授業中断!? vs巨槌宝殻虫!-アクシデントとボス戦と-
俺は無我夢中で彼女の姿を追った。
姿が遠くなりつつある彼女に、追いつくように。
必死に走って、手を伸ばして。
とにかく、守らなきゃいけないって。
だから。
「リティ!」
「セインっ!ダメ!」
だから、自分も暗闇の先に落ちていることには、全く気付かなかった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「セイン!?あの馬鹿っ・・・!!」ダッ
「駄目です!ルーク!落ち着いてください!」ガシッ
「リントぉ!離せ!」
「ルークまで落ちたらどうするんですか!冷静になって考えてください!」
「だからって・・・!!チクショウ・・・!」
マズイことになった・・・
リティとセインが穴に落ちて、皆それにロタえて(狼狽えて)る。
問題はそれだけじゃないってのに・・・!
ピギュィィィィィィィィィィィィ!!
ゴォウ!
やべぇ!
あのデカブツ、ルークとリントを狙って・・・
ガキィン!
「皆!落ち着け!」
「レーヴァ!」
「直ぐにでも落ちた二人を救出せねばならん!
だが、まずはこいつをどうにかしないと先には進めんようだ・・・!」ギリギリギリ・・・
レーヴァがツルハシで攻撃を受け止めたか・・・
だがあまり持ちそうにないな。
ツルハシでまともに戦闘なんて無理がある。
「せぇい!」
ビュオゥ!
おぉ?突風!?
「私を忘れて貰っては困りますねぇ」
「とーぜんアタシもね!」
アンネロとオバネか・・・
マホ(魔法)に使い慣れてるシャベルが武器のこの二人がいれば・・・
この場は何とかなるんじゃないか?
はぁ・・・
腹、くくるか。
「皆聞け!」
『!』
「リントは先生達にこのことを知らせろ!それ以外の奴はこいつの足止め!
この狭いコド(坑道)を移動されたら崩れるかもしんねぇ!
深追いはせず、もしまた地面が崩れそになったら退避!いいな!」
「わ、分かりました!」
「あ、ああ!」
よし!それじゃ・・・
「ま、待て!お前はどうするんだ!!」
グッ・・・
「こぉするんだよ!」
ダダッ!
「!? 何をするつもりだ!」
あの虫が立ち入り禁止の前に陣取ってる。
おそらく下に行くならあそこから通らなくちゃならんよな。
と、なるとだ。
チャキ、チャキキ!
ビュオウ!ビュオウ!
あの虫の二つの鋏が襲いかかる!
だがお構いなしだ!
ヒュゥン!ヒュン!
「お、お、お、おおおおおおぉおおおぉおお!」
ズザァァッ!
「ス、スライディングで横を抜けた!?」
「オレはあいつらを探す!ここは任せたぞ!」
「待て!それこそ危険じゃないか!」
「もたもたしてっと、それこそあいつらが危ないだろ!」ダダッ
「シューゼン!・・・・くっ」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
俺は空中で彼女の姿を追い続ける。
落ちながら、必死に。必死に手を伸ばす。
やがてお互いの手が近づき、触れて。
彼女の腕を引き、体を引き寄せて。
守るように、傷つけないように。
そっと、抱きしめたんだ。
ガッ、ゴッ、ドゴッ、ガリッ、ゴガッ・・・・・・・
ゴシャァ・・・
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
坑道内広間 vs巨槌宝殻虫
「リント!行け!」
「はい!直ぐに戻ってきますから!」タタッ・・・
リントは先生方の下へ向かわせたから大丈夫だが・・・
リティ、セインに続き、シューゼンまでも・・・!
早くこいつを何とかしなければ!!
「さぁて、どうしたもんかね・・・」
「足止めなら足狙いかな」
「あの鋏を掻い潜って足を狙うのは些か骨ですがねぇ」
「深追いはするなよ。倒すことが目的ではないからな」
「わーってる、よぉ!」ダダダダッ
ルークがジェグルナンに突っ込んでいく!
あいつは話を聞いてたのか!?
キチチ、チャキキ・・・ビュォ!
相手はその鋭利な両手で迎撃体勢を取り、ここぞとばかりに鋏を振るう。
しかし・・・
ガキィン!
「真正面から突っ込むとかバカかお前!」
「あ、あんぐれーの攻撃、避けられたわ!バカにすんなし!」
アンネロにより既のところで免れた。
全く無茶しおって・・・
回避できる距離ではなかったではないか。
「でも距離を取れない現状じゃ、攻めるというのはありでしょう?」バサァ
クウが相手の頭上を取った。
これならば標的を二方向に・・・!?
「クウ!避けろぉ!」
「え?なっ!?」ヒュッブウォン!!
あのハンマーのような尻尾を振り回してきた!
あの尻尾、思っていた以上に長い!
厄介だな・・・
ヒュン・・・グオォ!
ドゴォン!
「くっ・・・正面にも打ち付けられるのか・・・!」
なんとか回避はできているが、これでは直ぐにバテてしまう。
何か・・・何か策を考えないと・・・!
「くそったれぇ!」ブン!
カキン
「硬っ!?」
そうも言ってる間にルークがツルハシを振るうが、いとも簡単に弾かれた。
ガキン!ガキン!
「アタシの自慢のシャベルでもダメなのっ!?」
どうやら手元にある道具じゃ満足にダメージも与えられんようだ。
これでは闇雲に攻めても駄目だな・・・
「これなら・・・どうでしょう!」ビュゴォ!
クウが魔力で空気を集中させ、風の塊を作る。
そして小さな風の塊がジェグルナン目掛けて飛んでいった!
ドゴォウ!
「よし!当たった!」
ヒュン!ヒュン!
「うわわっ、っと!」ドゴォン!
「危ねっ!」ボゴォン!
意を介さず反撃してきただと!?
殆ど効いてないようだな・・・
「ならば・・・ツルハシで出来るかどうかは怪しいが・・・!」
キィィィン!
「食らえっ!『ブラストエッジ』!」ビュオン!
出た!これでどうだ!
バシュゥウ・・・
キチチ、キチキチ・・・
き、効いてない・・・だと・・・
馬鹿なっ!?
「・・・おそらく、魔力を受け流してますねぇ」
「魔力を受け流す、だと?」
「ええ。こいつの主食は鉱物ってリントは言ってましたよねぇ?
こいつほどの大きさの奴が鉱物を食べるとなると、豊富にないといけませんよねぇ。
つまり、好物が豊富な深部に生息してるだろうってことですよ。
深部には魔力が溜まってますから、それに影響されない甲殻を持っているのかも・・・」
「なるほど・・・魔力による攻撃は効きづらいということか」
「じゃあなんでそんな奴がこんなとこにいるんだよっ!!」
「そんなの、私に聞かれても困りますよ。本人に聞いてみないと」
「どーなんだよ!デカイの!(`Δ´#)」
シーン・・・・
「いや話が通じるわけないだろっ!?(°д°;)」
「バカなのっ!?アンタ本気でバカなのっ!?(・□・;)」
「流石にそこまでとは思ってもみませんでしたねぇ・・・(´Д`;)」
「えーーーっっ!?(;゚Д゚)
そこまで言われなきゃなんねぇか!?てかお前もそこで静かになるなよ!」
「元々喋らないでしょうが!」
鳴き声(?)はあげていたが、このような生物が流暢に人語を話せても・・・
違和感しかないがな。
「気を取り直して・・・ここは長期戦を覚悟するしかあるまい・・・!
少しでも多くのダメージを与えるんだ!」
「注意をこちらに向けられれば、それに越したことはありませんしねぇ」
「長期戦って、いつまでよ・・・」
「止むを得んが・・・先生方が来るまで、だろう」
「結構距離あったよなぁ、ここに来るまで・・・
リントー!早く来てくれー!( ̄▽ ̄;)」
リティ、セイン・・・
シューゼン・・・!
頼む・・・
無事で、いてくれ・・・!!!
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
坑道内 立ち入り禁止区域
「道が整備されてなくて進みづらいな・・・」
オレは道すがらにあったコド(坑道)内を照らしているランプを取り外し、それを片手に進んでいる。
ランプにはマホ(魔法)石が入っているようで、消えることはなさそうなので安心だ。
道はかなりゴツゴツしており、チュイ(注意)して進まなければならない。
「ったく、こっちは急いで見つけなきゃなんないってのに」
道はそこまで狭くないが、足場が安定してないため素早く進めない。
もどかしいったらありゃしない。
「あいつら・・・大丈夫だろうな・・・」
あの二人のことももちろん心配だが、残してきたメンバーのことも気になっていた。
正直あんなにでかい虫は初めて見た。
だがあいつらは魔物だ(ルークは人間だが)。魔物の強さは知っている。
だからこそ任せてきたわけだが・・・
「・・・オレが残っても仕方がないしな。あれの相手じゃ」
今は信じて先に進むしかない、か。
ザッ・・・ザッ・・・
・・・バサッ・・・・・・バサッ・・・・・・
羽音?
・・・何かいるな。
・・・バサッ・・バサッ・・
近づいてきたか・・・
避けて通れなさそうだな。
覚悟はしていたが・・・全く。
野生の魔物がいるんだろなとは、思ってたよ。
「こぉ〜んな暗い場所に一人で来るなんて・・・一体何の用があって来たのかしら?♥」
「まあ理由なんてど〜でもいいんだけどね〜♥」
「ふふふ・・・若いオス・・・♥」
羽音が止むと、どこからか声が聞こえてきた。
暗闇の中から声はするが、相手の姿は全く見えない。
おそらくワーバットの類だろうな。声の数からして3人か・・・
「なあ、人を探してるんだ。二人ほどな。知らないか?」
エルフと人間の男とゆことは伏せておく。
もしもそっちに行かれたらメンドイからだ。
「ん〜?知らないわよ。もしかしてさっきの地響きのせいかしら」
「そゆこと。ふむ、ならどこら辺まで岩が崩れてきたかは分からないか?」
「それならここを真っ直ぐいったとこの左の分かれ道の奥の方から聞こえたけど・・・
何か君、あんまり怯えてないね」
「だってキミたち、ワーバットだろう?魔物だって分かってればな」
「へえ・・・ふふふ、正解。だったらこれから何をされるのかも分かってる・・・?♥」
「大体は。だがこっちは急いでるんだ。構ってる暇はないね」
「「「それなら、力ずくで・・・イイコトしましょ?♥♥♥」」」バサッ・・・
来るか。だよなぁ・・・
それなら・・・
「さて、先に言っておく。情報ありがとう」ゴソゴソ・・・
「あら♥潔いのね・・・♥そーゆー子は大歓迎よ♥」
「あと、これも先に言っておく」カチャカチャ
「何かなー?♥あまりカンケーなさそうならもうヤっちゃうよ?♥」
「それはだな・・・」
話をしつつ時間を稼いで・・・
ランプから光の源になってるマホ石を取り出して、と。
しかし、ワーバットでよかった。
「ちょっと眩しいけど、ゴメンな?」スッ・・・
「「「え?」」」
ピカアァッ・・・!!!
「「「きゃあああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・・・・」」」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
坑道内広間
「はぁ・・・はぁ・・・!タフだなコイツ!」ハァ・・・ハァ・・・
「ぐっ・・・やっぱりツルハシとかじゃ、ダメージ与えられねーなぁ・・・」ゼィ・・・ゼィ・・・
「・・・奥の手さえ使えれば、この相手でも遅れはとらないんですがねぇ・・・!」フゥ・・・フゥ・・・
「大規模な魔法など、使ってしまったらそれこそ我々が生き埋めになるぞ・・・」
「ですよねぇ・・・」フゥー・・・
あれから相手の攻撃に気を付けつつも善戦していた私達だが、激しく動いていたために体力の方は尽き始めていた・・・
正確には気疲れの方も大きいだろう・・・
なにせこのような巨大生物と対峙すること自体初めてなのだから。
周りに影響を与えない程度の魔法や攻撃で牽制していたが、その程度の魔法やツルハシなどではビクともせず、正直参ってしまっている。
私はまだ動けるが、いつまでもつか分からない。
「結構な時間、経ってるはずだよね・・・」
「どうでしょうねぇ・・・今の状態の時間感覚では正確に判断できるとは思えませんが・・・」
「っ!来るぞ!」
ドゴォン!
近くにハンマーのような尻尾が振り落とされる!
皆辛うじて避けるが、それで精一杯だ・・・!
「あうっ!」ガクンッ
「アンネロ!?マズイ!」
アンネロの足がもつれた!しかもそこに二撃目が・・・!
ヒュォッ!
ドゴォォン!
ズザァ!
「間一髪、でしたねぇ・・・」グググッ・・・
「あ、ありがとう、クウ」
何とかクウが高速でアンテロを引っ張り助けたが・・・!
「まだだ!油断するな!!」
そのまま横殴りの追撃が来る!
「おりゃぁぁぁぁぁぁあああ!」ガァン!
グラァ・・・!ブオォン!
空を切った!?
紙一重で当たらなかった!
「ルーク!」
「へへ・・・直接打ち付けてダメなら、足場を崩すってのはどーだ?
本来こういう掘る使い方だしなっ・・・!」
ルークがジェグルナンの足場を崩したのか!
バランスが一瞬崩れたおかげで当たらずに済んだのか・・・
無茶をしおって・・・っ!?
「ぐ・・・結構キツいぜ・・・」
「ルーク!離れろっ!!」
「何っ・・・!?」
ドグッ・・・
「がっ・・・!」
ボゴォオン!!
『ルーク!!』
鋏で薙ぎ払われた!?
しかも直撃・・・!壁に吹っ飛ばされた・・・!!
「大丈夫!?ルーク!」
「う・・・ぐぅぉ・・・!効い、たぜ・・・!」
「うおおおお!これ以上、仲間をやらされてなるものかっ!!」
私が守らないで!誰が仲間を守るんだ!
この一撃にかける!
「ハァァァァァァァァァアアアアアア!!!」
キィィィィィィィィィィィィィィィィィン!
ツルハシをランスのように構え!
一点集中・・・!
ありったけの魔力を・・・一点に!
「貫け!『シャイニングロード』!!」
カッ! シュインッ!
ドゴオォ!
ピギュ・・・ギギギ・・・!
光のような速さで相手に攻撃を与えられた!
ツルハシは相手の懐を捉えている!
このまま押し切るっ!
「うぉおおおおおおおおおお!!!」
バ キ ン ッ
「・・・・なっ・・・!?」
ツルハシが・・・・折れ、た・・・
衝撃に耐え切れなかったのか・・・!?
ピギギギギギ・・・・
相手にもダメージは入ったようだが、まだ動けるようだ・・・
「レーヴァ!離れて!」
シュイン・・・シュォッ!
ぐ・・・鋏が眼前に迫る・・・避けられん・・・
万事休すか・・・!
「よく、持ちこたえたな」
バギンッ!
な、何だ!?目の前に土の柱が・・・
地面からか・・・!?
振り向くとそこには・・・
「み、皆さん・・・遅くなりましたぁ!」ハァ・・・ヒィ・・・
「レーヴァ、皆・・・よく頑張ったな」
リントとレシア先生の姿が、瞳に映った。
・・・・・
「よくも私の生徒に危害を加えてくれたな・・・」
ジェグルナンの真下に魔法陣が展開される。
「その罪は・・・重いぞ!」カッ
ズズズズズズズズ。・・・
刹那、ジェグルナンの八方に岩の柱が突き出された。
ピギュ・・・ギュギギギ・・・
ドゴン・・・・ドガン・・・・
相手が攻撃をしてもビクともしない岩の柱が、ジェグルナンを囲っている。
「大地の重み、命の重みに沈むがいい・・・」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・
地面が唸り、柱から出た巨大な鎖がジェグルナンを縛り上げ・・・
「『大地の贖罪(グラウ・デストロート)』・・・」
その柱とともに、地中へと沈んでいった・・・
・・・・・
「す、凄い・・・」
「あんなに苦戦したあいつを一瞬で・・・」
ジェグルナンがいた場所は、何事もなかったかのように整っていた。
これが先生の魔法か・・・
「ふぅ・・・」
「助かりました、レシア先生。ジェグルナンはどうなったんですか?」
「別に殺してはいない。元いた場所、深部へと送ってやっただけだ。
しばらくは動けないだろうがな・・・
それにあれはこの鉱山にとっても大事な存在だからな」
「どういうことです?」
「ジェグルナンの甲殻からは、純度の高い魔石が生成される。
そして、甲殻が剥がれ落ちる時期があり、それを採取することができるのだ。
あれほどのサイズになっていたことには驚いたがな・・・」
「では、その甲殻が剥がれる時期だったから、このような浅い場所まで来たと?」
「それは違う。時期はまだ先だし、それにその時期はおとなしくなっている。
他の生物に攻撃を加えてくることはないはずだ。
おそらく、昨日の大雨のせいで土砂崩れが起き、住処を追いやられたのかもしれない。
気が立っていたのだろう。でなければここまで来ることはないからな。
・・・雨のことを考慮し、ギリギリまで調査を行っていればお前達を危険な目に合わせずとも済んだ、というのにな。
我々の事前準備不足だ。本当に済まないと思っている・・・」
「レシア先生のせいではありませんよ・・・土砂崩れなどの事故は想定できるものではありません」
「・・・しかしっ!現に負傷者が出てしまった・・・!責任を取るしか・・・」
「そのセンセーがいなかったら、俺らはやられてたんですよ。第一、事前準備は学校側の責任であって、先生一人が責任取っても仕方ないんじゃないですか?」
「・・・・・・」
時折、ルークは確信を突くようなことを言うな。
同じ人物とは思えん程だ。
「今何か、失礼なこと考えなかったか?」
「む、そんなことはないぞ」
「それよりも今は、セインとリティ、シューゼンを早く捜索すべきではないでしょうか!」
リントが話を切り替えてくれた。
そうだ!今重要なのはそちらの方だ!
「そうだな・・・よし、急ごう。授業は一時中断だ。皆は入口に戻っていてくれ」
「いえ!俺たちも探しに・・・いだだっ!」
「そんな怪我では無理だ・・・頼むから、無茶はしないでくれ・・・」
心配そうな顔でルークを見つめるレシア先生。
「それに他の者たちもだ。皆疲れている中で数人の捜索は困難だ。
入口で待機していてくれ・・・」
「・・・仕方がありませんねぇ」
「うう・・・」
「くそっ・・・!セイン・・・無事でいやがれよ・・・」
「待ってください!私も行きます!」
「レーヴァ・・・」
私は捜索に加わろうと名乗りを上げた。
私の友が、命の危機に瀕しているかもしれないというのに、じっとなんてしていられない!
「だが、君が一番戦闘で疲労しているはずだ。同行は無理だ」
「いえ!私はまだ大丈夫です!」
「しかし・・・」
「レーヴァ、これを」
リントが私に液体の入った小さな瓶を渡してきた。
薄紅色をした透過性のある液体のようだ。
「これは・・・?」
「僕が持ってきていた、回復薬です。いざという時にいつも持ち合わせるようにしているんですよ。先程、他の皆さんにもお渡ししました。魔力も少しは回復するはずです」
「そうか・・・リント、ありがとう」
私は受け取った瓶の中身を一気に飲み干した。
体の重みがなくなり、幾分か魔力も戻ってきたようだ。
凄い効き目だな・・・
だがルークの怪我は回復しきらなかったようだな。
「あと、僕も行きます。
皆が頑張っていたのに、僕だけ楽して待ってるなんて、自分が許せなくなります」
「二人共・・・」
「お願いします!」「私たちも捜索に加えてください!」
「・・・仕方がない。同行を許可する。ここで言い合いしている時間も惜しいのだ。
ただし無理はするな。私が続行不可能と判断した場合、即刻戻ってもらうぞ」
「「はいっ!!」」
「レーヴァ、リント・・・俺たちの分まで、頼むぞっ・・・!!」
「ああ、必ず見つけて戻ってくる!だから安心しろ!」
「任せましたよ」
「アタシらはルークを運んで戻るよ。気をつけてね・・・!」
「分かった。そちらも気をつけてな」
「それでは行くぞ!」
「「はい!」」
こうして、私、リント、レシア先生の3人での捜索が始まったのだった・・・
13/02/26 23:00更新 / 群青さん
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