連載小説
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那知ちゃん視点 策謀。
「またか。」 そう、思った。
なにも知らない、都会の出世目的の刑事が来た。
どうせ参道でびびって帰るんだ。
そう、思った。

なら、ここで帰らせたほうがこの人のためだよね。
「神社に行くのは止めてください。危ないから。」

ーーー元凶(わたし)がなに言ってるんだろう。
そう、諦めるように笑った。

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鳥居まで来た。
……来て、しまった。
久しぶりの人の温もりが心地よくて、
久しぶりの人とのお話が楽しくて、
嬉しくて、うれしくて、もう少し、もう少しと先伸ばししてしまった。
せっかく、“今までとは違う”人が来てくれたのに、
また、私、 は、食べ、ちゃうんだ。
イ、や
死な、ナ、いで
私に、食べ、ラレ、ナイデ。
ーーーーーせめて、「コ、ロ、シ、テ」

そして、私の意識は沈んだ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

覚悟、した。

この人に撃たれるなら、いい、と思った。

でもまだ私は生きている。

黒い空間のなか、必死に意識の綱引きをして“私の番”
が来たとき、あの人は銃を向けず、バクダン? を投げて“ワタシ”の意識を“剥がした”
そして気づいたら畑に戻っていた。

真っ先に浮かんだのは、「この人なら」という希望。

井口さんのケガを気にするのを忘れてしまったのは今でも後悔してる。
でも、その時の私は、井口さんを離したくなくて、自分の家に、招待した。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

私を救ってくれる。
普通の女の子に戻してくれる。
そう信じて待ったのは、2発の銃弾。
一瞬の絶望。
「化け物」 私を見た人の話が頭をよぎる。
「化け物、化け物化け物バケモノバケモノバケモノ
お前は、化け物。」

ああ、もう つかれた




「だめ」
「貴女はまだ幸せになってない。」
「貴女はまだ女の子の幸せをもらってない。」
「貴女はまだずっとずっとずーーーーっと、幸せになれる。」
「私と来なさい。」
「とびっきりの、幸せな女の子に、してあげる。」

ーーーーーーーーーそうして、子どものような、大人のような声の、大きいような、小さいような、
でもとびきり綺麗で、優しい手が、私の冷えきった手をつかんだ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「…ただいま。」

「お帰りなさい!……って、なんでそんなにドロドロなんですか!」

アルマーニのスーツを台無しにした、罰当たりな男の人が、しゅんとした顔で帰ってきた。

「今日の“始末”は大変でしたか?」

普通の人には物騒なこの質問も、今では当たり前のような、井口さんを慰める温かい、私の時間。

「今日…スライムが相手でさあ…」
「お話は後で聞かせてください。まずは、お風呂。」
「はい。」
素直で真面目な、私の大好きな人。
初めての恋。
絶対に、逃がさない。
「だって、私は幸せになるために、生まれてきたんだもの。
ーーーーーーね? 魔王様♥️」
胸に手を当てて、心臓の鼓動を確かめる。
応えるように、心が、どくんと
大きく震えた。
20/07/14 20:15更新 / ぐだぐだ
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■作者メッセージ
あれ…イチャイチャを書くつもりだったのに…
エロはいつ書けるのだろう…

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