ジュン「友人とバーに行ったら無理やりに考え方を変えられたよ…」 中編 (アプサラス)
しばらく経って…
「…(友を裏切り、愛を捨て、俺に残ったものは何だろう…。)」
『待ってください。』
「またあんたか、しつこい。」
『貴方が愛を受け入れるまで私は諦めません!』
「話にならない。」
俺は来たエレベーターに乗り、すぐにドアを閉めて部屋のある階層のボタンを押した。
「とりあえずこれで多少は大丈夫だ。」
俺は部屋に戻りさっきまで考えていたことの続きを模索した。
「俺に、俺に残ったのは…」
俺が必死に探していると、ドアがノックされた。
「誰だよ全く、こんな時に…。」
ドアの覗き穴から外を覗くとそこにはティーアを含めた3人の女性が居た。
「…(居留守を使っても多分無意味だろう、だったら…。)」
俺は持ってきたゲートパスのスイッチを入れてドアを開けた。
「何だよ?」
『貴方に何度言われても諦めません!』
「宗教勧誘及びセールスは一切受け付けておりません。」
俺はそう言うとドアを閉めて鍵を閉めた。
「後はフロントに頼んで追い払ってもらうか。」
と俺がフロントに電話しようとしたその時、鍵が何故か開いた。
『これは重症、どちらかというと末期かしら?』
「解錠の魔法か、油断した。」
『もう逃げる必要はありませんよ?』
「諦める、と思ったか?」
と言うが早いか俺は起動したゲートをくぐって旅館の外に脱出した。
「多少なりとも時間は稼げる、距離を取ろう。」
俺は一番近い自分の仲間達が居る建物に走った。
「何とか、間に合ったか。」
「リーダー、一体どうしたんですか!?」
「多少分が悪くなったから離脱してきた。」
「一体何が?」
「本当はこの近くの旅館の旅行ツアーだったんだがそれがやっぱり魔物の罠だった。」
「察しました。」
「だから逃げて来た。」
「なるほど。」
「魔物は「小さな親切大きなお世話」と言う言葉を知らないらしい。」
「確かに。」
「何か3人くらい来ましたけどヌ」
「もう追い付いたのかよ…」
「仕方ない、あれ出してくれ。」
「あれ、ですか…。」
「こうなった以上、やむを得ない。」
「でも…」
「俺がそんな簡単に死ぬと思うか?」
「…。」
「最低でもお前達だけは守って見せる。」
「リーダー…。」
「済まないな、俺が蒔いた種の始末を手伝わせてしまって。」
「いえ…。」
「持って来ました。」
「ありがとう、なら行って来る。」
俺は渡された鎧を来て建物から出た。
「…。」
『ここが、貴方の仲間が居る場所…。』
「ここからは、何を感じる?」
『え?』
「あんたらなら分かるんだろう?」
『これは、悲しみと怒り、そして信頼…?』
「…。」
『…同じ痛みを持っている同志?』
「分かったならこれ以上干渉しないでもらいたい。」
『…』
「…」
俺は鎧を起動した。
「…。」
『どうして!?』
「ここから先は、身体がバラバラになっても死守する。」
『聞いた通りね、貴方は守るものがあると強くなると。』
「…。」
俺は建物一帯を結界で覆った。
「これで俺を殺さない限りはもうここには入れない。」
『やっぱり根こそぎ救おうとしていたのを分かってたみたいね。』
「あいつらを救いたいなら報復を遂げさせてやってからの方がいい。」
『貴方は何故そこまで愛を否定するんですか?』
「そもそも否定はしていない、少なくとも俺には不要と言っただけだ。」
『え?』
「俺が愛を捨てようと俺の勝手だろうが。」
『一体貴方に何が…?』
「お前達は生まれながらの強者だ、言っても理解できないだろう。」
『強者?』
「元々神族や魔物はただの人間より能力が高い、だから俺達が愛を捨てた理由を考えずに聞くだけしかしないんだ。」
『?』
「人間は弱い生き物だから自分達が愛さなければならないとか見下しているんだろう?」
『…』
「なら質問を質問で返して悪いが、1つ聞かせて欲しい。」
『?』
「道にゴミを悪いと分かって捨てる奴と特に意識せずに捨てる奴、悪いのはどっちだと思う?」
『…。』
「聞いてばかりで答え方も忘れたか?」
『わざと捨てる方だと私は思います。』
「なるほど、なぜそう思う?」
『悪いと分かっていながら捨てたからです。』
「なるほど、俺の求めていた答えではないが間違いではないな。」
『?』
「俺は意識せずに捨てる方が悪いと思う。」
『…。』
「わざと捨てる方はまだ拾い直す可能性があるが意識せずに捨てる方はそれがないからだ。」
『…。』
「無知は最大の罪ということだ。」
『…あっ。』
「俺達のことを何も知らずに愛だのなんだの、小さな親切大きなお世話という言葉を知らないのか?」
『…。』
「愛情の押し付けは不要だ。」
俺は建物に戻ろうとしたが、彼女達が言葉で遮ってきた。
『私達が何も知らなかったのは認めるわ、だけど私達の言い分も聞いて。』
「…確かにこのままでは不公平だな、分かった。」
『私は貴方のことを知らなかったし考えようともしなかった、だけどこの気持ちだけは嘘じゃない。』
「…。」
『それに貴方の心、無理やり押さえ込んでばかりだからいつか壊れちゃう、そんなのは嫌だから!』
「それも俺に相応しい末路だ。」
『!?』
「10年くらい前の話だ、ある轢き逃げ事件があったのを覚えているか?」
『え?あの飲酒運転で複数の人を轢き逃げした事件?』
「そうだ、そしてその唯一の死者になったあの人の弟子が俺だ。」
『…。』
「俺には誰かを愛する資格はない、ましてや報復さえ出来なかったからな。」
『確かあの後、加害者は病死したから?』
「そうだ、敵討ちも出来なかった半端者に人を愛する資格はない。」
『それが深く心に突き刺さっているから…。』
「俺は師を失い、愛も捨てた、だがたった1つだけ残っているものがある…。」
『?』
「同じ痛みを背負い、苦楽を共にした仲間だけは絶対に守り抜いて見せる。」
『…。』
「どうした?あんた達からすれば人間同士で傷つけあう輩を排除できるチャンスじゃないのか?」
『でも…。』
「半端な覚悟で愛を語るな。」
『…分かりました、もう迷いません!』
「それでいい。」
『ところで、自己紹介がまだだったわね。』
「そういえばな。」
『私はアンジェ、愛天使の一角、キューピッドよ。』
「ご丁寧にどうも。」
『私はルーチェ、私も愛天使の一角でフーリーです。』
「俺はジュン、リベリオンのリーダーだ。」
『貴方が、リベリオンのリーダー…?』
「しかし愛神の神徒ばかり取り揃えたもんだな…」
『貴方は、もう許されています。』
「俺自身が許せない。」
『余程辛かったのね…』
「だからこそ俺は今度は絶対に守り抜いて見せる…。」
『貴方の愛する心は、どんなかたちかしら?』
アンジェはキューピッドの矢を3本まとめて放って来た。
「見える、捌ける…。」
俺は矢を3本とも掴んで止めた。
『?』
「…。」
彼女達は矢を掴んだ後に俺の鎧の胸のところにある赤い部分が光ったのに気が付いたようだ。
『一体、何が?』
「これがリベリオンの最終兵器だ。」
『最終兵器?』
「まあ後のお楽しみだ。」
『…嫌な予感がする!早く彼を愛で満たさないと!』
そこから彼女達の攻撃が激しくなった、アンジェは矢を、ティーアは自身から出る白い液体を、ルーチェはピンク色の光球を俺に向けて大量に放って来た。
「…(かなり多いが、計画通りだな。)」
『どうして直撃しているのに何も変化がないのかしら…。』
「どうした?もう終わりか?」
『それより、彼の鎧、さっきより禍々しくなってる…。』
「完成、余った分は…」
俺は鎧からエネルギーを移動させて衝撃波を放った。
『きゃっ!』
3人はまとめて5メートルくらい飛ばされたようだ。
「…。」
『一体、何が…?』
「これは俺達が開発した愛及び魔物、神族の魔力を吸収する鎧だ。」
『だから全く効いてないんですね。』
「今度は、こっちの番だな…。」
『まさか!』
「そう、吸収した魔力は攻撃や防御に転用できる。」
『あれだけの魔力を吸収したのを全部攻撃に回したら…』
「それを今見せてやる。」
『私は、私は逃げない!』
「好きにしろ、ただ逃げなければ。」
『考えは変わらない!』
「なら、さよならだ。」
俺は出力を最大にしてレーザーを放った。
『っ!』
「…。」
『どうして当てなかったの?』
「最終警告だ、俺達のことは放っておいてくれ。」
『まだ、チャンスはある!』
「何っ!?」
俺は白い液体に全身を拘束されてさらにティーアが俺を前から押さえ込んできた。
『これなら、攻撃はできないわ!』
「こんなことしていいのか?」
『え?』
そうしていると、鎧が明滅しだした。
「限界容量を超えたな。」
『…』
「分からん奴だな!」
俺はティーアを振りほどき飛行機能で高く飛び上がった。
「…」
カッ!ドゴォォォォォォォォォォォォォ!ドサッ!
「痛ってぇ…がっ!」
容量を超えた上で変換機能が暴走し、大爆発を起こしたようだ。
『どうしてこんな事に…。』
「リ、リーダー!」
「出てくるなと、言ったろうが…」
「お前達が…お前達が来なければリーダーはこんな目に遭わずに済んだんだ!みんなお前達のせいだ!」
『こんなはずじゃ…。』
「リーダーをこんな目に遭わせたお前達を、お前達を絶対に俺達は許さない、許さないからな!」
「や、めろ…」
「でも…。」
『これは、俺の覚悟したことだ、お前が口を出す事は、ない…。』
「…。」
それから、俺は病院に運ばれた。
『出てきたわ…!』
「リーダーは、どうなったんですか!?」
「一応、命は助かったけど、両腕、両足を骨折している上で全身が酷い打撲傷で程度は軽いものの胸の部分を広い範囲で火傷しているから油断は出来ない。」
結局俺が目を覚ましたのは、2日経った後だった。
「ん…。」
『!』
「リーダー!」
「全く、悪運だけは強いみたいだな…。」
「良かった…。」
『…。』
「そういや身体の骨、なんでもう治ってるんだ?」
『…私が説明するわ。』
「あんたは?」
『私はシンシア、一応貴方を担当する医者よ。』
「なら説明お願いします。」
『人間の治療では治すのに限界があったから魔物の治療にさせてもらったわ。』
「なるほど…」
『貴方、彼女に感謝した方が良いわよ?』
「さしずめ魔力提供してくれたってところですか?」
『そうよ。』
「俺はあいつが無理矢理魔力を注ぎ込んだからここに運ばれて来たんだが…。」
『知ってる、でも貴方が助かったから彼の怒りも収まったのよ?』
「なんかしたのか?」
俺はリベリオンの仲間に聞いた。
「いえ、助かったから何もしてません、許すことは出来ないけど。」
「無理に許す事はない」
『あの…』
「?」
『ごめんなさい!』
「謝る必要はない、お前はお前の目的のために行動して結果として俺が入院することになっただけだ。」
『でも…』
「もし俺を傷つけたことで何か償いをしたいなら、2つだけ頼めるか?」
『なに?』
「1つ目は俺のことが好きなら俺が役目を終えるまで待っていて欲しい。」
『役目?』
「報復者達と共に最前線で戦う、これが俺の役目だ。」
『もう1つは?』
「俺に愛を取り戻すことを、役目が終わるまで待っていて欲しい。」
『なら…。』
「?」
『私もリベリオンに加えてください!』
「何故そうなる…。」
『私には知らないことがたくさんあることが分かったから!』
「心の闇に耐えられるとは思えない。」
『それでも…』
「知らん方がいい事もある。」
『なら絶対に戻って来てください!』
俺も随分甘くなった、惚れた弱みかもしれない。
「…(友を裏切り、愛を捨て、俺に残ったものは何だろう…。)」
『待ってください。』
「またあんたか、しつこい。」
『貴方が愛を受け入れるまで私は諦めません!』
「話にならない。」
俺は来たエレベーターに乗り、すぐにドアを閉めて部屋のある階層のボタンを押した。
「とりあえずこれで多少は大丈夫だ。」
俺は部屋に戻りさっきまで考えていたことの続きを模索した。
「俺に、俺に残ったのは…」
俺が必死に探していると、ドアがノックされた。
「誰だよ全く、こんな時に…。」
ドアの覗き穴から外を覗くとそこにはティーアを含めた3人の女性が居た。
「…(居留守を使っても多分無意味だろう、だったら…。)」
俺は持ってきたゲートパスのスイッチを入れてドアを開けた。
「何だよ?」
『貴方に何度言われても諦めません!』
「宗教勧誘及びセールスは一切受け付けておりません。」
俺はそう言うとドアを閉めて鍵を閉めた。
「後はフロントに頼んで追い払ってもらうか。」
と俺がフロントに電話しようとしたその時、鍵が何故か開いた。
『これは重症、どちらかというと末期かしら?』
「解錠の魔法か、油断した。」
『もう逃げる必要はありませんよ?』
「諦める、と思ったか?」
と言うが早いか俺は起動したゲートをくぐって旅館の外に脱出した。
「多少なりとも時間は稼げる、距離を取ろう。」
俺は一番近い自分の仲間達が居る建物に走った。
「何とか、間に合ったか。」
「リーダー、一体どうしたんですか!?」
「多少分が悪くなったから離脱してきた。」
「一体何が?」
「本当はこの近くの旅館の旅行ツアーだったんだがそれがやっぱり魔物の罠だった。」
「察しました。」
「だから逃げて来た。」
「なるほど。」
「魔物は「小さな親切大きなお世話」と言う言葉を知らないらしい。」
「確かに。」
「何か3人くらい来ましたけどヌ」
「もう追い付いたのかよ…」
「仕方ない、あれ出してくれ。」
「あれ、ですか…。」
「こうなった以上、やむを得ない。」
「でも…」
「俺がそんな簡単に死ぬと思うか?」
「…。」
「最低でもお前達だけは守って見せる。」
「リーダー…。」
「済まないな、俺が蒔いた種の始末を手伝わせてしまって。」
「いえ…。」
「持って来ました。」
「ありがとう、なら行って来る。」
俺は渡された鎧を来て建物から出た。
「…。」
『ここが、貴方の仲間が居る場所…。』
「ここからは、何を感じる?」
『え?』
「あんたらなら分かるんだろう?」
『これは、悲しみと怒り、そして信頼…?』
「…。」
『…同じ痛みを持っている同志?』
「分かったならこれ以上干渉しないでもらいたい。」
『…』
「…」
俺は鎧を起動した。
「…。」
『どうして!?』
「ここから先は、身体がバラバラになっても死守する。」
『聞いた通りね、貴方は守るものがあると強くなると。』
「…。」
俺は建物一帯を結界で覆った。
「これで俺を殺さない限りはもうここには入れない。」
『やっぱり根こそぎ救おうとしていたのを分かってたみたいね。』
「あいつらを救いたいなら報復を遂げさせてやってからの方がいい。」
『貴方は何故そこまで愛を否定するんですか?』
「そもそも否定はしていない、少なくとも俺には不要と言っただけだ。」
『え?』
「俺が愛を捨てようと俺の勝手だろうが。」
『一体貴方に何が…?』
「お前達は生まれながらの強者だ、言っても理解できないだろう。」
『強者?』
「元々神族や魔物はただの人間より能力が高い、だから俺達が愛を捨てた理由を考えずに聞くだけしかしないんだ。」
『?』
「人間は弱い生き物だから自分達が愛さなければならないとか見下しているんだろう?」
『…』
「なら質問を質問で返して悪いが、1つ聞かせて欲しい。」
『?』
「道にゴミを悪いと分かって捨てる奴と特に意識せずに捨てる奴、悪いのはどっちだと思う?」
『…。』
「聞いてばかりで答え方も忘れたか?」
『わざと捨てる方だと私は思います。』
「なるほど、なぜそう思う?」
『悪いと分かっていながら捨てたからです。』
「なるほど、俺の求めていた答えではないが間違いではないな。」
『?』
「俺は意識せずに捨てる方が悪いと思う。」
『…。』
「わざと捨てる方はまだ拾い直す可能性があるが意識せずに捨てる方はそれがないからだ。」
『…。』
「無知は最大の罪ということだ。」
『…あっ。』
「俺達のことを何も知らずに愛だのなんだの、小さな親切大きなお世話という言葉を知らないのか?」
『…。』
「愛情の押し付けは不要だ。」
俺は建物に戻ろうとしたが、彼女達が言葉で遮ってきた。
『私達が何も知らなかったのは認めるわ、だけど私達の言い分も聞いて。』
「…確かにこのままでは不公平だな、分かった。」
『私は貴方のことを知らなかったし考えようともしなかった、だけどこの気持ちだけは嘘じゃない。』
「…。」
『それに貴方の心、無理やり押さえ込んでばかりだからいつか壊れちゃう、そんなのは嫌だから!』
「それも俺に相応しい末路だ。」
『!?』
「10年くらい前の話だ、ある轢き逃げ事件があったのを覚えているか?」
『え?あの飲酒運転で複数の人を轢き逃げした事件?』
「そうだ、そしてその唯一の死者になったあの人の弟子が俺だ。」
『…。』
「俺には誰かを愛する資格はない、ましてや報復さえ出来なかったからな。」
『確かあの後、加害者は病死したから?』
「そうだ、敵討ちも出来なかった半端者に人を愛する資格はない。」
『それが深く心に突き刺さっているから…。』
「俺は師を失い、愛も捨てた、だがたった1つだけ残っているものがある…。」
『?』
「同じ痛みを背負い、苦楽を共にした仲間だけは絶対に守り抜いて見せる。」
『…。』
「どうした?あんた達からすれば人間同士で傷つけあう輩を排除できるチャンスじゃないのか?」
『でも…。』
「半端な覚悟で愛を語るな。」
『…分かりました、もう迷いません!』
「それでいい。」
『ところで、自己紹介がまだだったわね。』
「そういえばな。」
『私はアンジェ、愛天使の一角、キューピッドよ。』
「ご丁寧にどうも。」
『私はルーチェ、私も愛天使の一角でフーリーです。』
「俺はジュン、リベリオンのリーダーだ。」
『貴方が、リベリオンのリーダー…?』
「しかし愛神の神徒ばかり取り揃えたもんだな…」
『貴方は、もう許されています。』
「俺自身が許せない。」
『余程辛かったのね…』
「だからこそ俺は今度は絶対に守り抜いて見せる…。」
『貴方の愛する心は、どんなかたちかしら?』
アンジェはキューピッドの矢を3本まとめて放って来た。
「見える、捌ける…。」
俺は矢を3本とも掴んで止めた。
『?』
「…。」
彼女達は矢を掴んだ後に俺の鎧の胸のところにある赤い部分が光ったのに気が付いたようだ。
『一体、何が?』
「これがリベリオンの最終兵器だ。」
『最終兵器?』
「まあ後のお楽しみだ。」
『…嫌な予感がする!早く彼を愛で満たさないと!』
そこから彼女達の攻撃が激しくなった、アンジェは矢を、ティーアは自身から出る白い液体を、ルーチェはピンク色の光球を俺に向けて大量に放って来た。
「…(かなり多いが、計画通りだな。)」
『どうして直撃しているのに何も変化がないのかしら…。』
「どうした?もう終わりか?」
『それより、彼の鎧、さっきより禍々しくなってる…。』
「完成、余った分は…」
俺は鎧からエネルギーを移動させて衝撃波を放った。
『きゃっ!』
3人はまとめて5メートルくらい飛ばされたようだ。
「…。」
『一体、何が…?』
「これは俺達が開発した愛及び魔物、神族の魔力を吸収する鎧だ。」
『だから全く効いてないんですね。』
「今度は、こっちの番だな…。」
『まさか!』
「そう、吸収した魔力は攻撃や防御に転用できる。」
『あれだけの魔力を吸収したのを全部攻撃に回したら…』
「それを今見せてやる。」
『私は、私は逃げない!』
「好きにしろ、ただ逃げなければ。」
『考えは変わらない!』
「なら、さよならだ。」
俺は出力を最大にしてレーザーを放った。
『っ!』
「…。」
『どうして当てなかったの?』
「最終警告だ、俺達のことは放っておいてくれ。」
『まだ、チャンスはある!』
「何っ!?」
俺は白い液体に全身を拘束されてさらにティーアが俺を前から押さえ込んできた。
『これなら、攻撃はできないわ!』
「こんなことしていいのか?」
『え?』
そうしていると、鎧が明滅しだした。
「限界容量を超えたな。」
『…』
「分からん奴だな!」
俺はティーアを振りほどき飛行機能で高く飛び上がった。
「…」
カッ!ドゴォォォォォォォォォォォォォ!ドサッ!
「痛ってぇ…がっ!」
容量を超えた上で変換機能が暴走し、大爆発を起こしたようだ。
『どうしてこんな事に…。』
「リ、リーダー!」
「出てくるなと、言ったろうが…」
「お前達が…お前達が来なければリーダーはこんな目に遭わずに済んだんだ!みんなお前達のせいだ!」
『こんなはずじゃ…。』
「リーダーをこんな目に遭わせたお前達を、お前達を絶対に俺達は許さない、許さないからな!」
「や、めろ…」
「でも…。」
『これは、俺の覚悟したことだ、お前が口を出す事は、ない…。』
「…。」
それから、俺は病院に運ばれた。
『出てきたわ…!』
「リーダーは、どうなったんですか!?」
「一応、命は助かったけど、両腕、両足を骨折している上で全身が酷い打撲傷で程度は軽いものの胸の部分を広い範囲で火傷しているから油断は出来ない。」
結局俺が目を覚ましたのは、2日経った後だった。
「ん…。」
『!』
「リーダー!」
「全く、悪運だけは強いみたいだな…。」
「良かった…。」
『…。』
「そういや身体の骨、なんでもう治ってるんだ?」
『…私が説明するわ。』
「あんたは?」
『私はシンシア、一応貴方を担当する医者よ。』
「なら説明お願いします。」
『人間の治療では治すのに限界があったから魔物の治療にさせてもらったわ。』
「なるほど…」
『貴方、彼女に感謝した方が良いわよ?』
「さしずめ魔力提供してくれたってところですか?」
『そうよ。』
「俺はあいつが無理矢理魔力を注ぎ込んだからここに運ばれて来たんだが…。」
『知ってる、でも貴方が助かったから彼の怒りも収まったのよ?』
「なんかしたのか?」
俺はリベリオンの仲間に聞いた。
「いえ、助かったから何もしてません、許すことは出来ないけど。」
「無理に許す事はない」
『あの…』
「?」
『ごめんなさい!』
「謝る必要はない、お前はお前の目的のために行動して結果として俺が入院することになっただけだ。」
『でも…』
「もし俺を傷つけたことで何か償いをしたいなら、2つだけ頼めるか?」
『なに?』
「1つ目は俺のことが好きなら俺が役目を終えるまで待っていて欲しい。」
『役目?』
「報復者達と共に最前線で戦う、これが俺の役目だ。」
『もう1つは?』
「俺に愛を取り戻すことを、役目が終わるまで待っていて欲しい。」
『なら…。』
「?」
『私もリベリオンに加えてください!』
「何故そうなる…。」
『私には知らないことがたくさんあることが分かったから!』
「心の闇に耐えられるとは思えない。」
『それでも…』
「知らん方がいい事もある。」
『なら絶対に戻って来てください!』
俺も随分甘くなった、惚れた弱みかもしれない。
16/04/02 17:59更新 / サボテン
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