連載小説
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第3回 後編

ファーリル「じゃあリエンちゃんが戻ってきたところで、後編スタート!」






―――――『オン・エル・バトル!』――――――






フィーネ「さあ!みなさんお待ちかね!
     『オン・エル・バトル!』の時間がやってまいりました!
     エル執事とゲストが毎回お題を変えてバトルするよ!」

リエン「…?」

ユリア「『私も参加するの?』だそうです。」


ファーリル「うん、リエンちゃんにも参加してもらうけど、ちょっと待っててね。」

リエン「(コクン)」

フィーネ「確か今日のお題は『力比べ』だったよね。」

リラ「私は、腕力なら、少しは自信がある。」

エル「わたくしも、軍の中では一番とはいきませんが、
   そこそこ力がある方でございます。」

フィーネ「じゃあまず準備運動がてらに二人で腕相撲してみてね。」

リラ「腕相撲?わかった。」

エル「わたくしは、見た目は華奢と言われますが、問題ありません。
   遠慮なく力をお出し下さって構いませんよ。」



机の上に肘をついて、右手を組む。


リラ「エルさんの手、やっぱり女性みたいな手触り。」

エル「手入れなどは特にしていないのですが…」

フィーネ「じゃあ、レディー、ファイト!」



リラ「とぅ…!」

エル「はいっ…!」


ぐぐぐぐぐぐ……



リエン「……」

ユリア「大分互角のようですね。」


カーター「いや、二人ともまだ少し相手に対して遠慮している。」

リエン「?」

カーター「ちょっと本気を出してもらいましょうか。」



二人の着地予想地点に画鋲を設置



二人『!!!!』



ギリギリギリギリギリッ…!!


画鋲設置により、二人の表情から余裕が消え
必死の形相をしている。


フィーネ「まさに背水の陣…」

ファーリル「あ、危ない!ストップ、ストップ!わかったよ!
      二人は単純な力比べなら互角みたいだ。」

リエン「(安堵)」

エル「お見苦しいところをお見せいたしました。」

リラ「いや…、兵法と言うのは、こういうものだって、身をもって知った。」

ファーリル「じゃあ、改めて本番の対決と行こう。
      全員ちょっと移動するからついてきてね。」

エル「今回も移動するのでございますか?」

ファーリル「放送室だとちょっと狭いからね。」



そんなわけで、全員で食堂に移動した。


ファーリル「じゃあ、フィーネ。台本渡したから後よろしく。」

フィーネ「え、あ、うん。じゃあエル執事とリラさんは
     そこにあるアクリル板を頭上で平らにしてくれる?」

リラ「こう?」

エル「何かを乗せるのでしょうか?」

フィーネ「今回の対決はズバリ、『荷物持ち』!
     リエンさんにはユリアさんと一緒にリラさんの上に
     色々なものを載せていって下さい。」

リエン「…?」

ユリア「載せてほしいものがあれば、お申し付け下さい♪」

フィーネ「エル執事の方は私が担当します!」

エル「お手柔らかにお願い致します…」

フィーネ「その他の人たちも、勝手にどんどん載せてくれて結構です。
     制限時間は20分。載せた物の合計重量が多かった方の勝ちです!」


キリュウ「あっしらも参加していいので?」

ニシカ「っていうか流れ的に半強制参加ですかね。」

フェムノス「…まあいい。俺も付き合うとしよう。」


ファーリル「そんなわけで、早速試合開始。」





こうして、各人はあちらこちらに重そうなものを取りに行った。



リエン「…(スッ)」

ユリア「六法全書ですね。確かに安定して重そうです。台車に乗せて運びましょう。」




ニシカ「このパソコン、結構重そうですよね。」

キリュウ「いや、あっしはあのテレビが重そうとみやした!」

ニシカ「一応両方運んでおきますか。あ、兵士さん、手伝ってくれるんですか!?」



フェムノス「リエン。何か手伝うことはないか?」

リエン「(コクン)」

フェムノス「武器庫か…、なるほどな。」

ユリア「分かるんですね、フェムノスさん。」

フェムノス「まあな。」

リエン「…(リイィン♪)」





フェデリカ「いようリラ!久しぶりだな。」

リラ「フェデリカ、いたんだ。」

フェデリカ「記念すべき一個目はこの斧で決まりだな!」


ゴトッ


リラ「ありがとう。」

フェデリカ「がんばれよ!リラなら百人乗っても大丈夫さ!」

リラ「私は、物置じゃない。」





マティルダ「エル様の執事姿…、まことに麗しいです!」

エル「お世辞は結構です。マティルダお嬢様も
   何かお載せになられては如何でしょうか?」

マティルダ「キャー!エル様のお嬢様って言われた!
      エル様には私からこれを差し上げます!」


ゴトッ



エル「屋上展望台にあった樽型椅子ですか…、
   前回のカーリングでも猛威をふるったアイテムでしたね。」

マティルダ「エル様ならきっとリラさんにも勝てます!頑張ってくださいね!」




ニシカ「リラさん!持ってきました!」

キリュウ「まずはあっしが、これを載せまっさぁ!」

リラ「テレビ、パソコン、DVD、CDコンポ…、
   よくこれだけ、電子機器をそろえたものね。」

フェデリカ「よっしゃ、私も載せるのを手伝ってやる。」


ゴトッ、ゴトトッ


ニシカ「大丈夫ですか、リラさん?」

リラ「まだ平気。もっと持てる。」

キリュウ「さすが師匠でさぁ!あっしらはこの時点でもう圧死確定でさぁ!」




カーター「まだまだ余裕そうだな、エル。」

エル「これはこれはカーター様。またのご利用をお待ちしております。」

カーター「いきなり拒否するとは、やるな。
     そんなお前にはこれを贈呈だ。ありがたく持っているといい。」


ゴトン!


エル「い、石灯籠ですか…」

カーター「どうした、つらいか?降参するか?」

エル「まさか。これくらいでわたくしは音をあげは致しません。」

カーター「よーし、それでこそエルだ。がんばれよ。」




このような調子で、様々な人が色々な物を乗せて行った。
明らかに全員悪ノリしていた…




フィーネ「エル執事、まだ生きてる?」

エル「え、ええ。多少余裕がなくなってきましたが、
   フィーネお嬢様が載せる分くらいはなんとか…」

フィーネ「じゃあ、ケルゼン様お願いします!」

ケルゼン「おうよ。いいかエル、載せるぞ。」

エル「ケルゼン様が…!?何か嫌な予感が…」



ズシィ!



エル「キャー、隕鉄の塊ー!これはきついです!」

フィーネ「そしてこれも!」


ガチャン


エル「MG42機関銃…、
   武器庫の中でもトップクラスの重量級ですね…」

フィーネ「そしてこれも!」


ゴトッ



エル「神棚なんて載せますと、罰があたりそうです…」

ケルゼン「うーむ、これが限界だろうな。」

フィーネ「もうすぐ時間切れだしね。」






リエン「(リンリイィンリン♪)」

ユリア「お待たせいたしました。」

リラ「けっこう、色々あるのね。」

リエン「(コクン)」

ユリア「先ほど乗せた六法全書や百科事典の上に、さらにタウンページを追加します。」


ズシッ


リラ「紙は、集まるとかなりの重さになる。」

フェムノス「この世界になぜタウンページが必要なのか、よくわからん。」

リエン「…(スッ)」

フェムノス「いいか、リラさん。次の物らはかなり重たい。覚悟してくれ。
      ……、すまん俺でも持てん。手伝ってくれるか?」

フェデリカ「あいよ!」




ズシィッ!



リラ「…っ!」

フェムノス「武器庫にあったのだが、なんだこのやたらと重い斧は。」

リラ「この斧は…アルマーズ。天雷の斧といわれる、伝説の武器…」

リエン「……」

ユリア「そろそろ余裕がなさそうですが、大丈夫ですか?」

ニシカ「リラさん!無理しないでください!」

キリュウ「師匠が筋肉痛になっちまったら、あっしらどうしたらいいか…」

リラ「…ううん、あと一つなら、なんとか。」

リエン「…(コクン)」

フェムノス「どうした、リエン?」



ひょいっ



リラ「…このへんが、限界。」

ニシカ「リエンさんが乗った!?」

キリュウ「いくらセイレーンは軽いとはいえ、ギリギリでさぁ!」

フェムノス「…落ちるなよ。」

リエン「(コクン)」



ファーリル「じゃあここで制限時間いっぱい!二人ともよく頑張ったね!
      持っている物をそこに降ろしていいよ。」

エル「なかなか白熱いたしましたね…」

リラ「こんなに、重い物を持ったのは、初めて…」


二人はすでに肩で息をしている。



ファーリル「ではアヌビスのマーテルさん。計量をお願い。」

マーテル「承知しました。」




計量中…




マーテル「結果が出ました。」

全員『…………』



エル:合計重量512.8s
リラ:合計重量517.2s



ファーリル「おっと、これは!5s差でリラさんの勝ち!」

リエン「!!」

リラ「私…、こんなに持っていたんだ…」

キリュウ「ご、500って…あっしら何人分ですかぃ!?」

ニシカ「リラさんが力持ちであることは知っていましたが…
    まさかここまで凄いなんて!」

エル「どうやら、また負けてしまったようです。」

ファーリル「リラさんが勝ったので、同じチームのリエンちゃんも勝利!」

リエン「!?」

フェムノス「よかったじゃないか。最後に乗せた物が明暗を分けたようだな。」

ユリア「実にすばらしい判断でしたね。」

フィーネ「意外と神棚が軽かったね。もっとお供え物しておけばよかったかな?」

エル「おそらくケルゼン様ならもっと持てたはずですが…」

ケルゼン「そうかな?どっこいしょ…」


ひょいっ


リラ「この人と、戦わなくて、よかった。」

フェムノス「ば、化け物だ…」

リエン「……(汗」



ファーリル「はい、そんなわけで、今回もゲストの勝利でした!
      エルは次こそ頑張ってね。」

エル「はい…」




―――――『エンディング』―――――

♪EDテーマ『妄想フェティッシュ!』



フィーネ「エンディングです!お疲れさまでした!」

リエン「…?」

ユリア「『エルさんは今回、口調は元に戻っていますか?』だそうです。」

エル「大丈夫だ、たぶん。」

リラ「まだ、着替えないの?」

エル「着替えなら収録が終わった後でもかまわない。
   しかし、自分で言うのもなんだが、この服に合っている気がする。」

リエン「(コクン)」

フィーネ「今まで兄さんに合う男の服は士官学校の制服くらいしかなかったからね。」

エル「さて、ゲストのお二人は今日の収録、どうだった?」

リラ「まさか、エルさんが執事になって、働いてくれるとは、思わなかった。」

リエン「……」

ユリア「『色々命令してしまってごめんなさい』と言っております。」

エル「気にすることはないさ。別に苦労はしてないし。」

フィーネ「それよりも、にいさんに指図できたことは誇っていいと思うよ。」

エル「そして俺とのバトルに勝利した二人には、参謀本部から賞品があるそうだ。
   まず一品目、城内菜園で収穫したイチゴとそれを加工したイチゴジャムを贈呈!」

リエン「(ペコリ)」

リラ「ありがとう。帰ったら、おいしく、いただくことにする。」

フィーネ「次に、リエンさんにはこのクジャクの羽根で出来た髪飾りを贈呈!
     ちょっとしたおめかしに使ってね!」

リエン「…(興味深々)」

エル「リラさんには、小さいけど隕鉄の塊を贈呈!何か武器を作る時に使ってくれ。」

リラ「隕鉄を無料で…?いいの?」

エル「リラさんなら俺の方天画戟以上の物を作れるかもしれない。期待している。」

フィーネ「そして最後に、収録が終わった後にロンドネル観光にご招待!
     一応反魔物国だけど、居住できないだけで、観光には
     特に問題はありません!」

リラ「何から何までありがとう。」

リエン「…?」

ユリア「ええ、フェムノスさんと一緒に楽しんでくださいね♪」

リエン「♪」

フィーネ「さて、そんなわけで今日はこれでおしまい!
     パーソナリティは妹、フィーネルハイトと」

エル「兄、エルクハルト。そして今回の戦友は、
   『続く叙事詩』よりセイレーンのリエンさんと
   鍛冶屋『LILAC』店主のサイクロプスのリラさんでした!
   本日はお疲れさまでした。」

リエン「(ペコリ)」

リラ「こちらこそ、楽しかった。」

フィーネ「リスナーのみなさんも、次回の放送をお楽しみに!」



『みなさん、ごきげんよう、さようなら!』





ユリア「では、私がご案内いたします。

リエン「(ワクワク)」

リラ「ニシカと、キリュウも、連れてく。」



第3回放送、終わり。




おまけ


ゴシュジンサマがいうには、いまわたしたちは遥か過去の時代にいるみたい。
でも、街や人の様子はわたしたちの時代とあまりかわらない。
通りは賑やかで、わたしを見てもにっこりわらってくれる。
でも、この国は反魔物主義なんだって。少し信じられないな…

いまからわたしたちは美術館に行くみたい。
ゴシュジンサマはあまり乗り気じゃないみたいだけど、
私の望みを聞いてくれた。とてもうれしい。

それに、サイクロプスのリラさんとも仲良くなれました。



フェムノス「リエン、そろそろ降りたらどうだ?」

リエン「…?」

リラ「いい、せっかく仲良くなったから、もっと乗っていていい。」

ニシカ「リラさんの肩、そんなに乗り心地がいいんだ…」

キリュウ「さすがにあっしらは真似できませんや。」

フェムノス「すまないな。」

リラ「ううん。それに、こうしてると、私も楽しい。」



リラさんの肩から見た景色は、まるで自分で飛んでいるようだった。

11/03/16 13:39更新 / バーソロミュ
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■作者メッセージ

収録を終えて


みなさんごきげんようございます。エンジェルのユリアです。
この度は『スーパー クレールヘン シスターズ!!』を
読んでいただいてまことにありがとうございます!

バトルの形式が、たんがん様の要望と少し違いましたが、
みんなで和気藹々と楽しむにはこちらがいいかと思いまして
独断で変更させていただきました。ご了承ください。

また、リエンさんは様々な制約がかかっていたため
表現に苦労いたしましたが、なんとかリエンさんもラジオに
参加してもらうことが出来たのではないでしょうか?
夢見月様も多少の不満がございますでしょうが、
どうかご容赦ください。

そして今回は笑いの成分が少なめでしたが、
その代り、他者同士の交流に力を置いてみました。
個人的に、サイクロプスのリラさんの肩の上に
リエンさんを乗せる光景を何度も思い浮かべて
勝手に和んでいました、
それが今回実現できたので、とても嬉しかったです。


さて、お便りはまだまだ大募集いたします!
ゲストの紹介や、ネタの提供をどしどしお寄せ下さい!
バトルに関しては、指定がなければこちらで考えるので
無理に考えな個手も結構です。
逆に、バトル内容のみの投稿もOKです!

次回のゲストは、星村空理さんと立宮美核さんのお二人です!
人間と稲荷のペアだそうです!楽しみですね!
それと同時に、星村様から頂いたネタは
次回に全部使いますのでよろしくお願いします。



では以上、ユリアからでした!
本編「英雄の羽」もよろしくおねがいします。

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