連載小説
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七軒目:とある重甲冑と研究所での安息
※14000字超です。もう長文確定なので長いって書かなくても良いかなと思えてきました。
※最早恒例ですが時間がある時に暇潰しでご覧下さると嬉しいです。




 PM 18:00
 どのくらい泣いていたのか。
 数分か、数十分か。
 まさか数時間という事はないだろう。そうなればとっくに先生達の呼んだ応援が掛けつけている。
 何にせよ、少女は泣き止んだ。
 止んだはいいが俺の腰にしがみ付いたまま離れない。何でや。

 「……本当に冗談みたいに事を進めるわね。貴方」

 聞き覚えのある声に首だけ振り向くと、何時の間にか牢で出会ったロリっ娘がベッドに腰掛けていた。
 脚を組んでムッチリと変形した太腿は見る奴が見れば垂涎ものだろうが――生憎俺にそっちの趣味が無いのでスルーする。
 というかさっきは暗くて分からんかったが、惜しげもなく晒された青い肌と黒い蝙蝠のような翼から種族はどうやらデビルのようだ。
 親も悪魔だし知り合いも悪魔みたいな奴ばっかだし、俺の人生に悪魔は付きもの――というか憑きものなのだろうか。

 「アンタか……あの子達は大丈夫か? 全員助かったか?」

 「問題ないわよ。船内の誘拐犯はほぼ全員確保。今は救護班が対応してるし万一に備えて護衛も居るわ」
 
 本当は制圧班だったんだけどね、と少女らしく笑いながらロリっ娘が補足する。
 あぁー……確かソラさんが全部倒しちまったんだよな。
 やる事無くて笑うしかない訳か。
 
 「貴女が天宮 愛生(あまみや あいお)さんね? 私はメフィル・フォン・ファウト。現時点での現場責任者です」
 
 わぉ、結構偉い人だった。
 俺このロリっ娘に売り言葉に買い言葉で喧嘩売ってた気がするんだけど。
 ……先生の知り合いみたいだし、何とかならんかな?

 「ご家族が心配されております。治療を受けてからご家族の下にお送りしますので、同行願えますか?」

 「嫌です」

 瞬間、メフィルと呼ばれた少女が笑顔のまま固まった。
 愛生と呼ばれた天使の少女は俺の後ろに回りこんで盾にしてくる。
 メフィルは俺の後ろを覗き込むようにして再度愛生に話し掛ける。

 「……ご家族に元気な姿を見せて安心させたいでしょう?」

 「……言葉が足りませんでした。この者も一緒でなくては嫌です」

 先程より強く俺にしがみ付く愛生ちゃんだが、流石にそれは意味不明だ。
 メフィルさんだって困って――って怖えぇぇぇぇ!?笑顔全然崩れてないけど超怖え! 不思議!

 「それは頂けません。彼は一般人ですので、愛生さんの存在を今正確に伝える訳にはいかないのです。心苦しいでしょうが後日改めて――――」

 「嫌です嫌ですいーやーでーす! お父様とお母様に紹介するのです!」

 「フフ、ご冗談を。この男性はきっとこの後のっぴきならないご用事が有るに決まっています。愛生さんもご家族の下で家族団欒としてから年末年始の大忙しに振り回される日常がお待ちでしょう? この男性へのご挨拶はそれらが終わって三賀日を過ぎ去った後での旧正月辺りで宜しいではありませんか」

 「だったら今日からずっと我が家に住まわせます! 部屋も余っていますし問題ありません!」

 「俺の予定と人権の有無を勝手に決めんな」

 片や圧迫の笑顔。片や敵意満載の膨れっ面。
 俺は自分を中心にクルクルと回る地獄絵図に耐えられずボヤくが、それすら燃料とされてしまう。

 「ご覧なさい、愛生さん。貴女が我侭を言うから彼も困っているでしょう。治療して差し上げますので大人しくGo Homeしやがって下さいな」

 「貴女こそのっぴきならないご用事があるのでは? さっさと私と彼を連れ出せばご用事に間に合いますよ? ……あ、すみません。そんなもの有りませんでしたね? でなければこんなところに居ませんものね」

 「――言うじゃない、頭でっかちの小鳥ちゃんが。媚薬と触手漬けにしてその羽根真っ黒にしてあげようかしら?」

 「――お褒めに預かり光栄ですね。あと、貴女偽者の幼女の匂いがします。年齢詐称も程々にしないとニッチ層にすらそっぽを向かれますよ?」

 「フフ、ウフフフフフフフフ……」
 「アハ☆ アハハハハハ……」

 何で俺を挟んでやるんですかねぇ……?
 声に出すと更なる燃料投下に成りかねないので黙っているが、そもそもこんな事してて良いのか。
 
 『(エ△エ) 良い訳ないだろう。このきゃんきゃんバニー共が』

 「関連要素欠片もないな!? って先生、どうしたんだよ。連絡ないから心配してたんだぞ」

 何かあったのか、ノイズ混じりで先生の映像と音声が届く。
 唐突に視界に現れた仏頂面に、俺は思わず突っ込みを入れた。

 『(エ△エ) 僕の声が聞けなくて不安だったのかね? 可愛い事言うじゃないか』

 「はいはい。で、ソラさんはどうしたんだ? もう終わったんなら帰ろうぜ?」

 『(エ△エ) あ〜……その事なんだがな』

 何だ? 先生の返答が妙に歯切れが悪い。
 というか妙にノイズが大きくなってくる。
 それに、何か重量物が動いてくる時の独特の振動音が聞こえてきた。

 『(エ△エ) 逃げろ、今すぐ』

 先生の発言と同時に、大型の『何か』が突入してきた。
 

 「ご無事ですかっ! 御使い様!」


 丸みを帯びた要所を護る黒い装甲の上に、幾つもの白い板金が組み合わされたその姿は重厚な中にも清廉さを併せ持っている。
 白い板金装甲には縁取りのように金色の意匠が施され、フルフェイスヘルムの左右から伸びる曲がった角のような造形と相まって猛牛めいた力強さを感じさせた。
 装甲の輝きは単純な照明の反射だけではなく、目の前の物体そのものが発する淡い輝きが加わっている為と思われる。

 「こいつは……鎧を着ている?」

 単純な大きさに加えて組み合わされた装甲そのものが放つ圧迫感が強い為意識し辛いが、目の前の物体は一目で『格が違う』と思わせる装備を身に付けた圧倒的な力を纏った存在だった。
 声は若い感じの男のようだが、御使い様? 一体誰の事だ?

 「その声……マイティスさん?」
 
 心当たりがあるのか、愛生ちゃんが口を開く。
 その声を聞いて、重甲冑は安堵したような声を漏らすと愛生ちゃんの方に振り返った。

 「おぉ――そこに居られましたか、御使い様……む?」

 そいつが一歩踏み出すと、背中から何かが落ちてきた。
 まるでボロボロの布のようなソレは、人間の手の形状と骨そのものの中身を覗かせている。

 「ほう、先程の魔物か。最後まで食らいついてくるとは見上げた根性だな」

 重甲冑が体ごと振り返る。
 空いた空間には――――俺の、良く知っている人物が居た。
 
 「てめぇ……ソラさんに何しやがった、コラアアアアアアッ!!!」

 俺の感情に呼応するかのように〈レイディエンド〉を中心に魔力の奔流が生まれる。
 残り残量の警告音が流れるが、構わず拳を振りかぶる。
 こいつは――全力でぶちのめさないと気が済まない!

 先程と同じように閃光が拳から炸裂する。
 確かな手応えを感じたのだが――閃光が薄まった先に見えたのは、俺の一撃を片手で受け止めたままその場に留まっている重甲冑の姿だった。
 
 「見た事の無い型だ。旧い【祝福鎧】の改修型のようだが――――魔力による動作速度のブーストか。良い能力を持っている」

 次の瞬間、俺は腕を取られるとそのまま玩具のように振り回されて壁側に叩きつけられた。

 「惜しむらくは使いこなせていない事か。攻撃動作を加速しても、狙いどころが単調であれば読まれ易い。応用性の高い能力だ……出直してくるが良い」

 追撃を警戒してか、今度はこちらを振り返ったまま様子を見ていた重甲冑の姿に俺は起き上がろうとして――無様に転がってしまった。
 何事かと視界に映る画面を見たところ、同心円が綺麗に無くなっている。
 カートリッジの魔力が切れてしまったのだ。
 重量そのものは素材の関係上感じないものの、今の〈レイディエンド〉はロック機構のせいで満足に動く事すらままならなくなってしまった。

 四苦八苦している俺を脅威足りえないと判断したのか、重甲冑は完全に俺に背を向けて歩き出す。
 向かう先は俺から吹き飛ばされた時に衝撃で気絶してしまった愛生と、彼女の下敷きになって動けなくなったメフィルさんのところだった。

 「魔の者が聖なる者を助ける為に身を挺する、か……我等は一体何をしているのだろうな……」

 自嘲めいた呟きを吐いて重甲冑が天使の少女に手を伸ばす。
 猛牛の首すら片手で潰せるその掌は、壊れ物を触るようにゆっくりと少女達に近づいていった。
 刹那――その腕に紫電が這う。

 「ぬおっ!?」

 衝撃に驚いたというよりは、少女達が傷つかぬよう重甲冑――マイティスは即座に手を引いたように見えた。
 何とか首を動かした俺が見たのは、脚をふらつかせ、疲労など感じさせない表情のまま玉のような汗を浮かべて電気銃を構えるソラさんだった。
 
 《(・∧‐;) こんな美人放っておくなんて……お姉さん悲しいわー……》

 『(エ△エ) ソラ、無理をするな! 魔力供給印すら無くなっているんだぞ! 僕が行くまで大人しくしていろ!!』
 
 先生にしては珍しい、酷く焦ったような声が響く。
 だが、先生の気持ちも分かる。
 ソラさんは軽口すら言ってのけているが、無理をしているのが傍目にも分かる。
 肩で息をしているし、右手で構えた銃口の先すら定まっていない。
 左腕は良く見ると既に無く――ソラさんが倒れていたあたりに無造作に落ちていた。
 
 「……つくづく、魔物にしておくには惜しい武を持つ者よ。その気概が我等の兵士にもあれば、元の世界でもお前等には負けなかったかも知れんな」

 マイティスの声には敵意や皮肉の響きが無く、賞賛の念しか含まれていないように感じた。
 金属同士の擦り合わさる合唱音を響かせて、ゆっくりと鉄の巨人がソラさんに歩み寄る。
 ソラさんはふらつきながらも構えるのを止めない。
 その気になれば撃てる距離にいるのに撃たないのは――それをする事すら出来ないくらい消耗しているからだろう。
 やがてマイティスはその豪腕の届く距離に近づくと、半身になって拳を引いた。
 
 「勇敢なる不死者よ。その武を全うしようとする誇りに応え、我が全力の一撃を贈ろう」

 引いた拳に光が集中する。
 〈レイディエンド〉越しで見るそれの正体を俺は否応なく知った。
 あれは神聖系の――それこそ天使や勇者しか持ち得ない『聖気』と呼ばれるものの集合体だ。
 当然、不死者には絶大な効果が有り最悪消滅すら有り得る。

 
 ――――まただ。時間が、ゆっくりと流れる。


 マイティスが引いた拳が緩やかに突き出される。


 ――――止めろ。


 空気すら震撼させて繰り出される一撃の軌道は、ソラさんの脳天だ。
 それがアンデッドにとってどれだけ効果があるのか俺は知らないが、人型にとって致命傷になる事は容易に想像できる。


 ――――体が重い。固定されている。ふざけるな。


 マイティスの重厚な足がソラさんの横の地面に突き刺さる。
 聖気だけではなく、物理的な加重を込めて完膚なきまで粉砕する積もりだろう。
 ミシミシという音が聞こえる。
 金属の断末魔が聞こえる。


 ――――動け。動け動け動け動け動け動け動け……!


 断末魔は終わらない。
 一つ、二つと絶命の音が耳に残る。
 マイティスは腰の捻りを加えたところだ。
 俺の位置では腕に加わる回転方向すら観察出来る。


 ――――心臓を限界以上に動かせ。血潮を駆け巡らせろ。神経が焼きつく速度で命令を出せ。


 大気を震わせる感触がここまで届く。
 断末魔はまるで連鎖を競うように次々と響く。
 吼えるその声がマイティスのものなのか俺のものなのかも分からない。
 ソラさんはマイティスの放つ光を正面から見据えたまま、一向に動かなかった。


 ――――動けない体なんて、元に戻らないくらいにぶち壊してしまえっ!!


 







 「さらばだっ! 不死の戦士よ!!」

 一際甲高い音を響かせて閃光が舞う。
 全てを白光に飲み込まんと輝くソレはマイティスの一撃が対象に突き刺さった事を意味していた。
 ソラスタスは声すら上げず、その斜線上に立っていた。
 その場居れば誰もが直撃すれば消滅は必至と疑わなかったろう。

 「……せめて、安らかに眠れ」

 拳を突き出したマイティスであれば尚更だ。
 彼は一切の手加減を抜きに奥の手を使ったのだから、相手が魔物――取り分けアンデッドであれば只で済む筈が無いと確信していた。
 
 「あぁ、お前がな」

 だが、それも『ソラスタスに直撃していれば』の話である。
 閃光が収まってくるに従ってマイティスの目に映ったのは、倒れてロクに動けない筈の【祝福鎧】であった。

 「貴様、何時の間に……いや、その姿は何だ!」

 マイティスが狼狽するのも無理は無い。
 倒れていた〈レイディエンド〉の形状と今彼の目の前に居る姿が合致しないのだ。
 拳は十字に重ねた腕に阻まれており、フルフェイスの兜がそれを後ろから支えている。
 首周りは兜と一体化しており、頭部の固定に一役買っていた。
 注意して見れば膝から足首にかけての装甲も一部変形して床に突き刺さっており、衝撃で体が吹き飛ばないようアンカーの役割を果たしている。

 「おおおおおおおおっ!!」

 雄叫びに応じるように〈レイディエンド〉の装甲部分全てが眩く輝く。
 受けていた拳を体を捻って脇に逸らすと、再度アンカー代わりの装甲が猛烈な勢いで伸縮し撃ち出された。

 「せいやァアアアアアーーーーーッ!!!!」

 豪はその強烈な勢いを利用し、そのまま装甲に覆われたマイティスの顔面に膝を叩き込む。
 予想以上の衝撃に、マイティスは思わずたたらを踏んだ。
 
 「くっ……せめて御使い様だけでも……!」

 予想外の事態に旗色が悪くなったと判断したのか、マイティスは首だけ振り向き愛生の居たであろう空間を見る。
 だが、そこには愛生の姿は無い。
 恐らくいち早く復帰したメフィルが彼女を連れてその場を離れたのだろうと推察できた。
 
 マイティスは素早く現在の状況を整理する。
 連れ行く天使達は襲撃で解放され部隊は壊滅。
 未知の敵に阻まれ虎の子の御使いを探す時間的余裕が無い。
 この場は転身あるのみ。

 「不死の戦士、そして【祝福鎧】を纏う少年よ……敢えて言わせて頂く」

 マイティスは胸元の装甲の一部を開くと、中から四角錘を上下に合わせたような八面体の青い水晶を取り出すとそれをおもむろに翳(かざ)して声高に叫ぶ。

 「このマイティス・ロウがお迎えに上がるまで御使い様は暫く貴様等に預ける! 覚えておくが良い!」

 再び閃光が室内を浸食する。
 豪はソラスタスを庇うように塞がってそれに耐えた。
 後に残ったのは――砕けて輝きを失った水晶の成れの果てのみである。

 「……逃げた、のか?」

 視界を埋め尽くしていた重甲冑は消え、かつての豪奢さは見る影も無い瓦礫が散逸している部屋だけが残されていた。
 
 《()´д`()ゲッソリ ……豪君、悪いけど後頼むね?》

 背中に軽い重みを感じたので振り返ると、ソラさんがこちらに倒れ掛かってきた。
 そういやさっき魔力供給がどうとか言ってたような……。
 
 「え?……ってソラさん!? しっかりして下さい、ソラさん!!」

 スケルトンとはいえソラさんは他の個体と違って要所要所と肉付きが良い。
 (エ△エ) 見て分かるとおり大変ボリューミーなお胸が俺の腕に当たってひゃっはーいという感じだ。コレさえ着ていなければ色々と堪能出来たのに……悔しい! でもその感覚が堪らん!
 
 「先生! 一応シリアスなんだからふざけんなオイ!!」

 『(エ△エ) 済まない。場を和まそうとしたんだ。他意はない』

 いい加減モノローグ侵食するのマジで止めろ……!
 だが都合が良い。先生ならソラさんを何とか出来る。

 「先生、早いとこソラさんを頼む! 俺じゃどうにも出来ん!」

 『(エ△エ) 分かっているよ。現在ソラには僕から非常時のバイパスを使って魔力供給中だ。破損した部分やら何やらは今メフィルが要請した連中に働いて貰って回収している。後は大物と本体と君だけだから、連中が君のところに来たら指示に従ってくれ。後ほど会おう』

 先生は一方的にこちらに言い放つとそのまま俺が二の言を放つ前に通信を切った。
 勿論俺から何度呼び掛けても応答無し。
 部屋を見渡すと損壊した部分とそうでない部分の差がかなり激しいのが分かる。
 俺は奇跡的に無事だったベッドを見つけると、ソラさんを抱えてそこに横たえた。
 
 固い床よりはマシだろう。
 やがてゴツゴツというくぐもった硬い音が規則的に聞こえてきた。
 先生の言っていた連中が来たようだ。
 俺は背中を壁に預けたまま床に座り込んで到着を待つ事にした。




 PM 19:00

 高い天井にシャンデリアを模した電灯。
 清潔感のある白い壁にはいくつかの絵画が目の保養になる範囲で配置されている。
 細かい装飾の施された大きめのソファは現在アマルを含めた4名の客人を柔らかく受け止めていた。
 腰下程度の高さのテーブルには5つのカップが並び、中には黒色の湯気が立つ液体が注がれている。

 「(エ△エ) インスタントで済まない。何分接客をする者が療養中なのでね」

 茶菓子は無くあるのは苦味を抑えるミルクと砂糖だけ。
 必要以上を出さないのが彼女――アマル・スタグナント・ハイドラグラムの方針だった。
 現在彼女等が居るのはA・S・H総合研究所、自称『アマルのアトリエ』の応接室である。

 「気にしてないわよ。私は用件を済ませてさっさと帰りたいだけだから、必要以上の歓待が無いのは寧ろ助かるわ」

 差し出されたインスタントコーヒーに何も加えず、船内で豪達が出会った少女――メフィル・フォン・ハウトは口を付ける。
 現在彼女が居るのは、彼女の所属する組織がアマルに預けた〈レイディエンド〉――正確にはその原型なのだが――の解析進捗状況とその解析内容の報告を受ける為だ。

 「それにしても部署って意味分かってるのかしら上の連中は……私は潜入と後方支援が主なのに何であいつ等の小間使いをしなきゃならないのよ……」

 「(エ△エ) 僕に会ったのが運の尽きだったな。多分時期が時期だから連中も忘れたんだろう。正直何も言われなかったから表面上しか解析してなかったが、今回のデータを上乗せしているから連中も満足してくれるだろう」

 「そう願うわ。それにしても――何でこの娘等が居るのかしら」

 メフィルはコーヒーを啜りながら横目で隣を見る。
 彼女の右隣には待機していたであろう日藤 沙耶(ひとう さや)と、先程保護されたばかりの天宮 愛生(あまみや あいお)が鎮座していた。

 「(エ△エ)  彼女は例の試験機のテスターだ。報告には実際の使用者の声も必要と思って呼んだんだよ」

 「そうだったの。宜しくね」

 「き、恐縮です……」

 メフィルのただならぬ存在感に本能的に上下関係を意識したのか、沙耶はおかしな口調で謙(へりくだ)る。
 その様子を特に気にした様子も無く、メフィルは社交的な笑みを浮かべて挨拶をした。

 「それで、この小鳥ちゃんは何で居るのかしら? 完全に部外者と思うのだけれど」

 「恩人のお名前とお顔も拝見せず、お礼すら言わず去るのは失礼の極みです! 私は身柄と命を救ってくれたあの騎士様にお礼を言いたくて来たのです」

 「(エ△エ) 彼は騎士号の無い一介の学生だと説明しても聞かなくてね。本人に合わせれば良いかと思って同席して貰う事にした」

 「頭が痛いわね……」

 「失礼な。私のどこに痛い要素があるのです?」

 「そっちじゃないわよ、全く……」

 眉間に皺を寄せながらメフィルは軽く溜息を吐いた。
 本来天宮 愛生には護衛を付けて然るべきところに匿うべきなのだが、家族の強い要望で護衛付で自宅待機させる方針に切り替えたのである。
 現在護衛は彼女の自宅に居るものの――当の本人がここに居ては全く意味が無くなってしまっている。
 関係者にどのように釈明すれば良いのかを考えると頭痛が治まらない。

 「先生、風呂あんがとさん。バイト代頼むわー……って何だ? 客か?」

 ジャージの襟を開き熱を逃がしながら、首にタオルを掛け牛乳瓶をプラプラさせながら豪は応接室に入ってきた。
 まるで自宅のように振舞う彼に、その場の全員が釘付けになる。
 いち早く口を開いたのはアマルだった。

 「(エ△エ) ……豪、一応聞くが薬は飲んだか?」

 「当然だろ。寧ろ薬飲まないと脱衣場から出られないようにしたの先生じゃねぇか」

 牛乳に口を付けながら暢気に答える豪だが、アマルの内心は穏やかではなかった。

 ((エ△エ) 効果半減ってところか……

 豪が服薬している代謝を落とす薬『マイナグラ』は、端的に言えば毒薬である。
 市販薬では安全性を重視する為効果が薄く、アマルは市販薬よりも高い効果を得る為に普通の人間が服用すれば即緊急手術が必要なくらい成分を高めている。
 そこまでして漸く豪の代謝を抑え込んでいるのだが、同じ成分で配合された薬が今や効果が薄い。
 成長期という事もあるが、それならアマルは兆候を見逃す筈が無い。
 あまりに急な変化の心当たりはどうしても改修型【祝福鎧】〈レイディエンド〉に集約する。

 ((エ△エ) 経箱が無ければ危なかったな……)

 もし〈レイディエンド〉に篭っていた豪自身の体臭がそのままであれば、この場全員で乱交に発展していてもおかしくなかったくらいである。
 アマルとしても用件はさっさと終わらせたい為、念の為風呂に入れておく判断をしていて良かったと心から思っていた。

 ((エ△エ) しかし――――)

 「あ、コーヒー余ってんだ。じゃ、貰うぞ」

 飲み終えた牛乳瓶をテーブルに置いてソファに腰掛ける豪を、三人娘は夢心地で見つめていた。
 然もありなん。彼の特異性を正確に把握しているのはこの場でアマル唯一人である。
 
 ((エ△エ) ……面倒が起こる前に帰すか)

 彼女は忙しい。ソラスタスの修復もしなければならない。
 アマルは各々が必要とするものを準備するべく、その場を後にした。
 彼女にとっては可愛い弟分と言える位大事な存在の豪であるが、研究も同じくらい大事である。
 
 ((エ△エ) やったね豪君、彼女が出来るよ☆)

 彼の好みを把握していて行うこの所業、大変鬼畜であった。




 
 正直私は困惑していた。
 一応外には出さない程度に取り繕えているものの、まさかあの時の【祝福鎧】を着込んだ男がここまで若いとは思わなかったのだ。
 声から若いだろうとは予想していたが、精々20歳前後だろうと高を括っていたがそれを飛び越えて若い。
 つぶさに眺めていると、こちらの視線に気付いたのか少年が微笑みながら挨拶をしてくる。
 
 「さっきはありがとうな。俺は斑鳩 豪(いかるが ごう)。アンタはメフィルさん、で良かったっけ?」

 「え、えぇ。メフィル・フォン・ハウト。私の名前よ。所属はSIG」

 何とも気の抜けた返答だ、と自分でも思う。
 だが、目の前の男に意識を持っていかれて仕方が無いのだ。
 
 髪はまだ水気を含んでいるのか艶やかに光を反射しつつも飲み込むような質感を保っている。
 お湯で血行の促進された肌は胸元近くまで開かれ、浮かび上がる汗と水滴の混合物を弾いていた。
 揮発した体臭は多分に石鹸の匂いがするものの、彼独特の匂いを混ぜて鼻腔をくすぐる。
 それがまた堪らなく心地よい。
 加えて、あどけない顔立ちなのに無意識に色香を漂わせる仕草を随所に見せ付けられては視線で追っている状態だ。
 極めつけはそこまで色香を放っておきながら何の警戒もしていない笑顔である。
 滅多にお目に掛かれない、極上品だ。

 「貴方、今晩予定ある?」

 「ケーキ買ってチキン食って借りたDVD見て寝ますが何か。というよりSIGって何だ?」

 まるっきり自分の事のようで思わず涙が出そうになる。
 他の魔物娘のお手付きが無いのは喜ばしいが、それ以上にあまりにも悲しい返答だ。
 隣ではデュラハンなのだろう、首に固定具を付けたテスターの少女がそれを代弁するかの如く突っ伏していた。
 
 「あの、宜しいでしょうか?」

 あぁ、忘れてたわ。あの小鳥ちゃんも居たんだっけ。






 名乗る前に名を聞けたのは僥倖(ぎょうこう)でした。
 聞けばこの聖夜に予定も無い様子。
 はしたないのは重々承知ですが、一気にいかせて貰います!

 「あの、宜しいでしょうか?」

 とはいえ矢張り緊張はするものです。
 まずは軽いジャブをとお母様も言っていましたので倣いましょう。

 「ん? おーおー、あの時のお嬢ちゃんか。愛生(あいお)ちゃんで合ってたか?」

 「はい!」

 名を存じて頂けていた事がこんなに嬉しいなんて!
 思わず大きな声で返事をしてしまいましたが、豪様は特に気にされていない様子でした。

 「ははっ、元気が良いな。そっちの方が安心出来るよ。家族には会えたか?」

 優しい、落ち着いた声です。
 男性にしては長い睫(まつげ)と大きく鋭い視線が合わさってお父様を思い出します。
 私を助けてくれた力強さ、家族との再会を案じる優しさ、潔癖さを保つ誠実さ。
 この方が騎士号が無いなんて、とても信じられません……。

 「えぇ、豪様のお陰で。豪様のご活躍をお話しましたら大層喜ばれておりました」

 窓から飛び込んで窮地を救ってくれた時の事は忘れません。
 簡素な意匠と思えるくらい至る所に魔術文字の掘り込まれた白い鎧。
 目の部分以外スリットが無く感情すら押し殺そうとする程徹底された兜はマイティスさんが装着していた鎧同様、動物の角のような意匠が盛り込まれていました。
 ですが、それは禍々しい印象が無くどちらかといえば清廉な――私達天使に近い神々しさを感じました。
 もしもっと古い時代に出会えていたら、彼と私は勇者と天使として出会っていたのではないか、と思えるほどです。

 「そりゃ良かった。もう遅いし、気をつけて家に帰れよ?」

 「あの、その事なのですが……」

 思わず言い淀んでしまいますが……いえ、女は度胸! 当たって砕けろです!!

 「豪様は本日、お一人で過ごされるのですか?」

 そう発した途端、豪様が力なく項垂(うなだ)れてしまいました。
 ど、どうしましょう!? 砕けるつもりが砕いてしまいました!
 
 「あー……うん。ソウデスヨ、ハイ」

 反応が機械的に!?
 マズイです。世間で言うクリティカルヒットというものを出してしまったみたいです。
 殿方が喜びそうな内容をお話しなくては!

 「あの、ご予定がなければお礼も兼ねて私の家に招待をしたいのですが……如何でしょうか?」

 お母様も妹も言っていました。
 『美少女に誘われて喜ばない男性は居ない』、と。
 幸い私達魔物娘は外見の評価が特に高い、言うなれば勝利の確率の高い存在です。
 この勝負、貰います!

 「いや礼なんていいよ。小さいうちは親に甘えられるだけ甘えてこい。俺は寧ろ邪魔だろうし遠慮する」

 草食系……! 圧倒的草食系……!
 その優しさはポイント高いですが、今出されても困るのです! 豪様!

 「どの道貴女は要保護対象よ。当分の間はこちらの護衛を付けなくちゃならないんだから、大人しくしていなさい」

 ちいぃっ! どの時代も悪魔は天使の邪魔をしますね!
 こちらの内情を察したのかメフィルさんは畳み掛けるように次の言の葉を撃ちだします。

 「あのマイティスとかいう【祝福鎧(ブレス・アーマー)】持ちが貴女の前にもう一度現れるみたいな事言っていたじゃない。忘れた? 一般人を巻き込もうとするなら流石にこちらも抗議せざるを得ないわね」

 ……忘れていました。マイティスさんがいつ現れるか分かりません。

 「(エ△エ) そう言えば君は何故他の天使達と違い特別扱いされていたのかね。大方の予想は付くが、情報は多い方が良い。どうせ警備担当者もこの場に居るんだし、何か分かるのなら教えて上げればいい」

 アマルさんは何か知っているようですが私には何とも分かりません。
 精々家の事と私の翼くらいしか違いはないのではないでしょうか。

 「私には何とも……お父様が偉い方というだけと後はこの翼くらいしか……」

 私は背中を向けると小さくしていた羽根を広げます。
 小さくしていると分かり辛いのですが、私の羽根は上が白、下が黒と色分けされたようになっているのです。
 
 「あら、珍しいわね。体内に魔力と神力が混在するのは珍しくないけど、過渡期の影響が外見に出るなんて中々無いわよ」

 「(エ△エ) 昔は天使の外見に堕天使の翼なんて個体も居たがね。確かに現代では珍しいな」

 「へぇー……綺麗なもんだな」

 珍しいものを見るような視線が嫌で隠しているのですが、豪様に褒められるのはお父様に褒められているようで照れ臭いです。
 ……そうだ。忘れていました。豪様は本当に一般人なのでしょうか? 丁度良い機会ですのでご本人に伺ってみましょう。

 「つかぬ事を伺いますが、豪様も【祝福鎧】持ちでいらっしゃいますよね?」

 「違うぞ。あれは一時的にデータ取りたいからって着させられただけだ。俺はバイト」

 なん……ですって……?
 あれだけ力強く戦えていたのにご自身のものではないのですか!?
 いけません、これでは護衛として近くに居て頂くことも難しくなってしまいます。
 えぇいそこの悪魔! 何をニヤついているのです!
 勝ち誇った顔を止めなさい!

 「仕方ないわよね。アレはSIGがアマルに解析を依頼している管理物だし、組織に属さない個人に貸し出されるなんてまず無いものだわ。心配しなくてもSIGの部隊は強いわよ。貴女は安心して籠に入っていなさい」

 「ちょっと良いですか?」

 私の気持ちを他所に、私とメフィルさんの間に居たデュラハンの方が手を上げながら質問を始めました。








 拝啓、お父さん。お母さん。
 自分の両側で聖魔プチ戦争が起きています。
 間に挟まれているしがないアンデッドとしては、そんなの放っておいて幼馴染と一緒に帰りたいです。
 でもソラさんの状態も気になりますし、事情を知っているアマルさんも帰ってきません。
 幼馴染は結構暢気にコーヒー飲んでますし誰でもいいのでホント助けて……。

 でもよくよく聞くとお互いが潰しあってくれているようですし、私もしかして漁夫の利得られちゃいます?
 というか風呂上り豪……

 キ・キ・キ・キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!

 今日一番の収穫ですよ!
 エッロ! マジヤバいくらいエッロ!
 あぁ〜あのちょっと開いた胸元に顔面擦り付けてムッハムッハしたい……!
 というか寧ろ頭外してジャージの中に潜り込ませたい……!
 ただでさえ良い匂いしてるのに密着出来るし、どれ味も見ておこう的な展開もあるじゃないですか!
 テンション上↑が↑る↑ーーーーーーーーっ!!!!

 今日豪が予定無いっていう情報を聞けたのも魔王様か堕落神が『You、ヤっちゃいなYO!』って言っていらっしゃるから何ですよね!?
 寧ろお互いの関係をGo ahead! って感じにしろって事ですよね!?

 どうやらメフィルさんはお仕事がありそうですし、愛生ちゃんも豪君>護衛で力関係を考えているから不安なだけの様子ですし、ここでメフィルさんに護衛がどのくらい凄いのか聞けば愛生ちゃんも納得してくれるでしょう。
 つまり! ここで援護射撃すれば私と豪の大人な夜がめくるめくという、そういう事ですね!

 「ちょっと良いですか? その『SIG』って組織はどんな組織なんですか?」

 私がテスターをしている事と無関係ではなさそうなので個人的興味もあります。
 メフィルさんも説明不足に気付いたのか、カップを置いて話し始めます。

 「そうね……Satan Imperial Guardians。略称SIG、この国の言葉だと【魔王近衛団】とでも言えばいいのかしら。魔王様直下の少数精鋭部隊と思って頂戴」

 メフィルさんは指を動かすと何やら横長の長方形のような光の枠が出てきます。
 そこには世界地図やら何かの動きを示すリアルタイムで動くグラフとかが……。
 凄い! 魔法なのに何か映画みたいにSFチックなものが出てる!

 「SIG――全世界に散らばっている、特定の拠点を持たず己の行動に関して必要なものは全てどの組織からも装備・人員が徴発出来る超法規的権限が与えられている組織。とはいえそうそう大きな事件も起きてないから、専ら主神教過激派やテロ組織の監視、制圧を行う為に現地の優秀なスタッフを間借りしながら解決する、言ってみればワンパン何でも屋ね」

 世界地図に変わったマークがあります。
 楯の輪郭に十字が重なって、左上に魔物の瞳と蝙蝠の羽の象形・右上に光芒と天使の羽根の象形・右下に剣と弾丸の象形が有るマークで、数から察するにこれがSIGなんでしょう。
 マークの左下が空欄になっているのは何か意味があるんでしょうか?

 「魔物娘が誘拐されるのは今に始まった事じゃないの。ただ、今回何故天使だけが誘拐されたのか。その目的と対策が今の私の任務なの」
 「ただ、それはあくまで【望郷騎士団】全体にいえる事。愛生が関わったマイティスという男の目的は只の天使ではなくて特殊な外見的特長を持つ天使を求めているなのも気になる。彼女――愛生はそれに合致した数少ない天使よ。だから私達も全力で彼女を守るつもりで臨んでいるの」

 画面が切り換わって護衛と思われるリストが出てきました。
 魔物娘、インキュバス、人間。
 どれも強そうな人ばかりが並んでいます。
 
 「今回は対神聖系を含めての編成よ。名のある暗黒魔法の使い手や神聖適正が高い人員を組ませているわ。……見覚えのある顔もあるんじゃないかしら?」

 今度は画面三枚が出てきました。
 総計20名も居るなんて気合入りすぎです。
 でも、逆にそれだけ本腰を入れないといけない相手ともいえるのでしょうか。

 「あれ? これ沙耶の親父さんとお袋さんじゃないか? 」
 
 「え?……ホントだ! 二人とも居る!」

 豪の指摘で漸く気付きました。
 二人とも何処に行ったかと思ってたのに……。

 「親父さんは後方支援か。お袋さんが前衛ね。まぁ妥当だよな」

 ちなみにお父さんは陰陽師というジパングの魔術師みたいなものだ、と教えて貰いました。
 お母さんとの出会いは教団の魔物討伐部隊を(結果的に)助けた時だったそうです。
 詳しくは教えてくれませんでしたが。
 あれ、そういえばこの人って……。

 「豪、見て下さい。ソラさんがメンバーに居ますよ」

 「お、本当だ。でもソラさんは確かマイティスって奴に……」

 ……そうでした。こてんぱんにされてしまったんでした。
 あれ? 何か視線が……というかさっきまで争っていたメフィルさんと愛生さんが凄い目でこっちを見てるんですが……?

 「(エ△エ) そのままキスでもするのかねボーイミーツガール。まぁそれは後にしなさい。プレゼントの時間だよ」

 「「へ?」」

 振り返ると豪との顔の距離が数cmしかありません。
 あまりにも近いのでつい離れてしまいました。

 「うぉ!? 悪りぃ沙耶、近付き過ぎたわ」

 「い、いえ……」

 豪は鈍感ですし私は豪の自然体に釣られ易いので、ついついお互い距離が縮まる事が多いんですよねー……ってアレ。
 今もしかしてチャンスありました?
 棒に振っちゃいました私?

 「(エ△エ) さて、それぞれ席に着き給え。サンタさんのプレゼントの時間だ」

 私の葛藤を他所に淡々と告げるアマルさんですが、無表情で付け髭を蓄えるその仕草が少しだけ楽しそうに見えました。


14/12/28 23:56更新 / 十目一八
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■作者メッセージ
ゴールは用意してるのにそれに至る文章の長さに後悔の念が絶えない物書きモドキ、十目です。
何でこんな状況になってるんでしょうねー……もうクリスマスなんて過ぎてるのにねー……。
一人だけクリスマス色が抜けない、正にシングルヘル(遠い目)

今回も多少補足させて頂きたいところがあります。
マイティスが持っているのもそうですが、【祝福鎧】は装着にある種の相性が必要であり教団側にとっては『扱い辛い過去の遺産』です。
マイティスのはやや旧型の〈ラストスタンド〉という最前線で戦う為の重甲冑型で複層装甲と重量を生かした一撃突破が得意なタイプです。
動きも小回りが利きませんが速く、硬いという特殊な能力はありませんが装着者によって能力の変化幅が少ないので比較的扱い易い部類といえます。
余談ですがマイティス自身は魔物娘と伴侶の姿を知っている為彼女達に嫌悪感がありません。
妹が一人おり、【祝福鎧】絡みで神力が必要な状態となっています。
マイティスは人間と変わらない彼女達に非道を行う事を悔やみつつも、妹を救う為に引くに引けない状況です。
味方フラグは立てているので後は彼次第ではありますが。

長い文のお付き合い有難う御座います。
さっさと終わらせるよう、当方頑張ります。

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