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操霊術師マイの受難
ガチャ
扉が開く音がする。
「……ノックしてって言ったじゃん」
振り向くと扉の前にお母さんが立っていた。
「そうだっけ……?
まぁいいじゃん、気にすんなって」
こんなのが母親って……めんどくさい。
「……で、何か用事があるんじゃないの?」
「ああ、そうだった」
お母さんはエプロンのポケットから封筒を取り出す。
「マイ宛ての手紙だよ」
「……は?」
「はい、じゃあね」
彼女は部屋から去っていった。
残されたのは私宛ての封筒とそれを見て硬直する私……。
「ゆ、夢じゃないよね……?」
頬を引っ張ってみる。
……痛い。
「初めてだ……」
生まれて初めて手紙が来た。
人付き合いが完全に無くなった、リッチになってから。
封筒を胸に抱いてベッドの上を転がりまわる。
私は嬉しくて仕方がなかった。

「よし……開けてみよう」
封筒の口を慎重に切る。
中から出て来たのは金糸で装飾が施された羊皮紙。
「……マーリン魔術学校?」
そこには来期から学校に来てほしいと書かれていた。
「なぜ私に手紙が来たんだろう……?」
私が優秀な魔術師だからだろうか?
「まぁ、いっか」
疑念より嬉しさが勝った私はそのまま眠りについた。

重要な一文を読み忘れていることを知らずに……。
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