連載小説
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作戦08
【作戦08 下水突撃作戦、再び!】

司令「機は熟した・・・今再び、下水道からの突入作戦を発動する!」

副官「下水道から・・・ですか?しかし前回の作戦(作戦07参照)で
   下水道からの潜入は難しくなったのでは?」

司令「確かに、現在のレスカティエ下水道には、以前よりはるかに多くの魔物がはびこり
   潜入経路にするにはリスクが高すぎるが・・・前回とは決定的に異なる点が一つあるのだ。」

副官「違うこと・・・ですか?それはいったい?」

司令「『時期』だよ。今は何月かね?」

副官「1の月ですね。それも下旬ですから、この間新年を迎えたばかりなのに、早いものですね。」

司令「まったくだ。そして新年と言えば、切っても切り離せないものがある。」

副官「・・・?」

司令「それは『祭り』だ。」

司令「新年のお祝いや、主神教の新年祭などで、多くの市民や商人が同じ場所に集まり
   街全体が、お祭りムードで浮足立つこの季節・・・」

司令「我々人間でさえ、新年の浮かれぶりは相当なものだ。
   ましてや欲望と快楽に忠実な魔物となれば、その浮かれようは我々の比ではない。」

司令「事実、新年が明けて2週間以上経っているにも関わらず
   レスカティエは未だに年明けにかこつけたドンチャン騒ぎが続いており
   あらゆる魔物が市街地に集まって乱痴気騒ぎの真っ最中となっている。」

司令「そして、そんな時にわざわざ陰気な地下道に引き籠るような魔物が
   果たしてどれだけいると思うかね?」

副官「なるほど!大半の魔物が市街地に集まった上に、お祭り騒ぎで浮かれきっている今なら
   魔物の目をかいくぐって下水道から突入することなど、非常に容易となる訳ですね!!」

司令「その通りだ。この日のために、各方面から選出した
   選りすぐりの突入部隊を編成している。」

司令「この部隊を以て、下水道から全速力でレスカティエ城へ突入し
   可能な限り損害をゼロに抑えた上で、最低限の城内情報を取得することを目的とする!」

司令「詳細は君に任せる。直ちに作戦を実行せよ!」

副官「了解!!」


――― 数日後 ―――


副官「司令!!突入部隊が帰還しました!!
   全滅ではありません!!帰還です!!」

司令「何だと!?いつものように、連絡員からの知らせでは無いのか!?
   早速報告を聞かせてくれたまえ!」

副官「はい!えー・・・」

司令「・・・どうしたのかね?」

副官「まず下水道からレスカティエ城への突入ですが、ここで部隊に1割の損失が出ました。
   魔物との遭遇はありませんでしたが、迷路のような下水道で幾人かがはぐれた他
   アラクネの蜘蛛の巣など、魔物が張った罠にかかったとのことです。」

司令「魔物はいなくとも、土産は残していたか・・・続きを。」

副官「多少の損失は出ましたが、それでも大部分が城内への突入に成功しました。
   ですが・・・部隊のうち、5割がここで失われています。」

副官「報告によれば、城内は壁・床の大半がローパーの触手で覆われており
   それに加えて、凄まじく濃密な魔力の瘴気にあてられ
   行動不能になったところを、城内の魔物や触手に捕えられ
   次々と隊員が脱落したとのことです。」

副官「ギリギリまで城内の探索が行われましたが
   それでもこれらの障害に阻まれ
   行方不明の王族はおろか、城内深部まで到達できず
   表層部の探索のみでの撤退を余儀なくされています。」

司令「そうか・・・城内がそのような状態になっていたとは。
   瘴気や魔物はともかく、触手による防衛網とは、完全に予想外だった。」

副官「続けます。残存部隊は下水道から撤退しましたが、この時にはレスカティエ城から市街地へ
   下水道からの人間侵入の報が知らされていました。」

副官「そのため、軍務に属する魔物だけでなく
   男を求める独身の魔物が大挙して下水道に押し寄せ
   残存部隊はその襲撃を受けて散り散りとなり
   最終的に帰還したのは、当初の1割にも満たない数でした。」

司令「なんてこった・・・最高の人材を、最適なタイミングで投入したつもりだったが
   それでも9割の損失、明らかにできたのは城内の防衛機能の一部のみに留まったか・・・」

副官「それでも、今まで全く不明だったレスカティエ城内が、一部とはいえ分かったんですよ!
   これは大きな前進ですよ、司令!」

司令「そうだな・・・何も分からなかった今までに比べれば
   今回の成果は一歩踏み出したと言えなくもない。
   戻った隊員達には、手厚く礼をしなければならないな。」

司令「ひとまず私は、今回の成果を上層部に報告して、以降の方針を相談する。
   今までとはまた違った作戦展開になるかもしれん。その時はまた、力を貸してくれたまえ。」

副官「了解!!」
14/01/21 01:10更新 / プロミス
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