連載小説
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初授業は初戦闘!?-クラスバトルとランキング-




「ここはどこ・・・?」


「かあさま?とおさま・・・?」


「うぅ・・・こわいよぉ・・・グス・・・ヒック・・・」


「だれか!だれかいないの・・・!」


「・・・・・ひとりは、やだよぉ・・・・・・こわいよぉ!・・・」


ウゥ・・・ウワァァァァァァァァン・・・







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気になる夢を見た気がした。





誰かが、一人で泣いていた・・・?






いつもなら夢なんてすぐに忘れてしまうのに。











その夢は、不思議と頭の中に残り続けていたんだ・・・







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俺、ルーク、リント、ウェイクの4人は男子寮の玄関先で顔を合わせる。

「よ〜、おはよう」

「おう、セイン。体はもういいのか?」

「ああ、もう大丈夫だよ」

「まあ無理はすんなよ〜。あそこまで綺麗に人が吹っ飛んだのは初めて見たぜw」

「人が人を跳ね飛ばすのも初めて見ましたよ・・・」

「まあ、人じゃなくて魔物だけどな・・・」



「いよいよ今日から授業だな・・・」

「でもよ、最初の授業って何やんだろうな?あぁ〜、キッツイのじゃなけりゃいいけどな〜」

「初日の授業は午後まで必修だそうですからね」

「でも初日の授業だろ?そこまでハードなのはないんじゃねえかな〜?」

「でも、これ使うって言うんだからな・・・」

そう言って俺が見る視線の先には・・・














先日、クロード工房で購入したばかりの『武器』である。


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「やあ、みんなおはよう。今日はいい授業日和だね」

玄関で寮監のマキナさんに声をかけられた。

今日の天気は快晴、雲一つない晴天である。


「おはようございます寮監さん。最初の授業って何やるか知ってますか?」

「ふふっ、それは教室に行ってからのお楽しみということにしておいてくれ。
まあ、気合が空回りして怪我をしないように頑張ってくれたまえ」

怪我するような内容なのかよ・・・武器も使うってことだから当然なのか?

「それじゃぁいってらっしゃい」フフフ・・・

「い、いってきます・・・」

不敵な笑みを浮かべる寮監さんに見送られ、俺たちはそれぞれの教室に向かっていった。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


   1−B教室



『授業の開始時間まで、各々武器の手入れをしておくように』



黒板にはレシア先生が書いたであろう、綺麗で均等な文字が並んでいた。
すでに教室にいるクラスメイトたちは自分の武器をいじっている。
武器の手入れをしておけってことは・・・


「すぐにでも使うんだろうな」

「マジかよ・・・俺武器の手入れなんてやってねえしやったこともねえよ・・・」

ちなみに俺とリントは昨日のうちにチェックはしておいた。

「武器は手入れをしないと、意味がありませんよ?」

「そんな装備し忘れたみたいに言わないでくれよ・・・」

「?」

リントのことだから別にそんな意図はないと思うがな。
あとルーク、たぶん手入れしていないのはお前だけだぞきっと・・・







「授業の時間だ。各自武器の準備は出来ているな?

それではこれより第2グラウンドへ向かう。ついてきてくれ」


そうこうしているうちにレシア先生が来てしまった。
ルークの武器の手入れはままならないまま、第2グラウンドへと向かう・・・



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「今日の授業は戦闘分野共通の必修授業、クラスのメンバーによる武器を使った実戦形式での試合を行う。

勝負は一対一、制限時間は5分間とするが、勝負アリと判断した時点で試合は終了とする。
一人最低一回、余裕のあるものはニ、三回は戦ってもらうからそのつもりでいてくれ。

選出についてだが、やる気のあるものは名乗り出てくれればすぐ試合に出れる
し、希望があるならば相手を指名することも許可しよう。
ただし同じ相手と何回も戦うのは無しだ。
いない場合はこちらから選出する者の指示を行うので従ってほしい。

何か質問はあるか?」


「先生〜、なんでこんないきなりの試合なんスか?戦闘経験なんてないんすけど・・・」

ルークがもっともな質問をする。
そりゃあいきなり試合をしろって言われても戸惑うだろ。なにせクラスメイトと戦うとか色々大丈夫なのか?


「ふむ、そう思うのも仕方ないな。

今回の授業は今の段階でみんながどれくらい戦えるのか?ということを調査することが目的だ。保健室のバックアップ体制も万全だから安心してくれ。
みんな全力で戦ってほしい。
まあそんなことを言ってしまうと緊張してしまうかもしれないが、これは体力測定のようなものだと思ってくれていい。あまり気負わず、楽な気持ちで臨んでくれ。
あとこれはどの学科の先輩も通ってきた道でもある。別に君たちだけというわけじゃない、歴とした伝統行事でもある。

それでもクラスメイトといきなり戦うのは抵抗を感じるものも多いことだろう。
だが、これから行うのはただの『喧嘩』ではなく『試合』だ。
相手をただ倒す戦いではなく、相手と認め合うための交流だと思っていて欲しい。

戦闘分野志望ではないため、戦うことに不満のある者もいるかもれないが、この世の中何が起こるかわからない。今自分がどれだけ戦えるのかを自分で知っておくことも大切なことだと私は思う。

あと、今日の結果で良い結果が残せた者は『ランキング』にも影響が出るかもしれないな」


「ランキング??」


「この学園には学科ごとにその中の順位をつける『ランキング』というものがある。
これらは厳正な審査と調査によって決められるものだ。不正などは一切ない。

このランキングにもただ上下の実力をはっきりさせるものではなく、ちゃんとした意味がある。
ランキング制度は自分の目標となる者を把握し、純粋に競い合って欲しいということを願いに創られたものだ。
下にいる者は追い抜こうと、上にいる者は追い抜かれぬよう、互いに切磋琢磨して努力をしていくきっかけになるだろう。
誰かと競い合うことは必ず自分の力を伸ばす結果につながるのさ。

あと自分の実力をはっきりと理解するためでもある。
この学園に長くいるものでも、自分の実力を勘違いし、思い上がる者が出てくる。そのために上には上が、下には下がいることを目に見える形で理解することができるのだ。

ランキングに載ること自体難しいことではあるのだが、難しいものほど挑戦のしがいがあるだろう?努力を怠らなければ不可能ではない。

それにもしかすると半年もすればこのクラスからでもランキング入りしているものが出ているかもしれないな」


レシア先生はこれからの成長が楽しみだと言わんばかりに、俺たちに微笑みかけている。



「へっ・・・なるほどね」

ルークはここまで真っ当な理由があるとは思っていたのかどうかはわからないが、何かを決意をしたような顔をして先生の話を聞いていた。
ここまで真面目にやる気を出すルークを、俺は初めて見たかもしれない。

「やってやろうじゃねぇか!」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「さて、話が長くなってしまったな。
そろそろ試合を始めようか。まずは誰から行く?」


「よぉし!俺から行くぜ!相手は誰だ?」


真っ先に名乗りを上げたのはルーク。
かなり意気込んでいる様子だ。


「おぉ?いいじゃんいいじゃん!それじゃぁアタシが相手になるよ!」


それに答えたのは、一人の女の子。
黒髪ショートヘアーで小柄な感じ。しかし出るとこは出てる。
普通と違うところは下半身。
蟻の胴体と足が代わりに付いているようなその姿は
力自慢のジャイアントアントである。


「へぇ〜、随分ちっこいやつが来たな。だが手加減なんてしねぇからな!」
「そっちこそ、ちっこい女の子に負けても恨まないでよね!」

かなり強気だな、相当自信があるのか。




「それでは、
    『ルーク・ミドルハイカー』vs『アンネロ・ロックビル』

               試合開始!」









「しゃぁっ!行っくぜぇ!!」



大声で叫び、相手に突っ込んでいくルーク

手には両手でないと持てない大剣を握りしめている




「せいりゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」




その剣を相手に向かって真っ直ぐに振り下ろす!





「へへっ、甘いよ!」

ガキィン!

「マジかよ!?それで防げんのかよ!」




アンネロは手に持っていたシャベルでルークの大剣を真正面から受け止める!




「そぉぉぉりゃぁああ!!」

「うおぉ!!?」

グォッ!



腕に力を込め、大剣ごとルークの体を押し返した



「ちぃっ!・・・舐めるなぁあ!!」

「そうこなくっちゃね!!」


ギィン!


再び互いの武器がぶつかり合い、激しい音が響く





「うぉぉぉぉおおおぉおおぉおおおおおぉおおおおおおおぉおおお!!!!」

「せりゃぁぁあぁあああああぁああぁぁぁぁあああああああぁああ!!!!」


ガキィン!ゴガァ!ギリィ!ガィン!ゴガァン!ビギィィン!ガシャン!ガコォ!ゴシャァン!





激しい打ち合いになった


  純粋な力と力のぶつかり合い


    あまりの激しさに火花が散る・・・!









「そこだよ!」


ドゴォン!


「何ぃ!!?」




シャベルの大剣の上から叩きつけ、刃先が地面に深く突き刺さる!


「これで!終わりだよっ!」

シュォッ!


シャベルでルークを突き刺そうとするアンネロ














「うぉお!まだまだぁぁあああ!!!」

ヒュッ!  ガシィ!

「えぇ!??」



「うおぉおりゃぁぁあああぁあああぁぁああああぁあああ!!!!」

「きゃぁああああぁああぁあぁあああぁぁぁぁぁ・・・・」

ブウォン!ブウォン!ブウォン!ブウォン!ブウォン!ブウォン!ブウォン!ブウォン・・・







なんとルークは紙一重でシャベルを避け、シャベルの柄を掴み、
ハンマー投げの要領でアンネロごとブン回して投げ飛ばしたのだ!



ドガッ! ズザザザァァァ・・・!

「あうぅ・・・!」












「そこまで!勝者、ルーク・ミドルハイカー!」



『うおおおおおおおおおおおおおおお!!!』


周りからは大きな歓声が湧き上がっていた・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ぜぇー、ぜぇー・・・・勝ったぜ!」


ルークが高らかに握りこぶしをを上げる。

今回はルークのとっさの判断がうまくいったようだな。
ひやひやさせやがって・・・


「やったな、ルーク」

「おう!(゚∀゚:)」

「すごい試合でした!まさかルークが勝つとは全く思ってもみませんでした!」

「お、おう・・・(´Д`;)」


リント、興奮で本音がダダ漏れてるぞ。




「アンタなかなかやるじゃん!口だけじゃなかったね」


すると先ほどの対戦相手のアンネロが話しかけてきた。
ルークに投げ飛ばされていたが、どうやら全然問題なさそうだ。


「今回は押し負けちゃったけど次やるときは絶対負けないかんね!」

「おうよ!いつでも返り討ちにしてやんよ!」


なかなかいいライバルになりそうだなこの二人。
よかったな、ルーク


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・






「よっしゃぁ!まだやれるぜ俺は!次は誰だぁ!?」


ルークは初勝利で浮かれているのか、次の試合も続けてやるそうだ。
あんだけギリギリだったんだから少しは休めよ・・・

心ではそんなことを考えるが、口には出さない。
出すだけ無駄だからな。







「それじゃぁ、私が行きましょうかね」


出てきたのは頭の赤い頭巾と両腕の黒い羽が特徴的な魔物、
カラステングである。


「へへーん!今ノリに乗ってる俺に勝てるかな?」


ルークはまさしく天狗状態。
鼻っ柱へし折られなきゃいいけどな・・・








「それでは、
    『ルーク・ミドルハイカー』vs『オバネ クウ』

               試合開始!」



「さあ、どっからでもかかって」 ヒュッ

「え・・・?」


メコォ・・・   ズシャァ








「・・・・・・・」チーーン・・・


「勝者、『オバネ クウ』!」




勝負は一瞬だった。
彼女が一瞬でルークとの距離を詰め、顔面に脚がクリーンヒット。
あまりにも綺麗に、そして静かに沈んでいった。


「あらあら、勝っちゃいましたねぇ」


明らかなパワータイプがスピード型に倒される図。
調子に乗るとこうなるんだよ、っていう一番いい例だと思いますね、はい。   

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


その後もどんどん試合が展開されていった。
みんな全力で、とてもいい表情をしている。
勝った奴は喜び、負けた奴は悔しいながらもどこか清々しい。

しかし、魔物対魔物だと本気度がやばい。
・・・正直、怖くなってきたわ。

ちなみにルークは保健室に運ばれていきました。
あとで様子を見に行ってやるかな。




「次、『リント・ヒーリンス』!『ミアラ・スケーリア』!前へ」


お、どうやら次はリントの試合か。
相手は・・・ラミアか・・・
下半身が蛇ってどういう動きをするんだろうな?


「では行ってきます」

「頑張れよ」





「それでは試合開始!」




「それではよろしくお願いします」ペコリ

「あら、礼儀正しいのね。そういう子は私大好きよ♪


 でも・・・・だからって手は絶対に抜かないけどね!」










「せいっ!」

ヒュヒュヒュッ!ヒュヒュヒュッ!


リントはミアラに向かって数本のナイフを投げる。

・・・が、一部のナイフはあらぬ方向に投げられ、
残りのナイフは相手は素早い動きでスイスイ避けていく


「そんなナイフ捌きじゃ、私に当てるのは不可能ね♪」


「・・・・・・・・・・」




「それじゃ、こっちから行くわね?」



ミアラはリントとの距離を縮めようと迫ってくる



「・・・・っ!」


ヒュヒュン!


「無駄な抵抗はしないほうが身のためよ?」


牽制のためにナイフを投げるが、当たることはなく簡単に避けられてしまう



「・・・・・・」

ヒュヒュッ ヒュヒュッ

しかし、リントはナイフを投げることをやめない




「それじゃ、そろそろ終わりにしましょうか♪」


ギュオッ!

ミアラは自分の胴体をくねらせ、一気にリントへと迫る!


ガシィ!


「ふふ・・・捕まえた♪」


リントの腕が彼女の尻尾に掴まれてしまった・・・!


「さて、これからどうしましょうか・・・♥」ペロッ


舌なめずりをして、さらにリントへ近づくミアラ・・・!




「あの〜」


「何かしら?もしかして降参でもする?」


「いえ・・・・










そこから離れないと、危ないですよ?」





「・・・・・え?」





ヒュゥゥゥゥゥゥ・・・・


シュカカカカカカカカカカカ!


「ひぃぃぃぃぃいいいい!!!???」



なんとミアラの頭上からナイフの雨が降ってきたのだ

体スレスレに落ちてくるナイフに腰を抜かして動けなくなる・・・


その隙にリントがミアラに素早く近づき、喉元にナイフを当て、



「・・・・チェックメイトです」ニッコリ







「勝者、リント・ヒーリンス!」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「お疲れ様」

「いや〜、ひやひやしましたよ・・・でもなんとか勝ててよかったです!」

「あ、ああ、そうだな・・・」

遠くからだとナイフがミアラの頭上から迫ってくる光景が見えたが・・・
・・・・あれが計算ずくだとすると恐ろしいわ。

絶対にリントは敵に回したくない・・・
頭上からナイフが降ってきた日には泣き出すぞ、俺。

「どうしました?」

「いや、お前とはずっと友達でいようと思ってな」

「?」

リントは不思議そうな顔してますが、流石に本当のことは言えませんです。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「では次だ。『セイン・アストラダー』!『ミケット・ラウワンダー』!前へ」



お、いよいよ俺にお呼びがかかったか。
相手は猫耳に尻尾・・・それに三毛色
どうやらワーキャットのようだな・・・

さて、俺はどこまでやれるだろうな。



「にゃ〜?あなたがミーの対戦相手かにゃ〜?よろしくにゃ!」

「こちらこそよろしくな」



「それでは・・・試合開始!」







「いっくにゃぁ!」

シュバッ!


そう言って低い姿勢になったかと思うと、俺に向かって突撃してきた
機敏な動きで俺との距離を一気に詰めてきた!速い!


バッ!
「くっ・・・・!!」  シャッ!


かろうじてギリギリ避け、すぐに体勢を立て直す


「ミーの一撃を避けるなんてなかなかやるにゃ〜

でも、これならどうにゃ!?」


シュバ バ バ バ バ バ バ バ バ バ


右へ左へと、低い姿勢のまま素早く動きで翻弄してくる
くそ・・・これじゃあこちらから迂闊に手が出せないじゃないか・・・!

どうする・・・?



キラーン!

「今だにゃ!」シャー!

「うおっ!」


今は避けることができてるが・・・
これじゃあいつかあいつの攻撃がいつかは当たってしまう
ならば・・・イチかバチか・・・


「そこにゃ!」

「ぐ・・・そぉい!」
ブォンブォンブォン!



「にゃにゃ!?」


俺はミケットが迫ってくると同時に、目の前で槍を回す
すると彼女は咄嗟に上体を反らし、槍を避けた

バランスを崩してる今しかない!


「せいやっ」ヒュゴッ!


「にゃいぃ!!??」ピタァ!


俺は胸元の直前に槍を突きつける
これでどうだ!?






「そこまで!勝者!セイン・アストラダー!」




「ふぅ・・・勝ったのか・・・?」


「むむむ〜、まだミーは全力出しきってにゃいのに〜!悔しいにゃ〜!!」



なんとか勝ててよかった・・・
5分間しか戦ってないのにすごく疲れたよ・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「お疲れさまでした!どうでしたか?」

リントが俺に感想を聞いてきた。
どうって言われてもな・・・

「正直、ギリギリだった・・・
あそこでうまく決まってなかったら、たぶん負けてただろうな」

「でもその一瞬を見抜いて勝利を掴み取ったんですから、
もっと誇っていいと思いますよ?」

それはそうなのだが・・・やはり素直には喜べないな

「まあ相手も戦い慣れてないってのもあっただろうし、まだまだこれからさ」


もっと経験を積んでいかなくちゃな・・・
そう心に決めるきっかけには充分だった。









「それでは、午前中の授業はここまでとする!今日は午後も必修授業だから、遅れずにここに再び集合するように!」

『はーい!』


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


俺とリントは学食で昼飯を食べ、保健室に向かっていた。
ルークが今頃どうしているか気になったからだ。

この学園の保健室は通常の学校よりもかなり大きめである。
学校棟の中からはもちろん外からも入れるようになっており、別室のような感じである。
保険室っていうか病院と言っても遜色ないんじゃないかな・・・


「すみませーん」

「は〜い、あらいらっしゃい♪」



保健室から出迎えでくれたのは、白衣を着たピンク色の髪をしたサキュバス。
レッサーサキュバスではなく歴としたサキュバスである。

「ねぇ君たち・・・どこが悪いのかなぁ〜♥
ここかな?それとも・・・・こ・こ?♥」


するとサキュバス保険医は俺に手を伸ばして・・・
やばいやばいやばい!そこはシャレにならんて!

「ち、違いますっ!どっか悪いとかじゃなくて友達の様子を見に来ただけですっ!!」

「あ〜らそうなの?でも、ちょっとくらい先生とお話してもいいんじゃな〜いぃ?♥」


やっべえ、この人色々とやばい。
色々と搾り取られそうだ。俺の本能が逃げろと言っている。


「新入生にちょっかい出すのはやめてくれませんかねぇ?・・・」


奥の方からまた別の白衣を着た人が出てきた。
少しくたびれたような顔をした渋めの男性である。
くわえタバコがよく似合いそうだ。

「もぅ、カラマツ先生ったら真面目なんだから〜」

「あなたが不真面目すぎるんでしょうに・・・」

この人も苦労してそうだ・・・


「むぅ・・・あ、この先生は『カラマツ コウジロウ先生』♪
ここのとぉっても腕のいいお医者さんなのよ〜♥
そして私は『フィザ・ラファリエール』。同じくここの保険医よ♥
天使先生♪って読んでくれてもいいわよ♥」

天使っていうより悪魔ですやんこの人。種族的にも。


「それで、ここに運ばれた人のとこに行きたいんですけど・・・」

「う〜ん、いいけど・・・そこよりも違う部屋に行ってみない?イイコトして
あ・げ・る・か・ら♥」



「いい加減にしておきなさい」チョップ!ビシィ!

「あいたっ!?も〜少しくらいいいじゃありませんか〜」

一体何が少しなんだ!?

「もう一発いきますかね?」ギロッ

「う〜分かりましたよぅ・・・それじゃ、付いてきてくださいね♥」

カラマツ先生が助け舟を出してくれて助かった・・・・
でも、このサキュバス先生の後をついて行きたくないんですけど・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


ものすごい不安であったが、ちゃんと病室に案内された。
さてさて、あいつの様子は、と・・・


「おぉ!セインにルーク!もしやわざわざ俺に会いに来てくれたのかっ!」

「いや、お前の顔の凹み具合を見に来たんだ」

「凹みなう!?(((゜Д゜;))) だがもう顔の方は大丈夫だぜ!(´∀`*)」

「それじゃぁ、帰りましょうか」

「待てって!?早いって!ここに来てから3分も経ってねえよ!!?」

「だってお前元気そうだし、別にもういいかなーと」

「おいおい!これでも怪我人なんですけども!?」

「これでもっていう自覚があるだけ大したものですよ」

「ノォォ!!?墓穴掘った!?<(゜ロ゜;)>」


「「はははははっ!」」


こんないつも通りの会話をしていた。
ルークは全然問題なさそうで、午後の授業にはもう復帰できるそうだ。





「そんじゃありがとうございましたー!」

「はーい♪また来てねー♥先生いつでも待ってるから♥」


ここにはあまり世話になりたくないな・・・
そう心の中で呟きつつ、保健室を後にして、リントとルークと共に第2グラウンドへと向かっていった。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




「それではこれから午後の授業を始める!

内容は午前中とほぼ同じだが、今度は他クラスとの合同で行うことになる。
だが今回は午前の様子を踏まえて、良い成果だった者をこちらから選出し、試合をしてもらう形となる。残念ながら希望者は無しだ。
なので、一回も戦わない者も出てくることになるが、同学年の少し上の試合というものを見て、色々と学んで欲しい。
つまり今から行うのはクラスの代表戦のようなものだな。
とは言っても今の段階での、という話だから、完全にクラスで一番に、代表になったわけではないから、そこは勘違いしないように。

何か質問はあるか?」


同じ学年の試合を見させて、競争意欲を沸き立てようってことだな・・・
まあ俺たちは午前中の結果から見ても選ばれることはたぶん無いだろう。
それにしても・・・

「すみません、ちょっといいですか?」

「なんだ?」






「なんでこんなに人数が少ないんですか?」


うちの学年が5つクラスがあったと思うから、クラスメンバーの5倍ほどになるはずだ。
だが周りを見ると精々2クラスほどの人数しかいない。


「ああ、それはだな・・・
他クラスで、ある一部の生徒がクラスの大半の生徒を保健室送りにしてな・・・
ここに居るのはそれを免れた者たちということだ」


おお・・・そんな奴らがいるのか・・・
まあうちのクラスでも数人のリタイア者は出たけど・・・
それにしても減りすぎだろ・・・


「他に何かあれば言ってくれ


・・・それではこちらの準備が出来次第開始とする。それまで少し休憩だ。
名前を呼ばれたものは前に出てきてくれ。」



・・・・



他のクラスと合同ってことは、リティたちとかもいるってことだよな。
辺りを少し見渡してみると・・・


「セイン!よかったぁ、怪我したんじゃないかってちょっと心配だったの」

リティが俺を発見して声をかけてきれくれた。

「まあなんとかな。そっちはどうだった?」

「えっとね、えへへ・・・なんとか一勝できたよ!」

「おお、すごいじゃんか!俺とルークとリントも一勝ずつだ。
俺はギリギリだったけどな・・・」

「それでもすごいよ!頑張ったんだね!」


素直に褒められると純粋に嬉しい。
それにリティの喜びようを見てると、こっちもより嬉しくなってくる。

だが少し気になることが・・・


「なあ、リティ・・・・あれは、一体どうしたんだ?」

俺が指をさした先には・・・


















「むぅ〜・・・・・・・・・・・」プクーッ


頬を膨らませてふてくされてるレーヴァの姿があった。


「あー、ちょっとね、色々あって・・・」

「それにシューゼンの姿が見えないな・・・もしかしてそれ関係ある?」

「うん、まあ、正解かな?・・・」

なんだか言葉を濁すリティ。これは相当なことがあったとみえる。

「あー、もしかして。レーヴァがシューゼンと戦えなくて拗ねちゃってるとか?あと、シューゼンが他の奴にやられてがっかりしてるとか・・・」

「ううん。実はね、レーヴァとシューゼン、一回戦ったの」

「ええ!?戦ったのかあいつら!?・・・じゃあなんでレーヴァは?」

明らかに不満そうである。シューゼンが予想よりも弱くて幻滅したとか?

「えーと、話すと少し長くなるんだけどね・・・?」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



第3グラウンド  1−Cクラス -午前中-



「は〜い、それじゃあ誰から試合を始めますか〜?」



こっちのクラスでも同じように試合をするってことになったんだ。
それで誰か希望者はいますか?って話になったんだけど・・・



「はいっ!!」


真っ先に手を挙げたのがレーヴァだったんだよね・・・


「あらレーヴァさん、やる気マンマンね♪それじゃ相手は・・・」






「シューゼンでお願いしますっ!!!!」








「ええぇ!!!???」

まさかのご指名だったよ。
いや、当然だったって言うべきかな?

一昨日のセイン君吹っ飛ばしちゃった件で
「怪我人も出ちゃってるし、学園内で無理やりバトルのはやめない?」
ってシューゼン君が提案して、レーヴァがものすごい悩んで渋々了承してたんだけど、そのことがあって安心してたせいか、シューゼン君、すっごい驚いてたね。

まあ、こんなちゃんとした公正な場で、理由を持って戦えるんだから、レーヴァが逃さないわけがないよね・・・




「えーとシューゼン君が相手・・・?でも本人の了承も 「無理です」・・・ですって」



















「どうして戦ってくれないんだよぉ・・・・・・(´;ω;`)」ウルウル




『えぇ!?レーヴァちゃん泣いてる!?』『おいなんで断るんだよっ!?』
『ちょっとー!一回くらい戦ってあげなよー!』『そうだそうだー!』
『別にお前が弱くても、私たちは一向に構わんぞ!』   ワーワー!












「えぇー・・・・な、なんだってー・・・」orz





周りのみんなは大ブーイングでね?
それで仕方なくシューゼン君も諦めがついたみたいで、戦うことになったの。



「それじゃあ、準備はいいですか?」



「まさかこうやってちゃんと勝負ができるなんてな!楽しみで仕方ないぞ!」

「オレは早く帰りたい気分だよ・・・」


全然シューゼン君はやる気じゃなかったかな・・・
そんなんだからかレーヴァがいきなり・・・・














「今になってそんなことを言わないでくれっ!
・・・そうだ!私が勝ったら・・・・・これからの学園生活!



わわ私の稽古に・・・つ、付き合ってもらうぞ!///」テレッ









『おおおおおおおおおっ!?』ドヨドヨッ







「ちょ、え!?そんな勝手な!?
・・・・じゃあもし、もしだけど。・・・オレが勝ったらどするんだ?」





















「そ、それは・・・・・



お、お前の言うことを何でも一つ聞いてやるっ!!///」テレッ










『おおおおおおおおおおおおおおおっ!!??』ドヨドヨドヨッ!









そんな決まり事も出来ちゃって
周りは大騒ぎでね?
でも私は・・・・・ちょっと不安だったの。
二人とも大丈夫なのかな?って。




「いい言っておくが、き、騎士に二言はないからなっ!!」


「・・・・・・・・・」ギュッ ←手袋をはめ直す音



「それでは『レーヴァ・フリード』vs『スオウ シューゼン』

               始め!!」


















でも、この試合が、あんな結果になるなんて

私はこの時まで全然予想にもしてなかったんだ・・・



12/09/14 05:08更新 / 群青さん
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■作者メッセージ
さて始まりました初授業!なわけなんですが・・・

戦闘回ですね
もっと、戦闘描写練習しないとダメですね、はい・・・


本当は一話で収めようかなーと思っていましたが、戦闘描写書いてると
「あ、これとんでもない文量になるな」と思い分割となりました。
実際10000文字初めて超えましたし・・・

授業と聞いて、もっとすごいこと始まるんじゃないかな!?と期待されていた方には申し訳ございません!
でもこれからもっと色々な授業をやっていくつもりなんでお楽しみに〜!

そして感想なんかもどしどし送ってください!
皆さんのご感想が作者を育てる糧となります!




・・・・実際今回のお話を作成中、一回完成したところで誤ってF5キーを押してしまい、正直心がへし折られました・・・・(その時は9000文字ほど打ってました)

ですがまだ始まったばかりのこの作品でも感想まで書いて続きを待ってる人がいるんだ!という思いに駆られ、今回書き上げた次第にございます。(しかも文まで増やして)
読んでくれている皆さんのおかげだと思っております!本当にありがとう!

それでは次回もよろしくお願いします!

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