秘蜜
陰茎を両手で包むように握るリリの姿はとても背徳的だというのに、腫れがおさまってよかったと無邪気に喜ぶ彼女はどうしようもなく無垢に見えた。
両手を握る動きに反応して小刻みに震え、残滓を吐き出す陰茎を見ていたリリは、不意に舌先で先端に膨らんだ白濁した雫を舐めとった。
「……っ」
それから顔に飛んだ精液を指で掬って舐め取ったリリは首を傾げた。
「この白いの……おしっこ、ではないんですよね?」
「それは精液といって……赤ちゃんの素みたいなものかな」
「赤ちゃんの……」
リリは慌てたように言う。
「あの、それでは外に出てしまったのはよくなかったですか?」
「いや、精液は赤ちゃんの素だけど、男がエロい気持ちが高まった時に出るもので、補充も利くから、あんまり気にしなくていい」
「そうなんですか?」
「いろんな意味がある中の一つが赤ちゃんの素であると思ってくれればいい。エロい気持ちが高まった証でもあるし、……例えば、君たちにとってはコレは栄養価の高い食べ物でもある」
「えいよう……」
下半身を中心に爆発した快楽に意識を半ば吹き飛ばされたまま、それでも精の放出によって訪れた生温い倦怠感によって“訊かれたから答える。”という反射的な対応力を取り戻した礼慈の応答に、リリは納得したような、まだ理解しきれていないような表情で呟いた。
それから顔や髪にまだ残っている精液を指で拭うと、今度はその指を口に含んだ。
チュウチュウと指を吸う音がして、礼慈は先程吸われた陰茎の気持ち良さを思い出す。
思わず口もとを凝視していると、リリはしゃぶり終えた指を口から出して、ぶるりと震えた。
「ん、んん……っ」
お腹に手を当てて、小さく喘ぎながら言う。
「わたし、このお味、好きです……安心できて、あの、ふわってしてお腹がビクってなっちゃうんです……さっきレイジお兄さまになめてもらった時みたいになって……おまただけじゃなくて、体全部があつくて……変、ですか?」
「変じゃない」
礼慈は脚の間で丸くなっているリリの脇に手を入れた。
そのまま抱き上げると「わ」と驚いたような声が上がる。だが、それ以降抵抗の動きに繋がることはなく、絡められていたリリの脚からも力が抜けた。
ズボンには、彼女の腿の付け根があてがわれていた部分に染みができている。それを知ってか知らずかリリが困った声で言う。
「アイエキが止まらないです。ずっとおもらししたままで、これじゃあお家にかえれません」
どことなくそうなることを望んでいるようにも聞こえる声音に、礼慈は首を振る。
「大丈夫、帰れるよ」
そう。いくら手が加えられているとはいえ、こんな洞窟の中にリリのような可憐な少女を置いてはおけない。なんとしても家には帰さなければならないのだ。――と、強烈な肉欲に保護欲が混入する。
それに衝き動かされるように礼慈は立ち上がると、リリを抱えたまま隠し部屋を出て居間へと向かった。
机の傍に並べられた椅子を足蹴にして適当に連ね、上にリリを横たえる。
「レイジお兄さま?」
羽を垂らして尻尾を足の間に通し、寝かされるのに協力しながらぼんやりとした声を発するリリ。礼慈はそんな彼女のスカートをめくった。
甘美な香りによって射精後の倦怠感が欲望に上塗りされていく。茫洋とした思考で、礼慈は目に映る素晴らしい光景をリリに知らせた。
「よく濡れてるな」
恐縮するようにリリが縮こまる。その閉じようとする脚を抑えて礼慈は言った。
「完全に発情してるようだし、一度こっちで出された方がいいかもしれない」
「こっち?」
問いに頷きながら手でなぞるとリリの脚から力が抜ける。
「愛液が出てくる穴があるだろう?」
「……はい、大切な穴、です」
「そうだ。さっき、エロい気分になるとここから愛液が出てくると言ったな。それは、エロい気分になった時、この穴の奥にある、子宮という場所が赤ん坊を作るために精を求めるからだ。だから、ここに精を出された方がいいのでは、と考えたんだ、が――」
初潮もまだ来ていないであろうリリに赤ん坊を作りたいも何もないだろう。
「いや、リリには関係のない話だったかもしれないな。おとなしく時間を置いてみようか」
肉欲に塗れた保護欲が、辛うじて理性的な言葉を吐く。しかし、
「レイジお兄さまとの赤ちゃんならわたし、ほしいです」
ぽつりとリリの口からこぼれた言葉によって、手繰り寄せかけていた礼慈の理性の糸は千切れてしまった。
幼い肢体から漂う妖気に魅了されて、言語化できる思考が再び蝕まれていく中、礼慈の意識は彼女の声を聞いた。
「赤ちゃんを作りたいからエッチな気分になって、エッチな気分になったからアイエキが出ていて、わたしもレイジお兄さまも赤ちゃんがほしいってことなんですね。
それで、さっきの……せーえきがここにほしくって大切な穴はよだれをこぼして、レイジお兄さまのおちんちんは出したいよーってひくひくしていたんですね……。
あぁ……お口やお顔にいただいただけでもあんなにふわふわしちゃうのに、おなかの中に出してもらえたら、どうなっちゃうんでしょう」
好奇心と、予想される快感に恍惚とした表情をしながら、リリは我慢できないとでもいうように礼慈におねだりをした。
「エッチな穴にエッチなおちんちんをください。お兄さまとの赤ちゃん、きっと大切にします」
普段なら聞いていられなくなるような甘ったるい言葉に礼慈が感じたのは、どこか郷愁に似たものだった。
その正体について考えが及ぶ前に、打ち寄せてくる強烈な欲望が全てを押し流して彼を衝き動かす。
尻の下に敷かれたスカートを染めつつある愛液の湧出口に再び口を付けると、音を立てて吸い上げる。
「っぅ――っ?!」という喘ぎ声と共にリリは礼慈の顔を腿に挟み込んだ。
手が挟まれていた時よりも強い心地良さを得ながら、礼慈からもリリの腿に手を回す。
吸い付くような汗ばんだ腿の手触りを感じながら、少女の下半身を固定した礼慈は口を付けた秘所の中へ舌を挿れた。
「――?!」
リリの悲鳴を聞きながら、礼慈は粘液に舌を包まれ、柔肉に締め付けられている状況からもたらされる情報に戦慄していた。
リリの味が味蕾を通して礼慈に幸福感を与えてくる。
もっとその味が欲しくなり、意識しない内に彼の舌は締め付けてくる肉壁の中で蠢き始めた。
「……っひ、あ……っ、お兄さま……っまた、なにか、きちゃいま……っ!」
上ずったリリの鳴き声。トーンが上がるのに合わせるように愛液はその分泌量を増した。
口の中に流れてくるそれを嚥下するたびに礼慈の体は再燃していく。
もはや舌を越して喉を通り胃に落ちるまでの全ての細胞が彼女の味に魅せられていた。
体中がリリの味に酔い痴れるのも時間の問題だろう。その時が早く来いと言わんばかりに礼慈の中にはリリが欲しいという欲が溢れかえっていた。
湧き出し続けて尽きることがないその欲望を満たすために、礼慈は少女の肉壁に愛液を要求し続けた。
「や……あ、……っ!」
掠れた声で鳴いていたリリの手が肉壁を舐め続けている礼慈の頭に触れた。
言葉こそは礼慈の行為を拒むかのようなものだが、彼女の手は触れた礼慈の頭を自身の中心に向かって押し付けようとする動きをしていた。
その動きに押されるがままに、礼慈は天井を舐めるようにしていた舌の先を尖らせて、閉じた肉壁の到達できる最奥にまでねじ込んだ。
壁に穴を穿っているかのような錯覚を覚えながら腿を引き寄せ、顔を捻るようにして舌を深くで蠢かせる。すると、鼻先がリリの陰核に触れ、擦るような形になった。
「……っ、お兄さま、おにいさま! わたし、わたっ――っあ、ああああ!」
焦るような声と共にリリの手の力が強くなる。直後、声から音が飛んで、リリの体が痙攣した。
顔を股に押し付けたまま、挟み込んでいる腿がビクリと震え、それに合わせるように下腹部が跳ねて、舌先を包む肉がギュウギュウと締め付けてくる。
下腹が跳ねた拍子に下唇と秘部の間にできた隙間から愛液が垂れていく。
数回の震えを経てリリの身体が落ち着くまでじっと身体の反応を味わっていた礼慈は、ゆっくりと舌を抜いて、顎先を拭いながら一息をついた。
目の前にはリリの秘所が晒されている。
舌にほぐされて開いた穴は、絶頂を経て力が抜けたのか、閉じることなくリリの呼吸に合わせてひくつく内部を礼慈に見せつけていた。
少女の発情した香りに包まれながら、したたり続けている愛液の流れを目で追っていた礼慈は愛液の湧出口の奥にあるそれの存在に気付いた。
「処女膜……?」
人とは違う姿形の種族が多いため、魔物という括りの中では処女膜は存在しないものだと思っていた。が、今こうして実際に膣壁からせり出し、その中心に鍵穴のような細い切れ込みを覗かせている器官は処女膜と見て間違いないだろう。
(リリくらい人間に似通った種族なら処女膜があっても不思議じゃないのか)
礼慈がそう考えていると、リリがうわごとのような声で問いかけてきた。
「しょじょまく?」
「大切な穴の中にある薄い膜みたいなもの……か? 穴の中をぴったりと埋めるようにしている膜だから、それがあるということは、この中に何も入ったことがないという指標の一つになる」
「……わたし、レイジお兄さま以外のヒトに、ここを見てもらったこと、ない……です」
「……そうか」
感慨を息と共に深く吸い込む。
「処女膜は男にはないから正確なことは分からないが、身体の一部だから破ってしまうとそれなりに痛いそうだ」
そんな性交の邪魔にしかならないものは魔物には存在しないだろうと考えていた礼慈は、だからこそ、それの存在に驚いていた。
「その一方で、コレは日常の中で破れてしまうこともあるらしいから、あくまで一つの目安でしかないんだけど、自分は初めて赤ん坊を作る行為を行うのだとその相手に伝える証のようなものでもある。そう急いで破るようなものでもないだろう。
…………今回はやめておくか?」
ここまで完璧に魔物の魔力にあてられている礼慈がやめるという選択を提示することができたのは、処女膜の存在によって彼女の無垢な幼さが改めて突き付けられたのと、魔物たちが身近に居る環境にあったという慣れと、彼の中で芽生え根付きつつある保護欲が思いのほか強かったおかげだろう。
将来リリの不利益に繋がるかもしれないことは避けたいという真っ当な想いは、この刹那、確かに魔物の魅了を凌駕していた。
そんな礼慈の、本人すらも知らざる偉業によって提示された選択に対する応えとして、彼の眼前で変化が起きた。
舌にほぐされていた秘所が閉じたのだ。
それに残念を抱きかけた礼慈は、リリの呼吸が頭上から聞こえてくることに気付いた。
顔を上げてみるとリリの顔がある。彼女は手をついて上体を起こしていた。
(アソコが閉じたのは力が入ったからか……)
身を起こす礼慈と視線を合わせてリリが言う。
「いたいのは……こわいですけど、レイジお兄さまと赤ちゃんを作ろうっていうのは、すごく、すごくうれしいです。はじめてする、そのあかしをもらってくれるなら、わたし、泣かないようにしますから、できたらお兄さまにしょじょ……をやぶってもらいたいです。
そうすれば、わたし、もっとレイジお兄さまを感じることができますよね」
そう言ってから、リリは慌てたようにわたわたと手を振った。
「ごめんなさい。おもらしを止めてもらいたいっていうのも本当なんです。でも、わたし、レイジお兄さまにさわってもらえるとすごくほっとして、うれしくて……だから、あの、きっといたいのもだいじょうぶです」
そうして彼女は困ったように両手を下ろして見つめた。
「やっぱり、おかしいですよね。さっきもレイジお兄さまをおまたにおし付けるようにしちゃって、気持ちよくって、それで、もっとエッチな気分になっちゃったかもしれないです……。レイジお兄さま、わたし……」
続く言葉を探すようにさまよっていた目の動きが止まる。
「あ……レイジお兄さまもエッチな気分になってくれているんですね」
リリが見つめているのは礼慈の股間だった。そこは全快を通り越して、穿き直した下着を押し上げてその時が間近に迫った予感に歓喜の汁を滲ませていた。
「だから、あの、やめないでください。お願いします」
ダメ押しのおねだりによって、礼慈の中のタガは今度こそ完膚なきまでに吹き飛んだ。
礼慈が立ち上がると、椅子の上に座るリリを見下ろす形になる。
彼は間髪入れずに彼女の起伏のない胸を押してもう一度寝かせた。
スカートをもう一度めくり上げて、ドロドロに濡れてひくつき、礼慈を待っている幼い秘所を視界に収めると、短く「いくぞ」とだけなんとか呟いて、露出した陰茎をねじ込んだ。
リリの秘所は、あれだけ丹念にねぶったにもかかわらず、先端を挿入れる段階でとても本懐を遂げることはできないかのような抵抗を示してきた。
「……っ」
だがリリの秘所に触れた今、引き返すことなど礼慈にはできるはずもない。欲望が求めるままに、入口をほじるようにして先走りと愛役を混ぜ合わせながら、彼は先端をリリの中へと無理矢理押し込んだ。
「……っ、ふ、あ……っ」
痛いというよりも、どうしたらいいのかわからないといった戸惑いの色の濃いリリの鳴き声がする。
それすら興奮の材料として、礼慈は秘所の中を突き進んだ。
舌で味わっていた時よりも閉じられた所を掘削している手応えを強く得ながら、亀頭を飲ませ、傘をリリの粘膜に埋もれさせる。
直後、先端がリリの純血の証に触れた。
その瞬間。礼慈とリリの視線が合った。
もう言葉によるコミュニケーションを取ることができる程の余裕は双方残されていない。
ただ、視線があったことが嬉しいのかリリが微笑み、全て受け入れるように目を閉じた。
礼慈はリリの小さな腰を掴んで欲望に忠実な暴力的とも、お願いに誠実な献身的ともいえる心持ちで膜を押し破る。
ブチッという肉を引きちぎる感触が伝わってくると同時にリリの膣内、その奥にまで礼慈の陰茎は辿り着いていた。
限界を突破した礼慈の逸物で半ば程をねじ込まれたリリは、内蔵を揺さぶる衝撃のためか息を詰め、行き止まりを突いた陰茎が動きを止めたことで落ち着いたのか、ゆっくりと息を吐き出した。
閉じられていた瞼が開かれる。その目尻からは涙がこぼれているが、表情は達成感のある満足げな笑顔で、
「お、兄さま、わた、わたし、……うれしぃです……!」
呂律の回らない言葉を受けた礼慈は歯をくいしばり、ひたすら声をこぼすのをこらえていた。
リリの膣内は、慣れない異物の挿入によってこじ開けられた肉壁を閉じようとしているのか、キュウキュウに締まってきており、礼慈の陰茎は彼女の手で亀頭を握り込まれた時のような刺激の洪水に翻弄されていた。
内側からの痛みに耐えているリリの手前、自分がこらえていることを表に出すわけにもいかないという意地のようなもので肉壁の締まりをこらえきった礼慈は、一度落ち着かねばと陰茎を引き抜こうとした。
キツい膣の中から肉壁いっぱいにまで膨らんでいる陰茎を強引に引き抜いていくことによって、リリの秘所がめくれていく。
その感触が伝わったのか、リリは「ナカ、が……ぁ、うらがえっちゃいま……っんん!」と身を捩った。
礼慈はベルトのように巻き付いてきていた羽ごとリリの腰を押さえつけて彼女が椅子から落ちないように固定して、そのまま引き抜く動きを続けた。
陰茎に愛液と血の混合物が絡んでいるのが見える。この幼い少女の体は今、自分の欲望によって壊されているのだと礼慈は実感を伴って理解し、そして、その事実に多幸感に近しいものを感じていた。
「あ、あ、もっと、レイジお兄さま! もっと、わたし、お兄さまを……感じていたいっです! ぬいちゃやっ、です!」
あえぎながらリリが訴える。
礼慈はぎこちない動きで頷いて、乾いた喉から声を絞り出した。
「力を抜くんだ……」
荒い呼吸をしながら、それでもリリは体の力を抜こうと努力しているようだった。礼慈に掴まれるまでもなく、体は椅子の上で寝そべったものになり、割り入っている礼慈の腰を挟んでいた両足もだらりと開かれた。
無防備に全てを晒そうとしているリリだが、その膣口は亀頭を残して引き抜かれた陰茎に行かないでとせがむように、あるいは異物を押し潰そうとしているかのようにキツく閉じて抵抗している。
そんな反応に興奮を更に煽られ、礼慈はリリの華奢な腰をしっかりと掴み直した。
吸い付くような手触りに所有感を覚えながら、息を止める。
そして一拍の後、彼はもう一度リリの胎に力任せに己を突き入れた。
処女を散らした際のわずかなためらいすら無くした一突きは、接合部から体液を噴射させながら、リリの奥にある子宮の入口を強引に叩き、その時、
コリ
という音が確かに二人の耳に聞こえた。
「ああああ――――?!」
礼慈の先端は子宮口を押し開け、普通では性器が達することはない所まで侵入していた。子宮口を擦り、幼い胎まで貫かれた結果、リリは可憐な口からは似つかわしくない獣のような吠声を上げて、瘧のように全身を震わせた。
どこまで自分が侵入したのかを本能で理解した礼慈は興奮を煽られながらリリ引き寄せ――
ドチュ
という音を上げて彼女の胎の真の最奥を陰茎の先で打撃した。
未成熟ゆえのぽっこりとしたお腹に、内側を打撃された証がボコっと現れる。
「――――!」
内蔵からの衝撃に声にならない鳴き声を上げたリリの体が緊張した。
それと同時に八割程を埋め込んでいた陰茎が快楽のあまり精液を暴発させようとする。
尿道を駆け上がっていく精の奔流は、しかし不意にせき止められた。
「――?!」
解放を求める精液を出したくても出せない異常に礼慈は焦る。
何故だ、という思いが渦を巻いて、本能はリリの胎の中の更に奥に解放への答えがあるとでもいうように、腰を押し付けた。
身勝手な、助けを求めるような打撃を、幼い体はその形を変えてまで健気に受け止めた。胎の奥底で先端を抱きとめられながら、礼慈は精をせき止めているものを下半身で理解した。
礼慈を欲しているリリの心についていけていない体が全ての原因だった。
肉の壁を穿っているような感触の中、膣口と子宮口。この二箇所が陰茎という異物をねじ切ろうとしているかのようにキツく絞め上げており、それによって尿道が塞がれていたのだ。
力づくで侵入してきた雄に対する意趣返しのような状況に、礼慈は一瞬恐怖を感じた。
既に爆発しているのに放出されない射精欲の内圧に悶える礼慈は、霞む視界で突かれるままに腰を跳ね上げるリリが何かを求めるように手を宙にさまよわせるのを見る。
「リ……ッ」
腰から手を離して彼女の手をとると、その途端。
「――――あ、ああ……あ」
リリの声に音が戻り、ほっとしたような声をこぼしながら全身がビクりと跳ね、直後に弛緩した。
秘所の内部にかかっていた力もスイッチを切ったように抜け、その直後。
「――――ッ?」
礼慈の中で渦巻いていた欲望の塊が幼い胎の中へと迸った。
二度目の射精は、しかし二度目であることを感じさせない勢いでその本懐を遂げようと幼い胎を欲望に汚していく。
「――ぁああ、お兄さまぁ……あったかい……わたし、わた――あ、あ……っあ……っ」
陰茎が脈動し、胎の中で跳ねながら精液を噴射するごとにリリが椅子の上で身悶えた。
「――っ……っ……!」
最後の一滴まで吐き出した礼慈は、固く握っていたリリの掌から指を引き剥がすようにして手を離し、内側から押し上げていた腹を撫でながらゆっくり陰茎を引き抜いていった。
結合部が緩んだためか、二人のあらゆる混合液が椅子の上に滴っていく。
甘く、そして強烈に淫らな香りの中、
「お兄さま、お兄さま……っ」
礼慈はうわごとのように彼を求めるリリの声を聞く。
彼女の目は放心した表情をそのまま映すかのように虚ろな状態で可憐な声もかすれ気味だ。その様は、無理やり犯された被害者のようであり、それでいて礼慈を呼ぶ彼女の声には心酔する者の寵愛を得るに至った満足と幸福の気配があった。
そんな彼女を見て、礼慈は己の中にこれまでなかった類の力がみなぎってくるのを感じた。
頭の中に射精後の落ち着きも訪れることもなく、身体は疲労よりも物足りなさを感じている。収まろうとしていたはずの陰茎には、新たな力が湧き上がっていた。
頭の中では“もっとこの子を自分の形にしてあげなければならない”という妄執じみた声が響いている。
その声の是非を思案できるだけの理性が戻ることもないまま、礼慈はまたリリの胎の中へと抜きかけていた陰茎をねじ込んだ。
「――……っ」
一突きごとにリリの身体が痙攣して接合部が淫猥な音を立てる。
力を失った体は、それでも礼慈を拒絶するためか、それとも引き止めるためか、肉の壁をまた絞るようにキツく閉ざしてくる。礼慈はそれに抗うように自分の型をリリの中に刻みつけようと腰を胎の奥に何度も叩きつけた。
手や口で与えられるよりも獣欲を掻き立てる連続の刺激は、礼慈の中に三度目の射精を迫っていた。
「リ……リ……ッ」
荒々しい呼吸の間を縫うようにこぼした言葉に、人形のようにされるがままになっていた少女は瞳に光を戻した。
「レイジお兄さま……だい、だいすき、で――っ!」
言葉になりきる前に、彼女の下腹部が反り返るように跳ねた。
「ぁ……ああっ」
「――っ」
角度の変わった刺激に、リリも礼慈もなすすべなく絶頂へと放り投げられた。
「――っ」
洞窟の中に響いたのはいったいどちらの声だったろう。リリの言葉に応じることができたのかどうなのか、射精の瞬間に意識を手放していた礼慈には分からなかった。
18/09/12 02:11更新 / コン
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