あの時の夢の事はすっかりと忘れてしまってる訳で…
『…ねぇ……』
何処からか、俺を呼ぶ声が聞こえる。
『…ねぇってば……』
「誰…俺を呼んでいるのは誰だ?」
俺は、声のする方へとフラフラと歩きながら向かう。
『こっち…こっちよ』
「だから、どっち何だよ…?」
その時、俺の目の前が真っ暗になった。
『フフフ、ここよ』
その手はすぐに俺の視界から消え俺が振り向くと、そこには1人の少女…否、少女とは違う何かが立っていた。
少女と呼べる部分は上半身までで、下半身は紫の毛並みをした馬。更に少女は下半身と同じ色のローブを纏っていた。
「君は一体…?」
俺は、そんな奇妙な外見を有した少女が恐ろしいなんて微塵も思って居なかった。
それどころか、遠い昔から仲の良かった…そんな雰囲気を少女は纏っていた。
『私は……よ?』
「え、何だって?
肝心な部分が聞こえなかったんだけど?」
『私……貴方に会いに行くから。
だから…だから、待っててね?』
「え、いや、だから……!!」
俺が何かを言おうとしたが、少女は何処かに消え、視界が真っ白になり…………………
------------------------------------------------------------------------------------
あれから3年。俺はあの夢を見なくなってから3年が経った。
「…今日から寮生活か。」
俺は、これから住む寮、『追夢荘』の前へと立っていた。
「おっし…今日から新しい生活のスタートだ!!」
そうして俺は、玄関からやや緊張しながら入っていった。
「すいませーん、今日からお世話になります、真中という者なんですけど!!」
割と大声で行ったのに、誰1人出て来ない。
「誰1人いなくてまさかのボッチパターンか!?
すいませーん!!」
そう言いつつ靴を脱ぎ、廊下を少し進んだときだった。
「わーーーどいてどいてーーーー!!」
右から、何かが飛んできた……と思ったら俺の顔に直でぶつかった!?
「おわーーーーーー!?」
「きゃーーーーーー!?」
ちょ、え、えぇ!?何だ…何だ!?
「あいたたた…もーっ!!
前ぐらいちゃんと見て歩いてよね!!」
「え…あ、ハイ、すんません。」
「うん、分かれば宜しい♪」
アレ…前を見てなかったのはそっちな気が……?
「それより、何か急いでいるんじゃないか?」
「……へ?
…あーっ、そうだった、すっかり忘れてた!!」
そうして、絵筆(体の割に大きすぎるような…?)を持った妖精的な何かは何処かへ飛び去っていった。
「…あ〜、また人捜さないと……。」
俺がそう考えていると、後ろから声を掛けられた。
「あら、お客さん…じゃ無さそうね?」
振り向くと、着物を着た金髪の美女が其処に立っていた。
よくよく見ると、頭には耳があり背後には見た感じ8つの尻尾がピコピコと揺れていた。
「あ…あの、俺、今日から此処にお世話になることになった真中です。」
「うん、話には聞いているわ。真中君。
私は、此処の寮母を務めている皐月よ。ヨロシクね?」
「はい、よろしくお願いします。」
「じゃあ、早速貴方の部屋へ案内するから付いてきて?」
俺は皐月さんの案内の元、自分の部屋である105号室へと連れられていった。
「…それじゃあ此処の鍵を渡して置くわ。
それと、歓迎会をやるから7時に食堂ね♪」
「はい…分かりました。」
そんな訳で俺は、7時まで荷物の片付けに取り掛かる事にした。
------------------------------------------------------------------------------------
午後3時ちょうど、事件は唐突に起こった。
その時、俺は換気をする為に窓を開け放っていた。
すると、ドアからノックの音が聞こえてきたんだ。
「は〜い、どなたですか〜……。」
俺がドアを開けると、其処には誰も居ない。
「あっれ?おっかしいなぁ…。」
そう呟きながらドアを閉めた時、事件は起こった。
「ヒャッホーー!!」
突然窓から何かが入ってきた!!
「おいおいおいおい、またこのパターンか!?」
人間って不思議な生き物で、ヤバイって思った時何かしらの力を発揮するんだって初めて知ったよ。
まさかソレが寸前まで迫ってきながらも、そのまま受け流したんだからな。そして受け流されたソレは、顔面から壁に衝突。そのまま壁にくっついたまま床までズルズルと落ちていった。
「イタタ……うぅ、失敗失敗♪」
「いやいや失敗じゃないですよ!?
つか先輩誰ですか!?」
「うぇ、アタシ?
アタシは…ルーフ、見ての通りワーウルフだよ?
因みに、君と同じ学校に通う2年生ね?」
…良かった、ホントに先輩だったよ。
「…それで、何で窓から侵入してきたんですか?」
「う〜ん…驚かそうと思って?」
「何で半疑問系なんですか…。
まぁ、十分驚きましたけど。」
「ホントに!?
…いやぁ、良かった良かった。
じゃあ自分の部屋に戻るね〜。」
そう言ってルーフ先輩は戻っていった。
「ったく、何だったんだ?
…それにしても、あのモフモフの手足に尻尾、ちょっと触って……って何を考えているんだ!?」
------------------------------------------------------------------------------------
7時になり、俺は食堂へと向かった。
…向かった筈なんだが。
「やべぇ……食堂ってどっちだ…?」
まさかの迷っていた。
そんでもって、今現在玄関まで戻って来た所だ。
「とりあえず人に聞くしか…っと、すみませーん。」
俺は、これから外出するであろう男性(多分先輩)に道を尋ねることにした。
「ん、何だい?」
「あの…食堂ってどっちですか?
俺、今日入居したばっかで…。」
「ああ、それなら其処の廊下の途中にあるよ?」
「へ…?
え、あ、ありがとう御座います!!」
「いやいや。
それから俺は傘沼 淳で部屋は102号室な?」
「はい、よろしくお願いします!!」
「ああ、ヨロシク。
あっと…俺、これからラジオの収録があるからこれで失礼するよ。」
そういって傘沼先輩は出て行った。
「…ラジオの収録て……。」
…傘沼先輩って一体何者なんだ?
「あら、ここに居たの?」
「あ、皐月さん。
いや、少し迷ってしまって…」
「あら、そう言えば場所を教えてなかったかしら?」
「いや、傘沼先輩に教えて貰いました。」
「ああ、あの子ね?
成る程、成る程。」
皐月さんは、何か怪しい笑みを終始浮かべながら、俺と一緒に食堂へと向かった。
------------------------------------------------------------------------------------
「は〜いそれじゃあ、歓迎会を始めーす!!」
皐月さんの挨拶と共に始まった歓迎会はなんとすき焼きパーティだった。
「…今思うと意外と入ってきたんだな……。」
今年この寮に入ってきたのは、俺も含めなんと15人。
その内男子が6人で女子が9人だ。
「あれ、ミスター『真ん中』じゃん!!」
「お前は……隼人か!?
隼人もこの寮に入居してたのか…。」
「と言っても、ここに入居したのは3日前だけどね?」
まさか昔からの悪友までこの寮に入っているとは…。
「それでよ、真中。此処には魔物も含め可愛い娘ばっかり居るらしい。」
「はぁ…それで?」
「だからな、俺は可愛い娘目当てでここに入ったって訳だ。」
「ふぅん…お前は相変わらずだな。」
「あたぼうよ!!
でな、今日の歓迎会って、寮の全員が出席することになってるらしいんだよ。」
確かに周りを見渡せば、食堂にはこの寮のほぼ全員であろう人数がいた。
「だけどよ、なんか新しく入ってきてる魔物の娘が1人来ていないらしいんだよな?」
「ほぉ、それで?」
「それってなんか良いよな!!」
「…俺は、お前の事が分からんよ……。」
隼人はその後もずっと何か語っていたが、俺はさっぱり聞いていなかった。
------------------------------------------------------------------------------------
歓迎会が終わった後、俺は風呂に入りに浴場へと向かった。
浴場といっても浴室は1つしか無く、男子と女子とで時間が割り当てられているが、俺はその時間内に入りそびれた訳で……。
そんな事があって今はヒソヒソと浴場に向かっている。
「確か…此処を曲がって、此処をまっすぐに行けば……。
お、あったあった。」
何とか浴場を見つけた俺は、鍵が掛かって無いことを確認し、脱衣場へと入った。
「おぉ…結構広いんだな……。」
(これは風呂場の方にも期待出来るなぁ…)
俺は浮かれていた。
脱衣所の籠の1つに、誰かの服が入っていることに……
何処からか、俺を呼ぶ声が聞こえる。
『…ねぇってば……』
「誰…俺を呼んでいるのは誰だ?」
俺は、声のする方へとフラフラと歩きながら向かう。
『こっち…こっちよ』
「だから、どっち何だよ…?」
その時、俺の目の前が真っ暗になった。
『フフフ、ここよ』
その手はすぐに俺の視界から消え俺が振り向くと、そこには1人の少女…否、少女とは違う何かが立っていた。
少女と呼べる部分は上半身までで、下半身は紫の毛並みをした馬。更に少女は下半身と同じ色のローブを纏っていた。
「君は一体…?」
俺は、そんな奇妙な外見を有した少女が恐ろしいなんて微塵も思って居なかった。
それどころか、遠い昔から仲の良かった…そんな雰囲気を少女は纏っていた。
『私は……よ?』
「え、何だって?
肝心な部分が聞こえなかったんだけど?」
『私……貴方に会いに行くから。
だから…だから、待っててね?』
「え、いや、だから……!!」
俺が何かを言おうとしたが、少女は何処かに消え、視界が真っ白になり…………………
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あれから3年。俺はあの夢を見なくなってから3年が経った。
「…今日から寮生活か。」
俺は、これから住む寮、『追夢荘』の前へと立っていた。
「おっし…今日から新しい生活のスタートだ!!」
そうして俺は、玄関からやや緊張しながら入っていった。
「すいませーん、今日からお世話になります、真中という者なんですけど!!」
割と大声で行ったのに、誰1人出て来ない。
「誰1人いなくてまさかのボッチパターンか!?
すいませーん!!」
そう言いつつ靴を脱ぎ、廊下を少し進んだときだった。
「わーーーどいてどいてーーーー!!」
右から、何かが飛んできた……と思ったら俺の顔に直でぶつかった!?
「おわーーーーーー!?」
「きゃーーーーーー!?」
ちょ、え、えぇ!?何だ…何だ!?
「あいたたた…もーっ!!
前ぐらいちゃんと見て歩いてよね!!」
「え…あ、ハイ、すんません。」
「うん、分かれば宜しい♪」
アレ…前を見てなかったのはそっちな気が……?
「それより、何か急いでいるんじゃないか?」
「……へ?
…あーっ、そうだった、すっかり忘れてた!!」
そうして、絵筆(体の割に大きすぎるような…?)を持った妖精的な何かは何処かへ飛び去っていった。
「…あ〜、また人捜さないと……。」
俺がそう考えていると、後ろから声を掛けられた。
「あら、お客さん…じゃ無さそうね?」
振り向くと、着物を着た金髪の美女が其処に立っていた。
よくよく見ると、頭には耳があり背後には見た感じ8つの尻尾がピコピコと揺れていた。
「あ…あの、俺、今日から此処にお世話になることになった真中です。」
「うん、話には聞いているわ。真中君。
私は、此処の寮母を務めている皐月よ。ヨロシクね?」
「はい、よろしくお願いします。」
「じゃあ、早速貴方の部屋へ案内するから付いてきて?」
俺は皐月さんの案内の元、自分の部屋である105号室へと連れられていった。
「…それじゃあ此処の鍵を渡して置くわ。
それと、歓迎会をやるから7時に食堂ね♪」
「はい…分かりました。」
そんな訳で俺は、7時まで荷物の片付けに取り掛かる事にした。
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午後3時ちょうど、事件は唐突に起こった。
その時、俺は換気をする為に窓を開け放っていた。
すると、ドアからノックの音が聞こえてきたんだ。
「は〜い、どなたですか〜……。」
俺がドアを開けると、其処には誰も居ない。
「あっれ?おっかしいなぁ…。」
そう呟きながらドアを閉めた時、事件は起こった。
「ヒャッホーー!!」
突然窓から何かが入ってきた!!
「おいおいおいおい、またこのパターンか!?」
人間って不思議な生き物で、ヤバイって思った時何かしらの力を発揮するんだって初めて知ったよ。
まさかソレが寸前まで迫ってきながらも、そのまま受け流したんだからな。そして受け流されたソレは、顔面から壁に衝突。そのまま壁にくっついたまま床までズルズルと落ちていった。
「イタタ……うぅ、失敗失敗♪」
「いやいや失敗じゃないですよ!?
つか先輩誰ですか!?」
「うぇ、アタシ?
アタシは…ルーフ、見ての通りワーウルフだよ?
因みに、君と同じ学校に通う2年生ね?」
…良かった、ホントに先輩だったよ。
「…それで、何で窓から侵入してきたんですか?」
「う〜ん…驚かそうと思って?」
「何で半疑問系なんですか…。
まぁ、十分驚きましたけど。」
「ホントに!?
…いやぁ、良かった良かった。
じゃあ自分の部屋に戻るね〜。」
そう言ってルーフ先輩は戻っていった。
「ったく、何だったんだ?
…それにしても、あのモフモフの手足に尻尾、ちょっと触って……って何を考えているんだ!?」
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7時になり、俺は食堂へと向かった。
…向かった筈なんだが。
「やべぇ……食堂ってどっちだ…?」
まさかの迷っていた。
そんでもって、今現在玄関まで戻って来た所だ。
「とりあえず人に聞くしか…っと、すみませーん。」
俺は、これから外出するであろう男性(多分先輩)に道を尋ねることにした。
「ん、何だい?」
「あの…食堂ってどっちですか?
俺、今日入居したばっかで…。」
「ああ、それなら其処の廊下の途中にあるよ?」
「へ…?
え、あ、ありがとう御座います!!」
「いやいや。
それから俺は傘沼 淳で部屋は102号室な?」
「はい、よろしくお願いします!!」
「ああ、ヨロシク。
あっと…俺、これからラジオの収録があるからこれで失礼するよ。」
そういって傘沼先輩は出て行った。
「…ラジオの収録て……。」
…傘沼先輩って一体何者なんだ?
「あら、ここに居たの?」
「あ、皐月さん。
いや、少し迷ってしまって…」
「あら、そう言えば場所を教えてなかったかしら?」
「いや、傘沼先輩に教えて貰いました。」
「ああ、あの子ね?
成る程、成る程。」
皐月さんは、何か怪しい笑みを終始浮かべながら、俺と一緒に食堂へと向かった。
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「は〜いそれじゃあ、歓迎会を始めーす!!」
皐月さんの挨拶と共に始まった歓迎会はなんとすき焼きパーティだった。
「…今思うと意外と入ってきたんだな……。」
今年この寮に入ってきたのは、俺も含めなんと15人。
その内男子が6人で女子が9人だ。
「あれ、ミスター『真ん中』じゃん!!」
「お前は……隼人か!?
隼人もこの寮に入居してたのか…。」
「と言っても、ここに入居したのは3日前だけどね?」
まさか昔からの悪友までこの寮に入っているとは…。
「それでよ、真中。此処には魔物も含め可愛い娘ばっかり居るらしい。」
「はぁ…それで?」
「だからな、俺は可愛い娘目当てでここに入ったって訳だ。」
「ふぅん…お前は相変わらずだな。」
「あたぼうよ!!
でな、今日の歓迎会って、寮の全員が出席することになってるらしいんだよ。」
確かに周りを見渡せば、食堂にはこの寮のほぼ全員であろう人数がいた。
「だけどよ、なんか新しく入ってきてる魔物の娘が1人来ていないらしいんだよな?」
「ほぉ、それで?」
「それってなんか良いよな!!」
「…俺は、お前の事が分からんよ……。」
隼人はその後もずっと何か語っていたが、俺はさっぱり聞いていなかった。
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歓迎会が終わった後、俺は風呂に入りに浴場へと向かった。
浴場といっても浴室は1つしか無く、男子と女子とで時間が割り当てられているが、俺はその時間内に入りそびれた訳で……。
そんな事があって今はヒソヒソと浴場に向かっている。
「確か…此処を曲がって、此処をまっすぐに行けば……。
お、あったあった。」
何とか浴場を見つけた俺は、鍵が掛かって無いことを確認し、脱衣場へと入った。
「おぉ…結構広いんだな……。」
(これは風呂場の方にも期待出来るなぁ…)
俺は浮かれていた。
脱衣所の籠の1つに、誰かの服が入っていることに……
13/04/05 16:00更新 / @kiya
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