器は
ゲーム序盤で最も脅威のユニットの一つである。
移動力は遅く、攻撃力もそれほど高いとはいえないが、
都市の防御力を大きく削り、そのうえ守備隊に副次的損害を与える。
副次的損害とは、攻撃地点にいるほかのユニットへのダメージのことで、
一つの部隊が攻撃を受けると、ほかのユニットもちょっとしたダメージを受ける。
一回一回は微々たるダメージで、副次攻撃ではとどめはさせないが
何回も難解もダメージが積み重なると、その効果は無視できないものであり、
特に戦力が拮抗しているとその傷が元で大敗北を喫することがある。
「撃ち方止め!騎兵部隊、攻撃を開始する!続け!」
『おーっ』
ワーワー
投石器の攻撃でボロボロになった防壁から、ヴァルハリアの騎乗兵が雪崩れ込む。
騎乗技術の研究によって前線に出れるようになった英雄ヒロ=ハイルを先頭に、
雷のような突撃がトメニア軍守備隊を蹂躙した。
「も、もうだめだ!逃げるぞ!」
「ヨーデル将軍!?」
圧倒的な攻撃力の前に、ヨーデルはわずかな兵士たちだけを共に城を放棄。
残った兵士たちは不幸にも全員やられてしまった。
「まずまずといったところだな。」
「陛下、このまま首都を落としにかかります。」
「期待しておるぞ。楽しませてくれ。」
「ははっ!」
ライオンハートは自ら前線にて軍を率い、首都デロリンを目指す。
その一方で、もう一つの国境都市ケーンにもヴァルハリア軍の攻撃が行われた。
こちらはルイーズ率いる別行動部隊。この部隊はヴァルハリア教国軍だけではなく
別の国の出身のユニットも含まれていた。
「オードリー卿、お手並み拝見いたしますわ。」
「よかろう。わがソードカテドラルの戦いぶりをお見せしよう。」
彼らは都市国家ソードカテドラルの精鋭部隊。
騎士団長のオードリーは、さまざまな経緯によりヴァルハリアに力を貸すことになり、
こうしてトメニア戦線の別同部隊として戦いに加わっている。
主神の遊撃手を自称する彼女たちはライオンハートとも相性は抜群だ。
「攻撃開始!われわれは神の剣たらん!」
『おーっ!』
ワーワー
ヴァルハリアにとって、無償でユニットを提供してくれるソードカテドラルは
絶好の戦力であると同時に、絶好の捨て駒でもある。
しかしながらオードリーもそれは十分承知の上で参加している。
神のために戦い、命を散らすことこそが至上だと考えている命知らずたちを
トメニア軍はとめることができなかった。
「城門が、破壊されました!」
「くそったれ!なぜ裏切ったのだヴァルハリアーーーーっ!うおぉぉぉっ!」
ポータル将軍の叫びもむなしく、ケーンもまたあっけなく陥落した。
一連のヴァルハリアの行動はまさに侵略戦争の手本といえよう。
それくらい手際のよい戦いぶりであった。
「おみごとですオードリー卿。」
「褒めて貰うのはまだ早い。私たちは仕事を全うするまで常在戦場だ。」
オードリーは謙虚ながらも闘志の衰えぬ瞳で、
その先に広がるトメニア領を見つめていた。
彼らの快進撃は、まだ始まったばかりだ。
そしてトメニア王国首都デロリン。
王宮謁見の間に伝令が次から次へと飛び込んでくる。
「ヴァルハリア軍の猛攻により、要塞都市フランケンフルト陥落しました!」
「ケーンの防衛ラインが突破されました!ソードカテドラルの総攻撃が!」
「防衛部隊は随所で交戦の末壊滅!救援要請が各地から寄せられています!」
「ダークエルフ軍、国境を越えました!目標は第2都市ハンバルグ!」
「く…くうぅ……」
相次ぐ敗戦報告にヒンケルの顔は怒りで真っ赤になり、
ワナワナと体を震わせ、何度もこぶしを机に叩きつけた。
「余はデロリンを離れぬ!われらトメニア王国は最後の一兵まで!
いや、国民全員が一人残らず倒れるまで!戦い続けるのだ!!
余の命がある限り、トメニア千年王国は不滅である!」
と、威勢のいいセリフを吐いてみるものの、首都を守るユニットはわずかに3部隊。
対するヴァルハリア教国の侵攻軍は優に30を超えていた。
もはやどちらが勝つかは頭の悪いスライムにだってわかりそうなものだ。
「何かあるはずだ…!奇跡的な逆転手段が……!」
「閣下、それはもはや望み薄と言うものです。もはや万策尽きました。
我が国に兵はなく、士気も下がりきっています。」
「何を言うか敗北主義者!なぜそこであきらめるのだ!
勝てる勝てる!絶対勝てる!余はあきらめぬ!」
頭に血が上りっぱなしで、ちょっとした修造志向に陥っているヒンケルだったが
「あらぁ、チョビ髭さん。久しぶりね、見ないうちに赤くなったかしら?」
「きっ…貴様はダークエルフ!」
いきなり外交画面が開いたかと思うと、ルーツィエが顔をのぞかせていた。
それも、虫を見下すかのような蔑み全開の目線で。
「貴様らのせいで…貴様らのせいで…!我々の計画はめちゃくちゃだ!どうしてくれる!」
「私たちのお友達に喧嘩を売った報いよ。魔物を甘く見ないことね。
あ、そうそう。あなたたちの都市…ハンバーグだったかしら?(ハンバルグです)
全然守る気無さそうだったから攻略して、市民たちは奴隷にしちゃったわ♪
でも瓦礫はいらないから返すわね〜。」
「ぬおおおぉぉぉぉ!?よ、余の築き上げた町があぁぁっ!?」
「うふふ、いい悲鳴を上げるのね。ま、でも私たちも遊んでる暇はないの。
降伏しろとは言わないわ、講和しましょう?仲直りってことで。」
「講和…!ふん、いいだろう!余の寛大さに感謝するがいい。
二度と我が国に刃向かおうなどと思わん事だな!」
(講和って言った途端にこの態度はムカつくわね…ま、いいわ)
ルーツィエが提案したのが全面降伏ではなく講和だったので、
ヒンケルはダークエルフも何かしらの理由で継戦が難しくなったのだと
勝手に勘違いし始めたようだ。
「そのかわり、あなたの国が持ってるお金と技術、全部放出してもらうわね。
当然でしょう?おいしい獲物を手放すんだからそれくらいの対価はもらわなきゃ。」
「……………そうきたか。」
ヒンケルが抱いていた幻想はルーツィエの一言で一瞬で粉砕されてしまった。
この条件では、もはや全面降伏と大した差はなく、ほぼ負けを認めるに等しい。
ルーツィエは恐ろしいことに、取れるものすべてを毟り取る気らしい。
「さあどうなの?私たちはまだ戦争を続けてもいいのよ?」
「仕方がない!講和だ講和!これ以上は譲歩できんぞ!」
ダークエルフとトメニア王国が講和しました
「うっふふふふ、大漁大漁♪ガッツリ召し上げたわ。」
ルーツィエが外交画面を閉じると、すぐにトメニアから技術の記された本と
彼らが溜めこんでいたと思われるそこそこの資金が送られてきた。
「うん、ようやくトメニアとの戦争も終わったね。
これでようやくゆっくり……してる暇もないのがつらいなぁ。」
「エミィは戦争が嫌いです。でもみんなで平和に暮らすためにも
私たちが頑張らなきゃいけないのですね。」
「とりあえず私たちの平穏をやたら妨害してくるライオンハートを
何とかしないといけないわね。ふぅ、私は戦争は嫌いじゃないんだけど
こう毎日だとさすがにげんなり来るわね。厭戦気分の市民たちの気持ちが分かるわ。」
「あのっ、私お茶入れてきますね。」
このところ休む暇なく各地を巡っていた智鶴は、一息ついたところで
たまっていた疲れがどっと出てきた。それはルーツィエとエミリア、
そしてザリーチェも同様で、今すぐに全員で何もかも忘れて愛し合いたい気分である。
しかしながら、より強大な力を持ち始めたヴァルハリア教国への対策をうつべく
今からすぐにでも次の作戦に取り掛からなければならない。
「あら二人とも、かなりお疲れのようね。生きてるかしら?」
「ザリーチェさん〜〜、ライオンハートのせいでちーちゃんを可愛がる時間もないのよ〜…
ほんっと、あの戦争バカ何とかならないかしら〜………」
「はいはい、指導者のあなたがそんなことでどうするの。元気出す、ね。
私も頑張るあなたたちのために、智鶴君の新しい部屋作ってるんだから。」
「え!?僕初耳なんだけどそれ!?今使ってる部屋でも十分だと思うよ?」
「今使ってるのはルーツィエの部屋でしょう。それにこれから新しい家族が
増えることを見越して新しい部屋を作ることにしたの。特別製よ♪」
「新しい部屋がもらえるんですか!エミィも楽しみです♪」
「じゃあ…お言葉に甘えちゃおっかな。」
もっぱら宮殿で留守番をしているザリーチェは、一言の相談もなく
勝手に智鶴の新しい部屋を作り始めていたようだ。
どうもビートル共和国から『建設』の技術を交換で手に入れたのをきっかけに
ダークエルフ国でも高度な建築技術を習得できたおかげらしい。
「だいたいこのゲームはじっくりやるものであって、
リアルタイムでいそいそとやるものじゃないわ。それを智鶴君にも分かってほしくてね。」
「ああ…道理で忙しいと思ったよ。そうだよね……」
「え、ちょっと、私にも分かるように説明しなさいよ。」
「ルーツィエはまだ知らなくていいことよ。」
この世界はゲーム内と言えども、時間がリアルタイムで過ぎていくことが欠点であった。
これではおちおちゆっくりしている時間もないし、おそらく後半になると
命令を下し切る前にターンが経過してしまう恐れもあった。
ザリーチェは何とかそれを改善しようと考え抜いていたようである。
エミリアが全員分のカップに、菜園でとれたハーブティーを淹れる。
緊張した雰囲気を和らげるような香りが全員の体を優しく包み、
皆の顔に思わず笑みがこぼれた。
「うん、おいしいお茶ね、腕を上げたわねエミリア。」
「ありがとうございます♪」
「新しい部屋が出来たら、こうしてゆっくりできる時間を
好きなだけ作ることが出来るようになるわ。楽しみにしてなさい。」
「…!ザリーチェさん、本当にそんなことが…!」
パタパタ…
「失礼します智鶴様、族長。メロウのミュールという方が訪ねてきました。如何致しましょう?」
「メロウがこんな森の中に?リートゥスのルミナといい、人魚たちの行動力はすごいわね。」
「ちょうど落ち着いたところだし会ってみようよ。」
報告をする書記官が連れてきたのは陸上移動のための足をはやしたメロウと、
腕組みをされながらたどたどしい足取りで歩いてきた人間の少年だった。
少年は見た目智鶴と同じ歳だったので、彼はどこか親近感を覚える。
…というか、この世界に来てから同い年の指導者はいなかったので
余計そう感じるのかもしれない。
「今日は、ダークエルフのみなさん!ミュールです、よろしくねっ!」
「あ、あの…ぼくはニールセン。」
「あらあら、可愛らしい夫婦じゃない♪わざわざ森の奥まで何のご用件かしら?」
ここで久々にランダムイベント発生!
メロウのミュールはどうやらダークエルフ領の近くに新しい都市国家を作りたいようで、
そのための資金援助を願い出てきたのだ。ここで資金援助に応じれば、
即座に新しい都市国家が同盟国として加わってくれるぞ。
用地だけ提供することもできるが、その場合はちょっとした友好国程度である。
「私たち夫婦は…その、大人のおもちゃを使った遊びが大好きなの…♪
そのせいで各地にあるおもちゃを片っ端から集めていくうちに
もう収拾がつかないくらいの数になっちゃって♪」
「…世にいう人魚の血成金の典型例のようね。」
「そこで仲間と相談したところ、いっそ大展覧会場を作って
その周りに全国から大勢の大人のおもちゃ職人や同人作家を集めて
一大ピンクミュージアムを作ったらどうかってことになったの!
でもさすがに私たちにいくらお金があっても町一個丸々は難しいから、
こうしてダークエルフさんたちに掛け合いに来たというわけなのです!」
「あっはははは!それは面白そうね!」
聞いてる限りでは何ともばからしい企画だが、
内容が内容だけにルーツィエやザリーチェはものすごく乗り気のようだ。
「ねえルーお姉ちゃん…」
「大人のおもちゃ…って、なんでしょう?」
「そっか、ちーちゃんとエミィは知らないのね。」
ところが智鶴とエミリアは全く知識が無いようで、
頭上にクエスチョンマークを浮かべている。
「だったらこれをご覧じろう♪それっ!」
「わぁっ!?みゅーるうぅっ…!」
『!?』
突然、人の家の中、主人がいる前でこのメロウはこともあろうか
旦那様ニールセンのズボンを思い切り脱がせてしまう。
するとそこに見えたのは、勃起で大きくひきつらせた女の子用の縞パンに
紐の様なものであてがわれた怪しい光を発する宝石が二つ。
ウィンウィンと機械のような音を立てながら微振動しているようだ。
「な……っ!?」
「見るのは初めてかなっ?これはちょっとした魔力が込められた宝石を
振動させて、相手の敏感な部分を刺激するものなんだよ♪
今は一番弱く設定してあるけど、震える強さだって好きなように調節可能!
もちろん女性にだって使えるのよ〜。私だってほらっ♪」
「ん〜、これはまた面白そうね!ほかにもっと無いのかしら。」
実際に使用しているところを間近で見た智鶴は
嫌な予感に思わず身を引いてしまったが、一方のルーツィエと
エミリアはおもちゃに興味津々のようだ。
それにすっかり気を良くしたミュールは、売り込みのために持ってきた
道具の数々をその場に取り出し、嬉々として実演を始めた。
「は〜い、まずは先ほどの振動石を智鶴さんとエミリアさんにも体験してもらおっか♪」
「あふうぅ……、お腹が痺れてきちゃいますぅ…」
「な、何で僕まで…や、やめてよ…」
「んふふ〜ちーちゃん♪せっかくだから心行くまで遊びましょ♪」
そんなわけで、寝室のベットの上に転がる智鶴とエミリアが
実際にその効果を体験させられることとなった。
「次に、このサバト製の魔法のロープを使ってみるよ!
これを手足に巻きつけると、ロープ自身が逃がさないように
キュッと締め付けてくれるよっ♪それだけじゃなくて、
締め付けられても痛さがすぐに快感に変わって病みつき間違いなし!」
「い、痛いですぅ♪もっときつく縛って下さいぃ♪」
「は…はなしてっ!こんな格好恥ずかしいよ!」
「ああ……縛られて抵抗も出来なくて、そのうえアソコを
刺激され続けて涙目な二人を見てると……ゴクリ…」
「た〜す〜け〜て〜」
ただならぬ快感に溺れ始めた二人だったが、
その姿がルーツィエとミュールの諧謔心をそそってしまい
装備はさらにエスカレートしていくことになる。
「この太くて長いものは、男の人のを再現したものなの。
よく女の子の下のお口の拡張に使われるの♪」
「やあぁぁ♪エミィのおまんこ拡がっちゃいますぅ♪」
「一方こっちはちょっとシャープな形してるでしょ。
これはお尻専用ね。場合によっては男の人にも使えるよ♪」
「まってまって!お尻…なんか……、あううぅぅっ!?」
「この目隠しは、体の感覚をより鋭敏にする効果があって……」
「ひゅううぅぅん♪」
「このリボンでおちんちんをラッピングすれば、一度に出る量が……」
「は…あぁっ、も、もう…」
「そしてこのローションは……」
「あああぁぁぁぁぁ……♪」
―数十分後
「ひゅうっ…♪ひゅうっ…♪ま、まらいっひゃいまひたぁ……♪」
「あ……あはあぁあっ……、るー…おねぇ……ちゃ……」
こうしてエスカレートしていくおもちゃ攻めに会った二人は
緩みきった顔で何度も精液や愛液を撒き散らした末に
気力も尽き果ててぐったりしてしまったそうな。
「うふふふふふ……気に入ったわ♪あなたたちの新しい都市に
トメニアから巻き上げた賠償金で支援してあげるわ。
また新しいおもちゃがあったら貸してもらえないかしら。」
「ありがとうっ!これでメロウ一族の夢がかなうわ!」
こうして、智鶴たちが体を張って見せた実演により
ルーツィエは大いに満足し、新たな都市国家と同盟を結ぶことが出来た。
「おかげでいいこと思いついちゃったわ♪『その時』がたのしみね。
さ、それよりもちーちゃんとエミィを見てて発情してきちゃった♪
おもちゃで無駄打ちした分も含めて私の中に出してもらうわよ♪」
「だ……だめ、もう…許してぇ…」
智鶴の受難はまだまだこれからだ!
そんなこんなで数ターンが経過した。
戦争を終了し次なる作戦に向けて準備を重ねている間、
ヴァルハリアから全面にわたって攻勢を仕掛けられたトメニアは
あっという間に滅亡の淵に立たされてしまっていた。
首都は陥落し、残っているのは南部の3都市だけ。
独裁者ヒンケルは最南端の都市に臨時の指令本部を作り、
そこで最後の反抗作戦の計画を立てていた。
そして……
「敵は広く陣を突破し前線を進みつつあります。
第4都市が奪取され、本体は北の沼沢地の前面に進撃中。
別同部隊は第6都市に向けて攻撃準備を進めており、
いずれは本体と合流する見込みです。」
臨時指令本部に、ボロボロになった斥候が報告を持ってきた。
どうやらヴァルハリア軍はもうすぐそこまで来ているらしい。
「……この都市で生産したユニットがいるだろう。
残存兵とあわせて反撃に転じるのだ。それでぜんぶ片付くはずだ。」
ヒンケルはまだ諦めていない。この男のプライドが、
最後の最後まで負けを認めたがらないのだ。
しかしながら、戦況はほぼ絶望的だった。
「…………閣下、遺憾ながら…」
「わが軍の残存兵力は4000人にも満ちません。対する敵は5万人…
これでは戦う前から勝敗は見えています。攻撃は中止します。」
「いまさら何が出来るとも思いません…」
トメニア四天王をはじめとする指揮官たちが告げた言葉は、
ヒンケルを落胆させるのに十分な威力だった。
そしてその落胆が怒りに変わるのも時間の問題であった。
「命 令 だったろうが!余はお前たちに命令したはずだ!
全権宰相たる余の命令に背くとはどういうつもりだ!」
怒りに身を任せて周囲に怒鳴り散らすヒンケル。
独裁者の末期症状といえる。
「…その結果がこれだ!わが軍は壊滅し、多くの地が失われてしまった!
能無しどもめ!余の指示通りになぜ動けんのだ!」
指示通りに動いた結果がこれであって…
「四天王どもは余に嘘をついた!簡単だといいながらまったく何も出来なかった!
将軍どもは、くそったれ以下で不届きな臆病者ばかりだ!」
「閣下!我々は命をとして掛かりました!それを臆病者などと……」
「うるさい!大っ嫌いだ!四天王とは名ばかりの馬鹿どもが!」
「い、いくら閣下でも言いすぎです!」
あんまりな物言いに部下たちも思わずヒンケルに反論する。
だがそれも火に油を注ぐものでしかない。
「将軍どもはトメニア王国のクズだ!」
怒りが頂点に達し、手に持っていたワイングラスを机にたたきつけ…
「ちくしょうめーーーーーーっ!!」
絶叫する。その声は市街地にまで響いたとか。
「きさまら将軍なんぞと呼ばれてるが、軍事知識がまったく身についていない!
どうやら士官学校で教わったのはフォークとナイフの持ち方だけのようだな!
いつもいつも、軍は余のやることをジャマばかり考えつくかぎりの手段で
逆らいやがって!わが国もやるべきだったんだ……無能な高級官僚の大粛清を!
そう、ライオンハートのようにな!!」
ちなみにライオンハートは国王に就任したさいに、
考えが古く既得権益にすがりつく貴族や聖職者たちを徹底的に処断し、
それらの財産を軍費に当てたという逸話がある。
その代わり新進気鋭の若手の有能なものたちを優遇したとも。
「余はもともと平民だったが、自分の才能でここまでのしあがり
トメニア王国をより強大な国家にしたのだ。そしてだ……
私の手で魔物たちを力でねじ伏せてやるつもりだった!
あのおっぱいぷる〜んぷるんな魔物たちをだ!
だが貴様らの裏切りによってその夢は完全に潰えた……
この責任をどう取るつもりだ!」
完全に錯乱し、意味不明なことをわめき散らすヒンケル。
それを黙ってみているしかない将軍たちはやりきれない気持ちでいっぱいだろう。
数分間散々わめき散らし、ようやくおちついたヒンケルは、
ようやく落ち着きを取り戻す。
「こんな状況では、指揮することなど不可能だ。
戦争は……負けだ……。トメニア千年王国は終わりだ…。
きさまらに最後の命令を下す。最後の一兵まで戦って死んで来い。
そのあとトメニア王国はヴァルハリアに降伏する。」
トメニア王国は抵抗を諦め、ヴァルハリア教国の属国となりました
■作者メッセージ
文明紹介その2……トメニア王国
国家属性:中立 好む社会体制:大量消費
世界魔法:トメニアの技術は世界一ィィ…無償の技術を二つ獲得する
固有英雄:ジークフリート…安定した強さを誇り、対竜戦に大きな優位を持つ。イケメン。
ディートリヒ…こちらも対竜戦に強く、特殊攻撃で攻撃力40%の炎攻撃を持つ。
固有ユニット:パンツァー…戦車兵の代替。敵騎兵ユニットに対して戦闘力 50%
武装親衛隊…騎士の代替。防御ボーナス保有。
宮殿保有マナ:精神・法・大気
初期テクノロジー:細工・探検
トメニア王国の源流は意外と古く、はるか竜族の時代にまで遡る。
太古の竜殺しの英雄ジークフリートとその仲間たちが、竜族との戦いの中で
次第に集団を形成し、その後彼らの子孫がいくつかに分かれて国を作った。
その後、トメニア人たちは長年の群雄割拠と外敵の度重なる侵攻が続き、
特に騎馬民族ヒルパス族の大侵攻は彼らの生態に大きな影響を与え、
一時代は収拾がつかなくなるほどまでバラバラに移住生活を余儀なくされた。
長年中央の神聖国家群からは蛮族扱いされてきたトメニア民族だったが、
彼らは驚くほど文化や技術の吸収に積極的であり、また独自性も強かった。
現魔王交代の数年後にはジークフリートの再来と呼ばれた英雄
ディートリヒ・フォン・ベルンが民族の大半を纏め上げ、トメニア王国を建国、
ディートリヒ自身は黒竜イドゥンとの戦いで相打ちになり消息不明となったが
その子孫たちは結束力を高め、豊かな国を形成したのだった。
しかし、それから百数十年が経過すると、トメニア王国の政治は腐敗を極め、
平民たちの疲労と不満は極度に達した。そんな中現れたのがアデノイド・ヒンケル……
平民出身の普通の青年だった彼は、偶然にかつてジークフリートが使っていた聖剣を入手、
その威光をもって国民を巧みに煽動、クーデターを成し遂げた。
宰相となり、国王一族の権力をすべて剥奪すると、独裁者としての腕を振るい
強引強国策を推し進めた。こうしてトメニア王国は、ヒンケルの元で最盛期を迎え、
第二次ヒルパス・トメニア戦争に敗北するまでその地位を保ち続けたのだった。