連載小説
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いちにちめ 迷子の少女
「んんぅ……あれぇ? ここどこ?」
 急に声をかけられて振り返ると、例の少女が目をこすりながらきょろきょろを部屋を見回して、そして、俺と目があった。にこっ
「!?」
 なんかぽわぽわした子だなー。笑顔なんだけどまだ眠たいみたいで、くーっとのびをしてる。てか、しっぽと羽がぴょこぴょこ動いてるんですけどー、気のせいだよね。きっとまだ酔いが覚めてないんだ。うん!
 こまけーことはいいんだよ!!
 水を飲んで一呼吸置いてから、女の子の目線に合わせて屈む。
「あ、あ、その、ここは俺の家だよ(にこー)」
 精一杯のスマイルで冷静に女の子疑問に答える俺。やばい、てんぱっていて完全不審者じゃねーか。
「アリスさらわれちゃったの?」
 首をかしげながらとんでもないことを言い出した少女ことアリス氏。ちょ、ちょぉぉぉぉぉ、いきなり何言うんですかこの少女は悪魔ですか。俺悪いことしましたかぁぁ!???
「いやいやいやいやいやいや、違う。ノンノンノン!! さっき、君が道に迷ったって言ってたから。交番に連れて行ってあげようとしたんダヨー」
 アリスは、ぽんっと手を叩いたかと思うと、目線を合わせた俺ににっこり微笑む。悪魔が天使になった。羽は悪魔っぽいけどね!
「ありがとう。その、おにいちゃん! じゃぁ、ここがその“こーばん”なのね」
「違う違う。交番はここじゃなくて。ごめんね。今からまた案内してあげるから」
 よく状況がわからないのか、首をかしげてしまうアリス。
「そうなの?」
「うん、だから行こうか」
 更に首をかしげるアリス氏。ええ、なんで、てか、しっぽと羽がぱたぱたしててかわいいなー。
「じゃなくて!」
「えへ、おにいちゃんおもしろいね!」
「それじゃ、行こうか」
 ふるふるふる。
 え? 否定なの、なんで、ほわーい??

「アリスねむたいの、だから、おにいちゃんおやすみなさい」
 ぺこり。
 丁寧にお辞儀をしたかと思うと、コロンと再びベッドに横になったかと思うと。すぅすぅ。と寝息が聞こえてくる。早すぎだろ。
 困った。交番に電話してパトカーで保護に来てもらうとかも考えたが、こんな夜中にパトカー来たら、引っ越し早々、ご近所の噂になっちゃうぅぅぅ。しかも、会社や親とかに連絡いったら、まじやばくね

 変な親切心で迷子に声なんて掛けるんじゃなかった。もう声掛けた時点で事案だよ!!
 世の中、世知辛い!!!

「ふぅ……、風呂入ろう」
 色々混乱してて駄目だ。風呂に入って落ち着こう。明日は休みだし、なんとかなるだろう。

……

 ふぅー……、頭と身体を洗って湯船につかる。あーー、入社してからの仕事もいきなりハードモードだったけど、今日はそれ以上に疲れた。そういや、同僚の2人はまだ飲んでいるのだろうか。後でライン送るか。

……
 そろそろ上がろうとしたその時だった。
「おじゃましまーーーす!」
「ちょ! えええええええぇぇ!!」
 なんと、そこには金髪ロングで青い瞳のあのアリスが、いやいや、すっぽんぽん。全裸だよ! つるぺったんだよ!!
「どうしたの、おにいちゃん?」
「ま、まえ」
「?」
「前隠して!」
「なんでぇ?」
「とにかく、色々とまずいから本当にお願いします」
 目をつぶりながらタオルをアリスの居ると思われる方向にさしだす。
 
 ぷにっ♪

「やんっ♪」
 え? なに今のやわらかい感触。
「くすぐったいよぉ」
「あああ、ごめんなさいごめんなさい!」
「くすくすくす、おにいちゃんさっきからおもしろーい」

 くしゅん

「おにいちゃん、わたしさむい…」
 かわいいくしゃみが聞こえたと思ったら、湯船に強引に入ってくるアリス。子どもとはいえ、せまい湯船に二人もはいったら密着状態だよねー。う、うごけない。アリスはちゃっかり、俺の膝の上に座ってお風呂を堪能している様子。

 もうめちゃめちゃだよ!!

「えっと、アリスちゃんはなんでお風呂に入ってきたのかな」
「えっとね。アリスおトイレに行ったの。そしたらおにいちゃんがおふろに入っている音がきこえたの。いいなーアリスもいっしょにはいりたいなーっておもったの!」
 なんで振り向いて、笑顔なの? やっぱり悪魔なの? 
「今日会ったばかりの人と一緒はダメだろう」
「ん? アリスの家にはたくさんおきゃくさんがくるけれど、いつもこんなだよ??」
 日本語ペラペラだけど、やっぱり外国の子なのだろうか、でも、そんな国なんてあるだろうか。ていうか、しっぽが動いて?の形になってて可愛いな。
「きゃ!」
「ご、ごめん」
 何やってんだ俺、つい、しっぽを握ってしまった。あったかいし、やっぱりこれ本物なのか。
「もー、そこはびんかんだから、……さわってもいいけど、ちゃんと言ってほしいなぁ」
「ほんとごめん」
「ふふ、おにいちゃん、さっきからあやまってばかり、へんなのー」
 にやぁとアリスの笑顔が怪しく変わる。それじゃーねぇ “えいっ”言ったと思ったら。
「ちょ! なんてところをつかんで」
「えへへー、おにいちゃんのおちんちんさんつかまえたーー♪♪」
「!??」
「おにいちゃんのココもびんかんなんだね」
 無邪気な笑顔を向けながら、俺の顔の変化を楽しむように小さな手でペニスが弄ばれる。
「んしょ、あれ? なんかむくむくって」
「ストーーップ、これいじょうはまじやばいから」
「うん、ごめんなさい。ちょっとおにいちゃんのはんのーがおもしろくて」
「ふぅ……あぶなかった」
「おあいこだねー」
 にこにこしながら俺の胸に頭を預けるアリス。
 なんだろう。遊びなんだろうけど、ちょっと刺激が強すぎた。ちょっとむくっとしたペニスは平常運転に切り替わる。
 俺が湯船の中で半分のぼせている間にアリスはさっさと髪の毛と身体を洗い終えていた。

「そろそろ上がるよ」
「うん、わたしもー」
 
「あ、着替え」
 アリスにバスタオルを渡しながら、部屋に戻ってまだ空けていない段ボールから何かないか探す俺。
「これでいいかな」
「うん♪ ありがとうおにいちゃん」
 とりあえず、だぼだぼだけど、アリスにはYシャツを着てもらった。来ていた衣装と下着は自動洗濯機に入れて、スイッチを押した。これで朝には着られるようになっているだろう。衣装のわりには生地がしっかりしているし。とにかく謎ばかりだ……。

「じゃ、アリスちゃんはベッドで寝てね」
「やだ」
 なんでー? 本日何回目かのほわーい。子どもってわかんないなー。
「いや、ベッドは一つしかないんだ」
「おにいちゃんといっしょじゃないと眠れないもん」
「な」
 それーーっとアリスがジャンプをしたかと思うとベッドに押し倒される俺。
「ね? いっしょにねよ。あったかいし、おにいちゃんがいい」
 俺はすっかり横から抱き着かれてしまって身動きができない。ああ、なんかいい香りがするし。ま、いっか。お風呂も一緒に入ってしまったし、子どもと一緒に寝るくらいもう問題にもならない気がしてきた。
「えへへ、おやすみ。おにいちゃん♪ ちゅ」
「!?」
 訂正、このませた子ども怖いよぉ。俺、明日起きたら、刑務所じゃねえよな……。
 頬にキスされたところがやけに暖かいし、それになんか力が入らない…。
「あ、ああ、おやすみ」
 かろうじて横で返事を待ってニコニコしているアリスに返事をしながら目を閉じた。

「えへへぇ、あったかい♪」


                          つづく
18/06/19 21:25更新 / ロボット4頭身
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■作者メッセージ
2作目は居残りの上司の予定でしたが、会社を退社したうちの一人目の新人君からにしました。
エロは次回の予定です。
前作と同じ舞台ですが、特に読んでなくても問題ありません。
 ここまで読んでいただきありがとうございました。

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