4月15日 姉ちゃんと健全な僕
姉ちゃんがこの家に来てから大体2週間が過ぎた。
父さんと母さんは元から彼女がこの家にいたと完全に思い込まされているから仕方が無いし、周囲の反応もそれが当然と思っているのだから始末に終えない。
結局僕が取れる判断というのは、『諦めてしまう』事だった。
そして何よりも変わったのは僕の彼女に対する態度……というか、接し方だ。
なにせ彼女が美人であることを知っているという事を隠しながら生活をしなければならないからだ。
もしも本当の姿が見えていることがバレてしまえば……彼女は僕を彼女のいた世界へと連れて行ってしまうだろう。事実上の神隠しである、
そうなれば両親も心配を通り越して寝込んでしまうかもしれないし、その心労が高じて会社でミスを連発……最終的にクビ。母さんも父さんも路頭に迷うなんて事になりかねないかもしれない。考え過ぎかもしれないけど。
「だから僕は今日もこうして平静を保つ訓練をしているのです」
僕が見ているのは海外の女の人の裸がいっぱい写っている……いわゆる海外ポルノのサイトだ。
これを見てなるべく下のほうが元気にならないように頑張る、というのが僕の今のところの課題だ。
この家の平和は僕の下半身にかかっていると言っても過言ではない。頑張れ僕。頑張れ息子。あ、頑張らなくていいのか。
「あ、もうこんな時間だ……」
時計を見るともうすぐ11時を回ろうという時間だった。そろそろお風呂に入らないと。
ブラウザを閉じてパソコンの電源を落とし(姉ちゃんに見られでもしたら大変だからだ。使えるとは思えないけど)、下の階へと向かう。
────────────────────────────────────────
姉ちゃんを買い物に連れて行くと。
「あ!イチゴ味のプッチー!」
それを持ってきて僕に見せて上目遣いで……
「ね、これ買って……」
必ずイチゴ味のお菓子をねだってくる。
────────────────────────────────────────
「お風呂、お風呂〜っと」
自分のバスタオルを持って脱衣所の扉を開ける。ノックはしないのかって?
自分の家の風呂場を開ける時にノックをする人なんていないでしょ。だって開けても父さんか母さんぐらいしかいないんだから。
「あら」
「あ」
……中には抜群のモデル体型のサキュバスがバスタオルで体を拭いていた。
彼女は夕方を過ぎると人の姿からこの姿に変わる、というのがしばらく観察して分かったことだ。
……じゃなくて。
「うん、ごめん」
間髪入れずにドアを閉める。
何だかその場にいると大変なことになりそうだったので急いで自分の部屋へと駆け上がっていった。
「はぁ……はぁ……はぁ……!」
自分の部屋の鍵を閉めて荒い息を吐く。
下を見ると、息子がガチガチになるまでに元気になっていた。いやはや……あの人の裸は想像以上に破壊力が高い。
「……一回出そ」
僕は電源を落としたパソコンをもう一度立ち上げ、Dドライブの中の収集品フォルダを開く。
中に入っているのは今までに集めに集めたお宝の数々。
ロリ系から熟女系、はたまた海外物までを網羅した今までの収集活動の結晶達だ。
ちなみにかなり雑食系。
「これ……だね」
開いたのは妹物が詰め込まれたファイル群。
なぜ今の今まで姉ちゃんの裸を見て立っていたのに妹物かって?
姉ちゃんが乱入してきて姉系のをおかずにしていたら明らかに『姿バレてます』と宣言しているような物だ。同様に海外物もNG。だから、妹物。
さぁいざ抜かん!……ゴロいいけど言って失敗したかも。
「な〜に見てんの!♪」
「うぉぉぁぁぁあああ!?」
思わずらしくない悲鳴を上げてしまった……。相変わらずこの人の登場の仕方は唐突だ。
「てか鍵!鍵は!?」
「ふっふっふ……おねーちゃんは魔法が使えるのでーす♪」
しまった、この人(人外)はリアルで魔法が使えるのだった。鍵なんてあって無きが如しじゃないか。
というかこの人は本当にそんな理由で納得すると思っているのだろうか。
「魔法なら仕方が無いね」
「そうそう、しかたがなーい」
納得するしかないじゃないか。
「ふ〜ん……エッチな物見てたんだぁ♪もしかしてお姉ちゃんの裸で欲情しちゃったのかな〜?このヘンタイ♥」
「いや、よく見なよ。見て欲しくないけど。全部妹物だよ」
開いたフォルダの中にはずらりとまたフォルダが並んでいる。
そのタイトルには
『妹ぱらだいす!』
『お兄ちゃんと一緒』
など、人には恥ずかしくてまず見せられないようなものがところ狭しと並んでいる。ちなみに全て二次元。
「なんというか……ご愁傷様?」
「見るなぁ!そんな目で僕を見るなぁ!」
あぁ、いたたまれなさすぎる。何が悲しくて赤の他人に自分の恥部をさらけ出さなきゃならないんだ。
「……でも、もし彼がそうだとして……バフォメットに持って行かれるのは癪かなぁ」
「……?どうしたの、姉ちゃん」
なんだか小声でブツブツと独り言を言っている。なんだか嫌な予感しかしないんですけど……
「よし!特別にお姉ちゃんが直々に年上の良さを教えてあげよう!」
「何を言って……うわぁ!?」
唐突にお姫様だっこで抱え上げられてベッドへ放り投げられる。
て言うかこの人、バスタオル一枚だ!?
「は〜い楽にしててね〜♪」
「ちょ、姉ちゃん!?何するつもり!?」
バスタオルを脱ぎ捨てるとさらに僕をベッドに押し付ける。
彼女の体が僕に密着し、形の良い胸が柔らかく押し潰れていた。
「ん〜……服も邪魔だし脱いじゃおうか」
「いやいやいやいや、一体何でこんな事になってるのさ」
「だってよう君が欲求不満気味みたいだしさ、それならロリコンの道から引き上げてよう君も満足させてあげられる。ね、一石二鳥」
「意味が分からないよ!?」
あぁ、やはりこの人ってサキュバスなんだ。頭の中はドピンクでえっちいことしか考えられないんだ。
「は〜いばんざ〜い♪」
「するわけ無いでしょ、ってなんで体が勝手に!?」
「魔法です♪」
「この上なく理不尽!?」
するりと僕の服をはぎ取り、片手で器用にベルトのバックルを外してズボンをずり下げる。
手際良すぎでしょ。
「あれ〜?口では嫌がってるのにここは素直にビクンビクンしてるよ〜?」
「オヤジか!」
色気たっぷりのお姉さんに密着されて健全な男の子である僕が反応しないわけがない。
そこははやくかまってくれと言わんばかりに行儀悪くちんちんしていた。この駄犬!
「ど〜する〜?触って欲しい?」
「だれ……が……!」
なんとかもがこうとするけれど、不思議な力で抑えられて身動きひとつできない。
魔法か、魔法なのか。理不尽すぎるぞ魔法!
「素直に触って欲しいって言うならお姉ちゃんが手でシコシコしてあげるよ〜?」
姉ちゃんの手が何も無い空間で仮想の陰茎を弄ぶ動きをする。
その手は絡みつくようにいやらしい動きでエア陰茎を擦り上げている。
「いいよ、別に。お願いしたくなるまでじらしてあげるから」
「僕に拒否権は無いのか……」
「とーぜん♪」
傍若無人だ。
むき出しになっている僕の胸元に姉ちゃんが顔を近づけてくる。
何をするのかと思いきやその赤く色づいた舌で乳首を一舐め。その瞬間、得も言われぬような刺激が全身を貫いた。
「うぁ……!?」
「ふふ……気持ちいい?男の子もここをいじられると気持ちいいんだよ?」
開いている手でもう片方の乳首をくりくりといじくりまわし、もう片方はその舌でチロチロとくすぐるように舐め回してくる。
尚悪いのは僕の表情をみながら舐めてくるという事だ。
さぞ情けない顔をしているのだろうな、僕は。
「かわいい顔してるよ?」
「心読まないでよ!」
「あら、図星」
しくじった。
いたずらっぽく微笑みながら乳首をいじり続ける姉ちゃん。ただし、下の方には一切手を触れてくれない。
柔らかい物が脇腹に押し付けられているし、乳首からじわじわと鈍い快感も伝わってくる。
しかし射精できるほどの刺激ではない。
陰茎の先からはだらだらと我慢汁が流れ出し、テラテラと光を反射して卑猥に光っている。
「強情だなぁ……」
「はぁ……はぁ……」
「それじゃあ……これはどうかなぁ?♥」
唐突に右手の感覚が戻り、その手を姉ちゃんが取ってどこかへと近づける……って、この方向は……!
─むにゅん♪─
「んっ……ふふ♥」
「うわ……うわわわ……」
導かれた先は彼女の母性の象徴……つまるところ胸なわけで……。
あまりの事に僕が固まっていると彼女はじれったそうに批難の声を上げる。
「ほらぁ……もっとぐにゅぐにゅしていいよ?」
「……ごく……」
恐る恐る指を動かすと、形の良い胸がクニュクニュと自由自在にその形を変える。
まるで上質な絹の布の中に温かいクリームか何かが入っているような手触りに離したくとも手が離せなくなってしまう。
「ぅん……お姉ちゃんのおっぱい気持ちいい?」
「気持ちいい……けどさぁ……」
ここまで陰茎ノータッチ。空気に晒されてヒヤヒヤとはするものの、状況と触っているものと姉ちゃんの甘い匂いとでそれは全く萎える事がない。しかし、刺激も与えられないので絶頂もできない。
「おちんちん切ない?弄って欲しい?」
「あぐ……うぅぅ……」
「もう、強情だなぁ。だったら……」
そう言うと彼女は僕の陰茎をそっと握りこんだ。誘惑に負けたと惨めになると同時に、そこにもたらされる刺激で心臓が早鐘のように波打つ。
しかし、期待した刺激はいつまで経ってもやってこない。彼女が、手を動かさない。
「最初は自分でしようとしたんだよねぇ?じゃあお姉ちゃんの手を使ってもいいから自分でやってみようか♪」
「…………」
手は、動く。ここで言うがままになったら負けのような気がするけど……もうこれ以上の焦らしには耐えられそうもない。
姉ちゃんの手の上から握りこんでゆっくりと上下に動かす。タイミングは自分のペースだというのに、彼女の手が間にあるだけで数倍も感度が上がっている。
しかも不意打ち気味に彼女が手を動かすのでそのたびに恐ろしい快感が襲いかかってくる。
「ね、ちゃん……ねぇ、ちゃん……!」
「いいよ……ぁん♥お姉ちゃんの手に一杯出しちゃいなさい♥」
殆ど堪えることもできず、姉ちゃんの手の中に白濁がどくどくと吐き出されていく。
ビクビクと快感に震える僕を姉ちゃんはその間ずっと抱きしめてくれていた。
「あは♪たくさん出たねぇ……」
僕の目の前に吐き出した欲望の塊を見せつけるように持ってくる。
それを……
「じゅる……れろ……はむ……」
美味しそうにぺろぺろと舐めとっていく姉ちゃん。綺麗な彼女がそれをやるとこの上もなく卑猥だ。
「うふふ、ごちそーさまでした♪」
「もう、やだ……お婿にいけない……」
普通であればこんな美人に処理をしてもらって羨ましいなコンチクショウとなるだろう。
しかし、彼女は傍から見たら『野暮ったくて芋っぽい』姉ちゃんなのだ。つまり、僕は『ブサイクな姉に無理矢理言い寄られて手コキをされた弟』を演じなくてはならないのだ。難しい事この上ない。
「あ〜……何やってんだろ、僕。いくら溜まっているからってこれはないよ……」
「あの〜……地味に傷つくんだけどそれ」
内心僕だって舞い上がりそうさ。成り行きとは言え一生の内に1度あるかないかの体験をさせてもらったんだから。でもそれを表面に出すとあっという間にバレて彼女の世界へご招待。晴れて僕は神隠しの身だ。この世界にはまだまだ未練があるんだ。スキーにだって行ったこと無いし、海外旅行もしたことがない。彼女だっていないし未だ童貞だしってあれこれは姉ちゃんが美人に見えていることを言ってしまえばあっという間に解決できるんじゃないかでもそんな事をしたら有無をいわさず誘拐もどきされるし父さん母さんに二度と会えなくなるかも知れないし第一学園を卒業すらしていないしそんな中途半端なことできないってば第一彼女と会ってからまだ2週間程度しか経っていないってばそんな出会ったばかりの男女がこんな事していいはずないだろそれにそれに……
「ア゙ーーーーーーーーッ!」
「うわ、何!?」
思考回路がオーバーヒート寸前になって頭をかきむしりながら奇声を発する。らしくないかもしれないけどそれだけ僕だって追い詰められているんだ。
「はぁ……でも、ありがとね」
「ぇ……」
まぁ演技をしなくてはいけないとはいえ、絶対的に彼女を傷つけなければならないというわけでもないし……
「少なくとも姉ちゃんは僕が幼い女の子にしか興味を持たなくなると思ってしてくれたんだよね。じゃあお礼を言わなくちゃ」
「あ〜……えっと、どういたしまして?」
面食らった様子で頭を下げていたが、何かがムラムラ来たらしく再び抱きついてきた。
「うわわ!?ね、姉ちゃん!?」
「あ〜も〜!かわいい〜!お持ち帰りしたい〜!」
「持ち帰るも何もここが姉ちゃんの家でしょうが!」
こんな時でも演技を忘れない。自分で感心する反面呆れてしまう。
「これからもしたくなったら姉ちゃんに頼っていいからね!」
「いや、そのぐらいは自分でさせてよ!?」
「やぁよ勿体無い」
「何が!?」
そんな訳で……僕の姉ちゃんは何かにかこつけて精液を食べたがるようです。
────────────────────────────────────────
姉ちゃんがカップ麺を作ろうとすると……
「〜〜♪」
─3分後─
「ようく〜ん……」
「何、そんな悲しそうな顔して」
「かやく……袋のままだった……」
必ず何かポカをやらかす。
────────────────────────────────────────
「これで……よしと」
出された宿題をひと通り終わらせ、明日使う教科書も鞄の中に入れた。
歯も磨いたし、寝間着にも着替えて後は寝るだけだ。
「いけない……もうこんな時間だ」
時刻はもう午前0時半を過ぎようとしている。あまり起きていると明日起きられないよね。
「おやすみなさ〜い」
部屋の電気を消して誰にともなく就寝の挨拶をする。もはや習慣になっているので特に気にならないけどね。
布団に潜り込んで10分ぐらい経っただろうか。ウトウトしていると何か物音がする。
この音は……ドア?怪奇現象?ポルターガイストなら間に合ってますよ〜……
ひたひたとフローリングを踏む音が少しずつ近づいている。僕は霊感なんて無かった筈なんだけど……
さらに毛布が何者かによってめくり上げられる。
「!?」
全身の毛が総毛立つ。いくら何でもリアルすぎるよ、この幽霊。
開けられた方向は背中側なので、振り向かないとその正体がわからない。
でも明らかに得体の知れない物がいるってわかっているのに振り向くというのは色々と度胸がいる。もし振り向いた時に本当に幽霊か何かだったら漏らしてしまうかも知れない。あぁ、トイレ行っておけばよかった。
「…………」
さらにその得体の知れない何かが布団の中に侵入してきた。感触も、ある。ほのかに温かいそれは……え?
「(幽霊に……体温?)」
恐る恐る寝返りを打ってその正体を確認すると……
「っ…………!?!?!?」
「すぅ……」
姉ちゃんでした。どうやらトイレか何かに起きて寝ぼけて僕の部屋に来てしまった様子。
このままにしておくのはどう考えても良くないので起こす……
「(いや、待てよ……?)」
この場で起こす→姉ちゃんは僕が夜這いに来たと勘違い→わざわざブサイクに夜這いを掛ける人はいない→運命の人来た!
「(絶・体・絶・命!?)」
ならば自分がこの場から立ち去れば……!寝るなら下のリビングでもできるはず……!
「ぅ……うん……」
「っ!」
しかし、少しでも刺激を与えれば彼女は起きてしまいそうだ。
つまり今僕にできるのは……この場で可能な限り彼女を刺激しないこと……!
「(これは……厳しい……!)」
下手に寝返りを打つとそれだけで起きてしまいそうな気がする。つまり、この向い合った状態のまま夜を明かさないといけない。
姉ちゃんの髪の毛からはリンスか何かの甘い爽やかな匂いが漂ってきており、口元には彼女の吐息が当たる。
「(耐えろ……耐えるんだ……!)」
「んふふ〜……♪」
聞こえてきた声に一瞬ぎょっとしたが、どうやら寝言か何かだったようだ。
ほっとして力を抜いたのも束の間、姉ちゃんが僕に抱きついてきた。
「〜〜〜〜〜〜!」
「おっきないちごポッチーだぁ……♪」
どうやら夢の中で抱きつけるほど巨大なチョコレート菓子を見ているらしい。どれだけ好きなんだ、苺味。
「いただきま〜す……♪」
「ぅぇ……!?」
頬に暖かく濡れた感触、さらに顔が妙に接近している。というか、弱く齧り付かれている!?
慌てて顔を逸らして噛み付きから逃れようとして……
「あ〜……まって〜……わたしのポッチー……♪」
それを姉ちゃんが追いかけて噛み付いてくる……しかし、次は噛み付かれる場所が悪かった。
「んむぅ!?」
「はむ……あむあむ……♪」
くちっ、くちびる……!
「えへへぇ……たべきれないよぉ……」
「うぁ……ぁぁぁ……」
初めて……だったのになぁ。いや、嬉しくないわけじゃないんだけどさ……。
初めてが寝ぼけてチョコレート菓子と間違えられてなんて間抜けな事この上ない。
それからは大体寝言も寝相も落ち着いたのだけれど……
「(あたってるよ……あたってるよ……!)」
胸板にぐりぐりと押し付けられるこの2つの柔らかいものはアレなんだろうなぁ。
手には先程姉ちゃんの胸に触れた時の感触がまだ残っている。
心臓が早鐘のようにバクバクと鼓動する。少し手をずらせば触れられる位置にそれがある。
「…………」
思わずそこに手を伸ばしかけて……やめた。
「(あほらし……早く寝よ……)」
伸ばしかけた手の置所を探し、色々と彷徨わせた挙句彼女の腰の所に落ち着いた。
起きた時の言い訳をどうしようか……。
─チュン、チュンチュン─
カーテンの隙間から朝日が差し込んでくる。
どうやら無事寝ることができ、朝を迎えられたようだ。いやはや、一時はどうなることかと……。
姉ちゃんは……いない。先に起きて部屋から出ていったのだろうか。
そして、ベッドのサイドテーブルに書き置きのメモが置いてあった。
それを取り上げて読んでみると……
『ご馳走様でした♪』
そう言えば下半身が妙にスースーする。布団をめくり上げると、下を履いていなかった。
「姉ちゃん朝っぱらから何やってんの!?」
急いで下の階へ駆け降りてのんきに朝食を食べている姉ちゃんを問い詰める。
幸いなことに両親はまだいなかった。これなら変に思われることもなく追求できる。
「何が〜?」
「パジャマの下が脱がされてた!それと書き置き!」
「……あぁ」
そして満面の笑顔でこう曰ったのだ。
「よう君の寝顔、ご馳走様でした♪」
僕の姉ちゃんは冗談がキツイ。
父さんと母さんは元から彼女がこの家にいたと完全に思い込まされているから仕方が無いし、周囲の反応もそれが当然と思っているのだから始末に終えない。
結局僕が取れる判断というのは、『諦めてしまう』事だった。
そして何よりも変わったのは僕の彼女に対する態度……というか、接し方だ。
なにせ彼女が美人であることを知っているという事を隠しながら生活をしなければならないからだ。
もしも本当の姿が見えていることがバレてしまえば……彼女は僕を彼女のいた世界へと連れて行ってしまうだろう。事実上の神隠しである、
そうなれば両親も心配を通り越して寝込んでしまうかもしれないし、その心労が高じて会社でミスを連発……最終的にクビ。母さんも父さんも路頭に迷うなんて事になりかねないかもしれない。考え過ぎかもしれないけど。
「だから僕は今日もこうして平静を保つ訓練をしているのです」
僕が見ているのは海外の女の人の裸がいっぱい写っている……いわゆる海外ポルノのサイトだ。
これを見てなるべく下のほうが元気にならないように頑張る、というのが僕の今のところの課題だ。
この家の平和は僕の下半身にかかっていると言っても過言ではない。頑張れ僕。頑張れ息子。あ、頑張らなくていいのか。
「あ、もうこんな時間だ……」
時計を見るともうすぐ11時を回ろうという時間だった。そろそろお風呂に入らないと。
ブラウザを閉じてパソコンの電源を落とし(姉ちゃんに見られでもしたら大変だからだ。使えるとは思えないけど)、下の階へと向かう。
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姉ちゃんを買い物に連れて行くと。
「あ!イチゴ味のプッチー!」
それを持ってきて僕に見せて上目遣いで……
「ね、これ買って……」
必ずイチゴ味のお菓子をねだってくる。
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「お風呂、お風呂〜っと」
自分のバスタオルを持って脱衣所の扉を開ける。ノックはしないのかって?
自分の家の風呂場を開ける時にノックをする人なんていないでしょ。だって開けても父さんか母さんぐらいしかいないんだから。
「あら」
「あ」
……中には抜群のモデル体型のサキュバスがバスタオルで体を拭いていた。
彼女は夕方を過ぎると人の姿からこの姿に変わる、というのがしばらく観察して分かったことだ。
……じゃなくて。
「うん、ごめん」
間髪入れずにドアを閉める。
何だかその場にいると大変なことになりそうだったので急いで自分の部屋へと駆け上がっていった。
「はぁ……はぁ……はぁ……!」
自分の部屋の鍵を閉めて荒い息を吐く。
下を見ると、息子がガチガチになるまでに元気になっていた。いやはや……あの人の裸は想像以上に破壊力が高い。
「……一回出そ」
僕は電源を落としたパソコンをもう一度立ち上げ、Dドライブの中の収集品フォルダを開く。
中に入っているのは今までに集めに集めたお宝の数々。
ロリ系から熟女系、はたまた海外物までを網羅した今までの収集活動の結晶達だ。
ちなみにかなり雑食系。
「これ……だね」
開いたのは妹物が詰め込まれたファイル群。
なぜ今の今まで姉ちゃんの裸を見て立っていたのに妹物かって?
姉ちゃんが乱入してきて姉系のをおかずにしていたら明らかに『姿バレてます』と宣言しているような物だ。同様に海外物もNG。だから、妹物。
さぁいざ抜かん!……ゴロいいけど言って失敗したかも。
「な〜に見てんの!♪」
「うぉぉぁぁぁあああ!?」
思わずらしくない悲鳴を上げてしまった……。相変わらずこの人の登場の仕方は唐突だ。
「てか鍵!鍵は!?」
「ふっふっふ……おねーちゃんは魔法が使えるのでーす♪」
しまった、この人(人外)はリアルで魔法が使えるのだった。鍵なんてあって無きが如しじゃないか。
というかこの人は本当にそんな理由で納得すると思っているのだろうか。
「魔法なら仕方が無いね」
「そうそう、しかたがなーい」
納得するしかないじゃないか。
「ふ〜ん……エッチな物見てたんだぁ♪もしかしてお姉ちゃんの裸で欲情しちゃったのかな〜?このヘンタイ♥」
「いや、よく見なよ。見て欲しくないけど。全部妹物だよ」
開いたフォルダの中にはずらりとまたフォルダが並んでいる。
そのタイトルには
『妹ぱらだいす!』
『お兄ちゃんと一緒』
など、人には恥ずかしくてまず見せられないようなものがところ狭しと並んでいる。ちなみに全て二次元。
「なんというか……ご愁傷様?」
「見るなぁ!そんな目で僕を見るなぁ!」
あぁ、いたたまれなさすぎる。何が悲しくて赤の他人に自分の恥部をさらけ出さなきゃならないんだ。
「……でも、もし彼がそうだとして……バフォメットに持って行かれるのは癪かなぁ」
「……?どうしたの、姉ちゃん」
なんだか小声でブツブツと独り言を言っている。なんだか嫌な予感しかしないんですけど……
「よし!特別にお姉ちゃんが直々に年上の良さを教えてあげよう!」
「何を言って……うわぁ!?」
唐突にお姫様だっこで抱え上げられてベッドへ放り投げられる。
て言うかこの人、バスタオル一枚だ!?
「は〜い楽にしててね〜♪」
「ちょ、姉ちゃん!?何するつもり!?」
バスタオルを脱ぎ捨てるとさらに僕をベッドに押し付ける。
彼女の体が僕に密着し、形の良い胸が柔らかく押し潰れていた。
「ん〜……服も邪魔だし脱いじゃおうか」
「いやいやいやいや、一体何でこんな事になってるのさ」
「だってよう君が欲求不満気味みたいだしさ、それならロリコンの道から引き上げてよう君も満足させてあげられる。ね、一石二鳥」
「意味が分からないよ!?」
あぁ、やはりこの人ってサキュバスなんだ。頭の中はドピンクでえっちいことしか考えられないんだ。
「は〜いばんざ〜い♪」
「するわけ無いでしょ、ってなんで体が勝手に!?」
「魔法です♪」
「この上なく理不尽!?」
するりと僕の服をはぎ取り、片手で器用にベルトのバックルを外してズボンをずり下げる。
手際良すぎでしょ。
「あれ〜?口では嫌がってるのにここは素直にビクンビクンしてるよ〜?」
「オヤジか!」
色気たっぷりのお姉さんに密着されて健全な男の子である僕が反応しないわけがない。
そこははやくかまってくれと言わんばかりに行儀悪くちんちんしていた。この駄犬!
「ど〜する〜?触って欲しい?」
「だれ……が……!」
なんとかもがこうとするけれど、不思議な力で抑えられて身動きひとつできない。
魔法か、魔法なのか。理不尽すぎるぞ魔法!
「素直に触って欲しいって言うならお姉ちゃんが手でシコシコしてあげるよ〜?」
姉ちゃんの手が何も無い空間で仮想の陰茎を弄ぶ動きをする。
その手は絡みつくようにいやらしい動きでエア陰茎を擦り上げている。
「いいよ、別に。お願いしたくなるまでじらしてあげるから」
「僕に拒否権は無いのか……」
「とーぜん♪」
傍若無人だ。
むき出しになっている僕の胸元に姉ちゃんが顔を近づけてくる。
何をするのかと思いきやその赤く色づいた舌で乳首を一舐め。その瞬間、得も言われぬような刺激が全身を貫いた。
「うぁ……!?」
「ふふ……気持ちいい?男の子もここをいじられると気持ちいいんだよ?」
開いている手でもう片方の乳首をくりくりといじくりまわし、もう片方はその舌でチロチロとくすぐるように舐め回してくる。
尚悪いのは僕の表情をみながら舐めてくるという事だ。
さぞ情けない顔をしているのだろうな、僕は。
「かわいい顔してるよ?」
「心読まないでよ!」
「あら、図星」
しくじった。
いたずらっぽく微笑みながら乳首をいじり続ける姉ちゃん。ただし、下の方には一切手を触れてくれない。
柔らかい物が脇腹に押し付けられているし、乳首からじわじわと鈍い快感も伝わってくる。
しかし射精できるほどの刺激ではない。
陰茎の先からはだらだらと我慢汁が流れ出し、テラテラと光を反射して卑猥に光っている。
「強情だなぁ……」
「はぁ……はぁ……」
「それじゃあ……これはどうかなぁ?♥」
唐突に右手の感覚が戻り、その手を姉ちゃんが取ってどこかへと近づける……って、この方向は……!
─むにゅん♪─
「んっ……ふふ♥」
「うわ……うわわわ……」
導かれた先は彼女の母性の象徴……つまるところ胸なわけで……。
あまりの事に僕が固まっていると彼女はじれったそうに批難の声を上げる。
「ほらぁ……もっとぐにゅぐにゅしていいよ?」
「……ごく……」
恐る恐る指を動かすと、形の良い胸がクニュクニュと自由自在にその形を変える。
まるで上質な絹の布の中に温かいクリームか何かが入っているような手触りに離したくとも手が離せなくなってしまう。
「ぅん……お姉ちゃんのおっぱい気持ちいい?」
「気持ちいい……けどさぁ……」
ここまで陰茎ノータッチ。空気に晒されてヒヤヒヤとはするものの、状況と触っているものと姉ちゃんの甘い匂いとでそれは全く萎える事がない。しかし、刺激も与えられないので絶頂もできない。
「おちんちん切ない?弄って欲しい?」
「あぐ……うぅぅ……」
「もう、強情だなぁ。だったら……」
そう言うと彼女は僕の陰茎をそっと握りこんだ。誘惑に負けたと惨めになると同時に、そこにもたらされる刺激で心臓が早鐘のように波打つ。
しかし、期待した刺激はいつまで経ってもやってこない。彼女が、手を動かさない。
「最初は自分でしようとしたんだよねぇ?じゃあお姉ちゃんの手を使ってもいいから自分でやってみようか♪」
「…………」
手は、動く。ここで言うがままになったら負けのような気がするけど……もうこれ以上の焦らしには耐えられそうもない。
姉ちゃんの手の上から握りこんでゆっくりと上下に動かす。タイミングは自分のペースだというのに、彼女の手が間にあるだけで数倍も感度が上がっている。
しかも不意打ち気味に彼女が手を動かすのでそのたびに恐ろしい快感が襲いかかってくる。
「ね、ちゃん……ねぇ、ちゃん……!」
「いいよ……ぁん♥お姉ちゃんの手に一杯出しちゃいなさい♥」
殆ど堪えることもできず、姉ちゃんの手の中に白濁がどくどくと吐き出されていく。
ビクビクと快感に震える僕を姉ちゃんはその間ずっと抱きしめてくれていた。
「あは♪たくさん出たねぇ……」
僕の目の前に吐き出した欲望の塊を見せつけるように持ってくる。
それを……
「じゅる……れろ……はむ……」
美味しそうにぺろぺろと舐めとっていく姉ちゃん。綺麗な彼女がそれをやるとこの上もなく卑猥だ。
「うふふ、ごちそーさまでした♪」
「もう、やだ……お婿にいけない……」
普通であればこんな美人に処理をしてもらって羨ましいなコンチクショウとなるだろう。
しかし、彼女は傍から見たら『野暮ったくて芋っぽい』姉ちゃんなのだ。つまり、僕は『ブサイクな姉に無理矢理言い寄られて手コキをされた弟』を演じなくてはならないのだ。難しい事この上ない。
「あ〜……何やってんだろ、僕。いくら溜まっているからってこれはないよ……」
「あの〜……地味に傷つくんだけどそれ」
内心僕だって舞い上がりそうさ。成り行きとは言え一生の内に1度あるかないかの体験をさせてもらったんだから。でもそれを表面に出すとあっという間にバレて彼女の世界へご招待。晴れて僕は神隠しの身だ。この世界にはまだまだ未練があるんだ。スキーにだって行ったこと無いし、海外旅行もしたことがない。彼女だっていないし未だ童貞だしってあれこれは姉ちゃんが美人に見えていることを言ってしまえばあっという間に解決できるんじゃないかでもそんな事をしたら有無をいわさず誘拐もどきされるし父さん母さんに二度と会えなくなるかも知れないし第一学園を卒業すらしていないしそんな中途半端なことできないってば第一彼女と会ってからまだ2週間程度しか経っていないってばそんな出会ったばかりの男女がこんな事していいはずないだろそれにそれに……
「ア゙ーーーーーーーーッ!」
「うわ、何!?」
思考回路がオーバーヒート寸前になって頭をかきむしりながら奇声を発する。らしくないかもしれないけどそれだけ僕だって追い詰められているんだ。
「はぁ……でも、ありがとね」
「ぇ……」
まぁ演技をしなくてはいけないとはいえ、絶対的に彼女を傷つけなければならないというわけでもないし……
「少なくとも姉ちゃんは僕が幼い女の子にしか興味を持たなくなると思ってしてくれたんだよね。じゃあお礼を言わなくちゃ」
「あ〜……えっと、どういたしまして?」
面食らった様子で頭を下げていたが、何かがムラムラ来たらしく再び抱きついてきた。
「うわわ!?ね、姉ちゃん!?」
「あ〜も〜!かわいい〜!お持ち帰りしたい〜!」
「持ち帰るも何もここが姉ちゃんの家でしょうが!」
こんな時でも演技を忘れない。自分で感心する反面呆れてしまう。
「これからもしたくなったら姉ちゃんに頼っていいからね!」
「いや、そのぐらいは自分でさせてよ!?」
「やぁよ勿体無い」
「何が!?」
そんな訳で……僕の姉ちゃんは何かにかこつけて精液を食べたがるようです。
────────────────────────────────────────
姉ちゃんがカップ麺を作ろうとすると……
「〜〜♪」
─3分後─
「ようく〜ん……」
「何、そんな悲しそうな顔して」
「かやく……袋のままだった……」
必ず何かポカをやらかす。
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「これで……よしと」
出された宿題をひと通り終わらせ、明日使う教科書も鞄の中に入れた。
歯も磨いたし、寝間着にも着替えて後は寝るだけだ。
「いけない……もうこんな時間だ」
時刻はもう午前0時半を過ぎようとしている。あまり起きていると明日起きられないよね。
「おやすみなさ〜い」
部屋の電気を消して誰にともなく就寝の挨拶をする。もはや習慣になっているので特に気にならないけどね。
布団に潜り込んで10分ぐらい経っただろうか。ウトウトしていると何か物音がする。
この音は……ドア?怪奇現象?ポルターガイストなら間に合ってますよ〜……
ひたひたとフローリングを踏む音が少しずつ近づいている。僕は霊感なんて無かった筈なんだけど……
さらに毛布が何者かによってめくり上げられる。
「!?」
全身の毛が総毛立つ。いくら何でもリアルすぎるよ、この幽霊。
開けられた方向は背中側なので、振り向かないとその正体がわからない。
でも明らかに得体の知れない物がいるってわかっているのに振り向くというのは色々と度胸がいる。もし振り向いた時に本当に幽霊か何かだったら漏らしてしまうかも知れない。あぁ、トイレ行っておけばよかった。
「…………」
さらにその得体の知れない何かが布団の中に侵入してきた。感触も、ある。ほのかに温かいそれは……え?
「(幽霊に……体温?)」
恐る恐る寝返りを打ってその正体を確認すると……
「っ…………!?!?!?」
「すぅ……」
姉ちゃんでした。どうやらトイレか何かに起きて寝ぼけて僕の部屋に来てしまった様子。
このままにしておくのはどう考えても良くないので起こす……
「(いや、待てよ……?)」
この場で起こす→姉ちゃんは僕が夜這いに来たと勘違い→わざわざブサイクに夜這いを掛ける人はいない→運命の人来た!
「(絶・体・絶・命!?)」
ならば自分がこの場から立ち去れば……!寝るなら下のリビングでもできるはず……!
「ぅ……うん……」
「っ!」
しかし、少しでも刺激を与えれば彼女は起きてしまいそうだ。
つまり今僕にできるのは……この場で可能な限り彼女を刺激しないこと……!
「(これは……厳しい……!)」
下手に寝返りを打つとそれだけで起きてしまいそうな気がする。つまり、この向い合った状態のまま夜を明かさないといけない。
姉ちゃんの髪の毛からはリンスか何かの甘い爽やかな匂いが漂ってきており、口元には彼女の吐息が当たる。
「(耐えろ……耐えるんだ……!)」
「んふふ〜……♪」
聞こえてきた声に一瞬ぎょっとしたが、どうやら寝言か何かだったようだ。
ほっとして力を抜いたのも束の間、姉ちゃんが僕に抱きついてきた。
「〜〜〜〜〜〜!」
「おっきないちごポッチーだぁ……♪」
どうやら夢の中で抱きつけるほど巨大なチョコレート菓子を見ているらしい。どれだけ好きなんだ、苺味。
「いただきま〜す……♪」
「ぅぇ……!?」
頬に暖かく濡れた感触、さらに顔が妙に接近している。というか、弱く齧り付かれている!?
慌てて顔を逸らして噛み付きから逃れようとして……
「あ〜……まって〜……わたしのポッチー……♪」
それを姉ちゃんが追いかけて噛み付いてくる……しかし、次は噛み付かれる場所が悪かった。
「んむぅ!?」
「はむ……あむあむ……♪」
くちっ、くちびる……!
「えへへぇ……たべきれないよぉ……」
「うぁ……ぁぁぁ……」
初めて……だったのになぁ。いや、嬉しくないわけじゃないんだけどさ……。
初めてが寝ぼけてチョコレート菓子と間違えられてなんて間抜けな事この上ない。
それからは大体寝言も寝相も落ち着いたのだけれど……
「(あたってるよ……あたってるよ……!)」
胸板にぐりぐりと押し付けられるこの2つの柔らかいものはアレなんだろうなぁ。
手には先程姉ちゃんの胸に触れた時の感触がまだ残っている。
心臓が早鐘のようにバクバクと鼓動する。少し手をずらせば触れられる位置にそれがある。
「…………」
思わずそこに手を伸ばしかけて……やめた。
「(あほらし……早く寝よ……)」
伸ばしかけた手の置所を探し、色々と彷徨わせた挙句彼女の腰の所に落ち着いた。
起きた時の言い訳をどうしようか……。
─チュン、チュンチュン─
カーテンの隙間から朝日が差し込んでくる。
どうやら無事寝ることができ、朝を迎えられたようだ。いやはや、一時はどうなることかと……。
姉ちゃんは……いない。先に起きて部屋から出ていったのだろうか。
そして、ベッドのサイドテーブルに書き置きのメモが置いてあった。
それを取り上げて読んでみると……
『ご馳走様でした♪』
そう言えば下半身が妙にスースーする。布団をめくり上げると、下を履いていなかった。
「姉ちゃん朝っぱらから何やってんの!?」
急いで下の階へ駆け降りてのんきに朝食を食べている姉ちゃんを問い詰める。
幸いなことに両親はまだいなかった。これなら変に思われることもなく追求できる。
「何が〜?」
「パジャマの下が脱がされてた!それと書き置き!」
「……あぁ」
そして満面の笑顔でこう曰ったのだ。
「よう君の寝顔、ご馳走様でした♪」
僕の姉ちゃんは冗談がキツイ。
14/03/05 15:27更新 / テラー
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