連載小説
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明日を掴むための戦い
………今日はついに作戦の決行日だ

隣で眠る詩織には何も言っていないが、全てが終わったあとに説明しよう

とりあえず今日は一旦親父殿に開発した兵器についての書類を届けに行く、といってあるので小官が説明するまでは気がつかないだろう

さて、名残惜しいが実行前の下準備などをしなければならないからそろそろ行こう

幸せそうな顔をして眠る詩織に軽くキスをして小官はその場を去った













待機場所に人払いのための装置を設置していると複数の気配が近づいてきたのを感じた

そちらの方に顔を向けると武装した男や女や魔物がこちらに向かって歩いてきていた


 「隊長、アベンジャー部隊、到着です」


 「ビースト隊、合流地点に到着」


 「お久しぶりですね、カオス部隊も到着です」


どれも見知った顔であり、今までの小官の参加した作戦で一番付き合いの長い部下達だ


 「久しぶりだな、前回の作戦以来本部には新兵器の書類を持っていったぐらいだから大体半年ぶりぐらいだな」


しかし、親父殿が言っていた旧友の弟子とやらが見当たらない


 「ゲストはまだ来ていないのか?」


 「あぁ、彼なら少し寄り道をしていましたが、もうそろそろ到着すると思いますよ」


寄り道とは。随分と余裕そうだな

心の中でそんな悪態をつきながらも、部下達と作戦の内容を確認することにした


 「では我々C部隊は敵増援に備えて入り口で待機、A部隊とB部隊、及びゲスト殿と隊長が突撃ですね」

 「A部隊は敵戦力の制圧、B部隊は施設の破壊工作、隊長とゲスト殿が最深部にある祈りの間にて勇者と決戦、であってますよね?」


 「あぁ、それで合ってる、突撃の手順に関してはいつも通りだ」


 「了解しました、ではあとはゲスト殿の到着を待つだけですね」


さて、ゲストさんはどういう奴なのだろうか?

そう思いながら例のゴツイバイクに乗る


 「Dモード、起動」


小官が呟くと移動のときに使っているときとは違う駆動音が発せられる

しばらくすると小官が座っている所が中心になるように変形した


 「いつも思いますが、ハルクバスターをウォーマシンのように武装化させたような形をしてますね」


 「小官には分かるからいいと思うが、知らない人にはまったくわからん説明だな」

 「とりあえず、バイクからの変形機構を考えるとどうしてもこんなサイズになってしまうからどうしようもない」


 「まぁ自分はそんなアメコミチックな見た目は好きですよ」


副官のワーウルフとバカな会話をしつつ、武装等の点検をしていると、小官と同じようにメカメカしいアーマーを全身に装着した奴がこっちに近づいてきた

あれは確か人魔大戦中の魔物軍側の主力級兵器だったと思う

しかし、特殊改造されているのか小官と違って普通の人間サイズだし、武装らしいものはどこかで見たことのある浪漫トンファーぐらいだ

そういえばエメラルド殿も夫の弟子用とか言っていたな、世界は狭いとはよくいったものだ


 「よかったじゃないですか、ゲストさんも鉄男的なアーマーを着ていますよ」


 「……小官のアーマーと違ってあれは既製品を改造したものだ、一から全部作った小官のとは少し違う」

 「尤も現在は生産どころか販売中止にすらなっている製品だからな」


彼が今装備しているアーマーは先ほども言ったように人魔大戦中に開発されたものだが、戦争が終わったときに悪用されるのを防ぐために生産及び販売が中止になっている

なのでおそらく元々持っていたものを誰かに譲り受けたものだろう


 「すいません、このアーマーを着るのに手間取ったのでちょっと遅れました」


小官の近くまで歩いてきて遅刻したことを謝罪してくるが……

しかし、この声は…まさか……


 「貴官、護か?」


 「えっ?甲?」


アーマー越しに聞こえる声はまさに護だった、この間のバカどもを片付けた時と違って流石に彼も驚いているが

世界はどこまで狭いのだろう


 「ハルクバスターみたいなのが居るなぁ、とか思ってたら甲だったなんて……びっくりだよ」


 「ほら、やっぱりハルクバスターじゃないですか」


 「僕としてはソーバスターの方が好きだなぁ」


こいつらはどこまでアメコミネタを引っ張るのだろうか

それはさておき


 「………では全員が揃ったからそろそろ作戦を開始するぞ」


 「え?僕は何をすればいいの?」


 「小官の撃ち漏らしを頼む、近接なら貴官のが得意だろうしな」


 「私としてはお二人がいるだけで全部片がついてしまいそうだと思うのですが……」


 「……小官達は装備の都合上戦闘しかできんのでな」


 「僕にいたってはこの装備を使うの自体が初めてだしねぇ……」


それで遅刻したのか

しかし初めて使う装備で大丈夫だろうか?

まぁ彼なら扱えそうな気がする

そんなことを思いながら、無人ビルの壁を壊して侵入した

……この装備だと普通の入り口からは入れんからな













教会内が随分と騒がしくなってしまった

強力な侵入者がいるのなら当然のことではありますが

しかし、私の両隣に座っているシスターと天使様はとても落ち着いていらっしゃる


 「……なぁ勇者様」


シスターが祈りの時間以外で珍しく大人しくしている

普段なら暇だからと私に向かって魔物のごとく誘惑してくるのですが


 「なんですか?」


だけど私は彼女のことは嫌いじゃない、むしろ好きです

かつて天使様と共に、何もできない自分と何も得る事のできない世界を憎んで引きこもりになっていた私に救いの手を差し伸べてくれたのですから当然です


 「この戦いが終わったらアタイと結婚してくれよ」


 「死亡フラグを立てないでください」


まったく……急に何を言い出すのでしょう

そういうものは今のような危うい状況でなく、もっと雰囲気の良いときに言うべきだと思います


 「じゃあアタイの処女を奪ったのと今まで大量に中へ出した責任をとってくれよ」


 「一緒の意味じゃないですか、それに貴女との性行為は全て私が貴女に襲われているだけです」


……彼女の処女をもらったのは確か引きこもりだった私を逆レイプした時でしたね、天使様はシスターが随分とおとなしくなったとか言っていますが私としてはあんまり変わっていない気がします

ふとシスターとは逆の位置に座っている天使様を見るとクスクスと笑っていた


 「ふふふ、貴方達は出会ったときから仲が良いですね、別に勇者様も満更でも無いのでしょう」

 「もっとも、勇者様は私のモノですから彼と結婚するのは私ですよシスター」


……私とシスターが性行為をするとき三回に一回ほど天使様も参加している

二人が私を慕ってくれるのは嬉しいのですが、人間の身である私が二人の性欲に体がついていきません

なので仮にも教団の支部長を任されている私達がこんなので大丈夫だろうかと思うことは多々あったりします

……現在ではもはや教団があること自体が奇跡だと思いますけどね

しかし、教団はなくてはならない存在です

上層部が腐敗していようが組織そのものが形骸化していようが関係ありません

私は神などを妄信しているくだらない奴らの為に戦うわけではないのです

私世界を救う礎となる『勇者』です


 「二人ともそろそろ準備をしますよ、彼はきっと私を殺しに来ます、もし生き残る事ができたのなら結婚でもなんでもしてあげますよ」


 「よーし、じゃあお姉さんがんばっちゃうぞ」


 「勇者様、わかってはいると思いますけど結婚するのはシスターじゃなくて私ですからね」


………でもやっぱり不安ですね
11/09/08 22:47更新 / 錆鐚鎌足
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■作者メッセージ
今回は詩織はお休み中です

シスターのスペックは人間・巨乳・ポニーテール・赤髪・お姉さんです、どうでもいいですね

アメコミの鉄男が好きです、でも死プールのがもっと好きです

サ「私はスパイディか蝙蝠男のが好きですね」

バ「わしは磁界王か雷神かの」

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