61 蛇のプライドと至高のチーズ
さぁて…ココリさんが状況を把握したようにこっちにのんびりと歩いてきているんだが…
なんて俺は思いつつ、メリィの後ろに隠れていたんだよ！！
だって…単純に考えても、メリィたちの後ろにいたほうが安全だろ！？
……こう言ってしまってはあれなんだけど、俺一人で逃げてたら捕まる気がしてならないからなぁ！！
なんて心の中でつぶやいていると、ココリさんがこう言ってきたんだ！！
「そこをどいてくれませんか？旅の方に手荒な真似はしたくありませんので…」
「それは無理ね…だって、デメトリオは今は一応私達の仲間だし…ね？」
……ちょっと待てよ？一応ってどういうことだよ！？
いやいや…俺はれっきとした仲間ですよ！？
め、メリィ…いくら俺が役に立たないからって一応仲間宣言とか…酷いなぁ…まったく…
いつか役に立つ時が…来る気がするからそれまで待ってくれてもいいと思うぜ？俺はさぁ…
だが、そんな事を考えている俺なんてまるで眼中に無いかのように、メリィとココリの間で無言のにらみ合いが始まったんだよ！！
こ、これが…冷戦って奴なのか！？え？違うって…？
ま、まぁ…似たようなもんだろ？
そして、このにらみ合いという名の沈黙を先に破ったのはココリのほうだったんだよ…
ふっ…ココリ…痺れを切らしたようだな…
この戦い…先に動いたほうが負ける！！
なんて…言ってみたりとかしてね？
「…ククリ！！今すぐ後ろにいる男を連れてきなさい！！」
「……ね、姉さん、でも…」
「あなた…姉の言うことが聞けないの？昔、一緒に兵士をしているときは私の言う事を聞いてくれたじゃないの！！」
「…わ、私はそんな自分が嫌になってここから去ったの！！いつまでも昔のように姉さんの言う事を聞いている私じゃない！！」
う、うぉーい…こ、これはまた…大きな姉妹喧嘩が勃発しそうだぜ…
な、なるほどな？ククリがフェルス興国出身じゃなかったって事実には結構驚いたりもしたんだけど…やっぱり、一人一人、なにか思うところがあって生きてるって奴なのか？
だ、だったら…何も考えずに生きてきた俺は一体…どうなるんだ！？
ま、まぁ…自分のことは自分で考えないと何もわからねぇってアルフォンスが言ってたから、のんびり考えていくつもりなんだけどな？
だが、ココリとククリの意見のぶつかり合いは、これで終わりそうも無いな…
「…ククリ、あなたは私に甘えてくれていたらいいのよ？だから…私の言うことくらいは昔みたいに素直に聞いてよ…？」
「私は…昔のままの私じゃない！！姉さんに甘えてばかりで、決断することをしなかった頃の私じゃないのよ！姉さんはいっつも母さんや隊のみんなに褒められていたから満足かもしれないけど…私はいつもおまけ程度だったじゃないの！私だって…一人のメデューサなのよ！！」
「私はククリのことをおまけなんて…ククリ、本当に私の言う事を聞くつもりは無いの？私は…今までと同じようにあなたと接するつもりなのよ？勝手に出て行ったことを責めたりもしないから…」
「今までと同じじゃダメなのよ！！私は…変わるんだから！！」
「……そう、決心は変わらないのね…？」
！？く、空気が急激に寒くなっただと！？
こ、これは…何か恐ろしいことが起こる予感がするぜ…
ピッ…
……えっと、空気が寒くなったのはコリンが熱いと思ったらしく、城内のクーラーのスイッチを入れたからでした…
や、やっぱり蛇…冷血動物の一種的な感じで熱いのよりは涼しいほうがいいって事なのかな？
……少し寒い気もするけど…
紛らわしくて…本当にすまなかったと思っている！！
「ククリ…私は一人の兵士としてあなた達を倒してでもデメトリオを手に入れるわ…それでいいのよね？剣を構えなさい…」
「……えぇ…私は姉さんのおまけじゃ無かったって…証明してみせる！！」
そういうと、ククリは自分の腰の部分につけていた護身用の剣を抜いたんだ！
……や、やる気なのか！？ココリは兵士長とか呼ばれていたのに…無謀すぎやしないか！？
確かに、自分のプライドを守ることは大切なことだと思うよ？でも…だからって勝てない戦いに挑むのはただの馬鹿じゃないか！！
無謀すぎるんだって！！
だが、俺の考えなんてまるで気付いていないククリは、振り返らずにこう言ったんだよ…
「リーダー…私、ここで姉さんを引き止めます！！絶対に追いつくので先に行っててください！！」
「……わかったわ…」
め、メリィ…ククリを置いて行くのか！？そ、それは…余りにも無情な選択じゃないのかよ！？
俺はそう思ったが、メリィが動きを止めるそぶりを一切見せないし…俺もここにとどまる勇気は無かったんだ…
で、この場所から去ろうとしているわけだが…
……何も言わずに去るのはさすがに酷すぎる気がするぜ…
俺はそう思って、振り返りこう言ったんだ…
「ククリ…確かにプライドも大事だけど…世の中には逃げるって行動があるってことを忘れちゃダメだぞ！？じゃあな！！」
「…わかってるわよ！！あんたに言われなくてもそのくらい！！この臆病者！！」
……ひ、酷いぜ…せっかくいい事を言ってやったのに…
俺はそう思いながら、その場を後にしたのだった…
さて…ここで、俺たちはしばらく逃げるって行動に入ったわけですから…
主人公視点をククリに譲渡させてもらうぜ！！
【視点譲渡】！！
〜〜ククリ目線でお楽しみください〜〜
…まったく、デメトリオは相変わらずなんだから…
私はそう思いながら、姉さんの方を改めて向いたの…
私だって…旅に出てフェルス興国に入って…そこでモンスターラグーンのメンバーといろいろなことをしたし、訓練もアイネに手伝ってもらってそれなりには頑張ってきた…姉さんを越えることが出来たって…自信を持っていえるのよ！
だから…初め、この場所に来たときは姉さんと顔を合わすのが嫌だった…
けど、今は後悔なんてしていないわ…
私はそう思いながら、改めて剣を構えなおした…
「何なの…その構えは…？私が教えてあげた構えじゃないわね…？」
「当然…私は変わったの！！構えも強さも…昔以上にね！！」
そう言いながら、私はフェルス興国で編み出した自己流の構えで姉さんに対して攻撃を仕掛けた…
正直なところをいえば…私はモンスターラグーンのメンバーの中ではそんなに強くないの…悔しいけどね？
でも…それでも姉さんには通じるLVだと思うから！！
私は剣を横に振りながら、足で姉さんの鎧をけりつけたの…
予想以上の行動に…姉さんも困惑しているようだし…
これって、結構前半戦としてはいいスタートじゃない？
「…ククリ…剣で攻撃すると思わせて蹴り技を仕掛けるなんて…その戦い方は危険だって教えなかったかしら？」
…確かに、私は兵士時代…１４歳の時に姉さんからそんな事を教えて貰っていた…
けど、姉さんの言うとおりの戦い方で勝ったとしても…うれしくないでしょ？
でも…一つ分かったことがある…
この戦い、私勝てるわ！！
姉さんは昔とそんなに強さが変わっていないのよ！！
戦いってのは相手のことをどれくらい知っているかによっても大きく変わるわ…
私は姉さんの戦い方を小さい時から見てきたけど、姉さんは私が自己流のフォームで戦っているのを見るのは初めて…これが、勝敗をわけることになるの！
姉さんには悪いけど…私は姉さんを…越える！！
「はっ！！せいっ！！」
私は姉さんが出して来た剣を上半身を反らしてかわし、すぐに剣での攻撃と手や足での打撃技を組み込んでいくスタイルで攻撃をする…
やっぱり、姉さんは成長していないし…私は成長している…
あははっ！！勝てる…勝てるわっ！！
私は更に攻撃を激化させていったんだけど…その時、姉さんが攻撃をかわしながらこういってきたの…
「…変わったわね…守りを捨てる戦いを取るなんて…でも、あなたには姉さんである私は倒せないわ…」
「…何？それ…負け惜しみ？私は姉さんを今…この瞬間越えているのよ！？」
正直、こんなに押されているのに負け惜しみを言う姉さんのことが私はよく分からない…こんなにも防戦一方なのに、姉さんがまだあんなことを言うなんて…
私はそう思いながら、固有技の構えを取った…
私は…この技で確実に姉さんを…倒す！
「【速攻の機工兵（ソニック・ラウゼス）】！！」
この技は、剣を胸元より若干右上に構え、左足の瞬発力を利用して相手に一瞬で近づき、足払いを仕掛けた後に相手の首を狙ってサマーソルト…殴りつけた後にパンチを胸元に当てながら腹の部分に剣を突き立てる技なんだけど…
この技はなんと、音よりも早く動くことが出来るのよ！？
……体に来る衝撃も半端じゃないから、使用した後二日間、腰痛と極度の筋肉痛に悩まされるんだけど…
そんな大技を私は、姉さんに叩き込んだ！！
「…だからあなたは弱いのよ…」
私は姉さんが小さくそう言ったのが聞こえ、次の瞬間、足払いを仕掛けたはずの足を姉さんに蹴られ、バランスを崩して私は前のめりになった…
な、なんで！？この速度についてこれるなんて…
「……ククリ、強くなったのは自分だけだって…本気で思っていたの？初めから私は…本気であなたと戦うつもりはないのよ？だって…あなたと私とでは戦闘力が違いすぎるのよ…」
「…ば、馬鹿にして！くらえ！！【速攻の機工兵】」
…本来なら、この固有技を二回も使うことはしたらいけないってメリィは言ってたけど、こんなに馬鹿にされて…おとなしくなんて出来ない！！
「……ククリが私に勝てない理由その１…あなたの戦い方は余りにも危険よ？守りを捨てて攻撃だけに特化するのは愚か者って教えたはずよ？それに…何回も同じ技を使う癖がある」
姉さんがそういうと同時に、私の攻撃技は防がれ…私は姉さんに横腹を殴られながら後ろにのけぞってしまった…
な、なんで…なんで私の技が通用しないの！？
わ、私は勝ってたじゃない！？それが…なぜ！？
「勝てない理由その２…あなたの戦闘能力は私には全然及ばない…努力の量が違うのよ…己の力量も判断できず、相手の力量の判断に失敗したあなたに私は倒せないの…勝負は初めからついていたのよ？」
「くはっ！？」
姉さんがそう言いながらさらに腹を殴りつけてきた時、私は目の前がチカチカし始めたの…
そ、そんな…馬鹿な…事…
私は…勝てると…
私はそう思いながら、床に倒れてしまった…
目の前は、まるで霧がかかったかのようにぼやけて見えているし…
やっぱり…勝てない…の？
「…私の後ろをついて来ていればこんな目に会わなくてすんだのに…馬鹿な妹…でも、私はそんなあなたも…嫌いじゃないわよ？さて、しばらく淫罪の間で反省して…しばらくしたらまた二人で…」
「い…やぁ…淫…罪の間は…わ…たし…うぅっ…」
そして、私が半ば諦めた時…私はアイネさんの姿を見たのだった…
もしかしたら…勘違いかもしれないけど…
そこで、私は気絶したのだった…
〜〜デメトリオパートに戻る…〜〜
…はぁっ、はぁっ…結構走ったと思うんだけど、まだ走るのか！？
…結構距離短いと思って油断していたぜ…
まさか、扉の向こう側にさらに同じ階段が続いているとは…誰も想像しないだろ！？これは…俺を陥れるための罠に違いないな…
なんて思いながら、微妙に頭の片隅で…ククリを助けに行ったアイネの無事を心配していたりするんだけど…
いやな？よく助けに行くなんて選択肢が出たと思うぜ…？
俺だったら絶対行かないもんなぁ…
……なんか、主人公としてこれでいいのかって内心思ってきたんだが…
こ、このままではメリィやアイネ…ゾーネとか他のモンスターラグーンのメンバーに主人公の座を盗られてしまうんじゃないか！？
待て待て…落ち着けよデメトリオ…よーく考えろ…
お前は主人公らしい行動を今まで取って来たじゃないか！！
今まで俺と性行為を行いたいといってきた魔物娘達には、その子達の将来を考えて全て拒否…困っている女の子には殴られつつもお金をあげて…
しかも、嫉妬心を抱きつつもそれを人にはぶつけずに心の中にためる俺…
争いなんて野蛮だから、絶対に戦闘を行わないこの姿勢…
どれをとっても主人公みたいじゃないか！！
……よく考えたら、俺の主人公の座は安泰だな！！
で、俺は結局その考えにたどり着いたのだった…
そうしてしばらく階段を降りていると、俺は扉のすぐ近くに壷を見つけたんだよ！！
……こ、この壷…中身が非常に気になったりするのは俺だけか…？
なんだろうか？俺の中にあるDQ的感があの壷を調べろと言っているんだが…
くっ…す、少しくらいだったら調べても…いい気がするぜ…
俺は結局、この壷の誘惑に打ち勝つことが出来なかったんだ…
で、今現在手を入れて中を調べているんだが…！？
おいおい…俺の感は正しかったのか？何か…硬いものがあるじゃないか！！
俺はそう思いつつ、それを一気に取り出したんだよ！！
なんだったと思う？チーズだよチーズ！！
しかも、俺が今まで見たことが無いチーズだったんだ！！
まるで石のように硬い材質と塩っ辛さはまるで…岩塩！！だが、完璧に熟しているチーズだったんだよ！！
これは…早速もらうとするかな…
そう思いつつ、俺はそのチーズをそっとポーチの中に入れたのだった…
え？お前、主人公なのにそんな事をしていいのか？罰が当たるぞ？だって？
ふっふっふ…そう簡単に罰なんて当たるわけ無いだろ？
世の中はな？そう都合よくは行かないって事を…読者のみんなに教えてやろうじゃないか！！
そう言いながら扉を開ける俺…あとどれくらいで外かな…
だが…まさか…まさかここだけ足場が低いなんて思ってもいなかった俺は、容赦なく前のめりに転んだんだよ！！
しかも…凄い勢いで転がり始める始末…ま、まさか…罰なのか！？
世の中はそんなに甘くないんじゃなかったのかよ！？なんで…
なんで狙い済ましたかのようにこんなことが起こる！？えぇっ！？
だが、こんな風に言っても俺の転がる速度が下がるわけではなく…
あぁっ！？め、目の前に小麦粉の袋が積み上げられてるじゃないか！！
か、階段が終わったのはいいけど…これはこれで嫌なんだよ！！
く…くそぉっ！！こ、こうなったら…
「メリィよ…このチーズを…俺の宿屋に届けてくれよ？あれは…良い物だ！」
ぼふっ…
俺は、そんな台詞をつぶやきながら小麦粉の袋に突っ込んだのだった…
しかも、頭から袋に突き刺さる始末だぜ？
しかし…俺のさっきの台詞の元ネタがわかったとしたら…その人は中々凄いと思うぜ？
なんて思いつつ、俺は小麦粉からやっとの思いで脱出したのだった…
そして俺が外に出ると、セムちゃんが他のモンスターラグーンのメンバーに連れられて待っていたんだよ！！
…あれ？兵士はどうしたんだろうな…？
本来ならセムちゃんを追いかけていた兵士とここで遭遇してもおかしくないとも思うんだけどな…
ま、まぁいいや…敵がいないって事に越したことは無いだろ？な？
「デメさーん！！」
そう言いながらこっちの方に走ってくるセムちゃん…
こ、これは…あのシチュエーションなのか！？
俺の頭の中に、セムちゃんと抱き合いながら笑っている映像が現れたんだよ！
こ、こんなシチュエーションが訪れようなどとは思ってもいなかったぜ…
でも、たまにはこんなサービスカットシーン…あってもいいよな？
俺はそう思いながら両手を広げたんだが、セムちゃんは俺の体にタックルを食らわせると一気に地面に押し倒したんだよ！！
えっと…これは、俺の思っていたシチュエーションとはだいぶ違うんだが…
あっ！？決してだいぶ違うって言葉と、セムちゃんがダイブしてきたって事をかけているわけじゃないぜ？
そんな事聞いてないって…そ、そうか…ごめん
「デメさん…私が捕まった時助けてくれなかったじゃないですかぁーー！！」
「いや…俺は心のそこから助けたいと…」
本当は思ってないんだが…思っているということにしておけば、俺の主人公らしさが上昇するはずだ！！
今は…とにかく主人公っぽい行動をとらなくてはいけないからなぁ…
「…でも、いいですよ別に…デメさんが無事だったわけだし…」
「あぁ…俺はセムちゃんやみんなのおかげで傷一つ受けてないぜ？」
「そ、そうだ…実はこの季節になると…えっと…えっと…」
だが、セムちゃんが何かを言おうとした時、なんと城の方からアイネとアイネに担がれて気絶しているククリが出てきたんだよ！！
く、ククリ…やられてしまったのか！？
だから勝てない相手とは戦わずに逃げろって俺は旅に出てから何回も言っているじゃないか！！
……俺は最近、逃げることが出来ずにいるんだけどな…？
そしてしばらくして、俺たちは他のメンバーが調べておいてくれたルートを通って、この場所から脱出したのだった…
…あっ！？で、デモンスタワー４階って書いてるじゃないか！！
俺はデモンスタワー４階って書かれている看板を見て、あることを思い出したんだ…
さ、三階から次の階に進む道はエレベーターだったぜってメリィに言うことをなぁ！！
ま、まぁ…無事にたどりつけたからこの事実は内緒にしておこう…うん…
俺はそれを心に決め、デモンスタワーに戻っていったのだった…
〜〜アヴァル城内で…
「なんで兵士を退かせたのよ！？おかげで…せっかくいい娘が手に入ったのに逃しちゃったじゃないの！！」
「…コリン様、目の前のことだけで判断するのはおやめください…私が何も手を打たずにいるわけが無いでしょう？ちゃんと、セムに発信機をつけていますので…明日、朝一番に国の猛者を数人連れて追いかけ始めればよいでしょう？」
「さすがはアミル…何事にも油断ないのね！！」
「当然ですよ姫様…では、私は裕実のところに言ってきますので…姫様は連れて行きたいと思う方を何名か集めておいてください…」
「了解！！」
「…（ふっ…馬鹿にはちょうどいい目くらましといったところね…姫さま？敵は身内にもいるって事を覚えて置いたほうがいいですよ…？）では、私はこれで…姫様、お体にはお気をつけ下さいね？」
「うん！！アミル…ありがとね！！」
「いえいえ…」
なんて俺は思いつつ、メリィの後ろに隠れていたんだよ！！
だって…単純に考えても、メリィたちの後ろにいたほうが安全だろ！？
……こう言ってしまってはあれなんだけど、俺一人で逃げてたら捕まる気がしてならないからなぁ！！
なんて心の中でつぶやいていると、ココリさんがこう言ってきたんだ！！
「そこをどいてくれませんか？旅の方に手荒な真似はしたくありませんので…」
「それは無理ね…だって、デメトリオは今は一応私達の仲間だし…ね？」
……ちょっと待てよ？一応ってどういうことだよ！？
いやいや…俺はれっきとした仲間ですよ！？
め、メリィ…いくら俺が役に立たないからって一応仲間宣言とか…酷いなぁ…まったく…
いつか役に立つ時が…来る気がするからそれまで待ってくれてもいいと思うぜ？俺はさぁ…
だが、そんな事を考えている俺なんてまるで眼中に無いかのように、メリィとココリの間で無言のにらみ合いが始まったんだよ！！
こ、これが…冷戦って奴なのか！？え？違うって…？
ま、まぁ…似たようなもんだろ？
そして、このにらみ合いという名の沈黙を先に破ったのはココリのほうだったんだよ…
ふっ…ココリ…痺れを切らしたようだな…
この戦い…先に動いたほうが負ける！！
なんて…言ってみたりとかしてね？
「…ククリ！！今すぐ後ろにいる男を連れてきなさい！！」
「……ね、姉さん、でも…」
「あなた…姉の言うことが聞けないの？昔、一緒に兵士をしているときは私の言う事を聞いてくれたじゃないの！！」
「…わ、私はそんな自分が嫌になってここから去ったの！！いつまでも昔のように姉さんの言う事を聞いている私じゃない！！」
う、うぉーい…こ、これはまた…大きな姉妹喧嘩が勃発しそうだぜ…
な、なるほどな？ククリがフェルス興国出身じゃなかったって事実には結構驚いたりもしたんだけど…やっぱり、一人一人、なにか思うところがあって生きてるって奴なのか？
だ、だったら…何も考えずに生きてきた俺は一体…どうなるんだ！？
ま、まぁ…自分のことは自分で考えないと何もわからねぇってアルフォンスが言ってたから、のんびり考えていくつもりなんだけどな？
だが、ココリとククリの意見のぶつかり合いは、これで終わりそうも無いな…
「…ククリ、あなたは私に甘えてくれていたらいいのよ？だから…私の言うことくらいは昔みたいに素直に聞いてよ…？」
「私は…昔のままの私じゃない！！姉さんに甘えてばかりで、決断することをしなかった頃の私じゃないのよ！姉さんはいっつも母さんや隊のみんなに褒められていたから満足かもしれないけど…私はいつもおまけ程度だったじゃないの！私だって…一人のメデューサなのよ！！」
「私はククリのことをおまけなんて…ククリ、本当に私の言う事を聞くつもりは無いの？私は…今までと同じようにあなたと接するつもりなのよ？勝手に出て行ったことを責めたりもしないから…」
「今までと同じじゃダメなのよ！！私は…変わるんだから！！」
「……そう、決心は変わらないのね…？」
！？く、空気が急激に寒くなっただと！？
こ、これは…何か恐ろしいことが起こる予感がするぜ…
ピッ…
……えっと、空気が寒くなったのはコリンが熱いと思ったらしく、城内のクーラーのスイッチを入れたからでした…
や、やっぱり蛇…冷血動物の一種的な感じで熱いのよりは涼しいほうがいいって事なのかな？
……少し寒い気もするけど…
紛らわしくて…本当にすまなかったと思っている！！
「ククリ…私は一人の兵士としてあなた達を倒してでもデメトリオを手に入れるわ…それでいいのよね？剣を構えなさい…」
「……えぇ…私は姉さんのおまけじゃ無かったって…証明してみせる！！」
そういうと、ククリは自分の腰の部分につけていた護身用の剣を抜いたんだ！
……や、やる気なのか！？ココリは兵士長とか呼ばれていたのに…無謀すぎやしないか！？
確かに、自分のプライドを守ることは大切なことだと思うよ？でも…だからって勝てない戦いに挑むのはただの馬鹿じゃないか！！
無謀すぎるんだって！！
だが、俺の考えなんてまるで気付いていないククリは、振り返らずにこう言ったんだよ…
「リーダー…私、ここで姉さんを引き止めます！！絶対に追いつくので先に行っててください！！」
「……わかったわ…」
め、メリィ…ククリを置いて行くのか！？そ、それは…余りにも無情な選択じゃないのかよ！？
俺はそう思ったが、メリィが動きを止めるそぶりを一切見せないし…俺もここにとどまる勇気は無かったんだ…
で、この場所から去ろうとしているわけだが…
……何も言わずに去るのはさすがに酷すぎる気がするぜ…
俺はそう思って、振り返りこう言ったんだ…
「ククリ…確かにプライドも大事だけど…世の中には逃げるって行動があるってことを忘れちゃダメだぞ！？じゃあな！！」
「…わかってるわよ！！あんたに言われなくてもそのくらい！！この臆病者！！」
……ひ、酷いぜ…せっかくいい事を言ってやったのに…
俺はそう思いながら、その場を後にしたのだった…
さて…ここで、俺たちはしばらく逃げるって行動に入ったわけですから…
主人公視点をククリに譲渡させてもらうぜ！！
【視点譲渡】！！
〜〜ククリ目線でお楽しみください〜〜
…まったく、デメトリオは相変わらずなんだから…
私はそう思いながら、姉さんの方を改めて向いたの…
私だって…旅に出てフェルス興国に入って…そこでモンスターラグーンのメンバーといろいろなことをしたし、訓練もアイネに手伝ってもらってそれなりには頑張ってきた…姉さんを越えることが出来たって…自信を持っていえるのよ！
だから…初め、この場所に来たときは姉さんと顔を合わすのが嫌だった…
けど、今は後悔なんてしていないわ…
私はそう思いながら、改めて剣を構えなおした…
「何なの…その構えは…？私が教えてあげた構えじゃないわね…？」
「当然…私は変わったの！！構えも強さも…昔以上にね！！」
そう言いながら、私はフェルス興国で編み出した自己流の構えで姉さんに対して攻撃を仕掛けた…
正直なところをいえば…私はモンスターラグーンのメンバーの中ではそんなに強くないの…悔しいけどね？
でも…それでも姉さんには通じるLVだと思うから！！
私は剣を横に振りながら、足で姉さんの鎧をけりつけたの…
予想以上の行動に…姉さんも困惑しているようだし…
これって、結構前半戦としてはいいスタートじゃない？
「…ククリ…剣で攻撃すると思わせて蹴り技を仕掛けるなんて…その戦い方は危険だって教えなかったかしら？」
…確かに、私は兵士時代…１４歳の時に姉さんからそんな事を教えて貰っていた…
けど、姉さんの言うとおりの戦い方で勝ったとしても…うれしくないでしょ？
でも…一つ分かったことがある…
この戦い、私勝てるわ！！
姉さんは昔とそんなに強さが変わっていないのよ！！
戦いってのは相手のことをどれくらい知っているかによっても大きく変わるわ…
私は姉さんの戦い方を小さい時から見てきたけど、姉さんは私が自己流のフォームで戦っているのを見るのは初めて…これが、勝敗をわけることになるの！
姉さんには悪いけど…私は姉さんを…越える！！
「はっ！！せいっ！！」
私は姉さんが出して来た剣を上半身を反らしてかわし、すぐに剣での攻撃と手や足での打撃技を組み込んでいくスタイルで攻撃をする…
やっぱり、姉さんは成長していないし…私は成長している…
あははっ！！勝てる…勝てるわっ！！
私は更に攻撃を激化させていったんだけど…その時、姉さんが攻撃をかわしながらこういってきたの…
「…変わったわね…守りを捨てる戦いを取るなんて…でも、あなたには姉さんである私は倒せないわ…」
「…何？それ…負け惜しみ？私は姉さんを今…この瞬間越えているのよ！？」
正直、こんなに押されているのに負け惜しみを言う姉さんのことが私はよく分からない…こんなにも防戦一方なのに、姉さんがまだあんなことを言うなんて…
私はそう思いながら、固有技の構えを取った…
私は…この技で確実に姉さんを…倒す！
「【速攻の機工兵（ソニック・ラウゼス）】！！」
この技は、剣を胸元より若干右上に構え、左足の瞬発力を利用して相手に一瞬で近づき、足払いを仕掛けた後に相手の首を狙ってサマーソルト…殴りつけた後にパンチを胸元に当てながら腹の部分に剣を突き立てる技なんだけど…
この技はなんと、音よりも早く動くことが出来るのよ！？
……体に来る衝撃も半端じゃないから、使用した後二日間、腰痛と極度の筋肉痛に悩まされるんだけど…
そんな大技を私は、姉さんに叩き込んだ！！
「…だからあなたは弱いのよ…」
私は姉さんが小さくそう言ったのが聞こえ、次の瞬間、足払いを仕掛けたはずの足を姉さんに蹴られ、バランスを崩して私は前のめりになった…
な、なんで！？この速度についてこれるなんて…
「……ククリ、強くなったのは自分だけだって…本気で思っていたの？初めから私は…本気であなたと戦うつもりはないのよ？だって…あなたと私とでは戦闘力が違いすぎるのよ…」
「…ば、馬鹿にして！くらえ！！【速攻の機工兵】」
…本来なら、この固有技を二回も使うことはしたらいけないってメリィは言ってたけど、こんなに馬鹿にされて…おとなしくなんて出来ない！！
「……ククリが私に勝てない理由その１…あなたの戦い方は余りにも危険よ？守りを捨てて攻撃だけに特化するのは愚か者って教えたはずよ？それに…何回も同じ技を使う癖がある」
姉さんがそういうと同時に、私の攻撃技は防がれ…私は姉さんに横腹を殴られながら後ろにのけぞってしまった…
な、なんで…なんで私の技が通用しないの！？
わ、私は勝ってたじゃない！？それが…なぜ！？
「勝てない理由その２…あなたの戦闘能力は私には全然及ばない…努力の量が違うのよ…己の力量も判断できず、相手の力量の判断に失敗したあなたに私は倒せないの…勝負は初めからついていたのよ？」
「くはっ！？」
姉さんがそう言いながらさらに腹を殴りつけてきた時、私は目の前がチカチカし始めたの…
そ、そんな…馬鹿な…事…
私は…勝てると…
私はそう思いながら、床に倒れてしまった…
目の前は、まるで霧がかかったかのようにぼやけて見えているし…
やっぱり…勝てない…の？
「…私の後ろをついて来ていればこんな目に会わなくてすんだのに…馬鹿な妹…でも、私はそんなあなたも…嫌いじゃないわよ？さて、しばらく淫罪の間で反省して…しばらくしたらまた二人で…」
「い…やぁ…淫…罪の間は…わ…たし…うぅっ…」
そして、私が半ば諦めた時…私はアイネさんの姿を見たのだった…
もしかしたら…勘違いかもしれないけど…
そこで、私は気絶したのだった…
〜〜デメトリオパートに戻る…〜〜
…はぁっ、はぁっ…結構走ったと思うんだけど、まだ走るのか！？
…結構距離短いと思って油断していたぜ…
まさか、扉の向こう側にさらに同じ階段が続いているとは…誰も想像しないだろ！？これは…俺を陥れるための罠に違いないな…
なんて思いながら、微妙に頭の片隅で…ククリを助けに行ったアイネの無事を心配していたりするんだけど…
いやな？よく助けに行くなんて選択肢が出たと思うぜ…？
俺だったら絶対行かないもんなぁ…
……なんか、主人公としてこれでいいのかって内心思ってきたんだが…
こ、このままではメリィやアイネ…ゾーネとか他のモンスターラグーンのメンバーに主人公の座を盗られてしまうんじゃないか！？
待て待て…落ち着けよデメトリオ…よーく考えろ…
お前は主人公らしい行動を今まで取って来たじゃないか！！
今まで俺と性行為を行いたいといってきた魔物娘達には、その子達の将来を考えて全て拒否…困っている女の子には殴られつつもお金をあげて…
しかも、嫉妬心を抱きつつもそれを人にはぶつけずに心の中にためる俺…
争いなんて野蛮だから、絶対に戦闘を行わないこの姿勢…
どれをとっても主人公みたいじゃないか！！
……よく考えたら、俺の主人公の座は安泰だな！！
で、俺は結局その考えにたどり着いたのだった…
そうしてしばらく階段を降りていると、俺は扉のすぐ近くに壷を見つけたんだよ！！
……こ、この壷…中身が非常に気になったりするのは俺だけか…？
なんだろうか？俺の中にあるDQ的感があの壷を調べろと言っているんだが…
くっ…す、少しくらいだったら調べても…いい気がするぜ…
俺は結局、この壷の誘惑に打ち勝つことが出来なかったんだ…
で、今現在手を入れて中を調べているんだが…！？
おいおい…俺の感は正しかったのか？何か…硬いものがあるじゃないか！！
俺はそう思いつつ、それを一気に取り出したんだよ！！
なんだったと思う？チーズだよチーズ！！
しかも、俺が今まで見たことが無いチーズだったんだ！！
まるで石のように硬い材質と塩っ辛さはまるで…岩塩！！だが、完璧に熟しているチーズだったんだよ！！
これは…早速もらうとするかな…
そう思いつつ、俺はそのチーズをそっとポーチの中に入れたのだった…
え？お前、主人公なのにそんな事をしていいのか？罰が当たるぞ？だって？
ふっふっふ…そう簡単に罰なんて当たるわけ無いだろ？
世の中はな？そう都合よくは行かないって事を…読者のみんなに教えてやろうじゃないか！！
そう言いながら扉を開ける俺…あとどれくらいで外かな…
だが…まさか…まさかここだけ足場が低いなんて思ってもいなかった俺は、容赦なく前のめりに転んだんだよ！！
しかも…凄い勢いで転がり始める始末…ま、まさか…罰なのか！？
世の中はそんなに甘くないんじゃなかったのかよ！？なんで…
なんで狙い済ましたかのようにこんなことが起こる！？えぇっ！？
だが、こんな風に言っても俺の転がる速度が下がるわけではなく…
あぁっ！？め、目の前に小麦粉の袋が積み上げられてるじゃないか！！
か、階段が終わったのはいいけど…これはこれで嫌なんだよ！！
く…くそぉっ！！こ、こうなったら…
「メリィよ…このチーズを…俺の宿屋に届けてくれよ？あれは…良い物だ！」
ぼふっ…
俺は、そんな台詞をつぶやきながら小麦粉の袋に突っ込んだのだった…
しかも、頭から袋に突き刺さる始末だぜ？
しかし…俺のさっきの台詞の元ネタがわかったとしたら…その人は中々凄いと思うぜ？
なんて思いつつ、俺は小麦粉からやっとの思いで脱出したのだった…
そして俺が外に出ると、セムちゃんが他のモンスターラグーンのメンバーに連れられて待っていたんだよ！！
…あれ？兵士はどうしたんだろうな…？
本来ならセムちゃんを追いかけていた兵士とここで遭遇してもおかしくないとも思うんだけどな…
ま、まぁいいや…敵がいないって事に越したことは無いだろ？な？
「デメさーん！！」
そう言いながらこっちの方に走ってくるセムちゃん…
こ、これは…あのシチュエーションなのか！？
俺の頭の中に、セムちゃんと抱き合いながら笑っている映像が現れたんだよ！
こ、こんなシチュエーションが訪れようなどとは思ってもいなかったぜ…
でも、たまにはこんなサービスカットシーン…あってもいいよな？
俺はそう思いながら両手を広げたんだが、セムちゃんは俺の体にタックルを食らわせると一気に地面に押し倒したんだよ！！
えっと…これは、俺の思っていたシチュエーションとはだいぶ違うんだが…
あっ！？決してだいぶ違うって言葉と、セムちゃんがダイブしてきたって事をかけているわけじゃないぜ？
そんな事聞いてないって…そ、そうか…ごめん
「デメさん…私が捕まった時助けてくれなかったじゃないですかぁーー！！」
「いや…俺は心のそこから助けたいと…」
本当は思ってないんだが…思っているということにしておけば、俺の主人公らしさが上昇するはずだ！！
今は…とにかく主人公っぽい行動をとらなくてはいけないからなぁ…
「…でも、いいですよ別に…デメさんが無事だったわけだし…」
「あぁ…俺はセムちゃんやみんなのおかげで傷一つ受けてないぜ？」
「そ、そうだ…実はこの季節になると…えっと…えっと…」
だが、セムちゃんが何かを言おうとした時、なんと城の方からアイネとアイネに担がれて気絶しているククリが出てきたんだよ！！
く、ククリ…やられてしまったのか！？
だから勝てない相手とは戦わずに逃げろって俺は旅に出てから何回も言っているじゃないか！！
……俺は最近、逃げることが出来ずにいるんだけどな…？
そしてしばらくして、俺たちは他のメンバーが調べておいてくれたルートを通って、この場所から脱出したのだった…
…あっ！？で、デモンスタワー４階って書いてるじゃないか！！
俺はデモンスタワー４階って書かれている看板を見て、あることを思い出したんだ…
さ、三階から次の階に進む道はエレベーターだったぜってメリィに言うことをなぁ！！
ま、まぁ…無事にたどりつけたからこの事実は内緒にしておこう…うん…
俺はそれを心に決め、デモンスタワーに戻っていったのだった…
〜〜アヴァル城内で…
「なんで兵士を退かせたのよ！？おかげで…せっかくいい娘が手に入ったのに逃しちゃったじゃないの！！」
「…コリン様、目の前のことだけで判断するのはおやめください…私が何も手を打たずにいるわけが無いでしょう？ちゃんと、セムに発信機をつけていますので…明日、朝一番に国の猛者を数人連れて追いかけ始めればよいでしょう？」
「さすがはアミル…何事にも油断ないのね！！」
「当然ですよ姫様…では、私は裕実のところに言ってきますので…姫様は連れて行きたいと思う方を何名か集めておいてください…」
「了解！！」
「…（ふっ…馬鹿にはちょうどいい目くらましといったところね…姫さま？敵は身内にもいるって事を覚えて置いたほうがいいですよ…？）では、私はこれで…姫様、お体にはお気をつけ下さいね？」
「うん！！アミル…ありがとね！！」
「いえいえ…」
12/06/27 19:38更新 / デメトリオン
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