【作戦06 復讐鬼作戦！】

副官「司令！我々の作戦に、志願者がやってきました！
　　　しかも女性です！」

司令「志願者だと・・・？この任務に志願するとは
　　　いったいどのような人物なのだ？」

副官「一言で言うなら、『復讐者』です。」

司令「復讐者・・・いったいどういうことだ？」

副官「なんでもこの女性、将来を約束した恋人が
　　　教団の兵士としてレスカティエに赴任していたのですが、
　　　レスカティエ陥落の際に行方不明となってしまい
　　　それ以来、魔物に対して強い憎しみを抱いているとのことです。」

司令「恋人がレスカティエに・・・か。
　　　気の毒だが、その男はもう・・・」

副官「はい・・・本人も、そのことは覚悟していました。
　　　だからこそ、夫となるはずだった人を奪った魔物が許せず
　　　魔物への反攻の第一歩として、我々の作戦に志願したとのことです。」

司令「復讐のためというのが少し危うい気もするが・・・
　　　しかし魔物に対してそこまで強烈な怒りと復讐心があれば
　　　堕落させられるということはまず無いだろう。」

司令「よろしい、その志願者を呼びたまえ。
　　　詳細を説明し、早速作戦に移ってもらう！」

副官「了解！」


―――　数日後　―――


副官「司令！生きていました！無事でしたよ！」

司令「おぉ！？落ち着きたまえ、一体どうしたのだね。」

副官「あの復讐者の女性の恋人です！無事だったんですよ！」

司令「なんだと！？魔界と化したレスカティエで
　　　何故堕落せずにいられたのだ！」

副官「それが、レスカティエ陥落の際に魔物に襲われたのですが
　　　生きて再び恋人と会うために、これを返り討ちにし
　　　魔物のほうも、その想いの強さと、そこから生まれる力を目の当たりにして
　　　堕落させるのを諦めたとのことです。」

副官「しかし、魔界の魔力で浴びた身体で戻るわけにもいかず
　　　レスカティエに留まっていたところを、今回潜入したあの女性と
　　　再開できたという訳です。」

司令「おぉ・・・心に誓った愛を貫き、堕落の誘惑を跳ね除けるとは・・・
　　　素晴らしい！これぞ主神の教えにある『永久の愛』そのものではないか！」

副官「はい！まるで聖書の一節のようです！」

司令「・・・」

副官「・・・」

司令「あまり聞きたくないんだが・・・諦めていた恋人と再会して
　　　あの復讐者はどうなったかね？」

副官「結論から言うと、堕落しました。」

副官「おそらくは、恋人が無事だったことで、愛する人を奪われた怒りと憎しみが
　　　魔物より自分を選んだ男性への愛情と、二度と離さないという独占欲に変化したところを
　　　魔界の魔力に中てられて、一気に魔物化してしまったものと思われます。」
　
副官「ちなみに堕落した魔物の種類は『白蛇』。
　　　ラミア種でもひときわ強い独占欲と嫉妬心を持つタイプです。
　　　本来ジパングでしか発生しない魔物に変化するとは、よほど強烈な感情だったようですね。」

司令「想いの強さが裏目に出るとは、なんとも皮肉な結末だな・・・」