連載小説
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16
あぁ、これが結末なんだ、俺が、俺がこうしてしまったんだ……♡このまま永遠に……♡
──と半ば諦めに近い恍惚に身を委ねてしまったところで

『ん、おはよう、目覚めはいかがかな寝坊助さん♡』

気が付いたら、あのエレベーターの中に居た。
お姫様抱っこでかかえられ、慈愛の籠った眼差しを向けらた状態で、目を覚ましたらしい。

『悪いけど、今日は月曜日、仕事の日だから無理やり連れ出してしまったよ』

そう言われ、するりと足を地に付かされる。
そこでハッとして自分の姿を見ると……スーツを身に纏っていた。シミひとつ無い。新品のように綺麗な。
……いつも着ていたのと、ほんの少し、違う気がする。
そして、あの甘い牢獄から逃れられた事実に気が付き、安堵よりも先に……アレが全て夢だったのでは?そうじゃなくとも飽きられて……なんていう考えがよぎったが

『あぁ、そうだ、先輩さんに見て欲しいものがあってね』

『これこれ、これさ』

そんな不安を巡らせる間もなく、スッとスマホを向けられる。
そして、何かの動画が再生されたかと思うと

【ずっと前からっ、好きでっ……♡♡好きっ、すきぃっ……♡♡】

【結婚してぇ……♡♡】

そこには、腰を膝上に預けた無防備な状態で、情けない声を上げて、求婚する男と

【うーん……どうしよっかな〜……♡♡】

【くすっ……♡♡】

【誰がするかっ♡♡♡ばーかっ♡♡♡】

それを唾棄するように、巨大な胸を思いっ切り叩き付けて、恋心を弄ぶ女の姿があった。
これが何の映像なのかと理解した瞬間に、ぶわぁっ、と冷や汗が湧き出て、惚けてた頭が覚醒し、お前っ……なんて言葉を出したが

『あははっ♡♡そんなに怒らなくてもいいじゃないかぁ……♡♡♡ボクと君の大事な思い出だよ?君の初プロポーズをこっぴどく振って、おっぱいマゾに堕とした時の大切な思い出さ……♡♡♡』

ぽんぽんと肩を叩かれつつ、恍惚とした声で宥められてしまい、何も言えなくなってしまう。
振る、という別れに等しい行為すら、彼女との間においては思い出の一つで……むしろ、縛りになってる事実に嬉しさすら感じてしまって。

『にしてもスマホってホントに便利だね、色んな思い出をいつでも見返せるなんて……ほら、こんなのとか……あははっ♡これとかスゴイなぁ、呻き声が子宮にまで響いてしまいそうだよ……♡♡』

そして、スクロールする度に、味わされた淫行の数々が再生され、あまりの羞恥に背中が焼けるような感覚に襲われ、目を背けたくなるものの

『うわぁ、傍から見ると非道いなぁ……♡♡先輩さんが許しを乞いてるのに、そんな風にこねくり回したら……あぁ、ほら、腰をぴーんと反らして、すごい声を上げてるよ、これ以上は壊れてしまうよ……♡♡』

『あぁ、また潰されて、びゅっ、びゅーっ……♡♡くくくっ……♡すっごいだらしない顔だなぁ♡♡こんなの、他の人には見せられないね……♡♡』

肩に手を回され、横から実況するように、その映像を見せつけられてしまう。
まるで、下劣な男がハメ撮りを見せつけて煽り脅すような行為……けれども、隣に居るのは超越した美貌を持つイケメンで気品ある女性で、そんな彼女が恍惚とした表情で煽ってくるのが倒錯的で。
その表情に、スイッチを押された脳が、画面の奥の自分に対して、羨ましい、またされたいっ……♡という思いをふつふつと沸き上がらせ

『おっと、興奮してしまったかな?まあ無理もないか……♡』

股間を大きく膨らませてしまう。
その膨らみを、ズボンの上から手で軽く握られ、ゆっくりと、ひと擦り、ふた擦りされる。
極上のおっぱいを押し付けられ、自分らが主演のエロ動画をオカズに、彼女の手で扱かれ……もはや、贅沢すぎるオナニー行為に、身も心も絆されて、完全に手綱を握られてしまう。

『くくくっ……♡さて、一応説明するけど、この動画が残ってるように、あの行為は夢なんかじゃなくて現実さ♡君が泣くまでパイズリし続けたのも、全身をキスマークで真っ赤にしたのも、前立腺を手懐けたのも、ぜ〜んぶ本当のこと……♡♡』

『そして、今もまた、こうやって君のちんぽを懐柔して、言う事聞かせようとしてることから分かるように、君への執着が薄れた訳では無いよ、決してね……♡♡』

ズボンの上から亀頭の部分を的確につままれ、裏筋と鈴口の合流点を指先でカリカリと搔かれて、怒張を維持させられるのが、キいてしまう。
思考が性欲で支配され、そこに見透かした囁きを吹き込まれ……マリオネットになってしまう感覚に陥る。薫に支配される特別な感覚。その先の快楽が脳に刻み込まれてて、もう、息荒く期待することしか出来ない。

『もちろん、あのベッドの上で永遠にいたぶって、イジメ愛したい気持ちはあったのだけれども……ボクはね、色んな君が好きなのさ』

『ボクと同じように、君にも色んな顔があるだろう?職場での君、ボクと遊んでる時の君、オフの時の君、ベッドの上で蕩けている時の、ボクに負けじと対抗心を秘めてる時の、逃げようとする時の、君の顔が……♡』

『君だって同じだろう?色んなボクに惚れてしまっている、後輩としての、友達としての、悪友としての、ご主人様としての……色んなボクに』

『全てを愉しむには、あのベッドだけでは狭い、とは思わないかい?』

狭い、だなんて思いもしなかったが……薫が囁く言葉に誘導され、色んなシチュエーションを想像してしまった今では、狭いとしか感じれなくなってしまった。
どの薫にも、魅了されてしまっているから……それを堪能したい、という欲が搔き立てられて。

『ふふふっ……♡そこで、色んな楽しみ方が出来る、いいゲームを思い付いたのさ』

『これから毎日、昼は一緒に働いて、夜は一緒に遊んで……そして、最後には賭けをしようじゃないか♡』

『負けた方が勝った方の言いなりになる、というルールでね』

そこで告げられる悪魔の提案。
賭け、なんて言っているが……ニヤリと目を細めて笑う様子が、その結果を物語っていた。

『くくくっ……♡でも、分かってる通り、主導権はボクにあるからね、だって君は奴隷だから……♡♡』

『当然、賭けの内容はボクが得意なモノばかり……その後は、勝ったボクが負けた君を好き勝手する時間の始まりさ♡♡』

『あぁ、ボクと過ごす一晩が、普通の一晩とは思わない方がいいよ。君が体験した通り、とぉっても長くなってしまうからね……♡♡たった二日が、半ば永遠に感じるほど長く……♡♡』

肩に回っていた手が、頬をつぅーっと愛おしげに撫で上げ、ぞわぞわとした痺れが走ってしまい

──賭けに負けたら、どんなことをされるのだろうか……あのベッドの上で味わされたトラウマ級の快感をまた……いや、それ以上のシチュエーションでっ……♡

なんていう浅ましい期待が膨らんでしまう。脳を焼き切られ、刺激の強すぎる快感を求めるジャンキー故の、期待。

『それに、お楽しみは夜だけじゃないさ、昼のボクは優秀な後輩……だけれども、気を利かせすぎて余計なこともしてしまうからね、君のペニスがイライラしてしまったら責任取って処理するだろうし、とっても濃いミルクティーを淹れて飲ませようとするかもしれない』

『遊んでる時も友達同士のじゃれ合いとして、スキンシップをすると思うよ、だって君のことが大好きだからね♡折角だから気持ち良くなって欲しいなぁ……っていう友愛から、こうやって仲良く乳繰り合ったり……』

『でも、もしかしたら悪友としての顔が出てしまうかもしれない……君のことを屈服させて、煽って、バカにして、更によわっちぃマゾに堕として玩具にするのが大好きな悪友として、イジメてしまうかもしれないね……♡♡』

くり、くり、とズボン越しに亀頭を弄られつつ、妄想を吹き込まれ……脳が、正直になってしまう。
恭しい後輩として紅茶を淹れる気品溢れる姿……あの様子から流れるように搾ってあげよう、と言われたり
友達としてやけに近い距離でスキンシップ取られて、胸も遠慮なく押し付けられ、イタズラするように足を絡められて、抜いてあげるよ、なんて言われたり
あの小馬鹿にする感じで、イジメるように絡まれ、逃げようとしても抑え込まれて、こんな風にズボン上から弄られて、お漏らしさせられたりっ……♡

『……言っておくけど、奴隷な君に拒否権は無いよ、ボクの素晴らしい提案を受け入れることしか許されてないさ』

その興奮を目敏く察せられたのか、ズボン上から擦る手のストロークが長く、速くなっていき、射精へと追い立てるような動きに変化する。
ズボン内での射精は流石にっ……という忌避感ゆえに、待って、待って、と声に出すが、止まる気配が無い。そんな冷徹な彼女にも、惚れてしまう。

『それに、君にとっても悪くない提案だと思うよ?だって、あんなプロポーズをするぐらい大好きなボクと毎日遊べて……それにチャンスだって与えられてる』

『その賭けに君が一回でも勝てば、何だって命令できるのだから。こんな遊びはもう止めよう、奴隷扱いはやめてくれ、そう命令すれば、このゲームは終わりさ……ボクらの関係は元通り、君の日常は戻ってくるだろうね』

『さて、返事を聞かせて貰おうかな?乗るかい?このゲームに……』

ふぅー……とわざと耳に吐息を掛けられつつ、射精するかしないかギリギリの強度で手コキをされてしまい……分かった、分かったから、なんて言葉を慌てて発してしまう。
万が一、勝てたとしても……いや、万が一勝てたとしたら……

『あははっ♡いい返事ありがとね♡♡さて、早速だけど、こんな状態じゃとても仕事なんて出来ないだろうから……ボクがサックリと抜いてくあげよう♡♡』

『あぁ、汚れるのとかは気にしなくていいよ、このスーツは特注品……精液でベッタベタに汚してもすぐに吸収してしまう優れモノさ、むしろ遠慮なくぶっかけてくれると嬉しいなぁ……♡♡』

『君のスーツも仕立てておいた特注品にすり替えてあるから、安心して吐き出してね♡♡』

情けない返事を聞くや否や、コロッとニコニコとした笑顔に早変わりし、流れるような手付きでナニを取り出される。そのまま、たっぷりと吐き出ていた我慢汁をローション代わりに、にゅこにゅこと扱かれてしまった。
肩を抱き寄せられ、ワイシャツとブラジャー越しでも感じるおっぱいの温もりを押し付けられつつ、指輪っかでにゅこんとカリ首を引っ掛けながら、尿道から精液を誘い出すよう上下いっぱいに扱かれ

『あ、もう出そうかな?じゃ、濃厚なキスをしながら思いっ切り射精してしまおうか……♡♡後輩との親交を深めるベロチュー手コキで、とろっとろに絡みながら……んちゅっ……♡♡ちゅぷっ……♡♡ちゅるる……♡♡』

腰がガクガクと震え始めたところで、じぃっと目と目を合わせられながら、唇を重ねられてしまった。
恋人同士でも滅多にしないような深く舌を絡めるキス。互いの唾液の音がはしたなく弾け、ぷるんとした唇に何度も吸いつかれ、目を細めて妖艶に笑う表情に囚われ。
もう性欲を煽って種を搾るためだけのキスなのに、親交を深めるためだと嘯かれ、倒錯的な感情が膨らみ……そのまま、びゅーっと吐き出してしまった。手に甘えるように、腰をカクカク揺らして、ぎゅーっと押し出しながら。
その精液は地面に落ちることなく、太ももによって丁寧にブロックされ、べちゃべちゃと黒いスーツを汚してしまい、その背徳感が更に射精を引き立てる。そして長い長い射精がようやく収まっても……まだ、ナニは怒張したままで

『ぷはっ……♡沢山出したけど、まだまだ元気みたいだね、それじゃ次は太ももで圧し潰してあげるね……♡♡出し渋った精液をぎゅーっと押し出すキツーい射精……金玉も一緒にきもちよーくペチャンコにしてあげるよ……♡♡』

次は、向かい合わせになり、股間に太ももを差し込まれ、抱きしめられながら、じわじわと磨り潰され、搾られてしまった。
金玉をペチャンコにする、なんて言葉に、同じくエレベーターの中で冷徹に叩き潰されて屈服させられた時の快感と恐怖がフラッシュバックして、びくっと体を竦めたが

『あはっ♡大丈夫大丈夫、とってもあまーいキスが麻酔代わりになるから、怖いことは何もないよ♡ほら、ちゅっ……ちゅぷ……♡♡ちゅる、ぷちゅっ……♡♡』

優しく宥めるように、頬をに手を添えられ、そのまま甘い甘いキスをされて、絆されてしまった。
蜜のような唾液を流し込まれ、その甘味に脳が痺れて全身がゆるりと弛緩したところで……

『ぷはっ……くふふっ……♡ほら、潰していくよ……♡♡極上のメス肉をみっちり詰め込んだ自慢の太ももで、幸せプレス処分さ……♡♡何倍も大きなぶっとい太ももに圧し負けて、君のペニスも、金玉も、ぎゅぅぅ〜……♡♡みちみちみち……♡♡メス肉の万力によってぺちゃんこに潰されてしまう……♡♡』

今度はわざと事細かに実況されながら、まるで重機のように、ぶっとくて力強い極上太ももをゆっくり、ゆっくりと持ち上げられ、みちみち……♡♡と音が鳴ったと錯覚するぐらい圧迫されて……♡
じーんと腹の奥底に沈むような鈍い快楽が徐々に強まり、強まって、収まり切らないほどになり……臨界点を迎え

ぶびゅっ♡♡
びゅーっっ♡♡♡びゅっ、ぶびゅっ♡♡びゅーっ♡♡

押し出されるように濃い精液が吐き出されてしまった。

『あははっ♡♡実況したのはちょっと意地悪だったかな?でも、先輩さんはこういうのが好きだろう?ボクはちゃんと分かってるし……このままねちっこく磨り潰されたいのもお見通しさ♡♡ほら、ベロチューで幸せな麻酔をかけてあげるから、ちゃんと金玉プレス処分してしまおうね♡♡はい、ちゅぅ……♡♡ちゅるっ……♡♡』

その後も、ぐり、ぐり、ぐりと躙り潰すように太ももでキツく磨り潰されつつ、愛おしさを膨らませる優しくも淫靡なキスで絡められ、甘さと鈍さを一身に受けつつ、限界まで搾られてしまった。
あまーいキスでラブラブしつつ、太ももで容赦なく磨り潰され、睾丸内にへばりついてたベトベトの精液を何度も吐き出す倒錯感……♡宣言通り、萎み始めてもねちっこく潰されて、くたくたになるまで、そのスーツ脚に吐き出したのが心地良すぎて……♡♡

──それからは、この狂った日常が始まってしまった。

一緒に出勤しては、二人きりの職場で仕事に励み、何かと理由をつけては……搾られ、仕事が終わっても、街に繰り出して……時にはゲーム中にも搾られ、時には真剣にゲームして……どちらにしろ、打ち負かされて。
そして、彼女の言いなりになって、永い永い一夜を過ごし……起きたら、一緒に会社まで行って……

全てが鮮明に思い出せてしまう。あの時からこれまでの全てが、一挙一動が、心揺らされた瞬間が。

薫と交わってから、色々とおかしくなってしまった。
桃色のモヤが掛かったような色欲溢れる日常を受け入れているのに、頭は鈍るどころか異常なほど冴えてしまって、全てを余すところなく享受してしまう。
前ならダラダラと時間かけてやってた業務も手早く終わらせられるようになったが……余った時間でスるのは、薫とのスキンシップ。
鋭敏になった五感が、彼女の魅力を余すところ無く汲み取り、交わる度により深く魅了されてしまい……脳が、活性化されてしまう。自分でも驚くほど、才気を感じる程に。
それこそ、薫と遊ぶゲームにおいても、身体的技術も、戦術的思考も、絶好調なほど冴え渡って上達してしまうが……

『ふふふっ、惜しかったね……♡でも残念ながら、君は負けてしまったようだ……♡♡』

だからといって、勝てる訳では無い。
ただ、本気でゲームを楽しめる最高の遊び相手として、絶妙な強さになるだけで。
それで負けてしまって、悦楽にまみれた饗宴のメインディッシュにされるのがたまらなくて。

あぁ、搔き立てられる。端から一ミリも勝ち目の無いゲームだったら、こんな想いは抱かないだろう。
やりようによっては勝てたかもしれない……最高の最高を出せればいけたかもしれない……そんな勝負になってしまっているから、一抹の悔しさが滲んでしまい

『ほら、今日もオモチャにしてあげるよ……♡♡ボクの気が済むまで、永遠にね……♡♡』

そこに吹き込まれる誘い文句。勝負で火照った体を、抱き留められた瞬間。その極上の肉体から伝わる熱がじくじくと心を融かして、ねっとりと絡みついて……悔しさを上塗りされる。
そんなことを繰り返されてしまい、負け、という概念すら甘い蜜でコーティングされてしまった。

苦さ、酸っぱさがアクセントになった極上の甘味のように。

あぁ、もうダメだ、ふと気を抜くと過去に逡巡してしまう。濃密すぎて、絡みつくような淫靡な日常を。
回想しては自慰に耽りたくなるほど、鮮明に思い出せてしまう。

「おやぁ……?どうしたのかな、先輩さん」

現実の薫に声をかけられ、ビクンっと身体が跳ねてしまう。
そう、そうだった、さっきまで奉仕に見せかけた搾精に囚われて、くたくたに疲れてイスにどっさりと座ったばかりだったのに、こんなことを思い返してしたら……

「ボクは、空っぽになるまで搾り取ったつもりだったけど……まだ、物足りないのかな?」

芯を失っていたはずのナニが、活気を取り戻してしまうじゃないか。

「い、いや、違う、これは別で」

口から紡がれる形だけの否定。
頭の中は、目の前の蠱惑の四肢に夢中になっていて……
あの胸で腰の上に乗っけられて無理やりズられたり……座られてお尻でグリグリと圧迫されたり……いや、口で丁寧に舐められてから喉奥まで飲み込まれるのも……♡

なんて浅ましい欲望がムクムクと膨らんで、期待してしまう。

「ふふふっ……♡」

ニヤニヤと悪戯っぽい笑みを浮かべつつ、こちらへと徐々に近寄り……腕を首に絡め、膝の上に跨ってくる。
それはまるでハニートラップを得意とする女スパイが魅せる妖艶な仕草。ポールダンスを踊るように長い脚を見せつけつつ、横から膝に乗っかって、おでこを合わせるように顔を寄せられ、妖しい笑みを向けられる。

切れ長の目の赤い瞳は、透き通っているものの奥が遠すぎて色深い。鼻は、まさにイケメンのそれだろう。シュッとしていて、顔全体を引き締めている。
あぁもう顔が良い。良すぎるのに、愛嬌すら感じてしまう頬っぺたを、引っ張ってやりたい。可愛らしくふわりと揺れる髪をクシャクシャと撫でてやりたい。

膝から伝わる太ももとお尻の感触は、あったかくて、柔らかくて、けれども芯があって……むぎゅぅと形を変えて圧し掛かる。
まるで距離なんて無い友達のように接するのに、セックスアピールのような下半身を押し付けられ……あぁ、手を回したい。恋人同士がヤるような抱擁をしてしまいたい。
けれども、この伝わる確かな重みと圧が……あぁイジメられたい。この肉感で圧し潰されつつ嘲笑される興奮が、脳に刻み込まれてしまっているから。

視界の下側では、ついさっきまで精液をこれでもかと搾った大きな胸がたゆんと揺れているが……もう、精液の匂いはカケラもせず、代わりに噎せ返るほど甘い匂いが微かに漂っていた。

「はぁー……ボクはちゃんとお見通しさ、今までのことを思い返して、たまらず勃起してしまったのだろう?色々とされてしまったからね、もう瞼の裏側にその思い出がへばりついて離れない……♡その気持ち、よく分かるよ」

得意気に語る様子が、ボクと一緒だね、と言っているように聞こえた。

「ま、そんな節操無しの先輩さんにはどんなご奉仕をしてあげようかな……♡♡オネダリしてくれたら、何だってしてあげるよ……♡♡」

あぁ、もう魅力が止まない、飽きない。
毎晩良いようにされて主従も上下も分からされてるのに、対等のようにも、体裁的にはこちらが上であるようにも、まだ思えてしまう不思議な関係が、あらゆる感情を掻き立てる。

この挑発にも、口を噤んで従いたくなるのと同時に、偉そうにしてる彼女に反撃してやりたい気持ちも湧き上がるように。

そして、どんな仕返しをされるのかも、期待してしまう。

その感情に身を任せ、触り心地よさそうな頬に手を伸ばして……ぐにー、と軽く引っ張る。
シュッとした輪郭からは想像できないほど、もちもちで、よく伸びる。

「んぅー」

間抜けた鳴き声。その顔はとても不服そうだけれども、それでも端正で、可愛い。
あぁ、ズルい。カッコいいのに、美しいのに、圧倒的な強者として磨り潰してくれるのに、格の違う気品さも優秀さも兼ね備えているのに、小生意気で愛嬌ある後輩のような一面もあるなんて。

「……もうティータイムは終わりの時間だ、こんな業務も割り振った覚えはないしな」

心の中で渦巻く感情を悟られないよう、呼吸を何とか抑えて、平静を保とうとする。
今もまだ、ナニをぴょこんと露出させた状態ではあるが、それを恥ずかしがっていたら……どうしようもない。
こうやって努めないと、薫の良いようにされっぱなしになってしまう。その魅力に囚われては、手を引かれるがままに踊らされて……

「ふぃどぃなぁー……ふぁんなにむちゅぅにはっへたくせに」

「……先輩というのは理不尽なもんさ」

「むー」

不満そうに鳴く様子も、愛らしい。
気軽で、子供同士のじゃれ合いのようなやり取りに雰囲気が呑まれていく。

このまま引き下がってくれるだろうか、なんていう予想に、少々の寂しさを覚えつつも安堵して、欲が落ち着いてくる。
相変わらずナニはいきり立ったままだが、どうにかして処理は出来るだろう。
足の指を意識的に動かすと萎えさせられる、という話も聞いたことがある。試してみてもいいかもしれない。

──そんな、楽観的な思考が回った刹那だった。

「……れろっ」

引き延ばされた口の端から、赤い舌が這い出たかと思うと、一瞬にして親指を絡め取られ、中へと引きずり込まれてしまった。まるで、カエルが獲物を捉えるように。
突然の出来事に対し、固まってしまう。

「じゅる……ちゅぱっ……」

その止まった時を支配するように、生温かい感触が襲い掛かる。
仕返しと言わんばかりに歯で軽く甘噛みされつつ、親指の腹を舌で何度も舐め上げられる。まるで、棒アイスを舐めしゃぶるように、ねちねちと、舌の熱で舐め溶かさんばかりに。

「ちゅっ……♡ん……ちゅぷっ……♡♡」

「ぁ……」

厚くて柔らかいリップが挟んで、食んで、吸い付いて……はしたない音が口から弾け出る。
その振動が、指から首筋を伝って脳に響き、全身に甘い感覚が広がる。水にちょんと浸った紙がじわじわと染みてくように、白い快感が全身へと。

「ま、ちょっと待っ……」

思わず制止の言葉を上げるものの、収まる気配はカケラも無く、むしろ待ってましたと言わんばかりに、にぃっと目を細められた。
首に巻き付いていた腕が、動脈に沿って流れ落ちる。なぞった後がぴりぴりと痺れる。
その手のひらは、更に鎖骨も愛おしく撫でた後、指を立てるように浮きながら滑って……ぴとり、と、ほのかに隆起していた胸板のある部分に添えられた。
そう、ピンと立ってしまっていた乳首の上に、ワイシャツ越しでも寸分狂わず。

ぴりっとした快感が全身に走る。

「いっ……♡」

反射的に前立腺が締まって、ぴくんっとナニが跳ね、腹の奥で情欲が灯ってしまい、怯えが漏れ出てしまう。

「ちゅぷ……♡♡」

その反応を耽溺するように音を立て、意地悪な笑みを浮かべて

カリッ……♡
カリカリカリッ……♡♡

「ぁっ……♡♡ぅぅっ……♡♡ぃっ〜〜♡♡」

容赦なく引っ掛かれてしまう。爪を立てて、ぴんぴん、と弦を弾くように。
胸の表層で暴れるくすぐったいような快感から逃れようと、身体が生理的に、きゅぅぅ……と下腹部からお尻の奥に掛けてを締め潰してしまい、前立腺が潰れてっ……♡

「くぷ……♡はぁーぁ……♡♡何か勘違いしてしまったのかな?主導権を握ってボクをコントロールしようだなんて……分かってるかい?先輩さんは、ボクの奴隷だよ、どーれーい……♡♡どれだけ先輩っぽく接しようとしても、こうやってマゾスイッチをカリカリ〜って搔かれたら、あっという間に甘えた声をあげて媚びることしか出来なくなるのだから……♡♡」

「まっ……♡♡ゃめっ、ろっ……♡♡♡も、ぅ、しごとの時間っ……♡♡」

バチバチと白く弾ける脳が、抵抗を絞り出すものの……それが、本当に仕事を気にしてるのか、はたまた演じてるだけなのか、もう分からない。

「あはは♡♡仕事と言っても、もう今日のノルマは終わっただろう?後はプラスアルファをやるだけじゃないか、後輩と他愛ないスキンシップをするのも大切だし……それに、こんなに美味しそうなモノをぴょこんと立たせてて」

「ボクが我慢できると思うかい……♡♡」

そう言って、獲物を捉えるように目を細め、軽く腰を浮かせたかと思うと、器用に片脚を折り畳んで、今度は対面して……そのツルンとしたパンツスーツの三角地帯……そう、秘部のところを、反り返ったナニにぴっちりと押し当てるように

ぎゅむ……♡♡ぎゅぅぅ……♡♡♡

「うっ……♡♡まっ、ゃめっ、ぇ、〜〜っ♡♡」

遠慮なしに腰掛けられる。
スーツ越しでも分かるぷっくりした感触で、根元から先端まで押し出すように。その圧だけで、詰まった我慢汁が勢い良く吐き出て、甘い甘い感覚が仙骨にじーんと広がる。
けれどもナニを膨張させる内圧は収まらず、むしろカリカリと引っ搔かれ続ける乳首から、前立腺へと、絶え間なく快楽電流を送り込まれて、もっと凝り固めようと必死に疼いてっ……♡

「あははっ♡♡見てよ、今のだけでぴゅるるっと我慢汁が噴き出して、まるで射精したみたいになってしまったね♡♡ボクのおまんこに潰されちゃって、惨めに泣いちゃった気分はどうかな?」

嘲笑と挑発をたっぷり込められたセリフに、反抗心に近い感情を搔き立てられてしまうが……

ずりっ……♡♡ずりっ、ずりっ、ずりゅっ♡♡
カリッ、カリカリカリっ♡♡♡

腰を前後に揺り動かされ、秘部の柔らかくて暖かい感触で裏筋を丁寧に押し潰され、呻き声をあげることしか出来ない。
乳首も絶えず引っ搔かれて、疼いた前立腺がねばっこい我慢汁を製造し、それをおっきなお尻の体重で丁寧に吐き出させられ、じくじくと射精欲が沸き立って、脳が塗り潰されそうになり……

「ぃっ、あっ、ぁっ♡♡だ、めっ……やめっ……♡♡」

「ふふふっ、止めて欲しいなら、ちゃんと手で抑え込まないとダメだよ。ボクのお尻に手をあてて、磨り潰されないよう頑張って抑えないと……後輩の躾をするのは先輩の役目だろう?」

甘ったるい声しか出せずに懇願するものの……言葉巧みに誘導される。
制止という名目で、スキンシップの許可を吹き込まれ……浅ましい欲望が止めきれず、腰に手を回してしまう。

「ぅぅっ……♡♡」

まずは、ほっそりと括れた腰の上部。スーツ姿でも分かるほどのスタイルの良さだったが、実際に触ると想像以上に引き締まっていて、なおかつ柔らかくて。
そして、そこから末広がりに大きく繋がる臀部へと、手を滑らせてしまう。ずっしりと、骨盤から大きくて、男性のソレとは明らかに違う、女性特有の大きなお尻。生殖本能が疼いてしまう感触。
美麗を象徴する細い腰と、性を搔き立てる重いお尻のコントラストを、手のひらいっぱいに感じて、頭がおかしくなる……♡
そのまま、臀部の下部、お尻と太ももが繋がる所まで手を滑らせ、自ら重みを味わってしまう。ハリがあって、柔らかく、重いお尻。
前後に揺り動く度に、その下敷きにされて、ズリズリと擦れる感覚がたまらなくて、これまでのことが想起されてしまう。こうして乗られたことも、顔に座られたり、絞められたり、マッサージという名目で揉まされたり……♡

「あーあ、抑え込むどころか、もう自分から手をお尻の下敷きにして、すり潰されてるじゃないか……♡♡腰を止めようとする気配も無く、重さを味わうように……ふふふっ♡♡」

「どんな気分なのかな……?友達で、後輩でもあるボクに……それも、ちょっと中性的……むしろ男友達みたいな奴に、女としての魅力ですり潰される気分は……♡♡」

吹き込まれる倒錯感が、興奮をさらに促す。

「姿や格好はどちらかと言うと男性的で、喋り方だって男っぽさが勝るだろう……でも、おっぱいも、お尻も交尾に特化した女の子のように大きくて、おまんこだってぷっくりと柔らかいだろう……?」

あぁそうだ、イケメンなんて評価がこれ以上なく似合うのに、メスとしての魅力がたっぷり詰まってて、おまんこだってこんなに暖かく湿ってっ……

「っっ♡♡」

「あっははは♡♡どうしたのかなぁ?急にビクンと腰を跳ねさせて……そんなにコレが好きなのかな?涎のように染み出した愛液で擦られて、おまんこに圧し負ける、食べられるぅ……って情けなく潰されるのが大好きなのかなぁ……♡♡」

パンツスーツ越しでも感じてしまう暖かい粘液。
すでに吐き出されてた我慢汁と混ざって、ぐじゅぐじゅと音を立てながら、秘部のぷっくりした感覚で擦られるのが……何よりその事実に興奮してしまう。
ただ本能が、ガンガンと鐘を鳴らすように、心酔するほど恋した相手の性器が近くにある、と暴れてしまって……♡

「ふふふっ……♡もう、そろそろイきそうだろう?限界寸前になると君は息を抑えようとするからね、ボクには分かってしまうなぁ……」

悟られる。
一挙一動を、ぐつぐつと白いマグマが腹の底から噴き出しそうになってることを、容易く。
最高のタイミングで料理を提供してくれるウェイターのように、限界寸前の一押しが欲しいタイミングで

「それじゃ、そろそろトドメを刺してあげるようか、このおっぱいを君の可愛い顔に乗せて、フェロモンで脳を蒸し焼きにしてあげるよ……♡♡」

最高のトドメを用意してくれる。これがとても怖い。こんな行為を当然とされてしまったら、もう抜け出せる訳が……♡

「君がたくさん乳内射精したから、このナカには、それはそれは濃厚で甘ったるい匂いが充満しているはずさ……♡♡」

やや屈み気味だった身体をグイっと伸ばし、大きな胸が視界いっぱいに広がる。ぱっつぱつのワイシャツおっぱいが眼前を覆い尽くし……
しかも、乳肌覗くスリットがちょうど鼻先にあてがわれて、甘ったるい淫香が鼻腔をくすぐる。発情を促す猛毒。

思い返されてしまう。

以前、このナカに精液を流し込んでしまった後に、抱き込まれた時の記憶が。
栗の花のえぐい匂いが残ってるはずなのに、そんな要素は一切感じず、代わりにじっとりと籠った濃厚フェロモンが待ち受けていて……脳内でバチバチと火花が散って、びゅくびゅくと漏らし続けた記憶が……
その刺激が、あの匂いが、来ると分かった瞬間、脳が期待でカンカンに沸き立って、視界が暗く絞られていく。大きな胸の一点に、ズリ穴に。

カリカリっと乳首の中まで穿ろうとする爪先と、裏筋を擦り潰す秘部の動きが、徐々に激しく、追い立てるようになっていき……空っぽにされた筈の睾丸から、無尽蔵の精が溢れてきてっ……

「この胸が顔に乗ったらスパートの合図だよ……このザコ乳首もぎゅーっと抓みながら、敏感な先端を重点的に引っ搔いて、ペニスもおまんこで薄っぺらく圧延するように潰してあげるからね……♡♡根元から丁寧に……♡♡」

「もちろん、射精が終わるまでねちっこくイジメ続けるよ、最後の一滴を吐き出すまで、ぎゅぅぅ……とね」

最高の快楽を保証する言葉を脅すように吹き込まれて、疼きが、欲が、抑えられなくて、はぁはぁと息を荒く乳穴を見つめて、腰をカクカクと震わせることしか出来なくなる。
もう、早く、はやく、トドメをっ……♡

「じゃあ……イけ……♡♡」

のしっ……♡♡
ぎゅぅぅっ……♡♡♡

「んぷっ」

顔いっぱいに広がる重くて柔らかい圧迫感。幸せが詰まった感触。
鼻先からはじめったいフェロモンがたっぷり入り込んで、甘くてっ、脳の表皮がぞわぞわと搔き立てられて、乳首も思い切りっ、抓まれっ……♡♡
キュンキュンが止まらないっ、出る、出るっ♡♡腰の奥がきゅぅっと締まって、濃いのが、出てっ、おまんこで潰されて搾り出されっ♡

「ん〜〜〜っっ♡♡♡」

ぶびゅっ♡♡
ぶびゅるるるっ♡♡♡びゅーっっ♡♡

秘部の感触で潰されて狭くなった尿道を押し広げるように、粘っこい精液が無理やり吐き出るっ……♡
疲弊しきっていたはずなのに、乳首をほじくる刺激によって、ぎゅっ、ぎゅっ、と反射的に腹膜を押し下げられ、腰が勝手にくねくね動いて前立腺がっ……♡♡

「くくくっ……♡ボクのおまんこの下でみっともなく精液を吐き散らして……あーあ、また分からされてしまったね、ボクには絶対に勝てない……って♡」

「君はこのちんぽみたいに、潰されてビクビク震えて、ボクを悦ばせるのがお似合いさ……♡♡ばーか……♡♡」

ジタバタと悶えている間に吹き込まれる嘲笑。
それは、倒れている相手の頭を踏みつけるかのように、挑発的な追い打ちで……反射的に頭が茹ってしまう。
プライドを守ろうとする動物的本能が働き、咄嗟に言い返そうと息を吸うものの

「っっ♡♡んん〜〜〜〜っ♡♡」

入り込んでくるのは息継ぎ用の空気ではなく、脳を溶かすための甘ったるい媚毒。
霧吹きでぶしゅっと吹きかけられたかのように、思考に甘ったるいモヤが掛かって、この嘲笑もご褒美にされてしまう……♡バカにされるのがクセにっ……♡

「あははっ……♡♡言い返そうとしてしまったのかなぁ?そんなことしたら、ボクのじっとり籠ったフェロモンが余計に入り込んで、脳がトロトロに溶けてしまうじゃないか……♡♡」

「バカにされてるのに気持ち良くされてしまって……くくくっ……♡♡まさに躾だね、ボクにイジメられるの気持ちいい……♡って脳の深くに刷り込まれて、マゾ性癖を悪化させられてしまう……♡♡」

蕩けた脳をくちゅくちゅと掻き回すような言葉が突き刺さる。その痕を、弄って、膿ませて、手遅れにさせようとする悪意ある行為。
けれども、その悪意は底無しに甘ったるくて……ダメだ、ダメだっ……♡こんなの覚え込まされたらっ……♡

そんな抵抗かも分からぬ想い故に息を止めようとするも

「息を止めようとしても無駄だよ。だって、君はよわっちぃ乳首を抓られるだけで……」

「っっ〜〜〜♡♡」

ぶびゅるっ♡♡
びゅるるるるるっ……♡♡♡

「あぁほら、塊みたいな精液が出てしまった……♡♡急に抓られて息を吸ってしまったのが運の尽きだったね……♡♡思いっ切り吸い込んだフェロモンで脳がグズグズに溶けた証拠さ……♡♡」

開発されきった身体では、抵抗も何も無く、簡単に快楽で屈服させられてしまう。

「はぁー、ホントにチョロいなぁ……♡こうやって餌をあげて、ぎゅっと潰してあげるだけで、大事な子種をびゅるびゅる吐き出す上に、もっと魅了されてくれるのだから……♡♡先輩さんがチョロいマゾで助かったよ……♡♡」

「んぅっ♡♡〜〜〜〜っ♡♡」

「あははっ♡♡だから反論しようとしたらダメじゃないか♡♡挑発と快楽がごちゃ混ぜにされて、生意気な後輩にかるーくバカにされるだけで勃起するマゾになってしまうよ……♡♡」

ダメだ、と分かっていても……心をくすぐる挑発を吹き込まれると、反射的に身体が跳ねて、甘ったるいフェロモンを吸い込んでしまう。
もうプライド故の反抗ではなく、ただ免罪符として挑発を待ってしまって、教え込まされてしまう。こんな小馬鹿にする言葉と、快楽を結び付けられて……♡

「ま、ボクとしてはそういう君も大好きだから、堕ちたい時は遠慮なく壊れてね……♡♡」

「そしたら、ちゃんと首輪を付けてイジメてあげるさ……♡♡もう尊厳も何もかも思い出せないぐらい、徹底的に……♡♡」

あぁもう、ダメだ。
深く歪んだ慈愛が心の奥底に染み込んで、ゾクゾクと搔き立てるような充足感に駆られてしまう。ブルブルと悦び震えてしまいそうなほど。

「はぁー……♡ん、あぁ、もうこんなに経っていたんだ、君と過ごすひと時は早く感じて参ってしまうなぁ」

「さ、解放してあげようじゃないか、もうボクの頬っぺたを抓ったりしたらダメだよ?次もお仕置きしてしまうからね……♡」

ひそひそ話をするように声を抑えて警告されるものの……その含んだ笑みが、逆のことを伝えてるようにしか思えなくて、いつかの次に期待してしまう。

そうして、のしっと乗っかっていた大きな胸の圧が、すぅっと遠のいて、視界が解放される。はぁはぁと新鮮な空気を吸い込むものの、肺まで侵されてしまって、まだ甘ったるい。
ぬじゅっ……とした粘液音と共に、ペニスに柔らかい圧が一瞬かかり、ぴゅるっと快楽の残渣が溢れつつ、腰上の圧も和らいで、遠さがって……立ち上がった薫の姿が目に映る。
白濁液で汚れてしまったスーツの股間……つるんとした秘部の辺りに手を這わし、その筋を錯覚させるような手付きで拭い取って、そのまま生クリームを舐め取るかのように、自然とその指を口に含んで

「ふふふっ……さて、と、じゃあ適当に仕事でもしながら」

平静に微笑んで

「今晩は何して遊ぶか、決めようか」

遊びの予定を入れられる。当然の権利を主張するかのように、平然と。
これが、俺の日常になってしまった。淫靡に狂った日常。

「あぁ、鐘が鳴ったね、仕事もこれで終わり……それじゃ、早速行こっか!」

とても理想的で、被虐的で、充実してしまう毎日。
負け続けて、永遠に抜け出せない関係。
24/02/03 00:15更新 / よね、
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