55 デモンスタワー 一階 (後編)
俺達が次の部屋に入ると、そこは部屋というよりは廊下のようなつくりになっていたんだ!!
よーく見ると、遠くの方に二階へ通じるであろう階段が見えるし…
やっぱり、一階ってのは単純なものなんだな…ふっ…
俺は内心そうつぶやきながら歩いていたんだが…いくら歩いても全然進んだ気がしないのは…なぜなんだよ!?
……気持ちの問題か?そういうことなのか?
って俺は思いながら歩いているけど…やっぱりそうだ!!
この廊下、俺が歩くたびに後ろの方に戻されて行くじゃないかよ!!
この事実に気がついた瞬間、俺はメリィの方を向いたんだぜ…
困ったときは味方に頼る…それが俺だからな!!
「……そうね、私は飛べるし、ここは問題ないわね…」
……おい!!メリィはよくても、俺や他の飛べない連中がだな…
俺はそう思ったが、メリィは容赦なく飛んで行ったんだぜ…
こちら側に残された俺たちは…どうすればいいんだろうな?
だが…いきなりゾーネがルービックキューブを取り出すと、カチャカチャとやり始め、気がついたときには謎の機械が出来ていたんだよ!!
あ、あのルービックキューブ…便利だなぁ…いや…
だってさ?あの方法を使えば、引越しの際に道具を箱につめたりしなくてもいいし…収納にも便利だろ!?
俺の宿屋みたいに家ごと持っていけたりするし…
今度頼み込んでみたら、分けてくれたりとかしないかな…
俺がそんな事をのんきに考えていると、ゾーネの発明品は物凄い速度でモンスターラグーンの飛行できないメンバーを連れて向こう側に行きやがったんだよ…
おいおい…俺が残っているんだぜ?まさか…置き去りなんて事は…
って心で思った時、俺は腰にロープが巻かれていることに気がついたんだよ!
……いつの間に!?な、なんて都合のいい世界なんだ…
ま、まぁ…とにかく、これで安全に向こう岸にいけるからよかったぜ…
いや…内心では、こっち側に取り残されるんじゃないかってひやひやしてさ…
だが、俺のこの考えは物凄く甘い考えだったと俺は後になって気付かされたんだ…
確かに、向こう側にはいける…でもな?
「ちょっとこれは…早くないかよぉーーー!?」
そう…物凄い速度なんだよ!!しかも…腰に巻かれていたはずのロープが緩かったのか、だんだん下がってきて…
今、荒縄のロープが棒を…棒を引きちぎるかの勢いで押さえつけているんだよ!
余りの激痛に涙を浮かべ始めた俺だったが…も、もうすぐ向こう岸に到着だ!
た、耐えろデメトリオ!!耐えるんだーー!!
そして、ゾーネたちが向こう岸に到着し、俺ももうすぐ到着かーー!?って思われたときだった…
なんと、俺の棒を押さえつけていたロープが足の方まで下がってきたんだよ!
「えぇっ!?ちょ…待てって!嫌な予感がだな…」
そういった次の瞬間、俺は綺麗に足にロープが巻きつき、その直後に顔面から床に顔を強打したんだぜ…
そして…次の瞬間に足のロープが解けたんだよ!!
ま、まぁ…これで痛い思いをしないですんだって考えたら…いいほうかな?
えっ!?ま、待て!!床が…俺をもともといた場所まで運んでいるだと!?
う、嘘だろーーー!?
はいはい…こうしてまた振り出しに戻りましたっと…
こんなことなら、初めからここにいた方が数倍はよかったね…
……俺の棒もヒリヒリして…腫れてないか心配だし…
俺はそう思いながら確認してみたんだが…うん、大丈夫そうだな…
さぁて、俺の棒の安全も確認したし、問題はどうやって向こう岸に渡るかだよな…
皆待ってくれているし…早くたどり着かないとな…
俺はそう思うと、はじめは無理だったが、次は出来るかも知れないって思ってその床に対して必死に走り始めたんだ!!
走り始めて15分…いまだに先に進めないんだが…そんな事はどうでもいい!
いや…本音を言えばどうでもよくないんだけど…ね?
……あっ…メリィたち、おやつを食べ始めやがった…いいなぁ…
俺も…干し肉食べようかな…
俺は走るのを少しやめ、腰に挿してあった干し肉を一本取り出した…
そうだな…やっぱり食べるときに台詞って大事だよなぁ…
……よし!!コレでいこう!!
元ネタがわかったら…大したものさ!!
「干し肉を食べ続けて来たこの俺に…勝てると思うのかぁ?」
そう言いながらパリッと干し肉をかじってやったぜ!!
そして、その後に俺はあることに気がつくんだ…
俺、今…こんなことをしている場合じゃねぇ!!
そして、干し肉を食べた俺は、気を取り直して動く床にダッシュし始めたのだが…全然進める気がしないなぁ…どうでもいいけど…
俺がそう思いながら走っていると…なんと、目線の端っこにキラッ☆っと…
え?ポーズいらないって?
悪かったなぁ!!
とにかく、金属板を見つけたんだよ!!
し、しかも…取っ手までついてるし…あ、あやしい…
俺は微妙に走りながら右に移動し、その金属板を開けてみたんだ…
上に上げないと開かないって事に…若干取り付けた奴の悪意を感じるな…
そう思いながらも中を確認してみると…なんと…
この床の進行方向を変更するレバーがついてたんだよ!!
なぜ俺がそのレバーが進行方向を変更するレバーだってわかったかって?
ふっ…上に大きく子供の字で書かれていたら、誰でもわかるだろうよ!!
くそぉ…こんなレバーがあるのなら…あんな激痛を味あわなくてもよかったじゃねぇかよぉ…
だ、ダメだ…こんなことを思ったら更に嫌な気分になってしまうぜ…
俺はそう思うと、今思っていたことを振り払い、レバーを思いっきり下に倒したんだよ!!
バキィッ!!
……えっと、なんか変な音がしたけど…気にしないでおくとするか…
そうして、動く床を越えた後…俺たちは階段前の大きな部屋であることに気がついたんだよ…
なんと、あの階段には鍵がかかっているんだぜ!?
な、なんで丁寧にロックなんてしてるんだよ…
俺たちがその鍵に対して、若干めんどくさそうな表情を浮かべたときだった…
後ろの方からいきなり話し声が聞こえてきたんだよ!!
「ほぅ…今回はずいぶんと大人数だな…手ごたえがあるといいのだが…」
そう言いながら、プニュンという効果音を鳴らしながら、鎧に身を包んだスライムがこっちに来たんだよ!!
ど、どうでもいいけど…凄く歩きにくそうだな…あれ…
「私と戦いたければ来い!!スライムナイトと呼ばれたこの私を…倒せるものならな!!ちなみに、戦わないのならば去れ…この階段の鍵は私が持っているからなぁ…」
な…なんだと…?なんだ!?このスライムの異常な自信は…
全然…強さを感じないんだけどなぁ…
「あ、あと…この私を倒した勇敢な男ならば私…フリューゲル・アインリーネが嫁となってやってもいいぞ?なぁ…青年!!後、男っぽい名前だって思った奴、風呂に入るときは気をつけるんだな…犯されても文句は言えないぞ?(ギロッ…)」
そういいながら、さも当然、かかってくるよな?って目線で俺を見てくる俺…
一瞬、俺以外のほうを見たって事は…最後の方のせりふと台詞は読者諸君に向けられた物らしいぞ?気をつけてくれ?
…で、結局、俺が戦うなんて事はありえないわけで…
え?嫌だよ…相手は騎士…ナイトを名乗っているんだぜ?嫌に決まっているだろ!!
さっきのインプの女の子よりも…勝てる気がしないっての!!
だが、俺がビビッて後退していると、アイネが前に立ったんだよ!!
は…はっはっは!!アイネ様が出てきたからには、騎士だろうがなんだろうが…俺に怖いものなんて無いぜ!!
モンスターラグーンbPの実力は…伊達じゃないってな!!
「……貴殿も騎士か…ならば、お手合わせ願おう!!私は生前は…騎士だったのでな!」
「なるほど…この闘志…強者か…」
な、なんだか…俺が立ち入る場所がなさそうな雰囲気になってきたんだが…
そして、戦いが始まったとき、アイネがフリューゲルの周りを剣を構えた状態で歩き始めたんだ!!
……戦いのときって、相手を視界から逃したらほとんど負けるって言われているはずなのに…なんでフリューゲルはアイネを目で追わないんだ!?
あ、あれが…余裕って奴なのかよ!?
そうして、ずっと戦闘が始まるのをずっと待っていたわけなんだが…
俺はここであることに気がついたんだ!!
バトルシーンって、戦っている奴の心境で見たほうがいいんじゃないかってね!
いや…別に、俺の説明するバトルシーンで満足ならいいぜ?
でも、干し肉を食べながら後ろで見ている俺に説明されるって、感動が薄くないか?
薄いだろ!?だったら、もう主人公視点が若干連続で取られたし…この状況を逆手にとってやろうって…俺はそう考えたんだよ!!
って事で…アイネ!!後はよろしく!!
〜〜デメトリオは、戦闘終了まで主人公を分け与えた!!
【デメトリオは新しく、視点譲渡を覚えた!!】
私は初め、目の前のスライムが高貴な存在である騎士を名乗るということが不愉快で仕方が無かった…
騎士という存在は昔から弱いものを守るために存在する職業だったのだ…
……結局、私はなりそこないだったのだが…
だが、私が相手の動きを伺う為にけん制を仕掛けてみても、フリューゲルといったか…こいつは釣られることがない…
私はこいつが強いということをここで感じ取ったのだった…
相手が強者なら、初めから手を抜くのは礼儀に反する…こちらも全力で行かせてもらおう!!
私はフリューゲルに対して、右足を軸に体勢を立て直しながら剣を振りかぶった…手加減なんてせずに、一気に叩きつける!!
ガキィン!!
辺りに金属がぶつかり合う音が聞こえ、私は攻撃を防がれたということを察し、即座に体制はそのままで真横に振り切る…
確実に相手の横腹を切るようなつもりでかからなくては戦闘には勝つことは出来ない…でも、普通に彼女は…強い!!
「……貴殿、中々強いな…貴殿がマッチョな男性なら、即座にプロポーズしてもよかったのだが…」
「いえいえ…丁重に遠慮させてもらいますよ!!」
そう言いながら、フリューゲルは剣を速攻で振りぬいてくる…
余りの剣圧に周りの地面の瓦礫もはがれながら、こっちに飛んでくるとは…
中々に実用性の高い技を…使うものだ!!
私はそう思いながら、悠久なる時の流れに身を任せ、瓦礫を全て上半身だけを移動させ交わした…
ここまでが、台詞を除いてわずか5秒に起こった出来事だけど…
普通の敵なら、当身を20回くらいなら入れることが出来るんだけどなぁ…
できなかったのは…リーダーとジャンヌとアヤネって名前のウシオニくらい…
それを簡単に防ぐのを見ると…強い!!
もしかしたら…ジャンヌよりも強いかも知れないな…
やはり、旅に出ればこれほどの強者に出会うイベントは…多数あるということか…
それからも、私は何度も攻撃を叩き込んだが、フリューゲルは何度もその攻撃を防いだ…あの剣の使い方は自己流…なるほど、強いわけだ…
だが、この速さでもついてこれるのかな?
「行くぞ!!【余り捨てる程のデュランダル】!!」
私はそう言いながら剣を多く振りぬいた!!
一秒間に200回剣の衝撃波を放つこの技は、戦闘素人が見ると、余りの速さに一つの大きな衝撃波が相手を襲っているように見えるって技で、私のお気に入りだ…
だが、フリューゲルはデュランダルを軽々と剣で受け流し、稀に体に当たる衝撃波もスライムボディの影響か、それほどダメージを受けたようには見えない…
この技は…少々厳しいか…?
技が終了しても、フリューゲルは疲れた様子を見せずにこっちに勢いよく突っ込んできたんだ!!
そして、斜め下から一気にこっちに切り上げ攻撃を放ってくる…!?
「【スラ・スラッシュ】!!」
……早い…でも、斜め下から攻撃が来るとわかっていた場合、全然脅威ではない!!
私はすっと体を真横に反らしたのだが…なんと、返し斬りを行ってきたのだ!
…よ、よけれない…!!
私は即座にそう判断すると、ガントレットで剣を受け止め、横に流した…
だが、確実に…肉体には刃が通ったかもしれない…
私は死んでいるからそういった痛覚には疎いが…それでも、痺れる様なこの感覚には若干覚えがあった…
……このまま戦いが長引けば…負けるかも知れない…
私は思わずそう思ってしまった…
そして、わたしが一瞬だが戦闘で負けるかも知れないと思った瞬間、私は一気に距離をつめられたのだ…
この間合い…危険だ!!
そう思った瞬間、私は剣を防ぐことには成功したが、左腕のスライムボディでのパンチを防ぐことは出来なかった!
「ぐぅっ!?」
私はそう言いながら、後方の方に吹き飛ばされる…
そして、地面に叩きつけられた拍子に、頭をはずしかけてしまったんだ!!
あ、危ない…私は頭が外れると理性が無くなって…気がつくと、見知らぬ男性数人と交わっているとよく言われるからな…
気をつけなければ…この空間では、男はデメトリオだけだから…襲ってしまうかも知れない…
リーダーの妹のサリィの将来の相手を…私がここで奪うわけには行かないからな…
相変わらず、あそこでのんびりと干し肉食べているが…デメトリオには危機感がないのか?
…だが、少々羨ましいとも思って…しまうがな?
私は体制を整えなおし、どうやったらフリューゲルを倒すことが出来るのかを少々真剣に考え始めた…
今までも、少しは考えていたんだけど…まさかこれほどとは思っていなかったから…
内心ではこのようなことを考えながらも、私はフリューゲルに切りかかっていた…しかも、今回は無心で剣を振るため、剣の軌道を読むのは容易ではないはずだ…
だが、この状態が長引けば確実にパターンを読まれてしまうって事も私はわかる…どうにかしなければ…
……賭けに、出るしかないか…
私は結局のところ、この結論にたどり着いた。
運がよければ相手を倒せて、運が悪ければこちらがやられる…
しかも、こちらも無事ではすまない危険な技だけど…やるしかない!!
そして、私は剣を上に構え、盾を後ろに投げ捨てて守りを捨てる構えを取ると、一気にフリューゲルに向かって突きを繰り出した…
「…甘い!!」
かかった!!単純な突き技だと判断したみたいだから…いけるかもしれない!
フリューゲルの剣が私の鎧に食い込んだのを確認し、私は一気に手首を捻り込んだ!!持っている剣が一気にスライムボディに当たるのを感触で判断する…
「よしっ!!【インフェルノ・クラッシュ】!!」
この技は、相手の防具を確実に粉砕する技だから…粉砕できたら後はスライムコアに一撃入れることが出来れば…勝てる!
そう思いながら、一気に体重を剣に乗せて押し切った…
フリューゲルの鎧はパキィって音を立てながら砕け、私は剣で体を切られながらもフリューゲルのボディコアに攻撃をあて、気絶させた…
強かったわね…本当に…
私は体に刺さっている剣を一気に引き抜くと、剣をフリューゲルのそばに置きフリューゲルの首にかかっている鍵を受け取った。
〜〜デメトリオは、アイネから視点を返してもらった!!
……す、凄かったぜ…
戦闘は、2分も立っていないような短さだったけど…凄かったぜ…
俺は、さっきまでの戦闘の物凄さを内心感じ取りながらも、干し肉をかじっていた。
向こうの方でアイネが鍵をフリューゲルって名前のスライムから取るのが見えるんだが…
こっちに向かって歩いてくるアイネの鎧に亀裂がだな…
そう思った瞬間、アイネの鎧が壊れてしまったんだよ!!
まるで、狙ったかのようなこの光景…
……す、全て見えるだと!?
まさか、アイネは鎧の下には…何も着ていないのかよ!?
はっ…待て待て…わかったぜ?俺はわかってしまったぜ?
これは、俺を罠に落とすための作戦の一つだな…?
体をいやらしい目で見られたとか難癖をつけて、俺にまた重荷を背負わせる気だろ!?
俺はそのことに気がつくと、即座に壁際に移動してアイネを見ないようにしたのだった…
それから、モンスターラグーンのメンバーがアイネに新しく作られた鎧を装備させるまで…俺はこの場所でじっとしていたのだった…
この…部屋の隅っこってポジションに微妙に安らぎを感じるんだが…?
なんて思いながら、俺はアイネの方を見たんだが…
……いろいろ、危険だよなぁ…あの鎧もあの鎧でさぁ…
俺はアイネの鎧を見たとたん、すぐにそう思ったのだが、モンスターラグーン内でこの鎧を着せるって話になり、決まったのなら俺は口出しはしないぜ?
する勇気も無いしな?
そして、俺はアイネから鍵を受け取ると、すぐに鍵穴に差し込んだんだ…
だが、すぐに開くかと思ったが、全然開く気配が見えない…?
まさか…この鍵はフェイクだったのかよ!?
だが、ウィーンって音が聞こえてくると同時に、変な機械がぶら下がってきたんだよ!!
な、なんだ…あれは?
「…む?あれは、モニターのようじゃな…」
ゾーネがそういったから、俺はあれがモニターだってわかったんだが…
それ以前の問題が出てきたんだよ!!
も、モニターって何だ!?
ま、まぁ…読者諸君にわかるのなら…俺は無駄に追求したりはしないけどさぁ…
「ようこそ…デモンスタワーへ…君達の活躍はよく見させてもらったよ…私はデモンスタワーの三階までを管理しているアセロラと言うものだ…」
そう言いながら、モニターの映像で椅子を半回転させてレッドスライムの女性がこっちに振り返ってきたんだが…
……なるほど、小悪魔タイプか…って、なんでもないぞ?
気にしないでくれよ!!
「まさか…フリューゲルが担当の日に次の階まで進む奴がいるとは思わなかったが…次の階は頭を使うぞ?せいぜい…悩むがいい!!せいぜいヒントをやるとすれば…」
「あーー!!アセロラ様…電気代がかかるからモニターを使うなと上層部から連絡があったのに…」
「と、トリス!!待て!!まだヒントをだな…」
だが、その次の瞬間、モニターの映像は消えたんだが…
ひ、ヒントってなんだったんだ!?き、気になるぜ…
俺はそう思いながらも、みんなと一緒に次の階へと向かって行ったのだった…
よーく見ると、遠くの方に二階へ通じるであろう階段が見えるし…
やっぱり、一階ってのは単純なものなんだな…ふっ…
俺は内心そうつぶやきながら歩いていたんだが…いくら歩いても全然進んだ気がしないのは…なぜなんだよ!?
……気持ちの問題か?そういうことなのか?
って俺は思いながら歩いているけど…やっぱりそうだ!!
この廊下、俺が歩くたびに後ろの方に戻されて行くじゃないかよ!!
この事実に気がついた瞬間、俺はメリィの方を向いたんだぜ…
困ったときは味方に頼る…それが俺だからな!!
「……そうね、私は飛べるし、ここは問題ないわね…」
……おい!!メリィはよくても、俺や他の飛べない連中がだな…
俺はそう思ったが、メリィは容赦なく飛んで行ったんだぜ…
こちら側に残された俺たちは…どうすればいいんだろうな?
だが…いきなりゾーネがルービックキューブを取り出すと、カチャカチャとやり始め、気がついたときには謎の機械が出来ていたんだよ!!
あ、あのルービックキューブ…便利だなぁ…いや…
だってさ?あの方法を使えば、引越しの際に道具を箱につめたりしなくてもいいし…収納にも便利だろ!?
俺の宿屋みたいに家ごと持っていけたりするし…
今度頼み込んでみたら、分けてくれたりとかしないかな…
俺がそんな事をのんきに考えていると、ゾーネの発明品は物凄い速度でモンスターラグーンの飛行できないメンバーを連れて向こう側に行きやがったんだよ…
おいおい…俺が残っているんだぜ?まさか…置き去りなんて事は…
って心で思った時、俺は腰にロープが巻かれていることに気がついたんだよ!
……いつの間に!?な、なんて都合のいい世界なんだ…
ま、まぁ…とにかく、これで安全に向こう岸にいけるからよかったぜ…
いや…内心では、こっち側に取り残されるんじゃないかってひやひやしてさ…
だが、俺のこの考えは物凄く甘い考えだったと俺は後になって気付かされたんだ…
確かに、向こう側にはいける…でもな?
「ちょっとこれは…早くないかよぉーーー!?」
そう…物凄い速度なんだよ!!しかも…腰に巻かれていたはずのロープが緩かったのか、だんだん下がってきて…
今、荒縄のロープが棒を…棒を引きちぎるかの勢いで押さえつけているんだよ!
余りの激痛に涙を浮かべ始めた俺だったが…も、もうすぐ向こう岸に到着だ!
た、耐えろデメトリオ!!耐えるんだーー!!
そして、ゾーネたちが向こう岸に到着し、俺ももうすぐ到着かーー!?って思われたときだった…
なんと、俺の棒を押さえつけていたロープが足の方まで下がってきたんだよ!
「えぇっ!?ちょ…待てって!嫌な予感がだな…」
そういった次の瞬間、俺は綺麗に足にロープが巻きつき、その直後に顔面から床に顔を強打したんだぜ…
そして…次の瞬間に足のロープが解けたんだよ!!
ま、まぁ…これで痛い思いをしないですんだって考えたら…いいほうかな?
えっ!?ま、待て!!床が…俺をもともといた場所まで運んでいるだと!?
う、嘘だろーーー!?
はいはい…こうしてまた振り出しに戻りましたっと…
こんなことなら、初めからここにいた方が数倍はよかったね…
……俺の棒もヒリヒリして…腫れてないか心配だし…
俺はそう思いながら確認してみたんだが…うん、大丈夫そうだな…
さぁて、俺の棒の安全も確認したし、問題はどうやって向こう岸に渡るかだよな…
皆待ってくれているし…早くたどり着かないとな…
俺はそう思うと、はじめは無理だったが、次は出来るかも知れないって思ってその床に対して必死に走り始めたんだ!!
走り始めて15分…いまだに先に進めないんだが…そんな事はどうでもいい!
いや…本音を言えばどうでもよくないんだけど…ね?
……あっ…メリィたち、おやつを食べ始めやがった…いいなぁ…
俺も…干し肉食べようかな…
俺は走るのを少しやめ、腰に挿してあった干し肉を一本取り出した…
そうだな…やっぱり食べるときに台詞って大事だよなぁ…
……よし!!コレでいこう!!
元ネタがわかったら…大したものさ!!
「干し肉を食べ続けて来たこの俺に…勝てると思うのかぁ?」
そう言いながらパリッと干し肉をかじってやったぜ!!
そして、その後に俺はあることに気がつくんだ…
俺、今…こんなことをしている場合じゃねぇ!!
そして、干し肉を食べた俺は、気を取り直して動く床にダッシュし始めたのだが…全然進める気がしないなぁ…どうでもいいけど…
俺がそう思いながら走っていると…なんと、目線の端っこにキラッ☆っと…
え?ポーズいらないって?
悪かったなぁ!!
とにかく、金属板を見つけたんだよ!!
し、しかも…取っ手までついてるし…あ、あやしい…
俺は微妙に走りながら右に移動し、その金属板を開けてみたんだ…
上に上げないと開かないって事に…若干取り付けた奴の悪意を感じるな…
そう思いながらも中を確認してみると…なんと…
この床の進行方向を変更するレバーがついてたんだよ!!
なぜ俺がそのレバーが進行方向を変更するレバーだってわかったかって?
ふっ…上に大きく子供の字で書かれていたら、誰でもわかるだろうよ!!
くそぉ…こんなレバーがあるのなら…あんな激痛を味あわなくてもよかったじゃねぇかよぉ…
だ、ダメだ…こんなことを思ったら更に嫌な気分になってしまうぜ…
俺はそう思うと、今思っていたことを振り払い、レバーを思いっきり下に倒したんだよ!!
バキィッ!!
……えっと、なんか変な音がしたけど…気にしないでおくとするか…
そうして、動く床を越えた後…俺たちは階段前の大きな部屋であることに気がついたんだよ…
なんと、あの階段には鍵がかかっているんだぜ!?
な、なんで丁寧にロックなんてしてるんだよ…
俺たちがその鍵に対して、若干めんどくさそうな表情を浮かべたときだった…
後ろの方からいきなり話し声が聞こえてきたんだよ!!
「ほぅ…今回はずいぶんと大人数だな…手ごたえがあるといいのだが…」
そう言いながら、プニュンという効果音を鳴らしながら、鎧に身を包んだスライムがこっちに来たんだよ!!
ど、どうでもいいけど…凄く歩きにくそうだな…あれ…
「私と戦いたければ来い!!スライムナイトと呼ばれたこの私を…倒せるものならな!!ちなみに、戦わないのならば去れ…この階段の鍵は私が持っているからなぁ…」
な…なんだと…?なんだ!?このスライムの異常な自信は…
全然…強さを感じないんだけどなぁ…
「あ、あと…この私を倒した勇敢な男ならば私…フリューゲル・アインリーネが嫁となってやってもいいぞ?なぁ…青年!!後、男っぽい名前だって思った奴、風呂に入るときは気をつけるんだな…犯されても文句は言えないぞ?(ギロッ…)」
そういいながら、さも当然、かかってくるよな?って目線で俺を見てくる俺…
一瞬、俺以外のほうを見たって事は…最後の方のせりふと台詞は読者諸君に向けられた物らしいぞ?気をつけてくれ?
…で、結局、俺が戦うなんて事はありえないわけで…
え?嫌だよ…相手は騎士…ナイトを名乗っているんだぜ?嫌に決まっているだろ!!
さっきのインプの女の子よりも…勝てる気がしないっての!!
だが、俺がビビッて後退していると、アイネが前に立ったんだよ!!
は…はっはっは!!アイネ様が出てきたからには、騎士だろうがなんだろうが…俺に怖いものなんて無いぜ!!
モンスターラグーンbPの実力は…伊達じゃないってな!!
「……貴殿も騎士か…ならば、お手合わせ願おう!!私は生前は…騎士だったのでな!」
「なるほど…この闘志…強者か…」
な、なんだか…俺が立ち入る場所がなさそうな雰囲気になってきたんだが…
そして、戦いが始まったとき、アイネがフリューゲルの周りを剣を構えた状態で歩き始めたんだ!!
……戦いのときって、相手を視界から逃したらほとんど負けるって言われているはずなのに…なんでフリューゲルはアイネを目で追わないんだ!?
あ、あれが…余裕って奴なのかよ!?
そうして、ずっと戦闘が始まるのをずっと待っていたわけなんだが…
俺はここであることに気がついたんだ!!
バトルシーンって、戦っている奴の心境で見たほうがいいんじゃないかってね!
いや…別に、俺の説明するバトルシーンで満足ならいいぜ?
でも、干し肉を食べながら後ろで見ている俺に説明されるって、感動が薄くないか?
薄いだろ!?だったら、もう主人公視点が若干連続で取られたし…この状況を逆手にとってやろうって…俺はそう考えたんだよ!!
って事で…アイネ!!後はよろしく!!
〜〜デメトリオは、戦闘終了まで主人公を分け与えた!!
【デメトリオは新しく、視点譲渡を覚えた!!】
私は初め、目の前のスライムが高貴な存在である騎士を名乗るということが不愉快で仕方が無かった…
騎士という存在は昔から弱いものを守るために存在する職業だったのだ…
……結局、私はなりそこないだったのだが…
だが、私が相手の動きを伺う為にけん制を仕掛けてみても、フリューゲルといったか…こいつは釣られることがない…
私はこいつが強いということをここで感じ取ったのだった…
相手が強者なら、初めから手を抜くのは礼儀に反する…こちらも全力で行かせてもらおう!!
私はフリューゲルに対して、右足を軸に体勢を立て直しながら剣を振りかぶった…手加減なんてせずに、一気に叩きつける!!
ガキィン!!
辺りに金属がぶつかり合う音が聞こえ、私は攻撃を防がれたということを察し、即座に体制はそのままで真横に振り切る…
確実に相手の横腹を切るようなつもりでかからなくては戦闘には勝つことは出来ない…でも、普通に彼女は…強い!!
「……貴殿、中々強いな…貴殿がマッチョな男性なら、即座にプロポーズしてもよかったのだが…」
「いえいえ…丁重に遠慮させてもらいますよ!!」
そう言いながら、フリューゲルは剣を速攻で振りぬいてくる…
余りの剣圧に周りの地面の瓦礫もはがれながら、こっちに飛んでくるとは…
中々に実用性の高い技を…使うものだ!!
私はそう思いながら、悠久なる時の流れに身を任せ、瓦礫を全て上半身だけを移動させ交わした…
ここまでが、台詞を除いてわずか5秒に起こった出来事だけど…
普通の敵なら、当身を20回くらいなら入れることが出来るんだけどなぁ…
できなかったのは…リーダーとジャンヌとアヤネって名前のウシオニくらい…
それを簡単に防ぐのを見ると…強い!!
もしかしたら…ジャンヌよりも強いかも知れないな…
やはり、旅に出ればこれほどの強者に出会うイベントは…多数あるということか…
それからも、私は何度も攻撃を叩き込んだが、フリューゲルは何度もその攻撃を防いだ…あの剣の使い方は自己流…なるほど、強いわけだ…
だが、この速さでもついてこれるのかな?
「行くぞ!!【余り捨てる程のデュランダル】!!」
私はそう言いながら剣を多く振りぬいた!!
一秒間に200回剣の衝撃波を放つこの技は、戦闘素人が見ると、余りの速さに一つの大きな衝撃波が相手を襲っているように見えるって技で、私のお気に入りだ…
だが、フリューゲルはデュランダルを軽々と剣で受け流し、稀に体に当たる衝撃波もスライムボディの影響か、それほどダメージを受けたようには見えない…
この技は…少々厳しいか…?
技が終了しても、フリューゲルは疲れた様子を見せずにこっちに勢いよく突っ込んできたんだ!!
そして、斜め下から一気にこっちに切り上げ攻撃を放ってくる…!?
「【スラ・スラッシュ】!!」
……早い…でも、斜め下から攻撃が来るとわかっていた場合、全然脅威ではない!!
私はすっと体を真横に反らしたのだが…なんと、返し斬りを行ってきたのだ!
…よ、よけれない…!!
私は即座にそう判断すると、ガントレットで剣を受け止め、横に流した…
だが、確実に…肉体には刃が通ったかもしれない…
私は死んでいるからそういった痛覚には疎いが…それでも、痺れる様なこの感覚には若干覚えがあった…
……このまま戦いが長引けば…負けるかも知れない…
私は思わずそう思ってしまった…
そして、わたしが一瞬だが戦闘で負けるかも知れないと思った瞬間、私は一気に距離をつめられたのだ…
この間合い…危険だ!!
そう思った瞬間、私は剣を防ぐことには成功したが、左腕のスライムボディでのパンチを防ぐことは出来なかった!
「ぐぅっ!?」
私はそう言いながら、後方の方に吹き飛ばされる…
そして、地面に叩きつけられた拍子に、頭をはずしかけてしまったんだ!!
あ、危ない…私は頭が外れると理性が無くなって…気がつくと、見知らぬ男性数人と交わっているとよく言われるからな…
気をつけなければ…この空間では、男はデメトリオだけだから…襲ってしまうかも知れない…
リーダーの妹のサリィの将来の相手を…私がここで奪うわけには行かないからな…
相変わらず、あそこでのんびりと干し肉食べているが…デメトリオには危機感がないのか?
…だが、少々羨ましいとも思って…しまうがな?
私は体制を整えなおし、どうやったらフリューゲルを倒すことが出来るのかを少々真剣に考え始めた…
今までも、少しは考えていたんだけど…まさかこれほどとは思っていなかったから…
内心ではこのようなことを考えながらも、私はフリューゲルに切りかかっていた…しかも、今回は無心で剣を振るため、剣の軌道を読むのは容易ではないはずだ…
だが、この状態が長引けば確実にパターンを読まれてしまうって事も私はわかる…どうにかしなければ…
……賭けに、出るしかないか…
私は結局のところ、この結論にたどり着いた。
運がよければ相手を倒せて、運が悪ければこちらがやられる…
しかも、こちらも無事ではすまない危険な技だけど…やるしかない!!
そして、私は剣を上に構え、盾を後ろに投げ捨てて守りを捨てる構えを取ると、一気にフリューゲルに向かって突きを繰り出した…
「…甘い!!」
かかった!!単純な突き技だと判断したみたいだから…いけるかもしれない!
フリューゲルの剣が私の鎧に食い込んだのを確認し、私は一気に手首を捻り込んだ!!持っている剣が一気にスライムボディに当たるのを感触で判断する…
「よしっ!!【インフェルノ・クラッシュ】!!」
この技は、相手の防具を確実に粉砕する技だから…粉砕できたら後はスライムコアに一撃入れることが出来れば…勝てる!
そう思いながら、一気に体重を剣に乗せて押し切った…
フリューゲルの鎧はパキィって音を立てながら砕け、私は剣で体を切られながらもフリューゲルのボディコアに攻撃をあて、気絶させた…
強かったわね…本当に…
私は体に刺さっている剣を一気に引き抜くと、剣をフリューゲルのそばに置きフリューゲルの首にかかっている鍵を受け取った。
〜〜デメトリオは、アイネから視点を返してもらった!!
……す、凄かったぜ…
戦闘は、2分も立っていないような短さだったけど…凄かったぜ…
俺は、さっきまでの戦闘の物凄さを内心感じ取りながらも、干し肉をかじっていた。
向こうの方でアイネが鍵をフリューゲルって名前のスライムから取るのが見えるんだが…
こっちに向かって歩いてくるアイネの鎧に亀裂がだな…
そう思った瞬間、アイネの鎧が壊れてしまったんだよ!!
まるで、狙ったかのようなこの光景…
……す、全て見えるだと!?
まさか、アイネは鎧の下には…何も着ていないのかよ!?
はっ…待て待て…わかったぜ?俺はわかってしまったぜ?
これは、俺を罠に落とすための作戦の一つだな…?
体をいやらしい目で見られたとか難癖をつけて、俺にまた重荷を背負わせる気だろ!?
俺はそのことに気がつくと、即座に壁際に移動してアイネを見ないようにしたのだった…
それから、モンスターラグーンのメンバーがアイネに新しく作られた鎧を装備させるまで…俺はこの場所でじっとしていたのだった…
この…部屋の隅っこってポジションに微妙に安らぎを感じるんだが…?
なんて思いながら、俺はアイネの方を見たんだが…
……いろいろ、危険だよなぁ…あの鎧もあの鎧でさぁ…
俺はアイネの鎧を見たとたん、すぐにそう思ったのだが、モンスターラグーン内でこの鎧を着せるって話になり、決まったのなら俺は口出しはしないぜ?
する勇気も無いしな?
そして、俺はアイネから鍵を受け取ると、すぐに鍵穴に差し込んだんだ…
だが、すぐに開くかと思ったが、全然開く気配が見えない…?
まさか…この鍵はフェイクだったのかよ!?
だが、ウィーンって音が聞こえてくると同時に、変な機械がぶら下がってきたんだよ!!
な、なんだ…あれは?
「…む?あれは、モニターのようじゃな…」
ゾーネがそういったから、俺はあれがモニターだってわかったんだが…
それ以前の問題が出てきたんだよ!!
も、モニターって何だ!?
ま、まぁ…読者諸君にわかるのなら…俺は無駄に追求したりはしないけどさぁ…
「ようこそ…デモンスタワーへ…君達の活躍はよく見させてもらったよ…私はデモンスタワーの三階までを管理しているアセロラと言うものだ…」
そう言いながら、モニターの映像で椅子を半回転させてレッドスライムの女性がこっちに振り返ってきたんだが…
……なるほど、小悪魔タイプか…って、なんでもないぞ?
気にしないでくれよ!!
「まさか…フリューゲルが担当の日に次の階まで進む奴がいるとは思わなかったが…次の階は頭を使うぞ?せいぜい…悩むがいい!!せいぜいヒントをやるとすれば…」
「あーー!!アセロラ様…電気代がかかるからモニターを使うなと上層部から連絡があったのに…」
「と、トリス!!待て!!まだヒントをだな…」
だが、その次の瞬間、モニターの映像は消えたんだが…
ひ、ヒントってなんだったんだ!?き、気になるぜ…
俺はそう思いながらも、みんなと一緒に次の階へと向かって行ったのだった…
12/06/09 19:56更新 / デメトリオン
戻る
次へ