連載小説
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一輝「旅行先の地酒を頂こうとバーに行ったら地酒以外のものまでついてきた、どういうことなの…」後編(サテュロス)
それからしばらく経って…

「ジュンを、止めて欲しい。」

『確かに、人をむざむざ死なせる理由はないな。』

「頼めないかな…。」

『分かった、とりあえずアプローチしてみよう。』

「ありがとう。」

それから、しばらくカルアは電話をかけていたようだ

『とりあえず、応援を呼んだから後は天に任せるだけだ。』

「…。」

『?』

「あいつは、いつも一人で全部抱え込む。」

『だろうね、そういうタイプだ。』

「中学の時もしょっちゅう暴れてたらしいし。」

『らしい?』

「あいつとは高校の時に知り合ったから。」

『なるほど。』

「だけど冷めてるように見えて勢いに任せることも多い奴だとしばらく経って思ったんだ。」

『なるほど、根っこは熱いのか。』

「そういうわけでもない、どちらかというとその気になったらなりふり構わず突っ込んで行くかな。」

『なるほど。』

「一回だけ見たけど、スイッチが入ると容赦がない。」

『?』

「一度クラスでキレたことがあってそいつを入院させた。」

『腕は立つんだね。』

「ただ、躊躇わずに急所を殴ったり蹴ったりした上で2階から首を掴んで落としたんだよなぁ…。」

『おぅ…』

「相手が泣こうが喚こうがお構い無しに執拗な攻撃をしてた。」

『自分に敵対する奴には容赦なしか。』

「原因を作った奴、来なくなった。」

『それだけやられたら、ねぇ…。』

「だけどキレた後落ち着いたあいつの眼には強い悲しみと苦しみが見えたんだ。」

『彼の本来の性格は力を振るうのが好きではないのかもしれないな。』

「暴れたりキレたりする度に苦しんでるのは友人として見ていられないんだ」

『なるほど、君も予想通りの男だ。』

「?」

『のんびりとしているようでいろんなものを見ている。』

「…(あれ?)」

『それに仲間思いで酒も飲める。』

「え、あ、はい。」

『君のような男が魔物にさえモテないのは珍しいな。』

「高校はほぼ男子校で大学も魔物はあまりいなかったし。」

『なるほど、そうか…。』

「貴方は夫いないの?」

『残念ながらね、ここのバーに居ると他の娘に先手を取られてしまうんだよ。』

「え、あ、はい。」

『ふふふ。』

「…(なんか身体がおかしい、酔いとは何か違うものが…。)」

『どうかした?』

「いや、酔いとは何か違うものが身体から…」

『流石に魔界産の素材を使ったワインだと刺激が強過ぎたか。』

「え…?」

『流石に、こんな美味しい状況を蹴ることができるほど私は禁欲的じゃない。』
「あ、はい…(詰んだな。)」

『嫌そうではないね。』

「魔物に魅入られたら逃げられるのは極一部の選ばれた人間だけ、俺はそうではないだろうから。」

『悲観的なのか諦めてるのか…。』

「しかし貴方のような一級品でも残るのか、魔物達の人間を取り合う戦いは厳しいんだなぁ…。」

『違いないね。』

「だからこそ俺を逃す気はないと」

『そういう事だ。』

「俺が迂闊だった、まさか酔い潰れるって。」

『?』

「しかしあいつは俺を見捨てたのかよ…。」

『いや、彼は君を背負って部屋まで運ぼうとした。』

「?」

『私が止めた。』

「あんたの仕業か!」

『ふふふ…。』

「…(どうしたらいい、いや、もうダメか…。)」

『それに、身体は正直だよ?』

「あ…。」

『♪〜』

「?」

『♪〜♪♪〜』

「…(なんだろう、この心地良さは酔いともまた違う…。)」

『ふふ。』

「???」

『ほら、もうここパンパンじゃないか。』

「ちょ。」

カルアは一輝のズボンにあるジッパーを下げて言った。

『私が今楽にするから、ね。』

「…。」

一輝は赤面して俯いた。

『恥ずかしがることはないよ、こんなに硬くて熱いんだから。』

カルアは一輝のそれを愛おしそうに撫でている。

「っ!」

『もしかして限界が近いのかな?』

「そう、最近自分ですることも出来なかったし…」

『?』

「最近近所の魔物達が俺の部屋の窓から覗いて来てたんだ。」

『私が言えた義理ではないが、プライバシーはないな…。』

「だから魔物避けの印を窓に張ったりしてた。」

『いきなり襲われるのを避ける為か。』

「そういう事。」

『なら存分に欲望を吐き出せばいいよ。』

「ちょ!」

カルアは一輝をゆっくり仰向けに寝かせて跨る体勢になった。

『私の事は気にしなくていいよ、君と飲んでいた時からこうしたかったんだから。』

「っ…。」

『君は脱いだ方が好き?それとも半脱ぎの方が好き?』

「え…いきなり何?」

『君はどっちがいいかと聞いたんだけど?』

「なら、うーん…。」

『上は下着を君が酔い潰れてる間に外したからどっちでもいい、君の好きな方にする。』

「なら、半脱ぎかな…。」

『ふふ、君はなかなかいい趣味をしてるね。』

「…。」

一輝はモロ出しのまま俯いた。

『では早速。』

「いきなりで大丈夫か!?」

カルアは一輝に跨って即腰を落としたようだ。

『少し遅れたけど。』

「…。」

『それとも、君が脱がせてくれる?』

「!」

『また硬くなった。』

「…。」

『恥ずかしがることはないよ。』

「わむっ!」

カルアは一輝の顔を上げて抱き抱えた。

『私の愛おしい男、酔っていてもこの感情は変わらない…。』

「!!!!」

『熱いのが…いっぱい…。』

「我ながら、情けない…。」

『何が?』

「早すぎるのが、情けない…。」

『溜まってた上で経験もないならむしろ私の中に入るまでに出さなかったのが意外なくらいだ、心配ないよ。』

「…。」

『それに、気持ち良かったから出たんでしょう?』

「…」

一輝は赤面で頷いた。

『なら私としても嬉しい限りだ、まだいけるよね?』

「!」

その時、一輝に残っていた最後の理性が外れた。









『ずいぶん、情熱的じゃない、あうっ。』

「カルアは、俺の、俺だけの女だ!」

『ひゃうっ!もちろんだから少し落ち着いて、落ち着いてったらぁ!』

「むぢゅぅ!」

『んんんんんんんん!!!』

「!!!!!」

それからしばらく経って、一輝は謝っていた。

「本当にすみませんでした!」

『いや、私を求めてくれたのはとても嬉しかった。』

「でも…」

『私はああいう激しいのも嫌いじゃないよ。』

「…」

『それに、やっぱり私はもう君なしでは居られない。』

「責任取らせて下さい!」

『大丈夫、バッカス教は愛し合う者達を歓迎する。』

「…。」

『だけど…。』

「?」

『君が申し訳ないと思っているなら、もう一回いい?』

「もちろん。」

『なら…。』

カルアはワインを口に含み、口移しで一輝に飲ませた。

「ぷぁっ、はぁ…はぁ…。」

『今晩は放さない、寝るときもそのままだ。』

「カルア!」

カルアは一輝に押し倒された。

『さあ、来て。』

「カルア…。」

『また入って…、当たったぁ…。』

「…。」

『分かる?』

「?」

『もう私は一輝が欲しくてたまらない、その証拠に子宮も一輝の精が欲しくて我慢出来ずに降りて来たんだから。』

「カルア…。」

『んっ!今度はゆっくりなのね、それもいいけど。』

「カルア、滅茶苦茶気持ち良い…。」

『正直者には、それ相応の贈り物をしないとね。』

カルアの手が光り、彼女の上半身に入って行く。

「?」

『一時的だけどミルクが出るようになった、飲むもいいし搾るもいい、一輝の好きに、ね?』

「カルアのミルク…」

『ひぃん!そんなにがっつかなくても逃げないから召し上がれ。』

「カルアのミルク、美味しい…。」

『吸いながら動かれるの、いい、いいよぉぉ!』

「んっ、ぢゅぅぅぅぅぅ!」

『熱いの出てる!一輝のがいっぱい注がれてるよぉぉぉ!』

「ぷぁっ!」

『いぃっ!?』

「カル…ア…」

『さすがに人間のままだともう疲れるよね…。』

一輝は今までにない快楽と未だにほんの少しだが止まることのない射精に意識を溶かされて行った。

『沢山出したら疲れたのね、私の、愛おしい旦那様…。』

カルアも、快楽と夫を得た喜びが混ざった幸福感の中で意識を手放した。







「んっ…」

『一輝、起きた?』

「あ、カルア…。」

『?』

「…(さっきのことを思い出してしまった。)」

『また硬くなった。』

「…。」

『硬さもいいし回復も早くて量も多い、私でこうなったならこれほど嬉しいことは魔物としてはないよ、恥ずかしがることはないんだから。』

「カルア…。」

二人の酔いはまだまだ覚めない、陶酔と肉欲の宴は終わらない。
16/03/29 00:21更新 / サボテン
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■作者メッセージ
どうも、サボテンです。

一輝の話、いかがだったでしょうか?

一輝はその後はバーのウェイターとして働くことになったようです。

ご意見、ご感想、リクエスト、その他ありましたらお願いします。

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