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第三話 キキーモラのイラリア

エドは主神協会の裏にある入り口から、皆を中に入れた。
サバト支部は五つの各階層ごとに広い空間があり、その中央を螺旋階段が通っている構造だ。
入り口がある一番上の第一層がエントランス。下に降りた第二層がサバトのメンバーが作業するオフィス。第三層は居住区。第四層は資料区。最深部はザッハーグが管理する禁忌資料区になっている。
そのサバト支部の中は大改装されていた。
エドたちが入ってきたエントランスは、来客を迎える赤いカーペットの敷物とふかふかのソファが、傷だらけの木の床とぼろい木椅子に変わっており、清貧を旨とする主神協会らしい内装になっている。
「かなりボロいな」
と呟いたのはマクナイトだ。酒場の時と変わらず、腰にナイフを差した格好である。
マクナイトだけではなく、傭兵団の全員が武器を帯びている。孤児院を出たらすぐに戦場へ出発するという事だった。
「寄付だけじゃなかなか厳しくてな。さて、そろそろ来るはずだ」
とエドが言った時、奥からシスター服を着たミールが現れた。
「おかえりなさい!エドお兄ちゃん!」
人化の魔法によって耳と尻尾を隠したミールは、エドに抱き着いた。
「ただいま、ミール」
エドは抱きしめ返して、耳元でささやく。
「状況はどうです?」
「配置についたよ。いつでも大丈夫」
「分かりました。皆さんに伝えてください。『羊を柵に入れた』と」
「了解」
情報部らしい早口で会話を終えると、エドはミールを放した。
「ミール。この人たちは傭兵団の皆さんだ。ミールたちのために魔物たちと戦ってくれてるんだぞ」
「こんばんは!傭兵団の皆さん!私はミールです!私たちの為に戦ってくれてありがとうございます!」
元気いっぱいに、ミールは挨拶をした。
「お、おう。こんばんは」
戸惑いながらも、グリンバルトが挨拶をした。
「ミール、シスターのお手伝いは済んだのか?」
エドが聞くと、ミールはいかにも忘れてたというように飛び上がった。
「あ!まだ終わってなかったんだ!行ってくるね!」
そう言って、ミールは螺旋階段のほうに駆けて行った。
可愛いなあ、もっと抱きしめたいなあ、とエドは思うが、なんとか自制する。
「おいエド。俺たちは魔物と戦ってなんかいないぞ」
そう言ったのはエムリスだ。子供たちに嘘をつくのは気が咎めるらしく、少し不機嫌そうな顔だ。
エムリスだけではなく、傭兵団の皆がどこか気まずそうな雰囲気になっている。
そうだ、それでいい。とエドは思う。心に隙があればあるほど、こちらもやりやすい。
「時には嘘も必要なんだ。それじゃ、案内するぞ」
エドを先頭に、傭兵団は歩き出した。



第二層に続く螺旋階段が見えたあたりで、シスター服を着た一人の少女が壁際で困っているように上を見上げている。
人化の魔法がかかったイラリアだ。特徴的な尻尾が消えているせいで、見た目は完全にただの人間の少女だ。
「どうしたんだ、イラリア?」
エドが話しかけると、イラリアは花開くように笑った。
「あ、エドお兄ちゃん。あのね、あそこで蜘蛛さんが巣を作っていてね。私じゃ手が届かなくて……」
「ごめんな、イラリア。俺は今、傭兵団の人を案内していて、手が離せないんだ」
イラリアはじっと、見定めるように傭兵たちを見ると、獲物を射程圏にとらえた虎のように、マクナイトに抱き着いた。
「え!?」
「お願いします。あの蜘蛛さんの巣を取るのを手伝っていただけませんか?取らないと、シスターさんに怒られちゃう……」
イラリアは涙目でマクナイトを見上げた。一世一代の演技とはこの事だろう。
壁に立てかかったぼろぼろの箒、ボロい内装のエントランス、今にも泣きだしそうなシスター見習いの女の子。
演技だと知らなければ、エドも騙されていたほどだ。
「わ、わかったよ。面倒くさいな。あれを取ればいいんだろ」
「うん。ありがとう、お兄ちゃん」
「お前ら、先に行っててくれ。このくらいすぐに終わるからよ」
そう言うと、マクナイトは箒を手に蜘蛛の巣と格闘し始めた。
「それじゃ、俺たちは先に行くか」
エドたちは螺旋階段を下りて、第二層に進んだ。



マクナイトは苦戦していた。すぐに払えるはずの蜘蛛の巣がいくら払っても消えないのだ。
それもそのはずで、その蜘蛛の巣は魔法によって作り出されたただの幻覚だ。
箒をいくら振っても払えるはずがないのだ。
「お兄ちゃん、大丈夫?」
イラリアが心配そうに、マクナイトに聞いた。
「大丈夫だ。少し面倒だが、すぐに終わる」
マクナイトはうるうるした目で見上げてくるイラリアを見る。
茶色の髪を長く垂らし、まだ世の中の事を何も知らない目でこちらを見てくる。
まるで天使だ。とマクナイトは思った。戦場の血なまぐささも、魔物に故郷を奪われる屈辱も知らない、無垢なる天使。
そんなことを考えた時、足に力が入らなくなり、尻から倒れこむ。
「うおっ!」
「きゃっ!大丈夫ですか?」
倒れこんだマクナイトに、イラリアが近づく。
その時、イラリアから漂ってくるのは、遥か故郷を思い出させる土の匂い。
「怪我はありませんか?」
イラリアは手を貸そうとすることなく、倒れたマクナイトに跨った。
「イラリアちゃん?な、何を?」
「マクナイトお兄ちゃん、痛くはないですか?」
「い、痛くはないけど。早くどいてくれないか」
「それは良かった。痛いままでヤっても気持ちよくないからね」
イラリアの人化が溶けていく。羽毛が手足にが現れ、ふさふさの尻尾が現れ、格好がシスター服から給仕服に変わっていく。
やがて、一匹のキキーモラの姿がそこにあった。
「ま、魔物!?」
マクナイトはとっさに腰の短剣に手をやるが、イラリアが手を上げた瞬間、体が硬直したように動かなくなる。
「やっぱり、こうなると効きがいいね。マクナイトお兄ちゃん」
「俺をどうするつもりだ?殺すのか?」
「くすくす、お兄ちゃんは冗談が上手いね」
イラリアは呪縛の魔法をかけたまま、マクナイトのズボンを脱がせる。
すると、雄々しく勃起した剛直がボロンと姿を現した。
「まあ、素敵……」
イラリアは幼い顔を剛直に近づけ、香水を嗅ぐように匂いを吸う。
「なんで勃起してんだ?お前が何かしたのか?」
「無垢な女の子に自分と同じ思いを味わせたい。故郷を奪われる苦しみと屈辱で染め上げたい。汚してやりたい。そんな所かな」
「なんでそれを……」
イラリアは、スカートをたくし上げ、ガーターソックス越しの幼い性器でペニスを踏みつぶした。
「私たちの情報網はすごいの。お兄ちゃんのこと、全部わかってるんだよ」
ずり、ずり、と焦らすようにイラリアはペニスを擦り上げる。
マクナイトは幼い少女から与えられる快感を理解できず、悶えるしかない。
「や、やめ……」
「あれ?こっちはやめて欲しそうに見えないけど」
イラリアが腰の動きを止めると、勃起したペニスは刺激を求めてびくびくと震えた。
マクナイトは背筋を冷たい喪失感が撫でるのを感じた。
「た、頼む。止めないでくれ」
「それよりも。ここに入れたくない?」
イラリアがパンツをずらすと、つー、と愛液の垂れる幼女の性器が現れた。
入り口はぱくぱくと細かく動き、よだれを垂らす獣の口を思わせる。
マクナイトは息を飲みながら、その性器を見つめる。入れたい。入れればどんなに気持ちいいだろうか。
「私、お兄ちゃんにご主人様になって欲しいの」
「ご主人様……?」
「そう。私の全てを捧げて奉仕する、世界に一人だけのご主人様。お兄ちゃんは何も考えず、私に奉仕させてくれるだけでいいの」
「だが……」
故郷を捨てて地を這うように生きてきた日々、傭兵団の仲間の顔、戦場での勝利の快感、過去の屈辱を紛らわせる酒……今までの人生がマクナイトの頭をよぎる。
イラリアはにこりと笑い、マクナイトのペニスに手を沿わせ、なぶるように撫で始めた。
その瞬間、強烈な快感が全てを押し流した。今までの人生、記憶、生きてきた道筋……
面倒だ。考えることも、迷うことも。
マクナイトは目の前の魔物に、完全に屈した。
「どうする?お兄ちゃん?」
マクナイトは何も言わずに頷いた。
イラリアは微笑みながら、幼い性器にペニスをあてがい、そのまま呑みこんだ。


20/06/08 19:04更新 / KSニンジャ
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