連載小説
[TOP]
フクシアが揺れるように
 【 東南部大地震(通称:三月震災)に関する統括レポート 其の七
    ─── 魔物達の尊い働き。それに対する感謝と、より良い未来について 】


 昨年三月、穏やかな平日の昼下がり。
 我が国の東南部地域を、突然の大地震が襲った。

 この恐ろしい自然災害によってもたらされた人的、物的、経済的損失に関しては、これまでのレポートで統括して来た通りである。
 復興には大変な困難が予想されたが、各部局の垣根を越えた不断の努力、地域住民達の諦めない心、そして近隣諸国からのあたたかな援助などにより、当初の予定を上回るペースでの再生が進んでいる。

 我が国と近隣の国々のつながりは長く、深く、強い。
 その理由と背景には、一致団結して大国の侵略に備えていたという歴史はもちろん、古来より『対魔物友好姿勢』を一貫して取り続けていたという点も挙げられるだろう。

 現在の魔王がその地位に就くはるか以前より、我々は魔物達と一定の交流を持ち続けて来た。
 その様子は、各国に存在する様々な文献や芸術作品などを通じて窺い知ることが出来る。
 同様に、今もなお各地で行われている多種多様な祭りも、両者の間に対等で文化的な交流が存在していた証明と言えるだろう。
 今回、大地震に見舞われた東南部地域にも、≪魔物追い祭り≫ ・ ≪人魔七番勝負祭り≫ ・ ≪トマト&オレンジ合戦祭り≫などの有名な祭りが存在し、多くの人々と魔物達から愛されている。

 そうした故であろうか。
 この大変な災害において、多くの魔物達が我々のために無償の厚意を示し、様々な行動を起こしてくれたのは。

 例えば、家を失った人々のため、仮設住宅作りに奮闘したジャイアントアント達。
 例えば、自らの能力を遺憾なく発揮し、的確な情報伝達に貢献したハーピーやミミック達。
 例えば、持ち前の美声で多くの人々の心を掴み、義援金集めに奔走したセイレーン達。

 ……などなど、長き歴史を含めた我々の『良き友』である彼女達の働きには、幾千万の感謝を積み重ねても、まだまだ足りない程である。

 そこで、このレポートでは魔物達の尊敬すべき行動を記し、未来に向けたさらなる友情と、より良い防災について考えて行きたいと思う。
人間側の救援活動について10/07/27 11:29
衣食住の【衣】10/07/27 10:23
衣食住の【食】10/07/27 10:24
衣食住の【住】10/07/27 10:25
海の鎮魂と再生10/07/27 10:22
街道・峠の再生と防御10/07/27 10:29
情報と物資の伝達10/07/27 10:32
医療と街の安全10/07/27 10:37
復興支援公演10/07/27 10:39
終章 〜 今と未来を見つめて10/07/27 11:40

TOP | 感想 | メール登録 | RSS

まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.33