サンドウィッチロック・魔女の大鍋
★荒野・魔界豚トンスケ★
★ダイヤ視点★
「お嬢様、正月の初詣は楽しかったですね」
「何よ煌羅、いきなり半月以上前の事を言いだすなんて」
「蛇神神社での初詣。ラミア属が一直線に並んでいたのは圧巻でした」
「確かに初詣どころか、その日のうちに神社に到着する保証は皆無だったわね」
「そこでクロ魔女さんが私達を箒に乗せてくれました」
「はーい、クロ魔女ことバイコーンのクロです」
「別の移動手段を得た私達は、蛇神神社に到着。無事蛇神様の前で初詣を済ませました」
「クロさん、ありがとう」
「いいよいいよ、あそこの神主さんは母さんの古い友人だからね」
「私達は、お礼としてクロ魔女さんの手伝いをする事にしました」
「だからあたしは今度の集まりに物資運搬を頼んだのよね?」
「はい、クロ魔女さんの妹、マンティコアのティーダさんお手製のまかいもを運んでいるのです」
「ホント助かるわ、あたし一人じゃ運ぶ量に限界があったからさ」
「いえいえお気遣いなく」
「こちらこそ」
「ところでクロさん、あとどれぐらいで到着する?」
「もうすぐ到着するわ。ダイヤちゃん楽しみにしててね」
「白くて、熱くて、粘り気のあるアレを、たっぷり食べさせてア・ゲ・ル」
「へ?白くて熱くて粘り気?それって……」
「さ、もうすぐ到着よ。あそこ見える巨大岩」
「サンドウィッチロックよ」
★サンドウィッチロック頂上★
「へぇー結構人や魔物が集まってるわね」
「それは今日は大事なイベントだもの。特に未婚の魔物娘は張り切るわよ」
「クロさん、どうして未婚の魔物娘が張り切るの?」
「それはね……」
「クロ、ダイヤちゃん、久しぶりやんね〜」
大きな帽子を被った魔女がクロさんと私の名前を呼んだ。
顔が隠れるくらいの帽子……もしかして
「クリアさん?」
「ダイヤちゃん、クリアと知り合いなの?」
「クロ、ウチの姉とダイヤちゃんの兄が夫婦、つまり従姉妹の関係やんね」
「そうなんだ」
「クロさんもクリアさんと知り合いですか?」
「こういう集まりによく顔を合わせるうちに、魔女の格好をしたバイコーンと魔女の格好をしたリリム、似た者同士気が合ってね。ところでクリア、栗恵は?」
「栗恵ならキッチンで夫とレームと共に仕込みをしてるやんね」
「じゃあ立ち話するのもなんだからキッチンに行きましょう」
「クロさん、栗恵って?」
「一言で言えば、バイコーンの発明家かしら」
★仮設キッチン★
「あっあっ、レームの人工マンコ最高!」
「そや、その調子で立ちバックで犯すんやで〜」
変な訛りに白衣,丸眼鏡のバイコーンが黄色い筒で声を拡声させ、料理の仕込みをするゴーレム夫妻を応援していた。
「刺激を与えれば与えるほど、レームの中にある白くて熱くて粘り気のあるアレが美味しくなるんやで〜およ?」
バイコーンが私達に気付いた。
「お〜久しぶりやなクロ、元気にしとったか?」
「栗恵、久しぶり。新製品の開発上手く行ってる?」
「おう、例の魔物誘引装置は完成間近や」
「次の二角獣会が楽しみね」
「ん?隣のバイコーンは誰なん?」
「栗恵にも紹介するわ、バイコーンのダイヤちゃんと従者の煌羅よ」
「初めまして栗恵さん。ダイヤです」
「キキーモラの煌羅です。まかいもを持ってきました」
「ウチはバイコーン発明家の栗恵やで〜煌羅はんが担いでいる袋って全部ティーダはんのまかいもなん?」
「はい、キッチンには野菜が肉がありますね」
「そや、まといの野菜にとろけの野菜,魔界獣に魔界魚、白くて熱くて粘り気のあるアレの副菜やで」
クロ,クリア,栗恵がニヤニヤする。
「早く食べたいな、白くて熱くて粘り気のあるアレ」
「白くて熱くて粘り気のある……涎が出るやんね」
「それならもう出来たはずや、レーム」
「ハイ、マスターのピストンのおかげデ、出来ましタ」
「いっぱい出してや」
「ハイ、解錠ルーン起動」
レームのお腹が開く。
中から出てきたそれは
白くて
熱くて
粘り気のあるーー
お餅
「お餅?」
「そうよ、餅米だから白く」
「つきたてやから熱くて」
「食べれば粘り気のあるお餅やで」
…
……
………
「そ、そうよね、お餅よね。白くて熱くて粘り気のあるモノと言ったらお餅よね。アハハ……」
★
私は気を取り直して、クロさんと一緒に材料を岩の中心にある池へ投げ込む。
「まるで大鍋ね」
「別名魔女の大鍋。岩の中は熱が籠もりやすく、鍋料理には最適なの」
「いい匂い、美味しそう」
「あとは出汁が到着するのを待つだけよ」
「出汁?これだけでも充分美味しそうなのに」
「出汁が取れればもっと美味しくなるわ。特に私達バイコーンにとってはご馳走にーー」
『そこにいる魔物達、観念しなさい!』
拡声器を使ったような大声が聞こえてきた。
「煌羅、何があったの?」
「お嬢様、教団の大群がここを包囲しています。その数二百名」
「二百人!?」
『今日、お前達魔物がここで怪しい儀式を行うという情報は漏れている、大人しくお縄につくが良い!』
「ワーナンデバレタンダー」
「コノママダトオワリヨー」
「シネマエニアイスルヒトニダカレターイ」
「……煌羅、周囲の魔物達の反応が妙に棒読みっぽぃけど」
「そういう事なんですよ、お嬢様」
「……成る程」
『投降は無しか、ならばかかれー!』
軍勢半数が頂上へ繋がる一本道を登り始めた。
「あー教団兵の奴ら血眼になって登ってるわ」
「お嬢様、兵士は三人に任せて、私達は調理の手伝いをしましょう」
「ええ、そうしましょ」
「ほらほら、クロ魔女特性快楽のルーン入りのお札よー」
『きゃー何よこの札ぁ、感じちゃぅぅっ』
「『クリアハンド・一手』やんね」
『動けない、まるで何かに握り締められたようだ』
「魔界発明品その一、魔物化光線発射やで!」
『前方の兵士数名が黒い光線に接触、女性兵士が魔物化して男性兵士を襲ってます』
クロ,クリア,栗恵の三人が教団兵を魔物化させる等して進行を食い止めている。
「うわー!」
「きゃー!」
時には、兵士が鍋の中へと放り込まれていた。
「きゃーオトコよ」
「早い者勝ちよ!」
「いただきまーす(性的な意味で)」
未婚の魔物達がつられて鍋に飛び込み、男を襲う。
「あれ、熱くない?」
「ぽかぽかして、気持ちいい?」
最初は慌て蓋めいた兵士達だったが、鍋の中は気持ち良いのか、抵抗感がなくなり、
「うっ、股間が熱い」
「角と翼と尻尾が生えてきて気持ちいいっ」
鍋の魔力に充てられたのか、男はインキュバス、女は魔物になり、
「はぁはぁ、お前のマンコ締まりがいい」
「あはぁ、ついてぇ、オチンポもっと突いてぇ!」
鍋の中で次々と交わりを始めていた。
「お雑煮に精液とか混ざって大丈夫なの?」
「心配ないわ、精液が混ざらないよう保護魔法が掛かってるから」
「クロさん、教団兵は片付けたの?」
「ええ、殆ど片付けたから後はクリアと栗恵に任せるわ」
クロさんがおたまで鍋の汁を掬い、それを口に含む。
「味見?」
「出汁の具合を確かめるためよ……もう少し味が濃くてもいいかな?」
クロさんが札を投げ、鍋の中で交わるカップル達に貼りつけた。
「今の札は?」
「クロ魔女特性、快楽のルーンを刻んだ札よ。通常のルーンに改良を加えたから、女性だけじゃなく男性にも効果があるわよ」
「はぁはぁはぁはぁはぁ」
「イクイクイクイクイク」
「うわっ、交わりがより過激になった」
「あれだけ交われば、大量の魔力が放出されて、ごくっ……美味い!」
「美味い?」
「ダイヤちゃんも味見してみて、いい出汁が取れてるわよ」
私はクロさんからおたまを受け取り、汁を飲む。
交わりが一気に頭の中でスパークした。
何、この味?
味が頻繁に変化する感じ。
辛い
渋い
甘い
苦い
酸っぱい
等々
まるで、様々な魔力を混ぜ合わせたような味。
「美味しい」
本能的な感想。
この世にこんなに美味しいスープがあったなんて。
「これは料理というより……バイコーンが好む味?」
「ダイヤちゃんならこの味がわかってくれると思ったわ」
「そうか、様々な魔物の魔力が混じってるから、私達バイコーンにとって美味なのね」
「そういう事よ。味わうのはここまでにして、魔物の夫婦、そして教団兵の分の器を用意するわよ。皆で食べればもっと美味しいわよ」
「はい、クロさん。私も手伝います」
★一時間後★
「はい、どうぞ、お雑煮よ」
「サンキュー」
教団との戦闘が終わり、男性兵は未婚の魔物に襲われ夫婦となり、女性兵士は皆魔物になりました。
今はセックス後の休憩に、皆でお雑煮を食べています。
「うまい、セックスの後に食う雑煮サイコー」
「まぁあなたったら」
サキュバスになった女性が羽根と尻尾をパタパタ動かして嬉しそう。
「ふう、雑煮を食べたから身体が暖まってきたー!」
「だったら次は私を食・べ・て」
女性兵士は着直した服を脱ぎ捨て、全裸で夫を誘惑します。
「はい、二つのお餅がこんなにぷるんぷるん♪」
「うおー、お餅がぷるんぷるんに揺れてるー股間のお餅があーつーいーぞー」
「さあ、私のお椀この汁が充分煮えたぎったわ」
「うおーお椀こからだし汁が流れてる。ぱくっじゅるじゅる」
「いやん、そんなに吸い取ったら、汁が溢れちゃう」
「もーっぷはっ、お椀こからどんどん汁が溢れてきて、飲み干せない」
「もぅ自分だけ雑煮ばっかりでズルーい。次はあなたの太くて長いお餅をわたしのお椀この中に入・れ・て♪」
「うおーズボンを脱いで、餅を中に浸しまーす」
「ああん、あなたのお餅美味しい、美味しい」
「うおーうおー君のお汁がオレの餅を温めてさらに膨れるぅー」
「もっとお餅を膨らませて♪」
「うおー今度は餅の中にあるとろろが溢れそうだ」
「出してあなたのお餅から熱くてねばねばしたとろろを私のお椀この中に流し込んで♪」
「うおーうおー……ウッ出るっ!」
「あっ熱いっ、ねばねばしてるぅ……でも美味しい……あなたのとろろ……」
…
……
………
「互いのお雑煮を美味しそうに食べてるわね」
「流石サキュバスの夫婦」
「ちゃんと食事しろよ」
クロと煌羅が感激する中、私はツッコミを入れた。
二人を無視して、私と栗恵さんとで話をする。
「夫の精もええけど、色んな魔力が混じったお雑煮も最高やな〜。ホンマ、バイコーンになって良かったわ〜」
「えっ……そうか、栗恵さんはユニコーンから堕落したのですね」
「……ん?ああ、ちゃうちゃう。ウチは元人間や」
「えっ元人間なの?」
「そや、とあるリリムがウチを美しいバイコーンに生まれ変わらせてくれたんや」
「そのリリムって、クリアさんですか?」
「ちょっと惜しいな〜ウチを魔物にしてくれたのは、クリアの姉ちゃんで人間の女性を美しく変える旅に出てるんやって」
「女性を美しく……第二十王女のビューティさんの事か」
「ん、知っとるんか」
「はい、マリア義姉さんがたまに話してましてーー」
「やぁ君たち三人ともバイコーンだよね?」
突然、キザな男が私達に声を掛けてきた。
「誰やあんた?」
「オレの名はコーハ。ハーレムを目指す男さ」
コーハが髪をわざとらしく掻き上げる。
うーゎ、ウザイ奴来た。
話の合間に突然入るタイプの。
しかも名前負けしてる気がする。
「煌羅、いつものように追い返してよ」
「お嬢様、その必要はありません。ほら」
「クロさん?」
「おっ、お姉さんの方から来てくれるのかい?早速、契約を……」
「はい、お札」
「何このお札?額に貼りついて……ぐはっ……あれ痛くない?」
クロがグーでコーハの股間を金的。
「悪いわね、今は旦那よりも町の住民達を調教したいから」
「待って、お願いします。オレの嫁になってください。オレは前からハーレムに憧れていて……」
「うわ、あいつクロの足にしがみ付いてる」
「情けなくて、同情できませんね」
クロがコーハの前にしゃがみ込み、
「そんなにハーレムを作りたいの?」
コーハが頷く。
「どんなに調教されても?」
再度頷く。
「後悔しない?」
三度頷く。
「わかったわ、連れていってあげる。バイコーンと夫とハーレムの集まり『二角獣会』へ」
「二角獣会……」
その単語に私は親近感を覚えた。
★続く★
★ダイヤ視点★
「お嬢様、正月の初詣は楽しかったですね」
「何よ煌羅、いきなり半月以上前の事を言いだすなんて」
「蛇神神社での初詣。ラミア属が一直線に並んでいたのは圧巻でした」
「確かに初詣どころか、その日のうちに神社に到着する保証は皆無だったわね」
「そこでクロ魔女さんが私達を箒に乗せてくれました」
「はーい、クロ魔女ことバイコーンのクロです」
「別の移動手段を得た私達は、蛇神神社に到着。無事蛇神様の前で初詣を済ませました」
「クロさん、ありがとう」
「いいよいいよ、あそこの神主さんは母さんの古い友人だからね」
「私達は、お礼としてクロ魔女さんの手伝いをする事にしました」
「だからあたしは今度の集まりに物資運搬を頼んだのよね?」
「はい、クロ魔女さんの妹、マンティコアのティーダさんお手製のまかいもを運んでいるのです」
「ホント助かるわ、あたし一人じゃ運ぶ量に限界があったからさ」
「いえいえお気遣いなく」
「こちらこそ」
「ところでクロさん、あとどれぐらいで到着する?」
「もうすぐ到着するわ。ダイヤちゃん楽しみにしててね」
「白くて、熱くて、粘り気のあるアレを、たっぷり食べさせてア・ゲ・ル」
「へ?白くて熱くて粘り気?それって……」
「さ、もうすぐ到着よ。あそこ見える巨大岩」
「サンドウィッチロックよ」
★サンドウィッチロック頂上★
「へぇー結構人や魔物が集まってるわね」
「それは今日は大事なイベントだもの。特に未婚の魔物娘は張り切るわよ」
「クロさん、どうして未婚の魔物娘が張り切るの?」
「それはね……」
「クロ、ダイヤちゃん、久しぶりやんね〜」
大きな帽子を被った魔女がクロさんと私の名前を呼んだ。
顔が隠れるくらいの帽子……もしかして
「クリアさん?」
「ダイヤちゃん、クリアと知り合いなの?」
「クロ、ウチの姉とダイヤちゃんの兄が夫婦、つまり従姉妹の関係やんね」
「そうなんだ」
「クロさんもクリアさんと知り合いですか?」
「こういう集まりによく顔を合わせるうちに、魔女の格好をしたバイコーンと魔女の格好をしたリリム、似た者同士気が合ってね。ところでクリア、栗恵は?」
「栗恵ならキッチンで夫とレームと共に仕込みをしてるやんね」
「じゃあ立ち話するのもなんだからキッチンに行きましょう」
「クロさん、栗恵って?」
「一言で言えば、バイコーンの発明家かしら」
★仮設キッチン★
「あっあっ、レームの人工マンコ最高!」
「そや、その調子で立ちバックで犯すんやで〜」
変な訛りに白衣,丸眼鏡のバイコーンが黄色い筒で声を拡声させ、料理の仕込みをするゴーレム夫妻を応援していた。
「刺激を与えれば与えるほど、レームの中にある白くて熱くて粘り気のあるアレが美味しくなるんやで〜およ?」
バイコーンが私達に気付いた。
「お〜久しぶりやなクロ、元気にしとったか?」
「栗恵、久しぶり。新製品の開発上手く行ってる?」
「おう、例の魔物誘引装置は完成間近や」
「次の二角獣会が楽しみね」
「ん?隣のバイコーンは誰なん?」
「栗恵にも紹介するわ、バイコーンのダイヤちゃんと従者の煌羅よ」
「初めまして栗恵さん。ダイヤです」
「キキーモラの煌羅です。まかいもを持ってきました」
「ウチはバイコーン発明家の栗恵やで〜煌羅はんが担いでいる袋って全部ティーダはんのまかいもなん?」
「はい、キッチンには野菜が肉がありますね」
「そや、まといの野菜にとろけの野菜,魔界獣に魔界魚、白くて熱くて粘り気のあるアレの副菜やで」
クロ,クリア,栗恵がニヤニヤする。
「早く食べたいな、白くて熱くて粘り気のあるアレ」
「白くて熱くて粘り気のある……涎が出るやんね」
「それならもう出来たはずや、レーム」
「ハイ、マスターのピストンのおかげデ、出来ましタ」
「いっぱい出してや」
「ハイ、解錠ルーン起動」
レームのお腹が開く。
中から出てきたそれは
白くて
熱くて
粘り気のあるーー
お餅
「お餅?」
「そうよ、餅米だから白く」
「つきたてやから熱くて」
「食べれば粘り気のあるお餅やで」
…
……
………
「そ、そうよね、お餅よね。白くて熱くて粘り気のあるモノと言ったらお餅よね。アハハ……」
★
私は気を取り直して、クロさんと一緒に材料を岩の中心にある池へ投げ込む。
「まるで大鍋ね」
「別名魔女の大鍋。岩の中は熱が籠もりやすく、鍋料理には最適なの」
「いい匂い、美味しそう」
「あとは出汁が到着するのを待つだけよ」
「出汁?これだけでも充分美味しそうなのに」
「出汁が取れればもっと美味しくなるわ。特に私達バイコーンにとってはご馳走にーー」
『そこにいる魔物達、観念しなさい!』
拡声器を使ったような大声が聞こえてきた。
「煌羅、何があったの?」
「お嬢様、教団の大群がここを包囲しています。その数二百名」
「二百人!?」
『今日、お前達魔物がここで怪しい儀式を行うという情報は漏れている、大人しくお縄につくが良い!』
「ワーナンデバレタンダー」
「コノママダトオワリヨー」
「シネマエニアイスルヒトニダカレターイ」
「……煌羅、周囲の魔物達の反応が妙に棒読みっぽぃけど」
「そういう事なんですよ、お嬢様」
「……成る程」
『投降は無しか、ならばかかれー!』
軍勢半数が頂上へ繋がる一本道を登り始めた。
「あー教団兵の奴ら血眼になって登ってるわ」
「お嬢様、兵士は三人に任せて、私達は調理の手伝いをしましょう」
「ええ、そうしましょ」
「ほらほら、クロ魔女特性快楽のルーン入りのお札よー」
『きゃー何よこの札ぁ、感じちゃぅぅっ』
「『クリアハンド・一手』やんね」
『動けない、まるで何かに握り締められたようだ』
「魔界発明品その一、魔物化光線発射やで!」
『前方の兵士数名が黒い光線に接触、女性兵士が魔物化して男性兵士を襲ってます』
クロ,クリア,栗恵の三人が教団兵を魔物化させる等して進行を食い止めている。
「うわー!」
「きゃー!」
時には、兵士が鍋の中へと放り込まれていた。
「きゃーオトコよ」
「早い者勝ちよ!」
「いただきまーす(性的な意味で)」
未婚の魔物達がつられて鍋に飛び込み、男を襲う。
「あれ、熱くない?」
「ぽかぽかして、気持ちいい?」
最初は慌て蓋めいた兵士達だったが、鍋の中は気持ち良いのか、抵抗感がなくなり、
「うっ、股間が熱い」
「角と翼と尻尾が生えてきて気持ちいいっ」
鍋の魔力に充てられたのか、男はインキュバス、女は魔物になり、
「はぁはぁ、お前のマンコ締まりがいい」
「あはぁ、ついてぇ、オチンポもっと突いてぇ!」
鍋の中で次々と交わりを始めていた。
「お雑煮に精液とか混ざって大丈夫なの?」
「心配ないわ、精液が混ざらないよう保護魔法が掛かってるから」
「クロさん、教団兵は片付けたの?」
「ええ、殆ど片付けたから後はクリアと栗恵に任せるわ」
クロさんがおたまで鍋の汁を掬い、それを口に含む。
「味見?」
「出汁の具合を確かめるためよ……もう少し味が濃くてもいいかな?」
クロさんが札を投げ、鍋の中で交わるカップル達に貼りつけた。
「今の札は?」
「クロ魔女特性、快楽のルーンを刻んだ札よ。通常のルーンに改良を加えたから、女性だけじゃなく男性にも効果があるわよ」
「はぁはぁはぁはぁはぁ」
「イクイクイクイクイク」
「うわっ、交わりがより過激になった」
「あれだけ交われば、大量の魔力が放出されて、ごくっ……美味い!」
「美味い?」
「ダイヤちゃんも味見してみて、いい出汁が取れてるわよ」
私はクロさんからおたまを受け取り、汁を飲む。
交わりが一気に頭の中でスパークした。
何、この味?
味が頻繁に変化する感じ。
辛い
渋い
甘い
苦い
酸っぱい
等々
まるで、様々な魔力を混ぜ合わせたような味。
「美味しい」
本能的な感想。
この世にこんなに美味しいスープがあったなんて。
「これは料理というより……バイコーンが好む味?」
「ダイヤちゃんならこの味がわかってくれると思ったわ」
「そうか、様々な魔物の魔力が混じってるから、私達バイコーンにとって美味なのね」
「そういう事よ。味わうのはここまでにして、魔物の夫婦、そして教団兵の分の器を用意するわよ。皆で食べればもっと美味しいわよ」
「はい、クロさん。私も手伝います」
★一時間後★
「はい、どうぞ、お雑煮よ」
「サンキュー」
教団との戦闘が終わり、男性兵は未婚の魔物に襲われ夫婦となり、女性兵士は皆魔物になりました。
今はセックス後の休憩に、皆でお雑煮を食べています。
「うまい、セックスの後に食う雑煮サイコー」
「まぁあなたったら」
サキュバスになった女性が羽根と尻尾をパタパタ動かして嬉しそう。
「ふう、雑煮を食べたから身体が暖まってきたー!」
「だったら次は私を食・べ・て」
女性兵士は着直した服を脱ぎ捨て、全裸で夫を誘惑します。
「はい、二つのお餅がこんなにぷるんぷるん♪」
「うおー、お餅がぷるんぷるんに揺れてるー股間のお餅があーつーいーぞー」
「さあ、私のお椀この汁が充分煮えたぎったわ」
「うおーお椀こからだし汁が流れてる。ぱくっじゅるじゅる」
「いやん、そんなに吸い取ったら、汁が溢れちゃう」
「もーっぷはっ、お椀こからどんどん汁が溢れてきて、飲み干せない」
「もぅ自分だけ雑煮ばっかりでズルーい。次はあなたの太くて長いお餅をわたしのお椀この中に入・れ・て♪」
「うおーズボンを脱いで、餅を中に浸しまーす」
「ああん、あなたのお餅美味しい、美味しい」
「うおーうおー君のお汁がオレの餅を温めてさらに膨れるぅー」
「もっとお餅を膨らませて♪」
「うおー今度は餅の中にあるとろろが溢れそうだ」
「出してあなたのお餅から熱くてねばねばしたとろろを私のお椀この中に流し込んで♪」
「うおーうおー……ウッ出るっ!」
「あっ熱いっ、ねばねばしてるぅ……でも美味しい……あなたのとろろ……」
…
……
………
「互いのお雑煮を美味しそうに食べてるわね」
「流石サキュバスの夫婦」
「ちゃんと食事しろよ」
クロと煌羅が感激する中、私はツッコミを入れた。
二人を無視して、私と栗恵さんとで話をする。
「夫の精もええけど、色んな魔力が混じったお雑煮も最高やな〜。ホンマ、バイコーンになって良かったわ〜」
「えっ……そうか、栗恵さんはユニコーンから堕落したのですね」
「……ん?ああ、ちゃうちゃう。ウチは元人間や」
「えっ元人間なの?」
「そや、とあるリリムがウチを美しいバイコーンに生まれ変わらせてくれたんや」
「そのリリムって、クリアさんですか?」
「ちょっと惜しいな〜ウチを魔物にしてくれたのは、クリアの姉ちゃんで人間の女性を美しく変える旅に出てるんやって」
「女性を美しく……第二十王女のビューティさんの事か」
「ん、知っとるんか」
「はい、マリア義姉さんがたまに話してましてーー」
「やぁ君たち三人ともバイコーンだよね?」
突然、キザな男が私達に声を掛けてきた。
「誰やあんた?」
「オレの名はコーハ。ハーレムを目指す男さ」
コーハが髪をわざとらしく掻き上げる。
うーゎ、ウザイ奴来た。
話の合間に突然入るタイプの。
しかも名前負けしてる気がする。
「煌羅、いつものように追い返してよ」
「お嬢様、その必要はありません。ほら」
「クロさん?」
「おっ、お姉さんの方から来てくれるのかい?早速、契約を……」
「はい、お札」
「何このお札?額に貼りついて……ぐはっ……あれ痛くない?」
クロがグーでコーハの股間を金的。
「悪いわね、今は旦那よりも町の住民達を調教したいから」
「待って、お願いします。オレの嫁になってください。オレは前からハーレムに憧れていて……」
「うわ、あいつクロの足にしがみ付いてる」
「情けなくて、同情できませんね」
クロがコーハの前にしゃがみ込み、
「そんなにハーレムを作りたいの?」
コーハが頷く。
「どんなに調教されても?」
再度頷く。
「後悔しない?」
三度頷く。
「わかったわ、連れていってあげる。バイコーンと夫とハーレムの集まり『二角獣会』へ」
「二角獣会……」
その単語に私は親近感を覚えた。
★続く★
14/01/19 23:53更新 / ドリルモール
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