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作戦07
【作戦07 下水突撃作戦!】

司令「ふーむ・・・」

副官「司令、何を見ていらっしゃるのですか?」

司令「うむ。レスカティエの都市区画図を見ていたのだが・・・
   ちょっとこれを見てくれないかね?」

副官「これは・・・まるで網の目ですね。
   道のようですが、一体なんですか?」

司令「うむ。実はこれは『下水道』なのだよ。
   今回は、これを利用した作戦を考えている。」

副官「どういうことですか?」

司令「レスカティエに限らず、下水道というのは
   地上に比べて警備が薄くなるものだ。」

司令「特にレスカティエの下水道は、迷路のように複雑なうえに
   老朽化で使われなくなって、そのまま忘れ去られたものも少なくない。」

司令「これらの下水道から腕利きの工作員を送り込み
   魔物の目をかいくぐって、レスカティエ城に潜入する。
   これが今回の作戦だ。」

副官「しかし司令。魔物には、下水道に好んで住む種類もいると聞きますが
   そういった魔物と遭遇する危険はないのでしょうか?」

司令「確かにその可能性はゼロではない。
   しかしその種の魔物は、バブルスライムやデビルバグにように戦闘力の高くないものが多い。
   十分な経験を積んだ工作員なら、逃げ切るなり倒すなり対処方法は十分にある。」

司令「更に、レスカティエの下水道は広大なうえに
   今言った魔物達も、男を求めて地上に出ることが多いらしい。
   遭遇も堕落も、地上に比べれば危険性は低いと考えられる。」

副官「なるほど・・・下水道の迷路に、脅威の低い魔物。
   確かに、潜入ルートとしてはうってつけですね。」

司令「そういうことだ。早速作戦を開始するぞ。」

副官「了解!」


――― 数日後 ―――


副官「司令!ダメです!下水道からの潜入作戦、失敗しました!」

司令「なんだと!?どういうことだ!」

副官「それが・・・下水道内でベルゼブブに襲われ
   なすすべもなく堕落させられてしまったとのことです。」

司令「!?ベルゼブブだと!?高位の魔物じゃないか!
   確かに不潔な環境を好むが、下水に巣食うような種族じゃないぞ!?!」

副官「それが・・・このベルゼブブ、男を求めてレスカティエにきたものの
   まったく成果があがらず、気晴らしに下水道を散歩していたところを
   たまたま今回の工作員と遭遇したようでして・・・」

司令「つまり、今回の作戦失敗は、まったくの偶然によるものだったと?」

副官「はい・・・ですが問題がひとつ起こりまして・・・
   噂を聞きつけた他の魔物が、下水道をひんぱんに訪れるようになり、
   以前とは比べ物にならないほど、魔物の数が増えているとのことです。」

司令「なんてこった・・・この作戦は魔物と遭遇しづらいことがカギだったのに
   これでは作戦の前提が崩れたも同然ではないか・・・」

副官「こうなると、下水道からの潜入作戦はもう使えませんね・・・」

司令「仕方がない。今まで通り、市街からの潜入で考えるしかないか。」

副官「了解です・・・」
13/07/15 13:15更新 / プロミス
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