新しい学び舎と新たな出会い
春休みが明け、瑞姫の転校先での新学期がやってきた。
両親が既に仕事に動いている関係で、やはり凱が付き添いで学校に赴いていた。
凱は事前に義父の伝手でスーツを仕立てて貰っており、それを着用しての付き添いだ。
瑞姫は直射日光を避ける為に薄手のコートを羽織り、素足を晒さないように黒タイツも穿く念の入り様である。
二人は施設中央に建てられた塔に案内された後、その頂上にある理事長室に通され、対面を待つ。
その学園長室は部屋全体が丸く、要所に配置された窓は全周を見渡せる造りとなっている。
時刻は朝の七時。
部活の為に既に登校している生徒もいるにはいるが少数だ。
時間が遅く進む感覚にうんざりし始めた時、扉の開く音がして、ようやく目的の人物が姿を現す。
「いやいやどうも、お待たせして相済まんのじゃ」
立ち上がって挨拶しようとした二人は絶句する。
それは明らかに背が低い人の形をしたものだ。
けれどそれは明らかに背丈が低く、頭から山羊の角を生やした…幼女。
更にその手はぬいぐるみのようであり、膝から下は山羊の足と蹄であった。
「どうしたんじゃ？ そんなに固くならんでもいいから、座るが良い」
促されて、ようやく座るものの、二人には入ってきた人物が何者か見当もつかなかった。
「お嬢さんがこの学校に転校してきた者かの？」
「は……はい。龍堂……瑞姫、です」
「うんうん、そなたがそうであったか。すると隣の殿方は身内と言う事で宜しいかのう？」
「そう受け取って頂いて結構です」
「宜しい。ようこそ、【風星（かざほし）学園】へ。わしがここの学園長、バフォメットのエルノールじゃ。バフォメットは聞いた事があるかのう？」
「サバトで祀られる山羊頭の大悪魔、と聞いた事があります」
「ほう、多少は知っておるようじゃな。じゃが我々のサバトはこの世界のとは全く違う、素晴らしいものじゃ。お主らも入らぬか？」
エルノールと名乗った学園長の言葉に、二人は顔を見合わせる。
「……内容を知らない事には判断出来ませんので……」
「わたしも……実際に見ない事には……」
逡巡しつつの返事に学園長は右手を顎につけながら、思案する。
「うぅむ……、それは尤もじゃな。今夜、わしのサバトで行われる黒ミサに招待するから、それを見て判断しても良かろう。放課後にまたここに来るのじゃ。良いな？」
「「はい」」
あからさまな勧誘なれど、見てからでいいという提案に凱も瑞姫も一応の了承をする。
だが、学園長と名乗ったバフォメット、エルノールの切り替えは早かった。
「さて、この学園じゃが――」
エルノールは色々と話をするが、説明を要約すると――
風星学園は共学である事。
中等部と高等部を併設している事。
女子生徒の約７割が魔物娘で占められている事。
部活動は強制では無いが多岐にわたる事。
学食や購買部も備えているが、弁当持参も可能である事。
更にそことは別にクラスが用意されている事。
――以上の六つであった。
彼女の長々とした説明に二人は少し、疲れ気味になってしまう。
説明が終わると同時に、まるでタイミングを計ったのように扉がノックされる。
「何じゃ、入れ」
「失礼するですよー。学園長、転校生が来られてると思うですがー……」
入って来たのは人間と全く変わらない姿の女性だった……のだが……。
「む？ おお、そろそろ始業の時間じゃな。では龍堂君、この者がそちの担任じゃ。仲良くやりたまえよ」
「貴女が転校生ですかー？ あたしが貴女の担任を務める鬼灯亜莉亜（ほおづき・ありあ）ですよ。よろしくですよー」
「よろ……しく、お願い、しま、す」
現われた女性は教師とはとても思えぬほど低身長であり、小学校高学年程度にしか見えなかった。
あまりのギャップにぎこちなくお辞儀をする瑞姫の姿に、鬼灯と名乗った教師はくすりと笑みを漏らす。
「さ、教室に案内するです。後について来るですよー」
「はい。お兄さん、それじゃ、後で」
「うん。頑張れよ」
名残惜しそうに義兄を見つめる瑞姫の姿に、凱も胸が苦しくなる思いではあった。
けれど、彼は社会人となった身であり、中学生である義妹との関係も分別をつけねばならないのが現実である。
〈ふむ、あの方からの手紙通りじゃのう〉
彼の背中を見つめながらニタリと笑うエルノールの姿を、凱は知る由も無い……。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
瑞姫は長い廊下を歩いていた。
しかし、何やら嫌な予感を感じずには居られなかった。
それもその筈。
中等部では転校生の話で持ちきりだったのだ。
どのクラスに来るのか、可愛い女の子だったらいいな、など男子生徒が中心になって話をしていたからだ。
そして白髪と言う逃れられない特徴から、部活に出ていた中等部の男子が目ざとく見つけており、
その為に中等部の各教室はにわかに活気づき、瑞姫の姿を一目見ようと躍起になっていた。
もっとも、瑞姫は中等部に編入する事は無かった。彼女の行く所はそこでは無かったから……。
更に奥に案内されると魔力を込めた鍵で認証する方式の扉があり、そこをくぐった更に先にある豪奢な扉の前に辿りつく。
「先生が言うまで、ここで待ってるですよー？」
亜莉亜が瑞姫を止めて扉を開けると、そこは教室であり非常に静かだった。
「起立！ 礼！ 着席！」
一応、朝のホームルームらしく形式的な挨拶から始まる。
「今日からこのクラスに新しい子が来る事になりましたぁー。早速、自己紹介してもらうです。さ、入るですよー」
亜莉亜の合図と共に扉が開けられ、瑞姫は教室に姿を現す。
しかし、教室に入った瑞姫が見たものは生徒全てが女子。
いぶかしむ瑞姫を余所に亜莉亜は更に続ける。
「じゃ、自己紹介するです」
「龍堂瑞姫です。よろしくお願いします」
瑞姫は一礼し、教室を見渡す。
同じ白髪だったり、サングラスをしていたり、マスクをしていたり、物凄い皮膚の荒れ具合だったりと様々な女の子が座っていた。
「では……瑞姫ちゃん。あなたはそこの空いている席に座るですよ。級長、頼むですよー」
〈っ！ み、瑞姫ちゃん!?〉
「はい」
自分をいきなりちゃん付けで呼ぶ馴れ馴れしさに驚きつつも、瑞姫は指定された席に座る。
「よ、よろしくお願いします」
「こちらこそ」
隣の席になった級長と呼ばれた少女は少し固い身なりをした、典型的な真面目タイプだった。
彼女は瑞姫の姿を見た途端に声をかける。
「あら？ ネクタイが曲がっていてよ？」
「え？」
「……はい。これでいいわ」
「あ……、ありがとうございます」
ネクタイの位置を整える級長の几帳面な姿勢に感服はするものの、
その眼にどす黒い感情が宿っている事を瑞姫は察した。
不気味な雰囲気も同時に察していたものの、他のクラスから響く騒ぎ声が尋常でない事も実感していた。
こうして瑞姫の新しい学校での生活は早くも前途多難な様相を呈していた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
凱は学園長室でエルノールに拘束され、質問攻めにあっていた。
生徒となった瑞姫が義理の妹であり、自分は養子にして許嫁である事を明かす羽目になったのだ。
だが、エルノールはそれを既に調べ上げていたらしく、驚く事も無く普通に聞き流していた。
「妹を好いておるようだな」
「それについては言いたくない」
「深く聞く気は無いが、この学園は無駄に大きいからのう。中にはバカな事を考える者もおる。守ってやれよ」
「どうやって？」
「さる御方から手紙が来ててのう。それにはお主の仕事を斡旋し、妹の学園生活にかかる費用を一切無料にせよというお達しがあったんじゃ」
「仕事の斡旋？」
「そうじゃ。お主を用務員として雇う。とは言っても簡単な仕事じゃ。割り当て区域のゴミ拾いと見回りをしてもらうだけじゃからな」
「それと妹を守る事とどう関係する」
「その仕事以外は自由にしててよい。要するにあの子の見張り、つまりボディガードじゃ」
「何かサッパリ分からんが？」
「あの子はアルビノじゃろう。体育も室内しか出来まい。故に彼女は特別クラスに編入させた」
その言葉に凱の顔が曇る。
特別クラスと言う言葉自体、実はあまり言い響きにはならなかったからだ。
知的障害者が収容される例の方が圧倒的に多く、また、知的障害者の中には物の限度を知らない厄介な者もおり、暴力も酷かったのだ。
それを見透かすようにエルノールは言葉を続ける。
「心配は要らん。あの子が入ったクラスは女子だけしかおらん。ただ、家族の事情だったり、社会的なものや精神的なもの、様々な問題を抱えさせられた人間の女子を集めたクラスじゃ。この学園自体が中等部と高等部を兼任しておるから、年齢に関係なく仲良くなれると期待したいんじゃがな…」
彼女は遠くを見るかのように窓から外を見つめるが、中等部の棟が一層騒がしくなり、溜息をこぼす。
「バカ共がますます騒ぎ出したようじゃ。どうなる事やら……」
凱もまた、瑞姫とは違う方向で前途多難な未来を予感せざるを得なかった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
そんなこんなで昼食の時間。
学食や購買部は早速混雑し、クラスに関係なく賑わっていた。
けれど、特別クラスの生徒達は学食や購買部に行く事はしない。
人間関係などで傷を負った者達がわざわざ人混みに行っても逆効果だからだ。
だからといって弁当を作ってもらえるとも限らないと言う事で、専用の学食を設けている。
出される物も通常の学食と全く同じだ。
ただし通常との最大の違いは無償である事と、通常クラスの者の利用が禁止されている事なのだが…。
初めて尽くしの瑞姫にとって、学園のシステムは新鮮に映る。
しかし、彼女は早速やらかしていた。
弁当を凱から受け取るのを忘れていたのだ。
どうしよう、と焦っている所に呼び出しを受け、職員室に案内される。
職員室に入った瑞姫を待っていたのは凱だった。
彼が来たのも弁当を届けに来たからだ。
「……忘れ物……」
「あ、ありがとう……」
「ほらほらー、お兄さんのお弁当、残さず食べるですよー」
照れながら受け取る瑞姫の姿を察したのか、亜莉亜は中庭で食べて構わないと許可を出した。
中庭と言っても特別クラスに宛がわれた小さな敷地であり、特別クラスの生徒達の憩いの場の一つでもある。
その為、通常のクラスから離れてもいるので人目を気にする必要も無い。
特別クラスの生徒や教師達の興味津々な視線を気にする必要は少しあるが……。
瑞姫は早速、弁当の中身を開ける。
中には入っていたのは海苔で包まれた、おにぎりらしき正方形の物体。
おかずは卵焼きやきんぴら、かにかまなど、色とりどりだ。
「え？ これ、は？」
「『おにぎらず』ってレシピさ。朝早かった上に時間も無かったから、これにしたんだ」
「??」
「まあ、食べれば分かるよ。……あむ」
ラップを剥がしながら、食べ始める凱の仕草を真似ながら、瑞姫もおにぎらずを手にとって食べ始める。
「ん、美味しい」
その中身はスパムとふりかけを使ったものだった。そのまま素早く食べ終わるともう一つのおにぎらずに手を付ける。
するとその中身はメンチカツと千切りキャベツを入れたものだったが…。
「ん！ んぐぅ！」
「あぁっ、慌てるな。ほら、お茶」
「んぅ、んぐ、んぐ……。……はぁ」
喉を詰まらせてしまい、緑茶を飲んで一息つかせるとまた食べ始めて、おかずもそのまま完食してしまう。
「……お兄さん」
「どうした？」
「あの後、どうしてたの？」
「学園長に根掘り葉掘り質問されまくってた。疲れたよ……」
「わたし達の……関係も？」
「既に調べ上げてたらしい」
「そう……なんだ」
「俺は俺で、明日から特別クラス担当の用務員として働けってさ」
「ええ!?」
驚く瑞姫であったが、凱は尚も続けた。
「どうも中等部のクソガキ共が瑞姫に目を付けたらしい。だからボディガードを兼ねて雇うんだそうだ」
「わたし、子供じゃないのに……」
「子供でも大人でも、自分で自分を守りきれる保証なんて無い。まして俺達のような関係なら尚更だ。俺を雇ったのも学園長がそれを見抜いての事らしい」
「子供も大人も……無いんだね……」
悲しげに呟く瑞姫の言葉に、凱は無言だった。
それでも、彼は自分を必要としてくれる許嫁を守る義務があるのだ。
共に歩むと誓った少女の為に――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
そんな二人を学食帰りに物陰から見る者達がいた。
「……ボクにも……、あんな家族が……欲しかった」
ブレザーの下に長袖のパーカーを羽織った姿をした者は大人しそうな外見から更に想像を絶するくらい、存在感をかき消すような影の薄さが漂う。
しかもその者は瑞姫と同じ、特別クラスの女生徒であった。
この女生徒も数奇な運命に振り回された者の一人であり、凱、瑞姫らと運命を共にする事になるのだが、それは少し後の事――
＊＊＊
「仲睦まじいとはあやつらの事を言うんじゃろうなぁ……。何とも羨ましいものよ」
そう呟いたのはエルノールであった。
彼女は学園長室の窓から、特別クラスの中庭を見下ろしているのだ。
自分もあんな夫を得られたら、と考える彼女は、その考えを押し込むようにゆっくりと首を横に数度振る。
「黒ミサの準備はどうなっておるかのう……？ どれ、状況を確認するとしようかの」
そう呟きながら自分の支部に連絡を入れるエルノール。
だが、この後すぐにもたらされる報告が、黒ミサ開催の危機になろうとは思いもしなかった――
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
【風星（かざほし）学園】
瑞姫と朱鷺子が通う、男女共学の学校。
中等部・高等部があるが必ずしもエスカレーター式では無く、中等部を卒業して他の高校へ進学する者も多い。
その為に中高一貫コースも備えており、このコースで入った生徒は６年制となる。
女子の比率が高く、その女生徒の七割が魔物娘で占められ、部活動も規模に関係なく多岐に渡る。
運営は魔物娘が中心になっており、バフォメットのエルノールが学園長を務める。
施設も充実しており、購買部だけでなく自販機や学食、果ては各棟に学生寮まで備え、専門のカウンセラーも常駐している。
学園長室は敷地の中央に建てられた塔の最上階にある。
そこから各施設を見渡せるようになっており、風星学園の象徴ともなっている。
また、この学園には唯一特殊な制度を設けたクラスがあり、それが「特別クラス」と呼ばれるものである。
特別クラスは中等部・高等部を一まとめにした女子のみのクラスで、
全員が同じ教室で授業を受けるという非常に特殊な複式学級であり、基本的に６年制を採っている。
中途編入や転校生の受け入れも学園長判断で行われている。
このクラスには――
出自等のややこしい事情を抱えた家庭の子。
経済的に困窮を極めた家庭の子。
親が犯罪者である為に社会的抹殺を受けた子供。
容姿や病気などによる酷い偏見とイジメによって精神的に一生立ち直れない程の傷を負わされた者。
――といった、人間社会から爪弾きにされた少女達が生徒として集められている。
特別クラスの最大の特徴は授業科目のメインが家庭科と保健体育で、高校卒業の為に必要な最低限の学力も身に付ける。
望む者は物理等も習う事が出来るが、この場合は外部から講師を招聘する。
その最終目標は魔物娘としての適性を見極めてこれを高め、魔物化を容易にする事にある。
卒業後は余程の者で無い限りは魔界に渡って魔物娘となり、思い思いの道を歩んでいく。
但し、このクラスへ編入するには基本的に学園長の選考と面接が必要となる。
瑞姫と朱鷺子の場合は極めて特殊な事例であり、魔物化に相応しくない事が発覚した場合、漏れなく選考から除外される。
また、在籍後に発覚したならば退学処分となる。
一方、何らかの事情で在学中に魔物化を果たした者は卒業扱いとして魔界に行く事になるが、学園長判断で「個別コース」に編入させて授業を継続させる事も可能。
但し、個別コースに編入した者は学園創設以来一人しかおらず、専用の寮も老朽化が激しい状態となっている。
ただ、通常クラスの保護者は特別クラスの存在を目障りな物としか捉えておらず、教師達に廃止を働き掛けているグループが存在するのも事実である。
通常クラスの教師達の中にも実際、特別クラスの存在を煙たがっている者が少なくない事もこれに拍車をかけている。
現時点で特別クラスを受け持つのは以下の四人。
亜莉亜 ：特別クラス担任。家庭課担当。教師陣の中で（この時点では）唯一の人間。
アルマ ：特別クラス副担任。家庭科担当。種族はサキュバス。
黄泉 ：保健体育担当。種族はオーガ。元人間で亜莉亜とは腐れ縁の友人。魔物化を機に今の名に改めた。
マリアナ：保健体育担当。種族はダークプリースト。
＜制服＞
シングルブレステッドタイプのブレザーで、色は濃紺。
前ボタンの数は３つ、カフスボタンは２つの構成でボタンの色は白。
男子のスラックスは中等部が明るめのグレー、高等部はブレザーと同色。
女子のスカートは中等部が膝下丈の明るめのグレー、高等部と特別クラスは膝丈の濃い赤色＋チェック柄となっている。
アクセサリーとしてネクタイを採用し、ネクタイの色とスカートで学部と学年を識別する仕組みになっている。
ネクタイに共通しているのは薄いグレーのボーダー柄が入っている事で、中等部・高等部共通で１年は水色、２年は朱色、３年はオレンジとなり、特別クラスは通年で濃紫になっている。
因みにラミア属、ケンタウロス属、アラクネ属、一部のドラゴン属といった下半身が人型では無い者達の為に、その生徒に合わせて採寸されたラップスカート（巻きスカート）が用意されている。
なお、男子生徒がアルプとなった場合、スカートが無償で供与される。
見分け方は以下になる。
＜中等部＞
○男子：ブレザー＋明るめのグレースラックス
○女子：ブレザー＋膝下丈の明るめのグレースカート
＋
１年：水色ネクタイ／２年：朱色ネクタイ／３年：オレンジネクタイ
＜高等部＞
○男子：ブレザー＋濃紺スラックス
○女子：ブレザー＋膝丈の濃い赤色＆チェック柄スカート
＋
１年：水色ネクタイ／２年：朱色ネクタイ／３年：オレンジネクタイ
＜特別クラス＞※女子のみ
ブレザー＋膝丈の黒色＆赤チェック柄スカート＋濃紫ネクタイ
カーディガンやパーカー等についてはオプションなので、購入と着用は生徒個人の判断と自由で行われる。
なお、男子用の制服は不評で、「制服が嫌だから風星だけは受けない」と他校に流れる者も多く、男子の比率が少ないのはこの為である。
逆に「魔物娘の彼女を作りたい」とわざわざ他県から受験しに来る無謀な男子（もしくは猛者）もまた少なくはない。
両親が既に仕事に動いている関係で、やはり凱が付き添いで学校に赴いていた。
凱は事前に義父の伝手でスーツを仕立てて貰っており、それを着用しての付き添いだ。
瑞姫は直射日光を避ける為に薄手のコートを羽織り、素足を晒さないように黒タイツも穿く念の入り様である。
二人は施設中央に建てられた塔に案内された後、その頂上にある理事長室に通され、対面を待つ。
その学園長室は部屋全体が丸く、要所に配置された窓は全周を見渡せる造りとなっている。
時刻は朝の七時。
部活の為に既に登校している生徒もいるにはいるが少数だ。
時間が遅く進む感覚にうんざりし始めた時、扉の開く音がして、ようやく目的の人物が姿を現す。
「いやいやどうも、お待たせして相済まんのじゃ」
立ち上がって挨拶しようとした二人は絶句する。
それは明らかに背が低い人の形をしたものだ。
けれどそれは明らかに背丈が低く、頭から山羊の角を生やした…幼女。
更にその手はぬいぐるみのようであり、膝から下は山羊の足と蹄であった。
「どうしたんじゃ？ そんなに固くならんでもいいから、座るが良い」
促されて、ようやく座るものの、二人には入ってきた人物が何者か見当もつかなかった。
「お嬢さんがこの学校に転校してきた者かの？」
「は……はい。龍堂……瑞姫、です」
「うんうん、そなたがそうであったか。すると隣の殿方は身内と言う事で宜しいかのう？」
「そう受け取って頂いて結構です」
「宜しい。ようこそ、【風星（かざほし）学園】へ。わしがここの学園長、バフォメットのエルノールじゃ。バフォメットは聞いた事があるかのう？」
「サバトで祀られる山羊頭の大悪魔、と聞いた事があります」
「ほう、多少は知っておるようじゃな。じゃが我々のサバトはこの世界のとは全く違う、素晴らしいものじゃ。お主らも入らぬか？」
エルノールと名乗った学園長の言葉に、二人は顔を見合わせる。
「……内容を知らない事には判断出来ませんので……」
「わたしも……実際に見ない事には……」
逡巡しつつの返事に学園長は右手を顎につけながら、思案する。
「うぅむ……、それは尤もじゃな。今夜、わしのサバトで行われる黒ミサに招待するから、それを見て判断しても良かろう。放課後にまたここに来るのじゃ。良いな？」
「「はい」」
あからさまな勧誘なれど、見てからでいいという提案に凱も瑞姫も一応の了承をする。
だが、学園長と名乗ったバフォメット、エルノールの切り替えは早かった。
「さて、この学園じゃが――」
エルノールは色々と話をするが、説明を要約すると――
風星学園は共学である事。
中等部と高等部を併設している事。
女子生徒の約７割が魔物娘で占められている事。
部活動は強制では無いが多岐にわたる事。
学食や購買部も備えているが、弁当持参も可能である事。
更にそことは別にクラスが用意されている事。
――以上の六つであった。
彼女の長々とした説明に二人は少し、疲れ気味になってしまう。
説明が終わると同時に、まるでタイミングを計ったのように扉がノックされる。
「何じゃ、入れ」
「失礼するですよー。学園長、転校生が来られてると思うですがー……」
入って来たのは人間と全く変わらない姿の女性だった……のだが……。
「む？ おお、そろそろ始業の時間じゃな。では龍堂君、この者がそちの担任じゃ。仲良くやりたまえよ」
「貴女が転校生ですかー？ あたしが貴女の担任を務める鬼灯亜莉亜（ほおづき・ありあ）ですよ。よろしくですよー」
「よろ……しく、お願い、しま、す」
現われた女性は教師とはとても思えぬほど低身長であり、小学校高学年程度にしか見えなかった。
あまりのギャップにぎこちなくお辞儀をする瑞姫の姿に、鬼灯と名乗った教師はくすりと笑みを漏らす。
「さ、教室に案内するです。後について来るですよー」
「はい。お兄さん、それじゃ、後で」
「うん。頑張れよ」
名残惜しそうに義兄を見つめる瑞姫の姿に、凱も胸が苦しくなる思いではあった。
けれど、彼は社会人となった身であり、中学生である義妹との関係も分別をつけねばならないのが現実である。
〈ふむ、あの方からの手紙通りじゃのう〉
彼の背中を見つめながらニタリと笑うエルノールの姿を、凱は知る由も無い……。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
瑞姫は長い廊下を歩いていた。
しかし、何やら嫌な予感を感じずには居られなかった。
それもその筈。
中等部では転校生の話で持ちきりだったのだ。
どのクラスに来るのか、可愛い女の子だったらいいな、など男子生徒が中心になって話をしていたからだ。
そして白髪と言う逃れられない特徴から、部活に出ていた中等部の男子が目ざとく見つけており、
その為に中等部の各教室はにわかに活気づき、瑞姫の姿を一目見ようと躍起になっていた。
もっとも、瑞姫は中等部に編入する事は無かった。彼女の行く所はそこでは無かったから……。
更に奥に案内されると魔力を込めた鍵で認証する方式の扉があり、そこをくぐった更に先にある豪奢な扉の前に辿りつく。
「先生が言うまで、ここで待ってるですよー？」
亜莉亜が瑞姫を止めて扉を開けると、そこは教室であり非常に静かだった。
「起立！ 礼！ 着席！」
一応、朝のホームルームらしく形式的な挨拶から始まる。
「今日からこのクラスに新しい子が来る事になりましたぁー。早速、自己紹介してもらうです。さ、入るですよー」
亜莉亜の合図と共に扉が開けられ、瑞姫は教室に姿を現す。
しかし、教室に入った瑞姫が見たものは生徒全てが女子。
いぶかしむ瑞姫を余所に亜莉亜は更に続ける。
「じゃ、自己紹介するです」
「龍堂瑞姫です。よろしくお願いします」
瑞姫は一礼し、教室を見渡す。
同じ白髪だったり、サングラスをしていたり、マスクをしていたり、物凄い皮膚の荒れ具合だったりと様々な女の子が座っていた。
「では……瑞姫ちゃん。あなたはそこの空いている席に座るですよ。級長、頼むですよー」
〈っ！ み、瑞姫ちゃん!?〉
「はい」
自分をいきなりちゃん付けで呼ぶ馴れ馴れしさに驚きつつも、瑞姫は指定された席に座る。
「よ、よろしくお願いします」
「こちらこそ」
隣の席になった級長と呼ばれた少女は少し固い身なりをした、典型的な真面目タイプだった。
彼女は瑞姫の姿を見た途端に声をかける。
「あら？ ネクタイが曲がっていてよ？」
「え？」
「……はい。これでいいわ」
「あ……、ありがとうございます」
ネクタイの位置を整える級長の几帳面な姿勢に感服はするものの、
その眼にどす黒い感情が宿っている事を瑞姫は察した。
不気味な雰囲気も同時に察していたものの、他のクラスから響く騒ぎ声が尋常でない事も実感していた。
こうして瑞姫の新しい学校での生活は早くも前途多難な様相を呈していた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
凱は学園長室でエルノールに拘束され、質問攻めにあっていた。
生徒となった瑞姫が義理の妹であり、自分は養子にして許嫁である事を明かす羽目になったのだ。
だが、エルノールはそれを既に調べ上げていたらしく、驚く事も無く普通に聞き流していた。
「妹を好いておるようだな」
「それについては言いたくない」
「深く聞く気は無いが、この学園は無駄に大きいからのう。中にはバカな事を考える者もおる。守ってやれよ」
「どうやって？」
「さる御方から手紙が来ててのう。それにはお主の仕事を斡旋し、妹の学園生活にかかる費用を一切無料にせよというお達しがあったんじゃ」
「仕事の斡旋？」
「そうじゃ。お主を用務員として雇う。とは言っても簡単な仕事じゃ。割り当て区域のゴミ拾いと見回りをしてもらうだけじゃからな」
「それと妹を守る事とどう関係する」
「その仕事以外は自由にしててよい。要するにあの子の見張り、つまりボディガードじゃ」
「何かサッパリ分からんが？」
「あの子はアルビノじゃろう。体育も室内しか出来まい。故に彼女は特別クラスに編入させた」
その言葉に凱の顔が曇る。
特別クラスと言う言葉自体、実はあまり言い響きにはならなかったからだ。
知的障害者が収容される例の方が圧倒的に多く、また、知的障害者の中には物の限度を知らない厄介な者もおり、暴力も酷かったのだ。
それを見透かすようにエルノールは言葉を続ける。
「心配は要らん。あの子が入ったクラスは女子だけしかおらん。ただ、家族の事情だったり、社会的なものや精神的なもの、様々な問題を抱えさせられた人間の女子を集めたクラスじゃ。この学園自体が中等部と高等部を兼任しておるから、年齢に関係なく仲良くなれると期待したいんじゃがな…」
彼女は遠くを見るかのように窓から外を見つめるが、中等部の棟が一層騒がしくなり、溜息をこぼす。
「バカ共がますます騒ぎ出したようじゃ。どうなる事やら……」
凱もまた、瑞姫とは違う方向で前途多難な未来を予感せざるを得なかった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
そんなこんなで昼食の時間。
学食や購買部は早速混雑し、クラスに関係なく賑わっていた。
けれど、特別クラスの生徒達は学食や購買部に行く事はしない。
人間関係などで傷を負った者達がわざわざ人混みに行っても逆効果だからだ。
だからといって弁当を作ってもらえるとも限らないと言う事で、専用の学食を設けている。
出される物も通常の学食と全く同じだ。
ただし通常との最大の違いは無償である事と、通常クラスの者の利用が禁止されている事なのだが…。
初めて尽くしの瑞姫にとって、学園のシステムは新鮮に映る。
しかし、彼女は早速やらかしていた。
弁当を凱から受け取るのを忘れていたのだ。
どうしよう、と焦っている所に呼び出しを受け、職員室に案内される。
職員室に入った瑞姫を待っていたのは凱だった。
彼が来たのも弁当を届けに来たからだ。
「……忘れ物……」
「あ、ありがとう……」
「ほらほらー、お兄さんのお弁当、残さず食べるですよー」
照れながら受け取る瑞姫の姿を察したのか、亜莉亜は中庭で食べて構わないと許可を出した。
中庭と言っても特別クラスに宛がわれた小さな敷地であり、特別クラスの生徒達の憩いの場の一つでもある。
その為、通常のクラスから離れてもいるので人目を気にする必要も無い。
特別クラスの生徒や教師達の興味津々な視線を気にする必要は少しあるが……。
瑞姫は早速、弁当の中身を開ける。
中には入っていたのは海苔で包まれた、おにぎりらしき正方形の物体。
おかずは卵焼きやきんぴら、かにかまなど、色とりどりだ。
「え？ これ、は？」
「『おにぎらず』ってレシピさ。朝早かった上に時間も無かったから、これにしたんだ」
「??」
「まあ、食べれば分かるよ。……あむ」
ラップを剥がしながら、食べ始める凱の仕草を真似ながら、瑞姫もおにぎらずを手にとって食べ始める。
「ん、美味しい」
その中身はスパムとふりかけを使ったものだった。そのまま素早く食べ終わるともう一つのおにぎらずに手を付ける。
するとその中身はメンチカツと千切りキャベツを入れたものだったが…。
「ん！ んぐぅ！」
「あぁっ、慌てるな。ほら、お茶」
「んぅ、んぐ、んぐ……。……はぁ」
喉を詰まらせてしまい、緑茶を飲んで一息つかせるとまた食べ始めて、おかずもそのまま完食してしまう。
「……お兄さん」
「どうした？」
「あの後、どうしてたの？」
「学園長に根掘り葉掘り質問されまくってた。疲れたよ……」
「わたし達の……関係も？」
「既に調べ上げてたらしい」
「そう……なんだ」
「俺は俺で、明日から特別クラス担当の用務員として働けってさ」
「ええ!?」
驚く瑞姫であったが、凱は尚も続けた。
「どうも中等部のクソガキ共が瑞姫に目を付けたらしい。だからボディガードを兼ねて雇うんだそうだ」
「わたし、子供じゃないのに……」
「子供でも大人でも、自分で自分を守りきれる保証なんて無い。まして俺達のような関係なら尚更だ。俺を雇ったのも学園長がそれを見抜いての事らしい」
「子供も大人も……無いんだね……」
悲しげに呟く瑞姫の言葉に、凱は無言だった。
それでも、彼は自分を必要としてくれる許嫁を守る義務があるのだ。
共に歩むと誓った少女の為に――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
そんな二人を学食帰りに物陰から見る者達がいた。
「……ボクにも……、あんな家族が……欲しかった」
ブレザーの下に長袖のパーカーを羽織った姿をした者は大人しそうな外見から更に想像を絶するくらい、存在感をかき消すような影の薄さが漂う。
しかもその者は瑞姫と同じ、特別クラスの女生徒であった。
この女生徒も数奇な運命に振り回された者の一人であり、凱、瑞姫らと運命を共にする事になるのだが、それは少し後の事――
＊＊＊
「仲睦まじいとはあやつらの事を言うんじゃろうなぁ……。何とも羨ましいものよ」
そう呟いたのはエルノールであった。
彼女は学園長室の窓から、特別クラスの中庭を見下ろしているのだ。
自分もあんな夫を得られたら、と考える彼女は、その考えを押し込むようにゆっくりと首を横に数度振る。
「黒ミサの準備はどうなっておるかのう……？ どれ、状況を確認するとしようかの」
そう呟きながら自分の支部に連絡を入れるエルノール。
だが、この後すぐにもたらされる報告が、黒ミサ開催の危機になろうとは思いもしなかった――
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
【風星（かざほし）学園】
瑞姫と朱鷺子が通う、男女共学の学校。
中等部・高等部があるが必ずしもエスカレーター式では無く、中等部を卒業して他の高校へ進学する者も多い。
その為に中高一貫コースも備えており、このコースで入った生徒は６年制となる。
女子の比率が高く、その女生徒の七割が魔物娘で占められ、部活動も規模に関係なく多岐に渡る。
運営は魔物娘が中心になっており、バフォメットのエルノールが学園長を務める。
施設も充実しており、購買部だけでなく自販機や学食、果ては各棟に学生寮まで備え、専門のカウンセラーも常駐している。
学園長室は敷地の中央に建てられた塔の最上階にある。
そこから各施設を見渡せるようになっており、風星学園の象徴ともなっている。
また、この学園には唯一特殊な制度を設けたクラスがあり、それが「特別クラス」と呼ばれるものである。
特別クラスは中等部・高等部を一まとめにした女子のみのクラスで、
全員が同じ教室で授業を受けるという非常に特殊な複式学級であり、基本的に６年制を採っている。
中途編入や転校生の受け入れも学園長判断で行われている。
このクラスには――
出自等のややこしい事情を抱えた家庭の子。
経済的に困窮を極めた家庭の子。
親が犯罪者である為に社会的抹殺を受けた子供。
容姿や病気などによる酷い偏見とイジメによって精神的に一生立ち直れない程の傷を負わされた者。
――といった、人間社会から爪弾きにされた少女達が生徒として集められている。
特別クラスの最大の特徴は授業科目のメインが家庭科と保健体育で、高校卒業の為に必要な最低限の学力も身に付ける。
望む者は物理等も習う事が出来るが、この場合は外部から講師を招聘する。
その最終目標は魔物娘としての適性を見極めてこれを高め、魔物化を容易にする事にある。
卒業後は余程の者で無い限りは魔界に渡って魔物娘となり、思い思いの道を歩んでいく。
但し、このクラスへ編入するには基本的に学園長の選考と面接が必要となる。
瑞姫と朱鷺子の場合は極めて特殊な事例であり、魔物化に相応しくない事が発覚した場合、漏れなく選考から除外される。
また、在籍後に発覚したならば退学処分となる。
一方、何らかの事情で在学中に魔物化を果たした者は卒業扱いとして魔界に行く事になるが、学園長判断で「個別コース」に編入させて授業を継続させる事も可能。
但し、個別コースに編入した者は学園創設以来一人しかおらず、専用の寮も老朽化が激しい状態となっている。
ただ、通常クラスの保護者は特別クラスの存在を目障りな物としか捉えておらず、教師達に廃止を働き掛けているグループが存在するのも事実である。
通常クラスの教師達の中にも実際、特別クラスの存在を煙たがっている者が少なくない事もこれに拍車をかけている。
現時点で特別クラスを受け持つのは以下の四人。
亜莉亜 ：特別クラス担任。家庭課担当。教師陣の中で（この時点では）唯一の人間。
アルマ ：特別クラス副担任。家庭科担当。種族はサキュバス。
黄泉 ：保健体育担当。種族はオーガ。元人間で亜莉亜とは腐れ縁の友人。魔物化を機に今の名に改めた。
マリアナ：保健体育担当。種族はダークプリースト。
＜制服＞
シングルブレステッドタイプのブレザーで、色は濃紺。
前ボタンの数は３つ、カフスボタンは２つの構成でボタンの色は白。
男子のスラックスは中等部が明るめのグレー、高等部はブレザーと同色。
女子のスカートは中等部が膝下丈の明るめのグレー、高等部と特別クラスは膝丈の濃い赤色＋チェック柄となっている。
アクセサリーとしてネクタイを採用し、ネクタイの色とスカートで学部と学年を識別する仕組みになっている。
ネクタイに共通しているのは薄いグレーのボーダー柄が入っている事で、中等部・高等部共通で１年は水色、２年は朱色、３年はオレンジとなり、特別クラスは通年で濃紫になっている。
因みにラミア属、ケンタウロス属、アラクネ属、一部のドラゴン属といった下半身が人型では無い者達の為に、その生徒に合わせて採寸されたラップスカート（巻きスカート）が用意されている。
なお、男子生徒がアルプとなった場合、スカートが無償で供与される。
見分け方は以下になる。
＜中等部＞
○男子：ブレザー＋明るめのグレースラックス
○女子：ブレザー＋膝下丈の明るめのグレースカート
＋
１年：水色ネクタイ／２年：朱色ネクタイ／３年：オレンジネクタイ
＜高等部＞
○男子：ブレザー＋濃紺スラックス
○女子：ブレザー＋膝丈の濃い赤色＆チェック柄スカート
＋
１年：水色ネクタイ／２年：朱色ネクタイ／３年：オレンジネクタイ
＜特別クラス＞※女子のみ
ブレザー＋膝丈の黒色＆赤チェック柄スカート＋濃紫ネクタイ
カーディガンやパーカー等についてはオプションなので、購入と着用は生徒個人の判断と自由で行われる。
なお、男子用の制服は不評で、「制服が嫌だから風星だけは受けない」と他校に流れる者も多く、男子の比率が少ないのはこの為である。
逆に「魔物娘の彼女を作りたい」とわざわざ他県から受験しに来る無謀な男子（もしくは猛者）もまた少なくはない。
19/01/01 15:08更新 / rakshasa
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