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俺の若様が生意気な理由

 “ギルド”とは何か。
 “ギルド”とは一般的には職業別の組合の事を指す。事務的な説明が許されるならば、各商工業者の間で相互扶助を行う為の仕組み、又は生産物の流通品質を管理する者達であり、封建制度下において特権的に秀でた集団の事だと言える。
 だが別の“ギルド”の方も一般大衆には知られている。“冒険者ギルド”と言えば民衆の幅広い困り事に対し、冒険者がクエストとして受領し、解決する仕組みだ。馴染み易く名前を上げるなら戦士ギルドと魔術師ギルドがある。人々は力仕事や危険なダンジョンへの潜入が必要なら先ず戦士ギルドに依頼を出すし、薬や魔法を必要とした時は魔術師ギルドに依頼を出すだろう。冒険者ギルドは地域と民衆の生活に根差した組織であると考えてもらっても構わない。
 但し、そんなギルドでも少し異質なのが盗賊ギルドだ。
 無論盗賊と言っても表だって盗みをやっている事を正当化しようという集団ではない。   手段の一つであるだけだ。主に街の自警団として犯罪者の取り締まりや治安維持、火消しなどといった業務を担っている一面の方が目立つ事もある。
 ただ思い違えないでほしいのは、盗賊ギルドが盗みばかりをしている訳ではないという事以上に、民衆からは至極当然忌避されている存在である事だ。自警団という字を見てボランティアで地域を護るヒーローと思える奴が居たら其奴は幸せな生活を営んでいるか世間知らずと言わざるを得ない。みかじめ料をせしめたり金で不正を見過ごしたりは未だ可愛いものだと思っていてもらいたい。根本的な体質が犯罪組織である事は間違っていないのだから。
 また、自警団をやっているだけあって盗賊ギルドに属する連中は腕っ節の強いごろつき崩れが多い。
 俺もその中の一人だ。目が合うだけで喧嘩になるような血の気の多い連中もいるが、その中でも俺は忠実にギルドに尽して真面目に働いているつもりだ。


    そうでなければ、今頃こんな目になど遭ってはいないのだ。
(11/10/25 22:58)
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