連載小説
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コーヒー牛乳
 
〜大人の味・子供の味〜

「むぅー・・・、ちっとも大きくならないの・・」

早く大きくなりたいのにどうして身長伸びないの・・。牛乳も毎日欠かさず飲んで少しでも胸も大きくしたいと思ってるのに。やだなぁ、鏡に映ってる私・・。身長は140cmで止まったまま・・、む、胸もそんなに・・。はぁ、・・・皆羨ましいなぁ。せめておっぱいが大きくなってくれたら私だって・・か、彼氏が出来るんだもん。いつまでも皆に妹みたいな扱いされないもん。でも・・全然成長しないし・・・地味でいつも臆病だし・・・。

「どうしたのレストナちゃん?お風呂行くんじゃなかったの?」

「あ、ママ・・」

・・・、ママのおっぱい私よりちょっと大きい。身長もそんなに変わんないのにどうして。

「ママのおっぱい・・どうして私より大きいの?」

「え!?そ、それはね・・、そうそう!レストナちゃんも大人になったらわかるわ!ぁ、ママちょっと御掃除しないと!」

ぁ、・・・ママの嘘吐き。

「でも、・・・・大人かぁ」

大人って何だろ。大きくなることなの?20歳超える事なの?わかんない・・。ママも御掃除するって逃げちゃったし、大人ってずるいよ…。

「お風呂行ってこよ・・・」

はぁ・・・あそこのお風呂屋さんの狐のお姉さん羨ましいなあ。おっぱい大きいし背も高くて凄く・・綺麗だし。それに比べて私は地味で目立たなくて・・。そんなに可愛いわけじゃないし。せめて後少しだけでも身長が伸びてくれたら・・。

「はぁ〜〜・・・、私の胸・・ちっちゃい・・」

ぺたぺたと触ると掌に感触が伝わってくる。ちょっとしか膨らんでないから寂しい。で、でも一応ブラジャーは着けれるんだから!

「ううぅ・・凄く悲しいです・・」

本当はお風呂屋さんに行くの好きじゃない。だって皆、私より大きくておっぱいだって・・。でも行かないと・・毎日綺麗にしておかないと、男の人に嫌われちゃいそうだし・・。

「いらっしゃ〜い、あら?そんなに暗い顔してどうしたのかしら?」

「な、なんでもないです。お金ここに置きますね・・」

「っと、待ちなさい。嘘おっしゃいな、黙ったままだと放さないわよ?」

や、やだ・・、服掴まないで。お願いだから放して!

「白状するまで逃がさないわ。さ、お姉さんに言ってみなさい」

「・・・・わ、笑わないって約束してくれるなら・・」

「・・・?いいわ、絶対に笑わないから」

狐のお姉さんに私の悩みを聞いてもらったけど・・。

「・・・うーん、それはねえ・・。私にもどうしようもないわね。・・・そうだわ!たまには違う事もしてみるのもいいんじゃない?」

「違う事・・・?」

良くわかんないです。突然違う事しましょうって言われても。

「あのね、毎日牛乳飲んだから胸が大きくなったとかありえないから。そういうのは自然に任せるしかしょうがないの。あんまり無理して背伸びしても良くないわよ?」

「ぅ、ぅん」

自然に、かぁ。自然に大きくなるといいなぁ。でも、何したらいいのかな?

「さ、お風呂に入ってらっしゃい♪こういう事は洗って水に流すものよ♪」

「お風呂・・だけにですか?」

「そうそう♪」

なんだか上手く誤魔化されたような気分。でも、そろそろお風呂に入らないと帰りが遅くなっちゃう。


あぅ、・・皆おっきいです。あちらに居るハーピーさんですら私よりも・・。凄く自信無くなっちゃいます。どうせ私なんてお子ちゃまですよー・・。早くお風呂入って帰ろう。

<カララララララ・・・・>


「ぁぅ・・・」

ここは私にとって地獄です・・・。なんで皆さん私より大きいんですか。えと、私より小さい人って・・・。

「ん?なんじゃ、人の顔をじろじろ見おってからに?」

種族柄育たない-【失礼な発言】-人はしょうがないですが、やはり他には・・・居ないですよね。うん、わかってたの。希望が無い事ぐらい。

「はぁ・・・」

早く体洗って帰っちゃおう。・・・あは、体洗うのがこんなに楽なんて・・。うぅ、ちょっとだけ目からしょっぱい水が出てきちゃいます。悲しくなんかないですよー。

湯船に浸かってる人達すごいおっぱいしてます。何を食べたらあんなに大きく・・。あの人なんてメロンですよ!メロン!あんなのおっぱいじゃないです!悔しくなんかないもん!

「あがろ・・・」

はぁ、・・・やっぱりいつまでも白いワンピースばかり着てるから子供扱いされちゃうのかなぁ。でもこれ、一番のお気に入りだし。あ、そうだ。帰りに牛乳飲まなきゃ。

「ぁ、あの・・、牛乳一本・・・」

「はい、どうぞ♪」

「あの、これは・・」

これってコーヒー牛乳だよね?コーヒーって凄く苦い飲み物だよね?私苦いの飲めないのに・・・。

「全くもう・・、甘いから飲んでみなさい。騙されたと思って、ね♪」

やだなぁ・・・苦いの大嫌いなのに。でも、本当に甘かったら・・。

「・・・・・んっ!!」

あ、すっごく甘くて美味しい♪これなら私でも飲める。

「ね、甘くて飲みやすいでしょう」

「うん♪」

コーヒーなのに、こんなに甘かったら毎日でも飲めちゃう。なんだかちょっとだけ大人になっちゃった気分かも♪うん、美味しい♥

「お姉さん、俺にもコーヒー牛乳を・・・あっ!!」

「ヒャッ!?」

やあああああああああ!お気に入りのワンピースにコーヒー牛乳が!

「ご、ごめん!俺がぶつかったせいで!今すぐ拭くから!?タオルはどこだ!タオル!?あった、これで・・・ぁ」

「きゃぁっ!」

や、やだ・・胸に手が・・。あぅぅ・・、おっぱい小さいの知られちゃったぁ・・。

柔らけぇ・・・じゃない!重ね重ねゴメン!!」

え?今、確かに柔らかいって・・・。そ、そんな事無いよね、私の聞き間違いだよね・・。だって、私の胸なんて触っても嬉しくないよね。

「本当にゴメン!べ、別に柔らかかったとか役得とか疚しい事考えてないから!」

・・・。

「ぁ・・もしかして本気で怒ってる・・?」

柔らかいだなんて・・ちょ、ちょっとだけ嬉しいかも・・。今まで意識もされなかったのに♪

「あの〜・・もしもーし・・・」

「ひゃ!ひゃい!なななななんですかっ!?」

「そのワンピースのクリーニング代払わせてもら『い、いらにゃいですぅ!!』・・は?」

こここここここ・・こんなのは・・・・えいっ!

「はぁぁぁぁっ!?き、消えた・・いや、消したのか」

「こ、これで大丈夫です・・・だから・・」

「いやいや・・それじゃあ俺の気が済まないんだけど・・」

えと、えと・・・こういう時どうしたら・・。ぁ、そ・・そうです!

「そそそそ・・それじゃぁ・・・わた・・私と一緒に・・そ、その・・コーヒー牛乳を・・・」

「ん?あ、ああ、そうだな。零した分は弁償しないとな」

ち、違うのですぅ!そ、そうじゃなくて・・・。

「わ・・私と一緒にコーヒー牛乳飲んでくだしゃい!」

い、言っちゃった・・。どうしよ・・ぁ。

「お姉さん、コーヒー牛乳2本〜」

「は〜い♪仲良く飲みなさいよ?」

「それじゃ向こうの長椅子にでも座って飲もうか?」

「は、はい♪」

や、やりましたぁ♥初めて・・初めて男の人を誘えました♪すごく緊張しちゃう・・♪

「それじゃあ乾杯しよっか〜」

「は、はいっ!か、乾杯ですっ!!」

んく・・んくっ・・・ぷはぁ♪すごく美味しいです。今日から毎日コーヒー牛乳飲んじゃいますぅ♥



               『ちょっとだけ大人になった気分です♥』



14/12/05 00:25更新 / ぷいぷい
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■作者メッセージ
今回はネームレスさんからのリクエストで『ドッペルゲンガー』『コーヒー牛乳』『湯上がり』でした。

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