連載小説
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授業三日目!ドキドキクッキング!?-料理スキルと意外性!?-


 夕焼けが輝く場所



そこにいるのは 前に見た男の子と誰か




 その誰かは  泣いているようで



           掠れた声と 落ちる雫



    すると男の子は


「ーーーーーーー!ーーーー!」




何かを伝え




         そして その子に向けて




ニッコリとした 満面の笑みと






   見覚えのある 青い花を・・・






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





 朝 自室


あれは・・・・前に花屋で見た花・・・

確か・・・ フェアギス・・・・なんだっけ?


なんであの花が、夢の中に・・・?




「おはようございます。どうしました?難しい顔して」

「いんや・・・ちょっとな」

「例の、あの夢ですか?」

「まあ、そんなとこだ」

「あまり気にしすぎると、体に毒ですよ?」

「それもそうだな・・・」

夢のことは、また後で考えよう。
今から飯食って、授業に行く準備でもするか。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 朝 1−B教室



「みんなおはよう。昨日説明会に参加してた人はお疲れ様だな。
この学校の組織についてはよく理解できたかな?」

いつもの通り、時間ぴったりに来たレシア先生のお話からスタート。
今日はどんな授業をやるのかね?

「それはさておき、今日の授業について説明する。

今日の授業は『料理学科』の授業内容だな。
それで、いきなりで悪いのだが、今日はみんなに料理を作ってもらう」


『ええ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!?』


料理だって!?
俺苦手なんだけどな〜・・・

「なあリント、お前は料理できるのか?」

「実は、僕も料理の方はちょっと・・・食べ物の知識はあるんですけどね」

流石に万能なリントでも、調理は苦手らしい・・・


「みんないい反応をするな。
今まで料理をしたことない人もいるだろうが、別に料理の評価をするわけではないから心配するな。
あくまでも現段階のスキルのチェックということだ。
材料の指定は少しあるがな。

今後、野営実習の授業もあるから、今回はその前段階となるわけだな。
故に、今日だけというわけではなく、今後何回か調理実習を行う予定だからそのつもりでいてくれ。

料理とは、生活の基本だ。
冒険者やギルドも長距離の仕事や移動となると、自分でその場で調理して過ごさないといけない場面もある。
一般生活でもそうだ。
自立するのであれば、料理くらいはできるようにならないとな?」

マジかよ・・・
でも飯が作れるようになって、損することはないよなぁ。

「料理で必要なものはこちらで全て準備してあるから大丈夫だ。
では『調理実習室』に移動するぞ」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


調理実習室


ここはもちろん料理が行える場所である。
料理部の活動場所も大体ここらしいな。
調理台がいくつもあり、広さもなかなかだ。

「まず流石に一人で料理するのは危ないので、4人くらいで班を作ってもらう。
基本的には自由だが、最低一人は料理の経験がある者が入るように。
未経験者はその者の指示に従い、調理をするようにしてくれ」

班分けか・・・良かった、一人じゃなくて。
さてどう分かれるかな。

「セイン、おはよう」

声をかけてきたのはリティ。
後ろにレーヴァとシューゼンもいる。
今日の授業も1−Cと合同だ。
先生曰く、1週間は同じクラスと合同らしい。
コロコロ変わっても、あまりメリットがないからだそうだ。

「おはようリティ。リティは料理できるか?」

「す、少しだけなら・・・母様のお手伝いとかしてたから・・・」

「おー、すげえじゃん!」

「そ、それでね?私たちと一緒に、料理しない?」

願ってもないお誘いだ!
これは助かる!

「本当か!?是非頼む!」

「ここ、こっちこそ!それじゃ、よろしくね!」


・・・・・


そんなわけでリティたちと料理をすることになったのだが・・・
ここで問題が一つ。

今のメンバーは俺、ルーク、リント、リティ、レーヴァ、シューゼン。
6人では少し班員が多い。
分けるにしても少し足りない、という人数になってしまった。

「困ったな、どう人数調整するか・・・」

「私も料理できるって言ったけど、少し自信ないな・・・」

ならば料理経験のある奴を探して一緒にやれればいいが・・・


「あのぉ、ちょっといいですかぁ〜?」

ゆったりとした声が横から聞こえる。
見ると、頭から触覚のようなものが生えた、全体的にぬめりのありそうな子と、凛々しい顔つきの蜂のような子が二人いた。
確か、おおなめくじとホーネットのはずだ。

「えと・・・確か同じクラスの人だよね?」

リティがそう言う。
ということは二人共1−Cか。

「そうですぅ〜。わたしたちぃ、一緒に料理をする人を探しているんですけどぉ、よかったら一緒にやりませんかぁ〜?」

まさしく渡りに船とはこのことだろう!
使い方あってるよな?

「構わないよ。ちょうどこっちも人数足りなくて困ってたんだ!」

「そうですかぁ〜!それはよかったぁ〜」

「みんなもいいよな?」

満場一致で頷く。

「こんな可愛い子二人と一緒に料理できるなら、大歓迎だぜ!(゚∀゚)」

「大勢と作ったほうが、料理も美味しくなるだろう!」

「こうやって仲良くなる人が増えることは、いいことですね」

「そだな。オレも別に構わないよ」

「みんなで料理するの、楽しみになってきたね!」

問題なさそうだ。

「それじゃぁ〜、自己紹介ですね〜。
わたしはぁ〜『エイミィ・メヌエッティ』といいまぁす。よろしくお願いしますねぇ〜」ニッコリ

「ああ、よろしくな。俺はセインだ」
「俺はルーク!よろしく!」
「リントといいます。どうぞよろしく」
「リティです。クラスでもよろしくね!」
「レーヴァだ、こちらこそよろしく頼む」
「シュウゼンだ。よろしく」

こちら側の自己紹介はさっと行う。
そしてもう一人のホーネットはというと・・・

サッ!ビシィ!

「自分は!『ネイビー・ボナード』であります!どうかよろしくお願いするであります!」

いきなり姿勢を良くし、気を付けをしたと思うやいなや、敬礼のポーズから元気よく自己紹介をしてくれた。
また個性的な奴が来たな・・・

「お、おう。よろしく頼むな。
あ、そうだ二人共料理はできるのか?こちらはあまりできない面子が多くてな・・・」

「わたしはぁ〜、できますよぉ〜♪料理学科志望でぇ〜、この学校に入りましたからぁ〜」

「僭越ながら、自分はあまり得意ではないであります・・・」

朗らかな笑みで答えるエイミィと少しシュンとするネイビー。
料理学科志望の子がいるのは大きな戦力だ。

「よし、それじゃあやるか!」

『お〜〜〜〜〜〜!』


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「班分けのできた者は、各自前にあるエプロンと三角巾を取りに来てくれ。
食材はこの扉の食料保存庫の中にある。
食材は好きなものを使ってくれて構わないが、使う分だけ取っていくように。
あと今回は『卵を使った料理』ということで、必ず何かしらに卵を使ってくれ。

また、調理の前は手をよく洗ってからな?
あと、私とエスティス先生も料理はできるから、何か質問があったら尋ねるといい。
教えられる範囲で教えよう」

「先生、質問なんですが」

「なんだ?」

「その服装はなんでしょうか・・・」

レシア先生はいつの間に着替えたのか、着物に白いエプロンのような服を着た格好をしている。
見慣れない格好なので、実に新鮮である。

「これか?これはジパングに伝わる「割烹着」という物でな?
ジパングの者はみんなこれをつけて料理をするらしい。
せっかくだから着てみたのだが・・・似合わないか?」

「いえ・・・よく似合ってると思いますよ」

「そうか、ありがとう」

いつもと違う雰囲気のレシア先生に思わずドキッとしてしまう。
なんというか、母性が溢れ出ているというか・・・
なんだかとてもイイ。
ルークもポケ〜(゚Д゚)とした顔をして先生を見てる。

「どうした?ルーク・ミドルハイカー」

ハッ!「い、いえ!なんでもありませぇん!(;゚Д゚)」


そそくさと離れるルーク。
全く、いつも通りで安心するよ・・・


・・・・・


「さて、班分けはどうする?」

人数は8人。
4人ずつ分かれるとして、なおかつ料理が出来る奴が一人ずつ入ってたほうがいい。

「料理ができるのは・・・リティとエイミィか。別々になるけどいいか?」

「わ、私はエミィと料理したいなぁ・・・色々と教わりたいし、それにみんなに教えながら料理できる自信は・・・」

ふむ、困ったな。流石に料理全然できませんよチームが出来上がるのは避けたい。

「んー・・・。じゃオレがその二人と別でいいよ。オレ簡単なリョリならできるし」

リョリ?ああ、料理か・・・
え?てかシューゼンできるの?

「お前作れるのか?」

「作る機会が多くてなー。家ではいつもオレがメシ作ってたよ」

マジか・・・てっきり俺らと同じできないもんかと・・・
ジパング人は料理スキルが高いのか?

「なら頼むわ。何か悪いな」

「いいってことよ。その代わり、お前はそっちのチームな」

「え?なんでだよ」

「お前いかにも作れなさそだろ?リティに色々教えてもらえよ」

「別にお前でもいいじゃないか」

「察しろ」

「?分かったよ・・・」

別にリティたちとでも何の問題もないが・・・
まあいいか。

「じゃあシューゼン!私が一緒でも問題ないな!?」

「ちなみにリョリの経験は?」

「ぐ・・・・な、ないが・・・」

「・・・具材切るくらいならできるよな?」

「も、もちろんだ!」

「じゃ、善処するか・・・。別にいいよ」

「本当だな!よし!」

レーヴァはシューゼンチームの方へ。
これは予想通りだ。

「じゃあ僕もシューゼンさんのチームに入りましょうかね?」

リントもあちらに入るようだ。

「ルークもこちらに来たらどうですか?」

「リントがそっちに行くなら俺はセインの方に入るぜ!じゃねーとセインがハーレムになるだろうがぁぁっ!!」

ブレねえなお前は・・・・
ハーレムとか別にそんなこと思ってないんだが。

(クキ読めねえなお前は・・・ヨソ通りだけど)シューゼン
(空気読んでくれてませんね・・・予想通りですが)リント


「じゃあ、自分はシューゼン殿のチームでありますか・・・お手柔らかにお願いするであります!」

「何かごめんなネイビー。勝手に決まった形になっちゃってさ」

「いえ!いささか不安はあるでありますが、自分も色んな人と仲良くなりたいであります!試練であります!」

試練て・・・・そこまでのものじゃないと思うけどな。
でも確かに今日顔見知った奴と料理するなんて言われたら、誰でも不安になるか・・・。

「そこまでキンチョ(緊張)しなさんな、ネイビー。こいつらはみんないい奴らだからダイジョブだぜ?」

「僕も料理はできないんですけど、一緒に頑張りましょうね?」

「うむ、シューゼンに任せておけば大丈夫だ!」

「は、はい!そう言ってもらえると、恐縮であります!」

「勝手なことは言わんでくれ・・・」

シューゼンやリントがうまいことしてくれそうだ。
シューゼンは苦労しそうだけど。
問題はこっちだな・・・

「よろしくな!エイミィちゃん!」

「よろしくぅ〜、お願いしますねぇ〜♪」

「ルーク・・・お前余計なことだけはするなよ」

「あん!?余計なことってなんだよ」

「いいとこ見せようとして空回りすんなってことだ」

「う、うっせ!わーってるよ!」

大丈夫かなこの不発弾・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ではぁ〜、何を作りましょうかねぇ〜?」

「卵を使った料理だっけ?色々あるよなぁ・・・」

俺たちは何を作るかを悩んでいた。
凝ったものだと俺たち男組が手伝えるかどうか怪しいところだ。
全部任せっきりでもいいが、それは男としての沽券に関わる。

「私は果物を扱ったのを作ってたっけな・・・」

「果物と卵って合うのか?」

「ん〜、あぁっ!そうだぁ〜。クレープなんてぇどうですかぁ〜?」

クレープ・・・確かに生地には卵を使うし、フルーツにもよく合う。
うん!これはいい!

「そりゃいいな!さすが料理学科志望!」

「えへへ〜♪」

「でも俺ら手伝えっかね?」

「果物切るとか、それなら大丈夫だよね?」

「それくらいなら・・・よし!じゃあ作るか!」


・・・・・


「それじゃぁ〜、わたしたちはぁ生地の方を作るのでぇ、果物をあらかじめ切っておいてくれませんかぁ〜?」

「いいよ。でも何の果物にしようか?」

「バナナやイチゴが定番ですけどぉ〜、リンゴとかもシャキシャキしてとぉってもおいしいですよぉ〜♪」

「セ、セインたちのセンスに任せるよ!」

「これは責任重大だな!クレープの出来は俺たちの手にかかっていると言っても過言ではなぁい!(´∀`*)」

「変なの選んだら殴るぞ?」

「おう・・・(´ε`;)」

ルークを一人にさせるとタダじゃ済まない。
しっかり監視しとかないとな。


・・・・・


食料庫から持ってきたのはリンゴ、バナナ、イチゴ、生クリーム、チョコレート、カスタードといった定番のものと・・・
ルークが持ってきたスライムゼリー。
ハート型の果実を持ってこうとしてたが、全力で阻止した。
虜の果実はシャレにならんだろう・・・

「持ってきたぞ〜」

「ありがと!じゃあ包丁で皮むきはできる?」

「・・・・・・」

思わず無言になる。
恥ずかしながら包丁なんて今まで持ったことねぇっす・・・・

「ええと・・・・わ、私が教えてあげるからっ。い一緒に・・・」

最後の方にいくにつれ、顔が俯いてしまうリティ。可愛い。

「ご教授、お願いできますか?」

「う、うん!」

「俺をほったらかしにすなー!!(`Δ´#)」

ルークの空気の読めなささは今日も平常運転です。


・・・・・


皮をむいて、クレープに入れられるよう薄く切り、下ごしらえは完了。
リティが優しく教えてくれたおかげで、結構うまくなったと思う。
生地の方はどうだろう?

「ふふ〜ん♪ふ〜ふふぅ〜ん♪」

エイミィが上機嫌で生地となるベースを作ってる。

クレープ生地の作り方だが、
ボールに薄力粉と砂糖を入れ、泡だて器で混ぜてから牛乳を半分入れて混ぜる。
卵を割り入れ混ぜつつ、残りの牛乳も混ぜる。
できた生地はフライパンで焼くわけだが、下準備として中火でよく熱したフライパンに油を引いて一旦火から下ろす。
生地をお玉半分〜一杯くらい流しいれ、薄く広げて中火に戻して焼く。

大体こんな感じ。
思ってた印象より結構簡単そうだ。

「今回はぁ〜、牛乳の代わりにぃホルスタウロスさんのミルクを使いまぁす♪」

ホルスタウロスミルクはまろやかでコクがあり、しかも栄養満点!
しかもとても美味いそうだ!

ジュワ〜

「あ〜、うんまそぉ〜・・・早く食いたいなぁ(´q`*)」

「涎を拭け、みっともねえ」

「あ〜?(*´q`)」

「こっち向くな!」

エイミィとリティは笑っているが・・・
なんだか俺まで恥ずかしいな。


・・・・・


「よ〜し!あとは好きな具を入れて巻けば完成!」

「ぃやったぜぃ!」

「お腹空いてきたな〜」

「わ〜ぱちぱちぃ〜♪」

こっちはほぼ完成!
生地は熱くないように、一度冷やしておいてある。

「そういえば、あっちのチームはどうなったんかな?」

ふと思い出したようにチームの方を向く。
何やらとっても美味しそうな匂いが・・・

ジュワワ〜

「よっ」

『うおーーーー!!』

なんかギャラリー出来てる・・・!?
一体何を作ってるんだ!?


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


やや時間は巻き戻り・・・

 シューゼン視点

 シューゼンチーム

「卵を使ったリョリねぇ・・・」

「僕らは技術がないので・・・完全にシューゼンにお任せします」

「じ、自分は何をすればいいでありますか!?」

「一体何を作るんだ?やはりジパング料理か!?」

「ちょと待ってくれ!あんまりレベル高くてもお前ら手伝えなくなるだろ!」

別にオレは何でも作れるわけじゃない。
レベルは一般家庭レベルだ。
ジパングで卵使ったリョリっつったら・・・親子丼とか?
流石に揚げ物はキツイな。

でも期待はラ切れない(裏切れない)感が出ている・・・・
せめて米を使った卵リョリ・・・
尚且つこいつらが手伝えそうなの・・・


「じゃーオムライスならどだろ」

「「「お、おむらいす・・・??」」」


あ、知らない・・・
そ来たか・・・

「簡単にゆと・・・米とケチャップを混ぜ合わせたものに鶏肉とか野菜とかを炒めて混ぜて・・・それに卵のオムレツを乗せたもの・・・かな」

「・・・・・・・・・」

は、ハンノ(反応)はいかに?

「な、なんだか美味しそうですね!」
「あまり想像しづらいが・・・作ってみてくれ」
「自分に手伝えるでありますでしょうか・・・」

ビミョ(微妙)!・・・・仕方ないか。


「美味しいことは、たぶんホショ(保証)する。野菜と肉切ってくれるだけでも充分ありがたいし、難しくはないぜ」

「そうか!ならばそのおむらいすとやらを早速作ろうじゃないか!」

『おー!!』

相変わらず仕切るねぇキミは。


・・・・・


まずはザイリョ(材料)から。
何を持ってくればいい!?と張り切ってたが、リョリの完成形はオレしか知らないので、オレと知識のあるリントで選ぶ。

鶏肉に玉ねぎ、ピーマン、バター、米、ギュニュ(牛乳)、卵。
チョミリョ(調味料)に塩コショ、ソースにケチャップ。
アクセントにとろけの野菜とトスイ(陶酔)の果実をほんの少しだけ。
こんなものか。

デミグラスソースとケチャップがあったのは助かったな・・・
下手したらないかと思ったし・・・

「色々な食材使うんですね・・・」

「ちょいと一手間加えるだけよ。チョミリョ使うのちょっとだし」

「こだわりを持ってるんですね」

「そじゃなくてね・・・できれば美味しいの食べてほしいじゃん?無駄に張り切ってるだけだよ」
ヤレヤレ

「ふふっ・・・」

微笑むのやめい。
恥ずくなるじゃないか・・・


・・・・・


「じゃぁまず、肉と野菜を切るぞー。ホチョ(包丁)は扱えるよ・・・な?」


「「・・・・・・・・・」」

こっち見ろよ。


「じ、自分はエイミィの料理を手伝うことがあるので!少しならば扱えるであります!」

「それは助かる。それじゃこれらを大体1cmくらいに・・・こんくらいの大きさに切ってくれね?」

ザクザクザク・・・

サッと切ってお手本を見せる。どのくらいかの目安が分かれば流石に出来るよな。

「ず、随分手際がいいな・・・・」

「慣れだろこれは」

「ふ・・・流石はシューゼン。私が認めt」
「早く切ってくれんかね?」

「は、はい・・・・」


・・・・・


刃物の扱いには長けてる奴らなので、ホチョに関しては特に問題なかった。
少しだけあのデュラハンが危なっかしかったが。

トチュ(途中)で「私に涙を流させるとは・・・こいつやるな!」
と玉ねぎ相手に言ってたのは吹き出しそになったがな(笑)


「それじゃこっからはオレがやるぞ。いいよな?」

『はい!』

いい返事だ。 カンド(感動)的だな。 だが無意味だ。
いや意味はあるけど。

それじゃやりますかね・・・


ジュゥ〜

まずフライパンにバターを熱し、鶏肉を炒める。
鶏肉が白くなったら玉ねぎとピーマンを炒め始める。

ジャァ〜 シャッシャッ

一通り炒めたら、次にごはんを加えてよく炒める。
ここで先ほど潰してエキジョ(液状)にしたトスイ(陶酔)の果実を入れる。
ま、ワインの代わりだ。
あくまで少しだけね。

シュワワ〜

加えたらごはんをほぐしながら炒めて・・・
ケチャップとソースを少し加える。

あとは塩コショ・・・と思ったけど、確かあっちにおおなめくじいたよな。
塩はまずいか。コショだけにしよ。
そだ、サト(砂糖)もひとつまみ入れるか。味まろやかになるだろ。
幸い近くにある。

パッパ・・・・パラパラ・・・

大体ベースのチキンライスは出来たな。
少し炒めたら皿に盛り付けてアルミホイルかけて保温を・・・・

『うまそうな匂いだなー!』『おー!何だか本格的じゃない!?』
『ここ何作ってるのー?』『なんだなんだー?』

「ギャラリー増えとる!?(・□・;)」


「いい匂いだ・・・実に美味な香り・・・(°д°)」
「すごいですねー・・・鮮やかです」
「まるで一流の料理人のようであります!」

お前ら自然に混ざるな。
仕方ない・・・あまり気にしないで続けっか・・・・


・・・・・


続いてオムレツを作る。
できればふわふわにしたいが・・・・

『じーーーーーーーーーー・・・』

この視線の中できるかな・・・


別のフライパン使ってと。
卵をボールに割りいれ、ギュニュ入れて、コショパッパ。
一人分なら卵2個にギュニュ大さじ1ってことだから・・・このくらいか。
かき混ぜかき混ぜ。

カッカッカッカッカッカッ・・・

フライパン温めてバター溶かし。
そんで混ぜた卵トニュっ(投入)!

ジュワ〜

箸で大きくかき混ぜ半熟に〜。

「よっ」

フワッ

『うおーーーー!!』

なんだか周りから歓喜の声が・・・
気にしない気にしない・・・

ここでチキンライスの上にこのオムレツを乗せて・・・
デミグラスソースに水、ケチャップ、とろけの野菜の実の部分を入れて煮込んでおいたソースをかけて・・・

「うし、出来た」

『おお〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!』

さっきより増えてる・・・
恥ずいよチキショ・・・


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


戻ってセイン視点

「どうやらそっちも出来たみたいだな・・・随分凝ったのが」

「どこがだよ・・・フツ(普通)だろ」

「やっぱジパング人は料理がうまいってことだな」

「そゆことじゃない気がするがな・・・」

こちらのクレープはお菓子。
ベクトルが違うから比べるものじゃないが・・・
手間はそっちの方が明らかに上だろう。


「・・・いちお、そっちの分も作ったけど、いるか?」

「マジで!?いただきます!」

「まだ残り作ってからな」

「うひょぉう!(゚∀゚)」

「ルークの分、うるさいとやらんぞ?」

「はぃい!?すいませんでした!((((;゚Д゚))))」

「落ち着いてな・・・あー、周りのみんなも自分とこ戻ってくれない?」

『いいなー!そっちの班!』
『今度は俺らにも作ってくれよー!』
『嫁に来てくれー!』


「気が向いたらな・・・あ、嫁にはならんぞ」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


二つの班の料理が完成!
こちらはクレープ。
あちらはおむらいすというものらしい。

ちょうど主食とデザートと分かれてていい感じだ。
それでは・・・

『いっただっきまーす!』

パクッ モグモグ・・・

「なんだこれ!?超うめぇ!」

「今まで食べたことない味です!」

「ケチャップに米ってこんなに合うのか・・・」

「ふわふわたまご、美味しいねぇ〜♪」

「美味しい!美味しいよシューゼン!」

「自分!感動したであります!」

「流石シューゼン。ここまでとは・・・」


「あー、うん。ありがと・・・」カオマッカ

ここまで褒められると思ってなかったんだろう。
シューゼンの顔が真っ赤だ。
しかしホントに美味い。

「しっかし、こんな料理よく思いつくな!」モグモグ

「実家の方で近所にリョリ屋があってな。そこで小さい頃からよく食べてた。作り方とかも教えてもらったしな」

「へ〜、一度行ってみたいな!」

「そだね」

やや苦笑いのシューゼン。
俺もその料理屋に一度は行ってみたいな。


「どれどれ・・・おお!ここのはなかなかの出来だな!」

レシア先生とエスティス先生が様子を見に来た。

「これは誰の発案だ?」

「シューゼンです!」

レーヴァが元気よく答える。
まるで自分が作ったかのように嬉しそうだ。

「ふむ・・・一口いただけるかな?」

「どぞ」

「うむ」パクッ

『・・・・・・・・・・・』

思わず緊張のあまり無言になってしまう。





「こ、これは・・・美味いな・・・・まさかここまでのものを作る奴が1年生でいたとは・・・料理学科志望か何かか」

「いや、別にそゆわけじゃ」

「何ぃ!?もったいない・・・」

「ははは・・・」

先生方もベタ褒めである。

「・・・・シューゼン君っ!!!」

「はぃ!?」

突然エスティス先生がシューゼンの手を握ってきた。
ものすごい勢い・・・

「・・・今度、作り方教えてもらえないかしら」

「えぇ・・・・別にいいですけど・・・」

「ホント!?約束よ!」

エスティス先生全力の笑み。
かなりの喜びようだ。
シューゼンはちょっと困った様子だがな。


「・・・確かにいつも作ってるのより美味しいなぁ・・・具材が良かったおかげだわな」

「謙遜することはないんじゃね?具材が良くてもうまく作れるかは腕次第だろ」

「そ言ってもらえるとありがたいね。お粗末さまっす」


・・・・・


お次はクレープ!
好きなものを生地に巻いて食べるという贅沢な方式!

「ん〜〜!イチゴにチョコレートうめぇ〜!スライムゼリープッルプル!」

「色々な組み合わせが試せるのはいいですね!」

「生地はぁ〜、多めに作ったからぁ、いっぱい食べてねぇ〜♪」

「やはりエイミィの作るお菓子はおいしいであります!」

「うむ!こちらのも美味しいな!みんなで作ったものは一味違うということだな!」

「そだね。確かにおいしい」

みんな喜んで食べてくれている・・・
全部じゃないけど自分が関わった料理で誰かが喜んでくれるってのはいいもんだな!

「セ、セイン!」

「ん?どうしたリティ。あ、クレープうまいぞ!ありがとうな」

「うん!・・・そ、それもあるけどっ・・・///」

「うん?」


「はい、あーーーんっ・・・///」


これは、男の夢でもある、所謂『食べさせてあげる』的なあれですか?
あ、あーーんでございますか!?
マジでか!?俺にか!!うおおお!!?
混乱のあまり頭での口調がおかしなことになってるでありますか!?
と、とにかく!

「あ、あーん」パクッ

「ど、どう・・・?///」

「う、ん・・・美味い・・・・///」

「そっか、良かった・・・///」テレッ

もう何か口ん中、甘くてよく分からん味になってるが・・・
俺、今幸せです。

「むぐぅぅぅぅぅぅぅ!羨ましいぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」
力を込めすぎて声にならないかすれ声のルーク

「アー、ナンダカクチノナカ、アマイデスネ」ボソボソ
「クレープダカラナー、デモアマスギルカナー(棒)」ボソボソ
甘い光景で口の中まで甘くなったリント&シューゼン

「見せつけてくれるではないか・・・シューゼン!こちらもやるぞ!」
何故か対抗意識を燃やすレーヴァ
「ご遠慮します。ハズカシイデス」
「えぇ!?そんな・・・(´・ω・`)」
ただし即効で拒否


こいつら・・・・
至福の一時を茶化しおってからに・・・

「いいなぁ〜♪」
「なるほど、そういうご関係でありましたか!」

「違うぞ!まだそういう関係じゃないぞ!」

「まだ、ねぇ・・・」ニヤニヤ

「シューゼン!仕返しかてめぇぇぇぇぇ!」

シューゼン!てめえぇぇぇぇ!ニヤニヤすんな!
リティは自分のやったことに今恥ずかしさを覚えて真っ赤になってんだぞ!
顔は隠してるけど!耳真っ赤だよ!トマトみてーだよ!
分かってるよ!こっちも恥かしいんだよ!



でも、一味違かったなぁ・・・



12/10/25 23:00更新 / 群青さん
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■作者メッセージ
あ〜〜ん、とか一度でいいから、やられてみたい(´・ω・`)

三日目の授業は料理回です!
空腹の中これを書くのは地味に辛かった・・・!ww
そのせいもあってか文字数も煩悩の数に!(10800文字ぴったり)
自分でも驚いてます。
この話で皆さんの空腹を促せれば私の勝ちですね!ww(←何の勝負だ)
でも今回のお話、需要あるかな・・・

質問などがあれば、感想の方にお願いします。
みなさんの感想が作者を育てる糧となります!
いつも感想をくださる方々、ありがとうございます!

それでは次回もお楽しみに!

追伸:
シューゼン君の話し方で、誤字になりそうな部分はカタカナ表示にして、
括弧で本来の意味を表示する形にしてみました。
()の中は発音してないという感じです。
いかがでしょうか?
問題がなければこの形式で行こうと思います。

※誤字を一部訂正しました

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