読切小説
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銀の手錠
夜が明け、陽が昇ると同時に私の一日が始まります。大人でも3人は寝れそうな大きなベッドから抜け出し、いつもの修道服に着替え、堕落神様へ祈りを捧げた後、一人厨房へと向かいます。未だ体の芯に残っている布団の温もりと愛する夫との情熱を惜しみつつ朝食の用意を始めます。まだまだ納得出来ない料理に複雑な想いを感じながらも愛しい夫の為に一品一品愛情を籠めてお皿に盛り付けて完成です。次はもう少し上手くなるように頑張りましょう。まだ起きてこない夫を起こす為に先ほど抜け出したベッドへと足を運びます。きっと夫は夢の中で昨夜の激しかった情事の続きを見ているのでしょうね。それはそれで大変喜ばしい事、あの人は一体どんな顔をして眠っているのかしら。母に甘えるような顔でしょうか、それとも私との肉欲に溺れた顔かしら。それとも、既に起きて・・・こっそりベッドを抜け出して朝食を作りに行った私への恨みに切ない顔をして嫉妬しながら待ち続けているのでしょうか。嗚呼、なんて甘美な言葉なのでしょう。朝食を優先した私に対して嫉妬する夫。ただそれだけで私の心は高まり抑えきれない性欲が全てを支配していくでしょう。ですが流されては駄目なのです。堕落こそ私の願いですが、でも・・・それだけでは駄目なのです。肉欲だけで溺れた夫は見たくありません。心も体も・・そして私に向けてくれる愛情も全てを溺れさせてあげたいのです。愛する夫を堕とすのは簡単です、私の大事な大事な子宮を膣を、そしてほどよく育ってくれました2つの柔らかな胸の膨らみを・・、夫に全て捧げるだけでいいのですから。ですが、それは本当に堕落したと言えるのでしょうか。愛する夫の全てを満足させるには体だけでは不十分なのです。心も精神も、夫が必要とする心の拠り所がなによりも大切なのです。初めて初夜を迎えたあの日、愛する夫が言ってくれた言葉。


『貴女の全てを護りたい。だから貴女は俺の全てを受け入れてくれ』・・・と。


素晴らしい言葉でしたわ。あれほどの情熱は生まれて初めて知りました。私の心を溶かしてくださった甘い甘い誘惑。堕落神様からのお告げの言葉よりも父と母が私を愛してくれて何度も甘えさせてくれた、あの春の陽だまりのような温もりよりも遥かに遠く新しい世界へと誘う暖かいときめき。嗚呼、申し訳ありません堕落神様。貴方様の下へ行くには今暫くお待ちください。今はまだ夫との生活を愉しみたいのです。さて、愛する夫はどんなお顔で居るのかしら。


ふふふ・・・♪まだぐっすりお休みのようでした。しょうがない人ですね。あら、おかしいですわね。先ほど私が抜け出した時はベッドの真ん中で寝てましたのに。どうして今は端の方でこちらにお顔を向けていらっしゃるのかしら。んふ、起きてますね。本当にこの人ったら毎朝キスしないと起きないんですから♪


んっ・・・♥


起きてる事はわかっていますよ。さ、早く朝食にしましょうね。あっ・・・、もう駄目ですよ。朝食が冷めてしまいますから早めに食べてくださいね。はいはい、駄々をこねても駄目ですから。今日の御仕事は早いのでしょう?朝食は貴方の大好きな物を用意してますから残さず食べてくださいね。もう、・・・困った人ですね。食べさせてくれないと仕事に行かないなんて。はい、アーンして♥


あの人ったら・・・、本当に甘えんぼさんなんですね。出逢った時はしっかり者で自分に厳しく何事にも立ち向かう人でしたのに。でも、そのギャップもたまりませんわ♪私だけに見せてくれる幼い心。本当は誰かに甘えたかったのかもしれません。あのお顔は私だけの物。他の誰のでもない私だけの特権。あ、いけません。あの人を想ってばかりですと仕事を終えて帰ってきた時に『おかえりなさい♥』の挨拶が出来ません。早く家事を終えましょう。


今日も大変です。昨夜の激しい情事でしょうか。ベッドには私の愛液と夫の精液、そして御互いの汗が大量に染み込んでいます。新しいシーツに取り替えないと。ですが、シーツから発せられる淫靡な香りが私の動きを制止させます。シーツを取り替える必要があるの?今日も仲睦まじくシーツを汚すのでは?御互いの汗や唾液、膣から溢れ出た精液、派手に散らしてしまった愛液や小水が私の心を犯します。取り替える必要なんて無いよ。今夜も貴方達の営みがベッドを快楽の海へと変えてしまうのでしょう。そう私に語りかけてくるのです。ですが私は誘惑には負けません。夫の為にも、私の為にも新しい綺麗なシーツの上で愛しあいたいのです。膣や子宮が切なく泣いているのを我慢し汚してしまったシーツを取り外し新しいシーツに交換します。後は汚れたシーツをお洗濯しないと。嗚呼、駄目です・・、この匂い、まだ微かに残った温もり、そして昨夜の激しすぎる情事を思い返させる染み付いてしまった御互いの体液。私の下腹部が疼き寂しい寂しいと何度も涙を零します。子宮から流れ出た粘ついた涙が膣内を通り、女陰から零れ落ちます。そう、・・・何度も何度も。駄目なのです、夫は私との生活を護る為に働いているのです。その期待に応える為にも私も耐えないと。



やはり無理でした。愛しい夫の精液が染み付いたシーツを握り締めているだけで私の両膝は生まれたての小鹿のように震え出します。本当はわかっているのです。毎日このようにシーツを洗濯する前には必ず発情してしまう事に。いつしかシーツを握り締めていた手は私の修道服の上をまさぐるのです。自らの胸を揉みしだき、腹部を撫で徐々に下へ下へと降りていきます。スカートのスリットに手を滑りこませ子宮があるであろう下腹部に手を宛て昨夜の余韻を思い浮かべます。此処に全ての幸せがあると。しくしくと涙を流す女陰に指を這わせ涙を拭き取り、それをそっと口に運びます。口の中で甘く蕩けるその涙は私の思考を奪いもっと欲しいと、もっと情熱の涙を流しなさいと脳に訴えてくるのです。這わせていた指が少しづつ女陰を拡げると嬉しそうにたくさんの涙を流します。指を伝い、床へと落ちた涙が夫と私の愛の部屋を濃密な匂いで埋め尽くしていきます。ああ、いけませんわ。このままですと、私が先に堕ちてしまいます。ですが、私の指は、体は許してくれません。女陰を拡げていただけの指はいつしか膣内に潜り込み夫が何度も愛してくれた箇所を執拗に慰めてきます。潜り込んだ指が慰めてくれる場所は、それはそれはとても幸せを感じる場所。私の体を知り尽くした夫が何度も愛してくれる場所。指は襞を撫で壁を伝い一番大切な扉を軽く数回ノックします。指先が扉をノックする度に女陰は歓喜の声を挙げ涙します。駄目です、このままではお洗濯が・・。


はぁ・・・なんと甘い涙だったのでしょうか。しかし、まだ物足りません。心から願う大切な方の涙が足りないのです。私の心を満たしてくれる宝石のような輝きを持つ白い涙。あれが無いと私の昂ぶってしまった心は満足してくれません。一旦心を落ち着かせた後、私は手に纏わりついた涙を一舐めしてお洗濯を開始します。


夫を想いながら一人で摂る食事はなんとも寂しい味でしょうか。どんなに高価な食事を目の前に出されたとしても、夫と一緒に味わう食事にはどれも敵いません。今、愛しい夫も同じ想いを胸に抱えながら食事しているのでしょうか。いけませんわ。早く夫の寂しい心を私の愛情たっぷりの御料理で満たしてあげないと。でもダメ、これは私に与えられた試練なのです。離れている時間は私と夫の愛情にスパイスを与えてくれているのです。甘い生活も悪くはありません。しかし、ただ甘いだけでは堕落出来ないのです。御互いが御互いを本当に心の底から欲するようになった時、初めて共に堕ちる事が出来るのです。ですが、やはりこの瞬間はとても辛いのです。一人きりの食事はどうしても虚しさしか感じれません。


なんという事でしょうか、夫を愛する事ばかり考えすぎてお買い物に行くのを忘れていたなんて。これでは妻として失格です。早くお買い物に行かないと。


危なかったです。もう少しで夫の大好物が売りきれるところでした。でもこれでなんとか『はい、あーんして♪』が出来ます。いやですわ、私ったらなんてはしたない事を考えているのでしょう。ですが、夫の少しだけ恥ずかしがるお顔を見てみたくもあります。本当は嬉しいのに男の人ってどうして意地張っちゃうのかしら♪でも、・・・そこが可愛いのですけどね♥


今日は何を作ろうかしら。そろそろ寒くなってきましたし、クリームシチューでしょうか、それともポトフもいいですわね。いえ、それよりも先にお風呂場で程好く温まった私を食べて頂こうかしら♥想像するだけでお腹の奥底が鳴いてしまいます。どうしましょう、期待で胸が一杯です。どうやって食べられるのでしょうか。やはり情熱的に正面から?それとも、優しく包み込んでくれるように後ろから覆い被さって?それとも・・・。考えれば考えるほど夫の帰りが待ち遠しい。ああ、早く帰ってきてくれないかしら。あ、噂をすればとはこの事ね・・は〜〜い♪


おかえりなさ〜い♥ねぇ・・・今日はお風呂が先?それとも御飯?それとも・・・私ですか?えっ、全部頂きたいですって?やだもう、我儘な人♥昨日も同じ事言ってましたよね、・・もう、しょうがない人ですねぇ♪今日だけですよ?本当に今日だけですからね?ですが、明日も同じように全部欲しいって言うのですよね♪本当に困った夫ですわ♪でも、そこが可愛いから全部許しちゃいます♥


やっぱり今日もお風呂場で頂かれてしまうのですね。嗚呼、そんなに苦しそうに・・・、私が今すぐに鎮めて差し上げます。酷いですわね・・こんなに腫れ上がってしまって・・さぞ苦しかったでしょう?えっ?キミの顔を見ているだけで幾分痛みが和らいだですって?もう・・いつもいつも同じ言葉で騙されませんよ。さ、早く診せてください。あぁ、何という熱さでしょう。こんなになるまで放置していたなんて。これは由々しき事態です。掌から伝わってくる熱が私の心を昂らせていくのがわかりますわ。それでは失礼して・・。んっ・・、早く、・・・んふぅ、お口の中・・で、熱を・・・んぅ、冷ましてあげないと・・・。んんんっ!?ぷはぁっ・・、んぐ・・ふぅ、こんなになるまで我慢して溜め込むなんて・・。これはもう少し療治が必要ですわ。さ、早く私に全てを委ねてくださいませ。まだこんなに腫れ上がってますのね、これはいけません。さ、早く私のここで冷してくださいませ。ああああっ・・そぅ、・・そうですわ。もっと奥のほうまで挿し込んで全体を冷してください。まだです、・・あはぁ♪そこ・・そこです。一番奥で貴方の熱を冷ましてあげますね。すごく、すごくいいです・・。私の大切な所が念入りに貴方の熱を吸い取って。さぁ、吐き出してください。貴方の全てを私が静めてあげますから♥


私は夫から頂いた白い宝石のような涙を子宮から一滴も零さず大切に護ります。これこそが私の幸せ、・・・いいえ、まだです。まだ本当の幸せを授かっていません。早く私の涙と夫の涙が結びつきますように。あ、いけません。早く夕食の準備をしませんと。


いつものように『あ〜ん♪』して食べてくれる夫の顔を見てるだけで嬉しくてたまりません。もう、なんて可愛らしいお顔で食べてくれるのかしら。見ているだけで私の心は初夜を何度も思い出してしまいます。はっ、いけません。手が止まってしまいました。はい、あ〜んしてください♪


ふふふ♪夫がそわそわしていますわ。お食事にこっそり混ぜた夫婦の果実が効いてきたのでしょうか。嗚呼、なんて切ないお顔なんでしょう。本当は私を求めて交じり合いたいというのに。時折ちらりとこちらを窺う視線に気付いていますよ。ですが、今は駄目ですわ。もっともっと私を求めたくて、愛したくて、そして溺れたいと思うまで我慢してもらいますわ。ぞくぞくしてきましたわ。夫のお顔をチラリと見る度に夫も判っているのでしょうか、こちらに熱っぽい視線を何度も投げかけてきているのがわかります。そろそろ頃合でしょうか、夫の吐息が雌を欲する獣のようになってきてます。かくいう私も本当は我慢の限界ですし。


真新しいシーツの上で仰向けになる夫に跨り、私は何度も『愛しています』と囁きます。私の甘い言葉と夫の私を求める荒い吐息がベッドの上で何度も交じりあい私達の心をより深く堕としてくれるのがわかります。夫は私の腰を両手で掴み縋りつくように抱き締め、『一生離したくない』と耳元で囁き、私の心の奥底に眠る女の欲望の扉を何度もノックしてきます。どうして夫はこんなにも私の欲しい言葉を囁いてくれるのでしょう。すごく堪りませんわ♥何度も何度も私の心を溶かし蕩けさせると同時に白い宝石のような涙を私の中に放ちます。もう、もうこれ以上は駄目ですわ。私の女としての欲が出てきてしまいます。覚悟してくださいね、ア ナ タ ♥





とても清清しい朝です。隣ではいつものように夫が安らかな寝顔で丸まっています。なんて可愛らしいのでしょう。まるで子猫のようにくるんと丸まって寝ている姿は本当に愛くるしいです。では、今日も夫を起こさないように静かに抜け出しましょうか。





嗚呼、堕落神様。今日も素晴らしき日々を私達に与えてくださって有難うございます。貴方様の下へ行くには暫くお待ちください。必ず、・・・必ず貴方様の下へ夫と共に旅立ちますので・・・。










14/10/25 23:59更新 / ぷいぷい

■作者メッセージ
アキタカ氏よりダークプリーストさんのイラストを頂きましたので、勢いで書いてみました。

皆様のお口に合えば宜しいのですが。。

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