エロ魔物娘図鑑・SS投稿所>バーソロミュ>まもむすゼーション!!

まもむすゼーション!!

バーソロミュ

INDEX

  • あらすじ
  • %02 c=15d 第0期:ようこそ、図鑑世界(ゲーム)へ!
  • %02 c=15d 第1期:お姉ちゃんが出来ました
  • %02 c=15d 第2期:偵察!探検!調教!
  • %02 c=15d 第3期:現人神の決断
  • %02 c=15d 第4期:貴公の首は柱に吊るされるのがお似合いだ!
  • %02 c=15d 第5期:筆記は剣より強し
  • %02 c=15d 第6期:反撃は三倍返しで
  • %02 c=15d 第6期外伝:白きエミリア 黒きエミィ
  • %02 c=15d 第7期:井の中の蛙、海の広さを知る
  • %02 c=15d 幕間:眠り姫オーヴァードライブ 壱
  • %02 c=15d 第8期:興奮と驚愕と共に歩む日常
  • %02 c=15d 第9期:援軍
  • %02 c=15d 第10期:妹の心姉知らず
  • %02 c=15d 第11期:閣下は相当カッカしているようです
  • %02 c=15d 幕間:眠り姫オーヴァードライブ 弐
  • %02 c=15d 番外:まだ見ぬ指導者たちの肖像…(1)
  • %02 c=15d 番外:まだ見ぬ指導者たちの肖像…(2)
  • %02 c=15d 第12期:ハーピーたちの歌声が告げる
  • %02 c=15d 第13期:仁義なき姉妹喧嘩
  • %02 c=15d 13期外伝:みんな我慢してたんです
  • 第13期:仁義なき姉妹喧嘩


    今期の格言

    味方からでなく、敵から学んだのだ。街の周りに高い壁をめぐらせる事を。

    ―アリストファネス

    (注:今回の格言は本家ゲームより抜粋)




    フォクシミアン共和国首都…待宵郷(テンシャンクー)にて。

    「どうやらあの子は無事にあの国にたどり着けたみたい。上手くいってよかった。
    でもこれはまだ始まりに過ぎない。蜘蛛の糸はつながった……
    切れないように慎重に手繰り寄せて…私の希望はそこにある。」

    フォクシミアン共和国首長アイ=サン、
    彼女は銀色の体毛を持つ九尾の妖弧であり、その体内に秘める魔力は
    非常に膨大である。お淑やかな性格の中にも凛とした様子を見せる彼女は、
    一癖も二癖もあるこの国の住人のリーダーとしてふさわしいだろう。

    そんな彼女が率いるフォクシミアン共和国は、中央大陸のほぼ真ん中…
    険しい地形の中に若干開かれた丘陵地帯にたった一都市ぽつんと存在する。
    他の国と違い首都しか持たないこの国は、中央大陸の激戦区の中
    何度も何度も隣国からの侵攻を受けてきていたのだが、
    アイ=サンの指導の下、そのすべてを難なく撃退するという
    まるで上級プレイヤーが中に入っているのではと思われるような
    凄まじい生きざまを見せてくれている。


    と、そこに……

    「た、たいへんです里長様ー!たいへんたいへんたいへんたいへんたい!!」
    「…落ち着きなさいキーニ。大変なのか変態なのかわかりませんよ。
    大方、またどこかの国が攻めてきたのでしょうか。」

    まるで必殺シュートの勢いで蹴られたサッカーボールの如く
    部屋に駆け込んできたのは、ワーラビットのキーニ。役職は伝令。

    「そ、そそそそれが!攻めてきたのはフリーダムトーチの軍みたいですーーーっ!」
    「…………おかしいですね。宣戦布告は受けていないはずですが。」


    これが、後々まで続く中央大陸大乱戦のきっかけになると、誰一人思っていなかっただろう。
     
     
     
     
     
     

     
     
     
     
     
    視点は戻って智鶴率いるダークエルフ国。

    「エルフを攻めるわよーっ!」
    『おーっ!!』
    「愛用鞭の手入れはオッケー?」
    『おーっ!!』
    「一人残らず調教するのよっ!」
    『おーっ!!』


    「あはは…ほんっと、元同族を攻めるとは思えないテンションの高さだね(汗」
    「別に殺しに行くわけじゃないんだから問題ないんじゃないかしら。」

    兵士たちを鼓舞するルーツィエを近くで眺める智鶴とザリーチェ。
    まるで他人事のようであるが、今回予定される戦いが今後を左右する
    ことはちゃんと理解している。

    ダークエルフ首都クロケア・モルスと翠緑の護り手首都エヴァーモアは
    お互いスタート地点が非常に近かったため、今では文化圏が隣接、
    さらにルーツィエもイクシーも創造志向持ちなので、
    国境線が激しくせめぎ合い領土問題が深刻化している。
    その上翠緑の護り手の領土は、ダークエルフ国と
    現在の仮想敵国であるヴァルハリア教国に食い込む形をしているので
    ヴァルハリアに対する備えとしても早めに攻略したいところだ。

    「じゃあ智鶴君、私はちょっと用事を済ませてくるからルーツィエをお願いね。」
    「え、いいけど…どこか行くの?」
    「ちょっと南の大陸までね……。心配しなくてもいいわ、
    戦勝パーティーまでには戻ってくるから。」

    一方のザリーチェは、前回の最後に出会った文明…フォクシミリアン共和国のことが
    非常に気になるらしく、自分で様子を見に行くことにしたらしい。
    それと同時に、スコアが非常に高く動きが活発なヒルパス連合についても
    いろいろと知っておかなければならない。


    「ちーちゃーん、準備できたー?」
    ルーツィエが智鶴を呼ぶ声が聞こえる。
    「あ、うん。僕はもう準備万端だよ!今行くね!」
    「ふふふ、いってらっしゃい智鶴君。相手は主力が長弓兵だから、
    くれぐれも正面からの殴り合いはさけるのよ。」
    「お留守番はエミィにお任せなのですよー。
    ですけど、なるべく早く戻ってきてくださいね、智鶴様♪」
    「うん!いってくる!」

    こうして、首都に集結したダークエルフ軍は、翠緑の護り手に向けて矛先を向ける。

    と、その前に…



    「外交画面開いてっと。」

    どこからともなく翠緑の護り手の外交画面を呼び出す。

    「む、なんだ…ルーツィエか。」
    「ふっふふふ〜お久しぶりね姉さん。相変わらず不景気そうな顔してるわね。」
    「余計なお世話よ。」

    外交画面を開くなりあからさまに不機嫌な態度を示してくるイクシー。
    現在の態度は「いらだっている」なので当然の反応か。

    「あなたの顔は当分見たくない、要件は簡単に済ませなさい。」
    「そう、じゃあそんなわがままな姉さんのために手短に一行に要約するわね。」

    では皆様お待ちかね。ルーツィエと一緒に叫びましょう。せーのっ


    「貴公の首は柱に吊るされるのがお似合いだ!」
    「よかろう、かかってこいっ!!」

    パパパパパウワードドン!!


    ダークエルフと翠緑の護り手が戦争に突入!!



    「ふふふ、やっぱり指導者たるものこの台詞は一度は言ってみたいものよね♪」
    「うーん…でもやっぱり表現が過酷過ぎないかな…柱に首をつるすって(汗」
    「気にしたら負けよちーちゃん。これはいわばお約束みたいなものだから。
    欲を言えばもう少し凝った表現がいいとは思うけどね。」

    文句はシド・○イヤー氏に言ってください







    一方、水力の護り手首都エヴァーモアでは、
    イクシーの指導によってすでに完全な迎撃体制が取られている。
    英雄ギルデン・シルヴェリックをはじめとするエルフの長弓兵に、
    複雑に入り組んだ樹海をさらに天然の要塞に仕上げることで、
    完璧な防御を築いていた。あのライオンハートも、
    エルフたちがこもる天然の要塞はさすがに攻めあぐねたほどだ。

    「ルーツィエ、ついにきたか…。
    いつきてもおかしくなかったし、いまさら驚きもしないわ。
    この際だから、決着をつけさせてもらおうかしら。」
    「イクシー、長弓兵たちの配備が終わったぞ。」
    「ご苦労様、ギルデン。あとは敵がノコノコと姿を現すまで待つだけ。」
    「こっちからは攻めないのか?せっかく奴らより強いユニットを持っているのに。」
    「今私たちはそれほど戦力が多いわけじゃない。それに
    あの卑劣なダークエルフは何をたくらんでいるかわからない。
    今は私たちの有利な土地で迎え撃つのが最上よ。」

    確かにイクシーの言っていることは正しい。
    弓兵の上位ユニットの長弓兵は、都市にこもると絶大な強さを発揮するため、
    仮にもう一世代先のユニットが攻めてきても撃退できる力がある。
    ましてやダークエルフ軍の物理攻撃の主力は剣士…戦闘力は長弓兵よりも弱い。
    それに加えて要塞化された都市に篭れば、たとえダークエルフ軍が
    100ユニット攻撃してきたとしても10ユニットほどいれば難なく撃退できるのだ。

    「遠慮はいらないわギルデン。ルーツィエと例の男児の
    眉間を弓矢で貫いてあげなさい。」
    「まあまあ、さすがに眉間を貫くのはやりすぎだろう。
    だが今のところ負ける要素はまったくない。パパっと終わらせるさ。」

    ギルデンはショートボブの髪の毛を右手でふさっと掻き揚げ、
    余裕の表情で宮殿を後にした。

    ダークエルフがエヴァーモアに接近したのはそれから3ターン後のことだった 
    ルーツィエ率いるダークエルフ軍は、
    宣戦布告直後に国境を越え、翠緑の護り手領内に進軍を開始した。
    深い森が鬱蒼と生い茂り、人間は行軍に特に支障をきたしそうな
    厳しい地形…だがダークエルフたちにとっては関係ない。
    あっという間に深い森の中を抜け、エヴァーモア目前に迫る。


    「あれが…翠緑の護り手の首都エヴァーモアか。
    うちの首都とはまた違った雰囲気があるなぁ。」
    「私も元々あそこに住んでたけど、ずいぶん見ないうちに立派になったわねぇ。
    もともと閉鎖的でつまらない村だったけど、ずいぶん磨きがかかったじゃない。」

    エルフの一大要塞を目の前にしてもルーツィエには余裕があった。

    「残念だけど、私たちダークエルフにはどんな城壁も無意味…
    姉さんには身をもって味わってもらうわよ。攻撃開始〜♪」

    ワーワー


    さて、シヴィライゼーションというゲームは攻城戦が難しいゲームである。
    まず都市を攻略するのが簡単な時期と難しい時期があり、
    ここでは大きく分けて「序盤」「前半」「中間」「後半」とあると仮定、
    現在は前半のうちに含まれる。このうち最も簡単なのは中間の時期で、
    それはなぜかというと、ユニットの攻撃力が防御側を上回るからだ。
    逆に最も難しいのが前半で、この間はある程度の国であれば
    しっかりと防御を固められるため、敵の都市は非常に固い。
    こう着状態になるのも大体この時期である。ちなみに、軍備が整わない
    序盤に攻撃する…いわゆる「ラッシュ」と呼ばれる戦法は、
    成功すれば大きなアドバンテージ、失敗すればすべてを失う賭けとなる。

    まだ前半の現在、それも防衛志向を持つイクシーに対して攻撃を仕掛けるには、
    カタパルトなどの攻城兵器と白兵戦専門の歩兵を少なくとも5倍は用意して
    損害覚悟で力攻めするのが普通である。しかしながら、
    ダークエルフ軍はそれに頼らない方法で攻撃をすることができる。

    それすなわち…魔法!!


    「うっふふふふふ、とっておきをお見舞いするわね♪
    炎の精霊よ、我が手に炎よ、集い来たれ、紅蓮の球となれ

    前回登場したクラスチェンジ第一号の幻術士が呪文を唱えると、
    彼女の頭上に大きな大きな火の玉が出現する。

    「届けっ!私の思いっ!あの城壁の向こうまでっ!
    うりゃあああああぁぁぁぁぁ!」

    彼女が召喚した火の玉は、一直線にエヴァーモアへと飛んでゆく。


    「ぎ、ギルデン様!あ…あぁ、あれは!?」
    「ちょっとまて!あれは火球だ!みんなふせろーっ!」
    「うわっ…こ、こっちにくる!いやあぁぁっ!?」

    ドッカーン!!


    火球は都市を直撃!要塞に篭るユニットにダメージを与えた!

    「ギルデン!今の攻撃はなに!?」
    「イクシー!うかつに顔を出しちゃだめだ!あいつら炎魔法を使うよ!
    幸い損害は軽いけど、そう何回も耐えられない!」
    「くっ…なんてこと!」

    ダークエルフのおもいにもよらぬ攻撃に狼狽するイクシー。
    だが、彼女はもうすでに対抗手段を失っている。

    火球の魔法はランク2の炎系統の呪文で、
    火の玉を召喚して離れた敵にぶつけるという単純なものだが、
    全魔法の中でも非常に強力かつ使い勝手がよい。
    まず、都市砲撃能力があり、火球の攻撃で都市防御を削ることができる。
    これによってどんなに固い都市でも何度も攻撃すればぼろぼろになるのだ。
    さらに、ユニットに攻撃目標を設定すれば、その場にいるユニットに
    巻き添えのダメージを与えることができるのだ!
    巻き添えのダメージで敵を倒すことはできないが、同じマスにユニットが
    たくさんいればいるほどそれだけの数のユニットにダメージを与えられる。
    まさに反則級の威力!これぞ魔法の花形といっていいだろう。

    「うっひゃー!間近で見るとすごい威力だね!」
    「気に入ってもらえたようで何よりだわちーちゃん♪
    でもまだまだ続くわよ!続けて砲撃を開始しなさい!」
    『あいさーっ!』

    ダークエルフの攻撃は続く。後続の幻術士たちが次々と呪文を唱えると、
    二つ、三つと先ほどと同じ大きさの火球が宙に浮かぶ。

    「放てーっ!」

    ばこーん!!ちゅどーん!!

    火球が次々と派手な音を立ててエヴァーモアを襲う!
    その威力はまるで爆撃機のようだった。
    大自然の木々の力でできた要塞はところどころで煙を上げて燃え始めている。
    こうして無敵を誇った天然の防壁はあっという間に無力化されてしまったのだった。
    しか〜し、これはまだ始まりに過ぎない。

    「お次はエルフの方を削るわよ!全員、このマスに集まってるわね!
    あぶれてる人がいたら早めに合流するのよ!」
    「族長!自軍は全員この場に集まりました!」
    「なら問題ナシ!第二魔術部隊、ゴー!」
    『あいさー!』

    6体いる幻術士のうち、残っていた2ユニットが魔法を唱える。

    風よ、荒れ狂え、全てを薙ぎ倒せ
    独楽の様にキリキリ舞になるがいいわ!」

    ビョオオオォォォォッ!!

    幻術士が呪文を唱えると、術者のいるマスを中心に巨大な竜巻が発生した。
    強烈な風は周囲の物に容赦ない被害を与える!

    「うひゃああぁぁぁっ!?と、とばされるぅ〜〜!?」
    「た、立てない…何も見えない〜!」

    大気の魔法ランク2、竜巻。この魔法は術者の周囲2マスにるユニット全て
    雷属性ダメージ(ちなみに風属性攻撃はない)を与えるこれまた強力な呪文である。
    こちらは純粋に敵の戦闘力を削ることが出来るもので、連発すれば
    相手の戦闘力を最大三分の二まで削ることが出来るのだ!
    範囲が広いのもいいことだが、敵味方関係なく巻き込む点は注意。
    当然自軍ユニットにもダメージが入り、場合によっては同盟軍を巻き込んでしまい、
    その場で同盟国から裏切ったとみなされる。周囲をよく確認して使おう。

    いかに堅固な防御力に、強力な守備隊を要する翠緑の護り手と言えども
    反則的な魔法攻撃を連発されればたまったものではない。

    「あ、あちちち…こ、これじゃやられ放題だ…」
    「ええいもう!反撃よ!こっちも長弓で反撃するのよ!」
    「無理だってのイクシー!さすがの長弓でもニマス先には届かないよ!
    それとも何?打って出ろとでも言うの!?軍はぼろぼろなんだよ!?」
    「…くっ、司祭たちに早く兵士を治療するように言いなさい!」


    「ふふふ、どうかしらちーちゃん?私たちの魔法の威力は。」
    「す、すごい!たった1ターンで敵の首都がボロボロだ!
    よーし、みんないくよ!乗り込めー!」

    ワーワー

    魔法攻撃で敵が弱ったところで、今まで数々の戦いを潜り抜けてきた
    フレイヤ率いるダークエルフ白兵戦部隊がエヴァーモアに突撃を開始する。
    ダークエルフ軍の主力はいまだに剣士や狩人が中心だが、
    エロニア戦、トメニア戦を経て経験を積んだ精鋭なのに対して、
    エルフの長弓部隊はライオンハートとの戦以降に召集された
    戦闘経験のない者ばかり…その上手負いとあればどちらが有利かは明白だ。

    ダークエルフ軍は煙がくすぶる破壊された自然の要塞を軽々と越え、
    ダメージを受けてふらふらしているエルフの長弓兵たちに切り込む。
    長弓兵たちは「先制攻撃」というスキルを持っているため、
    ダークエルフたちも無傷では済まなかったが、その威力は低下している。

    「くっ…みんな頑張れ!ここが踏ん張りどころだ!」

    ギルデンも満身創痍の身体で弓を構え、エルフ兵たちを指揮する。
    が、そんな彼女の前に……

    「あ〜ら、ギルデンちゃん、また会ったわね♪」
    「ルーツィエ…まさか指導者直々に来るとは!」

    実際のゲームでこのようなことは起こりえないが、ギルデンの前に
    愛用の鞭で手薬煉を引きながらルーツィエが姿を現した。

    「ふふふ、久しぶりに一勝負どうかしらと思ってね。」
    「忘れたのか?私は百発百中の弓の名手、この距離なら目玉だって簡単に射抜けるんだ。」
    「相変わらずの自信じゃない、試してみてもいいのよ。」
    「なんだと…あたしをバカにするなよ!」

    ルーツィエに挑発されたギルデンは鏃をルーツィエに向け、喉元を狙って放つ。
    その狙いは確かに正確無比、矢は一寸の狂いもなくねらった場所へと飛ぶ、
    だが彼女の放った矢はルーツィエが振るった鞭によって叩き落とされてしまった。

    「ざ〜んね〜ん、あなたの矢は直球過ぎるから防ぐのが楽でいいわ。」
    「なっ…あたしの矢が!?」
    「そ〜れ、今度は私の間合いよ!防げるかしら!」

    ルーツィエの鞭はヒュンヒュンと風切音を鳴らしギルデンを襲う。

    ビシビシビシィッ!!

    「あああぁぁぁっ!!」
    「これだけじゃもちろん足りないわよね!おかわりよ!」

    ピシィンバシッスパーンッ!!

    「くっ……かはぁっ!?」
    「ほぉら、さっきまでの威勢はどうしたのよ?ふふふふふ…♪」

    鞭の扱いに長けたダークエルフの中でも、ルーツィエの鞭の腕前はとびきりだ。
    高速で振るわれる無知は、まるで複数の腕があるかのように一度に十数回も
    相手の体を打ち付ける。その威力は鎧を砕き、服を切り裂く。
    元々竜巻によるダメージを受けていたギルデンの傷をさらにえぐるように
    振るわれる鞭は、彼女の精神をも砕き始めた。

    「あーっ!見て、久々に族長が鞭ふるってるわ!」
    「しかも相手はあの男女のギルデンじゃない?族長〜そのままやっちゃっえ〜!」
    「よければ私たちもお手伝いしますよ!」
    「手伝いはいらないわ、これは私の獲物なんだから。それよりもあなたたちは
    一秒でも早くここを制圧しちゃいなさい。旦那さんとのエッチの時間が減るわよ。」

    と、若干よそ見しながらも正確に振り下ろされる鞭。

    「あっ…うぉっ!?うあぁっ!?あっ……あぁっ!!」

    弓を構えることもできずのた打ち回るギルデンだったが、
    いつしか鋭い痛みが何とも言えぬ快感に変わっていき、本人が意識しないうちに
    口から出る痛みからの抗議が徐々に甘い吐息に変わってきていた。

    「あらあら、ずいぶんと感じてくれたようね。お姉さん嬉しいわ♪」
    「く……こ、この…」
    「まだ減らず口が叩けるみたいね。これでどうかしら?」

    ピシィン!!

    「ひぃぅっ…!?」

    ギルデンはとうとう鞭で打たれるたびに感じてしまうようになってしまったようだ。
    恐るべし、ルーツィエ!

    「まあいいわ、エヴァーモアはもう私たちの物…緑葉の同胞の聖都ともども
    ありがたくもらっておくわね。あ、心配しなくてもいいわ。
    姉さんはすぐに私たちが調教して大切に飼ってあげるから♪」


    翠緑の護り手の英雄、ギルデン・シルヴェリックがやられ、
    頼みの長弓兵たちも一人残らず粉砕された。
    (そのうち長弓兵1ユニットは例の如く調教されダークエルフに寝返ったようで…)
    首都エヴァーモアは開戦からわずか5ターンで陥落したのだった。

    ちなみに、文明各国は『世界呪文』と呼ばれる切り札をひとつづつ持っていて、
    好きな時に使うことが出来る。そのうちイクシーの翠緑の護り手は
    『大樹の行進』という呪文を使うことが出来る。使用すると、
    領内の森林および古代樹林にドリアードが出現し、5ターンの間暴れまわる。
    この時出てくるドリアードは戦闘力がずば抜け高いため、領内に攻めてきた敵を
    完膚なきまでに叩き潰すことが出来る。この世界呪文はライオンハートが
    翠緑の護り手を攻撃していた際に使用してしまい、そのおかげでヴァルハリア教国と
    講和することが出来たものの、世界呪文は二度と使えなくなってしまった。
    こうしてダークエルフたちはドリアードたちの攻撃を恐れることなく、
    安心して攻撃に専念することが出来るのだ。

    「おめでとうルーお姉ちゃん!エルフの首都を占領したよ!」
    「ありがと、ちーちゃん。」
    「それにしても魔法って本当にすごいね…。あれだけ強力だった
    エルフの防衛隊を1ユニットも失わないで占領しちゃうなんて。」
    「ふふふ、これからの時代は魔法がすべてと言っても過言ではないわね♪
    さ、翠緑の護り手が持ってる都市は残り一つだけ!一気に攻略するわよ!」


    そして4ターン後には、翠緑の護り手最後の都市を攻撃して破壊。
    ダークエルフとエルフの宿命の対決は、わずか10ターン足らずで終わったのであった。

    13/03/29 19:44 バーソロミュ   

    ■作者メッセージ

    システム解説その12…呪文

    前回に引き続き、魔法について解説していくことにしよう。
    前回も説明したように魔法は全部で18もの属性があり、
    その上レベルによって3段階分かれている…つまりこのゲームには
    全部で54種類もの魔法が存在することになる。
    一人の術者が使える魔法には限りがあるため、本当に必要な魔法から
    優先的に習得していく必要があるのである。

    また、このゲームには魔法とは別にダメージを与える『属性』というものがあり、
    これによってダメージが増減することがある。すなはち…
    火炎・電撃・冷気・神聖・不浄・毒・死 の7つ。
    例えばドリアードや木のゴーレムには炎攻撃がよく効き、
    ゾンビやゴーストには死属性の攻撃は効かないといった具合である。
    大抵のユニットは属性に対して体制を持っていないので深く考える必要はないが、
    アンデッドたちを相手する際には気を付けたほうがいいかもしれない。


    ではここで、恒例の如くいくつか代表的な魔法を紹介しよう。
    ただし魔法は人によって使い勝手が大きく異なるものである。
    今回は筆者の独断で選んでいるが、興味があれば『Fall From Heaven U』の
    ページを参照してお気に入りの魔法を見つけてみるのも一考だろう。


    ランク1の呪文

    ・順風(大気) 
    効果:海軍ユニットに順風の昇進を付与
    ( 1 移動力、 25% 退却率、毎ターン5%で解除)

    船は遠くに移動するときに使うことが多いため、移動力が1でも違うと便利。
    魔法をかけた後しばらくは効果が残るのもグッド。
    リートゥス海神連合を使いたい人は積極的に利用していきたい。
    大気のマナは手に入りやすいし、上位の魔法も便利なので
    習得の機会は多いはず。

    ・剣の舞(混沌)
    効果:同タイルのユニットに剣の舞の昇進を付与
    ( 1回先制攻撃、毎ターン100%で解除)

    先制攻撃というのは、その名の通り相手より先にダメージを与えること。
    つまり先手で相手を倒してしまえばこちらが無傷で済むこともあるし、
    たとえ瀕死でも相手に最後の一撃を与えることも可能。
    ただし難点は1ターンしか持たないことと、混沌の魔法は
    上位魔法の効果が微妙なのであえてとる必要があるか…ということ。

    ・快速(肉体)
    効果:同タイルのユニットから鈍足の昇進を除去
    さらに生物ユニットなら快速の昇進を付与( 1 移動力、毎ターン100%で解除)

    順風の陸上バージョン。ただしこちらは毎ターン掛け直しが必要。
    しかしながら陸上の1歩は海上の1歩より価値が大きいので、
    出来ることなら毎ターン唱えて、軍を素早く動かせるようにしたい。
    生物にしか効果がない点には注意。カタパルトなどの兵器類や、
    アンデッド、ゴーレムは対象外である。これらを主力にする軍にとっては
    あまり使えないかもしれない。ローレアープ山脈連邦とか…

    ・武器強化(呪付) & 腐食(不可逆)
    効果:同タイルのユニットから武器の腐食の昇進を除去
    さらに白兵ユニットなら呪付の刃の昇進を付与 ( 20% 戦闘力)…武器強化
    効果:範囲内の敵ユニットから銅、鉄、ミスリルの武器を除去
    さらに白兵ユニットなら武器の腐食の昇進を付与 (-10% 戦闘力)…腐食

    これら二つは白兵戦ユニットを直接強化、または弱体化させる魔法。
    騎兵や弓兵には効果はない。歩兵中心の国で重要となる。
    戦闘力は20%や10%でも勝敗に影響を及ぼすので、
    あらかじめ使っておくと戦闘が有利になるだろう。

    ・骸骨召喚(死)
    効果:スケルトンを召喚する

    術者につき一体のスケルトンを召喚する。このスケルトンは
    他の召喚生物と違って倒されない限り消えることがない。
    つまり、戦争前に大量召喚して、戦争中は他の術を使えるのである。
    主力級ユニットが少ない序戦で戦力の頭数を揃えるのに最適で、
    数にものをいわせて押しまくれば相手も大いに手を焼くだろう。
    しかもやられてもやられてもその都度召喚できるので、実質不死身。
    親魔物国側のみが使えるチート魔法で御座います。
    欠点は死のマナを持っていると秩序側から敵視されることぐらいだろうか。

    ・湧水(水)
    効果:術者がいる砂漠を平原に変化させる。周囲1タイル以内の延焼を鎮火する。

    呪文の多くは戦争で用いるものだが、中には内政で用いる呪文もあり、
    この魔法はその代表たるものである。自分の周囲に砂漠が広がっていた場合、
    せっせと緑化にいそしめば不毛な土地が豊かな土地に早変わり!
    ほかにも、どこぞの魔法使いが炎魔法を使って森林を燃やしてしまったときにも、
    水を撒くことで森林災害を食い止めることもできる。特にエルフにとって
    森は命綱なので、燃えてしまっては困るだろう。一人くらいは水魔法が使える
    術者がいるといざというときに役に立つ。

    ・閃き(精神)
    効果:都市に閃きを与える(科学力+2、偉人誕生率 1)

    これもまた内政向けの呪文。効果はだいぶささやかではあるが、
    研究が加速するため暇な時にやっておくと後々ほかの国と研究力に
    大きな差がつくこともある。


    ランク2の呪文

    ・竜巻(大気)
    効果:範囲内の全てのユニットに約15%の電撃ダメージ (上限30%)

    本編でも猛威を振るったトルネード攻撃。これは使い勝手がいい。
    範囲内のユニットにほぼ防ぎようがない遠隔攻撃が出来るので、
    敵と戦うときにユニットが倒されてしまう確率がぐっと減るだろう。
    守りを固めている敵の体力を削るのはもちろん、こちらが防衛側でも
    攻めてくる相手に対して竜巻をくらわせてやれば戦う前から相手はボロボロ。
    あとは弓で射抜くなり出撃して蹴散らすなりご自由に。
    ただ、敵味方おかまいなしにダメージを与えるので、
    中立状態の他国のユニットを巻きこむと、自動的に宣戦布告してしまう。
    使うときは周りをよく見て使おう。

    ・影歩き(影)
    効果:同タイルのユニットに影歩きの昇進を付与
    (応射無効、攻撃の際に建造物による都市防御を無視、毎ターン25%で解除)

    都市を攻撃する際に必須の攻城兵器。しかしこれがまた遅いのだ。
    普通は1ターンに1マスしか進めないし、先ほど紹介した「快速」も付かない。
    かといってもカタパルトを持ってこないと城壁が邪魔で都市を攻略できない。
    そんなせっかちな人にはこれ。影歩きは都市の防御を無視するので、
    攻城兵器なしでも相手となぐり合うことが可能になる。
    あらかじめ竜巻などで相手を削ってから高レベルのユニットを突撃させれば
    城壁などただの石ころに過ぎない。地味に便利な魔法である。

    ・火球(火)
    効果:火球を召喚する (巻き添えダメージおよび都市砲撃)

    みんな大好き、私も大好き、ファイアーボール。魔法を使う人は、ほぼ全員が
    この魔法を愛用しているといっても過言ではないくらい使い勝手の良い魔法である。
    都市に砲撃を加えて防御度を下げたり、そのまま突っ込ませて副次的損害を与える
    こともできる。一回使うと消えるが、次のターンにまた火球を呼び出すことができる。
    連発すれば落ちない都市はなく、倒せない敵もいなくなる。まさに反則級!
    ダークエルフは文明の仕様上カタパルトを作成できないため、
    都市の攻撃はもっぱら火球に頼ることになりそうだ。

    ・解呪(超魔術)
    効果:敵ユニットの呪文による恩恵および味方ユニットの呪文による不利益を除去
    術者がいるタイルのマナノードを無色のマナに戻す

    火球と並んでもう一つ重要度が高いのがこの魔法。
    一つのマナノードを繰り返しリサイクルできるので、マナの数が少なくても
    さまざまな種類の術を覚えさせることが出来るようになる。
    そしてこの呪文が真価を発揮するのは…勝利条件「支配の塔」を目指す場合。
    ほぼ全種類のマナが必要になるが、前段階の「劣位の塔」は
    マナ4つがあれば十分なので、適度にマナを切り替えていけば達成できる。
    そうでなくても保険として一つくらいは習得しておきたい魔法である。

    ・目眩ましの光
    効果:敵のユニットを2ターン移動不能にする

    敵が来た!大勢来た!そんな時はこの魔法で敵の足止めを狙おう。
    この魔法は確実に効くわけではない(確率で抵抗されることがある)が、
    複数体で何度もやれば敵は「目が!目があぁぁ!」と言いながら
    その場に立ち尽くすしかなくなるだろう。そんなわけで、
    その隙に魔法などでダメージを与えてしまおう。
    ただし反撃はしっかりされる点には注意したい。


    ランク3の呪文

    ランク3まで来るとどれもこれも非常に強力です。
    詳しくはまた話が進んだ時にでも。



    結論…魔法って素敵!