連載小説
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第十四話 楽しい遠足
 
 今日は、保育園の始業式。そして、待ちに待った遠足。始業式が終わり、足早に園庭に行く子ども達。

 「見てみて、今日の遠足のためにママが買ってくれたの」水色の水玉が入ったワンピースをお友達に見せるのはネイレスのマリーちゃん。

 「遠足♪♪遠足♪♪楽しい遠足♪♪♪」歌いながら跳びはねてるのは、セイレーンのレンちゃん

 「遠足って初めて。ワクワクして昨日眠れなかったよ」

 「私も」

 そんな、会話をしてるのはつぼまじんのラジーナちゃんとドラゴンのセレナちゃん。

 「だからって、遠足行く所で寝ないでねラジーナちゃん。約束のお花の冠作るんだから」頭に白い帽子を被って小さなバスケットを持っているのはシー・ビショップのリオちゃん。

 「遠足。遠足。たのしいなぁ〜」はしゃいで飛び回ってるのはフェアリー六姉妹の末っ子テリエラちゃん。

 「テリエラちゃん。そんなにはしゃぐとお弁当がくずれちゃうよ〜」テリエラちゃんを注意してるのは、長女のテイルちゃん。

 「ところで、スピカちゃんとフェアちゃんはどこにいるんだろう?」きょろきょろとあたりを見ているのは次女のリーフェちゃん。

 「スピカちゃんとフィアちゃんは、パパの所に行ったよ」そう言っているのは三女のシィルちゃん

 「シィルちゃん。私の頭の上に乗らないでよ・・・・」シィルちゃんが乗っているのはコカトリスのフロナちゃんの頭の上。

 「え〜。だって、フロナちゃんの頭の上はふわふわで気持ち良いんだもん」フロナちゃんの頭の上でコロコロと転がるシィルちゃん。

 「スピカ、フェア。父さんも行くぞ!!」警備隊長の佐藤 敏夫は大きなリュックサックを背負い首からは高性能スーパーカメラを。手にはハイビジョンビデオカメラを握っていた。

 「パパ、お仕事あるんじゃないの?」首を傾げて言ったのはフィアちゃん。

 「また、サボるんでしょ。そんな事してたら、またお母さんに怒られるよ」頬っぺたを赤くして怒るスピカちゃん。
 
 「う・・・・だが、今回は違うぞ。なにせ、今回はシリア先生と子ども達の安全を守るために行くからな」そう言って胸をはる敏夫。ちょうどその時、後ろからリャナンシーのシルア先生が来た。

 「シルア先生〜。今日はよろしくお願いしますね」満面の笑みでシルア先生を迎える敏夫隊長。

 「うん。でも、敏夫さんは保育園でお留守番ですよ?」シリア先生がそう言った瞬間、敏夫は固まった。

 「え??じゃあ、誰が行くの?」半分涙目で言う敏夫。そして、シリア先生の後から出てくる人物。

 「あたしが、行くのよ隊長」赤茶色が混ざった長い髪の毛。ほのかに匂う甘い香里。とても美しい女性が現われた。

 「レイチェル。お前が行くのか!?」

 「そうだよ、だってルビー先生一人じゃ大変ですもの」レイチェルと呼ばれた人は、顔立ちは女性であるが、性別は男である。

 「というわけで、保育園の警備よろしくお願いしますね。隊長」ニッコリと微笑むレイチェル。

 「そ・・・そんな」がっくりとうなだれる敏夫。

 「パパ、そんなに落ち込まないで」敏夫を慰めるフィアちゃん。

 「そうだよ。い〜っぱいお土産持って帰るから」何とか励ますスピカちゃん。

 「この日が来る事をどれだけ待ち望んでいたか・・・・」

 「隊長。仕方がありませんよ。さぁ、仕事に行きましょう」敏夫の首根っこを掴む警備隊副隊長のブレイナー・スプリングス。

 「いやだ〜。娘達と一緒に遠足に行くんだよ〜」

 奥の部屋から、無常な叫び声がいつまでも続いていたのだという。

 

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 「は〜い。皆さん。そろそろ出発しますよ」サキュバスのリリ先生が子ども達に号令を掛けていった。

 「園長先生。子ども達がみんなそろいましたよ」園長に声をかけたのはケンタウロスのミリー先生だ。

 「よ〜し。そしたら、横のお友達と手を繋いで先生の後についてきなさい」大声で言う園長先生。

 「ところで、園長。肝心の場所はどうしたのだ?」リザードマンのキルア先生が園長先生に聞いた。

 「場所ですか?それでしたら、あそこがいいかなと思いましてね」

 「???」

 「まぁ、行ったらわかりますよ」そう言うと、大型転移装置の上に乗りある場所を目指す。

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              〜大樹木公園〜

 「ここは・・・」

 「ここなら、子ども達が喜ぶと思いましてね」園長が選んだ遠足場所は、この街最大の公園。大樹木公園。この公園は数多くのアスレチックがあるほか小さな池やその周りにある花畑。そして、近くにある森の中には、珍しい動植物がいる。

 「園長先生も考えましたね。ここなら、思いっきり遊べますからね」アラクネのアリア先生が頷きながら言った。

 「それでは、そろそろ子ども達に言いましょうか。それじゃなくても、早く遊びたくてうずうずしてますからね」後ろを見ると、アカオニの寿美ちゃんが目をキラキラにして今でも飛び出してしまうかの勢いであった。

 「そうですね。は〜〜い。そしたら、先生達の見えるところで遊んでくださいね。わかりましたか?」大声で言うミリー先生。

 「「「「「「「「「「「「は〜〜〜〜〜〜〜い」」」」」」」」」」」」」」」

 元気よく返事をする子ども達。急いで、荷物を休憩所の所に置き子供たちは、皆思い思いのところで遊ぶのだった。

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               蛇体滑り台

 蛇のように長く続く滑り台。そして、その滑り台で物凄い勢いで降りてくる少女。

 「イヤホオオオオオオオオオオオオオ!!!楽しい!!!」メデューサのニカちゃんが、ダンボールの上に座り蛇体滑り台を楽しんでいた。

 「楽しい♪♪もう一回行こうっと」自分の使っていたダンボールを持ち上に上がる二カちゃん。頭の蛇たちは目を回してぐったりしていた。

 「目が回る〜〜〜〜〜〜〜」二カちゃんの後に来たラミアの紫音ちゃんが目を回していた。

 「大丈夫?紫音ちゃん」心配そうに言うアラウネのミリネちゃん。

 「ヘ・・・平気だよ。ちょっと目が回るだけ〜〜」

 「きゃわ〜〜。楽しい〜〜」滑り台の風を受けながら喜ぶサキュバスのエリちゃん。

 「風が・・・感じちゃう・・・・ひやぁ〜〜〜」包帯のスキマから風を受けるマミーのマーちゃん。

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                お花畑

 「色んなお花がいっぱいですぅ〜」カラステングの楓ちゃんの後ろにいるワーシープの蒲公英ちゃんがきれいなお花畑を見て喜んでいた。

 「あは、見て見て蒲公英ちゃんのお花があるよ」ゴーストの楓ちゃんがタンポポを見つけてはしゃいでいた。

 「本当だ。見てみて蒲公英ちゃん」楓ちゃんが、花のタンポポを摘んで蒲公英ちゃんに見せた。

 「楓ちゃ〜〜ん。何しているの?」お花の冠を頭に乗っけてやってくるのはラジーナちゃん。

 「ラジーナちゃん。蒲公英ちゃんのお花があったから見てたの」

 「蒲公英ちゃんのお花。え!!どこどこ?」あたりを見回すラジーナちゃん。

 「ほら、そこだよ」

 「あっほんとだ。そうだ、これでお花のネックレス作ってあげるね」手馴れた手つきでタンポポのネックレスを蒲公英ちゃんの首に掛けてあげた。

 「あ・・・・ありがとう。ラジーナちゃん」顔を真っ赤にして照れる蒲公英ちゃん。

 「

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              巨大ジャングルジム

 「たかいね〜〜」ジャングルジムのてっぺんから下を見渡すホーネットのヴェスパールちゃん。

 「ヴェスパールちゃん。待ってよ〜」一緒に登ってきたのは、ゴブリンのタルヒちゃん。

 「遅いよ〜タルヒちゃん」

 「だって、飛ぶのは反則でしょ。ヴェスパールちゃん」

 「あ・・・ごめ〜ん。タルヒちゃん」タルヒちゃんに謝るヴェスパールちゃん。

 ジャングルジムの下では、一生懸命登る子ども達。

 「これは、きついかも・・・・」汗をたらしながら登るワーラビットのリシアちゃん。

 「そうだね」同じように登るリザードマンのフィりちゃん。

 「うわ〜ん。下見ちゃったよ〜〜〜」途中で止まって泣いてしまったスキュラのロベリアちゃん。
 
 「一緒に降りるロベリアちゃん?」カタカタと振るえるスケルトンのアマンダちゃん。

 「うん・・・降りる・・・・」そのまま下に降りるロベリアちゃん。

 そして、そのまま近くにいたリリ先生に抱きついた。

 「うえ〜ん。リリ先生。恐かったよ〜〜」涙目で訴えるロベリアちゃん。

 「先生・・・あたしも・・・・」ロベリアちゃんの横に行ってリリ先生に抱きつくアマンダちゃん。

 「うふふ。恐かったのね。もう大丈夫よ」優しく抱きしめるリリ先生。

 そんなことをしていたら、いつの間にかお昼ご飯の時間になっていた。

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              〜お昼ご飯〜

 屋根のついた休憩所で、ご飯を食べる子ども達。友達と仲良く食べる子や先生達と一緒に食べる子ども達。

 「チャルちゃんのお弁当おいしそう」オニギリを頬張りながら話す稲荷の鏡華ちゃん。

 「鏡華ちゃん。オニギリが口から出てるよ」さりげなく注意するアヌビスのリヴェリアちゃん。

 「ありがとう。鏡華ちゃん」笑顔でお礼を言うシースライムのチャルちゃん。

 「アリア先生のお弁当大きい・・・」赤いウインナーをフォークに刺したまま言うヴァンパイアのルーフェスちゃん。

 「うん・・・大きい・・・」あまりの大きさに唖然とするデュラハンのクレアちゃん。

 「え、そうかな。これでも少ないよ」重箱を次々と空にするアリア先生。そのスレンダーみたいな体のどこに入るんだろう。

 「ファルちゃん。どこかいたいの?全然食べてないけど・・・」心配そうに言うミリー先生。

 「ううん。違うの。ママがね。あたしの好きなゼウスマンの似顔絵のお弁当を作ってくれたんだけど、食べたらゼウスマンが可哀想なの・・・」少し悲しそうに言うスライムのファルちゃん。

 「でもね、食べないとファルちゃんがお腹すいちゃうよ。そしたら、ゼウスマンが可哀想だよ」

 「・・・・・うん!!!あたし食べる!!!いただきま〜す!!」元気よく食べるファルちゃん。

 みんなが、ご飯を食べ終えた時には保育園に帰る時間になっていた。

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 ご飯を食べ終えた子ども達が、自分の荷物を持ってクラスごとに並んで待っていた。

 「は〜い。皆さんいますね。そしたら、今から帰りま〜す。先生の後についてきてくださいね」

     「「「「「「「「「は〜〜〜〜〜〜〜い」」」」」」」」」

 先生の後について行く子ども達。その内の何人かは遊び疲れて寝てしまって、ミリー先生の背中の上で寝ていた。

 今日から始まる保育園生活子ども達に待ち受けるのはなんだろうか。それは、子ども達自身が決める事であるのだ。


11/03/01 02:43更新 / pi-sann
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■作者メッセージ
 〜シリア先生の大仕事〜

 「さぁ〜子ども達の絵を書いた絵画はいりませんか〜?」シリア先生が描いた絵はみんな活き活きしていた。滑り台ではしゃぐラージマウスの初香ちゃんの絵や頬っぺたにミートスパゲッティーのケチャップをつけているドワーフのサラスちゃん。数多くの絵が立ち並んでいた。



 久々の長文だ。さすがに疲れたよ。さてさて、遠足でいっぱい楽しんだ子ども達。やっぱり遠足は良いですね。ところで、バナナはおやつに入るのかな?
 でわでわ、感想お待ちしてます。

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