連載小説
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銭湯の醍醐味とは
 
〜明日への活力〜


『うぃ〜〜っす、皆お疲れー』

あー・・・今日も良く働いた!やっぱアタイにゃこういう力仕事が似合ってるなー。始めは園芸なんぞアタイにゃあ似合わない職って思ってたけどよー。案外楽しいじゃねぇか。軽トラとかユニックとかによー、こう・・ガーッと物載せてさ。山道ぶっ飛ばしてさー。んでから土とか担いでさー。結構楽しいんだよなー、これが。

「今日のぶどう棚は完璧に組めて最高だぜ!」

これで数年もすりゃあ、うめぇもんが沢山実ってくんだろなー。そん時にゃアタイにも一口頼むぜ。んじゃそろそろ撤収準備に入っちまおう。

「・・む?なんだいなんだい、この程度に手こずって・・こうすりゃ〜〜・・・フン!!」

「おー・・やっぱ鬼ってのは名前通りすげーのー。わしじゃあ勝てんわー・・ハッハッハッ」

「あったりめーよ!アタイを誰だと思ってんだい?鬼だぜ、鬼」

「でものー・・・例え鬼とは言え・・」

「なんだい?アタイに何か不満でもあるってえのかい?」

ん?なんだい?アタイを指差して何があるってえんだ?

「あんたも女なんじゃから・・そのーなんじゃ・・いつまでも汗臭いのはどうかと思うんじゃが・・」

・・・ッ!?そりゃ言いっこ無しだろ!今のはアタイでもかなり傷付いたぞ!

「ほれ、お前さんにこれをやろう」

「・・・なんだこの紙切れ?」

「金玉の湯の回数券じゃよ。わしゃあ偶にしか行けんのでこうやって持っておるんじゃ。あそこの呑み屋の雪女さんがこれまた別嬪での〜。亡くなった婆さん思い出すのぅ」

「ケッ、色気づいたじじぃだな、ま・・あんがとよ。有難く使わせてもらうぜ」

・・・汗臭くなんか、クンクン…ちょっと汗臭ぇ。しゃーねーなぁ、このまんまじゃ男が寄ってこなくなっちまうし帰りにひとっ風呂浸かりにいっかー。んで金玉の湯ってどこだ??

「金玉の湯に行くんなら途中まで送ってやるぞ〜?」

「おっ、ありがてえ。んじゃお言葉に甘えて乗せてってくれよ」







「わしゃー此処から向こうに用事があるからここまでじゃ。後はこのまま真っ直ぐ行きゃーわかるわい」

「あんがとな、じいさん」

おーし、その金玉とやらを目指して走るかー!ほっほっほっほっ・・・。汗掻いた後の風呂は最高だからなー。それとビールもなー。

「ほっほっほっほっ・・・・っとと、勢いづいて過ぎちまった。・・・ここだな」





「いらっしゃーい」

「これで浸かれるんだよな?」

「あら?これは・・・正さんの券よね?どういう事かしら?」

「あー、仕事帰りに浸かってけ、って言われて渡されてなー」

「正さんらしいわねー。それじゃゆっくり浸かってらっしゃいな」

「おうよ!」

へ〜・・こりゃすげーなー。銭湯なんて今まで興味無かったがなかなかじゃねぇか。・・・ぁ?そういやアタイ着替え持ってきてないぞ。どうすりゃいいんだ??誰かに聞いてみっか。

「なぁなぁ、ここって下着とか融通利かねぇか?」

「籠に入れておくだけで大丈夫よー。お風呂から上がったら綺麗になってるから」

「…??」

よくわかんねーけどこの籠に放りこみゃいいのか。んじゃひとっ風呂浴びるかー!


-カララララララ・・・-


「お、中もすげーじゃん♪古いイメージあったけどこれならいつでもオッケーだぜ。あ、やべ・・・どうやって体洗うんだよ。着の身着のままで来たから考えて無かった」

「御貸ししますよ」

「さんきゅー」

いやー助かった、やっぱ持つべきものは仲間だなー。あ、仲魔か。折角銭湯に来たんだ、今日は念入りに洗うぜ。まずはアタイ自慢の腹筋からだな。

「ふんっふんっ!はぁ〜・・気持ちいいぜ〜。うち風呂もいいけど偶に来る銭湯もいいもんだなー」

今度からは偶にゃ仕事帰りに銭湯来っかー。ぷひゃー・・・シャワーいいよなー。うちにも今度付けてみっかな。

「おう、あんがとなー」

さーて、どの風呂に・・・んぁ?なんだあいつら?なんであんな真っ赤になるまでサウナに居るんだ?暑いんならさっさと出りゃいいのに。どーせ大方くだんねぇ賭けでもしてるんだろうけどなー。

「おっし、泡風呂に決めた!こんなのうちじゃ浸かれないしな」

ひょほほほほ〜〜、これこれ。この感触がたまんねぇ。ちょっとした贅沢気分ってこういう事言うんだな。いや〜、しっかしまぁなんちゅうか・・・女同士の裸の付き合いもあれだがやっぱ男が居ないとなー。しゃーねー、風呂上がったらいつもの呑み屋でちょいと引っ掛けてくっか。でもあの店に来る男はほとんど誰かに喰われちまった後だし。

「・・・う〜ん、どうしたもんかなー。」


『あそこの呑み屋の雪女さんがこれまた別嬪での〜』


そういや此処に呑み屋があるってじいさん言ってたな。風呂から上がったら少しだけ覗いてみっか。

「ま、それはもうちょい後のお楽しみだな。今はのんびり湯に浸かっていてー」

ふー・・・極楽極楽。

さぁてそろそろ上がっかー。


-カララララララ・・・-


んー、風呂入る前に着替え要らねぇって言われたが大丈夫なのか?

「・・おろ?本当にアタイの服が綺麗になってんぞ?どうなってんだこりゃ?しかも御丁寧に畳んでやがる。財布も・・大丈夫みてぇだな」

一体どうなってやがんだ?まー綺麗になってんなら別に何でもいっか。よっと・・、汗臭くねぇな。んじゃ此処で一杯やってくか。

「女将さんよー、此処って呑めるんだよなー?」

「ええ、そこの通路に入って一番奥までいけばわかるわ」

「さんきゅー」

ええと、此処に入って一番奥だな。お、此処かー。結構落ち着いた店じゃねぇか。気に入ったぜ。

「えーと・・淡雪か。なかなか古風な名前にしてるじゃん」

「いらっしゃいー」

・・・女将はゆきおんなか。それにカウンターに男の客が一人。こりゃ勝ち目無しか。しょうがねー、飯食ったらとっとと引き上げて寝ちまおう。・・でもやっぱアイツの隣で食おう。望み薄そうだけど。

「よー、隣いいかい」

「おう、美人の頼みは喜んで」

んー社交辞令ってやつかー。ちょっとぐらいは期待したんだけどな。

「冷たいのくれよ、出来ればガツンとくるやつな」

「それでしたらお隣さんと同じもので」

はぁ〜?いくらなんでもそりゃ薄そうだろ。どう見たって酔ってるようには見えないだろ。って、おい・・アタイの前に置くなよ。

「しゃーねーなー、とりあえず呑んでや・・んっ!?」

「どう?ガツンと来たでしょ」

くっぁぁ〜〜〜・・・なんだこりゃあ・・。ガツンどころか喉の奥まで来るじゃねぇか。こりゃたまんねぇ。

「あんた・・結構呑める口なんだな」

「そうか?俺の田舎じゃこれぐらい当たり前なんだが」

これが当たり前だと!?こりゃあ大した男じゃねえか。たった一杯でアタイを痺れさせるような酒を平気で呑むなんざ逃がす気はねぇぜ。・・・どうやら女将にゃ興味ねえみたいだし、向こうさんも興味薄いみてえだな。こりゃあちょいと試しに誘ってみっか。

「なぁ、あんた酒つええみたいだがうちの鬼秘伝の酒呑んでみねえか?」

「・・・!」

お、反応しやがった。こりゃ生粋の酒好きだな。それなら話は早え方がいい。

「どうだい?ここでちょいと食ってからアタイんちに来ないかい。とっておきのやつを御馳走してやんぜ」

「鬼秘伝の酒が呑めるならすぐにでも!」

「まぁまぁ落ち着けよ、今は此処で先に一杯どうだ?時間はたっぷりあるんだしなー、・・・厚揚げと烏賊、それと酒盗頼むぜー」

「はぁ〜い、ただいま〜」

よっしゃ、今日は全部アタイの奢りだ!食え!呑め!それからたっぷりアタイんちで呑み交わそうじゃないか!だけど一先ずは・・・・





        『この出会いに乾杯!!』



16/07/08 21:36更新 / ぷいぷい
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暑い夜は呑もう

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