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番外:今日の兵糧

今日の兵糧


本日のシェフ:チェルシー・フォルトーネ
解説:ミーティア


この放送は、ロンドネル公営放送が参謀本部よりお届けいたします。



♪例の一般大衆向けの料理番組のBGM♪
ちゃっちゃかちゃかちゃかちゃっちゃっちゃ〜♪
ちゃっちゃかちゃかちゃかちゃっちゃっちゃ〜♪
ちゃっちゃかちゃかちゃかちゃっちゃっちゃ〜♪
ちゃかちゃかちゃんちゃんちゃっちゃっちゃっ♪



ミーティア「みんなごきげんよう!私はフェアリーのミーティアです!
      この番組では、一般家庭でも気軽に作れる兵糧を紹介するよ!
      腹が減っては戦は出来ぬ!これ鉄則!
      軍の活気を支えるおいしくて手軽な兵糧を作っていきましょう!」

チェルシー「はぁい♪みんな元気かな?
      十字軍本隊第七師団長のチェルシーお姉さんでーす!
      私が今日のシェフをやることになりました。」

ミーティア「わー!チェルシーシェフ!今日もメイド服が似合ってますね!」

チェルシー「ふっふっふ〜、ラジオの前のみんなも私のメイド服姿に萌えて
      いろいろなところをおっ立てるといいわ!」

ミーティア「ラジオだから姿が見えないと思うよ。」

チェルシー「心の眼で見るべし!」

ミーティア「人はそれを妄想と呼ぶんだよ。」





本日のテーマ『アイゼンバール』





チェルシー「今日紹介する料理は『アイゼンバール』!!
      長さ約40p、厚さ3cmの直方体で、全体的に焦げ茶色をしてます。
      カロリーメイトをかなり大きくしたものを想像してもらえれば結構よ。」

ミーティア「見た目はお菓子だね。」

チェルシー「はい、お菓子です。」

ミーティア「お菓子なんだ…。」

チェルシー「ただのお菓子じゃないわ。これはかのアルレインさんが発明した
      『強い、硬い、美味い』の三拍子そろったスーパー保存食なの。」

ミーティア「なんと!」

チェルシー「砂糖と塩を使うから甘い中にも程良い塩味があって、かなり美味しい一品よ♪
      さらに保存性にも非常に優れているから、1年くらい放置プレイしても大丈夫。
      でもね、特筆すべきはこの硬さ!超硬い!とにかく硬い!
      おにぎりやサンドイッチみたいにカバンの底に入れて
      「みろよボブ!俺のオムスビがオセンベーになっちまったZE☆」
      みたいなことには、まずならないわ!軽いから持ち運びも超便利!」

ミーティア「本当だ〜、凄く硬い〜」

チェルシー「さらに持ち運びに便利なほかにも、いざというときにも役に立つわ。
      太鼓のばちの代わりや孫の手の代用、それに
      武器がない時にもこれが手元にあれば、腕前次第で相手を撲殺出来ます。」

ミーティア「なるほどね!それでアイゼンバール(ユリス語で鉄製警策)っていうんだね!
      でもこれで相手を撲殺できる人には武器はいらないって思う。」

チェルシー「裏機能としては、女の子ならこれを好きな人の《フォイア!》に見立てて
     《俺のケツを舐めろ!》をすることもできるのよ♪」

ミーティア「その発想はなかったわwww」

チェルシー「ただし、難点は硬すぎて食べにくいことかしらね。」

ミーティア「ちょ、本末転倒じゃん!?」

チェルシー「よほど歯が頑丈な人じゃないとそのまま噛み砕くのは至難の業ね。
      実際、そのままかぶりついたら前歯が欠けたっていう事故も起きているわ。」

ミーティア「あぶねぇーー!!一体どうやって食べるのよ!?」

チェルシー「方法は色々あるわよ。
      オードソックスなのが白濁液(牛乳のこと)に溶かして食べる。
      または剣やハンマーなんかで叩き割って粉々にする。
      それかもういっそのことエロティックに舐めるか、ってとこかな。」

ミーティア「上品に食べるのは不可能だね…」

チェルシー「あら、こう見えても結構人気の高い兵糧なのよ。美味しいし。
      私達は親しみを込めて『バールのようなもの』って呼んでいるわ。」

ミーティア「こえ〜よ〜(泣」

チェルシー「じゃあ早速食材の紹介!いくわよー!
      足りなかったら適当なところで採取してきてね!」



アイゼンバールの材料
      

小麦粉(強力粉):500g  
水:120cc
砂糖:20〜200g  
岩塩:適当
オリーブオイル:小匙一杯  
イースト菌:適当
愛情:込められるなら




ミーティア「おー!凄いお手軽な材料!」

チェルシー「でしょでしょ〜♪」

ミーティア「でも砂糖の量に10倍の開きがあるんだけど?」

チェルシー「そこは個人の甘さ加減で調節してね。
      エル様級の甘党の人なら200gの砂糖をぶち込んじゃってください。」

ミーティア「私も甘いの好きだからたくさん入れちゃおっと。」

チェルシー「さて、後はパンを焼く要領で作るんだけど、それだけじゃ面白くないわよね。」

ミーティア「?」

チェルシー「斬新な企画と縛りプレイのラジオ!スーパークレールヘンシスターズにのっとって
      今回は『ちゃんとした調理道具使用禁止プレイ』でいきたいとおもうわ!」

ミーティア「Oh!イッツクレイジー!!っていうか無理っしょ!」

チェルシー「ちっちっち!戦場では常に不足不足の世界!
      調理道具がなくても食べ物を作るのは当たり前なのよ。」

ミーティア「調理道具くらい持っていこうよ。」

チェルシー「はーい、じゃあまずはボールみたいなものを用意して
      その中に水を入れまーす。今回は兜の内側に防水布を張って代用します。」


ジャボジャボジャボジャボ…


ミーティア「むしろ防水布持ってる方が稀だと思うよ。」

チェルシー「シャラップ!あなたは黙って解説してなさい。」

ミーティア「黙ったままだと解説できないよう!」

チェルシー「(無視)次に水の中に塩を入れて塩水を作ります。
      そしてその中に小麦粉と砂糖を全部ぶちこみます。」

ミーティア「いっせーのーせっ!」


ドサーッ


チェルシー「あとは酵母菌を投入して…」

ミーティア「そんなのどうして戦場に持ってきてるんだろう?」

チェルシー「なければパンくずで代用しましょう♪」

ミーティア「なんかヨーグルト作ってるみたい。」

チェルシー「そして!ひたすらかき混ぜるっ!!ミュージックスタート!」


♪〜ハングリー舞曲5番〜♪


チェルシー「かき混ぜて!生地を飲んだ瞬間窒息死すると思われるくらい
      粘り気が出るまで!」

ミーティア「これくらいで、いいのかな〜?」

チェルシー「適当適当〜♪」


注:水気が多すぎるときは水の入れすぎです。小麦粉を足しましょう。



チェルシー「じゃあ次はなにか密閉できる物に生地を入れます。
      今回は水筒にでも入れておきましょうか。」

ミーティア「は〜い。」


ドボドボドボ〜


チェルシー「このとき注意してほしいのは、なるべく大きい容器を使うことね。
      せめて半分以上は開けてほしいわ。2倍以上に膨らむから。」

ミーティア「そんなに膨らむの!?」

チェルシー「これがガラス製とかだと爆発して悲惨なことになるわ、注意してね♪」

ミーティア「こえ〜よ〜(泣」

チェルシー「あとはそのまま半日くらい放置プレイで。」

ミーティア「ちょ!半日って!?お手軽さはどこに行ったの!?」

チェルシー「私は別に『早くできる』とは言ってないわよ。
      それに、待つだけだからかなりお手軽だと思うわ。」

ミーティア「でも待ってる間ひま〜。」

チェルシー「しょうがないわね。たしかこのへんに…」



ごそごそ…



チェルシー「今回は、あらかじめ半日放置プレイしておいた生地を用意しました☆」

ミーティア「おお!なるほど!チェルシーさん頭いいね!」

チェルシー「料理番組の定番ね。
      ほら、触ってみなさい大きくて硬くなってるでしょ。」

ミーティア「おー!でもまだ伸ばしたり潰したりできるね。」

チェルシー「じゃああとはこの生地にさらに小麦粉をぶちまけて〜
      その上でゴロゴロとのたうちまわらせましょう。」


ばさばさばさ〜


ゴロゴロゴロ〜



ミーティア「なんか本格的にパン作りしてるみたい!たのし〜」

チェルシー「それが終わったら、生地を天日干ししまーす!
      時間は大体30分ぐらいかな。」

ミーティア「前言撤回、レンガ造りでした。」

チェルシー「そうよ。今作ってるのはレンガ並みの強度のお菓子だもの。」


ごそごそ…


チェルシー「で、これが30分天日干しした生地ね。」

ミーティア「さすがチェルシーさん!ここまで用意してあるなんて!」

チェルシー「あとは好きな形に整えてね。
      一番楽なのは長方形だけど、円筒形でもいいし、三角錐でもいいし
      場合によっては埴輪を作るのもアリ!」

ミーティア「じゃじゃーん!ネオアームストロ…」

チェルシー「わたしのネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲
      のほうがリアルにできてるわよ!」

ミーティア「ネタが被った!?」




ファーリル「こらこら、二人とも。公共放送なんだから直方体にしなさい。」

二人『ちぇーっ』




チェルシー「あとは表面に少し湿り気を加えて、焼きあげます!」

ミーティア「よーし!焼くぞー!」

チェルシー「適当に窯っぽいのを組み立てて、鉄板の上に生地を乗せて
      220℃くらいの温度で30分くらいかけてじっくり焼き上げます。
      それが終われば、晴れて完成!よくできました!」

ミーティア「でも、火を起こすのが面倒だよね。」

チェルシー「そーゆー時は炎魔法で代用します。
      っていうことでバーミリオンさん、あとヨロシク♪」


バーミリオン「え!?俺が焼きあげるの!?」



只今誠心誠意焼いております…





   〜完成〜



チェルシー「なんだかんだで完成しましたー!!」

ミーティア「わーい!!」

チェルシー「みよ!この太くて硬くて逞しい、私のアイゼンバールを!」

ミーティア「すごく…大きいです…」

チェルシー「ちなみに、これ以上強度を高めたかったら鉄粉を混ぜるといいわ。」

ミーティア「もうそれ食べ物じゃないよ。」

チェルシー「じゃあ早速、ミルクを用意したから浸して食べましょうね♪」

ミーティア「はーい!いただきまーす!」

チェルシー「ああん、焼きたてだからあっつぅい♪」

ミーティア「それにミルクに浸して食べるとすごいおいしい!乾パンみたい!」


ぴちゃぴちゃ がりがり  ぴちゃぴちゃ レロレロ


チェルシー「うふふ、この味病みつきになっちゃう♪」

ミーティア「ふ、太すぎた…、口に入りきらないよぅ…」





ファーリル「えーっと、雰囲気が妖しくなってきたから今回はここまで。
      今日の兵糧、これにて終わりです。」

二人『またねーー!!』



♪例の一般大衆向けの料理番組のBGM♪
ちゃっちゃかちゃかちゃかちゃっちゃっちゃ〜♪
ちゃっちゃかちゃかちゃかちゃっちゃっちゃ〜♪
ちゃっちゃかちゃかちゃかちゃっちゃっちゃ〜♪
ちゃかちゃかちゃんちゃんちゃっちゃっちゃっ♪


今日の兵糧:終
11/04/01 01:19更新 / バーソロミュ
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■作者メッセージ

みなさんごきげんようございます。エンジェルのユリアです。

まず、今回は本放送ではありませんのであしからず。
ただ単にちょっとネタをやりたかっただけです。
星村様と立宮様につきましては、ミゼラブルフェイト完結まで
今しばらくお待ちしていてください。

なお、今回出てきた料理はかなり適当に書いていますので、
実際に作った場合の保証はできません。なにせ架空の料理ですから…

次回があるかは…分かりません。気分次第です。

短いですが、以上で私からの話は終わります。
本放送の投稿も随時受付中ですので
お気軽に投稿して下さって結構です。
本編とラジオを、これからもよろしくお願いします。

ユリアでした♪

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