力の抜けた彼女の重みに、俺は行為の余韻を楽しんでいた。上から女がのしかかっている。その相手は何を隠そう魔物娘である。
彼女はエルフだった。
しかし彼女はファンタジーでお馴染みのエルフであってエルフではない。魔物娘のエルフ、つまりは淫乱なエルフ、略してエロフである。
ツッコミは受け付けない。なぜならツッコんでいるのは俺だから。
と、淫乱（エロフ）そのものであった彼女との行為で、俺は調子に乗っていた。
しかし、同時にあることを危惧してもいた。

俺は、俺にしなだれかかって来ている彼女を見る。
彼女の耳は、尖っている。
彼女の髪は、金髪だ。
しかし、淫乱（エロフ）だ。
ああ、最高だ。
しかし、しかし、だ。このまま彼女は”本物”で、俺は彼女とゴールインできることかどうかはまた別問題で大問題だ。

俺がハラハラドキドキしていると、彼女は細くて折れそうな美しい指で俺の胸を撫で、ソッと耳を押しつけて来た。エルフ耳がヒョコヒョコと動く。
「ふふ。ドキドキしてる」彼女は穏やかな顔で笑う。あまりの穏やかさにそのまま俺が蕩けてしまいそうだ。
そして。俺は「お」と思う。これは本物ではないか。まるでファイナルアンサーと告げた後に答えを待つ挑戦者のような心持ちで、俺は彼女を見つめた。というと、ちと古いか……。
しかし、彼女は俺に向かってニィ、とエルフらしからぬイタズラっぽい顔で笑うと、
「エッチなエルフだと思った？ 残念！ ハズレでした！」
そう言ってドロドロに溶けて跡形もなく消えてしまった。

「ちっくしょぉおおおおお！」
自分で言うほどに哀れさが増すが、哀れな男の嘆きが、一人っきりのラブホの一室に響いていた。
「またハズレだった……」
俺はスマホの画面をタップしながら街を歩いていた。
ああ、それにしても魔物娘の彼女が欲しい……ッ！
と、顎が長くなりそうなほどに俺は切実に思った。

俺はとあるアプリをやっていた。
それは、【まもむすGO】というアプリである。
人間の姿に化けて暮らしている彼女たちを見つけ出してgetするというコンセプトのアプリである。
もともと魔物娘が大好きだった俺は、まもむすデリヘル（残念ながらやってくるのは人間の女の子だ）の女の子から聞いたそのアプリに、藁にもすがる思いで飛びついた。
正直、本物かどうかは半信半疑だった。しかし、このアプリは本物であることが分かった。その時の俺の喜びようといったら、俺の聖剣が、魔王だろうが主神だろうがぶち抜けるほどにいきり立つほどだった。
だが、俺の喜びはそう長くは続かなかった。

俺が最初に見つけたのはスライムちゃんである。
さっそくサーチ機能を使った俺のアプリには『get me』という魔物娘のシルエットが現れ、なんとか彼女を見つけ出して画面に写せば、青色のスライムボディでスライムなスライムちゃんが写っていた。
彼女は人間の女性に化けていた。
念願の存在に出会えた俺はいてもたってもいられず、彼女の側に寄って、
「俺はお前の秘密を知っている。スライムだと言うことをバラされたくなければついてこい」と打ち込んだスマホの画面を見せ、人間の姿のままスライムばりに顔を青くするスライムちゃんをラブホテルに連れ込むことに成功して性交したのだった。その時彼女はしっかりとスライムの姿に戻ってくれていた。

うん。俺最低。
うん。それ知ってる。
でも、魔物娘相手だったらせーふだよね。
アウトだったら、そもそも彼女たちがついて来てくれるはずないよね。
どこかからアヌビスの警察官がやってきて、逮捕されるはずだねよ。それならそれで私は一向に構わんが。

……みんな、俺の気持ちわかるよね？
だから、そんなゴミを見るような目で見るのはやめて欲しい。
スライムちゃんとヤれちゃった俺が羨ましいのは分かるけれども。
そりゃあもう、「秘密はバラさないので許してください」と言うまでには搾り取られたとも。もちろん俺がな！

で、これで俺もやがてはインキュバスか。絶倫か。仕事しないでセックスしてればいいわー、と思っていたのだが、そうは話は上手くいかなかった。
「脅されて無理矢理された可哀想なスライムちゃんだと思った？ 残念！ ハズレでした！」
と言って、彼女は今日のエロフさん同様溶けたのだった。
あの時の俺の絶望といったらない。ぐにゃああああ、と俺も歪んで溶けてしまうかと思った。
それから、俺はサーチ機能で『get me』と表示されている魔物娘がいれば声をかけ、手を替え品を替え課金してラブホに連れ込んだものだった。
ふ、俺の給料の三分の二は魔物娘のために飛んでいった。
ーー後悔はしていない。
だって、ハズレで溶けて消えてしまうとはいえ、様々な種族の魔物娘たちと行為に及べたのだ。後悔などするはずもない。それは俺の夢でもあった。
だから最初は喜びのままに彼女たちを求めたのだが、途中で俺はふと思ってしまった。
魔物娘たちと行為だけしてサヨナラの俺は、本当に彼女たちを愛しているのか、と。
つまりは悟ったのだった。

決して、アイテム屋の狸さんとはヤれないのかな、と彼女を突きまくっていたら、もしくはつつき続けていたら服が大破しないかな、と期待に股間を膨らませていたら、ものすごい顔で説教され、「お前いい加減にせんと、銭こやなくて金の玉ァ、現物徴収するでェ？」とドスの効いた声で言われ、俺の金の玉を命をかけて守ってくれる魔物娘の妻を切実に願ったからではーー決してない。
初めての彼女のフルボイスに俺の金の玉は縮みあがり、徴収されなかったことを何度も確かめた。夢にも出てきて怒られた。アフターフォローも万全である。
さらにその後数日、課金アイテムがシレッと値上げされていたのには恐ろしくて文句も言えなかった。

ともかく、俺はちゃんと特定の自分の相手と出会いたくてしょうがなくなった。
ハズレがあるということはアタリがあるというわけで、ぶっちゃけヤれている時点でみんなアタリなのであるが、大当たりがでてないということで……。俺はやはり変わらず手当たり次第に彼女たちを攻略しているというわけだった。
まあ、ユニコーンとやった時、バイコーンと化した彼女の瞳からハイライトさんが消えた時には、ハズレであってくれ、早く溶けて消えてくれ、と思いながら無茶苦茶に犯されていたが、最後にようやくちゃんと消えてくれて、俺はズキズキする尻の穴を抑えながら、ホッとボラ●ノールを塗ったのだった。
バイコーンのバイがどういう意味かは、そのとき俺は身をもって知ることになった。

で、今俺は路地裏に入り込んで、次の『get me』と表示されていた魔物娘を見つけたわけなのだが……、
「自動販売機のミミックちゃんって……時代は進んだものだ……」
「さあ、君のコックを挿入して、大当たりを目指そう！ ピストンの回数と出した量で確率があがるよ！ 子供が出てくるまでガンバレ！」
「赤ん坊が出てくる自動販売機って怖すぎるだろ！？」
どこかの都市伝説にありそうだ。
「是非もないよネ、と僕はドヤ顔でそう言った」
「電光掲示板のドット絵がちゃんとドヤ顔になってやがる」
クソゥ……、ミミックちゃん可愛いし……。
ヤらないという選択肢はないし……。

しかし、挿入するってその、コイン入れるところに、だよな。
そんな姿を見られたら通報されないわけがない。
これは……課金の出番か……。
俺がアプリを起動させると、思った通り、

課金アイテム【インスタント人避け結界】
野外プレイをしたいけれども人に見られるのは絶対にイヤ！ という方にオススメ。
これを使えば見られることを気にせずに、プレイに集中できます。
これは使い終わった後には自動的に消失します。

持って図ったかのように欲しいアイテムが表示されていた。
狸さん、お仕事お疲れ様です
と、俺ももはや慣れたものだ。
俺が買わざるを得ないことを知っているアイテム屋の狸さんは、買わないの？ 今買わないのならいつ買うの？ 今でしょ。じゃないと値上げするよ？ という目で俺を見てきている。
その眼光はどこかのダークで牛の鳴き声が聞こえてきそうなファイナンスも真っ青なものだ。しかし、最近CMでよくやっている、狸の腹づつみの軽快な音楽が耳に残る消費者金融の方が恐ろしい気がするのは俺だけだろうか？

魔物娘たちが俺の懐事情を知らないわけがない。俺は生かさず殺さずのギリギリで搾り取られていた。魔物娘相手なら仕方ないよね、とばっちゃが言っていた（ウソ）。
俺は悲しき被搾取者として、購入ボタンを押そうとして、手が滑ったふりをして狸さんの胸にタッチしようとする。と、
パァン！
指を弾かれた。

…………。
これ、俺のスマホだよね。液晶に物理的に弾かれる機能が搭載されていたとは知らなかった。
狸さんはちょっと正視できない顔をしていた。
あ、値上げされた。
…………。
俺は絶対に彼女に触れないように気をつけつつ、アイテムを購入した。
狸さんは、いつからかもう、「毎度」と真っ黒な笑顔でも笑顔を見せてはくれなくなっていた。俺から適度に搾取だけして背を向けてしまう。その不機嫌そうな狸の尻尾に、だがそれがいい、と思うのは俺だけではないと信じている。

さて、と。
俺はコインの投入口に自らの股間のポケットからモンスターを挿入して、幾度となく自動販売機を揺さぶって注ぎ込んでみたが、結局自動販売機は、
「赤ん坊が出てくるホラー自動販売機ミミックちゃんだと思った？ 残念！ ハズレでした！」
そう言ってドロドロに紫の液体になって溶けてしまった。
消えた後に紫色の赤ん坊が残っていたりなどはしなかったので、俺はハズレのショックよりも安堵の方が大きいのであった。

結局街を駆けずり回ったところで、大当たりの魔物娘に出会えることはなかった。
俺は振りすぎた腰を叩きつつ家に戻り、風呂に入ってから一息ついていた。そこに、
ピンポーン、というチャイムの音が。
インターホンのスイッチを押して「はい」と画像を見てみれば、そこには背が届いていないらしい、女の子の角の生えた頭が写っていた。
「えっとー、森永さんのお宅ってここですかー？ まもむすデリヘルでーっす」
と、舌ったらずの少女の声。
「おい、そこでまもむすデリヘルって言うんじゃねぇ。お前俺の家がここで正しいこと知ってるだろ。それに今日”も”頼んでないぞ」
「えーっ、挿れてくれないとここで506号室の森永お兄ちゃんが、いつもみたいに部屋に連れ込んで愛してくれない、って。通りかかった人すべてに事細かく言ってやるー」
「やめてください死んでしまいます。お願いします」
そんなことをされたら俺は社会的に死んでしまう。彼女は大人、のはずなのだが……見た目はまぎれもない少女なのだ。

俺は急いで解錠ボタンを押す。
ロックの外れる音に、
「よろしい」、という音符が聞こえてきそうな、嬉しそうな彼女の声が聞こえた。
そんな声を出されると、俺も悪い気はしない。
それに俺は、人間であっても彼女のことは憎からず思っていた。つまりは好きと言ってもいいかもしれない。しかし、魔物娘を嫁にするということだけは譲れない。
彼女は、魔物娘のコスプレした女性を派遣してくれるデリヘルで、俺の元を訪れた女性だった。源氏名はカオス・バイオレットという。
デリヘルの源氏名に厨二ネームを使うセンスを気に入って、俺は彼女を呼んだ。ショゴスという魔物娘として現れるはずだった彼女は、ただ肌を紫色に塗った人間の女性でしかなかった。
「あー、コスプレだ。しゃーない。本物がいるわけない」と、ガッカリしつつも事を致した俺は、ベッドの中で彼女に俺の夢を語った。
「俺はすべての種族の魔物娘とヤり、魔物娘王に俺はなる！」
と。
すると彼女の厨二魂を刺激してしまったのか、彼女は目を輝かせて、「それなら私は王の夢を支えるメイドになる」と言ってきた。
そこでなぜにメイドなのかは意味が分からなかったが、そうして彼女はあのアプリを教えてくれたのだった。
俺は彼女にいたく気に入られたようで、最近ではこうして、呼んでもいないのに何かしら魔物娘のコスプレをして、家に毎日やってきてくれるようになっている。今回はきっとアリスなのだろう（そんな姿であのセリフを言われたら、俺はポリスメン待ったなしである。まったく、実際に俺はポリスマンだが、複数形になったら大変だ）。
彼女は俺にとってもはや通い妻というか、内縁の妻というか……。
彼女が大当たりの魔物娘だったら、と俺は思わずにはいられない。
しかし彼女は人間だ。まもむすGOのサーチ機能にひっかからないし、アプリに写してもその姿は変わらない。
狸さんが彼女にプロテクトをかけているなんてことは流石にないだろう。
魔物娘好きの俺に彼女たちが正体を隠す必要なんて何もない。必要があるとするなら、アンアンアンと、男の願望を叶えてくれる時か、うふーふーふーふー、なプレイのためくらいだろう。

と、俺が彼女との出会いを思い出していれば、玄関のチャイムが鳴った。
俺が出迎えれば、
「お兄ちゃん、ロリーなアリスちゃんだと思った？ 残念！ 私でしたー！」
元気一杯屈託のない表情で笑うカオス・ヴァイオレット（源氏名）ちゃんの顔が飛び込んできた。まことに残念なことに、アリスちゃんのコスプレは頭にツノをつけて膝を曲げているだけでしかない。アリスちゃんのコスプレをするなら、ロリーな服くらいはちゃんと揃えてもらいたい。
大変遺憾である。もっと善処してもらいたいものだ。

「あー、ほんと残念だ。で、夕飯は？」
「聞いて驚け！ 咽び泣け！ 混沌のカレーだ！」
「お前本当に混沌って言葉が好きだな。何、混沌コンプレックスでもあんの？」
「それを聞いてくるチョコボールの混沌思考にこそ私は混沌な思いを抱かざるをえない」
「面倒臭い言葉遊びをするんじゃねーよ」俺の名字の森永にかけているらしい。「混沌混沌言って、そのうち混沌がゲシュタルト崩壊を起こすぞ」
「それこそ混沌だ。うははははー」
勝手知ったる我が家のように、ヴァイオレットはズケズケと台所へ向かう。もちろん彼女の持ってきた食材は俺が運んでいる。
これで自分の設定がメイドなのだから、おかしさ混沌マックスである。
彼女は自分のことをメイドだと言っているが、彼女がメイド服を着ているところなど見たことはない。以前尋ねてみたところ、「真のメイドは常に心にメイド服をまとっているのだ。腐女子が心におちんぽを生やしているように！ メイドが着たもの、それすなわちメイド服なのだ！」と、彼女は左前の着物でそう言っていた。
確かに冥土には違いない。

俺は彼女の料理を手伝いながら言う。
「というか、お前はいつも元気だな。俺はいつも搾取されてくたびれてるのに」
「そりゃあ、いいものをいつもお腹いっぱい股いっぱいに搾取してるからな」
「そんな言葉遊びを返さなくていいぞ」
「いや、言葉遊びじゃなくて……まあいい。余計な言葉を挟まないのがメイドの鑑というものだ。うははははー」
「本当のメイドの鑑はご主人さまに料理の手伝いはさせない」
「知らなかったのか？ メイドは進化するんだぞ？」
「なん……だ、と……？」
「影分身も分裂もできるのだ」
「マジかよ。これじゃあ、ニンジャよりもメイドの方が危ないじゃねぇか……」
「ふっ、ドーモ、森永＝さん、メイドのヴァイオレットです」
「メイド！？ メイドなんで！？」
「お前をご主人さまにしてやる」
「アイェエエエ！？」
と、バカな掛け合いをしているうちに彼女の言う混沌カレーが出来上がった。名状しがたいまでに煮込まれた具材が溶けて、混沌として美味しそうだ。

2人分の皿を運びつつ、俺は彼女に尋ねる。
「今日も泊まっていくんだろ？」
「もちろんだ。ご主人さまを一人で寝かせないのはメイドの嗜みだ。そうしてご主人さまをクノイチに（ね）取られてしまっては一大事だ」
「俺が狙われているように言うのはやめてくれる！？ ……はいはい。メイドの業務に多忙なようで。しかし、俺は守られているというか、襲われているとしか思えないんだけど？ お前に」
「メイドは淫化するのだ」
「引火？ 爆発すんの！？」
「お前の金たまがな」
「ナムサン」
「慈悲はない」
んで、夕飯の準備が整った。
「いただきます」
「イタダキマス」
「今日もメイドが元気でカレーが美味い、と。これでお前が魔物娘ならすぐに嫁にするんだけどな」
「健気なショゴスちゃんだと思った？ 残念！ 健気なヴァイオレットちゃんでした！」
「ほんと残念だ。ちょっ！ おい、なんで蹴るんだ！自分で言ったんだろうが！ というか、自分で言って照れて……あ、コラ！ 俺のカレーを持ってくんじゃんねぇ！」
俺は奪われたカレーを補充しに台所へ向かう。
「まったく……」
しかし、彼女だったら魔物娘じゃなくても嫁にしてもいいか、って思い始めていなくもないが……。なんか、最近は服を着ていても、まるで彼女に包まれているような気がしなくもない。特に、椅子やベッドは明らかに彼女に包まれている気がする。
これは彼女がどっぷりと俺の生活に入り込んでいるということか。

俺はカレーを食いながらしみじみと言う。
「で、結局大当たりの魔物娘はどこにいるんだろうな」
「お前が魔物娘王になったら現れるんじゃないのか？ メイドは影ながら王を応援する」
彼女はニマニマと笑っていた。
彼女も俺とシているくせに、彼女は俺を好いてくれていると思っているのだが、そういう彼女の心のうちは俺にはよくわからない。
「ふぅん、でも、最近は一人の魔物娘を愛する方がいいんじゃないか、と思い始めなくもないんだけどな」
「そこんとこ詳しく」
「おい、顔が近い」
「……ちゅ」
「……れろ」
「「………………」」
「カレーの味だな」
「そうだな」

顔を放した彼女は物知り顔で言う。
「ま、お前がそう思うのは私としては嬉しいがな、初志貫徹してくれた方がメイドとしては愉しい。何よりプレイのレパートリーが多くて捗ります」
「意味は分からないが、お前が捨て置けない黒幕だと言うことだけは伝わった」
「気のせいだ。そう思ったんだったらお前はメイドカオスに飲まれかけている」
「すげぇ、ほんとに裏ボスみたいな響きだ」
「いつも魔王の部屋を掃除している」
「魔王のメイド！？」
「そうして魔王とその夫のベッドの下に、エロ本を仕掛けておく。それを見つけた魔王が勘違いして夫を問い詰める。マジで心当たりのない夫がしらばっくれる。夫婦喧嘩勃発、夫婦喧嘩で世界が滅びる」
「メイドのくせに世界のお掃除をルンバ（魔王）に任せんじゃねぇよ！」
「世界の命運はメイドの手の上に」
「メイド恐るべし……」
「ま、だからお前は大人しくメイドの手のひらの上で弄ばれていればいいのだ」
「んー、ま、お前が言うんだったらそうしておくよ」
「よろしい」

と、俺のメイドが言うからには、大当たりの魔物娘はしばらく現れないらしい。
そうして飯の後はカオスな夜が始まり、次の休日には、俺はカオスな魔物娘探しの航海に出かけるのであった。

■作者メッセージ
「ただの人間の健気なメイドさんだと思った？ おめでとう！ 大当たりのショゴスちゃんでした！」