連載小説
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アタシが女将ニャ!!(仮)
 
〜しっかり見張るんだニャン♪〜


ニャフフフフ・・・、天知る地知る人ぞ知る。全ての雄を知ってるニャン。アタシの目からは誰も逃れられないニャ。さぁ今こそアタシの真の力を発揮させてやる・・・

「はいはい・・わかったから早く手伝って頂戴」

「ミャァ〜〜〜ン♪」

「・・・そう、猫の振りしてやり過ごそうって魂胆なのね・・」

ニャフフフ・・・今のアタシは猫ニャ。誰からも縛られない自由な・・・

「にゃー助ー」

「!?」

「あら、聞こえなかったのかしら?それじゃあもう一回大きな声で呼んであげるわね♪・・・せーのっ!」

「やめるニャーー!人型に戻るニャ!アタシが悪かったからその名前で呼ばないで欲しいニャ!」

「聞こえてたなら返事する。いいわね、にゃーすけちゃん?」

「・・・ウニャニャ・・」

「お 返 事 は ?」

「誠心誠意頑張らせていただきますニャーー!!」

女将さん酷いニャ、アタシがまだ本当の猫だった頃に間違って付けられた名前で呼ぶなんて卑怯だニャ。雌なのに雄みたいに『にゃー助』だなんて呼ばれてあんまりだったニャ。思い出したくない過去だニャ。良く見るのニャ。この艶々な毛並み、しなやかな足、皆の憧れハート作りの尻尾、誰からも好かれる美少女ニャンコ。凄いニャろ?惚れた?惚れたニャろ?

「・・・」

女将さんの無言の圧力が怖いから仕事するニャ・・。まずは玄関の拭き掃除から頑張るニャ〜。

「ふにゃっ・・ニャニャ?下駄箱に忘れ物があったニャ。掃除が終わったら女将さんに届けるニャ」

此処と此処・・案外汚れてるんだニャー、もっと綺麗にしにゃいとお客来なくなっちゃうんだニャー。見て見て、頑張ってるアタシ可愛いニャろ?メロメロになったニャ?今なら三食昼寝付きで貰われてもいいんニャ?

「ニャニャッ!?いつのまにか拭き掃除終わってたニャ!アタシって天才だニャ!」

掃除終わったから早速女将さんに忘れ物届けるにゃ〜♪



「何か言う事は?」

「ごめんなさいニャ・・・」

アタシは悪くないニャ・・、女将さんに急いで忘れ物届けようとして・・

「届けてくれたのは嬉しいんだけどね、・・・急ぎすぎて転んだ挙句、私の顔に向かって忘れ物を投げるのってどうしてかしらね」

誤解なのニャ・・、転んだ拍子にたまたま手からすっぽ抜けて飛んでいっただけにゃにょにゃ・・。

「ま、いいわ。お買い物のついでに忘れ物を届けてくるから、その間だけ番台お願いするわね」

「ニャニャッ!?アタシが番台するのニャ!?」

「大丈夫よ、すぐに帰ってくるから・・それじゃあお願いねー」


あああ・・・行っちゃったニャ。しょうがにゃいから番台に座るニャ。座布団気持ちいいにゃ。



「いらっしゃいニャー、200円なんだニャー」

「いらっしゃいニャー、200円なんだニャー」

いらっしゃいニャーだけでラクチンなんだニャ♪これはもう今日からアタシが女将だニャ。ぅにゃ・・ラクチン過ぎて眠くなってきたにゃぁ・・・。


「ん??女将さん居ない?って、猫が番台で寝てるだけか・・・」

うにゅにゅ・・・今いいとこなんだから五月蝿いニャァ・・。

「しょうがないなー、女将さんなら解ってくれるだろうし後払いでいいか」

そうそう・・そんにゃにょは後でいいニャ。


ダメなのニャーーーー!!


今の人待つんだニャーーー!!無銭飲食じゃニャイ!無銭入浴なのニャ!ニャニャニャッ!?



「ただいま〜、あら?あの子何を慌てて・・?」




「猫?」

「女将さんとこの猫じゃないか」

「ほ〜ら、こっちこーい・・・チッチッチッ・・」

にゃ・・・にゃぅぅ♪いっぱいブラブラしてるニャーー♪天国だニャ〜〜♥にゅへへへへ、役得ニャ。そこニャ〜・・喉ゴロゴロ気持ちいいのニャー♪尻尾もナデナデされたら我慢出来ないのにゃ〜♪


ニャッ!!こんな事してる場合じゃないのニャ!さっきの人は・・・!

居たニャ!早く捕まえて女将さんに突き出して・・・・ニャァァァァ〜〜〜♥凄くぶらんぶらんしてるニャ〜。それに・・結構好みの男ニャ〜〜・・


-カララララララ・・・・パタン-

ニャニャーーッ!ぼーっとしてたら入られてしまったニャ!どうするニャ!?どうするニャ!?そうニャ、あの男が脱いだ籠の中で待っておけばいいんだニャン。アタシって頭いいニャ〜。

「・・・(トントン)」

誰ニャ?アタシは今から見張り番なのニャ。

「・・・(トントン)」

にゃーー、もう!・・スライムにゃん?にゃに?その服洗うから貸してくれニャのか?

「・・・(コクコク)」

わかったニャ、アタシはここで見張り番してるから洗ったらすぐ持ってくるニャ。

「♪」

本当にわかったのかニャ〜・・・、ちょっとだけ心配だけど此処で待つしかニャいか。しかしニャ〜・・・此処は極楽ニャ〜・・・エヘ・・・エヘヘヘヘ・・・。


「ひっ!?なんだこの猫!?さっきから涎ダラダラしてるぞ!」

ち、違うのニャ!これは涎じゃニャイのニャ!アタシの正直な本能と真っ直ぐな欲望と純粋な心が直結しただけニャ!決していやらしい目で見てた訳じゃニャ・・・・エヘ♪エヘヘヘヘ・・・じゅるり♥

「うへぇ・・・変な猫だなあ・・」

しかし遅いにゃ〜・・お風呂なんて10分もあれば終わるニャ。さっさと上がってくるのニャ。


「・・・・・・・・」

眠い・・・ニャ。寝ちゃダメにゃぁ・・・、あの無銭入浴してるぶらんぶらん兄ちゃんを見張って・・。ぶらんぶらーん・・・・にゅへへへ♪



-カララララ・・・パタン-

「ん?なんで俺の服の上で猫が寝てるわけ?・・しかも涎と抜け毛が服に・・・」


ふにゃぅ・・・にゃんだかぶらーんぶらーんしてる気分にゃ〜。えへへ・・びろーん・・。




「起きなさい、ほら・・もう!」

「ギニャッ!?」

「女将さん、いくらなんでも猫にそこまで・・女の子に!?猫又だったのか!」

「痛いニャァー・・尻尾千切れるかと思ったにゃぁ・・・って、無銭入浴ニャ、ニャブゥッ!!」

「全くこの子は・・入浴料金ならもう頂いてるわよ。番台に私が居なくて猫が寝てただけって言ってたから今頂いたのよ。・・・・ねぇ、にゃー助ちゃん?御留守番お願いしてたのに猫の姿で堂々と寝てたみたいね?」

にゃっ!?違うのニャ!こ、これは・・あの、そにょ・・!たしゅけて・・そこのぶらんぶらん兄ちゃん!今助けてくれたら可愛い美少女猫娘からの好感度アップにゃ!

「別にちょっとぐらい寝ててもいいんじゃないですか?ほら、猫って大抵の銭湯じゃ絵が飾られてたりとか招き猫が置かれてたりとか・・それに居るだけで癒しになるじゃないですか」

いいニャいいニャ、もっと褒めてアタシを助けるニャ。

「まぁそうねぇ、千客万来って意味で飾るのが多いわよねー」

「だから少しぐらいなら目を瞑ってあげてもいいんじゃないですか?」

「そうニャそうニャ♪ぶらんぶらん兄ちゃんイイ事言ったニャ」

あにゃ?にゃんだか二人の視線が冷たいニャ?どうしてそんなに怖い顔するのニャ?

「にゃー助ちゃーん♪・・・ぶらんぶらんって何の事かしら?詳しく私に教えて欲しいなー?」

「良く考えたらずっと覗かれてたんだよな・・」

し・・シマッタニャ。うっかり口が滑ってしまったのにゃ。

「に、にゃぉ〜ん・・・♪」

「んふふふふ・・・都合の悪い時だけ猫のフリする子ってお姉さん大好きよ〜」

やばいニャ!目が本気ニャ!お仕置きだけは嫌ニャー!!助けてぶらんぶらん兄ちゃん!にゃんでもするから。

「あ、ちょちょっと、やめ・・ズボンに縋り付かないで・・アーーッ!!」

「ニャニャアーーッ!!」

「あら・・まぁ」

・・・・・ニャ・・・・ニャァァァァ〜〜〜、目の前にぶらんぶらん〜♥

「あ・・・失神してる」

「あら、ほんとねぇ」

にゃぁぁ〜〜・・・もういつ死んでも悔いは無いニャ〜♪

「猫になった・・」

「とりあえずズボン穿いたら?」

今日はいい夢見れそうにゃー、って痛いニャ!!!

「はーぃ、寝かせませーん。うちの規則を破った子にはオシオキが待ってまーす。にゃー助ちゃーん?男湯の覗きは・・何かしら?」

「・・・・・軽犯罪ですニャァ・・・・」

ううっ・・世知辛い世の中にゃ、覗いただけで軽犯罪は辛いのにゃぁ。ううっ・・うっ・・、うにゃぁぁぁ〜〜ん・・・・!!

「女将さんそこまで言わなくても」

「覗きって確か被害者に無償奉仕6ヶ月の刑だったかしらねー」

うにゃぁぁ〜〜ん・・・・うにゃ!?

「え、そうなの!?この子、うちのネコミミメイドになってくれるって事?」

「さ、頑張って半年間ビシバシしごいてもらいなさい」

「ニャニャァ・・・女将さん」

「・・・ネコミミメイドか。それもありだな」

「本人の許可も下りたようだし、半年間いってらっしゃいな」




         半年間頑張ってくるニャ♥



16/02/14 09:48更新 / ぷいぷい
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■作者メッセージ
大抵の銭湯には猫の置物や絵が飾ってますねー。私がよく行く銭湯は本物のニャンコが番台の座布団に座ってますけど

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