連載小説
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もしも、こんな酒場のマスターが居たら・・・
皆さんが住む街にも、必ず一つはあるであろう酒場。

そこでは、皆、思い思いにお酒を飲んだり、軽く食事をしたりします。

そして、そんな酒場にも、実に様々なマスターが居るものです。

という訳で今回は、そんな酒場のマスター達のお話です。




もしも、酒場のマスターがこんなマスターだったら・・・








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〜CASE1〜 ヴァンパイア



「あ〜、何か腹減ったなぁ〜。お?そこにバーあるな。何々?“バー・ラキラド”か。よし、丁度いい。入ってみるか」





カランカラン・・・・・・





「・・・・・・いらっしゃい」




「こんばんわ、マスター。今、やってるかい?」




「・・・・・・見て分からんのか?営業中の札を掛けていただろう?」




「い、いえ、何か薄暗いもんだから、てっきり準備中かなと思って」




「・・・・・・これは私がこういった雰囲気が好きなのもあって、そういう趣向なんだ。気にするな」




「は、はぁ・・・」




「で、客人よ、何にするのだ?」




「・・・へ?」




「へ?では無い。何を注文するのかと聞いているのだ」




「あ、あぁ。じゃあ、メニューを見せて貰えますか?」


ドンッ!!


(メニューを放り投げて渡すマスター)


「うわぁ!?」




「メニューだ。受け取るがいい」




「ちょ!?何するんですか!?危ないでしょ!?・・・ったくもう〜」



ペラ・・・ペラ・・・


(・・・ん?このフードの最後のページにある“裏メニュー”って何なんだ?ちょっと気になるな・・・)




「マスター。この“裏メニュー”って何?」




「(ビクゥ!)あ、あぁ・・・それは・・・。(ダラダラダラ;)」




「あれ?どうかしたのマスター?凄い汗掻いてるけど?」




「な、何でもない。気にするな・・・(ダラダラダラ;)」




「はぁ・・・そう?じゃあ、この“裏メニュー”ってやつ貰えます?」




「(ビクビクゥ!)・・・・・・ほ、本当にそれでいいんだな?」




「・・・?ええ」




「ほほほ、本当の本当だな?」




「あの〜、何かまずいことでもあるんですかい?」




「な、ななな、何でもない!ちょっと待っていろッ!」



マスターが顔を赤くし、泣きそうになりながら厨房へと消えていったのは気のせいだろうか?




「・・・?マスター、どうしたんだろ?」



〜数分後〜



プルプル・・・コトッ・・・・・



マスターが“震える手で”男の目の前に置いたのは、“ニンニクが大量に使われたピザ”だった。




「ハァ・・・ハァ・・・お、お待たせ・・・し・・・ましたぁ・・・“裏メニュー”の・・ガ、ガーリック・・・ピザ・・・ですぅ・・・あへぇ・・・もう・・・だめぇ・・・♪」



バタリ・・・



そう言って、マスターは恍惚の表情のまま倒れて、気を失ってしまった。





「・・・・・・・・・だめだ、こりゃ ><;」





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〜CASE2〜 ミノタウロス



 
「あ〜、何か軽く一杯行きたいなぁ・・・。ん?そこにバーがあるな・・・。何々?“バー・トーギウ”・・・折角だから入ってみるか」




男がドアを開けようとドアノブに手をかけた瞬間、何故か先に勢いよくドアが開いた!




バンッ!!



「ブフッ!?」




「いらっしゃい!よく来たな!!・・・・・・ってアレ?お客さ〜ん、どこいった〜?」



「つぅ〜〜〜〜ッ!ココだよ、ココ!ドアの反対側!!・・・ったく、痛いなぁ〜もう!!何やってんですか、アンタは!?」




「いやぁ〜わりぃわりぃ。久々のお客さんだからつい嬉しくなっちまって。ささ、入った入った!」




「いや、ちょっと押さないで!?危ないから・・・ッ!?」



メキメキバキッ!!(床が抜けた音)



「あいたッ!?何するんですか、もぅ〜!」




「あ〜あ〜、気をつけてくれよ?この建物は古いからな、気をつけないと怪我するぜ?さぁ、あの席に座ってくれ」




「そう言う事は先に言ってよ!?・・・いてて・・・まったく、もぅ〜・・・よっこいしょっと」



男が案内されたカウンター席に腰掛けようとしたが、、何故か椅子の足が折れてしまった!


バキィ!!


「あいたッ!?」




「あ〜あ〜、気をつけてくれよ?ココの備品はボロいんだから、ささ、こっちの椅子に座ってくんな!」



「・・・ったく、もぅ〜」



マスターに案内され、壊れた椅子の隣に座る。そしてマスターも、カウンター側へと回った。



「んじゃ、お客さん、何にするんだい?」




「ふぅ・・・それじゃ、先に水もらえる?」




「あぁ、水だね!よっこらせっと・・・は〜いよッ!!」




バッシャーン!!


何を思ったのか、マスターは何処からともなく取り出したバケツに入っていた水を男に向かって思い切りブッかけてきた!




「ぶふぅ!?ゲホッ!ゴホッ!・・・ちょ、な、何するんですかアンタは!?・・・あ〜あもう、下着までずぶ濡れだよ〜、まったくもぅ〜・・・」




「いやぁ〜、わりぃわりぃ。久々のお客さんだからつい嬉しくなっちまって。あぁ、ちょっと待ってな!今タオル持ってくるから!」



バタバタバタ・・・ガタン!バキバキッ!!



(遠くでつまづく音と壁が壊れる音がした!)



「あいたッ!?」





「ちょ、ちょっとマスター!?大丈夫かな・・・?」



バタバタバタ・・・



「いててて・・・はいよ!お客さん!いや〜ホントすまないねぇ〜」



フキフキ・・・


「ホント、勘弁してくださいよ〜?」



「ささ、気を取り直して、何にするんだい?」




「んじゃあ・・・って、あれ?マスター、怪我してるよ?ほら、腕から“血”が・・・」




「え?あれま、ホントだ!ったく、アタシったらドジでいけねぇや!あっははは〜!!」



「あっははは〜!じゃないでしょ!大丈夫なのマスター?」



「ハハハ・・・・・ううっ・・・はぁ・・・はぁ・・・」



マスターはいきなりその場に蹲ってしまった!



「ど、どうしたの!?マスター。大丈夫?」



「ハァ・・・・・・ハァ・・・・・・」



「マ、マスター?」




「う・・・うぅぅ・・・うがぁああああああああ!!!!」




「ちょ、えええええ!?」




突如大暴れするマスター。そして・・・・・・




ガラガラガッシャーン!!


“バー・トーギウ”は“赤い物”を見て凶暴化したマスターによって、あっという間に破壊されてしまうのであった・・・・・・





「ゲホッ・・・ゲホッ・・・・・・・・・だめだ、こりゃ ><;」



バタリ・・・





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〜CASE3〜 ゆきおんな



「はぁ〜、何か最近は夜になっても蒸し暑いままで嫌になっちゃうなぁ〜。どこかで涼んで帰るかぁ〜・・・ん?あそこにバーがあるな。何々・・・?“冷たいモノ、あります♪”だって?よし!行ってみるか」




カランカラン・・・



「・・・・・・・・って、何コレ!?寒ッ!?」



(酒場の中は凍えるような寒さだった!)



「あら、いやですわ、お客様。わたくしのお店に入って、第一声が寒いだなんて、あんまりです・・・クスン・・・」




「ああいや、そいつはどうも失礼しました。あまりにも冷えていたものだからつい・・・」




「クスッ、それはともかくとして、ようこそおいで下さいました。わたくしがこのバーのマスター、“レイコ”でございます。さぁ、どうぞそちらへお掛けになってくださいな♪」



男はマスターの目の前のカウンター席へ案内され、座った・・・のだが。



「って、何コレッ!?冷たッ!?」



(椅子はカチコチに凍っていた!)



「そんな、ひどいですわ。折角、お客様に涼しくなって頂こうと思ってご用意しましたのに・・・あんまりですわ・・・グスン・・・」




「あ、ああいや!ありがたいですよ!丁度ほら、外は蒸し暑かったですし!いやぁ〜涼しくっていいなぁ〜!」



(お尻が冷たくて泣きそう・・・)



「よかったぁ♪お気に召していただけましたか?あ、お客様。コチラがメニューになります♪」



そう言って、マスターがメニューを渡してくるが・・・・




「って、冷たッ!?しかも何ですかコレ!?凍ってて開かないし、全然分からないじゃないですかッ!?」




(メニューはカチコチに凍っていた!)




「うぅ・・・そんなに怒らなくても良いではありませんかぁ・・・折角、お客様に喜んでいただこうと、気を利かせて差し上げましたのに・・・よよよ・・・」




「ああいや、すみません、そんなつもりじゃ・・・。え〜っと、それじゃあ・・・マスターのお勧め、貰えます?」




「グスン・・・。え?わたくしのお勧めで良いんですか?わかりました〜♪少々、お待ちくださいね〜♪」




マスターはいきなり上機嫌になると、鼻歌を歌いながら奥へ引っ込んで行った。そして、しばらくして手に“何故か中身がよく見えないジョッキ”を持って戻ってきた。




「お待たせしましたぁ〜。わたくしのお勧め、“生ビール・凍結版”でございます。ささ、遠慮せずにどうぞ♪」



(この店は何もかもが凍っていた!)



「あ、あはは・・・・・・だめだ、こりゃ ><;」





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〜CASE4〜 おおなめくじ


「確か、この辺だったよな〜?何か、変わった酒場が出来たって聞いたんだが・・・ん?あれか?」



男の視線の先には真新しい店舗があり、“本日、開店記念サービス中!”と書かれたのぼりが立っていた。。



「どんなサービスなんだろ?・・・まぁ、入ってみりゃわかるか」



カランカラン・・・・・・



「こんばんわ、マスター・・・って、うわぁ!?」



(ズルリン!男は足を滑らせた!)



「アイタタタ〜・・・うわ、何これ!?床全面、ヌルヌルじゃないの!?」



「あ〜、いらっしゃいませ〜、お客様〜って、何遊んでるんですかぁ〜?」



(店のマスターはニヤニヤしながら男を見ている!)



「うをっ!?ととっ!?ありゃ!?ふごっ!?」



(男は何とか立とうとするも、無様に滑ってまともに立てない!)




「あらあら〜、大丈夫ですかぁ〜?手をお貸ししますね〜?あ、そ〜れ♪」



マスターが男に近寄って手を掴む。そして何を思ったのか、男を壁に向かって突き飛ばした!



ズルズル〜!ドゴッ!!



「あいたッ!?」



「あらあら、大丈夫ですかぁ〜?お怪我はありませんかぁ〜?」



「何やってんですか!痛いなぁ〜もう!」



「ホントすみませ〜ん。ささ、コチラへどう・・・ぞー!!」



マスターは手を差し伸べて、男を椅子に・・・ではなく、やっぱり壁に突き飛ばした!



ドゴン!



「あいたッ!?ちょっと、いい加減にしなさいよ、アンタ!?」



今度は男がマスターの手を掴んで、勢いをつけてマスターを壁へ突き飛ばした!



ドガッ!バキバキバキ!!



「きゃ〜〜〜!?・・・・きゅう〜〜〜〜」




壁はぶつかった衝撃で破れ、マスターはそのまま気を失ってしまった。




「・・・だめだ、こりゃ><;」





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〜CASE5〜 マンティス



「おお〜寒い・・・何処かに酒場は・・・っと、お?あるじゃん。あそこに入ろう」




カランカラン・・・・・・




パン!パパン!(店に入っていきなりクラッカーを鳴らされる)




「って、うわぁ!?」




「・・・・・・・・いらっしゃい」




「びっくりするじゃないですか!?いきなりなんですか、もぅ〜」




「・・・・・誕生日」




「・・・え?」




「・・・・ワタシの」




「え?あ、あぁ。おめでとうございます」





「・・・・・・・・・・ポッ」





「んじゃ、折角だし、お祝いしますよ!お祝い!」





「・・・・・・・ケーキ、ある」





「んじゃ、ロウソクを刺して、火を付けますか」



〜ハッピバースデ〜以下略!(笑)〜





「・・・・・・きれい」




「さぁ、マスター、火を消してくださいよ」





「・・・・・・・・・・・・・・」


(マスターは集中している!)



「マスター・・・・?」



「・・・・そぉい!」



(鎌がロウソクの先端を器用に掠める!そして、火を器用に消してみせた!)




「・・・・・・消した(ドヤァ)」




「何ドヤ顔してるんですか、アンタは!?・・・ったく、危ないなぁ〜もぅ〜!まぁいいや、次はケーキ切りましょ、ケーキ!」




「・・・・・・・・・・・・」



(マスターはまたもや集中している!)



「あ、何か嫌な予感・・・・」



「・・・・・・そぉい!」



ザシュッ!!



ケーキだけを切るつもりだったのか、マスターは鎌を縦に振り下ろした・・・のだが、それによって、ケーキとケーキを置いていた机はキレイに真っ二つになってしまったのだった・・・






「・・・・・・・あぅ(;_;)」




「・・・・・・・だめだ、こりゃ ><;」





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〜CASE6〜 スキュラ



「さて、仕事も終わったし、飲みに行くか〜何処かにいい店は・・・っと、何々・・・“飲み屋《海坊主》”?よし、入ってみよう」



ガラガラ・・・



「こんばんわ〜」



「いらっしゃいませ〜」



「いやぁ〜、今日は何だか暑いですね〜」



「ええ、ホントに。暑くて嫌になっちゃいますね〜。ささ、何か冷たいお飲み物をお出ししましょう。何がいいですか?」



「え〜っと、それじゃ、ビール貰えますか?」



「は〜い、かしこまりました〜」



ゴトリ。



「あ、そういえば、お客様、コチラは初めてですね?どこかでココの事をお聞きになられたんですか?」



「いえ、たまたまふらっと立ち寄っただけなんですが・・・」



「あら、そうなんですか?では、今後ともごひいきに宜しくお願いしますね♪」



「わざわざご丁寧にどうも。こちらこそ、宜しくお願いします」



「あ、お客様、おつまみは何がよろしいですか?」



「え〜っと、そうだなぁ・・・」


(お品書きを見る男)


「あ、アレだ。“明石焼”貰えます?」



「・・・・・・・・・・・!?あ、明石焼!?」



「・・・え?女将さん?」




「・・・・・ふぇえええ〜〜〜〜ん!」



「え?ど、どうしたんですか、女将さん!?」



「ごめんなさい、お客様・・・“明石焼”は今は取り扱ってないんですぅ〜〜・・・うぅぅ〜〜〜」



「そ、そうだったんですか?残念だなぁ・・・」



(再びお品書きを見る男)



「じゃあ、アレだ。“タコの刺身”貰えます?」




「・・・・・・・・・・・!?タ、タコの刺身!?」



「・・・・?女将さん?」




「・・・・・・うわぁああああああん!!!!」



「え!?ちょ、ちょっと女将さん!?何で泣くんですか!?」



「ごめんなさい、お客様・・・“タコの刺身”も今は取り扱ってないんですぅ〜〜・・・うわぁああああ〜ん!!」




「ちょ、何も泣かなくても・・・でも、何で無いんですか?」




「それは・・・・それは、私が“スキュラ”だからですぅ〜〜〜うわぁああああん!!」






「そんな馬鹿な・・・・・だめだ、こりゃ ><;」
12/09/13 23:00更新 / 四爺麓参
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■作者メッセージ
という訳で、懲りずに連載スタートです(笑)

一回目は、読みきり版を加筆修正したものを載せました。
とりあえず今はココまでです。

リクエストのあった魔物娘は随時追加していきます。

あと、登場する魔物娘の順番はランダムとなりますので、あしからず。

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