異世界放浪記 %02 c=15d %02 c=15d %02 c=15d %02 c=15d %02 c=15d %02 c=15d %02 c=15d %02 c=15d %02 c=15d %02 c=15d %02 c=15d %02 c=15d %02 c=15d

傷口に塩塗り込まれると死んだ方がマシだと思えてくるのは末期だな。

肩が痛い。
だが、痛いのは俺がまだ生きていて、神経が通っている証拠だ・・・

何度も自分へと言い聞かせ、必死に痛みに耐えながらスフィアの肩を借りながら人目の少ない場所へと向かった。

「大丈夫か?」
「んっ、貧血で倒れそうなのが本音・・・」
「アンタ、バカだね。俺なんかの為に命張って・・・ホント、大馬鹿だ。」
「んな事言わんで下さいよぉ〜」

そう言いながら歩いてはいるが、滅茶苦茶痛いぞ!?
簡単に表現するなら、そうだなぁ・・・
『骨が灼けるようにジクジク痛んで、骨が皮膚を突き破って出てくるんじゃないか?』と言うような激痛。
それ以外に表現の仕方がない。

「あのぉ・・・ドコ向かってんです?」
「俺の知り合いに鬼医者がいるから、そこまで道案内してやる。」
「鬼医者・・・?」
「あぁ・・・こっから少し先に森がある。そこの洞窟に住んでる。」
「医者なら、街の方が儲かるんじゃ・・・?」
「魔物だからな。」
「そういや、街には魔物が少ないよな?俺が見たこと有るのは牛みたいな奴とか羊みたいな奴だけだ・・・」
「共生出来る魔物が居るように、共生出来ない魔物もいるんだ。大半は世界のどこかでヒッソリ暮らして、必要な時に男と交わったりするんだ。でも、魔力が強すぎる奴は魔界にいる。そして、魔界へ男を連れていく。」
「へぇ〜・・・なんか、複雑な事情があるんだな。」
「何も知らないんだな、ギルドの有名人が・・・」
「コッチはコッチで訳有りなんだよ・・・っ!!」

痛みが、増した?
・・・毒でも塗ってあったのか・・・
視界がボヤケてきた。

片膝をつき、荒い息を吐き出し熱を抑えようとする。
だが、正直前を見るのがやっとで立てない。
力がロクに入らない・・・

「ダメだ・・・もう、立つ力も残ってないみたいだ・・・」
「お、おい。チッ・・・こうなったのは俺のせいか・・・」
「お前以外いないだろ・・・?」
「仕方ない、背負ってやる。絶対諦めるなよ!」
「んなこたぁ〜分かってるけど・・・」

力ない一言。
喋るのが精一杯。




「分かるか?ココが森の入り口だ、少しは体が楽になるはずだ。」
「あぁ、確かにちょっと楽になってきた気がする・・・」
「ココは地の精霊と風の精霊が守護する数少ない聖域。不浄な者が入れば汚れてしまう、でもお前は大丈夫そうだ」
「なぜ言い切れるんです?」
「風の精霊、シルフが治癒の風を贈っている。」
「そうか・・・良く分からんが礼を言ってくれ。」
「自分で言う方が礼儀だろ?」
「そうか・・・」

「待て。」

「「?」」

「貴様、どう言うつもりだ!人間をこの聖域へ立ち入れるとは!!」

「チィ、面倒なのに見つかったか・・・」
「誰だ・・・?」
「エルフ族、人間を自分達より下と見なしてる種族だ。」
「うげぇ、不幸だ・・・」

「何をゴチャゴチャ言っている、この森を汚す前に一刻も早くこの地を去れ下郎が!!」

「コイツは怪我してんだ!医者に見せるんだよ!!」

「人間がどうして魔物の医者に診てもらう必要がある!?アンタもアンタで自分が何してるのか分かっているの?」

「当然だ、命の恩人を助けている。それだけだ!!」

「命の・・・恩人?」

「あのぉ〜・・・すいません、ココを通してもらえませんか?この聖域の風は俺を心配してくれてるらしいんです。だから、速く医者に見せてシルフさんにお礼を言わないと・・・」
「だ、そうだ。この森の精霊が下した判断にお前がケチをつけるのか?」

「精霊が良いって言うなら仕方ないわね・・・べ、別にアンタを通しても良いとは思ってないんだからね!」

とは言うものの、なぜか誘うような動き・・・
男を誘惑するような気配。
それを無視し、スフィアは歩みを進めた。

ツンデレか・・・?
まぁ、可愛い事は肯定しよう。

「ふぅ〜なんとか面倒なのはやり過ごせたが・・・」
「どうした?」
「道に迷った・・・」
「はい・・・?」
「道に、迷ったようだ・・・」
「冗談・・・ですよね?」
「マジだ。」


それから何分が過ぎたのだろうか・・・?
日が落ち始め、太陽な綺麗な朱色へと染まりきっている。
この世界の夕日は綺麗だと思う。
元の世界より美しく、大きく、暖かい・・・

「どうした?」
「夕日が、綺麗だと思って・・・」
「・・・そうだな。」
「・・・・・・」
「あ、思い出した。」
「何を?」
「洞窟の位置、思い出した。」
「!・・・マジか?」
「急ぐぞ、振り落とされるなよ!?」

ダッと走り出したスフィアへしっかり抱き付き離れないように踏ん張る。
じきに肩の痛みが和らぐと想像しただけで一気に活力が増してきた。


「ココだ!」
「ココが・・・」

洞窟の前で堂々と立ち、ゆっくり一歩を踏み出した。
それから大声で洞窟へ叫んだ

「おぉ〜いヴェル〜居るかぁ〜!?」

「あぁ!?誰だ、アタシを呼んだのは?」

「俺だ、スフィアだ。患者を連れてきた!」

「入れぇ〜!!」

許しが出たので、スフィアは洞窟へと歩みを進めた。
さぁ、どんな鬼医者が出てくるのだろうか・・・?
入ってみてビックリしたのは二点。 
一点目、正真正銘の鬼だった・・・
赤鬼さんだった。 
壁にはトゲ付き棍棒が立て掛けて有る。 

二点目、酒を大事そうに掴んで一気に煽っている。 アレだ、一升瓶って奴だ。
中身は何なんだろう? 
焼酎か何かか・・・?


「おぉ〜スフィア久しぶりじゃねぇ〜か」
「あぁ、そうだな。」
「男連れなんて珍しい。しかも、一方的に拉致った様には見えねぇ〜な」
「言っただろ、患者だ。」
「患者ねぇ〜怪我か病気か・・・」

頭を掻きながら頭を捻る。
首をパキパキ鳴らし、診察準備を始める。
こんな医者で大丈夫なのだろうか・・・? 

「診察台に寝てろ。」
「・・・あぁ、はい。」


酒臭い。 
しかも、こんな酔っ払いに診察が出来るのか心配だ。
弾の除去作業って、皮膚から取り出すときピンセット使うんだよな? 
手先が震えて傷口に当たったらどうしよう・・・
絶対に痛いよ。
激痛に耐える為の心の準備でもしとこう・・・
酒好きの赤鬼とか俺は聞いてない・・・


「んでぇ〜容体はぁ〜?」
「左肩に鉛の塊が埋まってます・・・」
「鉛の塊・・・?んなもんがどうして・・・」

少し真剣な顔になった
顎に手を当て、眉をひそめる。
それからフムフムと独りでに納得し、器材を用意し始める。


「少々荒療治ではあるが、仕方ない。歯ァ〜食い縛れよ?」
「・・・はい?」

酒を口に含み、一気に傷口へ吹き付けた。
直後に、器材へも吹き掛け傷口へ突っ込んだ。


「ニギャァアアアアアアアアアアアアっ!!!???」
「あぁ〜うっせ」
「ちょっ、マジ無理マジ無理マジ無理ぃ〜〜〜!!死ぬってマジでぇ〜〜〜」
「暴れるなっ、この野郎!!」
「嫌ァ〜止めてぇ〜〜〜お願いエグらないでぇ〜」
「スフィア、押さえてろ!」

「ヘイヘイ」

「放せスフィア、俺が死ぬ!!」
「放したらお前も殺す。」
「うわぁー殺されるー(棒読み)」
「・・・俺が殺されるのか・・・イデェ〜〜〜〜〜ッ!!」





数分間の格闘の後に開放された。
黄色い体液が糸を引いていたが、今は綺麗に包帯が巻かれ左肩は固定されてしまった。


「確かに腕は確かなんですが・・・痛みは何とか成らなかったんですか・・・?」
「んなこたぁ〜どうでも良いだろ?結果が全てだ。」
「なんなのこの子、もうやだ。あたし帰る!」
「落ち着けレイト」
「帰る前に御代なんだが」
「はっ!あの激痛な上に金取るの?」
「金はいらねぇ〜よ、晩酌に付き合えよ」
「アンタもう十分飲んでるだろ、もう寝ろよ?」
「お前の言いたい事は良く解かった、だが断る!」
「レイト諦めろ。」
「むぅ・・・」
「まぁ〜お前も一杯飲めよ」

そう言い、酒ビンを無理矢理口へと突っ込んできた。
ゴキュゴキュっと飲んでいき・・・
あぁ、その先の事が思い出せない。


急に目が覚め、起き上がった。
どうやら俺は寝てしまっていたようだ・・・
左右を向くと、裸の二人が転がっている。
頭はズキズキする。
これが二日酔いと言う奴か・・・


それにしても、まさか女性を傷物にするなんて・・・
どうしよう、もう取り返しがつかないよ!!!


「ふぁぁ〜〜〜んっ、良く寝た。」

そうこうしている内に緑の方が起きた。


「レイトおはよう。昨日は激しかったな、最高だった」

ウットリとした表情でこちらへ笑いかけてきた。
続いて赤い方が目を覚ました。

「よぉ〜お前のおかげで元気な子が産まれそうだ」


自分の御腹を擦り、こちらへ『責任取れや』顔でハニカんでる。


「あのぉ・・・俺、中に出しました?」
「当然だろ。」
「いっぱい出してたよ。」
「あのぉ、ごめんなさい。勘弁してください!!」


土下座で必死に謝る。
ただひたすらに頭を地面へと擦り付けて謝る。


「何してんだレイト?」
「頭を地面に擦り付けて、気でも狂ったのか・・・?」
「いや、その・・・責任を取らなければならないかと・・・」
「あぁ〜?こまけぇ〜事気にすんなよ。気が向いたらいつでも診察してやるからいつでも遊びに来いよ、いつでも歓迎だ。さぁ〜行った行った」
「と、言うことだ。」
「でも、スフィアはどうすんだ?またアイツ等に絡まれたら・・・?」
「その心配はねぇ〜だろ、精霊や魔物達しか居ない山だぜ?それよりお前の帰りに気をつけろ」
「あ、あぁサンキュな」


なんだかんだで、良い奴等だったと思う。
なんか親近感。
洞窟の入り口で手を振ってお見送りしてくれてるし。


「じゃぁ〜なぁ〜」
「また来いよぉ〜」

「ありがとう、またいつか!!」


見えなくなるまで振り続けた。
そして、問題が発生した。
帰り道が解からん。

取り敢えずは、風の精霊シルフさんに礼を言うべきか。
どこに居るんだろう?
風が吹く場所でも探せと・・・?
でも、地形も解からん。


「なんだ、迷子か?」
「フェ?」

後ろを振り返ると、上半身は美人な女性。
下半身はなんともたくましい馬さん。
これは、ケンタウロス?

「いやぁ、あの・・・」
「この聖域に踏み込むとは、覚悟は出来ているのか・・・?」
「ま、待って。」
「問答無用!」

弓を握り、弦を取り掛けた。
スッと大三の位置まで持って行き、グゥ〜ッと引き分けた。
妻手を放し、矢がこちらへと高速接近してくる・・・

「っ!!」
「なにっ!?」

矢はヒュンと頬をかすめ、木に突き刺さった。
矢は目の前で反れてしまったのだ・・・

「こんなことが・・・」
「何が起きたんだ・・・?」

『怪我は無い、お兄ちゃん?』

「君は・・・?」
「馬鹿者、風の精霊シルフ様だ!!」

『そんなに畏まらないでよぉ〜』

目の前には少しムスッと機嫌を損ねた少j・・・

幼女の姿があった。

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長らくお待たせしてしまいました。

下書き程度なら出来てたのですが、仕上がってないまま放置が何件か・・・

すぐアップします。


マナーに反しないスピードで


で、シルフの幼女感萌えぇ〜な件について←


以上です。

11/05/22 01:44 紫炎-sien-

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