62 デモンスタワー 4階
俺達がデモンスタワーに戻ってからしばらくの間…凄く俺たちは静かに進んでいたんだよ!!
で、今は俺一人だけが静かな状況なんだよ!!
毎回毎回…どうして俺には話題がないんだ!?
だが、毎回思っていると同時に、この心の叫びがモンスターラグーンのメンバーに伝わることは無いって事も分かってるから何も言わないけどな?
そうして、さらに数分後の事だ…一人で自分の宿屋の行く末を案じている時、目の前に一人男性と女性のペアを発見したんだ!!
むっ!?こ、これは…久方ぶりの嫉妬パワーの予感がするぞ!?
いやな?もう男女のペアって地点で嫉妬オーラが沸きあがってくるよな…
それに、俺のように標準よりちょい下(?)あたりにいる俺みたいな奴がその女性の近くにいるって状況なら、俺はまだこのような感情を抱かなかっただろうな…
だがしかし…残念なことに、男はIKEMENだったんだよ!!
まったく…デモンスタワーに戻ったと思って早々これかよ…
ん?待てよ…デモンスタワーに男って居たの!?居るわけ無いよな?
だって…いたらアセロラが俺を交渉対象に選んだりなんてしないだろ?
俺は心の中でその結論を導き出すと、そのとたん、ある現実が浮かびあがってきたんだよ!!
あのペア…二人だけでこの塔まで来たって言うのか!?
絶対に冒険者だろ…?だったら、ここまでは旅をしてきたってことになるよな?
……いや、きっとあの男の方も俺みたいに女性に守られてここまで来たに違いないよな?きっとそうだ!!うん!!
俺がそう思いながら歩いていると、向こうもこっちに気がついたみたいなんだ…しかも、結構警戒している感じがするんだが…
そうして俺達がその二人の近くに来たとき、向こうの方から話しかけてきたんだよ!!
話しかけてきたのは男性の方ではなく、女性の方だけどな?
「あの〜…あなた達も旅の方なんですか?」
「…そうよ?」
「そうなんですか〜…私、てっきりこの塔のほかの魔物さんの集団かと思っちゃって…あっ!?私はラーナっていいます!!で、こちらが兄さんのデュマ…ちょっと無口だけど、優しい兄なので…」
ラーナさんがそういった後、デュマさんが一瞬だけ頷くと俺たちは各自、自己紹介を始めたんだよ!!
そして、ルタの説明が終わった後、俺たちはどうしてここに来たのか…その世間話を始めたんだ。
いや…情報を知りえておくことは…大切なことだぜ?
俺も宿屋時代にやってたからよーくわかるんだ…
世の中には本人から聞いたほうが正しいことってのもあるわけだし…
ま、まぁ…情報が違う時も少なからずはあったけど…少しはいいだろ?
「私と兄さんがここにきたのは…シャイって名前のヴァンパイアを追いかけてなの…兄さんが教団をやめるきっかけになった女性で…性格はちょっとえらそうだけど、内心では優しい部分があるというか…とにかく、その人を探しているの!!噂で、この塔を越えたのを見たって聞いて…」
「そうなの…私達は、メガロス帝国に行く途中なのよ。メガロス帝国に国の国民が多数拉致されて…それを取り返しに動いているのよ…私の独断でね?」
「えぇっ!?独断でですか!?め、メガロス帝国って…私も噂でしか聞いたことが無いんですが、物凄い文明が進んだ国だとか…でも、メガロス帝国が国民を拉致したって話…新聞で読みましたけど、噂では事前に話し合いが行われていたりもしたとか…ま、まぁ…あくまで噂ですけどね?」
えっと、これはメリィとラーナさんとの話し合いになる予感がするな…
なんて俺は思いつつ壁際の端っこに移動したんだ…
え?だって…俺が話すことなんて何もないだろ?こうやって、話が聞こえる場所にいてのんびりしているのがもっとも良い方法だと…俺は思うぜ?
そして、俺がそう思っていると、なんと…隣にデュマさんがやってきたんだよ!
そして、俺と同じように聞き耳を立てる…だと!?
く、くそっ!!い、イケメンでしかも強そうで髪の毛ロン毛の男め…
な、中々やるな…
そう思いながら、俺はまたメリィたちが話すのを聞き始めたんだよ…
え?俺はデュマさんの事が嫌いなのかって?違うかな…
な、なんていうか、嫉妬補正が40%をオーバーする人物は苦手なんだよなぁ…ちなみに嫉妬補正ってのは右にある赤色のゲージな?小説だから見えないと思うけど…一応、言っておくぜ!!
「そういえば…メガロス帝国といえば、面白い噂があるんですよ!!」
「…面白い噂?」
「はい…実は、メガロス帝国は別名、人生の墓場って呼ばれているらしいんですよ!恋に破れた男が行くところとか、恋人に裏切られた男がいく場所とか…しかも、まだ幼い孤児を引き取って兵士に鍛えてるって噂も…でも、実際に行って出てきた者は任務に行く時の兵士の姿だけらしいです!!大きな壁があったり、空には何か謎のバリアが張り巡らされているとかで、中に入るのも楽じゃないようですし…女性は一度も中に入れたって話は聞きませんね…」
「…そうなの?まぁ、噂は噂だしね…私達はメガロス帝国に行ってみんなを取り返してくるだけだから…一応、覚えておくわ…」
それでメリィとラーナさんの話は終わったんだよ!!
……人生の墓場…ねぇ…ちょっとだけ見てみたいって興味と墓場っていう名前からして恐ろしいところだろ!?って思いが頭の中で交差して…複雑な心境だよなぁ…
なんて思いながら、干し肉を取り出して半分だけ折って食べ始めたんだが…
その時、デュマさんが話しかけてきたんだよ!!
い、一体俺のような屑に…あっ、自分で屑ってまた言っちゃったよ…と、とにかく、なんで俺に話しかけてきたんだ!?
「……お前は、正義って奴を考えたことがあるか?」
「…正義?」
こ、これはまた難しい質問だなぁ…
正義ってのは人間や魔物娘とか…それぞれの立場や志とかで大きく変わるから凄く難しい話なんだぜ!?人には人の正義があるからなぁ…
「…俺は…いまだに正義というものがよく分からない……昔、俺が教団にいたころは人間の兵士として魔物娘を倒していくのが正義だって聞かされていたが、俺はそうは思えないんだ…確かに、人間と魔物娘とでは分かり合えないのかも知れないが…それでも、正義ってのは相手を傷つけることでは…ないと思うんだ…」
「…確かに、俺は暴力沙汰は嫌いだから力とかで正義を強制するのは気に入らないけど…正義ってのは誰にでもあるものだからなぁ…互いに、自分が正しいって思っているから正義を主張して争うんだろ?だったら…俺からは何も言えないよ…」
ま、俺はこんな風に答えたんだけどな?
正義ってなんだと思うって聞かれても…俺にはとてもわからないってな?
「…そうか…お前にとっての正義ってのは何だ?」
「俺の正義…?そうだなぁ…争わずに逃げ続けることかな?すぐに逃げてしまえば変なトラブルに巻き込まれることも少ないだろ?」
「…そうか…すまないな、つまらない話してしまって…妹が呼んでるからもう行かせてもらう…機会があれば、また合おう」
そう言って、デュマさんとラーマさんは去って行ったんだよ!!
機会があったらまた合おうって…俺、勝ち組とは仲良く出来ないんだけどなぁ…ま、いいんだけどさ…
そうしてデュマさん一向と離れてからしばらくして…俺はあることに気がついたんだよ!!
このフロア…造りが単純で、しかも敵がいないんだよ!!
こ、これは…運がよかったと割り振るべきなのか…それとも何かあると思いながら進むべきなのか…誰か俺に教えてくれないか!?
……いや、俺はここまで酷い目に会ってきたんだから、きっと神様が俺に哀れみの心を与えて、このフロアだけ敵が出ないようにしてくれたんだよな!?
……で、俺がそう思いながら進んでいると角を曲がったところに変な広場があって、そこに機械が置いてあるっていうね?
いや…人型に見えるだけって可能性もあるよな…いずれにせよ、俺が敵が出ないって台詞をいったとたんのこのシステムだ…
正直…どういうことだよ!?いや…もう聞かなくてもだいたい分かるから言わなくてもいいぜ?前回の話でも似たような台詞を言った記憶、あるしな?
そして、俺達が近づいた時、いきなり機械は動き出したんだよ!!
いやぁ…ベタ過ぎて逆に驚いたぜ…
だが、動いたって事は罠…なんだよな!?でも…そんな様子は一切見えないんだが…
いや…確かにかっこいい機械だとは思うけど…罠にしては余りに装備がしょぼい気がするんだよな…
だが、俺はすぐに悟ったんだ…これは、格闘に仕様される機械だって事に!!
え?どうして気がついたのかって?不意打ちで殴られたからに決まっているじゃないか!!
ま、まったく…戦うって言ってもいないのに攻撃してくるなんて…これでは正義を主張するなんて夢のまた夢だな!!
……ふっ、機械人形め…そっちがその気なら俺にも考えがあるぜ…?
「アイネさん、あんな機械、ジャンクにして下さい!!お願いします!!」
ふっふっふ…どうだ!?モンスターラグーンの中でも1、2を争うほどの猛者の手にかかれば、お前なんて一撃なんだよ!!
そう…俺の計画は完璧なんだ!!お、俺が戦わなくたってだな…
「…デメトリオ、貴殿最近…逃げてばかりではないのか?」
「…へっ?」
な、何か…さっきアイネが言った気がするんだが…?
ま、まさか…俺のお願いを聞いてくれないというのか!?
俺はそう思いつつ、メリィの方を見たんだよ!!頼むメリィ…アイネに対して『デメトリオじゃ無理よ…あなたがジャンクにしてあげなさい』って言うことを期待だぜ…!!
「…そうね、デメトリオには勇気が足りないわよ…今回はあなたが行きなさい!(サリィのためにも、少しは強くなって貰わないといけないしね)」
「そ、そんな…お、鬼!!悪魔!!」
「違うわ…ブラックハーピーのメリィ様よ?いいから行きなさい!」
く、くそぉっ!!
め、メリィは俺が何をしても出来ないってわかってて言っているのか!?
いや…絶対に分かってるだろ!?それなのに…酷すぎる!!
で、でも…メリィが言ったから誰も俺を助けてはくれそうにないし…しかも、あの機械、戦う気満々だし…
く、くそぉっ!!やってやる!!やればいいんだろ!?
俺は半ば諦めた状態で、機械に向かっていったのだった…
こ、コードネームがあの機械に刻まれているけど…4084デスナイトって…
か、完璧に恐ろしい名前じゃないか!!
なんて…機械の名前だけで逃げたいと思いながら向かっていったのだった…
「……く、くそぉっ!!やってやる!!オラァっ!!」
俺は一気に自分の愛剣を機械に叩きつけたんだ!!ゾーネがエクスカウパーを使って強化してくれたはずだから…強いはずだしな!!
カンッ!!
えっと…待てよ…き、効き目なしだと!?い、一体ゾーネ…何を強化したんだよ!?
俺はそう思いながらゾーネの方を見て…余所見したところを思いっきり機械に殴られて後ろに飛ばされたんだ!!
こ、この威力……し、死にそうだな、まともに当たったら…かすっただけで…コレかよ…
「なんで…あやつわしの方を見ているのじゃ…?ま、まさか…わしのことが遂に可愛く見えてきたとか…!?困るのぅ…悪い気分ではないが…」
「違う…っての!!ゾーネ、俺の武器を強化しただろ!?どんな特殊能力がついたのかを教えてくれよ!!」
「…なんじゃ、そんなことか…大丈夫じゃ!!大したカスタムでは無いのじゃが、武器に呪いとやらを一度つけてみたくてのぉ…」
「は、はぁっ!?の、呪いだと!?な、何をやってるんだよ!!」
ま、まさか…強化したはずなのに呪いをつけられたなんて…
で、でも…体がだるいとか…そんな事はないぞ?い、一体どんな呪いなんだよ!?
「大丈夫じゃ…その呪いは性行為を行う時にしか発動せんからのぉ…」
「な、なにぃっ!?」
「その武器を一度でも使用すると、絶対に性行為の際立ち居地が受けになるのじゃ!!絶対に責めに転じることは無くなる!!しかも…逆転も一切無しじゃ!」
「な、なに余計なことを!?」
「…うるさいのぉ、そんな事より戦いに集中するのじゃ!!」
……くっ、ひ、人事だと思って…
で、でも…よく考えたら戦闘に支障をきたすわけではないからな…
そ、それに…多分俺は一生することもなく土に帰る気がするから…余り関係ないかな…
いや…俺も結婚はしたいよ?性行為も興味が無いわけじゃないけど…旅に出て俺は悟ったんだ!!
俺には…無理だ!!無理なんだよ!!
この旅に出てからというもの…自分の弱さが痛感できるんだよなぁ…
だが、俺がそう思っていると、機械が容赦なく俺の体を殴ってきたんだよ!!
ひ、人型だけど…中に誰かいたりするのか…?
普通に強いじゃないか…
「ぐふっ…ちょ、ちょっとタイム!!待ってくれよ!!ぐはぁっ…お、おえぇ…は、腹に…だ、から待ってくれても…かはっ…!?」
しゃべっている間も容赦なく拳のラッシュは俺を打ち付けていたんだ!!
これが…無情って奴なのか…?
くっ…お、俺も反撃をしないと…
「くぅっ!!ちょうしに乗るなぁ!!おらぁっ…って、はずした!?うっ…な、なんでこんな目に…俺が…がはぁっ!!お、おえっ…うぅ…」
だ、ダメだ…実力が、違いすぎる……
俺は無駄に痛む腹を押さえながら、本気でそう思っていたんだ…
だって、攻撃が当たらないのに、敵の攻撃は当たるんだぜ!?
俺の計画は…俺の計画はもっと楽に敵が倒せるはずだったんだが…
……こ、こうなったら…俺の使える技を最大限に駆使して…
ドゴォッ!!
「ぐはぁっ!!せ、せめて心でつぶやいている間くらいは攻撃するのをやめてくれよ…」
俺はいきなり殴ってきた相手に対して、そういいつつも、こんなに殴られているのにまだ体力が残っているって事に…自分自身がびっくりだ!!
…でも、多分もうすぐ体力が持たないし…やるしかない!!
「覚悟しろ…【嫉妬ストリームアタック】!!」
俺は思いっきり固有技を機械に食らわせ、少々だが距離をとったんだ!!
俺の【嫉妬ストリームアタック】をくらって無事で入れるわけが無いぜ…
俺は本気でそう思ったんだが…なんと、機械は無傷で立ち上がったんだよ!
……ま、まだ、終わりじゃない!!
俺の固有技はまだ、あと二つ残っているからなぁ!!
「まだまだ!!【干し肉バスターソード】!!」」
俺は二つ目の固有技の名前を叫びながら干し肉を取り出し、一気に機械にたたきつけたんだよ!!
そして、一気にたたきつけた干し肉はバキィッって音を立てながら空中に四散したんだけど…な?
お、俺の干し肉が…俺の干し肉が砕け散るなんて…そんな馬鹿なことが…
そう思っている時、思いっきり俺は機械人形の回し蹴りを顔で食らったのだった…
「……くぅ…い、今のは…酷すぎるんじゃないでしょうか…?」
蹴りにも一切遠慮が無かったからな…
無理だ…勝てる気がしない…最後の固有技は補助…みたいなものだから戦闘中には使えないし…だ、ダメだ…絶対に勝てない…
俺は絶望感に打ちひしがれたが、機械は遠慮なく俺の方に向かってきているんだよ!!
お、終わった…なにもかも…
俺が本気でそう思ったときだった…
なんと、メリィがため息を吐きながらこっちに歩いてきたんだよ!!
「デメトリオ…ホント弱いわね…あなた…」
「わ、わかっているなら…なんで戦わせたりしたんですか…」
だが、俺と話しているメリィを邪魔だと判断したのか、機械が思いっきり拳を振り上げるのが俺には見えたんだよ!!
「メリィ!!あ、危な…」
「話しているんだから、邪魔をしないでくれる?ジャンク風情が!!」
グシャッ!!
……えぇっ!?い、一撃!?そ、そんな馬鹿な…
だが、確実にメリィが一発蹴りを入れた瞬間、あの機械は大破…
しかも、部品が空中に飛び散るっていう…な、なんとすさまじい…
俺は、飛び散った部品をゾーネとスカニが集めているのを見ながら、思わず思ったことがあるんだ…
ぜ、絶対に俺が戦ったら…メリィには勝てないってな…
いや、下手したらモンスターラグーンの女性達には勝てないかもしれない…
それからしばらく歩いていると、俺たちは次の階に向かう階段を見つけたんだよ!!
て、敵が少なかったなここ…いや、デモンスタワーって恐ろしげな名前だったけど、確かにそんなに敵と出会うことは少なかったよ?でも、まさかこのフロアでは一体…デスナイトだけなんて…どれだけデスナイトを信頼していたんだよ…
で、階段の近くに近づいて、俺は凄い光景を目にしたんだ!!
なんと…大勢の魔物娘たちが階段の近くで気絶していたんだよ!!
服はズタズタに裂けて…少々だが素肌が見えているというこのチラリズムを目にして、俺は複雑な心境にだな…って、そんな事はどうでもいい!!
問題なのは、どうして魔物娘たちがここで気絶しているのかって事と、大破している階段の扉だよ!!
…そして、俺は階段のある部屋の端っこで気絶しているデュマさんとラーナさんに出会ったんだよ!!
で、デュマさん…強いんじゃないかって思っていたんだが…どうしてここで気絶しているんだ…?
思わずそう思った俺だったが…なんと、ラーナさんが俺たちに気付いたんだよ!
「め、メリィさん…気をつけてください…恐ろしい力を持ったミノタウロスの女性が上のフロアに…私は兄さんの貞操を守ることで精一杯だったのですが…彼女の強さは異常です…私も兄さんも…腕には自信があったんですけど…」
メリィはそっと頷くと、すぐに上の階に向かっていったんだよ!!
さ、さっきの話を聞いていなかったのかよ!?お、恐ろしい強さをもったミノタウロスの女性が上のフロアにいるって言っていたじゃないか!?
……でも、モンスターラグーンである彼女達だったら…大丈夫なんじゃないか?
そ、そうだよ!!アイネもいるし…明らかに戦力に差がある場合…俺が戦うって可能性は…ゼロに等しい!!
……ま、まぁ…今はメリィ達から離れたほうが危険な気がするからな…
俺はそう思いながら、メリィたちを追いかけたのだった…
で、今は俺一人だけが静かな状況なんだよ!!
毎回毎回…どうして俺には話題がないんだ!?
だが、毎回思っていると同時に、この心の叫びがモンスターラグーンのメンバーに伝わることは無いって事も分かってるから何も言わないけどな?
そうして、さらに数分後の事だ…一人で自分の宿屋の行く末を案じている時、目の前に一人男性と女性のペアを発見したんだ!!
むっ!?こ、これは…久方ぶりの嫉妬パワーの予感がするぞ!?
いやな?もう男女のペアって地点で嫉妬オーラが沸きあがってくるよな…
それに、俺のように標準よりちょい下(?)あたりにいる俺みたいな奴がその女性の近くにいるって状況なら、俺はまだこのような感情を抱かなかっただろうな…
だがしかし…残念なことに、男はIKEMENだったんだよ!!
まったく…デモンスタワーに戻ったと思って早々これかよ…
ん?待てよ…デモンスタワーに男って居たの!?居るわけ無いよな?
だって…いたらアセロラが俺を交渉対象に選んだりなんてしないだろ?
俺は心の中でその結論を導き出すと、そのとたん、ある現実が浮かびあがってきたんだよ!!
あのペア…二人だけでこの塔まで来たって言うのか!?
絶対に冒険者だろ…?だったら、ここまでは旅をしてきたってことになるよな?
……いや、きっとあの男の方も俺みたいに女性に守られてここまで来たに違いないよな?きっとそうだ!!うん!!
俺がそう思いながら歩いていると、向こうもこっちに気がついたみたいなんだ…しかも、結構警戒している感じがするんだが…
そうして俺達がその二人の近くに来たとき、向こうの方から話しかけてきたんだよ!!
話しかけてきたのは男性の方ではなく、女性の方だけどな?
「あの〜…あなた達も旅の方なんですか?」
「…そうよ?」
「そうなんですか〜…私、てっきりこの塔のほかの魔物さんの集団かと思っちゃって…あっ!?私はラーナっていいます!!で、こちらが兄さんのデュマ…ちょっと無口だけど、優しい兄なので…」
ラーナさんがそういった後、デュマさんが一瞬だけ頷くと俺たちは各自、自己紹介を始めたんだよ!!
そして、ルタの説明が終わった後、俺たちはどうしてここに来たのか…その世間話を始めたんだ。
いや…情報を知りえておくことは…大切なことだぜ?
俺も宿屋時代にやってたからよーくわかるんだ…
世の中には本人から聞いたほうが正しいことってのもあるわけだし…
ま、まぁ…情報が違う時も少なからずはあったけど…少しはいいだろ?
「私と兄さんがここにきたのは…シャイって名前のヴァンパイアを追いかけてなの…兄さんが教団をやめるきっかけになった女性で…性格はちょっとえらそうだけど、内心では優しい部分があるというか…とにかく、その人を探しているの!!噂で、この塔を越えたのを見たって聞いて…」
「そうなの…私達は、メガロス帝国に行く途中なのよ。メガロス帝国に国の国民が多数拉致されて…それを取り返しに動いているのよ…私の独断でね?」
「えぇっ!?独断でですか!?め、メガロス帝国って…私も噂でしか聞いたことが無いんですが、物凄い文明が進んだ国だとか…でも、メガロス帝国が国民を拉致したって話…新聞で読みましたけど、噂では事前に話し合いが行われていたりもしたとか…ま、まぁ…あくまで噂ですけどね?」
えっと、これはメリィとラーナさんとの話し合いになる予感がするな…
なんて俺は思いつつ壁際の端っこに移動したんだ…
え?だって…俺が話すことなんて何もないだろ?こうやって、話が聞こえる場所にいてのんびりしているのがもっとも良い方法だと…俺は思うぜ?
そして、俺がそう思っていると、なんと…隣にデュマさんがやってきたんだよ!
そして、俺と同じように聞き耳を立てる…だと!?
く、くそっ!!い、イケメンでしかも強そうで髪の毛ロン毛の男め…
な、中々やるな…
そう思いながら、俺はまたメリィたちが話すのを聞き始めたんだよ…
え?俺はデュマさんの事が嫌いなのかって?違うかな…
な、なんていうか、嫉妬補正が40%をオーバーする人物は苦手なんだよなぁ…ちなみに嫉妬補正ってのは右にある赤色のゲージな?小説だから見えないと思うけど…一応、言っておくぜ!!
「そういえば…メガロス帝国といえば、面白い噂があるんですよ!!」
「…面白い噂?」
「はい…実は、メガロス帝国は別名、人生の墓場って呼ばれているらしいんですよ!恋に破れた男が行くところとか、恋人に裏切られた男がいく場所とか…しかも、まだ幼い孤児を引き取って兵士に鍛えてるって噂も…でも、実際に行って出てきた者は任務に行く時の兵士の姿だけらしいです!!大きな壁があったり、空には何か謎のバリアが張り巡らされているとかで、中に入るのも楽じゃないようですし…女性は一度も中に入れたって話は聞きませんね…」
「…そうなの?まぁ、噂は噂だしね…私達はメガロス帝国に行ってみんなを取り返してくるだけだから…一応、覚えておくわ…」
それでメリィとラーナさんの話は終わったんだよ!!
……人生の墓場…ねぇ…ちょっとだけ見てみたいって興味と墓場っていう名前からして恐ろしいところだろ!?って思いが頭の中で交差して…複雑な心境だよなぁ…
なんて思いながら、干し肉を取り出して半分だけ折って食べ始めたんだが…
その時、デュマさんが話しかけてきたんだよ!!
い、一体俺のような屑に…あっ、自分で屑ってまた言っちゃったよ…と、とにかく、なんで俺に話しかけてきたんだ!?
「……お前は、正義って奴を考えたことがあるか?」
「…正義?」
こ、これはまた難しい質問だなぁ…
正義ってのは人間や魔物娘とか…それぞれの立場や志とかで大きく変わるから凄く難しい話なんだぜ!?人には人の正義があるからなぁ…
「…俺は…いまだに正義というものがよく分からない……昔、俺が教団にいたころは人間の兵士として魔物娘を倒していくのが正義だって聞かされていたが、俺はそうは思えないんだ…確かに、人間と魔物娘とでは分かり合えないのかも知れないが…それでも、正義ってのは相手を傷つけることでは…ないと思うんだ…」
「…確かに、俺は暴力沙汰は嫌いだから力とかで正義を強制するのは気に入らないけど…正義ってのは誰にでもあるものだからなぁ…互いに、自分が正しいって思っているから正義を主張して争うんだろ?だったら…俺からは何も言えないよ…」
ま、俺はこんな風に答えたんだけどな?
正義ってなんだと思うって聞かれても…俺にはとてもわからないってな?
「…そうか…お前にとっての正義ってのは何だ?」
「俺の正義…?そうだなぁ…争わずに逃げ続けることかな?すぐに逃げてしまえば変なトラブルに巻き込まれることも少ないだろ?」
「…そうか…すまないな、つまらない話してしまって…妹が呼んでるからもう行かせてもらう…機会があれば、また合おう」
そう言って、デュマさんとラーマさんは去って行ったんだよ!!
機会があったらまた合おうって…俺、勝ち組とは仲良く出来ないんだけどなぁ…ま、いいんだけどさ…
そうしてデュマさん一向と離れてからしばらくして…俺はあることに気がついたんだよ!!
このフロア…造りが単純で、しかも敵がいないんだよ!!
こ、これは…運がよかったと割り振るべきなのか…それとも何かあると思いながら進むべきなのか…誰か俺に教えてくれないか!?
……いや、俺はここまで酷い目に会ってきたんだから、きっと神様が俺に哀れみの心を与えて、このフロアだけ敵が出ないようにしてくれたんだよな!?
……で、俺がそう思いながら進んでいると角を曲がったところに変な広場があって、そこに機械が置いてあるっていうね?
いや…人型に見えるだけって可能性もあるよな…いずれにせよ、俺が敵が出ないって台詞をいったとたんのこのシステムだ…
正直…どういうことだよ!?いや…もう聞かなくてもだいたい分かるから言わなくてもいいぜ?前回の話でも似たような台詞を言った記憶、あるしな?
そして、俺達が近づいた時、いきなり機械は動き出したんだよ!!
いやぁ…ベタ過ぎて逆に驚いたぜ…
だが、動いたって事は罠…なんだよな!?でも…そんな様子は一切見えないんだが…
いや…確かにかっこいい機械だとは思うけど…罠にしては余りに装備がしょぼい気がするんだよな…
だが、俺はすぐに悟ったんだ…これは、格闘に仕様される機械だって事に!!
え?どうして気がついたのかって?不意打ちで殴られたからに決まっているじゃないか!!
ま、まったく…戦うって言ってもいないのに攻撃してくるなんて…これでは正義を主張するなんて夢のまた夢だな!!
……ふっ、機械人形め…そっちがその気なら俺にも考えがあるぜ…?
「アイネさん、あんな機械、ジャンクにして下さい!!お願いします!!」
ふっふっふ…どうだ!?モンスターラグーンの中でも1、2を争うほどの猛者の手にかかれば、お前なんて一撃なんだよ!!
そう…俺の計画は完璧なんだ!!お、俺が戦わなくたってだな…
「…デメトリオ、貴殿最近…逃げてばかりではないのか?」
「…へっ?」
な、何か…さっきアイネが言った気がするんだが…?
ま、まさか…俺のお願いを聞いてくれないというのか!?
俺はそう思いつつ、メリィの方を見たんだよ!!頼むメリィ…アイネに対して『デメトリオじゃ無理よ…あなたがジャンクにしてあげなさい』って言うことを期待だぜ…!!
「…そうね、デメトリオには勇気が足りないわよ…今回はあなたが行きなさい!(サリィのためにも、少しは強くなって貰わないといけないしね)」
「そ、そんな…お、鬼!!悪魔!!」
「違うわ…ブラックハーピーのメリィ様よ?いいから行きなさい!」
く、くそぉっ!!
め、メリィは俺が何をしても出来ないってわかってて言っているのか!?
いや…絶対に分かってるだろ!?それなのに…酷すぎる!!
で、でも…メリィが言ったから誰も俺を助けてはくれそうにないし…しかも、あの機械、戦う気満々だし…
く、くそぉっ!!やってやる!!やればいいんだろ!?
俺は半ば諦めた状態で、機械に向かっていったのだった…
こ、コードネームがあの機械に刻まれているけど…4084デスナイトって…
か、完璧に恐ろしい名前じゃないか!!
なんて…機械の名前だけで逃げたいと思いながら向かっていったのだった…
「……く、くそぉっ!!やってやる!!オラァっ!!」
俺は一気に自分の愛剣を機械に叩きつけたんだ!!ゾーネがエクスカウパーを使って強化してくれたはずだから…強いはずだしな!!
カンッ!!
えっと…待てよ…き、効き目なしだと!?い、一体ゾーネ…何を強化したんだよ!?
俺はそう思いながらゾーネの方を見て…余所見したところを思いっきり機械に殴られて後ろに飛ばされたんだ!!
こ、この威力……し、死にそうだな、まともに当たったら…かすっただけで…コレかよ…
「なんで…あやつわしの方を見ているのじゃ…?ま、まさか…わしのことが遂に可愛く見えてきたとか…!?困るのぅ…悪い気分ではないが…」
「違う…っての!!ゾーネ、俺の武器を強化しただろ!?どんな特殊能力がついたのかを教えてくれよ!!」
「…なんじゃ、そんなことか…大丈夫じゃ!!大したカスタムでは無いのじゃが、武器に呪いとやらを一度つけてみたくてのぉ…」
「は、はぁっ!?の、呪いだと!?な、何をやってるんだよ!!」
ま、まさか…強化したはずなのに呪いをつけられたなんて…
で、でも…体がだるいとか…そんな事はないぞ?い、一体どんな呪いなんだよ!?
「大丈夫じゃ…その呪いは性行為を行う時にしか発動せんからのぉ…」
「な、なにぃっ!?」
「その武器を一度でも使用すると、絶対に性行為の際立ち居地が受けになるのじゃ!!絶対に責めに転じることは無くなる!!しかも…逆転も一切無しじゃ!」
「な、なに余計なことを!?」
「…うるさいのぉ、そんな事より戦いに集中するのじゃ!!」
……くっ、ひ、人事だと思って…
で、でも…よく考えたら戦闘に支障をきたすわけではないからな…
そ、それに…多分俺は一生することもなく土に帰る気がするから…余り関係ないかな…
いや…俺も結婚はしたいよ?性行為も興味が無いわけじゃないけど…旅に出て俺は悟ったんだ!!
俺には…無理だ!!無理なんだよ!!
この旅に出てからというもの…自分の弱さが痛感できるんだよなぁ…
だが、俺がそう思っていると、機械が容赦なく俺の体を殴ってきたんだよ!!
ひ、人型だけど…中に誰かいたりするのか…?
普通に強いじゃないか…
「ぐふっ…ちょ、ちょっとタイム!!待ってくれよ!!ぐはぁっ…お、おえぇ…は、腹に…だ、から待ってくれても…かはっ…!?」
しゃべっている間も容赦なく拳のラッシュは俺を打ち付けていたんだ!!
これが…無情って奴なのか…?
くっ…お、俺も反撃をしないと…
「くぅっ!!ちょうしに乗るなぁ!!おらぁっ…って、はずした!?うっ…な、なんでこんな目に…俺が…がはぁっ!!お、おえっ…うぅ…」
だ、ダメだ…実力が、違いすぎる……
俺は無駄に痛む腹を押さえながら、本気でそう思っていたんだ…
だって、攻撃が当たらないのに、敵の攻撃は当たるんだぜ!?
俺の計画は…俺の計画はもっと楽に敵が倒せるはずだったんだが…
……こ、こうなったら…俺の使える技を最大限に駆使して…
ドゴォッ!!
「ぐはぁっ!!せ、せめて心でつぶやいている間くらいは攻撃するのをやめてくれよ…」
俺はいきなり殴ってきた相手に対して、そういいつつも、こんなに殴られているのにまだ体力が残っているって事に…自分自身がびっくりだ!!
…でも、多分もうすぐ体力が持たないし…やるしかない!!
「覚悟しろ…【嫉妬ストリームアタック】!!」
俺は思いっきり固有技を機械に食らわせ、少々だが距離をとったんだ!!
俺の【嫉妬ストリームアタック】をくらって無事で入れるわけが無いぜ…
俺は本気でそう思ったんだが…なんと、機械は無傷で立ち上がったんだよ!
……ま、まだ、終わりじゃない!!
俺の固有技はまだ、あと二つ残っているからなぁ!!
「まだまだ!!【干し肉バスターソード】!!」」
俺は二つ目の固有技の名前を叫びながら干し肉を取り出し、一気に機械にたたきつけたんだよ!!
そして、一気にたたきつけた干し肉はバキィッって音を立てながら空中に四散したんだけど…な?
お、俺の干し肉が…俺の干し肉が砕け散るなんて…そんな馬鹿なことが…
そう思っている時、思いっきり俺は機械人形の回し蹴りを顔で食らったのだった…
「……くぅ…い、今のは…酷すぎるんじゃないでしょうか…?」
蹴りにも一切遠慮が無かったからな…
無理だ…勝てる気がしない…最後の固有技は補助…みたいなものだから戦闘中には使えないし…だ、ダメだ…絶対に勝てない…
俺は絶望感に打ちひしがれたが、機械は遠慮なく俺の方に向かってきているんだよ!!
お、終わった…なにもかも…
俺が本気でそう思ったときだった…
なんと、メリィがため息を吐きながらこっちに歩いてきたんだよ!!
「デメトリオ…ホント弱いわね…あなた…」
「わ、わかっているなら…なんで戦わせたりしたんですか…」
だが、俺と話しているメリィを邪魔だと判断したのか、機械が思いっきり拳を振り上げるのが俺には見えたんだよ!!
「メリィ!!あ、危な…」
「話しているんだから、邪魔をしないでくれる?ジャンク風情が!!」
グシャッ!!
……えぇっ!?い、一撃!?そ、そんな馬鹿な…
だが、確実にメリィが一発蹴りを入れた瞬間、あの機械は大破…
しかも、部品が空中に飛び散るっていう…な、なんとすさまじい…
俺は、飛び散った部品をゾーネとスカニが集めているのを見ながら、思わず思ったことがあるんだ…
ぜ、絶対に俺が戦ったら…メリィには勝てないってな…
いや、下手したらモンスターラグーンの女性達には勝てないかもしれない…
それからしばらく歩いていると、俺たちは次の階に向かう階段を見つけたんだよ!!
て、敵が少なかったなここ…いや、デモンスタワーって恐ろしげな名前だったけど、確かにそんなに敵と出会うことは少なかったよ?でも、まさかこのフロアでは一体…デスナイトだけなんて…どれだけデスナイトを信頼していたんだよ…
で、階段の近くに近づいて、俺は凄い光景を目にしたんだ!!
なんと…大勢の魔物娘たちが階段の近くで気絶していたんだよ!!
服はズタズタに裂けて…少々だが素肌が見えているというこのチラリズムを目にして、俺は複雑な心境にだな…って、そんな事はどうでもいい!!
問題なのは、どうして魔物娘たちがここで気絶しているのかって事と、大破している階段の扉だよ!!
…そして、俺は階段のある部屋の端っこで気絶しているデュマさんとラーナさんに出会ったんだよ!!
で、デュマさん…強いんじゃないかって思っていたんだが…どうしてここで気絶しているんだ…?
思わずそう思った俺だったが…なんと、ラーナさんが俺たちに気付いたんだよ!
「め、メリィさん…気をつけてください…恐ろしい力を持ったミノタウロスの女性が上のフロアに…私は兄さんの貞操を守ることで精一杯だったのですが…彼女の強さは異常です…私も兄さんも…腕には自信があったんですけど…」
メリィはそっと頷くと、すぐに上の階に向かっていったんだよ!!
さ、さっきの話を聞いていなかったのかよ!?お、恐ろしい強さをもったミノタウロスの女性が上のフロアにいるって言っていたじゃないか!?
……でも、モンスターラグーンである彼女達だったら…大丈夫なんじゃないか?
そ、そうだよ!!アイネもいるし…明らかに戦力に差がある場合…俺が戦うって可能性は…ゼロに等しい!!
……ま、まぁ…今はメリィ達から離れたほうが危険な気がするからな…
俺はそう思いながら、メリィたちを追いかけたのだった…
12/07/09 22:57更新 / デメトリオン
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