異世界放浪記 %02 c=15d %02 c=15d %02 c=15d %02 c=15d %02 c=15d %02 c=15d %02 c=15d %02 c=15d %02 c=15d %02 c=15d %02 c=15d %02 c=15d %02 c=15d

落とし物

あぁ、私は今・・・極限状態という奴に直面している。
なぁ〜神様・・・アナタは善人ですか?悪人ですか?
こんな修羅場、嬉しいけど悲しいですよ・・・?
二人の"人外"美人娘に板挟みにされて・・・

そもそもの始まりは、こんな世界に墜ちたからであるが・・・
なんともムズ痒い・・・


「マスター・・・浮気・・・!?」
「いや・・・違うんだ。コレには滅茶苦茶深い理由がありまして・・・」
「嫌い・・・」
「ハゥっ・・・」

ガーンと軽い悲しみが押し寄せてくる。
いや、全く軽くない・・・
そこそこ大ダメージかも・・・
元々口数が少ない方のリアが遂にソッポ向き始めてしまった・・・
ルールー曰く、サハギン種では珍しくそれなりに喋ってはいたようだが、今となっては悲しいかな昔の事やん?

「ダーリン、お昼にしましょう。今日の食事はバランスの取れた感じのお弁当にしてみました」
「・・・うん、ありがと・・・」
「折角ですし、三人でピクニックにでも」
「・・・嫌。」
「・・・そうですか?では、ダーリン行きましょう。」
「・・・あぁ、解った・・・」

ジメジメとした洞窟を後ろめたく振り返りながら、ルールーに手を引かれ出ていく。

「ダーリン、彼女が行かないと言ったんです。気にすることは無いでしょう?」
「でも、あの子は独りぼっちだったから・・・」
「・・・?」
「俺と出会う前は一人だった。家族もいない、同居人もいない、ご飯をくれる人も、優しくしてくれる人もいない・・・」
「それは貴方のせいではないでしょう?」
「好き・・・なんだと思う。リアの事もルーテシアの事も。」
「浮気者と言われて、嫌われても・・・ですか?」
「うん。それに・・・責任は取らなくちゃ・・・」
「ダーリンは人が良いというか、甘いと言いますか・・・まぁ、そんなダーリンが大好きなんですよリアちゃんも。」
「ありがとう、ルーテシア」

そういい、そっと唇を重ねる。

「絶対に返さないとな、俺に寄せてくれる想いの分だけの信用と愛を」
「じゃぁ、する事は解ってますよね?」
「・・・それは、いや・・・ちょっと・・・教えてください^^;」
「はぁ〜誘うんですよ、「一緒にピクニックに行こう」って・・・」
「なるほど・・・ありがとう><」
「良いなぁ〜あの子はダーリンを夢中にさせられて・・・」
「ルールーの事も好きだよ?優しいし頼れるし料理上手だし。」
「でも、私は魚は苦手です。生臭い・・・ダーリンのイカ臭いのは好きだけど///」
「ウボッ!?・・・(o o;)」
「ワン?(0ω0 )」
「と、取り合えず言って来ます・・・」

スタスタと洞窟内へ戻り、リアの方へと足を向ける。
体操座りで後ろを向き・・・まったくコチラへ興味を示さない・・・
うぅ・・・不幸だ・・・

「り、リア・・・」
「・・・嫌い、あっちに行って。」
「・・・寂しかったんだよね、ずっと一人でお留守番してて・・・」
「寂しくなんか・・・無いもん。」
「でも、泣いてるんだよね?」
「・・・・・・」
「俺は、リアが好きだ。最初遭った時は、正直少し怖かった。でも、好きになった・・・大好きなんだ!」

ハッキリと、少しの迷いも無い澄みきった声で断言した。
その想いが通じたのか、リアはゆっくりとコチラを見てくれた。

「だから、一緒にピクニックに行こうよ・・・ルーテシアも良い奴なんだ。だから・・・」

いきなり立ち上がり、タックルし押し倒された・・・

「次待たせたらホントに嫌いになるから!」
「でも、もう一人じゃないよね。俺が居なくなってもルールーが居る。どちらか一人なんて選べない。危険にも絶対に巻き込まない。でも絶対に二人の居る所に帰ってくる。ココが俺の家だから・・・」
「あの子、あたしのお姉ちゃん・・・?」
「そんな感じなのかな・・・?二人が仲良く待っててくれれば俺は必ず帰ってくるよ・・・」
「・・・・・・」

ゆっくりと起きあがり、手を握る。

「ルールーが待ってる、一緒に行こう。」
「・・・うん。」



「お待たせ、ルールー」
「はい♪」
「リア・・・」
「はぃ・・・?」
「・・・自己紹介。」
「あぁ、私はルーテシア。仲が良い人はルールーって呼びます。」
「・・・ルーちゃん?」
「それでも良いですよ、リアちゃん♪」
「ふぅ〜何とか成りましたな・・・(ボソ)」
「「?」」
「何でもない、さぁ〜どこ行くの・・・?」
「ココの先・・・水辺」
「あぁ〜あそこ・・・?良いね」
「ドコか良い心当たりが有るみたいですね、連れてってくれますか、リアちゃん?」
「うん・・・」

そう言い、ルーテシアの手を引き走り出す。

「アレはアレで結構いい感じ・・・?待ってよぉ〜・・・」

後ろを追いかけて走り出す。
ニコニコしたリアとルーテシアの顔がとても輝いて見える。
見取れてしまいそうだ・・・

「遅いですよ、ダーリン!!」
「老いていこルーちゃん♪」
「早いよ二人とも・・・」


ーそれから一時間経った頃ー
「ダーリンとリアちゃんの出会いってどんな感じだったんですか・・・?」
「・・・この辺に倒れそうな顔で水飲んでた・・・」
「仕方ないだろ、空から墜ちてきたんだぞ俺。生きてたのが奇跡だよ!そんで、長時間歩き疲れてたんだから・・・」
「どう頑張ったら空から墜ちてくるんですか!?」
「解らん。異世界から来た時点でビックリだよ・・・?その先のことを俺に聴かんでくれ・・・」
「まぁ、異世界から来たなら強いのも納得ですね。」
「ん?俺みたいな人間は珍しくないのか・・・?」
「はい、魔界と人間界が有る時点で異世界は認めざるを得ませんから・・・」
「魔界・・・?」
「はい、魔界です。私たちより魔力の強い魔物の巣窟・・・とでも言いますか・・・まぁ、行けないことも無いですが、サキュバスが支配している淫魔界なんて嫌ですし・・・」
「・・・マスター以外は考えられない。」
「そう言うことです♪」
「淫魔界・・・サキュバスが支配してるのか・・・」
「正確には、デュラハンやヴァンパイアなどの上級ボスなども居ますが、満月の晩にしか魔界とは繋がらないから安心です。あっちの人はプライドが高いですから、人間界に留まろうとは考えないでしょう。」
「・・・マスターはインキュバスに成らないの?」
「そう言えば、リアちゃんと交わったんですよね・・・?」
「・・・12回。」

少し勝ち誇った様子のリアにルーテシアがムッとする。

「・・・そうですか・・・ダーリンッ?」
「・・・はぃ?」
「こんな幼女に手を出すなんて変態ですね・・・ロリコンダーリンっ!!」
「数じゃないでしょ、心でしょ!さっきまでの仲の良さはどうしたんですか?もう仲間割れですか?」
「はぁ〜・・・でも12回もヤってて平気なんておかしいですね?ダーリンからは何の魔力も感じられませんね。」
「でも、なんか火とか出せるっぽいぞ?」
「あぁ〜ガーディアンマジックですね。」
「・・・この世界の人間に一つだけ憑く力。」
「人にだけ憑くらしいですよ。産まれた時から憑くらしいですね、親の力やレベルに左右されない個人の力です。」
「ふぅ〜ん・・・俺は【火】が使えるのか・・・ガーディアンマジック・・・守護魔法か・・・」
「そう言えば、ダーリンの世界にはどんな物があったんですか・・・?」
「うぅ〜ん・・・テレビって言う物があったよ。電波に乗せて映像が送れるんだ、四角い箱に映像が流れるんだ。」
「・・・映像・・・?」
「映像も解らない・・・か。頭の中にイメージが流れるのとかが映像で、良いのかな?」
「考えが筒抜けじゃないですか・・・!?」
「いや、そのイメージを本にしたりして、人にモノマネしてもらって、それを撮影して送るんだよ・・・四角い箱【テレビ】に・・・」
「・・・なんか難しい。」
「説明が難しいんだよね・・・そう言えば、この世界に墜ちる寸前に何かを掴んだはず・・・!」
「どうしたんです、急に?」
「リア、俺って最初どっちから来た・・・?」
「ん。」

そう言い、ピッと右斜め前を指す。
なんともな獣道である・・・

「ちょっと行ってくる。」
「何かあるんですか・・・?」
「うん、ナニか有るはず・・・良く解んないけど・・・」
「良く解んないのに行くんですか・・・またリアちゃんが怒っちゃいますよ・・・?」
「大丈夫、すぐ帰ってくるよ。超全力ダッシュでね」
「・・・待ってる・・・ルーちゃんと。」
「うん、ありがとう。」

立ち上がり、超疾走する。
3分で辞めた。
疲れた。

それから、一人でグチりながら進んでいく。
鬱蒼とした樹海の最深部と言えるほど奥に来た・・・
ガサガサと葉をかき分けて要約日の当たる場所へ出られる・・・?
顔を出した次に瞬間首筋に冷たいナニかが当たる。
ギラ付くこれは・・・刃?
心拍数があがる、汗が滝のように溢れ出す、震えて動けない・・・
全く気配がなかった・・・殺される?
誰に・・・!?
それが延びた先へゆっくりと目を向ける。
刃が延びた先には腕が見える。
手なんて無かった・・・
刃と腕が融着している・・・コイツも魔物?
良く見るとカマキリの様な姿をしている・・・

「チッ・・・紛らわしい。」

向けていた刃をゆっくり離しブゥンッと一振りし背を向ける。
まるで存在しない者のような扱い。
視界に入っていないような・・・

「まぁ、待てっ!!」

カラカラの喉から必死に声を振り絞り呼び止める。
数瞬の後にゆっくりと振り返る。
鋭い眼光に睨まれ竦み揚がりそうになる・・・

「何か用か・・・?」
「殺しかけて無言で立ち去るのか?」
「狩りの邪魔をするな。」
「俺はっ・・・!」
「名乗るな人間・・・面倒だ。首から上があるだけマシだろう?」
「後ろ・・・大熊が居るぞ?」
「気付いている。」

コチラを向いたまま後ろへ一閃。
空気を切り裂き、落ちていく葉を・・・樹木を切り裂き、熊の首を易々と切断する。
まるで見えていたかのように・・・
ゴロリと落ちた頭・・・
鮮血が雨のようにザァ〜ッと降り注ぐ。
体に降ってくる赤い雨・・・
自分の刃に付いた血をペロリと舐めて嬉しそうに微笑む。

「あぁ、美味い。」
「・・・・・・」
「今日は大物が掛かったな・・・」
「どうして・・・」
「解ったか・・・?」
「あぁ・・・」
「お前等人間は目に頼りすぎている。」
「お前は、頭の触覚で周りを見ている・・・?」
「あぁ、それと目を使っている。触覚で気配を悟り、目で確認する。」
「だから俺がくるのも解った・・・?」
「そして、人間だった。」
「人は襲わないのか・・・?」
「人を殺そうとする魔物は普通居ない。狂った奴はたまに居るがな・・・」
「この辺に何か落ちてなかったか・・・?」
「何か・・・とは?」
「解らない。ただ、何かが落ちてると思うんだが・・・」
「大切なものか・・・?」
「嫌・・・俺がこの辺に落ちた時に一緒に落ちたと思うんだが・・・」
「なるほど・・・あの時の感覚はお前だったのか・・・」
「お前は何者なんだよ・・・」
「この辺を縄張りに、狩りを生業にしている。人は私を暗殺者と呼ぶ・・・」
「ん〜マンティス種とか・・・?」
「あぁ、付いて来い。」

冗談で言ったのにあっさり肯定された・・・
あぁ・・・取り合えず、生きてて良かった。
もう少しであの大熊と同じになってた・・・

「それを持ってこい」

そう言い、枝木をヒョイヒョイ跳び渡る。
流石は暗殺者と呼ばれるだけ有る。
身のこなしが軽い・・・
熊を背負い、頭を片手で鷲掴みにして後を追う。

「あのぉ〜・・・待ってください。疲れたんですが・・・」
「・・・・・・」

ジト目で振り返り、ため息。
ドMには溜まんないだろうなぁ・・・

「何でもないです。」
「・・・・・・そうか。」

会話も質素に成ってきた・・・

「綺麗な手ですね・・・?」
「ほぅ・・・多少は目が効くようだな?」
「えっ?」
「私たちの種族の刃はサイクロプスが打つ名刀と同じかその上を行く。まぁ、アイツ等の名刀には非現実な能力が付与されているがな。」

・・・なんだか解らんが、お前も十分非現実なんだよね。

「貴様、名前は・・・?」
「・・・零人です。」
「この洞窟の中だ、零人」

気が付けば、目の前には山が大口を開けて待ち受けていた。

「貴様、見込みがあるな。」
「ありがとう・・・」
「お前が探していたのは多分コレだろう・・・?」
「ありがとう。」

大熊をドンと床に落とす。
代わりに長物を渡してくれる。
ズッシリと重い。

「中身は何だったです?」
「知らん。人の物を覗き見る趣味はない。」
「流石ですね・・・一流の中の一流ですね。」
「まぁ、見る必要もない。刀だろうな・・・」

包んでいる布を解くと予測通り日本刀が姿を現す。
鞘をしっかり握り、引き抜こうとしてみる。

「ふンッ!・・・・・・抜けない?」
「お前に才能がないのか・・・中で錆びてるのか・・・どちらでも良い、ソイツを持って帰ってくれ。」
「あ、あぁ・・・ありがとう。」

すっかり日が沈み始めていた・・・

「急いだ方が良いな・・・」


すぐにその場を後にして、もう一度樹海へ進んでいく。
変わった奴だったな・・・
でも・・・強い。
生きてるのが奇跡だ・・・
次は気をつけよう。
今回のようには行かないかも知れない。
もっと警戒しなければ・・・

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『落とし物』どうでしたか?

私的には今までにない自信作なのですが・・・

訂正、全部自信作です!(えぇ〜・・・
誤字脱字には十分注意してるけど大丈夫かな・・・?

でもまぁ〜、なんやかんやで一ヶ月に二回での更新で安定させようかなと思います。

あと、頂けたコメントもココで返させて貰おうかなぁ〜と思います。

名無し様
>「リザ娘襲来」を読んだ感想面白いので一つだけ、一つだけ聞かせて下さい「襲来?」で武器禁止と言っているのに「リザ娘襲来」で堂々とライカさんが剣を使って零人さんも何も言わないのはどういうことですか………え?気にすんな?失礼しました

リザ娘から武器取ったらオッパイ爬虫類じゃないですか!
そんなんタダのエロスなだけじゃ・・・(ry

コチラは挑戦者で相手は主催者側のスカウトさんですよ。
それに、挑戦者が普通に勝てる試合ならお金には成りませんよww
とかまぁ〜それなりの(後付けな)設定なんです!(ビシ

以上。

11/05/22 01:50 紫炎-sien-

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