birth
魔王暦XXXX年、兼ねてより高まった魔王の魔力により、 神の影響が薄れる皆既日食を狙い、魔王はある儀式の敢行に踏み切る。 その儀式が成功した暁には、彼女は男児を授かるのだ。 主神の定めた理を覆し、ついに人と魔物の種としての統合が果されようとしていた。 一度綻びた糸は脆くなる。破られたルールはその効力を弱め、 しだいに魔王以外の魔物もインキュバスが出産可能になっていく。 そうなれば教団は魔物と争う大義名分を失う。 そしてそれは同時に主神が魔王に敗北した事を意味するのである。 主神と教団上層部は何としてもこの儀式を阻止すべく、 なりふり構わず影響のある国々から戦力を掻き集め、 史上空前の規模での侵攻作戦を実行するのであった。 それに対し、魔王軍は親魔物国家やジパングなどに協力を仰ぎ、 各地に散らばる強力な魔物達などを集めつつ、 迎撃の準備をちゃくちゃくと進めるのであった。 総合的な力で圧倒するものの敵の規模は段違いであり、 またこちらは人死にを出すような大規模破壊を禁じられた状態である。 来る日食に向けて、そんな両陣営の戦いが始まろうとしていた。 |
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