スーパー クレールヘン シスターズ!! %02 c=15d %02 c=15d %02 c=15d %02 c=15d %02 c=15d %02 c=15d %02 c=15d %02 c=15d %02 c=15d %02 c=15d %02 c=15d %02 c=15d %02 c=15d %02 c=15d %02 c=15d %02 c=15d %02 c=15d %02 c=15d

第2回 後編

十五分の休憩を終え、
『チーム・ポニテ』と『チーム・シスターズ』は
全員が段ボールの中に代用ストーンを入れて待機していた。
両陣営とも自信に満ちた顔をしている。


ファーリル「じゃあ全員そろったところでルール説明をするよ。
      今回は独自ルールとして4エンド(区切り)まで。
      さらに1エンド中に投げられる回数は4回までとするよ。
      フリーガードは最初の1投のみだ。」

リサ「フリーガード?」

フレイヤ「要するに、最初に投げるものだけは、
     邪魔されずに置くことが出来るんだ。」

リサ「うーん、わかったようなわかんないような。」

フレイヤ「やってみればわかるさ。」

エル「公式のカーリングルールを全部半分にしたのね。
   ま、時間がないからしょうがないけど。」

ファーリル「じゃあまずは先攻と後攻を決めるよ。
      エルとフレイヤさんはじゃんけんしてね。」

二人『ジャン!ケン!ポン!」

エル:パー
フレイヤ:パー

二人『あいこでショ!』

エル:パー
フレイヤ:チョキ


フレイヤ「よし!かった!」

エル「どうやら私たちが先攻みたいね。これはちょっと不利よ。」

サン「どうしてですか?」

エル「カーリングはその性質上、後から投げる方が大抵は有利なの。
   先にいい位置にストーンをおいても、後から弾かれればどうしようもないわ。」

フィーネ「なるほどね。」

リサ「じゃ、あたいらは遠慮なく相手のストーンを弾き飛ばせるな!」

フレイヤ「いや、さっきも言った通り1投目はフリーガードだ。
     そういうことが出来るのはその次からだ。」

ファーリル「分からない人は自分で調べてね。
      それじゃ早速試合開始だ。」


カーター「なお、審判はこのカーター・フォン・シーツリヒターが務める。
     不正行為をした奴は容赦しないからそのつもりで。」

フレイヤ「いやいや、カーリングの審判に鞭は必要ないだろ。」



〜〜第1エンド〜〜



エル「フィーネ。とりあえず最初は適当に投げてみなさい。」

フィーネ「わかった!」


フィーネは管理室から持ってきたガムテープを思いっきり滑らせる。


エル「二人とも、とりあえずストップって言うまで擦りなさい!」

レミ&サン『はい!』


二人はエルの指示に従って、停止命令が出るまで擦り続けた。
その結果、ガムテープは円の前ギリギリのところで止まった。


エル「やっぱりゴムだと思ったより滑らないわね。」

フィーネ「だ、だめだった?」

エル「ううん、大丈夫!そこでいいのよ。」



フレイヤ「とりあえずあのガムテープが邪魔になることはないな。
     リサ!こっちもどれくらい滑るか確認するため思いっきり投げろ。」

リサ「よっしゃー!いっけー!」


リサもまた、食堂から調達した醤油さしを滑らせる。


フレイヤ「アリアさん、ユニースさん!擦って!」

アリア「よし!」

ユニース「了解!」



リサの投げた醤油さしは、少しカーブしながら
円の左後ろあたりで止まった。


フレイヤ「ナイスだ!リサ!」

リサ「どんなもんよ!」

ファーリル「あ、一つ言い忘れてたことがあった。」

エル「何よ今更。言うことはあらかじめ整えておきなさいっ!」

ファーリル「円筒形の物は、倒れたらストーンから除外されるからヨロシク。」

フレイヤ「なんだと!?」

カーター「そういうものは倒れたら転がるから採点上厄介なんだよな。」

レミィ「司令官!これはチャンスです!
    私たちのストーン(ガムテープ)は安定してるから
    倒れる心配はないです!」

エル「どうやら安定性重視で選んだのは正しかったようね♪」

フレイヤ「うーむ…、扱いやすい物を選んだのだが、
     裏目に出てしまったようだな…」

アリア「大丈夫よフレイヤさん!次のストーンは安定性がありますから!」



チーム・シスターズは、サンが2投目に徳用木工ボンドを放って
見事にガムテープを巻きこんで円の中心に近づけた。
この時点で、得点権はシスターズに移った。


カーター「カーリングの得点は、円の中心に近いチームにだけに入る。
     さらに、青い円の中にあるストーンが追加得点の対象だ。
     この辺は複雑だから、各自で確認してくれ。」

次のチーム・ポニテのユニースは、なんと冷蔵庫に入っていた
2リットルのペットボトルの飲料水をストーンとしてはなった。

ペットボトルは、ガムテープと徳用木工ボンドにわざと当たって
二つを中心から引き離すとともに、自身はより中心に近付く。
得点権は再びチームポニテに移る。


エル「ふーん、ユニースもなかなかやるじゃないの。
   そうこなくっちゃ面白くないわよね。」


チーム・シスターズは次にレミィはさんまの缶詰を投げるも、
勢いをつけすぎてそのまま円を通過してしまった。

一方のチーム・ポニテは、アリアが放った缶コーヒーが
ガムテープ類よりさらに内側で止まった。


フレイア「うまいぞみんな!今のところショットが正確に決まっている!」

リサ「このままいけば2点入るかもしれないな!」


エル「ふぅ、このエンドでは得点を取れそうにないわね。
   ならば、これ以上得点が増えないようにしないとね。」

フィーネ「ねえさん、どうするの?」

エル「こうするのよ!」


エルの放った六法全書は、缶コーヒーを倒してその位置に居座った。
始めから寝かせてはなったので、倒れる心配は皆無。
そのうえガードストーンとして立ちはだかったのだ。

このせいで、最後にフレイヤが放った緑茶の入った筒は
六法全書よりも内側に行くことが出来なかった。


エル「ふっふっふ、追加点は入れさせないわよ♪」

フレイヤ「その手があったか…」



第一エンド……チーム・ポニテに1点。


カーター「チーム・ポニテが点を取ったから、順番の変更だ。
     次はチーム・ポニテの先攻になる。」


〜〜第2エンド〜〜



フレイヤ「先ほどは1点入ったが、すぐに逆転される恐れがある。
     先ほどとは違って、防御重視でいこう。」

ユニース「なら最初にこれを使ってみる?」

リサ「おお、それは!確かに、投げる場所によっては効果的だな!」



最初にユニースが放ったのは、屋上展望台にあった樽型の椅子だ。
フリーガードの段階で放たれたこの大きな障害物は、円の中前方ギリギリで停止した。
一応これでも得点にはなるが、これを利用して自分たちの弱いストーンを守るつもりだ。


フィーネ「わざわざあんなの持ってくるなんて!」

サン「あの後ろに投げ込むのはちょっと難しいね。」

エル「…、ちょっと作戦を変更するわ。レミィ、耳を貸しなさい。」

ヒソヒソ

レミィ「ひ、ひゃん!エルお姉さま!くすぐったいですぅ!」


ゴチンッ!(頭突き)


レミィ「痛いです!お姉さま!」

エル「だ、ま、り、な、さ、い!私の話をちゃんと聞きなさい!
   それとお姉さまって何よ!?」

フィーネ「今日のねえさんはいつもより攻撃的だ!?」

フレイヤ「なんだか怖いな…」


改めてエルから何か密命を受けたレミィは、講堂から出て行った。


サン「三人でやるの?」

エル「途中まではね。」


その後、エルが放ったフリーガード、六法全書は円の右前方で止まった。
これにより右からのストーンを封鎖したが、得点にはつながらない。


ユニース「ルートが左からに限定されたわね。」

リサ「難しいな。」

フレイヤ「そうだな…、だったら次はアリアさんだけ擦ってみてくれ。」

アリア「ええ、わかりました。」


リサは、浴場から持ってきた新品のシャンプーを投げた。
それに応えるかのように、アリアが懸命に擦る。
すると、シャンプーは大きく右に曲がって樽型椅子のすぐ後ろに入った。
リザードマン二人によるショットは大成功だ!


アリア「ナイスショット!」

リサ「おう!サンキュ!」

喜ぶ二人はハイタッチを交わす。

フレイヤ「よし!これでそう簡単に得点権は取られないはずだ!」



カリン「さすがは姉貴たち!」

コリン「プロも真っ青ね!」

マリン「こ、これはいけます!」

外野の応援にも熱が入る。


三人『がんばってーー!!』




フィーネ「サン!私たちだってできることを見せてあげよう!」

サン「うん!」


フィーネは徳用木工ボンドを放った。


エル「サン!そのままスイープ!」

サン「はいっ!」

エル「そこでストップ!」

サン「はいっ!」


大きく右に曲がった木工ボンドは、
シャンプーを倒してその場に居座ることに成功した。


フレイヤ「徳用木工ボンドの方が強かったか。
     仕方ない、私たちはさらにその内側に回り込むぞ。」


その後、チーム・ポニテのストーンは苦労して徳用ボンドに寄り添うように
缶コーヒーやポスト型の貯金箱などの軽量級ストーンを円の中に入れた。
ここでようやく、軽くて扱いやすいストーンを選んだ効果が出てきたようだ。



しかし…




エル「レミィ!やっておしまい!」

レミィ「それーーっ!!」



ゴオオオオォォォォォォ!!
ドカンッ!
ドカドカッ!



フレイヤ「ちょっとまて!あんなのアリか!?」

エル「あら?滑る物なら何でもいいんだったわよね?」

カーター「…うん。有効。」


エルがレミィに持ってこさせたのは、裏庭のジパング庭園にあった石灯籠だった。
この超絶重量のストーンはレミィの怪力によって勢いよく放りだされ、
瞬く間に樽型椅子とその後ろにあった有象無象を蹴散らしたのだ。
石灯籠自体を円に止める気はないので、破壊力抜群だった。


この凄まじい光景を見たチーム・ポニテは唖然としていた。
そして、審判のカーターすらも絶句していた。


第2エンド……両者得点なし。

カーター「先攻、後攻はそのままだな。」



〜〜第3エンド〜〜



フレイヤ「さて三人とも。現在の状況はかなりまずい。」

リサ「なんでよフレイヤ。1点勝ってるじゃない。」

フレイヤ「逆だ。1点しか勝っていない。この先、容易に逆転される恐れがあるんだ。」

ユニース「しかもこのエンドで私たちが点を取ったとしても、
     最終エンドで相手に後攻を渡すことになるわね。」

アリア「つまり、勝利を確実にしたい場合は2点取らなければならないということか…」

フレイヤ「理想的なのは、相手に1点だけ取らせることだろう。
     そうすれば、合計点は同点でなおかつ最終エンドの後攻を私たちがとれる。」

リサ「おっ!さすがフレイヤ!頭いいな!」

フレイヤ「だが、それ以上点を取られると非常に苦しい。
     何としてでも相手の得点を1点以内に収めさせるんだ。」

アリア「了解。」



チーム・ポニテの1投目。
アリアが放った食堂用ランタンは、円のやや後方にギリギリでとどまった。


アリア「思ったより滑りますね…」

フレイヤ「底に少し油がついていたんだろうな。」


対するチーム・シスターズの1投目は先ほど猛威をふるったレミィ石灯籠だ。

今度は石灯籠を慎重に投げ、エルが細かく指示を出す。
結果、石灯籠は円のほぼ中心に収まった。


レミィ「やりました!お姉さま!」

エル「よし!ナイスよ、レミィ!
   それにフィーネとサンもよくやったわ。」


リサ「あちゃー、あんなところにあんな物を…」

フレイヤ「いや、これは逆にチャンスでもある。
     あの石灯籠のすぐわきに、何か安定したストーンをおければ
     相手の得点を1点に抑えられるはずだ。」

ユニース「じゃあどれを使おうかしら?」

フレイヤ「審判、少しタイムだ。」

カーター「じゃあ5分以内で認める。」




カリン「タイムだってさ。姉貴もけっこう慎重だね。」

コリン「この局面は結構重要だからね。」

マリン「あ、わ、私ちょっとおしっこしてくる…」

カリン「あ!マリン、気をつけて!そこ滑るから!」

マリン「え、あ、うわぁ!あわわわわ!」

コリン「あーもー、言ったそばから…」


足を滑らせたマリンは奇跡的にこけることなく
リサに受け止められた。


リサ「おっと、大丈夫だったかい?」

マリン「え、あ、はい。ありがとうございます…!」

リサ「なーに、お礼を言うのはこっちのほうだ。」

マリン「??」

フレイヤ「審判!タイム終了!」

カーター「じゃあ再開。」

リサ「ごめんよ!ゴブリンちゃん!」


ドンッ!


マリン「わーーーーーっ」


リサはマリンの背中を思いっきり押した。
マリンは円の中に向かって滑っていく。


ユニース「マリンちゃん!その石灯籠につかまって!」

マリン「ひぃっ!」


ガシィッ!


マリン「ぁ……た、助かった…」

カーター「よーし貴様。そこを一歩も動くなよ。」

マリン「え、えぇーーっ!なんで!?おしっこいきたいのに!」

カーター「貴様は今からストーンだ。自分から動いたら失格とする。」

フレイヤ「……すまん、マリン。少しそこで辛抱しててくれ。」

マリン「うわーん。」


エル「…まいったわね。一気に不利になったわ。」

フィーネ「とにかく色々試してみようよ!」


次にフィーネが放った、訓練場の鉄アレイは
運よくマリンに直撃することなく円の中に収まった。
自分めがけて迫る鉄アレイを見て、マリンも涙目だ。


カリン「マリンも散々だね…」

コリン「そして敵も容赦ない…」


次のチーム・ポニテのストーンは、先ほど使った樽型椅子。
徐々にストーンが大きくなっていくのは気のせいだろうか。


フレイヤ「二人とも、そこでストップ!
     そう、その位置だ!」

リサ「石灯籠はもう使えないから、倒される心配はないな。」

アリア「ガードストーンとしてかなり優秀ね。」


樽型椅子は、円のやや手前で停止している。
これで、シスターズはさらに攻撃しにくくなった。


エル「私たちもタイム!」

カーター「5分間認めよう。」

サン「どうしましょう、エルお姉さま…」

エル「サン…あなたまで…。
   それはさておき、得点が1点だけというのはかなり厳しいわ。
   なんとかしてあのゴブリンを排除しないと…」

と、そこに赤髪赤眼の女性が講堂に入ってきた。
手には人数分のコーンスープがのったトレイを持っている。


マティルダ「みなさん。参謀本部から差し入れです。」

エル「あらマティルダ、悪いわね。」


この場にいる全員にスープが配られる。
ただし、マリンとカーターはその場を動くわけにはいかないので
二人の分はとっておく。


マティルダ「…、あのー、エル様…」

エル「なによ?」

マティルダ「…お姉さまって呼んでいいですか?」

エル「あ、あなたまでそういうことを!
   ふんだ、勝手にすればいいじゃない!///」

フィーネ「ねえさん顔が赤い…」

マティルダ「ああ…エルお姉さまの『ツンドラ』モード…
素敵です!」

レミィ「それを言うなら『ツンデレ』だと思うんですけど…」



ひゅうううぅぅぅぅぅ………

会場に一陣の寒い風が吹き抜けた。



エル「マティルダ。」

マティルダ「え…あ、はい!なんでしょうお姉さま!」

エル「滑っちゃったわね♪」

マティルダ「はい?」

フィーネ「審判さん!タイム終了!」

カーター「ほいじゃ再開。」

エル「じゃ、あの石灯籠にしがみついて来てね♪」


グイッ!


マティルダ「ひ、ひゃん!お姉さま、何をってきゃあああぁぁぁぁぁ!!」


エルはマティルダの耳元で一言つぶやくと、
そのまま背中を思い切り押した。

マティルダは樽型椅子を倒し、そのままマリンめがけて直進する。


マティルダ「あ、危ない!どいてどいて!」

マリン「む、むりですううぅぅぅ!」


ゴチン!


マティルダ「あうっ!?」

マリン「むぎゅうっ!?」


衝突した二人は、なんとかその場に踏みとどまったものの、
今の衝突で石灯籠が少し動き、マティルダが円の中心に来てしまっていた。


エル「マティルダ、あなたはやっぱり優秀な部下ね♪」

フレイヤ「私がマリンを投げた時でも、もう少し罪悪感あったぞ…」

マティルダ「え、エルお姉さまのためなら…、本望です…」


ひどい扱いを受けて、なおかつ目を回しているというのに
マティルダはどこか嬉しそうな表情をしていた。


この後チーム・ポニテはペットボトルでマティルダの足元を狙うも効果はない。

しかし、さらなる追加点を狙ったチーム・シスターズの六法全書も
マリンに直撃したが耐えられて、外側に出て行ってしまった。



第三エンド……チーム・シスターズに2点


カーター「次は最終エンド。先攻はチーム・シスターズからだ。
     なお、人型ストーンは次のエンドに持ち越せないから注意しろ。」

マリン「や、やっとおしっこにいける…」

カーター「トイレは講堂を出て左の通路を道なりに行け。」



〜〜第四エンド〜〜



エル「いい?三人とも。
   ここはあえて点を取りに行くわよ。」

フィーネ「え、なんで?防御していればいけなくない?」

エル「相手は機動力が持ち味だから、防御しても突破されやすいのよ。
   だから、積極的に攻撃していくことが勝利への近道よ。」


チーム・シスターズの1投目。
先ほどとは打って変わって、放ったのは陶器製のティーポットだった。
サンが放ったティーポットは、円の中のやや右側で落ち着く。


フレイヤ「さて、私たちも石灯籠に対抗できる物を持ってきた。
     リサ、頼んだぞ。」

リサ「まかせな!」


リサが放ったのは、中庭のウェールズ庭園にあったダビデ像だ。
股間のシンボルも露わなこの彫刻は円の中心より少し前で止まる。


フレイヤ「…本当は使いたくなかったんだがな。」

リサ「まあね。」

ユニース「っていうか参謀本部!せめてビーナスかニケを置きなさいよ!」



しかし、これで石灯籠が来ても、そう簡単に突破されないだろう。
これ以上の重量は、人間のみの構成であるチーム・シスターズには
かなり厳しいものがある。



ケルゼン「あー、重かった重かった。」

エル「ケルゼン様!?どうしてここに?」

ケルゼン「それがな、中庭で部下たちとモンハンやってたら
     あの青いポニーテールのリザードマンがダビデ像を持って行こうとしたんだ。
     だが、さすがに重そうだから運ぶの手伝ってやった。」

エル「そのお人よし度は相変わらずですわねケルゼン様…」

ケルゼン「なーに。勝利にかける情熱を後押ししたまでだ。
     カーリングだけに、『意思』の強さは重要だからな!
     はっはっはっはっは!」

全員『…………』

エル「ケルゼン様。」

ケルゼン「ん?」

エル「滑っちゃいましたね♪」

フレイヤ「え、エルさん!まさか自分の上司まで…!」

エル「情け無用!フォイア!」

フィーネ「ごめんなさいケルゼン様!」


ドンッ!


ケルゼン「ぬおおおぉぉぉぉ!!」


フィーネによって押し出されたケルゼンは、
そのままダビデ像への直撃コースを突き進む。


ケルゼン「じゃまだーーっ!!」


グワァアン!!

このままでは股間に顔をうずめる形となってしまうと判断したケルゼンは、
力の限りダビデ像にショルダータックルをかます。
これにより、ダビデ像は倒れることはなかったが、
円の中心からやや右斜め後ろに遠ざかってしまい
代わりにその場にはケルゼンが居座る。


カーター「というわけでケルゼンさん。そこを動かないでくださいね。」

ケルゼン「いいだろう!意志の強いストーンとして君臨してくれるわ!」

カーター「おやじギャグはもう結構です。」


アリア「またしても強敵現る…か。」

フレイヤ「安心しろアリアさん。私に一つ考えがある。」


そして、次はユニースが持ってきたステンレス製の水筒がストーンとなった。

フレイヤ「ユニースさん、あのダビデ像に向かって投げてくれ!」

ユニース「了解!」


ユニースの放った水筒はダビデ像にぶつかることで進路を変えて、
後ろから回り込むように、円に近付いた。


フレイヤ「よし!うまくいった!」

リサ「あのダビデ像がまだ活用できるとは思わなかったわ。」

アリア「これで、再び円の中心を確保できたわね。」

ユニース「いえ、油断は禁物よ。エルが何を考えているかわからないわ…」



エル「さて、ここは私に任せてね。」

レミィ「ってことは私が最後ですか!?」

エル「そうね、本当は私が最後にやればいいんだけど、
   このショットは結構難しいから私がやるわ。」


そう言ってエルは、ここまで皆勤賞の六法全書を今度は
背表紙で立たせて滑らせる。

六法全書は、先ほどサンが投げたティーポットに当たり、
ティーポットはその衝撃を受けて、右から円の中心に近づく。
そして最終的に水筒を倒してしまった。


サン「お姉さま!ナイスショット!」

フィーネ「ねえさんすごい!それであそこにあれを置いたんだ!」

エル「なんとか上手くいったようね…、
   正直あれが成功しないと私たちに勝ち目はなかったんだけど。」



フレイヤ「ショットに関して相手の方が一枚上手か…」

ユニース「なんとかしてあのティーポットをどかせないかしら?」

フレイヤ「難しいな。さっきのショットは、水筒だからこそできたんだ。
     あれより軽いとティーポットを動かせないし、
     あれより重いとティーポットまで届かないだろう。」

リサ「まさに絶妙な位置だな…、
   せめてあの人(ケルゼン)がどいてくれれば…」

アリア「ですが手持ちの樽型椅子では受け止められてしまいます。
    こんなこと言うのもなんですが、人には人を当てないと。」

フレイヤ「確かにそれが一番いい方法であることは分かる。
     しかし、そう都合よく滑ってくれる人は…」

ユニース「ところでリサさん。」

リサ「どうした?」

ユニース「謎かけ。カーリングと掛けてなんと解く?」

リサ「うーん、カーリングと掛けましてオステカ村自警団入団試験と解く。」

アリア「その心は?」



リサ「『いし』と『いし』のぶつかり合いだ!」

カーター「ほう、まさかお前まで滑っちまうとはな。」



フレイヤ「リサ…、本当にこれでいいのか?」

リサ「今はこれしかないんだ!アリア!背中を頼む!」

アリア「頑張ってください!リサさん!」


ドンッ!


アリアに思いっきり背中を押されたリサは、一直線にケルゼンめがけて突っ込む。


リサ「くたばれえええぇぇぇぇっ!」

ケルゼン「こい!跳ね返してやろう!」


メメタァ!!


リサ「ガハッ!?」

ケルゼン「ぐおっ!?」


凄まじい勢いで衝突した二人は、体勢を崩したものの
円の中心付近で左右に分かれて踏みとどまった。
この衝突に巻き込まれたティーポットは、
リサがどさくさにまぎれて一瞬で遠くに蹴飛ばした。
ルール違反すれすれだが、咎められなかった。


カーター「これはすごいな。二人とも中心からほぼ同じ距離だ。
     このままいけば、特別ルールとして
     二人により近い位置にストーンを持って行った方に
     点数が入ることになるな。」

フレイヤ「!!」

エル「ふっふっふ、どうやら最後に笑うのは私たちのようね!」

リサ「おいフレイヤ!それはどういう意味なんだ!」

フレイヤ「ああ…、つまり私たちが勝つには
     円の中心にストーンを置かなければならないんだ。」

ユニース「これでもし相手が中心の手前にガードストーンを置いたら…」


エル「さあレミィ!とどめを刺してあげなさい!」

レミィ「いきます!お姉さま、見ていてください!」

サン「いくよ、フィーネちゃん!」

フィーネ「うん!」


レミィが放った、チーム・シスターズのストーンは石灯籠。
三度目となるとコツをつかんだのか、あっさりと二人の少し手前で止まる。
これでは、ストーンが中心に来ることはまずないだろう。



アリア「くっ!またしてもエルに苦杯を飲まされるとは…」

ユニース「あれじゃもうどうしようも…」


もはや絶望的な状況。



二人はもはやあきらめかけていた。




しかし…






フレイヤ「まだだ…。まだ終わらんよ!」

リサ「そうだフレイヤ!あきらめるな!」

アリア「ですが!この状況でどうやって…」

フレイヤ「私にはこれがある。」


フレイヤがとりだした物、それは
「C」の文字が刻まれた貨幣。
冒険者であることを証明するものだ



フレイヤ「石灯籠の下には少し隙間がある。その下をくぐらせて中心に運ぶ!」

ユニース「なんて無謀な…、でも今はそれしかないわ!私はフレイヤさんを信じる!」

アリア「私たちチーム・ポニテの最後の意地を見せてやりましょう!」



そして、チーム・ポニテ最後のシュート。


フレイヤ「二人とも!目一杯擦れ!」

二人『応!!』


フレイヤが放った貨幣は一直線に石灯籠に向かっていく。


フレイヤ「石灯籠の中に入るギリギリまで!」

リサ「だめだフレイヤ!それじゃ速度がありすぎる!」


しかし、リサの忠告を尻目にフレイヤはギリギリまで硬貨を加速させた。
硬貨は石灯籠の下に潜り込むと「カチン」という音を立てて反対側から飛び出す。
そして今度はケルゼンの足元に向かい、軍靴のつま先(鉄製)に当たって
そのまま減速して止まった。


硬貨は見事に円の中心にとどまっていた。



カーター「セットエンド!チーム・ポニテに2点追加!」


フレイヤ「やった!やったぞ!」

リサ「ウソ!?私たちの勝ち!?いぃぃぃよっしょあああぁぁぁぁ!!」

ユニース「勝った!勝ったわ!私たちエルに勝ったわ!」

アリア「あれ…おかしいな…、遊び感覚だった…のに…涙が…」

カリン「姉貴ーー!!おめでとーーー!!」

マリン「こ、こんなにドキドキしたのは初めてかもしれない!」

コリン「私たちも姉貴が勝ってくれると信じてました!」

フレイヤ「ああ、三人も応援してくれてありがとう。
     お前たちがいたおかげで、あの大物相手に屈することはなかった。」

ユニース「あら、リサさん?どうかしました?」

リサ「…私もフレイヤにあんな風に抱きついてみたかった。」

アリア「フェオル…私…やったわ!あのエルに勝ったわ!」




エル「あーあ。負けちゃったか。」

フィーネ「残念だったね、ねえさん。」

レミィ「でも、なんか悔しいけど、そんなに悪い気はしないわ。」

サン「私も最後のフレイヤさんの勇士に、思わずドキッとしちゃった!」

エル「あれだけ戦略戦術を駆使したのに負けちゃうと、
   やっぱりフレイヤさんはすごいなって私もおもちゃうわ。」

サン「私もフレイヤさんみたいな素晴らしいリーダー目指して頑張らなきゃ!」

レミィ「私今度髪の毛ポニーテールにしてみよっかな?」

フィーネ「さっそくフレイヤさんブーム到来だね。」

エル「戦って負かした相手にも活力を与えられる人は希少なのよ。」


エルは負かした相手に二度と立ち向かわせないような感情を与えるが、
フレイヤは負かした相手でも、前向きな感情を与える。
それはまるで、活人剣と殺人剣のような対照的な性質といえる。


カーター「では最後に、リーダーの二人は握手を。」

エル「今回は負けたけど、機会があればもう一度別の方法で戦ってみたいわね。」

フレイヤ「私もエルさんとこうして戦術勝負ができたこと、嬉しく思う。」


こうして二人は握手を交わし、試合はお開きとなった。


試合結果  ポニテ  シスターズ

第1エンド  1 − 0
第2エンド  0 − 0
第3エンド  0 − 2
第4エンド  2 − 0

合計     3 − 2

勝者:チーム・ポニテ




―――――『エンディング』―――――



フィーネ「エンディングです!お疲れさまでした!」

フレイヤ「な、なんか今でもドキドキがおさまらない…」

フィーネ「よっぽどにいさんに勝てたことが嬉しかったみたいね!」

エル「救心いります?」

フレイヤ「いや…大丈夫。何とか落ち着いた。」

フィーネ「さてリスナーのみなさん、今回の放送はいかがだったでしょうか?
     かなり大規模なバトルだったから前後に分けちゃったけど。」

エル「フレイヤさんの感想も聞きたいわ。」

フレイヤ「ああ、思っていた以上に楽しかったな。
     エルさんの時代のことを知ることが出来たし、カーリングも楽しんだし
     なにより、大軍略家のエルさんがこんなに親しみやすく…」

エル「あら♪それは光栄ですわ。」

フレイヤ「あれ?口調戻さなくていいのか?」

エル「エンディングだからもう戻したわよ。」

フィーネ「…フレイヤさん、にいさんのことはそっとしておいてください。」

フレイヤ「そ、そうか。とにかく、実際に会ってみると想像していたよりだいぶ違ったな。」

エル「それはなによりです。
   あとでチェチェさんと一緒に感想を送ってきてもらえるとうれしいわ。」

フィーネ「さて、にいさんに勝ったフレイヤさんには参謀本部から賞品があります。
     まず一つ目!リノアンさんが作ってくれたイチゴジャムとイチゴの果実酒!
     収穫期だった城内菜園のイチゴを加工しました!」

フレイヤ「お、これはおいしそうだ。」

エル「ただし、かなり甘いから気をつけてね。」

フレイヤ「エルさん仕様か……。」

フィーネ「その二!ロンドネル特産、琥珀製の帯留め!
     マントや肩布を着る際に使ってみてね!」

フレイヤ「うーん、今は特に必要ないが、
     いつかは使うかもしれない。ありがたく貰っておこう。」

エル「そして三つ目は、収録が終わった後、ロンドネル観光にご招待!」

フレイヤ「やった!ロンドネル観光だ!
     リサやカリン達もつれてっていい?」

エル「それは大丈夫だけど、すごいはしゃぎようね。」

フレイヤ「あ、すまん。つい浮かれてしまった。
     しかし、ロンドネル観光か…、早く行きたいものだ!」

フィーネ「じゃあフレイヤさんのわくわくが抑えらなくなるまえに
     今回の放送はこれで終わりにするね!
     パーソナリティは妹、フィーネルハイトと」

エル「兄、エルクハルト。そして今回の戦友は、
   シンボリ世界大陸出身のヴァル=フレイヤさんでした!
   フレイヤさん、今回の収録お疲れさまでした!」

フレイヤ「いえいえ、こちらこそおじゃましました。」

エル「そしてリスナーの皆様も。次回の放送をお楽しみに!」


三人『みなさん、ごきげんよう、さようなら!』





リサ「おーいフレイヤ!早速行ってみようか!」

フレイヤ「うん!いくいくー!」

ユリア「では、私がご案内いたします。」



第2回放送、終わり。







おまけ

ロンドネル政治機関、領主執務室にて


ケルゼン「おい、ファーリル。」

ファーリル「なんでしょう?」

ケルゼン「これは一体なんだ?」

ファーリル「…………」

――――――――――――――――――――――

ロンドネル滞在届

氏名:ヴァル=フレイヤ
期限:無期限
滞在場所:ロンドネル中央図書館
滞在理由:ここにある本を全部読ませて下さい。

ect...

――――――――――――――――――――――


ケルゼン「とりあえずチェチェ様に大変申し訳ないから、
     なるべく早く帰ってもらえ。」

ファーリル「ですが同じ『グレートブックワーム』の僕としては
      せめてあと5日くらいは…」

ケルゼン「エルに怒られるぞ。」

ファーリル「そのエルが、今回の後遺症で男口調に戻らないんですが。」

ケルゼン「それはまた後だ。
     今はフレイヤさんが本格的に居座らないうちに
     元の世界に戻して差し上げろ。」

ファーリル「はい…。」




ロンドネル中央図書館にて…



リサ「ほら、フレイヤ!いい加減帰るぞ!」

フレイヤ「やだ!まだ全部読んでないもん!」

ユリア「あの…、この図書館の蔵書数では一生かかっても…」

フレイヤ「だったら私はここに住む!」

ユリア「ええっ!?」

カリン「大変だ!図書館に姉貴を取られちゃう!」

コリン「私たちの冒険は!?」

マリン「は、早くかえろうよ〜〜…」

リサ「フレイヤ!目を覚ませー!」

フレイヤ「い〜や〜だ〜」



結局ひと騒動した後、元の世界に帰れました。
めでたしめでたし。

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収録を終えて



みなさんごきげんようございます。エンジェルのユリアです。
この度は『スーパー クレールヘン シスターズ!!』を
読んでいただいてまことにありがとうございます!

まずはじめにチェチェ様。
大変申し訳ありませんでした!!
調子に乗ってフレイヤさんをいじりすぎました!
そして最後の最後であんなことにしてしまって……
一応ちゃんと元の世界には戻しておきましたので、
どうかご容赦を。

そしてフレイヤさん以外の人も許可なく連れてきてしまったことも
深くお詫び申し上げます。
苦情がありましたら甘んじて受けますので…


さて、話は変わりまして読者のみなさん。
前編でも述べましたように、この度『英雄の羽』が元通りになりました!
次回からは新しい話の更新になります!お楽しみに!

そして相変わらずゲストやお便りを募集します。
どんな無茶ぶりにも耐えて見せます!きっと!
ふつオタでもいいので、どしどし送ってください!
応募の詳しい方法は第1回放送を参考にしてください。

次回のゲストは、
何と!セイレーンのリエンさんと
サイクロプスのリラさんの二人になります!
次の放送がいつになるかはまだ分かりませんが、
楽しみにしていてくださいね!


以上、ユリアからでした!
本編「英雄の羽」もよろしくおねがいします。

11/02/25 09:31 バーソロミュ

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