メデューサ編 別に…、アンタの事なんて好きじゃないんだからね!!
「…もう、アンタなんかキライ!!キライキライキライキライキライ!!もう一生アンタの顔なんて見たくないんだから!!もう、ここに入らないで!!」
そう彼女が言っているが、頭の蛇達はこちらを寂しげにこちらを見ている。
頭の蛇達と言ったが、彼女は来栖 女璃亜(くるす めりあ)で種族はメデューサである。
「…何よ、あの位で本当に出て行くなんて。まぁいいわ、これでようやくスッキリすることが出来たし。まぁ、次の男なんて幾らでもいるんだから。」
とは言ったものの、やっぱりまもっ娘。1度好きになってしまった相手は、なかなか忘れられないのである。その証拠に、頭の蛇達は寂しそうなままだった。
「……ちょっとキツく言い過ぎちゃったかな?でもでも、アイツが悪いのよ。だって、私の本当の気持ちに全然気付かないなんて。ニブいのも甚だしいわ!!」
そう言って、手に取った写真立てを投げようとしたが、寸前で止めてまだ雨の降っている外を眺めた。
「そういえば、私とアイツが初めて出会った時もこんな天気だったわね。…私が外出中に突然雨が降ってきて、急いで雨宿りの出来る場所に入ったんだけど、雨がなかなか止まなくて…。そんな時、アイツがやって来て私に傘を貸してくれたのよね。私は、『そんな物、必要無い。』って言ったんだけど…。アイツは『女の子なんだから、濡れてカゼでもひいたら大変だ。』とか何とか言って、結局傘を貸して貰う事になったんだよね。その頃まだ山から下りてきたばっかりだったから、傘の使い方が全然分からなくて…。結局アイツがさした傘に入ることになって……。って今思えばあの頃から私はアイツのことが好きにになっていたんだよね…。」
女璃亜は、ここからそう遠くはない山の生まれである。数年前に彼と出会ってから、自分の生まれ育った山を出て今現在この町で暮らしている。その頃から彼とは、遊園地に行ったり、海で夕日を見たりした。勿論ラミア種の能力である『目を見ると石化する』というのは女璃亜にもあったので、対策としてサングラスは付けていたが。
「…ダメ、やっぱり私アイツの事が忘れられない。アイツがいた日々が忘れられない。そして、アイツ自身が居ないと私は寂しくて、今にも引き裂かれそうになるわ。だから、アイツを探さないと…。」
そう言って女璃亜は、ぎこちない手つきながらも傘をさして、雨の降る外へと彼を捜しに行った。
一緒に買い物に行った商店街、昼寝をした河原、夕日を見た海辺、女璃亜は思い出す限りの思い出の場所を捜したが、結局彼は見つからなかった。
「…もう、何処に行ったのよ。私がこんなにも捜してるっていうのに…、何処にも居ないなんて…。」
女璃亜は凄く悲しそうな、今にも泣き出しそうな顔をしていた。それは、頭の蛇達も同様だった。
なかなか見つからない彼を、捜している内に女璃亜は捜し忘れている場所を思い出した。
「まさか…、私とアイツが出会った場所…?」
女璃亜がその場所に行ってみると、案の定そこには彼がいた。
「…!!やっぱり居た!!もう、何処にいってたのよ!!まぁ、でも、最初からここにいたのは分かってたんだからね!!本当にいろんな所を捜し回った訳じゃないんだから!!し・か・も、アンタが居なくなって寂しかった訳じゃないんだから!!アンタが居ないと生涯の伴侶をまた捜さないといけなくなるし、何よりも私はアンタがいないと……って、何言わせてるのよ!!馬鹿じゃないの!!」
そうは言っているが、頭の蛇達は正直なようで、女璃亜がどれだけ心配したか、どれだけ彼を捜していたかを、喋りはせずとも彼の頬に頬摺りしたり、それぞれが多種多様な行動を起こしていた。
「それよりもアンタ、私を放って置いて何処に行ってたのかしら?…え、これを私にって、開けるわよ。…うわぁ、綺麗…まさかコレ、私の為に…?」
小さな箱の中に入っていたのは、なんと女璃亜の髪の色と同じ淡い青色の宝石が付けられた指輪だった。
「馬鹿じゃないの、私をこんな指輪で釣ろうだなんて。私はそんな女じゃないわよ!!…でもまぁ、ありがたく貰っておくわ。だから、また、一緒に帰りましょ…?って、何でも無い、何でもないんだから!!ホラ、さっさと帰るわよ。」
女璃亜の家に帰ってから一段落付いた頃、彼が突然こんな事をいってきた。
「…え、俺はお前の事が好きだ、だから結婚しよう、ですって?だから、この指輪も…。…全く、そうならそうともっと早く言ってくれれば良かったのに…。アンタって本当に素直じゃないんだから。」
そういう女璃亜や頭の蛇達は凄く嬉しそうだった、何より女璃亜の滅多に見られない笑顔が見れたのだから。
「…え、私の方が素直じゃないって?失礼ね、アンタよりかはよっぽどマシよ。…良いわ、結婚してあげる。でもね……。」
女璃亜はこちらに顔を笑顔で向けながら、
「べ、別に、アンタの事なんて好きじゃないんだからね!!」
…女璃亜は今日も、素直じゃないのである。
…
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そう彼女が言っているが、頭の蛇達はこちらを寂しげにこちらを見ている。
頭の蛇達と言ったが、彼女は来栖 女璃亜(くるす めりあ)で種族はメデューサである。
「…何よ、あの位で本当に出て行くなんて。まぁいいわ、これでようやくスッキリすることが出来たし。まぁ、次の男なんて幾らでもいるんだから。」
とは言ったものの、やっぱりまもっ娘。1度好きになってしまった相手は、なかなか忘れられないのである。その証拠に、頭の蛇達は寂しそうなままだった。
「……ちょっとキツく言い過ぎちゃったかな?でもでも、アイツが悪いのよ。だって、私の本当の気持ちに全然気付かないなんて。ニブいのも甚だしいわ!!」
そう言って、手に取った写真立てを投げようとしたが、寸前で止めてまだ雨の降っている外を眺めた。
「そういえば、私とアイツが初めて出会った時もこんな天気だったわね。…私が外出中に突然雨が降ってきて、急いで雨宿りの出来る場所に入ったんだけど、雨がなかなか止まなくて…。そんな時、アイツがやって来て私に傘を貸してくれたのよね。私は、『そんな物、必要無い。』って言ったんだけど…。アイツは『女の子なんだから、濡れてカゼでもひいたら大変だ。』とか何とか言って、結局傘を貸して貰う事になったんだよね。その頃まだ山から下りてきたばっかりだったから、傘の使い方が全然分からなくて…。結局アイツがさした傘に入ることになって……。って今思えばあの頃から私はアイツのことが好きにになっていたんだよね…。」
女璃亜は、ここからそう遠くはない山の生まれである。数年前に彼と出会ってから、自分の生まれ育った山を出て今現在この町で暮らしている。その頃から彼とは、遊園地に行ったり、海で夕日を見たりした。勿論ラミア種の能力である『目を見ると石化する』というのは女璃亜にもあったので、対策としてサングラスは付けていたが。
「…ダメ、やっぱり私アイツの事が忘れられない。アイツがいた日々が忘れられない。そして、アイツ自身が居ないと私は寂しくて、今にも引き裂かれそうになるわ。だから、アイツを探さないと…。」
そう言って女璃亜は、ぎこちない手つきながらも傘をさして、雨の降る外へと彼を捜しに行った。
一緒に買い物に行った商店街、昼寝をした河原、夕日を見た海辺、女璃亜は思い出す限りの思い出の場所を捜したが、結局彼は見つからなかった。
「…もう、何処に行ったのよ。私がこんなにも捜してるっていうのに…、何処にも居ないなんて…。」
女璃亜は凄く悲しそうな、今にも泣き出しそうな顔をしていた。それは、頭の蛇達も同様だった。
なかなか見つからない彼を、捜している内に女璃亜は捜し忘れている場所を思い出した。
「まさか…、私とアイツが出会った場所…?」
女璃亜がその場所に行ってみると、案の定そこには彼がいた。
「…!!やっぱり居た!!もう、何処にいってたのよ!!まぁ、でも、最初からここにいたのは分かってたんだからね!!本当にいろんな所を捜し回った訳じゃないんだから!!し・か・も、アンタが居なくなって寂しかった訳じゃないんだから!!アンタが居ないと生涯の伴侶をまた捜さないといけなくなるし、何よりも私はアンタがいないと……って、何言わせてるのよ!!馬鹿じゃないの!!」
そうは言っているが、頭の蛇達は正直なようで、女璃亜がどれだけ心配したか、どれだけ彼を捜していたかを、喋りはせずとも彼の頬に頬摺りしたり、それぞれが多種多様な行動を起こしていた。
「それよりもアンタ、私を放って置いて何処に行ってたのかしら?…え、これを私にって、開けるわよ。…うわぁ、綺麗…まさかコレ、私の為に…?」
小さな箱の中に入っていたのは、なんと女璃亜の髪の色と同じ淡い青色の宝石が付けられた指輪だった。
「馬鹿じゃないの、私をこんな指輪で釣ろうだなんて。私はそんな女じゃないわよ!!…でもまぁ、ありがたく貰っておくわ。だから、また、一緒に帰りましょ…?って、何でも無い、何でもないんだから!!ホラ、さっさと帰るわよ。」
女璃亜の家に帰ってから一段落付いた頃、彼が突然こんな事をいってきた。
「…え、俺はお前の事が好きだ、だから結婚しよう、ですって?だから、この指輪も…。…全く、そうならそうともっと早く言ってくれれば良かったのに…。アンタって本当に素直じゃないんだから。」
そういう女璃亜や頭の蛇達は凄く嬉しそうだった、何より女璃亜の滅多に見られない笑顔が見れたのだから。
「…え、私の方が素直じゃないって?失礼ね、アンタよりかはよっぽどマシよ。…良いわ、結婚してあげる。でもね……。」
女璃亜はこちらに顔を笑顔で向けながら、
「べ、別に、アンタの事なんて好きじゃないんだからね!!」
…女璃亜は今日も、素直じゃないのである。
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12/07/12 22:56更新 / @kiya
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