連載小説
[TOP][目次]
狂気のレイドバトル(【注意】語り手:深淵の呼び声)
ーーさぁ、戦争を始めよう。

そんなフレーズで始められたこんな戦争だけれども、そんなと言ってもまだどんなかと言っていないのだから意味も理由も内容もわからないのだけれども、意味や理由と言えば、魔物娘の子供たちを集めての教育であり、将来に向けての練習なのであって、この戦争に参加している彼女たちにとっては初めてのドキドキで、両親推奨で行えるゲームだとも言うことでワクワクなのだ。

主催している側のたぬきさんとしては、彼女たちに楽しんでもらって、さらにはその両親たちから、総計すればこの戦争の運営費以上に利益になる金額をもらえてウハウハなのである。

さらに言えばこの運営によって戦争の相手側として雇われている側としては合法的に女の子たちと戯れられると言う、そしてちょっと”あの子”から息抜きして若い頃の甘酸っぱさを思い出したりしたいな、という一石で二鳥なのか一羽もとれないのか、はたまた自分が殺(と)られてしまうのかビクビクなものなのだったけれども、

とにもかくにもこれは戦争なのであった。

ーー【アプリ・まもむすGO】

そんな名前のアプリではあるのだけれども、これはアプリの画面に出現した魔物娘を見つけ出して、伴侶にするために落としてしまおうと言うアプリなのである。
そんなの男性にとっては垂涎ものだと言われてしまうかもしれないのだけれども、相手となる魔物娘は事前に婚活アプリとしてお金を払って登録してあるのであって、手の込んだ罠であると言うのも確かなのだ。

と言うか、そんなの罠とわかっていても自分からかかりに行くしかないじゃないか、と言うか俺の攻略可能魔物娘はどこにいるんだ、何、見つけ出すためには課金アイテムが必要だ? このボッタクリ野郎と電話をかけようものならば、電話口の魔物娘にヤりこめられるか、彼女に攻略されてしまったり、はたまた黒服を着込んだサングラスのダークエルフさんが電話を切る頃には戸口に立っていたりすることもあるのだけれども、そうしたことは今は関係のない話であって、今重要なこととしては、今は絶賛戦争中なのだと言う話なのだ。

そろそろ次に進まなければお仕置きを受けることと相成りそうなものなのだから、次の話に移るとするのならば、その舞台は山となる。
山?
山ならばどこにでもあるじゃないかと言われてしまうだろうが、それは奥多摩の山かもしれないし、あなたの後ろにある変哲もない山の可能性もあるのだからちょっと勝手に想像していただきたいのだが、ともかくそれはまもむすGOの運営部が上に急かされて作らされた、結界によって切り取られた山なのである。

そこに、いたいけで、と言ってもすでに両親の情事を盗み見てはオナニーをしているくらいの健全な魔物少女たち、まぁ、幼女たちでも構わないわけなのであるが、彼女たちはスマホを持たされて放たれていると言うわけなのだ。
まるで猟犬のように。
子犬じゃないのか、と言われたら、あなたたちは魔物娘と言うものをご存じないらしい。

子犬の見た目でありながら、それはその実着ぐるみでしかなく、その中には男の精を刈り取ろうと狙う猟犬たちが眠っている。
もしくは痴女でもいいし、淫獣と称しても構わない

ああ、はやく話を進めろ?

よろしい、ならば戦争だ、と言うような度胸はこの語り手には存在しないのであって、だから石を投げることはやめていただきたいのである。
だから我慢をしていただきたいのである。

そうーー我慢なのである。

何せこの戦争の相手側と言うのは、途轍もない我慢を強いられているのである。
それは日常からでもあるし、今現在の話でもある。

山に放たれた少女たちはスマホを片手にアプリを起動して、その戦争の相手を探しているのだ。
いやいや、早とちりはやめていただきたい。彼女たちは戦争とは言っても、彼女たちは戦争の当事者ではないのだ。
彼女たちはあくまでもこのゲームの参加者なのである。
それを忘れずにご理解いただきたい。

それならば相手は何を我慢しているのかと言えば、ああ、はぁ、そのような嗜好の持ち主の方なのですね、よろしい通報して差し上げますので住所と電話番号をお教え願いたい、と言っても迂闊に通報してしまうようなものならこの語り手の方が捕まってしまう次第ではありまして。
とにかく、”彼”は少女たちに襲いかかることを我慢しているわけではないのであります。
彼の忍耐力と言えばそれはもうモノスゴイと定評のあるものなのではありまして、はい、そうです。彼は少女たちによって与えられる快楽に耐えているのでありました。

ほら、ご覧になればわかるでしょう。彼がどれほど我慢をしているのか。
ほう、ほうほう。見えない、聞こえない、ときましたか。
それは残念であり、また僥倖でもあります。
なぜなら、そう!
彼は深淵に属する魔物の夫と言うわけではありまして、そのコートの中に潜む彼を見てしまうのだったら、あなたはもう狂気に飲まれているのに違いないのです。
そうしなくて見るのであれば、もう少し後ろに下がっていただいて、はい!
そこでストップです。

ふふ、ふふふ。
ほら、山のような人型が見えたでしょう。
そう、その通りです。まもむすフリークであればここでわかってしかるべき、彼はウェンディゴの夫です。
彼はこの戦争の相手側として参加したのでありまして、スマホ片手に空を見上げ、ほっそりとした華奢な指で画面をタップする、少女たちからの刺激を我慢しているのです。

そう、彼女たちの画面には、口にするのもはばかられるようなリアルな男根が、と言うかモノホンなのですが、映って、彼女たちは誰が一番はやく彼をイかさえられるかどうかを競っているのであります。
ちょっとそこ代われと言ったあなた、本当に変わっていいものかをちょっと、と言うかだいぶじっくりと考えていただきたいものとあい存じます。

何せ?

彼はすでにウェンディゴの夫なのであります。と言うことは妻がいるわけなのではありまして、妻がいると言うのに他人の娘の幼女たちに弄ばれる状況に陥っていると言うことは、由々しき事態でありましょう。
もしも少女たちの快楽刺激に負け、噴射しようものなら一巻の終わり。
彼は二度と妻の胎内から男根を抜けない事態と相成ります。

「こんな躾のなってないチンポには栓が必要だよねー」

ああっ、なんと恐ろしい。
ちょっと、さすがにあなたの中にオシッコをするのは問題だろうと、チラと口を滑らせたからに、いつもは彼女に刺さっている時には不思議と湧いてこない尿意が湧き上がってきたものだから、ツイ口を滑らせてしまったものだからさあ大変。

「ナカで出せばいいじゃない」

おお、何たる狂気か。
それはそれで彼女の策略でもあったのではありますが、それに異議申し立てをしたものだからさあ大変。
彼女はしたり顔でこう言った。

「じゃあ、私以外の女の子で出したりしないのだったらオッケー」

彼も売り言葉に買い言葉で買い取った。

そうしてこのイベントに妻に売り払われたような形と相成りまして、ええ、はい。妻公認でございます。

彼はまんまと妻の策略にハマり、彼女にハメ続けられないよう、ひたすらに少女たちの画面上の愛撫に耐えていると言う次第なのでございます。
ええ、もしも噴射しようものなら大惨事です。
彼の大きさであれば、この山くらい一気に白濁に染まってしまうことでしょう。そうすれば少女たちにかからないわけがなく、事案発生と言う次第なのでございます。
え、普段あのちっちゃいウェンディゴの体のどこにその精液消えていくのか、と聞かれましても、それは深淵じゃねーのと答えるしかないわけではありまして、言葉遣いについては指摘しないでいただけると助かります。
もはや私も何を喋っているのか喋らされているのかわからないくらいでありまして、

おおっと、少女の一人がお助けアイテムを見つけ出したようですよ。

この山の中には、たぬきさんに馬車馬のように働かされているバフォメットの博士が仕込んだお助けアイテムがありまして、それはまた別のお話ではあるので割愛させていだだきまして、ふむふむ、筆先とはこれまた古典的な。運営の手抜きとしか言いようがないような次第ではござりまするけれども、それでそう、こちょこちょこちょこちょ、としますれば、もうおちんちんはピクンピクンとなりまして、それを妻がジィッと目を皿のようにして見ているわけではありまして、そのフードの向こうの彼がどのような表情をしているかどうかと言うことは、おそらく血走った鬼気迫る表情か、少女たちに自らの精液を撒き散らすと言う恍惚の表情か、はたまた恐怖に青ざめているのか、それは勝手に想像するしかないわけではありまして、はい、覗き込めばもちろん狂気に誘われるわけではありまして。

おおっと、ここで、ここでギブアップです!
さすがにいたいけな少女たちにぶッかけるのは躊躇われたと言うのか、彼は白旗を上げて妻に許しを請うているようです。
これでは仕方ありませんね。
彼が我慢に我慢を重ねて、溜まりに溜まった精液は、妻が栓となって引き受けなくてはなりません。

と言うか、それが本題だったりもするのですがねぇ。
少女たちはこのアプリで擬似的におちんちんの弱いところはどうやって見つけたら良いのか。
道具の有効な使い方とか……。
そう言うことをお勉強していると言うわけなのでありあmして、はい。
まあ、何よりも最後は二人で交わって、公開セックスお勉強となるわけなのですが、それを見せたいがために、と言うかこのプレイがしたいがためなのか、何となく旧知のよしみでこのレイドバトルの実験に協力したのか、それはその妻に聞いてみなければわかりません。

え?
それで彼はこれからずっと男根を彼女のナカに収めて排泄物は何もかもどこかの深淵に飛ばされるのか、と言うかそのナカどうなってんのよそこんとこと言われても、それは彼か、と言うか妻しか実情は知らないわけなのではありまして。

はい、そろそろお別れの時間がやってきました。

んふ、んふふふふふふふふ。
この話は何なのかわからない?
情景もないし誰が誰に話しているかもわからない?
ええ、ええ、そうでしょうとも。それがわかったらむしろ危ういと言うことではありまして。

狂気による狂気のための放送としか言いようがないのででありまして。

ああ、ダメです。
これ以上時間を無駄にすれば、あのバカ亭主のチンポが暴発してしまう。それは妻として止めなくては、栓とならなくてはならないと言うわけではありまして。

さてーー。

と、彼女は帽子を取った。
それはどこかの何かを超越したマッドハッターから渡された一つの帽子だった。

それを取った少女はウェンディゴのただの可愛らしい少女として、ギブアップを宣言した夫の元に可愛らしく走っていく。
そうしてそのコートの中へと消えていく。

しかしーー不思議なことがある。

彼女は今まで何を語っていたのだろう。
彼女は今まで何を見ていたのだろう。

山がどうとか言っていたらしいが、確かに山はあるが、今やもはや跡形もない。
ウェンディゴの夫もいないし、参加していたはずの少女たちもいない。

それを知るにはーー、
やはり、狂気に落ちるしかないのだろう。
18/03/16 21:56更新 / ルピナス
戻る 次へ

■作者メッセージ
え、どんな話なのかわからない?
うん、それがどうにも俺にもわからないんだ。

コンコンと窓を叩く音がして、ひょいと鍵を開けたら目の前が真っ暗になっていた。
目深にシルクハットを被せられたきもするし、何やら触手のようなものが見えた気も、急に吹雪いた気だったり、はたまた蜘蛛の巣にからまった、もしくは奇妙な部屋に招かれたりだったり、粘液のついた手で引かれたような気もする。

まあ、とにかくそれ以上は確かめようもないことだし、確かめる気もトニカク恐ろしい気がするので、それ以上は深入りしない方がいいらしい。

だからどんな話だったのかと詳細を聞かれても困ってしまうしーー、何より
深淵はどこに口を開けているのかわからないのだからーー。


ーーーーー
と言うことで、筆の赴くままに、この文体で語らせていただいたと言う次第でございます。

TOP | 感想 | RSS | メール登録

まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.33