連載小説
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永遠に来ないリザアド作戦2号・後編


『リザァァ!!!!』

ずずぅ〜〜〜〜ん……

リズリーの進路を塞ぐように銀色の巨大トカゲが地上に降り立つ。
銀色の鱗の輝くその巨大トカゲの名は、遠い宇宙の彼方からやって来た戦士。
その名もリザアドマン。
『あんぎゃ〜〜〜〜!!!!』
『リザァッ!!!』
目の前に現れたリザアドマンに捕まえられた怨みを込めて、大怪獣リズリーは威嚇するように耳をつんざくような咆哮をもう一度すると、そのままリザアドマンにラリアットをブチかますべく突撃する。
ちなみにこの咆哮で、リズリーに地上戦を挑んでいた図鑑警備隊の哀れな二人は耳の鼓膜が破れて気絶しまっている。
『あんぎゃ〜〜〜〜〜!!!!』

ブンッ

『リザァッ!!』
轟音を纏うラリアット。
だがリザアドマンはそのラリアットを苦もなく受け止めると、その突進力を利用して、まるで払うように軽やかにリズリーを投げ飛ばした。
大地に叩き付けられて、大地が爆ぜる。
『ぎゃおん!?』
何が起こったのかわかっていないリズリーだったが、大したダメージではなかったためにすぐに起き上がると、そのまままるで弾丸のようなタックルでリアアドマンの柔らかいお腹に、ダイヤモンドのような石頭で頭突きをめり込ませた。
『リザァッ!?』
さすがにこれにはリザアドマンもダメージを受け、後方に吹き飛ばされるとダメージの効きが良いらしく、肩膝を突き、お腹を押さえて肩で息をし始めていた。
『ぎゃらっしゃっ!!』
これをチャンスと見たリズリー。
奥の手と言わんばかりに、口から破壊光弾を吐いた。
この破壊光線は、リズリーの最終手段とも言えるエネルギー弾で、この一発でO分市のO分駅前の繁華街は壊滅してしまう程の威力があるのだ。
『リザァ!!!!』

ずがぁーん

どかぁーん

『リザァッ!!ヘグッハッ!!!』
ボディに重い一撃を入れられたために、リザアドマンはスタミナと機動力を奪われ、なす術なくリズリーの放つ破壊光弾の直撃や、爆風に巻き込まれ苦しそうな声を挙げて大地に倒れた。
『あんぎゃ〜〜〜〜!!!!!』
勝ち誇るようなリズリーの遠吠え。

ぴこん、ぴこん、ぴこん…

その時、リザアドマンの胸のエナジータイマーが点滅し始めた。
リザアドマンはその巨体故に、地球上では2分40秒しか活動出来ない。
もしもエナジータイマーの点滅が消えてしまったら…。
リザアドマンは想像絶する疲労と倦怠感で、翌日何も手が付かないくらいやる気が起きなくなって一日中ベッドの上から起き上がれなくなってしまうのだ。
それはリザードマンとしての誇りが許さない。
むしろ全国のリザ子スキーがそんなことは許さない。
リザアドマンは死力を振り絞る。
守りたいものを思い浮かべ、
人々の思いを力に変えて、リザアドマンは立ち上がる。
『………リザァッ!!!!』
走れ、リザアドマン!!
飛べ、リザアドマン!!




《挿入歌》(画面の前のお友達も一緒に歌ってみよう)
『戦え!リザアドマン』

街を壊すぞ 桃鉄のように
吼える怪獣 大怪獣

ぐわーっと開いた 口から炎
株は暴落 焼け野原

俺が危ない 死が迫る
助けに来たぞ 助けに来たぞ 助けに来たぞ

リザアドマン リザアドマン リザアドマン




リザアドヤクザキックが炸裂する。
リザアド地獄突きがリズリーの喉に突き刺さる。
エナジータイマーの点滅が早くなっていくため、リザアドマンは死力を振り、リズリーの攻撃さえも防御せずに立ち向かっていく。
『リザァァァァァッ!!!!!』
リザアドマンの必殺技、八つ裂きチョップがリズリーの喉を切り裂き火花が飛び散る。
血が出ないのは、よいこのお約束だ。
八つ裂きチョップを受けて、リズリーがヨロヨロと後摺さる。
ここがチャンスだ。

バンッ

リザアドマンは力の限り高く飛んだ。
太陽を背にして、リズリーに飛び掛る。
『流星…!!キィィィィィィィックゥゥゥーーーッ!!!!!』

バキィィィ…

『あんぎゃぁぁぁ〜!!』
渾身の飛び蹴りがクリティカルでリズリーの頬を捉えた。
効果は抜群だ。
リズリーはそのままフラフラと辛うじて立っていたのだが、ついにバランスを崩して膝が折れて、受身を取ることなく大地に臥した。

ぴこん…ぴこん…ぴこんぴこんぴこんぴこん…

『リザァッ!!』
リザアドマンのエネルギーが尽きようとしていた。
リザアドマンはリズリーにとどめを刺すべく、腕を交差させ十字に組む。
『ウロコウム光線!!!』

シュビビビビビビビビビビビ……

『ぎゃお〜〜〜〜ん!!!』

ぴかっ

ちゅどどどどどど〜〜ん

リザアドマンのウロコウム光線で、リズリーはタイムボカンでやられる三悪人の如く大爆発を起こし、赤く塗った発泡スチロールになってバラバラになって弾け飛んだ。
ちょっと火薬の量が多かっただろうか。

ぴこんぴこんぴこんぴこん…

エナジータイマーの点滅を確認すると、リザアドマンは空を見上げる。
『リザッコ!!』
土煙を上げて、リザアドマンは猛スピードで空へと帰っていった。
街を守ってくれた正義の味方をB府市の人々は手を振って見送った。
そして口々に言った。
ありがとう。
ありがとう、銀色の巨人、と。


―――――――――――――――――――――――――――――――――


「もう、心配していたんですよー!!連絡くらいしてくださいよー!!」
「あはは、ごめんごめん。通信機が全部海水に浸かっちゃって使い物にならなかったんだよ。運良く公衆電話を見付けることが出来たんだけど、考えたら小銭も持っていなくてね。誰かが通り掛るまでずっと待っていたのさ。」
ここは図鑑警備隊本部の作戦室。
私は怪しまれないように、そこそこの怪我を装って本部に帰還した。
ハッキリ言って、予想以上に疲れた。
出来ることなら、本当にこのまま寝ておきたいくらいだ。
「そういえば、イデさんも隊長も出撃したんだよね?何か聞いてないかい?」
「えっとですね。イデ隊員は無事救助されたんですけど、核ミサイルを勝手に持ち出して発射しようとした責任を取らされて、パリ本部で皿洗いとゲイ雑誌のモデルとして奉仕活動に出ているのでしばらく帰れないそうです。それと隊長は、完全に行方不明です。どんな顔だったか僕たちが全員覚えていないので、探しようがありません。」
……私も隊長の顔を思い出せない。
まぁ、その内何らかの形で見付かるだろう。

『リザコ隊員、リザコ隊員。』

…いきなりどうしたのよ?
何か慌ててるみたいだけど…?

『大事なことを言い忘れていた。』

大事なこと?

『こういうお話のお約束上、君の正体をばらしてはいけない。』

言う訳ないじゃない。
自分が正義のヒーロー(?)やってます、なんて恥ずかしいことを言ってご覧なさい。
すぐに良い精神病院を紹介してくれるはずよ。

『ああ、良かった。
 君にその気がなくて本当に良かったよ。
 もしも最終回あたりで「僕が(わんわん♪)セブンなんだ」って感じに
 正体をばらそうものなら、間違いなく銃弾が君の額を撃ち抜くだろう。
 主にスイス銀行に報酬を振り込ませるテロリストに。』

言わない!
絶対に言わないわよ!!
私まだ二十(わん♪)歳なのよ!!
まだ死にたくない!!!!



こうして私とリザアドマンの不思議な日々が始まった。
これからも彼女と一緒に地球を守っていけるのか…。
時々そんな不安に襲われることもあるけれど、
私のプライドにかけて、地球は守ってみせる。
江里崎陽子として。
宇宙から来た戦士・リザアドマンとして。







11/07/05 01:45更新 / 宿利京祐
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■作者メッセージ
《エンディングテーマ》
『1000のバイブ』(ブルーハーツの1000のヴァイオリンの替え歌)
歌・バフォメットのイチゴ(セラエノ学園より)

ヒマラヤほどの魔界を一つ
やらしいことをたくさんしたい
ミサイルほどのチ(だきゅーん!)を一つ
気持ちの良いことたくさんしたい

夜の扉を開けてゆこう
さすがにサバトもイビキを掻いてる
何度でもマ(だきゅーん!)の匂いを嗅ごう
あぶない病気も渡ってきたんだ

ヒマラヤほどの魔界を一つ
やらしいことをたくさんしたい
ミサイルほどのチ(だきゅーん!)を一つ
気持ちの良いことたくさんしたい

誰かに金を貸してた気がする
地獄の果てまで取り立てに行くのじゃ
思い出は熱いトタン屋根の上
ワシの腰の下でショタが果ててた

ヒマラヤほどの魔界を一つ
やらしいことをたくさんしたい
ミサイルほどのチ(だきゅーん!)を一つ
気持ちの良いことたくさんしたい






(あとがき)

最初に。
ごめんなさい。
本編が百話までいったので、ちょっとギャグでも…と思っていたら
想像以上にやらかしすぎました。
ちなみにこのリザアドマンですが、次はありません
セラエノ学園を読んでいただいた方はわかるかもしれませんが、
ほとんど『リザードマンマイア』の流れそのままです(--;
それでも苦笑いしていただけたら、私は本望です。

では最後になりましたが
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
しばらくは本編ではなく、明るいギャグを目指して執筆していこうと思います。
ではまたどこかでお会いしましょう^^。

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