最初から今まで
―― Prologue ―― 約22年前、とある街の病院。 「そちらもご懐妊か?」 「ええ。すごい偶然ね」 茶髪と黒髪、二人の女性が談笑していた。 実はこの二人、お隣り同士の主婦友達である。 「これも何かの縁、お互い妊婦どうし、協力していこう」 「そうね。あらためて今後ともよろしく」 「ああ、よろしく」 と、そこで茶髪の女性が悪戯っぽい笑みを浮かべる。 「ところで、もし私の子が男の子だったら、未来の婿にどう?」 「気が早すぎるだろう。何年先の話なんだ」 「でも、計画を立てるのはあなたの特技でしょ?」 「む。それは……そうだが」 「楽しみね――幼い頃から姉弟のように育った2人。で、だんだんとお互いを異性として意識し始めて……きゃっ♪」 「いや、まだ男が生まれると決まったわけでもないだろうに……」 どんどん妄想を膨らませる友人に、黒髪の女性は苦笑しきりだった。 この会話が、すべての始まり――。 |
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