連載小説
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時にはこんな日も
 
〜優しさはいつもこの手に〜


ふんふふ〜んふ〜ん♪今日も張り切って御掃除しなきゃね。深夜はあの子が御掃除してくれてるから助かるけど、やっぱり開ける前は私がしないと。

「んー、あの子ったら結構綺麗に洗ってくれてるから助かるわ〜♪」

ふぅ、・・・これで綺麗になったわ。さて、それじゃいつもの場所で御客様をお迎えしなくちゃ。座布団敷いてお茶請け出して・・・、御釣りを用意して。後は〜・・・あ、テレビ、テレビっと。憩い場のスイッチ入れておかないと。

「うん、これで良し♪あ、いらっしゃ〜い♪」

今日も金玉の湯はいつも通りです。

ん〜〜〜〜っ、相変わらず暇ねぇ。でも、なんだか何か忘れてる気がするんだけど?一体何かしら・・。

「いらっしゃ〜・・・い・・。あっ!そうだったわ!今日は26日だったわ!」

「んぅぉ〜・・・?どうしたんじゃ〜・・?」

「い、いえ、なんでもないのよ、おじいちゃん♪」

ど、どうしよう・・・、今日は26(風呂)の日だったわ。えーと・・えーと・・・、誰かに少しだけ番台代わってもらいたいんだけど・・。

「うむ、入りに来たぞ」

「ちょうど良かったわー♪ね〜、プレシャナ〜。お願いがあるんだけどな〜♥聞いてくれないかな〜?」

「・・・・断わ・・・ウッ・・、そんな泣きそうな顔で見てくるな。ええぃ!一体何だと言うのだ。くだらない用事だったら無視するぞ!」

「えっとね〜、あそこにおじいちゃん居るでしょ。今日は風呂の日だから介護補助する日なのよ。だ・か・ら〜、私の代わりにちょ〜〜〜〜〜っとだけ番台に座ってくれないかしら?」

「む、・・・しょうがないな。人の為であるならば私も人肌脱ごう・・」

「ありがとー♪恩に着るわ♪お礼に今度の休みに香蘭堂の絶品スイーツおごっちゃう♪」

「・・・・い、いいだろう・・・。べ、別にスイーツに釣られたわけじゃないからな!」

「それじゃあ、行ってくるわねー」

「うむ、しっかりな」






ふむ、・・・確か番台とやらは入浴料を頂く場所であったな。此処に座れば良いのだな?・・・うむ、悪くない。ほう・・、此処に座ると人の流れが良く見える。ふむふむ、あの狐はこうやって人を見る目を養っていたと言う訳か。

「あーっ、天使のお姉ちゃんが居るー!」

「うむ、少しの間だけ留守を預かっているのでな」

「お?久しぶりじゃん。んな所で何してんだ?」

「メルシュか、いやなに、暫くの間だけ代わりを務めてくれと頼まれてな」

「へー?んで、本人はどこ行ったんだ?」

「そこだ」

親指を立てて男湯を指す。

「なんでも、介護の日とやらでな。今し方、介護補助をする為に御老人の体を洗いに行ったのだ。うむ、善き事だ」

「へぇ〜〜、なるほどねー。と、ほい200円な。後で一緒にサウナ入ろうぜ」

「うむ!」

ふむ、・・・番台とは客足が止まると案外暇なもんだな・・。そうだな、少しばかり戻ってきた魔力であやつを覗いてみるか。


「ブッ!?な、なんであやつは体操着にブルマなのだ!ああ・・なるほど、動きやすいのか・・しかし、なんというか・・まぁ良いか。人助けだしな」





「おじいちゃん痒い所は無い?」

「ぉ〜、大丈夫じゃー」

うーん、やっぱりおじいちゃんの握力すごく下がってきてるわね。タオルを持つ手が少しだけ震えてるし。本当ならおじいちゃんに魔力を流してあげたいんだけど・・。ダメよね、おじいちゃんは人として逝きたいっていつも言ってたし。いけないいけない、念入りに洗ってあげないと。

「背中洗うから、少しだけ前屈みになってねー」

「こうかのー?」

「は〜い、綺麗綺麗しましょうね〜」

んっ、んっ・・・、背骨が少し浮き上がってるわ・・。あれからまた痩せたのね。でもこれが人の証。私達では到底及ばない域だわ。老いるという事は人間だけに許された特権ね・・・。少しだけ羨ましいわ。

「流しますよ〜。・・・はい、綺麗になりました♪それじゃ次は前ね」

「前ぐらいはなんとか出来るわい〜・・・」

「はいはい、見た目はおじいちゃんでも私から見ればまだまだ子供みたいなもんですからオチンチン隠さないの。はい前向いて〜」

「・・・しょうがないのぉ〜・・・・」

全くもう・・・、どうして男の人っていくつになっても意地張っちゃうのかしら。って、あらやだ。おじいちゃん元気無さすぎよ。






「・・・・・あやつは何を見てるんだか・・」

まぁ、しかし・・・人道的支援を自ら行うとは良い事。暫くはあやつの代わりに番台をしっかり務めてやるか。

「うむ、良く来た。ゆっくりしていくがよい」

ん、なんだ?私が此処に居るのがおかしいとでも言うのか?何?羽が凄く目立って美しいだと?ほほぅ、よくわかっているではないか。この羽は私の自慢でな。うむ、うむ・・・。





「は〜い、それじゃあそろそろ上がりましょうねー」

「すまんのー・・」

「いいのよ。私が好きでやってる事なんですからね♪」

さぁて、体を拭きましょうね〜。あ、ダメよ?恥ずかしいからって腰を引かないの。もう、・・ホントに・・。




「うむ、そうであろう。私もあれはなかなかの物だと思っているぞ」

「へー、・・なるほどね〜。そういう使い方もあるんだー」

「ただいまー。って、なんだか和んでるわねー」

「うむ!番台とはなかなか有意義な場所だな。・・・時々なら代わってやってもいいぞ・・・。いや、なんでもない!なんでもないからな!」

「んー?変な人ねー?」

「そ、それでは私はサウナに入ってくる。・・・少しは見直したぞ・・・

フフッ、ほんとにもう・・素直じゃないんだから♪ま、今日の所は聞かなかった事にしてあげる♪それじゃあ、定位置で御客様をお迎えしなくちゃね♪






               『いらっしゃい♪ゆっくりしていってね♥』

14/11/26 23:12更新 / ぷいぷい
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■作者メッセージ
今日は11月26日(いい風呂の日)です。
今回のテーマは『魔物娘いろいろ』『風呂の日』『介護』です。短い文章で申し訳ありません。

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