連載小説
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ふつかめ むじゃきな少女
※このSSには変態・ネタ的な成分が多く含まれます。読まれる方にとっては、イメージの崩壊に繋がる要素があるかもしれません。
あと、長いので、時間のある時にお読みください。
 それでもかまわない。という方だけお読みください。

 前回の予告でアリスのエロ(本番)があると言ったな。
 あれはウソだ。(ゴメンナサイ)













 俺は森の中で寝転がっていた。問題は体が動かないことと
 なぜか全裸。
 どういう状況だこれ。
 頭が少し動いたので空を見上げる。いい天気。しかし、横を向くと森は薄暗く不気味だ。

 しゅるしゅるしゅる

 何かが俺のペニスに絡みついてきた。なんぞこれ!! ウネウネしててなんか生暖かいし。
 え? ふつーこういうのって女性じゃないの、確か触手プレイとか「※くっころ系」(※女騎士:こんなエロい辱めを受けるのなら、くっ、ひと思いに、〇ろせっ! の略らしい)

 じゃねーよ!!
 くだらないことを考えているうちに触手っぽいのが、ペニスをしごきだしたよ!! 先端っぽいのが尿道口をつんつんしてるし、まずい、こんな事されてるのに気持ちいいぞ。しばらく抜いて無かったしな、……あ!
 
 びゅる、びゅるびゅるびゅるーーー!!

「きゃっ♪」

 気を抜いた瞬間だった。
 俺、汚されたわ。しかも相手は触手でした。ん、まてよ、なんか女の子の声しなかっただろうか?

 ぱちっ。
 
 あ、俺の家の天井だわー。良かったー夢オチかー、夢精とか久々だし、パンツ洗うのめんどくせーな……。

「ちゅぅぅぅーー、……んく…んく」
 それにしても生々しかったぜ、まだペニスが暖かいものに包まれてる感触が………。

「ちゅぱん……おひーたん、おひたーっ」
 え? アリスさん何してるんですか?
 その小さなお口にくわえてちゅーちゅーしてるのって俺の息子さんなんスけど。
「ちょぉぉぉぉ、何してる!! うおっ」
 やばいよ。これならまだ夢の方が良かった! 
 小さな女の子の口の中に出しちゃうとか、やっちまった。いや、やられたのは俺だけど!!
 
 どう考えても事案です。

「ちゅぅぅぅー、ぷはっ」
 と、とにかくアリスの行為を辞めさせないと、2発目が出ちゃうぅぅぅ!!
「アリスちゃん、やめて! 離して」
「こくこく……ごひほうはまでした♪」
 ペニスから口を離したアリスがぺこりとお辞儀をしてペニスに巻き付いていたしっぽも仕舞う。夢の中での触手の正体はしっぽだったのか!
「と、とにかく、その口の中のぺって出しちゃおうか」
 とっさにテッシュをアリスの口の前に差し出そうとしたが。
「あーーん、みへぇ、……」

 ごっくん♪

「むー、変なあじ〜……あはぁ…」
 小さい口をいっぱいに開けたかと思うと、あの精子独特の匂いが漂う。う わぁぁぁ、出しすぎだろ俺! てか、飲んじゃったのか!? アリスちゃんちょっと目がイッてる。
「だって、おにいちゃん起きないんだもん! アリスひまだったからおにいちゃんで遊んでたの」
 いやいや、ふつーは顔にラクガキとかそんなだよね? てか、遊ばれてたのかよ……。

遊びってレベルじゃねぇぞ!

「お顔におえかきしたり、つんつんしてー、そしたらおにいちゃんの、おちんちんさんが先に起きたから♪ それで遊んでたの」
 無邪気に笑うアリス、つーーーっと口の端から精子が垂れてる。これが子どもじゃなかったらエロかったのに! 背徳感はんぱねぇよ!
 あー、定番のラクガキはされてたのか……。

「おこった?」
「怒ってないよ」
 鏡にうつった自分の顔を見て更に驚く、ヒゲとか、でっかい目玉とかやりたい放題だった。なんじゃこりゃぁぁぁ!!!
「ねぇねぇ、やっぱりおこった?」
「お、怒ってな、って怒ったぞ!!」
「きゃっ♪」
 俺はアリスを押し倒すと、くすぐりの刑を執行する。
 うりうりうりうりうり、どうだーーーー!
「きゃははははは、おにいちゃん、そこだめぇーーー♪ あははははははっ」

 5分後

 はぁはぁ、と息を荒くして全身をベッドに投げ出している男女。お互い汗だくで顔が赤いことから、行為がいかに激しかったか、おわかりいただけるだろうか。
 どうみても事後です。ありがとうございました。

「はぁはぁ、おにいちゃんのはげしかったーー♪ 次はアリスのばんね。いっくよーーー」
「かかってこいやーーー!」

 もうテンションがおかしくなってた。

 さらに5分後


 ドンドンドン!!

「けーさつだ。ドアを開けなさい!!」


 ……俺はいままで何をして。
 
 玄関から響く音と声。
 とたんに我に返る俺。
 
 いつの間に脱いだのか、俺もアリスもすっぽんぽん!! 途中から記憶無いぞ。

 ドンドンドンドンドンドンドン!!

「こらー、中に居るのはわかっている。開けなさい」
 止める間もなくアリスが玄関に向かって掛けていく。
「ちょ……あああ!! せめて服を着てから…」

 ガチャン
 無情にもアリスがカギを開けたらしく。女性の警察官が入ってくる。


 終わった。
 短い人生だったナー。


 ぐちゃぐちゃになったベッド。全裸の俺とアリス。

「これは……なんとまぁ…」
「アリスね♪ おにいちゃんに遊んでもらっていたの!」
 全裸のアリスの頭を撫でながら、部屋の惨状を見てから俺の顔を見つめる女性警官。あああ、そんな目で見ないでくれぇぇ!!!

「うふふふ、そっか、遊んでもらっていたのね」
「うん、おねえちゃんも一緒にあそぼっ!」
「ごめんなさい、一応仕事中だから遊べないかなー」
 あれ? なんか2人の様子がおかしい ぞ? アリスの羽とか見ても驚かないし。
 あきらかにしょぼんとしたアリスが戻ってきたと思ったら、そのまま俺の膝が上に座る。やべぇ、ふとともあたたかくてぷにぷにだー。
 というか、服着てぇぇぇぇ!! これ以上俺に罪を重くするようなことしないでぇぇ!!!

「あらあら、すっかり仲良しさんですね。うらやましいです」
 体をくねくねさせながら女性警官が色っぽく言う。やっぱり、あきらかに変だ。
「あ、あのー」
「はぁい、なんですか、ロリコンのお・に・い・さ・ん♪」
 ぐはっ
 改めて言われると心が痛い。違うんです。むしろあなたくらいの女性が好みです! と言ったら、余計ややこしくなりそうなので言わないでおこう。
 アリスはぱっと俺の膝から降りるとどこかへとたたたっ駆けて行ってしまった。はて?
 ま、いっかー。それよりも……

「えっと、現行犯ですよね……」
「はい、バッチリです」
 その瞬間、女性警官の姿が変わる。制服はそのままで頭にはツノと背中にはしっぽが現れた、よく見るとアリスのあの姿にそっくりだ。
「あ、悪魔!」
「違いまーす。私はサキュバスです。そのご様子ですと、魔物娘はご存じないようですね」
「は、はぁ」
「こほん、とりあえず、顔を洗って、ぷーくすくす。なんですかそれー」
「これはアリスちゃんの仕業です!」
「くす、ごめんなさい。もうおかしくて。あー、それと服を着て欲しいですねー。……その、思わず襲ってしまいそうになるので(にやぁ)」
 明らかに発情した様子でサキュバスさんが言う。やばい、あの目は野生が解放されたフレ〇ズだ!! 
「た、食べないでください!!」
「んふふ、どうしようかしらー♪♪(じゅるり)」
 やばい、ちんこたってきた。ふらふらとサキュバスさんへと手が伸びる。

「だめーーーーーー!!」
 そこへ服を着て戻ってきた、アリスが俺とサキュバスさんの間に立ちふさがった。
 いい感じだったのに……。てか服を着てきたのね。
「おにいちゃんはアリスが…、えっと食べるの!」
 なんか物騒なことになってきたぞ。
 なんだよ食べるって!! 最初に言ったの俺だけど。

 とりあえず、ラクガキされた顔を綺麗にして、俺も服を着て、食べる食べないの話は終わった。……と信じよう。
 アリスは服を着てきた俺を見ると、当然のように膝に乗ってきて俺の腕を抱きしめる。
「おにいちゃんはアリスのだもん。おねえちゃんにはあげないもん!」
「うふふ、大丈夫よ。ちょっとからかっただけ、……さて、コホン、では魔物娘の話しますね」
 さっきの色っぽい様子から一変して、仕事モードになったのか、サキュバスさんによる説明が始まった。
 さりげなくアリスが「おにいちゃんは渡さない」アピールしてるし。どういう状況すか……。

……


「つまり、人間ではないんですね。あなたもそして隣のこの子も」
「はい、なのでエッチなことも問題ありません。ただし、暴力等が確認されたら、たっぷりお仕置きして搾りつくしちゃいますけどね♪」
 ペロリと舌を出して俺の股間を見つめるサキュバスさん、やばいまたペニスが

 ぎゅぅぅぅ
 それに気が付いたのか、アリスの握る力が強くなる。

「いたたた」
「もう、おにいちゃんったら」
「てか、なんで俺怒られてるの?」
「おにいちゃんのにぶちん!」
 ええー……ナニソレー。
 サキュバスさんは微笑ましい光景をみるようで楽しそうだ。というかさっきから完全に俺はからかわれてるし!
 サキュバスさんの話は更に続いた。町内に設置されていた防犯カメラでアリスと俺の行動がすでに監視されていたとのこと。
「この国では簡単に言うと、我々魔物娘の為の様々な対策・保護が現在進んでます。昨日のカメラの映像が確認されたので、私がここに派遣された。という訳です♪」
 人差し指を口に当てながらサキュバスさんは、ちょっと驚かせてしまってごめんなさい。と言う。

 本当に良かった。
 彼女が家に来た時は、まじ人生終わったかと思ったし。
「ふふ、安心されましたね。それとですねー。アリスちゃんのパパとママとお話できるわよ」
 俺が彼女にデレデレしたせいで、なぜかぷんすか怒っていたアリスの顔がみるみる笑顔になる。
「ほんとぉ、ありがとう! おねえちゃん」
「特別ですからね。きまぐれなハートの女王さまに感謝してください」
「はーい♪」
 ん、女王さま??
 それより、アリスの親が気になるぞ。 
「では、音声と映像を空中に投影します。そのままお話できますよ」
 なんか軽く言ってるけど、すごい技術じゃね? 魔物娘達の世界。まだよくわかんないけどさ。
 ぼんやりと影が形になっていく。
 そこに映し出された映像と音声は目を疑うものだった!!!

 アリスにそっくりな女の子が、男に後ろからペニスを突っ込まれてる。
 
 え? なんすかこれ?

 しかも2人とも体格差があるのに、女の子はすげーあんあん言ってて気持ちよさそうにしてるし!! 男性もすげー腰振りだ。
「あー、またやってる♪」
「あらあら、お邪魔だったかしら」
 え、アリスとサキュバスさんの反応おかしくね?

「やっほーアリス。……あん♪」
「ふぅっ! ふぅっ!! アリス、喜べ、もうすぐ妹がぁ……できるぞぉぉぉぉ!!!」
「あなたぁぁぁ、いいわぁ。もっとよぉ!! お腹の赤ちゃんにもっとぉ…せーえき飲ませてあげてぇぇぇーーー!!!」
 男の腰がぐっと女の子に押し付けられると同時に、入りきらなかったのか、精液がボタボタと床にこぼれ落ちる。すごい量だ……。
「やったーーー! 妹たのしみー。わーい♪」
「いいわねぇ。不思議の国、私も旦那を捕まえて行ってみたいわぁ。素敵……」

 両手を上げて喜ぶアリス、うっとりするサキュバス。
 俺はというと状況についていけません。
 なんすか、このすげー技術の無駄使いは、立体投影式の3DでAV見るとこんな感じなんだな。うん。

 俺の知らない世界はあれが日常なのだろうか。あれこれ考えているうちにアリス、つまり絶賛セックス中のアリスの母親と目があってしまった。ほんと双子みたいにそっくりだ。よだれ垂らして、アヘアヘしてるのは気にしない方向で!
「んふふ、あなたがアリスを保護してくれたお兄ちゃんね♪」
「は、はぁ、そうです」
「あん♪ もうあなたったら、今はアリスの大事な人とお話してるからだめよ」
 話をしているというのに相変わらず、2人はセックスを辞めようとしない。というか今度は母親が騎乗位でアリスの父に跨って腰を振ってるんですけどー……。すげー腰振り、妊婦さんプレイとかマニアックすぎだろ!!!
「感謝するわぁ。やっぱり娘には、あんっ♪ 旅を……ああん……させるものねぇぇ……あなたぁ早くぅぅぅ!!!……」
 ぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅっ!!
 女の子の腰振りが早すぎて画面にブロックノイズはいってるぞ、はは、これならモザイクいらないね! すごーい!!!
「お、おう、ま、また出るぞぉぉぉ!! おちんぽミルクたっぷり……なっ!! アリスが選んだ男なら大丈夫だ。ふんっ!! 安心して娘を任せられる……くぅぅ…出るぞっ!!!!」
「あはぁぁーーーーー、もっと突き上げてーーーー!! アリスのことーーー、よろしくねーーー。いくぅぅぅぅ!!!!」
 あんたら、セックスするか会話するかどっちかにできんのかい!!
 すごい突っ込みたい! もちろん拳的な意味でな!
 しかし、相手はアリスの親達だ。ぐっと我慢しよう。
 そういえば、サキュバスさんは……って、オナニーはじめてる!?……だと。
 アリスはずっとにこにこしてるし。
 もう収集つかなくね?

「………とにかく娘のことは頼んだぞ。たっぷり遊んであげてくれ」
「ばいばいーい、後でこっちにゆうか……じゃなくて、ご招待してあげるぅ♪ 待ってるわ! あなた次はまたバックね! あはぁぁぁーーーーーー!!」

「うん、たくさんおにいちゃんと遊ぶね! パパ、ママ」
 アリスがばいばいって手を振るとやっと、映像と音が消えた。

 なんだあの変態共は、すげー疲れた。アリスの親だっていうから緊張して待っていた俺の気持ちを返せ! もう帰りたいぜ!!

 あ、ここが俺ん家だった。

………
 
「たくさん良い物が見れましたね。ありがとうございました」
 サキュバスさん、なんか肌がつやつやしてる。
「うん、おねえちゃんありがとう!」
「という訳です。親公認ですよ! あ、そうそう騒音には注意してくださいね。今の映像と音は魔力で結界を一時的に張ったので問題ありませんが」
「は、はぁ……ソウデスカ」
 それと、サキュバスさんが魔物娘図鑑という本と、なぜか近所の魔物娘専門のホテルリストというのも渡してくれた。
「では、わたしはこれで失礼します」
 いつの間にか人間の姿に戻った彼女がにこっとしながら出ていく。
 ぽかーんしながら見送る俺。
 アリスは彼女の姿が見えなくなるまで手を振っていた。しっぽも合わせてふりふりしてて可愛いな……。
 

 はっ! だまされるな俺、さっきの親たちの子どもだぞ、魔物娘……アリスの笑顔がそのまま小悪魔的なものに見えてきた。

「ねえ、おにいちゃん」
「はい、なんでしょうか?」
 ビクッと体を震わせて返事をする俺。思わず敬語になるのは仕方ない。

「おなかすいたー…」
 アリスがくてぇ、と力無く女の子座りしたかと思うと、くー、と小さくお腹の音が鳴った。
「そういえば、色々あって、何も食べてなかったな」
「んーとね。ケーキが食べたい」
 上目遣いで訴えるアリス。
 あざとい。でも、こういう仕草が普通なのかもしれないし。……どうもさっきの親達の印象がすごすぎて、何か裏があるんじゃないかと考えてしまう。
 とにかくお腹が空いてるのは俺もなので、台所で何か無いか探す。
お。これは!
「ホットケーキなら作れそうだ」
「やったー」
 わーいと服を脱いでから部屋をくるくる回りだすアリス。
 待て、なぜ脱いだし!?

「あのー、アリスさん?」
「なーにー♪」
 急停止して、俺の手を握ったかと思えばとぶんぶんと楽しそうにふる。やっぱり家族と話ができて嬉しかったんだろう。
 って! 服。

「服は着ましょう」
「んとね。汗かいちゃったから」
「まじかよ。……あーYシャツならまだあるか」
「ふふふ、おにいちゃんの服ー、げっとー」
 もう着替え終わったかと思って振りかえったが、アリスは、裸のままで俺の服に顔を埋めて嬉しそうにしてるし、あああ、早く着て欲しいなんか心臓バクバク言ってるし、やっぱさっきの映像とか、あとサキュバスさんのオナニー見ちゃったし……。
 そうだ。断じて、アリスの裸を見てしまったからではない。うん!
「おにいちゃん?」
 そうだ。ホットケーキを作らないと、アリスに見つめられて、なぜかまた勃起した
のを隠すように前かがみで台所に向かうのだった。

……

「よし、できた」
 相変わらずパッケージの見本の通りにふっくらはできないが、それでも最近作った中では一番であろう物が完成した。さっそくお皿に乗せて持っていくと、すでにナイフとフォークを持ってアリスが待っていた。
「おいしそー」
 一瞬、なぜか俺の股間にアリスの視線がいったのは気のせいだろ。皿をテーブルに置くときに危なく手を滑らせるところだったぜ……。
 同時にアリスがはちみつをたっぷりと掛け始める。
「おにいちゃんもいっしょに食べよ?」
「そうだな」
 俺が座るとなぜかアリスが膝の上に乗ってきた。
 更にナイフとフォークでホットケーキを器用に切り始める。はて?
「よし、かんせい。はい、おにいちゃん、あーん」
 は?
 アリスが振り返ったかと思うと、フォークには一口サイズのケーキが……
 へ? なんすか、これってよくバカップルがイチャコラやってるアレすか??
「おにいちゃん?」
 やばい、はちみつがこぼれる!

 ぱくっ

 あ、思わず食べちゃった。
 おおう、やっぱり上手くできていたようだ。
「アリスもアリスもっ!」
 小さな口をいっぱいに開けてあーんとするアリス。ま、いいか、楽しそうだし。
「あ、あーん」
 小さくしたケーキを口に入れてあげると、アリスが俺の膝の上で腰をもぞもぞ動いた。ちょ、動かれると刺激が。
「んんぅ! おいしー♪」
 わざとか!? わざとなのか!??
 と思ったが、無邪気に笑って美味しそうにケーキをもぐもぐするアリスを見てるとやっぱり無意識の行動らしい。やだー
「おにいちゃんつぎー」
「お、おう」
「あーん♪」


 結局、食べ終わるまで、この恥ずかしい食べさせ合いは続いた。

「ごちそうさまでした」
「ん、お粗末さまでした」
 アリスの口についたはちみつをおしぼりでとってあげる。
「あ、おにいちゃんもついてるよ」
「まじか」

ペロッ、ちゅっ…

「んー、あまい♪」
 ぽかんとする俺、えっへんと無い胸をそらすアリス。
 え、さりげなくキスされたんですけど
「あらためて、ごちそうさまでした♪」
 しっぽをうねうね、羽を嬉しそうにぱたぱた動かしながら、顔を真っ赤にするアリス。
「!!!???」
 ぽんっと俺から離れると、ぺろっと小さな舌を出してまた何処かへ駆けていくアリス。

「やられた……」

 ピッ!
 ん、自動洗濯機の音が、そっか脱いだ服を洗いにいったのか、いつの間に覚えたのやら。
 あー、やべ、顔、熱い。

……(ドクン)

 何か、心の中で動いた気がしたが気のせいだ。
 お皿とフライパンを洗い終えるとアリスが近づいてきた。というか、アリスの顔も赤く、とんがった耳の先まで真っ赤だった。

……アリスはアリスで意識しているのだろうか
 あー、なんだかよくわかんない。さっきから変だなー。
「ねえ、おにいちゃん、あそぼー」
 ハッと我に返る俺。
 今、何考えてたっけ? アリスを見るとどこから探し出したのかトランプを持っている。
「どうすっかな」
「はいはい! アリス、しんけーすいじゃくがいいです」
「ほほぅ、いいぞ」
 手を挙げて即答だった。
 くくく、俺もこの手のゲームの記憶力には自信があるぜ。

……


「やったーー。これでアリスが10回かったー!!! おにいちゃんよわーい」
「まじか……」
 え、アリスちゃんってば、強すぎじゃね? 手加減とか考えてた時期が俺にもありました。
「んふふー♪」
 アリスの笑顔があやしくなる……。
「アリスに負けちゃったおにいちゃんには、ばつゲームね♪」
 ぎゅぅぅぅ、急に俺に抱き着いてくるアリス。なんだ、罰ゲームって、嫌な予感しかしないんだけど。
「アリスさんや、罰ゲームはなんでしょうか…」
 ガクブルで尋ねるが返事がない。頭をぐりぐりと俺の胸に擦りつけてくるのでツノが当たってちょっと痛いし。
「ん? このままアリスをぎゅっとするのがばつゲームだよ」
「は?」
 イミワカンナイよー?
「もう、こうっ!」
 俺をたまたま近くにあったベッドに座らせるとまた膝の上に乗ってくるアリス、てか、今度は手も足もがっしりと俺に巻き付けてより密着してくる。
「おにいちゃんもだよ」
「熱くないか?」
「んー、ぜんぜん、このままコロンってお昼寝しよっ♪」
 え? という間もなくベッドに横にされる俺、とりあえず、アリスの言う通り、ぎゅっと抱きしめてあげる。

「うんうん、よろしい。……えっと、ばつゲームだからねっ」
 いたずらっぽく言ったかと思えば、アリスの頬が少し赤い気がする。
「ま、いいか」
 負けたのは俺だし。

 アリスの負担にならないように抱きしめ直す。こちらの意図がわかったのかアリスも体を動かす。
 アリスからは甘い香りとちょっと汗の匂い、と言っても全然不快ではなく。抱きしめているのに、逆になにかに包まれているような不思議な感覚が俺に伝わる。

「……」
「すぅ……」

 しばらく2人でそうしていただろうか、電話の音で目が覚めた。アリスは熟睡しているようだったので、起こさないようにそっとベッドから抜け出す。

「はい、もしもし」
「あ、お邪魔じゃなかったですかー。うふふふふふ」
 さっきお世話になったサキュバスさんからだった。すごく楽しそうだ。
「ちょ、何もないですよ。今、あの子は寝ちゃってます」
「そうですか、ちょっと女の子同士でお話したかったけど、諦めますねー」
「大事な要件だったら起こしますけど?」
「あ、大丈夫です。それは別のことなので。実はあなたのことで連絡事項がありましたのでそっちからお話しますねー」
「は、はぁ」
「色々と調べさせていただきました。お勤め先の事とかです。会社は明日から休みです」
「は?」
「というか、もう出勤は無いです。退職ですねー」
「ど、どういうことですかっ!」
「落ち着いてください。実はですね。あの会社、かなーり問題がありまして、別の部署の魔物娘が現在も動いてます」
 サキュバスさんの話を要約するとこうだ。俺の身辺調査の名目でまず会社を調べたらしい。そしたら、労働時間、勤務状況、管理や運営、はたまた取引先の会社名まで出てきて驚いた。それよりも超過勤務・労働環境、さらに賄賂等、たくさんの違反行為が出てきた。というのだ。そんでもって俺は現在、アリスの親公認で、アリスの一時保護という大事な役目がある。このまま仕事を続けていたら、俺もやばいし、アリスの生活への支障もきたす。とのことで、裏で色々動いたらしい。ちなみにこのことを知っている社員以外も救済が行われるとのことだ。上で利益を牛耳っている連中はダークエルフという魔物娘のお世話になるらしい。よくわからないが。
「今、お兄さんの空いた席には、別の魔物娘が一時的に派遣される予定ですが、ちょっと遅れてます。ですが、ご安心ください。みんな幸せになれますよ…うふふー」
「……色々と驚きましたが、納得することもあります、確かに仕事の量が多いし、まあ、俺は入ったばかりだったので、あれがフツーかと思ってましたけど」
「とんでもありません。あれは異常ですよー。とにかくお兄さんのおかげでたくさんの人間と魔物娘が幸せになります」
 ん、他の人はともかく魔物娘にとっても何か都合がいいのだろうか? ま、いいか。
 なぜだろう。彼女の言葉の合間に、急がないと…とか、……なんとかしないと。とか聞こえてきたが、その度にとても暖かいものを感じる。電話越しで話しているだけなのに……。

 ちなみに、生活面でも支援が受けられるとのことだったが、丁重にお断りした。すでに十分すぎるくらい。安心したからだ。
 貯金も少しはある。次の就職が決まるまでなんとかなるだろう。

「そうですか、でも、忘れないでください。よく理解できないかもしれませんが、あなたは別の世界にいる魔王さまの加護を受けられます。もし、少しでもお礼がしたいと思ったら、アリスちゃんとたくさん遊んであげてください」
「そんなことでいいんですか?」
「はい! それが魔王さま、……私たち魔物娘にとっての力になります」
「えーと」
「んふふー、お渡しした図鑑はさっとでも読みましたか? あの子を……アリスちゃんを愛してあげてください。では、お幸せにー♪」

 ツー……ツー…… 

 
 急展開すぎたけど、それ以上に納得して落ち着いた自分も居た。というか、違う世界にいるという魔王さまってすごいんだなー。違う世界なのに、人間の為に……魔物娘の為に色々としてくれるなんて。ゲームとかなら魔王は悪、というイメージが定着しているが、現実は違うのかもしれない。だって……。
 ふと、ベッドで幸せそうに眠るアリスを見る。まだ、……会ったばかりなのにな。
 無邪気に笑うアリス。
 すっかり俺の膝の上が定位置になりつつあるアリス。
 イタズラされたりとかあったけれど、むしろ子どもなんだし、これくらい自由だった方がいいじゃないか。 
 
 何か今までとは違う感情が俺の中ではっきりと形になって気がした。

「えへへへへ、おにいちゃん……すきー……」
 ドキッとした。
 こんな小さいのに
 まだ抱っこして、とか甘える年のはずなのに
 魔物娘、アリス、あどけない顔。怒ったり、笑ったり、コロコロと変わる表情。
 
 ったく、布団を抱いたら風邪ひくだろ…。
 上から違うシーツをかけてやる。



「(もう、にがさないよ……おにいちゃん……すぅー、すぅー)」

                            つづく
18/06/25 21:11更新 / ロボット4頭身
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■作者メッセージ
だいぶ時間が空いてしまいましたが、つづきです。本当はあのままアリスちゃんと結ばれて……と考えてましたが、後のことを考えて色々と書き加えるうちにこうなりました。
 ここまで読んでいただきありがとうございました。

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