連載小説
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難しい習性・・・・・・・・
「既存を間違えずに良き新しいを作る・・・・
     ・・・・また間違った新しいを良い既存に見習わせる・・・・・」

                         ザバサの名言・・・・
     

吹き荒れる山の強風、しかし吹雪では無いので視界は至って良好

(だが…強風のせいで姿勢が上手く保てん……)

そう思いながら私はヴァンパイアの住む屋敷を目指していた、

実は少し前・・・・・・


時は雪山のエリアに入る直前・・・・・・

(このくらいの寒さなら問題はないが、寒いことには変わりない)

そう思いながら目的の山をぐるっと一周…高高度から偵察していた

その時に・・・・・・

(んん!? 屋敷みたいなものが)

私は一番大きな山のちょうど中腹位にある大きな屋敷を発見した

(だがあそこは山脈の隙間、風が強くて飛べないな)

私の魔力は人間の中では強いが、魔物に比べれば弱かった為

空中移動は強い風が吹くと制御が効かなくなくなる

(風はあっちから吹いてるのか)

そう思い私は反対側に回り風に乗りながら中腹の何処らかに着陸

そして屋敷を目指す・・・と言う作戦を練った


(そして今に至るわけだ)

そう考えその様に思った私は反対側に回り予定の山脈の隙間に飛び込もうと

している瞬間である、しかし、寒さと強風のせいで益々飛びにくくなっている

(まあ、下は雪だから落ちても問題ないよな? まあ…最悪はこの装甲服が
 守ってくれるはずだ)

そう思いながら飛行経路を山脈の隙間に持っていく

途中からは強風で制御が効かないであろう

(いくぞ!)

そう思いながら山脈の隙間に

「ブォォォォォォォ..」

突入した

「ゴォォォォォォォォォ..」

山脈の隙間の風は台風の暴風域よりも激しかった

「があっ」

途中壁に激突しそうになったが何とか直撃は避けたが、そのせいで空中飛行の

制御も利かなくなった、そして私は強風に吹き飛ばされる様に・・・・・・

「おおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!!!......」

山脈の隙間から出た・・・が

もちろん飛行制御は効かない、私はそのまま下の雪原にダイブした

「ボスッ..」

雪がクッションになった為、怪我などはしない

カッコよさはともかく私は無事に目的の館の付近に行くことができた

「ふう〜もうやりたくないな」

そう言いながら私は黒ずくめの装備で埋まっている体を真っ白い雪から出して

屋敷のある方向に向かって歩いて行った・・・・・


・・・で・・屋敷に向かって歩き続けて約40分位・・・・・・・・・・・・

(あれか..)

そう思う私の目の前には安定した岩の上に堂々とたたずむ立派な屋敷が姿を

現した、正直な所こんなものをどうやって立てたかどうか分からない

(まあいい、今は大体4時だろ? 日が暮れるまでまたなければ)

ヴァンパイアは太陽の光が大の苦手、魔力が使えなくなる

たぶん陽が昇っている内はに尋ねても寝ているか居留守を使われるだろう

(もう少し遅く出るべきだったな)

私は早すぎても待ち時間が多くなり寒さでつらくなる、かと言って遅すぎると

暗くなって危険なため移動が出来なくなる、それを考慮して出てきたのだが

(日没まで約3時間位ある…寒いのに……)

今回は主に魔力の弱い私が空中飛行でくるため

あまり重いと飛べ無いので、銃と弾薬の重さの為に防寒具は薄めだ

それでもタックギアー製のコートは薄さの割に頑張ってくれている

(まあ、ここら辺にかまくらでも作って寒さをしのぎますか)

そう思い私は、雪の地面を叩き硬くしてその下を掘り、

簡易的に作れる即席かまくらをわずか10分足らずで作った

(これで風邪くらいはしのげるだろう)

そう思いながら即席のかまくらに入る

風を防げるだけでも寒さは大分楽になった

(ふい〜あったか〜い……)

そう思いながら屋敷を偵察しながら日没を待った


・・・で・・一時間位経過して・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(窓の中に変化はなし! 扉もなし! その他異常なし!)

相変わらずゴーストハウスの様に人気のない屋敷を双眼鏡で覗きこんでいる

先ほどから日没に近づくにつれて寒くなってきた

(凍死はしないと思うが…体力が心配だな……)

そう思いながら私はバックパックからエレノアから行きがけに貰った

葡萄酒を開けることにした

(任務中はいけないが…有事だ)

エレノアのくれた葡萄酒はニルバス産のブドウを使った高級な葡萄酒だった

正直なところこんなに高い酒を寒さを紛らわす為に飲むのはもったいない気が

したが、そんな事は言ってられない

そう考えながら私は念力でコルクを開けようとした時だった、

(!?・・視線..)

私は突如視線を感じ、急いで屋敷に向かって双眼鏡を向けた

(扉はいない、屋根? 窓・・・?)

私は1つの窓を見て違和感を感じた

カーテンが閉まっていなかったのだ、西側なのにだ

しかも良く見るとカーテンが少し動いていた様な気がした

(ヴァンパイアなのか?)

そう思いながらも今確認する術は無い、太陽が沈んでからでないといけない

(・・・葡萄酒はお預けだ)

そう思いながらバックパックに葡萄酒の入った瓶をしまうと

双眼鏡を再び手に取り偵察を続けた

(だが…太陽が苦手とはな、出会うのにも一苦労だ)

そう思いながら寒さに耐え、陽が沈むのを待つことにした


・・・で・・だいたい2時間後・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(暗くなったな)

太陽が沈み辺りは漆黒の闇に包まれる、ヴァンパイアが活動する時間だ

(手土産持ってくるのを忘れたな)

そう後悔しながら即席のかまくらから出て、私は屋敷の方に歩いて行った

(暗いな…)

ヴァンパイアはすでに起きていても良いはず、しかし屋敷は暗かった

(・・・死んでいたりしないよな?)

そう不吉な事を思いながらも屋敷の入り口の扉に着いた

(まあ、魔物だし…そう安々と死なないだろう)

扉の前でそう思いながら

「ゴンゴンゴン..」

「すみませ〜ん、日没直後にお伺いいたしまして、少しお話しがしたかったの で尋ねてまいりました」

私はそう言いながら扉を叩いた

・・・が、案の定誰も出ない

(居留守か?)

そう思いながらお約束通りに扉に手をかけてみると

「ガチャ...ギィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ..」

またもやお約束通りに扉が開いた

(まあ、こんな所に泥棒なんて来ないよな? 普通…)

そう思いながら館の中に入った

(ふう、やはり屋敷の中は温かいな…しかし体が雪まみれだ)

そう思いながら私は真っ暗な館の中を見わたした

「すみませ〜ん扉が開いていたので勝手にお邪魔しましたよ〜」

そう叫んだが何も聞こえないし辺りを見回しても誰もいない

(ずいぶんと豪勢な屋敷だな)

私が見まわした館の中は中世ヨーロッパの宮殿を思い浮かべる様な豪勢な

装飾品や芸術品がそこらじゅうに置かれていた

(これだったら泥棒もわざわざ来そうだな)

そう思いながらも私はここに居るはずのヴァンパイアを探すことにした

(館内は暗いから)

そう思いと私はバックパックからmini-UZIを取り出した

(フラッシュライト点灯..)

mini-UZIのフラッシュライトを点灯させると

私は真っ暗な館内を探索することにした

(だが…この広い館の何処から探せば良いのやら)

そう思いながらもとりあえず偵察中に視線を感じた西側の窓の部屋に行くこと

にした

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

足音を立てずに館中の絨毯張りの廊下を歩きながら私は西側の部屋を目指して

いた、この館は外見もそうだが…中もあまり手入れはされていなさそうだ

クモの巣はこの様な場所だから無いが、

歩くたびにほこりが絨毯から舞い上がる

まあ、でもその時私はガスマスクを装備していたわけだし

不用意にくしゃみをかますようなことにはならなかった


・・・で・・その様な事を考えている内に目的の部屋の近くに来た

しかし…その部屋を発見することはたやすかった

なにせ、西側一帯は1つの大きな部屋になっているらしく

大きな鋼鉄製の扉が1つあるだけであった

(探す手間が省けたか..)

そう思いながらも私はこの大きな部屋に何も気配を感じなかった

まあそれでも私はとりあえず入ることにした

「失礼するぞ?」

念のためそう小さな声で言いながら大きな扉を開けて中に入る

「ギギィィィィィィ..」

金属のすれる音と共に扉を開けた

(食堂か…)

扉を開けた直後に分かった、長く細い机、豪華なシャンデリア

そしてなぜか赤いバラが刺さった大きな鉢、まあ、良くありがちな食堂だった

(まあ、ここではないか)

そう思いながらも私は偵察中にわずかに動いたと思われるカーテンを探した

(まあ、分かりやすいな)

私はいとも簡単に開いたカーテンを見つけることが出来た

なにせそれ以外のカーテンは綺麗に閉ざされているからだ

私は開いたカーテンを調べた

(誰かが居た形跡くらいはあるが…)

そう思いながら私はバックパックからブラックライトを取り出した

(これだけほこりが舞っていれば..)

ブラックライトを絨毯に照射すると

(足跡発見!)

とても分かりやすい足跡を発見した

絨毯のほこりがたくさん舞っていたことから見つけやすかった

(後はこの足跡をたどって行けばいい)

そう思い、私は足跡をたどりながら食堂を後にした


・・・で・・足跡をたどりながら館内を歩くこと約3分・・・・・・・・・・

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

相変わらず足音1つ立てずに館内を歩いていく

(しかし、誰も居ないな)

そう思いながらも足跡をたどっている

フラッシュライトの青白い光を頼りに先に進み

ブラックライトによって導き出される足跡をたどる

(まあ、最悪はこの屋敷で騒げば出てくるだろう)

そう恐ろしい事も考えながら私は足跡を追っていった


・・・で・・足跡を追って約13分後・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(この部屋か…)

私は足跡が途切れた部屋の扉の前に立っていた・・その部屋から新しい足跡は

出ていない、たぶんこの部屋にいるのだろう

私はこの部屋の中に何かしらの気配を感じていた

(とりあえず…礼儀正しく、そして何時でも迎撃態勢を……)

そう思いながら・・・・・・

「《コンコン..》失礼しますね?」

扉をノックし、そう言いながら私は部屋の中に入った

「キィィィィィィ..」

扉のこすれる音ですら恐怖を感じる

(寝室か…意外と質素なつくりだな)

フラッシュライトで照らされた所を見ながらそう思う

(さて、何処にいるのやら)

そう思いながら私は部屋の奥へと進んで行でいった

「眩しい…」

何か呟くようにそう聞こえた

(んん?)

私はフラッシュライトであたりを照らした、すると・・・

「眩しい……」

確実に聞こえた

(消した方が良いな…)

そう思い私はフラッシュライトを消し・・漆黒の闇に身を任せることにした

「ガサッ..」

シーツのこすれる様な音がする

(非常時の場合はコレで..)

その様なことを思いながら私は向こうから話しかけてくるのを待った

「何の用だ、下賤な者よ」

イキナリな言われようだ、だが仕方ない…

ヴァンパイアは人間を下等生物と見なす、その様に言われても仕方がない

「ああ〜失礼、突然押し掛けてしまって、あなたと少し話がしたくてな」

そう私が言ったが

「貴様の様な下賤な者に聞く耳は持たん、早く立ち去れ」

そう返された

(ふう、こりゃ極度の人間嫌いだな)

そう思ったが、今の私は人間の様で人間ではない…

「ああ〜ではこちらからも返すようだが、私は人間ではないぞ? 
 どちらかと言えば魔物よりの人間だ、それに…たぶんあなたが想像する様な 下劣な人間ではないはずだ」

そう私が言うと

「・・ふんっ..」

そう言われた瞬間・・・・・・

「パッ..」

暗かった部屋が明るくなった、

白熱球のような温かなオレンジ色の光が部屋を包み込む

そして、私の目の前にヴァンパイアが姿を現した

(物凄く威厳に満ちた出で立ちだな)

私はそう思いながらも私はヴァンパイアに話しかけた

「あ〜この状況から察するに話を聞いていただけると?」

そう私が聞くとヴァンパイアは不機嫌そうに

「ふんっ…暇つぶしに聞いてやろう」

(ずいぶんと威圧感のある仮面を着けたやつだな…)

向こうはその時そう思ったらしい

だが、そう思いながらも私に椅子を差し出した…無論念力で

「では失礼して…」

椅子に腰かけて私はヴァンパイアを見た

ヴァンパイアは黒いマントをはおり威厳に満ち溢れた姿をしていた

「話すならさっさとしろ!」

そう怒鳴られたので、私はさっさと話を始めることにした

「申し訳ございません、ではさっそくお聞きします、あなたは何故この様な所 にいらっしゃるので?」

「ふん、そんなの私の勝手だろ」

そう答えられたが、正直解答になっていない

しかし、問いただすことはせずに次の質問に行くことにした

「では、次です、あなたは大層人間が嫌いだそうですが、何故ですか?」

「それはだ…あいつらは自分のことしか考えしかせん! しかもどいつもこい つもくだらんプライドを持ちおって…全く好かぬ……」

この質問に対してはヴァンパイアは熱心に答えてくれた

どうやら余程恨みがあるのだろう

しかし私にとっては必要な人材の条件の1つでもあった

(・・・適性はあるな)

そう思いながらも次々と質問をしていった

どういう者が好みだとか、生きていく上で必要な物は何だとか

意思のある者らしい生き方とは? そして私が外に居た時食堂から覗いた?

・・等の変わった質問を20個位してみた、向こうは質問を選びながら答える

物と答えない物があった、途中から世間話っぽくなってしまったが、

私の中ではとても必要な人材となった、

そして良き理解者にもなってくれそうだ、私はその様に考えていた・・・

《ちなみに食堂からの視線は確かでした、(用は覗かれていた)》


(こやつ…変わった奴だな……)

どうやら向こうもそう思っていたらしい、話し方や表情が少し柔らかくなって

居る…まあ、たぶんその原因は・・・・・・

「どうです? ニルバスの葡萄酒は?」

私が質問の途中で出した葡萄酒のせいでもあった

「ほお・・中々いけるな」

エレノアから貰った葡萄酒が物凄い力を発揮していた、ヴァンパイアは葡萄酒

のおかげで上機嫌になっていた

(よかった…あの時飲まなくて……)

どうやらこのヴァンパイア

偵察中に覗いたのは私の持っていた葡萄酒が目当てだったらしい

どうやって感じたかは分からないが

質問中に私のバックパックをチラチラと見てきたので試しに出してみたら……

大当たりだった・・・・・・

(飲みたかったら最初から言ってくれればいいのに…)

そう思いながらもヴァンパイア葡萄酒を飲む姿を見て

(適性・素質・・・共に問題は無いな)

そう思う私が居た・・・・・・

※何度も言いますが、ガスマスクには飲料を飲む為のストローが付いています


・・で・・・葡萄酒の瓶が空になってから少したった頃・・・・・・・・・・

(ほとんど向こうに飲まれたな)

そう思いながら顔を少し赤くしているヴァンパイアの事を見ていた、

ヴァンパイアはアルコール度数38%の葡萄酒を約600ml近く飲み

完璧にほろ酔い程度は、しているのが見ただけで分かった、だが…ちゃんと

理性は保たれているので安心した、どうやら相当酒に強いようだ

「中々美味かったぞ…礼を言う……」

ヴァンパイアにそう礼を言われた

「こちらこそ、突然やってきて色々と聞いてしまい」

私はそう言いながら頭を下げた、

私はたとえどんな時でも礼儀は忘れない

「・・で・・・お主は何故我のことを尋ねてきたのだ?」

ヴァンパイアは若干酔いながらも…当たり前に思うことを聞いてきた

普通はこんな所に尋ねてくる者などいない

「ん? 尋ねてきた理由ですか」

そう言うと私は・・・・・・

「尋ねてきた理由はですね…簡単にいえば、貴女に仲間になってほしい……
 と言うことですかね」

私がそう言った瞬間

「たわけ..」

そう言いながら、物凄い形相をしてヴァンパイアが私の事をにらんだ

先ほどまでの酔いは完全に無視されている

(・・・少しマズイかな)

何が気に入らなかったのかは知らないが、物凄く怒っている事は確かだ・・・

体が物凄く震え、体から魔力がにじみ出ている・

意思ある者は怒っている場合の行動は早い、怒っていると自己主張が激しく

なるからだ、私に考える時間を与えずにヴァンパイアは言ってきた

「貴様…人間まがいのくせに・・・我に仲間になれと?! 我を愚弄するのも いい加減にせい!」

その様な感じで自分の感情をすべて相手にぶつける様な感じで言ってきた

正直いきなりだったので困ったが、私には間接的に関係はあったとしても直接

関係はないことだと分かった、何せ私は愚弄した記憶はない・・・

そして私の考え通り・・・・・・

「・・・すまぬ、気にするでない..」

ヴァンパイアはそう言いながら荒れている息を整えていた、どうやら直接私に

関係はなかったらしい、少し機嫌を悪くしてしまったが、怒りは完全に収まっ

ていた

(どうやら誤解だったようだな)

そう思いながら若干の恐怖で震えた腕を抑えた


・・で・・・ヴァンパイアが息を整え終わった頃・・・・・・・・・・・・・

(・・・黙っているな)

ヴァンパイアは先ほどの怒りから一転・・黙り込んでしまった・・・

(非常に気まずい)

私は会話をしようとしても何を話したらよいか分からず

ただ椅子に座って黙っていた・・・すると

「我は…人間が嫌いでな……」

ヴァンパイアの方から口を開きそうつぶやいた、とても悲しそうな声だった

(・・こいつ、過去を引きずっているな?)

そう思いながらも私はただ黙ってヴァンパイはの話に耳を傾けた

「我はな、ただゆっくりと過ごしたかっただけなのだ、なのに人間は・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「我のことを汚らわしい物扱いしたあげく・・我のことを殺そうとしに来たの だ」

「そうでしたか…」

このヴァンパイアが言ったことは断片的だが理解できる

ニルバスの周りの国は魔物敵対領だ、たぶん教会の人間か何かに一方的に迫害

されたのだろう

(それで人間嫌いになったのか…)

元居た世界と同じような事が起きていると思うと悲しくなる

「だがな・・我は悪い人間ばかりでないことも知っている、例としては
 ニルバスの人々だ…だがな……やはり我は人間を好くことは出来なかった」

(それで、こんな所に住むようになったわけか…さっきの質問では答えてくれ なかったな)

そう思いながらも私はヴァンパイア話を聞き続ける

「ここに来てもうどれ位経ったか忘れてしまった…召使いも居なく、
 月に一度この近くを通る行商から食糧を買う生活だった」

(だった? 何か違和感が)

そう思いながらも今までの経験上…地雷発言の可能性があるので聞くのはやめ

て置いた

「だが…それともお別れできそうだ……」

(・・・・・・・・)

急に話の方向が変わった事と共に私の抱いていた違和感が増加した

「我の召使いにふさわしい者が現れたからな?」

(やべえ..)

そう言いながら立派な牙を見せ、笑うヴァンパイアの姿を見て

私はそう思った・・・だが念の為

「あの〜? そのふさわしい者とは?」

そう聞いた私への答えは案の定

「今我の目の前にいる者だ」

(光学迷彩機動!..)

そう言われたと同時に光学迷彩を起動させた

「目の前ですか、私ではなさそうですね」

すぐさまヴァンパイアの横に移動して光学迷彩を外した

「ほお…では訂正だ……今から我が噛みつく者だ!」

そう言うと

「なっ…」

私がそう言う間に・

「バサッッッッ..」

その容姿からは想像もできない力で、私はヴァンパイアに床に押し倒された

「おい? 人間は好きにはなれなかったんじゃないのか?」

そう私が聞くと・・・・・・

「お主は例外だ、知的で常識人だ…それに、わずかに魔物のにおいも感じたか らな? 問題ない…」

そう言いながらヴァンパイアは私の顔を強引に手で横に向けた

「我がすぐに引きこんでやる」

そう言いながら噛みついてきた

「ッッッ...」

物凄い快楽が私に流れ込んできたが

(さ・・させてたまるか!)

私はそう思うと腰のポケットに手を入れて

(音響閃光弾! 投合!)

そう心の中で言うと

「バァァァァン..」

物凄い光と音が部屋に響く・・・・・・

「なっ…」

ヴァンパイアは突然の事に驚いて、私の首筋から牙を離した

(・・・今だ!)

そう思いながら間一髪…私はヴァンパイアの腕の間から体を解放し

バックパックを持ち出して部屋から出た、そして案の定部屋の外は暗い

(くっ・・吹雪いているな)

そう思う私の視界には猛烈な吹雪で荒れている外の景色が見えた

(これではまともに飛べないな…)

そう思っていると・・・・

「バンッッッ..」

後ろの方で扉が開いた・・・・・・

そしてそこには、鬼の様な形相で私を睨むヴァンパイアが居た

「貴様・・我の事を侮辱しおって! ゆるさぬ!」

そう言うと、ヴァンパイアは何処からか持ち出して来た両手剣で・・・・

私に斬りかかってきた

(くっ…)

とりあえず私は入り口まで逃げることにした・・が

しかし、相手はヴァンパイア、一瞬で追いつかれた

「シュンッッ..」

鋭い剣が私の首すれすれを襲う

(あぶねえ..)

そう思いながらも2撃目、3撃目・・と首筋ギリギリをかすめて避けていく

しかし、こうして逃げていても何時かは斬られてしまう

話し合おうとしても向こうはこちらを殺す気でいる

(どうやら徹底抗戦しか無いな…)

そう私は思うと、腰のポケットから煙幕弾と音響閃光弾を取り出すと

(とりあえず両方1つずつ)

「バァァァァン..」

「シュゥゥゥゥゥ.............」

音響閃光弾で一時的に足止め

そして煙幕での視界のはく奪

とりあえず今できることはこれしかなかった

しかし、思いのほか効果があったらしくヴァンパイアは追ってはこない

(良し!)

そう思いながら私は屋敷に入ってきた入り口まで急ぐことにした


・・で・・・屋敷の入り口に着いて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

屋敷の入り口に着いたが…ヴァンパイアは追ってはこない

(・・・一旦退却と行くか?)

そう思いながら入り口の扉に手をかけたが

(・・んん? 開かない? ・・・そうか)

そう思いながら入り口正面のエントランスを見ると目じりを震わせている

ヴァンパイアが立っていた、怒りを通り越して笑顔になっている

(・・・本格的にヤバいな)

そう私が思っているとヴァンパイアが言ってきた

「貴様に選択肢を2つやる…1つはここで永遠に下僕として働くこと
 そしてもう一つはここで死ぬ事だ! さあ! 選べ!」

どちらも結果的に死ぬことには変わりない、

その時の私に選択の余地なんて無かった

「私は…下僕はごめんだね」

そう言うと音響閃光弾を上に投げながら西側に向かって走った

「バァァァァン..」

音響閃光弾の炸裂音が聞こえる

(とりあえず立てこもれる場所まで)

そう思いながら廊下を走っている途中に煙幕弾を投げていく

すると、西側のエリアは煙に包まれ極度に視界が悪くなっていった

そのおかげか、ヴァンパイアは追っては来なかった

(食堂は…あそこだ!)

私は西側の食堂の巨大な扉を開け中に入った

「ガコン..」

鋼鉄製の扉の閉まる音が響く・・・・・・

(ふう〜とりあえず何とか逃げることには成功したな)

そう思いながら窓の外を見る

「・・・酷い吹雪だ」

外では雪が猛烈に吹雪いている

ヴァンパイアは真水に弱いため吹雪の間なら安易に逃げられるのだが・・・

(あいにく・・この窓ガラスにも魔法がかかっているんだよね?)

そう思いながら窓を眺めた

この屋敷にかけられている防御魔法は攻撃を跳ね返す様な物らしく

無暗に銃や爆薬で割ろうとすると自分に跳ね返ってきて非常に危険だ

先ほどの入り口の扉を押したときに分かった

(仕方がない、あのヴァンパイアを何とか説得しなければな)

そうは思いながらも戦いは避けられそうでは無いので戦いの準備も行った・・

「さて・・今ある武器は…短機関銃一式と手投げ弾一式それと大口径拳銃と
 ジャッジ&日本刀」

そう言いながらもヴァンパイアとの戦い方も考えていた

(ヴァンパイアの弱点は…真水・太陽・銀・にんにく・・・結構多いな?)

ヴァンパイアは不死身とも言える肉体を持つ代わりに弱点も多い

(銀は無い、真水はバックパック内に約3L、太陽は時間的に無理、
 にんにくは約1つ)

正直な所…弱点は分かってもどの様な反応を示すかどうかは

分からなかった、予想ではあるが・・・我を忘れたり、好色になったり、

性感が上がったりする効果のはず、弱点を突くのは諸刃の剣となるだろう

つかまれば間違いなく種抜きにされてしまう

(現在時刻は約23時・・・・・・日の出まで時間があるな)

今回の作戦は太陽が昇るまでどうにかして持ちこたえ、太陽が昇ったら

たぶんヴァンパイアも動けなくなり、防御魔法も弱まる

その隙に外に脱出・・・と言う作戦だ

正直、これ以外に良い案が浮かばなかった

館内で銀を探す・・・と言うよりも確実性が高いと思ったのである

(後は、何時までここに閉じこもれるかだ)

ヴァンパイアも間抜けでは無い

いくら視界を遮ったとしても何時かは見つかってしまう

私は戦闘の準備をすることにした

(真水は貴重だからな、非常時にしか使わないようにしよう、にんにくは、
 散弾のシェルに混入させよう)

そう思いながら急ぎジャッジの410番シェルを分解して、

鉛の粒ににんにくの欠片を混入させた

2〜3粒程余ったニンニクの破片はとりあえずポケットに入れて置く事にした

「さて・・近づいて来たな」

私はヴァンパイアの気配を感じた

すると私はmini-UZIを構えFMG-9を後ろのポケットに入れ

P90を背中にしょいこみM500をヒップホルスターに入れ

PP2000を肩に懸け、そして最後にジャッジをレッグホルスターに装着し

日本刀を腰にさした・・・・・・

(作戦は太陽の光を効率的に当てること・・・方法は・・・・・・)

そう頭に念じながら鋼鉄製の扉の横に待機した

(足音は聞こえないが…気配がする……)

そう思いながら私は精神を集中し、恐怖に打ち負け無いようにした

(来た・・・・)

そう私が思った瞬間・・・・・・

「ガンッ..」

鋼鉄製の扉を叩く音がした

しかし、さすがのヴァンパイアでも鋼鉄製の扉は壊せないらしい

(どうだ? あきらめるのか?)

そう私が思った時だった

「ガアァァンッ..ガラガラガラ......」

私の居る反対方向の壁が崩れた・・・・・・

(しまった?! 壁はレンガだった)

そう思った時にはすでにヴァンパイアが食堂に入ってきた

「見つけたぞ…貴様!」

鬼よりも怖い形相で私の事を睨んできた

さすがに自分の屋敷であれだけの煙を炊かれたらどんな奴でも怒るはずだ

その証拠に銀色に光る両手剣を握りしめている

「お手並み拝見…」

私はそう言うと手に持っていたmini-UZIをヴァンパイアに向かって発砲した

「トトトトトトトトトト...」

サイレンサー越しに歯切れの良い発砲音が響く

そして発射された弾丸はヴァンパイアの心臓部分に命中している

「カチンッ..」

撃ち尽くした音がする

合計32発の9ミリ拳銃弾を心臓付近に命中させた

(魔法障壁は無し、全弾直撃!)

いくら魔物でも心臓付近に弾を喰らっては無事ではいられない

そう思っていた・・・が

「その程度か・・他愛も無い」

ヴァンパイアは格が違った・・全くダメージを受けてはいない

それどころかこちらから攻撃した為に火に油を注いでしまった

「・・死ね....」

ヴァンパイア頭上から両手剣が振り下ろされる

(マズイ..)

「ヒュンッ..ガキーン...」

ヴァンパイアの一撃は私が構えていたmini-UZIを一撃で真っ二つにした…

足元にmini-UZIの前半分が落ちる

「ちい..」

私はすかさず後ろ半分になったmini-UZIを床に捨て、肩に懸けてあったPP2000

を発砲しながら食堂の奥に退避していった

「ティティ...ティティティティティ....ティティ..」

PP2000の小さな発砲音がヴァンパイアに押されている私の状況を

表しているようだった、先程から頭部や心臓に命中させている・・・が

全く効果はない・・少なくともマガジン4本分、弾数に換算すると160発位は

命中させている、しかもPP2000は貫通力が強化された弾薬を使用する

普通ならズタズタになっているはずだ、

だがしかし、ヴァンパイアは違った・・来る弾をまるで紙吹雪の様に扱い

私に迫ってくる、私は完全に向こうのペースに飲み込まれつつあった、

「無駄だ、あきらめろ…貴様の敗北は確定だ」

そう言いながらヴァンパイアは私を食堂の奥に追い詰めている

(くっ・・かくなるうえは..)

そう思うと私はバックパックから貴重な水の入った容器を取り出すと

それを上空に投げ・・PP2000で容器ごと撃って破裂させた

「バシャアアァァァァァ..」

破裂した容器から水が四方八方に飛散する・・・・・・・

「なっ?! くうううううぅぅぅぅぅぅぅ...........................」

突然の攻撃ともあって、四方八方に飛散した水を回避することは出来ずに

ヴァンパイアは水を浴びてしまった様だ、水を浴びたヴァンパイアはその場で

うずくまりながら疼いている、どうやら強い刺激を受けているようだ

(しめた!)

そう思うと私はうずくまっているヴァンパイアに向かって手榴弾を投合して、

食堂から撤退した

「チュドォォォォォォォォンンンンンン..」

手榴弾の炸裂音と共に机やら何やらが吹き飛んだ音がした

(これで、しばらくは大丈夫だろう・・・その間に・・・・・・)

そう思いながら私はポケットからFMG-9を取り出し、暗い廊下をフラッシュ

ライトで照らしながら走って行った

「くっ・・あっ・・ああっ・・・おっ・・おのれ....」

食堂では体を疼きながら倒れているヴァンパイアの姿があった


{良い防衛戦術とは・・相手を調子に乗らせて罠に誘導できる戦術だ・・・}

                  Z部隊戦術学の一文より抜粋・・・・

10/09/06 00:11更新 / クロニカル
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■作者メッセージ
食堂から撤退した直後・・・・・・

(あれ? 何だか体が疼くな)

そう思いながら暗い廊下をザバサは走って行った、

先程ヴァンパイアに僅かではあるが噛まれたことを忘れて

***********************************
いや〜・・少し長くなったかな?・・・・・・・・・・・・・

最近チャットにハマってしまい執筆が・・・・・・・

どうもすみません・・・・・・・・


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