連載小説
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最後まで逃げる俺と。最後の最後で伝えた私。
仕事が順調になり、軌道に乗ってきた時。

自分の事に色々と余裕ができてきた頃。

その日は何か、いつもと違うものを感じた。

何かが変わる。そんな予感が

その日、仕事も終わり。夕日が沈むのが見える頃。

影が見えた。何かが空を飛んでいる

だいぶ大きいそれは、小さい頃から変わらないなと

よくここまで成長したなと感じた。

それは俺の近くに降り立つと、小さくなり

人の姿になって、昔の様に抱き着いてきた。

そうして、俺は妹と再開した。


私はやっと見つけ出せた。

離れていってしまった大好きな兄貴を

私は竜の姿で兄貴を探しまくった。

時には武器を持った人達に攻撃されかけた事もあった

何度、寂しさと虚しさで発狂しそうになった事か

私は兄貴のそばに降りると、人の姿に戻り

兄貴に思いっきり抱き着いた。

でも、甘えはしなかった。

昔も、兄貴に何かを背負わせ過ぎて
それで離れていってしまったと感じているからだ。


俺は驚きと嬉しさが半分半分だった。

妹は俺を探しに来てくれたようだ

それなのに、それを聞いて

妹に久々に会えて嬉しいはずなのに

会ってすぐに俺は吐き捨てる様に言ってしまった。

「もう僕の所へ来ないでくれ」と

目を見開いて泣き出してしまった妹に

「一人で暮らさせてくれ」と

「早く帰って、良い男でも探せよ」と


会ってすぐに私は伝えた

「ずっと探してたよ、一緒に帰ろう?」

嬉しさで一杯になっている私に対して

久々に会ったのに兄貴は

昔の優しい兄貴とは別人のように

冷たく吐き捨てる様に言葉を発してきた。

私はそれに驚き耐えられず

泣き出してしまった。

どうしてそんな事を言うのかはわからない。

それでも兄貴は続ける。

私から遠ざかるかのように。

私は、嫌われてしまったのだろうか…。


俺はなんて素直じゃないんだろう

でもこうでもしなければ、妹は
また俺と一緒に暮らすと言うだろう。

それではダメなんだ。

兄貴らしくない俺なんかと居ては。



私はそれでも兄貴と居たい。

もう兄貴に何を言われても。

もう離れたくない。

もう、兄貴と別れて暮らすなんて嫌だ。

だから伝えた。


俺はお前には釣り合わない。

兄貴なんて名ばかりで全然兄貴らしくもできない。

だからもう兄貴なんて呼ばないでくれよ。


ようやく聞けた兄貴の本心。

あぁ、やっぱり、優しい兄貴のままだ

私には兄貴しかいないんです。

この世でたった一人、守ってくれた兄貴しか

だからこれからはずっと一緒に居てください。


『兄貴、大好き。ずっと一緒に居てください』


仕方がないな。

わかった。俺の負けたよ。
15/11/14 16:35更新 / 紫酔染香*・ω・)ゞ
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■作者メッセージ
1000文字考えるのが大変だという事に気付きましたわ(笑

良ければ感想、ダメ出し等お願いします *・ω・)ゞビシッ

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