連載小説
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初授業は初戦闘!?-合同バトルと決意と思い-


このお話は前回の続きより、最初の方はリティ視点でお送りしております
前回のお話を読んでいない方は、読んでおくことを推奨いたします


・・・・・・・・







「それでは『レーヴァ・フリード』vs『スオウ シューゼン』

               始め!!」






「フゥ〜・・・・・・・」


シューゼンがゆっくりと息を吐く


「どうした?そちらからこないのか・・・?」


「・・・・・・・・・・・」

レーヴァの問いに、シューゼンは答えない。
その表情は何かを心配しているようだった。



「まあいい・・・!ならばこちらから行こう!!!」
ダダッ


レーヴァがシューゼンに向かって走り出す。
デュラハンの武器は主に剣だが、レーヴァの武器はランス。
本人曰く突き刺すこともできるが、体を突き刺さない保護の魔力がかかっているらしい。

「はぁっ!」ビュォッ!

「・・・ッ」バッ

ランスを突き出すレーヴァ

シューゼンはそれをきちんと避ける。


「ほう、ちゃんと戦う意思はありそうだな・・・・・・・・・・・・良かった・・・」


レーヴァが小声で安堵していた。
・・・やっぱり、無理やり戦わせる形になったから心配してたんだね。
条件をつけたのもやる気を出させるためだろうし。


「では・・・次は外さないぞ!!」
ビュオゥ!

もう一度シューゼン目掛けてランスが突き出される!
しかもさっきよりも速い!

「っ!」









ガキィン!


「な、何!!?」


ええ!?
手をランスの前に出したと思ったら、片手の手の甲で攻撃を防いだ!!??

・・・・いや違う!手袋の手の甲についてる手鏡みたいので防いだんだ!!

しかもちゃんと防いでる手の腕を、もう片方の手で支えて力負けしないようにしてる!
でもそんなことでレーヴァの攻撃が防がれるものなの!?


「・・・・・・・・・・ふっ!」ガァン!

「うわぁっ!?」


するとシューゼンは防いだ手で裏拳を放つようにランスを弾く!

思ったより力が強かったのか、ランスがレーヴァの手を離れ、遠くの方に弾き飛ばされてしまった!


「な、なんでこんな・・・・・・  っ!?」

チャキ・・・

混乱しているレーヴァに剣が触れる程度に当てられる。

「これで、勝負アリ・・・・・でしょ」








「・・・・はっ!?
え、ええと・・・・そこまでです!」



先生がそう言うとシューゼンは剣を降ろし、レーヴァから離れるように歩いて行った。


周りのみんなもさっきの騒がしさから一変。
驚きのあまり、誰も声が出せずに静まり返っていた。



「ぁ、そうだ先生・・・」


「は、はい!なんでしょうか!?」


「ちょっとオレ、体調ー、悪くなっちゃったんで、保健室に行ってきますね・・・?」


「え!?でも・・・・ わ、分かりました、行ってらっしゃい・・・」


そう伝えてるシューゼンを見ると、少し体がふらついている・・・
先生は一度レーヴァを見てから、保健室に行く許可をした。





「え、あ・・・・ま、待ってくれっ!!!何故お前は・・・・・っ!!」

あまりの出来事から我に返ったレーヴァから大きな声が放たれる。



シューゼンは顔だけレーヴァに向けてから、優しく微笑み・・・・

そして振り返ると何も答えずに、その場を去っていった・・・・・・・・・・・


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「そ、そんなことがあったのか!?シューゼンが勝った!?」

「うん・・・・・」


俺は驚きを隠せないでいた。
あれだけ戦うことを拒んでいたシューゼンが魔物に・・・
しかもデュラハンであるレーヴァに勝っただって!!?

「まさか、シューゼンがそんな実力を隠していたなんてな・・・」

「私もビックリだよ・・・」

しかし腑に落ちない。
強いんならなんで戦うことを拒んでたんだ?
実力を見せたくなかったとか・・・?

「それで、それからはどうなったんだ?」

「レーヴァがあの後先生に『私も保健室に行きます!』って言ったんだけど、
先生は『あなたは特に外傷もないし元気もあるから、保健室に行く必要はないでしょう?』って言われちゃて・・・」

「なるほど・・・」

だからレーヴァはあんなにふてくされてるってわけか・・・
まあレーヴァ色々納得がいかないわな。

「その後のレーヴァが大変で、『誰でもいい!かかってこい!!』なんて言い出しちゃって。
何人かレーヴァと戦ったんだけど、レーヴァ次々となぎ倒しちゃったんだよね・・・」

「へぇ・・・」

じゃあレーヴァが弱いってわけじゃなさそうだな・・・

「それでクラスの半分以上はレーヴァに・・・その、保健室送りにされちゃって・・・・」

「マジかよ・・・」

弱いどころかめちゃくちゃ強いじゃん。
シューゼン、なんで勝てたんだろ・・・・

「先生にも『もうそろそろ止めなさい!』って言われるくらいで・・・
それからずっとレーヴァはあんな感じなの」

「ストップかかっちゃうほどかよ・・・」

まあ全員レーヴァにやられちゃったら授業にならなくなるもんな。

「それで、リティはなんかレーヴァに声かけたのか?」

「その・・・・声かけづらい雰囲気で・・・・
でもこのままじゃダメだよ!心配だよ・・・」

「レーヴァなら大丈夫そうだけどなぁ・・・」

「それに、レーヴァは午後の授業に絶対選出されるから、こんな状態で戦ったら・・・・」

むう・・・確かにこのままにしておくのはマズイだろう。
絶対レーヴァはこれから呼ばれるだろうし、そんな状態で強い奴と戦ったらすぐ倒されてしまう。

「・・・・じゃあ、声かけてみるか」

「えぇ!?」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「よう、レーヴァ」

「・・・・・・・ん?ああ、セイン、とリティか・・・・何か用か?」

「いや、なんか色々あったらしい、な・・・?」

声はかけたはいいものの、俺はなんて言ったらいいか分からなかった。
何を話していいかが全くわからん・・・

「・・・リティから話を聞いたのか?どうやら心配をかけたようだな・・・」

レーヴァはそれを察してくれたのか、自分から話を始めた。

「・・・・・情けない話だ。自分から勝負を挑んで負けるなんて。
しかも八つ当たり気味にクラスメイトをなぎ倒してしまった・・・
これでは騎士失格、だな・・・」

「そ、そんなことないよ!戦ってるレーヴァはカッコよかったよ!」

リティが必死にフォローを入れる。

「そうだろ。八つ当たりとか言ってるけど、別にクラスメイトはそれをきっと分かって戦ったんだろうし、それに他の奴とも正々堂々と戦ったんだろ?騎士失格なんかじゃないさ」

俺もすかさず思ったことを伝える。
俺に騎士道なんてわからないが、レーヴァのことだ。
ちゃんと相手と向き合って戦っていたことだろう。
きっとその誠実さは相手にも伝わってるはずだ。

「二人とも・・・・・そうだな。ありがとう・・・!いつまでも拗ねていてはしょうがないよな!」

「そうだよ!きっとレーヴァ午後の戦いにも呼ばれるんだから、いつまでもそんなんじゃダメだからね!」

「ああ!・・・・二人のおかげで元気が出たよ。すまないな・・・」

「リティは本当に心配してたんだからな?シューゼンのことは一回忘れて、午後の試合に臨まないとな!でないと負けちまうぞ?」

俺がそう言うと、レーヴァは少し暗い顔になった。
あ、やべ・・・俺余計なこと言っちまったな・・・

「あ、いや、悪い。今のは別に・・・」

「・・・・・シューゼンは・・・・・・・・」

俺の失言を取り消そうとするとレーヴァが話し始めた。

「・・・・・・・最初は面白い奴だと思った。
私たち魔物娘に近づくななんて、敵意を持たずに言うんだからな。

だから、一度戦ってみたいと思った・・・。
戦いを通じれば、相手のことがよく分かる。
そいつの気持ちが伝わってくるんだ。

・・・・でも分からなかった・・・・・。
あいつが何を思って・・・何を考えて私に向かってくるのかが・・・
全然わからなかったんだ・・・!」

「・・・・・・」

「私に呆れているのか・・・・
・・・それとも無理やり戦わせた私を恨んでいるのか・・・・
考えたくないが・・・・・それとも嫌っているのか・・・

いつもなら相手のそういう気持ちも分かるはずなのに・・・・
あいつからは何も伝わってこなかった・・・!

ただ・・・・何かを気にかけるようにはしてたが・・・
それだけだ・・・

だから尋ねようと思った・・・
だから終わった後にも声をかけた・・・
そしたら不機嫌な顔を向けるかもしれない。
何かしら私に対して不満があるだろうと思ってた・・・

そしたらあいつは私に微笑みを向けたんだぞ!?
なんでそんな顔をしているのかも分からなかった・・・

私は・・・一体私は、どうしたら、いいんだ・・・・・!」

















「じゃあ直接聞いたらいいんじゃないか?」

「え・・・・?」

「別に戦うことだけが相手を知ることじゃないだろ?
戦っても分からないなら聞いてみる。聞けないんだったら色々と調べる。
俺だったらそうするかな。

それに相手の気持ちを分かろうとすることって難しいに決まってるだろ。
だって昨日今日初めてあったような奴らばっかりなんだぜ?
俺だってみんながどう思ってるかなんて、まだよく分かってないんだから」

シューゼンとの戦いを話すレーヴァの涙声に、俺ははっきりとそう言った。
人の気持ちを知ることなんて簡単じゃない。
いろんなことを通して分かり合っていくもんだろ。
それでも分からないことは分からないし。

「でも俺は、レーヴァは素直に真っ直ぐ相手に向かっていける、分かりやすい奴だと思っていたがな。
どんなことにも全力で、いつでも真っ直線!気持ちは全部出す!
そんな印象。それは間違っているかな?」

「・・・・・・否定はできん」

あたりかよ。ホントに分かりやすいな。

「・・・・・・それでも俺はそれ以外はレーヴァのこと全然まだまだ知らないよ。
それにシューゼンともまだまだこれからじゃないか。
今日は初授業だぜ?これからいくらでもシューゼンを知っていく機会はあるんじゃないか?」

「・・・・・・」

レーヴァが黙ってしまう。なんかマズったかな・・・

「・・・・・・私は、少し焦りすぎていたようだな・・・」

レーヴァが口を開く。

「今まで、戦いを通じれば何でも分かると思っていた・・・
早くシューゼンの気持ちが知りたいばっかりに、自分の気持ちを押し付けていた。あいつには悪いことをしてしまったな・・・」

「悪いと思ってるなら、謝りにいけばいいさ・・・

あと戦いで何でも分かるんだったら、戦えば相手の昨日の晩御飯だって分かっちまうことになるだろ?」

「そうだな・・・」クスッ

レーヴァがようやく笑った。やはり落ち込んでる姿はらしくないな。


「本当にありがとう、セイン。
君のおかげで、私はこれからも頑張れそうな気がするよ」

「お礼はリティにも言ってくれないとな。俺はリティがレーヴァを心配してなかったら、声をかけなかったかもしれないからな」

「そうだな。リティ、ありがとう」

「ふぇっ!?わ、私は・・・何もしてないよ・・・」

リティは突然レーヴァにお礼を言われ、動揺を隠せずにいる。

「それでも私は感謝している。これからも友達でいてくれるか?」

「も、もちろんだよ!!」

二人が握手をかわして、一件落着!といった感じだな。


「まあ今は午後の授業に集中しないとな。
シューゼンのことは放課後にでも問いただしてやろうぜ!」

「ああ、そうするよ。待っていろシューゼン!」

レーヴァが闘志と決意で燃え上がる。
きっともう大丈夫だろう・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「セインは、すごいね」

リティがふとそんなことを俺に言ってきた。

「俺が?別にそんなことないよ」

「そんなことあるよ。・・・・私じゃレーヴァをあそこまで励ますことができなかった・・・ありがとうね」

「俺はリティの手助けをしただけだ。それにちゃんと友達のことを心配してきにかけられるリティだってすごいと思うぞ?」

「え・・・・そう、かな・・・」

「簡単そうで、すぐできることじゃないよ。知り合ってすぐの友達にここまで親身になれるんだからな」

「でも私・・・・一人じゃ声、かけられなかった・・・」

「そこはこれから頑張っていけばいいじゃん。リティならきっとできるようになるさ。俺が保証する」

「そう、かな・・・・うん!ありがとう!」

そう言うとリティは笑顔になった。
「やっぱりリティは笑顔の方がいいな。可愛いし」


「え!?わ、わた、私がが、かわい、可愛いって・・・///」

あ、声に出してた。

「あ、いや、その、女の子なんだから!笑顔の方がいいよって!」

「・・・・・・・ワタシガ、カワイイ、オンナノコ・・・・///」プシュー

リティが顔を真っ赤にして頭から湯気が出ている。

「だ、大丈夫か!?変なこと言っちゃってごめんな!?」

「べべべ別にだだだ大丈夫にゃよ・・・・・・・・・・・・・・・・・ウレシカッタシ・・・///」

最後の方は何を言ってるか聞き取れなかったが・・・
しかし思ったことが口に出てしまったとは・・・
口調ワーキャットみたいになってるし。
これからは気をつけないとなぁ。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「それでは準備が整ったので、試合を始める!

まずは・・・『ポーチル・フレンダース』!」

「わおおおーん!出番だぞーっ!!」


最初に名前を呼ばれたのはポーチル。
あいつ意外と強かったのか・・・



「次に・・・『オバネ クウ』!」

「あらあら、呼ばれちゃいましたか」


そしてうちのクラスのクウだ。
クウはうちのクラスでも一番多い勝利数で3勝。
なかなかの実力者といえよう。
・・・だがレーヴァのクラス半壊の話を聞いた後だと、どうもインパクトが弱い。


「両者、前へ!」


呼ばれた二人は前に出て、グラウンドの中心寄りに進む。
すると二人を囲うようにして、地面から光が大きな長方形を描くよう伸びていく。

「これは魔法による防御壁だ。この中ならば攻撃は外には通らない。
思う存分試合に臨んでくれ」

二人が全力を出せるようにってのと、見ている俺らに危害が加わらないようにっていう配慮か。
さっきの準備はこれを用意するためだったんだな。





   「それでは、試合開始!」




「へへへー、これならあれでいっても大丈夫そうだなー♪」

「ほほう、あなた何か力を隠してますねぇ?」

「これから見せるから、心配しなくてもだいじょーぶだぞっ!」

「なるほど、では・・・その前に倒さないといけませんねぇ?」

「すぐ済むからちょっと待ってて!」

するとポーチルは何かを取り出した。
あれは・・・木の実か何かか?

「あ〜〜〜ん」パクッ ゴクン・・・

「おやおや、それは・・・」




スゥゥゥゥゥゥゥ・・・・

「アォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!」


「・・・・バーサクの実、ですか」

「ガルルルル・・・」


な、なんだ!?ポーチルが木の実を食べた途端に豹変した!?


「確か、微量ならば筋力がやや向上し、攻撃性が増す興奮剤として用いられる代物ですが・・・・・まるごと一個ですか」

「グウウウウッ!!」
グォッ!


な、なんだって!?そんなもんをまるごと一個食べたら・・・
そんなこと考えているとポーチルは相手に向かって飛びかかっていた。

「おやおや、まるで狂戦士ですねぇ・・・」ヒョイ  スカ



ドゴォオオオオオオオン!!







えええええええええ!!?
クウが空を飛んで軽く避けたと思ったら、いたとこの地面が凄まじくえぐれてる!?
どんだけパワー上がってんだよ!!

「・・・・グガァッ!!」ダァン!!

「なっ・・・・!」


攻撃が当たってないと見るやいなや、ポーチルは地面を蹴り、クウのいるとこまで大ジャンプ!


ドガァン!!!
「うぐぅっ・・・!」


攻撃がクウにヒット!だがクウも脚で辛うじてガードしてるが・・・


「・・・・ガァッ!」

ギュオッ! ダァン!


そのまま壁に打ちつけられてしまった!!
光の防御壁がクウを場外へ出すことを拒む・・・!

と、そこですかさずポーチルのニ撃目!

「・・・・・っ!」ビュッ

バリバリバリィ!


それに気づいたクウ!ギリギリをかわす!
光の防御壁も凄まじい音をあげるが、流石先生方の用意した魔法!壊れない!

てか展開速すぎ!
目で追いかけんのがやっとだ!!


「ぐぐ・・・これはもう早々にカタを付けるしかありませんねぇ・・・!」


クウもまだ台詞は飄々としているが、余裕は全然見られない。
あと一撃食らったらもうもたないだろう。


「・・・・とうっ!」

クウが天高く空へ羽ばたく・・・・て高い高い高い!もうちょっとしか見えねぇ!


「グ・・・・ガァッ!」

ポーチルも追いかけようと高くジャンプするが・・・流石に届かない!


「ふぅぅぅ・・・それでは行きますよぉ!・・・・あんまり使いたくなかったんですけどねぇ・・・」

ん?クウが何かするみたいだな
と、何やら風が出てきた・・・何だ!?

ヒュゴォォォォォォォ!

げぇ!?風がクウの頭上に集まって竜巻作ってやがる!!
あいつ魔法も使えるのか!



「・・・・烏羽流秘術!竜巻落とし!!」

ゴォォォォォォォォォォオォォォォオオォオォォォオォォォオオ!



大きな竜巻がポーチルに向かって放たれる!
てかあの大きさだと避けようがないぞ!

「グォ・・・ガァァァァァァァァァァァァァァァァ!?!?」


うおすげぇ・・・ポーチルが竜巻の中ミキサーみたいに回ってる・・・


・・・アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアドゴシャァ!

あ、竜巻止まって落ちた。




「勝者!オバネ クウ!」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「いやぁ〜、バーサクの実使われた時はどうしようかと思いましたよ〜」

「わおーん!とっておき使ったのに負けちゃったんだぞっ!」


ポーチルの狂戦士モードは竜巻に回って落とされた間に解けたようで、いつものポーチルに戻っていた。


「だが二人ともいい勝負だった。これからも日々精進するように!」

「はいだぞっ!」

「了解です」




「あいつ・・・俺とは本気じゃなかったのかっ!」

隣にいたルークが悔しがるようにクウを見ていた。
まあ瞬殺でしたよね〜、お前ん時は。
でも初勝利に浮かれすぎてたせいもあると思うぞ
・・・結果変わんないだろうけど。



「おい!オバネ!」

するとルークが突然立ち上がり、

「いつか絶っっ対ぇーーお前も倒すからなっ!!!」





「ん〜? ・・・・まあ、強くなってからにしてくださいねぇ〜?」

「むぎぎぎぎ・・・・」


ルーク、恥ずいから後にしろ・・・
めっちゃ注目受けてるから。




・・・・




「それでは次の試合だ!

『レーヴァ・フリード』vs『シルフィス・ルイン』!

両者前へ!」




次はレーヴァと・・・シルフィス?

・・・・あのシルフィスだよな?


「あー、やっぱり呼ばれたねー・・・」

後ろからやれやれといった感じな声が聞こえる。

「ん?ウェイクか」

「よー、朝ぶりだな」

「シルフィスってこの前のマンティスだよな?」

「そうそう、あのマンティスで合ってるぜ」

「・・・・強いのか?」

「そりゃあ、もう・・・」










「うちのクラス、半分やられてんもん」

お前のとこもかい。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「レーヴァ・フリードだ。前に、一緒に食事をしたよな?
いい勝負にしよう・・・!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」





   「それでは、試合開始!」


シャキン!シュゥ・・・   ガキィン!


「おっと、いきなりか」



試合開始と同時にシルフィスがレーヴァに向かって斬りかかってきた。
シルフィスの武器はマンティス特有の腕に付いている鎌だ。


「・・・・・・・・・・・・」ビュビュビュビュビュ・・・!

「なかなかいい太刀筋だ・・・!」

キィン!カン!キン!ガキン!シュィン!・・・


手数が多く速い連撃をレーヴァはランスで次々と受けていなしている。




「てことは、クラス半壊vsクラス半壊か・・・」

「ブフッwwwマジかよ!レーヴァも半壊させてんのか!ww」

「ああ、だいたいシューゼンのせいな」

「はっはwwwwあいつおもしれーわやっぱり!www」


ギィン!シュン!フォン!カァン!


「ウェイクのとこはなんでそうなったんだ?」

「ん?んー、うちの先生が『折角だから勝ち抜き戦にしよう』とか言い出して
シルフィスが連勝記録伸ばしちゃった感じ?」

「なんで勝ち抜き戦にしてるんだよ・・・」

「だってうちの先生、リザードマンだし」

「ああ、納得・・・」


ガキィン!ビュォ!シィン!キィン!


「半分で済んだってことは誰かがシルフィスに勝ったんじゃないのか?」

「いんや、シルフィスの奴が『飽きた』って目をして寝始めちゃって・・・」

「えぇー・・・」

「まあ午後の試合始まる前には起きて良かったけどよ・・・」


シュィン!キィン!ギキィン!


「てことは、この試合も飽きたら寝始めちゃうんじゃないの?」

「んー、それはなさそうだ・・・」

「え?なんで?」

「あいつ、何か楽しそうだから」

シルフィスの表情を見るが、いつもと変わらぬ無表情。


「・・・・・分かるのか?」

「まあ幼馴染っすからー」

「そんなもんかね」

「そんなもんっしょ」


キィン!


「はぁ、はぁ・・・・なかなかやるな!」

「・・・・・・・・・・・・」チャキ・・・


打ち合いも一段落したようだ。


「次は私からだ・・・はぁぁぁぁああああああ!」

キィィィィィィィィィィィィィィィィィン!

レーヴァが叫ぶとランスの先に光が集中する!
輝ききったところで・・・



「秘奥義!シャイニングロードォ!」

カッ!   シュバァッ!


レーヴァも光り輝き、まさしく光速のように繰り出された一閃がシルフィスを襲う!
シルフィスは構える体勢!受ける気か!



キィィィィン!・・・・・













辺りが静寂に包まれる・・・




「・・・・・・・・っ」ガクッ


おお!?シルフィスが膝をついた!
レーヴァの勝・・・・



ブシュゥ!

「あ、ぐぅ・・・っ!」ガクッ


え・・・レーヴァも膝をついただと!?
何でだ!?

・・・よく見ると斬り傷が数箇所についてる・・・まさか!



「わ、私の攻撃・・・直撃を避け、カウンターで、斬るとは、な・・・」ハァハァ

「・・・・・・・・・・」ハァ・・・・ハァ・・・・

「だ、だが・・・完全に見切ったわけじゃなさそうだが・・・!」


あ、相討ちか!
でも両方共満身創痍だな・・・次で勝負が決まるか!?


「・・・・・・・・・っ」チャキ・・・

「ふふ・・・・そうこなくてはな・・・!」


ダダダダッ


二人が走り出し、再び両者から攻撃が・・・・















「そこまでだ!!」


「「!!??」」




先生方が二人の攻撃を止めていた。

レーヴァはリザードマンの先生の剣にランスを阻まれ、
シルフィスは妖狐の先生による妖術で動きを止められている。


「二人共、時間だ。この試合、引き分けとする!」


あぁ、そういえば制限時間とかあったなぁー・・・

二人の勝負がすごくて、時間の経過とか忘れてたわー・・・


「し、しかし!」

「・・・・・・っ!!」


だが二人は納得してない様子。すると


「二人共よく戦ってくれた。
・・・だがここで試合を止めなければ、どちらかはただでは済まないだろう。
それに、明日も授業があるのだぞ?大怪我して支障が出たらどうする?」



「わ、分かりました・・・」

「・・・・・・・・」シュン



レシア先生の鶴の一声。
二人は残念がっていたが、結果を認めたようだ。


「そう残念がるな。まだ実戦形式の授業はこれからもある。その時に決着をつければいい。・・・・それには時間内で収まるよう精進しないとな?」


「はい!分かりました」

「・・・・・・・・・・・・!」


「それでは、互いに握手を」

ギュッ!


パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ・・・・

周りのみんな全員から、自然に拍手が送られていた・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「レーヴァ!すごい試合だったよ!」

「シルフィス、お疲れさん」ポンポンッ


リティがレーヴァに感動の声をあげ、ウェイクがシルフィスの頭をぽむぽむしてる。
ちなみにシルフィスは無表情だ。


「ああ、ありがとう」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」











「今日の試合はここまでだ。少し早いが授業もここで終わるとしよう」


レシア先生がみんなにそう伝える。
しかしやけに早いな・・・たった2試合で終わりなんて・・・
ん?ちょっと待てよ?


「あの、先生」

「なんだ?」








「E組の代表はいないんですか?」


実は今までA,B,C,Dの学生が一人ずつみんな出ているのだ。
おそらくそこがクラスの代表戦ということだったのだろう。

「ああ、それなんだが。E組の代表となる子が来ていないのだよ」

「え?でもそれなら他の代わりの子が試合に出れば問題ないんじゃ?」
















「E組は、その子以外はみんな保健室送りだ。だから代わりがいない」





・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?

『ええええええええええええええええええええええええ!?』


その場にいた学生ほぼ全員がきれいにハモった。

「ちょ、ちょっと待ってください!一体どう言うことですか!?」

「その子がみんな保健室送りにしてしまってな。今その担任の先生がその子を探しにいってるのだが、戻ってくる気配がなさそうなのでな」

「マジですか!!?」

「?マジだが」


そ、そんな奴が同じ学年の中にいるのか・・・
恐ろしい奴もいたもんだ。

「まあ数年に一度、こういった実力者が入学することがあるんだ。
別にみんなが劣っているわけではないから心配するな」

心配するとこそこじゃないんですけど!?

「ほらほら、そんなこと言っていると授業がいつまで経っても終わらないぞ?」

うーん・・・納得したわけじゃないけど・・・・
今気にしても仕方ないか。



「それでは今日の授業はここまでとする!各自体を休め、明日に備えるように!」


『はいっ!』


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「いや〜、すごかったなぁ。午後の試合は!」←ウェイク

「本当にレベルが高かったですね!」←リント


「えへへー♪そんなこと言われると照れるぞっ!///」シッポパタパタ

「ふふふ・・・そんなにすごかったか?」

「・・・・・・・・・・・・・」

試合に出てた三人はとても嬉しそうだ。
一人は無表情だけど、ウェイク曰く、ちゃんと喜んでるらしい。


「私もレーヴァみたいに早く強くなりたいな!」←リティ

「む、では明日から稽古してやろう!」←レーヴァ

「いや、リティの武器、弓だから・・・」←セイン


『はははははっ』

みんなでそんな話をしながら帰路についていた。



「おっと、そうだった・・・。すまないが私は寄るところがあるから、これで失礼するよ」

「・・・・もしかして、保健室か?」

「ああ、そうだ」

レーヴァが保健室に行くと言い出す。
おそらく、シューゼンのことだろう。

「なんだ!?どっかひどい怪我でもしたのかっ!?」

「怪我じゃないから心配するなポーチル。それじゃな?レーヴァ」

「ああ、それじゃまた明日な!」タタタタタ・・・

やや急ぎ気味に走っていった。
レーヴァ、頑張れよ・・・!






「・・・・・・・・・・・・」

「どうした?ルーク」

さっきからルークが黙り込んでいる。いつも騒がしいくらいだから、ここまで静かだと何か気持ちが悪い。

「・・・・・俺はまだまだだな」

「ん?」

「この学園にはこんなにすげえ奴がいっぱいいるんだ・・・・俺も頑張らねえといけねえなって思ってな!」

「そうか・・・!」

ルークも今日の試合を見て、思うところがあったらしいな。

「それは俺も同じだ。でもまだまだこれからさ!」

「おうよ!こんなんじゃいられねえ!俺はこれから絶対強くなってやるぜ!」

「ははっ!その意気だ!」

「よっしゃあ!それじゃ明日も張り切っていくぜぇー!!
それにはまず腹ごしらえだな!」

















「それじゃ今日の晩飯、ルークの奢りな」

「何で!?Σ(゚д゚;)」

「お前が一番最初に保健室送りにされたから」

「そりゃないぜぇー!?(´Д`;)」




ルークはこれから強くなることを決意した。
俺も立派な冒険者になれるよう、これから頑張っていかないとな!




12/09/16 20:32更新 / 群青さん
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■作者メッセージ
初授業後半となります!

いや〜長かったですね!
私も考えてた当初より長くなってビックリしております・・・
あと魔法や必殺技、アイテムなどもちょっとだけ出してみました。
まだまだ色々出そうと思ってますのでご了承くださいm(_ _)m

明日からはまた別の授業となります。
流石に戦闘はないと思います。・・・・・・・・ないよね?


あと質問などがある場合は感想の方によろしくお願いします。
答えられる限りの範囲でお答えしようと思います!
みなさんの感想が私を育てる糧となります!

それでは次回もよろしくお願いします!

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