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第四話 エキドナのボローニャ

作業机が並んでいた第二層のオフィスは、祈祷室に改装されていた。
質素な長椅子の列が並び、最奥には質素な部屋には不釣り合いなくらいきらびやかな主神像が鎮座している。
「ここで、子供たちが朝の四時と夜の十時に祈祷するんだ」
もちろんでっち上げの習慣だが、反魔物都市の孤児院も大差ないと聞いているので、あながち嘘というわけでもない。
「オラ、そんな時間に起きたくねえなあ」
ダムドが、おっかなさそうに言った。
「これも敬虔な信仰のためだ。ほら、あそこでも懸命に働いている子がいるだろう」
エドが指さした先には、長椅子を持ち上げようとしている少女の姿。
長い緑髪を乱しながら、長椅子を運ぼうと苦戦している。
「こんばんは、ボローニャ。今日は傭兵のみなさんを連れてきたよ」
エドが声をかけると、ボローニャは傭兵たちに笑顔を向けた。
エキドナのボローニャは人化の魔法で、蛇の下半身は人間の足に変化しており、一見ではただの少女にしか見えない。
額には汗が光っており、長椅子運びがよほどの重労働であることをうかがわせる。
「こんばんは、皆さん。私はボローニャと言います。すみません、今は忙しくてお相手できませんが、どうぞゆっくりしていってください」
そう言うと、再び長椅子運びに戻るボローニャ。
「おいおい、床を掃除するのに、わざわざ長椅子をどけなくても……」
「そういうわけにもいきません。この神聖な祈祷室ではたった一つの埃でもあってはなりませんから」
グリンバルトの言葉に、ボローニャは毅然と反論する。
演技とは言え、ここまで敬虔な信者になりきれるボローニャに、エドは舌を巻いた。
「……オラ、手伝う」
小さな体で長椅子と格闘するボローニャを見ていられなかったのか、ダムドが言った。
「そういうわけにはいきません。これは私の職務ですから」
拒否するボローニャの口に、ちろりと蛇の舌が覗いたのをエドだけが見ていた。
「ボローニャの言う通りだ。次の部屋も案内したいし、早くいくぞ」
「オラ、この子を手伝ってから行く。先行っててくれ」
言うないなや、ダムドは軽々と長椅子を持ち上げ、部屋の隅に運んでいく。
「仕方ない。先に行くか」
エドの一言で、傭兵たちは螺旋階段を下り、第三層へ降りて行った。



「ありがとうございます!とっても助かりました!」
ボローニャは感激して、長椅子が無くなった祈祷室を見渡した。
ダムドによって長椅子は部屋の隅にまとめられ、これ以上無いくらい床を掃除しやすくなっている。
「オラにかかれば朝飯前だ」
「すごい力持ちなんですね、素敵です」
ボローニャはダムドの足に抱きついた。
「へへへ、照れるなあ」
ダムドはボローニャの頭を撫でながら、ふと故郷を思い出す。
貧しい農家の十人兄弟の末っ子として生まれたダムドは、幼いころに口減らしで捨てられたのだ。
「あんたは図体がでかいばかりで、こっちの食う分も無くなっちまうよ」
よく頭を撫でてくれた両親から、最後に言われた言葉を今でも覚えている。
それ以来、いくら飯を食っても腹いっぱいになる事が無くなってしまったのだ。
「ダムドお兄さん」
ボローニャの言葉で、我に返る。
足に抱きついたまま、ボローニャが心配そうな目でダムドを見上げている。
「疲れましたか?」
「いんや、このくらいで疲れたりなんか……」
その時、ボローニャの目が桃色に光ったかと思うと、ダムドの足の力が急に抜けていく。
「あ、あれ?」
立っていられず、ダムドはその場に崩れ落ちる。
「ほら、やっぱり疲れているじゃないですか。無理はダメですよ」
ボローニャはダムドの顔に手を添えて、鼻先が触れそうな距離で目を合わせる。
幼いながらも端正で可愛らしい顔が目の前に近づき、ダムドはどきりとした。
だが、幼い少女に欲情するという禁忌を、理性が押さえつける。
「オラ、ほんとに疲れてなんか……」
「そうだ、私が膝枕してあげましょう」
身体に力が入らないダムドは、ボローニャのされるがまま、祈祷室の床に寝かせられる。
頭はボローニャの膝に置かれ、さかさまのボローニャの顔が目の前にある。
「気持ちいいですか?」
ボローニャの声が頭の奥まで染み込んでいく。
すると、おかしなことに今までどれだけ飲んでも食べても満たされなかった所が満たされていく。
「なんでだ?何も食ってないのに……」
「どれだけ食べても満たされない……当然です。お兄ちゃんはお腹じゃなくて、心が満たされていないんですから」
「心……?」
「そうですよー。小さいころに捨てられて、今まで戦いばかりしてきたんですから。こんな風にされることも無かったでしょう」
ボローニャはダムドの頭を優しく抱え込む。
安心するようなボローニャのぬくもりに、ダムドの心の奥底で飢えていたものが満たされていく。
まどろむように目を閉じ、次に開いた時に目の前にあったのは、青白い肌の色をした魔物の顔だった。
長い緑髪の先には蛇がうごめき、金色の目は爬虫類のような縦長の瞳。足は蛇の胴体になっており、それがダムドの身体に巻き付いてる。
しかし、そんなことはどうでもよかった。今まで満たされなかったものが満ちていく感覚に比べれば。
「ボローニャ」
「なーに?お兄ちゃん」
「ありがとな。オラ、ようやく腹いっぱいになれた」
「それじゃー、次は私がお腹いっぱいになる番ね」
ああ、自分はボローニャに食い殺されるんだな。とダムドは思った。
だが、それもいい。ボローニャに食われるなら悪くない。
ボローニャはダムドに顔を近づけ、貪るような口づけをした。
長い舌がダムドの口内を蹂躙し、否応にも興奮させられてしまう。
むくりと、ズボンを突き破らんばかりに、ダムドのペニスが隆起する。
「あら……」
と恍惚しながら呟くと、ボローニャはするするとダムドの腰の上に移動する。
それから、ズボンを脱がせてダムドのペニスを露出させた。
びくびくと震えるダムドのペニスは、ボローニャの顔ほどの長さがあり、太さは腕ほどもありそうだ。
「おっきい……」
ボローニャは長い舌でペニスを舐め上げる。ダムドのペニスは魔性の快感にビクビクと震えながら、透明な汁を吐き出すしかない。
「はぁ、これなら……」
ボローニャはペニスの上にまたがり、蛇の身体との境目にある膣口にペニスをあてがう。
「ま、待て。入るわけがない。これのせいで、いつも女から断られるんだ」
ダムドの言う通り、幼女の性器ほどの大きさしかない膣口では、ダムドの巨根を飲み込めるはずがない。
「安心して。私は頑丈だから。んんん……」
ボローニャがゆっくりと腰を下ろすと、みちみちと音を立てながらボローニャの中にペニスが入っていく。
「ああ……おっきすぎる……んん……」
ボローニャはうめき声をあげているが、それは苦しそうなものではなく、快感をじっくり味わう響きがある。
やがて、巨根の全てを性器で飲み込むと、ボローニャは顔をほてらせながらうっとりと息を吐いた。
「ね?入ったでしょ?」
「ああ……これが女の中か……」
ぎちぎちと締め上げながらも、なぶるように痙攣し、潰れた子宮口は蛇が獲物を飲み込むように、亀頭にちゅうちゅうと吸い付いてくる。
その精に対する貪欲さは、どれだけ幼く見えようと、まごうことなき魔物の性器である。
「ねえ、お兄ちゃん」
ゆさゆさと腰を揺らしながら、ボローニャはダムドの顔を見上げる。
「私と一緒になる気はない?」
「一緒……?」
「そう。ずっとこうやって繋がって、お互いの心を満たし合うの」
「ボローニャ」
ダムドはボローニャの手をとって、両手で包み込んだ。
「オラ、ボローニャとこうしていたい。魔物だろうが関係ねえ。ずっとお前のそばに居たい」
「ふふ……いいわよ。あなたが今まで満たされなかったもの、全部満たしてあげる」
「それだけじゃねえ」
「え?」
ダムドがボローニャの手を優しく握りしめると、ボローニャは驚いて目を見開いた。
「オラ、ボローニャの事が好きになっちまった。この髪も、蛇の身体も、全部」
ダムドはボローニャの髪から伸びる蛇の頭を撫で上げる。
ボローニャはさらに目をうっとりとさせながら、ダムドと視線を通わせた。
目端に涙をにじませながら、ダムドの手を握り返す。
「ふふふ……もしかしたら、生きてきた中で一番うれしいかも」
「じゃあ、いいってことか?」
「もちろん。でも覚悟してねー」
ボローニャの尻尾がダムドの身体にしっかりと巻き付き、動きを封じ込める。
「絶対に逃がさないから」
そう言うと、ボローニャは激しく腰を動かし始めた。
20/06/08 19:05更新 / KSニンジャ
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